(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ラックアシストタイプ電動パワーステアリングのボールねじ部用グリース組成物
(51)【国際特許分類】
C10M 169/06 20060101AFI20240801BHJP
C10M 107/02 20060101ALI20240801BHJP
C10M 115/08 20060101ALI20240801BHJP
C10M 129/40 20060101ALI20240801BHJP
C10M 129/74 20060101ALI20240801BHJP
C10N 10/04 20060101ALN20240801BHJP
C10N 20/00 20060101ALN20240801BHJP
C10N 20/02 20060101ALN20240801BHJP
C10N 30/00 20060101ALN20240801BHJP
C10N 40/00 20060101ALN20240801BHJP
C10N 50/10 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
C10M169/06
C10M107/02
C10M115/08
C10M129/40
C10M129/74
C10N10:04
C10N20:00 Z
C10N20:02
C10N30:00 Z
C10N40:00 D
C10N40:00 G
C10N50:10
(21)【出願番号】P 2020062060
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000162423
【氏名又は名称】協同油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】相馬 実波
(72)【発明者】
【氏名】河内 健
(72)【発明者】
【氏名】小森谷 智延
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-097571(JP,A)
【文献】特開2009-256401(JP,A)
【文献】特開2012-052047(JP,A)
【文献】国際公開第2006/078035(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/081156(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/104812(WO,A1)
【文献】特開2010-037530(JP,A)
【文献】特開2018-016687(JP,A)
【文献】特開2015-160493(JP,A)
【文献】特開2006-306275(JP,A)
【文献】特開2008-115304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00-177/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増ちょう剤と、
基油と、
Caスルホネート、脂肪酸、及びトリグリセリドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、
ラックアシストタイプ電動パワーステアリングのボールねじ部用グリース組成物であって、
前記増ちょう剤が、下記式(I)で表わされるジウレア化合物であり、
R
1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(I)
(式中、R
1
及びR
3
は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数8~20の直鎖アルキル基又はシクロヘキシル基であり、R
2
は、炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基である。)
前記基油の40℃における動粘度が4~100mm
2/sであり、
前記基油が、ポリαオレフィンであり、
前記基油の含有量は、組成物の全質量を基準として80~91質量%であり、
組成物の混和ちょう度が265~385であ
り、
但し、非極性ワックス、極性ワックス、及び重量平均分子量が2万~30万の鎖状の炭化水素系ポリマーのいずれも含まない、前記グリース組成物。
【請求項2】
前記化合物が、塩基価350mgKOH/g以下のCaスルホネートである、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項3】
前記化合物が、炭素数6~24の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸である、請求項1記載のグリース組成物。
【請求項4】
前記化合物が、脂肪族部分が炭素数7~26の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸であるトリグリセリドである請求項1記載のグリース組成物。
【請求項5】
増ちょう剤と、
基油と、
Caスルホネート、脂肪酸、及びトリグリセリドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、
ラックアシストタイプ電動パワーステアリングのボールねじ部用グリース組成物であって、
ボールねじを構成する要素はいずれも鋼であり、
前記増ちょう剤が、下記式(I)で表わされるジウレア化合物であり、
R
1
