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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25C 5/182 20180101AFI20240801BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20240801BHJP
   F25C 5/20 20180101ALI20240801BHJP
【FI】
F25C5/182
F25D11/02 C
F25C5/20 305
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020090718
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021188751
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-12-07
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋吉 浩一
(72)【発明者】
【氏名】坪川 充央
(72)【発明者】
【氏名】山尾 明
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-032673(JP,A)
【文献】特開2018-031552(JP,A)
【文献】特開2002-098463(JP,A)
【文献】特開2017-009237(JP,A)
【文献】特開2019-007646(JP,A)
【文献】取扱説明書 日立冷凍冷蔵庫 型式R-HW60J外,日本,日立グローバルライフソリューションズ株式会社,2018年02月,第14頁
【文献】取扱説明書 日立冷凍冷蔵庫 型式R-K40H外,日本,日立グローバルライフソリューションズ株式会社,2017年11月,第12頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00-5/20
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷が貯蔵される貯氷部が設けられ、
氷を掬う掬い部と、前記掬い部から延長された柄とを有する氷掬い具が載置される載置領域が、前記貯氷部における前方部分に設けられた冷蔵庫において、
前記載置領域の底面の少なくとも一部が、前記貯氷部における前記載置領域よりも後方の部分である後方領域の底面よりも高く、
前記載置領域のうち前記柄の下方に位置する部分の底面が、前記後方領域の前記底面に対する傾斜面であり、
前記傾斜面は、前方に向かって高くなるように傾斜する面であり、
前記傾斜面の後端部が、前記後方領域の底面に連結されている
ことを特徴とする、冷蔵庫。
【請求項2】
氷が貯蔵される貯氷部が設けられ、
氷を掬う掬い部と、前記掬い部から延長された柄とを有する氷掬い具が載置される載置領域が前記貯氷部に設けられた冷蔵庫において、
前記載置領域に、前記貯氷部の底面から立ち上がった壁が設けられ、
前記壁の一部に形成された低部が、前記載置領域に載置された前記氷掬い具における前記柄が通る切り欠き部を形成し、
前記貯氷部の前記底面から前記低部の上端までの高さが、前記柄の幅方向における一方側の側面と前記掬い部の前記一方側の側面との間の前記幅方向への距離よりも長いことを特徴とする、冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯氷部の前端において前記底面から前側壁が立ち上がり、
前記前側壁から前記切り欠き部の後端までの前後方向の長さが、前記氷掬い具における前記距離と前記柄の前記幅方向の長さとを足した長さよりも短い、請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記貯氷部の底面から立ち上がった壁として、前記貯氷部の前端よりも後方に設けられた第1区画壁と、前記切り欠き部を有する前記壁である第2区画壁とが設けられ、
前記貯氷部に、前記第1区画壁と前記第2区画壁とにより区画された部分が形成され、