-NHCONH-R
2
-NHCONH-R
3
(I)
(式中、R
1
及びR
3
は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数8~20の直鎖アルキル基又はシクロヘキシル基であり、R
2
は、炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基である。)
前記基油の40℃における動粘度が4~100mm
2
/sであり、
前記基油が、ポリαオレフィンであり、
前記基油の含有量は、組成物の全質量を基準として80~91質量%であり、
組成物の混和ちょう度が265~385である、前記グリース組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラックアシストタイプ電動パワーステアリングのボールねじ部用グリース組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の運転快適性の向上として、操舵時の応答性や静粛性へのニーズから、電動パワーステアリングが広く適用されている。電動パワーステアリングには、コラムアシスト式、ピニオンアシスト式、ラックアシスト式といったタイプに分かれるが、ラックアシスト式は、その応答性や出力が高いことから、今後、電動パワーステアリング市場での需要拡大が予想されている。それに伴い、ラックアシスト式電動パワーステアリング装置内のボールねじ部に使用されるグリースにも、長寿命化や、広い速度域に亘る低トルク化、更には、音や振動の低減といった様々な要求への対応が求められており、特に、トルク変動の抑制は、運転者の操舵時の応答性や静粛性向上のため、重要な技術課題となっている。
ラックアシスト式電動パワーステアリング装置内のボールねじ部に適用できるグリース組成物の先行技術として、特許文献1及び2が挙げられる。
特許文献1には、増ちょう剤として、脂肪族部分が不飽和成分を有するジウレア化合物を、脂肪酸金属塩及びアミド化合物と所定の割合で併用し、基油として、流動点が-25℃以下の、合成炭化水素油を主成分とする潤滑基油を用い、所定の添加剤を所定量含有することを特徴とするグリース組成物が記載されており、このグリースは、不整な摩擦変動を大幅に縮減でき、広い温度範囲で低く安定したトルク特性を示し、高温でも十分な油膜を維持できる長寿命のグリースであると報告されている。
特許文献2には、増ちょう剤として、平均分子量が500~1000で、直鎖状炭化水素基に不飽和成分を有するウレア系化合物、脂肪酸金属塩、アミド化合物の混合物を用いることを特徴とするグリース組成物が記載されており、このグリースは、不整な摩擦変動を大幅に縮減でき、安定した摩擦特性と潤滑性を得ることができるグリースであると報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-306275号公報
【文献】特開2006-307023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ラックアシスト式電動パワーステアリング装置の操舵時の応答性や静粛性を向上させるようトルク変動を抑制し、かつ、広い速度範囲域でも低トルクである、ラックアシスト式電動パワーステアリングのボールねじ部用グリース組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1.増ちょう剤と、
基油と、
Caスルホネート、脂肪酸、及びトリグリセリドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する、
ラックアシストタイプ電動パワーステアリングのボールねじ部用グリース組成物であって、
前記基油の40℃における動粘度が4~100mm2/sであり、
組成物の混和ちょう度が265~385である、前記グリース組成物。
2.前記化合物が、塩基価350mgKOH/g以下のCaスルホネートである、前記1項記載のグリース組成物。
3.前記化合物が、炭素数6~24の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸である、前記1項記載のグリース組成物。
4.前記化合物が、脂肪族部分が炭素数7~26の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸であるトリグリセリドである前記1項記載のグリース組成物。
5.前記基油が、ポリαオレフィンを含有する、前記1~4のいずれか1項記載のグリース組成物。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、トルク変動の抑制と、広い速度域に亘る低トルクを両立できるラックアシストタイプ電動パワーステアリングのボールねじ部用グリース組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
○増ちょう剤
本発明に用いることのできる増ちょう剤は特に制限されない。具体的には、例えば、Li石けんや複合Li石けんに代表される石けん系増ちょう剤、ジウレアに代表されるウレア系増ちょう剤、有機化クレイやシリカに代表される無機系増ちょう剤、PTFEに代表される有機系増ちょう剤などが挙げられる。このうち、式(I)で示されるジウレアおよび複合Li石けんが耐熱性に優れるため、より好ましい。
R1-NHCONH-R2-NHCONH-R3 (I)