前記第1区画壁から前記切り欠き部の前端までの前後方向の長さが、前記氷掬い具における前記距離と前記柄の前記幅方向の長さとを足した長さよりも短い、請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
氷が貯蔵される貯氷部が設けられ、
氷を掬う掬い部と、前記掬い部から延長された柄とを有する氷掬い具が載置される載置領域が前記貯氷部に設けられた冷蔵庫において、
前記載置領域に、前記貯氷部の底面から立ち上がった壁が設けられ、
前記壁が前記載置領域に載置された前記氷掬い具における前記柄を収容する収容部を形成し、前記収容部が周囲から隔離された空間であり、前記収容部の長さが前記掬い部の前後方向の長さよりも短く、
前記貯氷部の前端において前記貯氷部の底面から立ち上がった前側壁が設けられ、
それぞれ前記壁として、前記前側壁から後方へ延びる2つの区画壁と、前記前側壁よりも後方において左右方向に延びる区画壁とが設けられ、
前記収容部は、前記前側壁及び3つの前記区画壁により囲われて形成された
ことを特徴とする、冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫には、製氷装置で製造された氷が貯蔵される貯氷容器が設けられている。貯氷容器には利用者が氷を掬い取って庫外へ取り出すための氷掬い具(「スコップ」や「アイスシャベル」とも呼ばれる)が収納されている。特許文献1に記載のように、一般的な冷蔵庫では、貯氷容器の内部に壁が設けられ、利用者から見てその壁より手前側の空間が氷掬い具の配置部となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-092308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の冷蔵庫では、氷掬い具の配置部は、上記のように単なる空間であり、特に工夫がなされたものではなかった。そのため、利用者にとって必ずしも氷掬い具が取り出しやすくなかった。
【0005】
そこで本発明は、氷掬い具を取り出しやすい冷蔵庫を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の冷蔵庫は、氷が貯蔵される貯氷部が設けられ、氷を掬う掬い部と、前記掬い部から延長された柄とを有する氷掬い具が載置される載置領域が、前記貯氷部における前方部分に設けられた冷蔵庫において、前記載置領域の底面の少なくとも一部が、前記貯氷部における前記載置領域よりも後方の部分である後方領域の底面よりも高く、前記載置領域のうち前記柄の下方に位置する部分の底面が、前記後方領域の前記底面に対する傾斜面であり、前記傾斜面は、前方に向かって高くなるように傾斜する面であり、前記傾斜面の後端部が、前記後方領域の底面に連結されていることを特徴とする。
また、実施形態の冷蔵庫は、氷が貯蔵される貯氷部が設けられ、氷を掬う掬い部と、前記掬い部から延長された柄とを有する氷掬い具が載置される載置領域が前記貯氷部に設けられた冷蔵庫において、前記載置領域に、前記貯氷部の底面から立ち上がった壁が設けられ、前記壁の一部に形成された低部が、前記載置領域に載置された前記氷掬い具における前記柄が通る切り欠き部を形成し、前記貯氷部の前記底面から前記低部の上端までの高さが、前記柄の幅方向における一方側の側面と前記掬い部の前記一方側の側面との間の前記幅方向への距離よりも長いことを特徴とする。
また、実施形態の冷蔵庫は、氷が貯蔵される貯氷部が設けられ、氷を掬う掬い部と、前記掬い部から延長された柄とを有する氷掬い具が載置される載置領域が前記貯氷部に設けられた冷蔵庫において、前記載置領域に、前記貯氷部の底面から立ち上がった壁が設けられ、前記壁が前記載置領域に載置された前記氷掬い具における前記柄を収容する収容部を形成し、前記収容部が周囲から隔離された空間であり、前記収容部の長さが前記掬い部の前後方向の長さよりも短く、前記貯氷部の前端において前記貯氷部の底面から立ち上がった前側壁が設けられ、それぞれ前記壁として、前記前側壁から後方へ延びる2つの区画壁と、前記前側壁よりも後方において左右方向に延びる区画壁とが設けられ、前記収容部は、前記前側壁及び3つの前記区画壁により囲われて形成されたことを特徴とする。実施形態の冷凍サイクル装置は、圧縮機と、前記圧縮機の吐出側に接続された第1逆止弁と、前記第1逆止弁の下流側に接続された凝縮器と、前記凝縮器の下流側に接続された切替弁と、前記切替弁の下流側に接続された減圧装置と、前記減圧装置の下流側と前記圧縮機の吸い込み側とに接続された蒸発器とを備え、前記切替弁が、前記圧縮機と前記第1逆止弁との間に分岐配管で接続され、前記圧縮機の稼働中は前記凝縮器から前記減圧装置への流路を開き、前記圧縮機の停止中は前記分岐配管から前記減圧装置への流路を開く。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の冷蔵庫の縦断面図。
図2】中型収納容器を斜め後方から見た斜視図。
図3】中型収納容器の平面図。
図4図3のA-A断面図。
図5図3のB-B断面図。
図6】氷掬い具の表側からの斜視図。
図7】氷掬い具の裏側からの斜視図。
図8】氷掬い具を表側から見た図。
図9】氷掬い具を幅方向から見た図。
図10】氷掬い具が配置された中型収納容器の平面図。
図11図10のC-C断面図。
図12】変更例1の中型収納容器の平面図。
図13図12のD-D断面図。
図14】変更例2の中型収納容器の、上記D-Dに相当する位置での断面図。
図15】変更例3の中型収納容器の平面図。
図16図15のE-E断面図。
図17】変更例4の中型収納容器の平面図。
図18】変更例5の中型収納容器の平面図。
図19】変更例6の中型収納容器の平面図。
図20図19のF-F断面図。
図21】変更例7の中型収納容器の平面図。
図22図21のG-G断面図。氷掬い具は図示省略してある。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲はこれに限定されない。以下の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。以下の実施形態やその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0009】
以下の説明において、冷蔵庫の利用者(以下単に「利用者」と言う)が立つ方を前、その反対を後ろとする。また左右とは、冷蔵庫の前に立った利用者から見た左右のことである。
【0010】
まず、図1に実施形態の冷蔵庫10を示す。冷蔵庫10の筐体12は、冷蔵庫10の外郭を形成する外箱と、貯蔵室が形成された内箱とが組み合わされ、外箱と内箱との間に断熱材が充填されて構成されている。
【0011】
筐体12は上下仕切壁14によって上下に仕切られている。上下仕切壁14の上部は冷蔵温度(収納物を冷蔵保存するための温度で、例えば1~4℃)に維持される冷蔵空間である。また上下仕切壁14の下部は冷凍温度(収納物を冷凍保存するための温度で、例えば-22~-18℃)に維持される冷凍空間である。冷蔵空間及び冷凍空間はそれぞれ食品や飲料等の収納物を収納する空間である。
【0012】
冷蔵空間には上から順に貯蔵室としての冷蔵室20及び野菜室22が設けられている。冷蔵室20と野菜室22とは仕切壁15によって仕切られている。冷蔵室20には複数の載置棚16が設けられている。冷蔵室20における一番下の載置棚16の下には、給水タンク40とチルド室(不図示)とが左右に並べて設けられている。給水タンク40が左側、チルド室が右側である。冷蔵室20は片開きの冷蔵室扉21で開閉される。
【0013】
給水タンク40は、製氷用水が貯水される貯水部であり、使用者が出し入れすることができる。給水タンク40には給水ポンプ41が設けられている。給水ポンプ41の吐出口は、冷凍空間へ向かうホース42に連結されている。給水ポンプ41が稼働すると、給水タンク40内の水がホース42を通って冷凍空間へ送られる。
【0014】
また、野菜室22には引き出し式の収納容器13が収納されている。野菜室22は引き出し式の野菜室扉23で開閉される。野菜室扉23の庫内側の面に収納容器13が固定されており、野菜室扉23と収納容器13とが一体となって前後方向に移動可能となっている。
【0015】