式中、R1およびR3は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数8~20の直鎖アルキル基、炭素数6または7のアリール基、又はシクロヘキシル基であり、好ましくは、炭素数8~18の直鎖アルキル基である。R2は、炭素数6~15の2価の芳香族炭化水素基であり、トリレンジイソシアネート又はジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート由来の基が好ましく、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート由来の基がより好ましい。式(I)のジウレアとしては、R1およびR3のいずれかが炭素数8の直鎖アルキル基であり、他方が炭素数18の直鎖アルキル基であり、R2がジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート由来の基である化合物を含むのが最も好ましい。
【0008】
複合Li石けんとしては、1個以上のヒドロキシル基を有する炭素数12~24のヒドロキシ脂肪酸のリチウム塩と、炭素数2~12の脂肪酸ジカルボン酸のリチウム塩とから構成されるものが好ましい。前記ヒドロキシ脂肪酸としては、12-ヒドロキシステアリン酸、12-ヒドロキシラウリン酸、16-ヒドロキシパルミチン酸等が挙げられる。このうち、12-ヒドロキシステアリン酸が好ましい。前記脂肪族ジカルボン酸としては、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸が挙げられる。アゼライン酸が最も好ましい。複合Li石けんとしては、12-ヒドロキシステアリン酸のリチウム塩と、アゼライン酸のリチウム塩とから構成されるものが最も好ましい。
本発明の増ちょう剤としては、とりわけ、R1およびR3のいずれかが炭素数8の直鎖アルキル基であり、他方が炭素数18の直鎖アルキル基であり、R2がジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート由来の基である式(I)のジウレア化合物を含む増ちょう剤が好ましい。
本発明の組成物における増ちょう剤の含有量は、本発明のグリース組成物の混和ちょう度を265~385の範囲に調整できる量であり、通常、組成物の全質量を基準として、6~15質量%であり、好ましくは7~14質量%であり、より好ましくは8~12質量%である。
【0009】
○基油
本発明のグリース組成物の基油の種類は、特に限定されない。鉱油でもよく、合成油でもよい。基油は、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
鉱油としては、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、これらの混合物を使用することができる。
合成油としては、ジエステル、ポリオールエステルに代表されるエステル系合成油;ポリ-α-オレフィン(PAO)、ポリブテンに代表される合成炭化水素油;アルキルジフェニルエーテル、ポリプロピレングリコールに代表されるエーテル系合成油;シリコーン油、フッ素化油など各種合成油が使用できる。
基油がポリ-α-オレフィンを含有するのが好ましい。基油がポリ-α-オレフィン以外の基油を含む場合、基油の全質量を基準にして、ポリ-α-オレフィンを50質量%以上含有するのが好ましく、80質量%以上含有するのがより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%含有するのが最も好ましい。基油中のポリ-α-オレフィンの割合が既述のとおりであると、低温性に優れるので好ましい。
本発明における基油の動粘度は、低温性の観点及びおよび高速域のトルクを低く抑制する観点から、40℃における動粘度が4~100mm2/sであり、10~80mm2/sであるのが好ましく、15~70mm2/sであるのがさらに好ましい。
本発明の基油としては、とりわけ、40℃における動粘度が15~70mm2/sであるPAOが好ましい。
本発明のグリース組成物中の基油の含有量は、グリースを製造するのに通常用いられる量であり、例えば50~93.5質量%であり、ちょう度の観点から、60~92.5質量%が好ましく、80~91質量%がより好ましい。
【0010】
○必須添加剤
本発明のグリース組成物は、Caスルホネート、脂肪酸、及びトリグリセリドからなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する。このうち、Caスルホネートと脂肪酸が好ましく、Caスルホネートがより好ましい。
脂肪酸としては、炭素数が好ましくは6~24、さらに好ましくは12~18の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。これらの2種以上の混合物でもよい。飽和脂肪酸が好ましく、炭素数12~18の直鎖飽和脂肪酸が特に好ましい。好ましい具体例としてはステアリン酸、パルミチン酸が挙げられる。
トリグリセリドとしては、トリグリセリドを構成する脂肪酸残基の炭素数が好ましくは7~26、さらに好ましくは12~18のトリグリセリドが挙げられる。これらの2種以上の混合物でもよい。好ましい具体例としては、天然油脂より採取したひまし油や、硬化ひまし油が挙げられる。