冷凍空間の貯蔵室として冷凍室28が設けられている。冷凍室28は引き出し式の冷凍室扉29で開閉される。冷凍室28には、下から順に、大型収納容器24、小型収納容器25及び中型収納容器26が収納されている。大型収納容器24、小型収納容器25及び中型収納容器26は、それぞれ、前方に引き出すことが可能な引き出し式の容器である。
【0016】
図2及び図3に示すように、一番上の中型収納容器26は、上方に開口した箱形の容器である。中型収納容器26の内部には、容器底面から立ち上がり前後方向に延びた仕切壁51が設けられている。この仕切壁51によって、中型収納容器26が左右に区画されている。中型収納容器26のうち仕切壁51及び仕切壁51より左側の部分は、氷が貯蔵される貯氷部50となっている。また、仕切壁51より右側の部分は、冷凍食品等の凍結物が収納される凍結物貯蔵部27となっている。つまり、左側の貯氷部50と右側の凍結物貯蔵部27とが一体となって中型収納容器26となっている。
【0017】
大型収納容器24は、冷凍室扉29の庫内側の面に固定されており、冷凍室扉29と一体となって前後方向へ移動可能となっている。小型収納容器25は、大型収納容器24の大型収納容器24の左右の側壁の上に載っており、それら側壁の上端部に対して摺動することにより前後方向へ移動可能となっている。また、冷凍室28の左右の側壁の上部には前後方向に延びるレール19が設けられている。中型収納容器26はそのレール19に沿って前後方向へ移動可能となっている。
【0018】
冷凍室28における貯氷部50の上の場所には、製氷容器43が設けられている。製氷容器43には複数の略直方体の小区画が形成されており、それぞれの小区画で氷が形成される。冷凍室28の天井には製氷駆動装置44が固定されており、製氷駆動装置44が製氷容器43の一端部を保持している。製氷駆動装置44は製氷容器43を反転させるためのモータを含む装置である。製氷駆動装置44のモータが回転すると、製氷容器43が反転する。
【0019】
製氷は次のように行われる。まず、温度センサ等により、製氷容器43が空で、かつ貯氷部50が満氷でないことが確認されると、上記の給水ポンプ41が稼働する。給水ポンプ41の稼働により、給水タンク40の水がホース42を通って製氷容器43に注がれる。製氷容器43が満水になると、給水ポンプ41が停止し、給水タンク40から製氷容器43への注水が停止する。
【0020】
製氷容器43に水が注がれてから所定時間経過すると、製氷容器43で氷が完成する。製氷容器43で氷が完成したことが温度センサ(不図示)により検知されると、製氷駆動装置44のモータが回転し、製氷容器43が反転して、製氷容器43から貯氷部50へ氷が落下する。以上の動作が、貯氷部50が満氷になるまで繰り返される。
【0021】
冷凍空間の後ろには、冷却器30と、冷却器30の近くに配置された送風装置31とが設けられている。送風装置31のある空間からは、冷蔵空間への冷気の流路32と、冷凍空間への冷気の流路34とが延びている。
【0022】
冷蔵空間への冷気の流路32は、ダクトと呼ばれ、冷蔵空間の後ろで上下方向に延びている。この流路32と冷蔵空間とを隔てる壁には、冷蔵空間への冷気の吹出口33が形成されている。また、送風装置31のある空間と流路32との境界には、送風装置31から流路32への冷気の流路を開閉する第1ダンパ35が設けられている。
【0023】
また、冷凍空間への冷気の流路34の端部には、冷凍空間への冷気の吹出口37が形成されている。また、送風装置31のある空間と流路34との境界には、送風装置31から流路34への冷気の流路を開閉する第2ダンパ36が設けられている。
【0024】
第1ダンパ35及び第2ダンパ36は交互に開くよう制御される。送風装置31が稼動するとともに第1ダンパ35が開くと、冷却器30で発生した冷気が流路32を通過して、吹出口33から冷蔵空間へ吹き出す。冷蔵空間へ吹き出した冷気が冷蔵空間内を循環することにより、冷蔵空間が冷却される。
【0025】
また、送風装置31が稼動するとともに第2ダンパ36が開くと、冷却器30で発生した冷気が流路34を通過して、吹出口37から冷凍空間へ吹き出す。冷凍空間へ吹き出した冷気が冷凍空間内を循環することにより、冷凍空間が冷却される。このようにして冷蔵空間と冷凍空間が交互に冷却される。
【0026】
冷蔵庫10の筐体12の後方下部には機械室17が設けられている。機械室17には、冷却器30へ流れる冷媒を圧縮する圧縮機18や、圧縮機18等とともに冷凍サイクルを構成する不図示の凝縮器等が配置されている。
【0027】
次に、上記の貯氷部50について詳細に説明する。
【0028】
貯氷部50は平面視で(つまり上から見て)長方形である。貯氷部50は、底板52(図4及び図5参照)と、底板52の左辺部から立ち上がった左側壁53(図2及び図3参照)と、底板52の右辺部から立ち上がった右側壁51と、底板52の前辺部から立ち上がった前側壁55と、底板52の後辺部から立ち上がった後側壁56とを有する、上方に開口した箱形の部分である。右側壁51は、中型収納容器26の内部を左右に区画する上記の仕切壁51でもある。
【0029】
左側壁53には、満氷時の目印54が、凹状又は凸状で水平に延びる線として形成されている。氷がこの目印54の高さまで貯まると、そのことが満氷センサ45(図1参照)によって検知され、製氷容器43での製氷がそれ以上行われなくなる。
【0030】
貯氷部50の前方(すなわち中型収納容器26の引き出し方向)かつ左側の場所には、貯氷部50の底面59(すなわち底板52の上面、図4及び図5参照)から立ち上がった第1区画壁57及び第2区画壁58が設けられている。なお、貯氷部50の底面59は水平面である。
【0031】
第1区画壁57は貯氷部50の前側壁55に平行である。第1区画壁57の左端部は貯氷部50の左側壁53に連結されている。また、第2区画壁58は貯氷部50の左側壁53に平行である。第2区画壁58の前端部は貯氷部50の前側壁55に連結されている。そして、第1区画壁57の右端部と第2区画壁58の後端部とが連結されている。このような第1区画壁57及び第2区画壁58によって、貯氷部50の前方左側の部分が区画されている。第1区画壁57及び第2区画壁58を含む部分は、後述する氷掬い具70が配置される配置部61である。
【0032】
第1区画壁57の高さは、貯氷部50の満氷時の目印54と同じ高さである。また、第2区画壁58は、第1区画壁57と同じ高さの高部62と、第1区画壁57よりも低い低部63とからなる。低部63は高部62よりも前にあり、貯氷部50の前側壁55に連結されている。この低部63の上は、第2区画壁58に形成された切り欠き部60である。
【0033】
ここで、図6図9に基づき、氷掬い具70について説明する。氷掬い具70は、氷を掬う掬い部71と、掬い部71から延長された柄72とを有している。掬い部71の形状は、表側から見て凹部となった形状である。この凹部に氷が取り込まれる。凹部の深さは、掬い部71の先端73側ほど浅くなっている。掬い部71は裏側へ膨出している。
【0034】
柄72は、掬い部71における先端73とは反対側の端部(この端部を掬い部71の基部74とする)に設けられている。ここで、先端73と柄72とを結ぶ方向を長手方向とする。また、表裏方向及び長手方向に直交する方向を、幅方向とする。柄72は氷掬い具70の長手方向に延びている。
【0035】
図9に示すように、柄72の表裏方向の厚みt1は、掬い部71の表裏方向の長さt2よりも薄い。そして、柄72は、掬い部71の基部74のうち表側の部分に設けられている。そのため、掬い部71は柄72よりも裏側へ膨出している。一方、氷掬い具70の表側においては、掬い部71と柄72とが同一面上にある。
【0036】
また、図8に示すように、柄72の幅方向の長さw1は、掬い部71の基部74の幅方向の長さw2よりも短い。そして、柄72は、掬い部71の幅方向の中央に設けられている。そのため、掬い部71と柄72との境界には、幅方向に段差76が出来ている。
【0037】
このような氷掬い具70が配置部61に配置されたときの、氷掬い具70の姿勢について説明する。氷掬い具70は、図10に示すように表側が前方、裏側が後方を向き、図11に示すように長手方向が左右方向に対して若干傾斜した向きで、配置部61に配置される。氷掬い具70が配置部61に配置されたとき、柄72の根元75に近い部分(掬い部71に近い部分)が、第2区画壁58の切り欠き部60に入り、第2区画壁58の低部63の上端部に載る。そして柄72の根元75から遠い部分(柄72の先端77に近い部分)ほど、貯氷部50の底面59に対して高くなるように、柄72の全体が底面59に対して傾斜している。またこのとき、掬い部71が、第1区画壁57及び第2区画壁58によって区画された部分(貯氷部50の前方左側の部分)に収容される。