Caスルホネートは、中性でも塩基性でもよいが、中性の方が好ましい。これらの2種以上の混合物でもよい。塩基性の場合、塩基価が(混合物の場合、混合物の塩基価が)好ましくは350mgKOH/g以下である。好ましい具体例としては、中性のジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム塩が挙げられる。なお、本明細書において、塩基価は、JIS K2501に従って測定した値である。
本発明の必須添加剤としては、とりわけ、中性のジノニルナフタレンスルホン酸カルシウム塩が好ましい。
如何なる理論にも拘束されるものではないが、本願所定の添加剤を使用すると、ボールねじ表面に被膜を形成することができる。この形成された被膜が、トルク変動の抑制に寄与していると思われる。
本発明の必須添加剤の含有量は、組成物の全質量を基準にして、0.1~10質量%であるのが好ましく、0.5~7質量%であるのがより好ましく、1~5質量%であるのがさらに好ましい。本願所定の添加剤がこのような範囲で含まれると、効果的にトルク変動が抑制できるので好ましい。
【0011】
〇混和ちょう度
本明細書において、用語「混和ちょう度」は60回混和ちょう度を指し、JIS K2220 7.に従って測定することができる。本発明の混和ちょう度は265~385であり、285~340が好ましい。混和ちょう度が265以上であると、トルクの点で優れる。混和ちょう度が385以下であると、耐飛散性・耐垂れ落ち性の点で優れる。
【0012】
本発明のグリース組成物は、グリースに通常使用される添加剤を必要に応じて含むことができる。これらの添加剤の含有量は、グリース組成物の全量を基準として、通常0.5~35質量%、好ましくは5~25質量%である。このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、無機不働態化剤、防錆剤、金属腐食防止剤、油性剤、耐摩耗剤、極圧剤、固体潤滑剤があげられる。耐酸化性、防錆性、境界潤滑性、耐久性の観点から、酸化防止剤、防錆剤、油性剤、及び極圧剤の少なくとも1種を含むのが好ましい。
【0013】
本発明のグリース組成物は、ラックアシスト式電動パワーステアリングのボールねじ部に適用する。ボールねじを構成する要素はいずれも鋼であるのが好ましい。
【実施例】
【0014】
<試験グリース>
ポリαオレフィン(PAO)中で、4’,4-ジフェニルメタンジイソシアネート1モルと、オクチルアミン1モル及びステアリルアミンのアミン1モルとを反応させ、昇温、冷却した後、表1又は表2に示す割合で添加剤を配合し、3本ロールミルで混練し、実施例1~3及び比較例1~3のグリース組成物を得た。なお、表1及び表2中の質量%は、グリース組成物の全質量を基準とする。
【0015】
<試験方法>
〔種々の速度におけるトルクの評価〕
鋼製のボールねじのねじ溝部に試験グリースを10g塗布し、雰囲気温度を25℃に設定した恒温槽内に設置した。ねじ軸を10mm/sの速度でストローク50mmの範囲で10往復させた。その後1,2,4,5,10,20mm/sの各速度で、低速から順に3往復させた。これを1サイクルとし、全部で5サイクル行った。ボールねじのねじ軸を所定の速度で往復運動させたときに生ずる力(「操作荷重」)を所定間隔でサンプリングし、1往復当たりの操作荷重の合計をデータのサンプリング数で除すことにより、1往復当たりの操作荷重の平均値を求めた。5サイクル目の、1mm/sおよび20mm/sで3往復させたときの平均値を下記基準により判定することにより、広い速度域に亘って低トルクを達成できるか否かを評価した。
【0016】
[判定基準]
1mm/sのとき、操作荷重の平均値が55未満 ◎
55以上70未満 ○
70以上100未満 △
100以上 ×
20mm/sのとき、操作荷重の平均値が130未満 ◎
130以上140未満 ○
140以上150未満 △
150以上 ×
【0017】
〔トルク変動の評価〕
上記のトルクの評価において、5サイクル目に1mm/sで3往復したとき、第1の往復中に発生した操作荷重の変動(ピーク)のうち、変動の大きい順に5番目までのピーク高さを算出し、第2往復中及び第3往復中に発生した変動についても同様に、変動の大きい順に5番目までのピーク高さを算出し、全15のピークの平均値を求め、下記基準により評価した。
なお、設定した速度のうち、最低速度で求めたのは、トルク変動に影響するハンドルの引っ掛かりの影響が、高速よりも低速の方で出やすいからである。また、通常、工場で製造されてから納品されるまでの間に、自動車は、工場の敷地内等で試験運転される。すなわち、納車時点では、ハンドルの引っ掛かりは慣らされて、安定状態に達していると考えられる。トルク試験においても、遅くとも5サイクル目には安定状態に達しているため、納車後の運転を想定し、5サイクル目の変動で評価した。
[判定基準]
平均値が12N未満 ◎
12以上15未満 〇
15以上20未満 △
20以上 ×
【0018】
【0019】
【0020】
・PAO:40℃における動粘度=30mm2/s
・Caスルホネート:アルキルナフタレンスルホン酸カルシウム塩(商品名:NA-SUL 729、KING INDUSTRIES,INC製、中性)
・トリグリセリド:硬化ひまし油(商品名:HCO-I、JAYANTAGRO-ORGANICS LTD製)
・脂肪酸:ステアリン酸(商品名:TST、ミヨシ油脂株式会社製)
・Znスルホネート:アルキルナフタレンスルホン酸亜鉛塩(商品名:NA-SUL ZS、KING INDUSTRIES, INC製)
・ソルビタン脂肪酸エステル:ソルビタントリオレイン酸エステル(商品名:ノニオン OP-85R、日油株式会社製)