【0038】
このような姿勢の氷掬い具70との関係から、第2区画壁58の低部63は、氷掬い具70の柄72を支持する支持部であると言える。ここで、「氷掬い具70の柄72を支持する」とは、氷掬い具70の荷重を受ける形で柄72に接触することである。また、上記の貯氷部50の前方左側の部分、厳密には、貯氷部50の左側壁53の前側部分、前側壁55の左側部分、第1区画壁57及び第2区画壁58によって区画された部分(各壁の内側の空間)は、氷掬い具70の掬い部71の収容部64であると言える。そして、この収容部64及び支持部63を含む部分が、氷掬い具70の配置部61である。
【0039】
さらに、氷掬い具70が配置部61に配置されたとき、図11に示すように、掬い部71の先端73側の角部が貯氷部50の底面59(すなわち底板52の上面)に当たり、柄72が支持部63に支持されて貯氷部50の底面59に対して傾斜し、掬い部71の基部74側の角部が貯氷部50の底面59から浮く。配置部61に配置されたときの氷掬い具70の以上の姿勢を「正規の配置姿勢」とする。
【0040】
このような正規の配置姿勢の実現のために、貯氷部50の底面59からの支持部63の高さL1(図11参照)が、氷掬い具70における掬い部71と柄72との境界に形成された幅方向の段差76の長さw3(図8参照)よりも、長い。ただし、正規の配置姿勢のときの氷掬い具70の上端部(例えば柄72の先端77)は、貯氷部50の左側壁53、右側壁51、前側壁55及び後側壁56の最も高い部分よりも低い。このような正規の配置姿勢の実現のために、支持部63は低過ぎず高過ぎないことが好ましい。
【0041】
収容部64の広さは、氷掬い具70の掬い部71が収容可能で、かつ、氷掬い具70の全体が収容部64に収容されてしまうことなく、掬い部71の全体が収容されたときに柄72が第2区画壁58の切り欠き部60から収容部64の外へ出る広さである。氷掬い具70が正規の配置姿勢で配置され掬い部71が収容部64に収容された状態を上から見ると、柄72の延長方向に(つまり左右方向に)、収容部64の長さL2(図10参照)が、掬い部71の長さL3(図11参照)よりも長く、氷掬い具70全体の長さL4(図11参照)よりも短い。そのため、掬い部71の全体は収容部64に収容されるが、氷掬い具70全体が収容部64に収容されることにはならない。
【0042】
さらに、収容部64の前後方向の長さL5(図10参照)は、氷掬い具70の掬い部71の表裏方向の長さt2(図9参照)より長く、掬い部71の幅方向の長さw2(図8参照)より短い。そのため、氷掬い具70を、表裏方向が上下方向になる向きで配置することはできない。
【0043】
なお、ここでの収容部64の広さや長さは、収容部64の内面で計測したときの広さや長さである。
【0044】
また、切り欠き部60の前後方向の長さL6(図5参照)は、氷掬い具70の柄72の表裏方向の長さt1(図9参照)よりも長く、氷掬い具70の掬い部71の表裏方向の長さt2(図9参照)より短い長さである。切り欠き部60の前後方向の長さL6がこの長さであることにより、正規の配置姿勢の氷掬い具70の柄72が切り欠き部60に入って支持部63に載ることができ、また、掬い部71が切り欠き部60を通過して収容部64の外へ出てしまうことがない。
【0045】
以上のような貯氷部50に、製氷容器43で完成した氷が落下することとなる。製氷容器43から落下した氷は貯氷部50の中央付近に落下するが、貯氷部50の氷の量が多くなってくると、正規の配置姿勢の氷掬い具70の柄72の下にも氷が移動してくる。しかし、第1区画壁57及び第2区画壁58によって区画された収容部64には氷が入らない。
【0046】
利用者が貯氷部50に溜まった氷を利用するとき、まず、配置部61に正規の配置姿勢で配置されている氷掬い具70を片手(多くの場合右手)で掴み取る。正規の配置姿勢では、氷掬い具70の柄72が支持部63に支持され、柄72の大部分が収容部64の外へ出ている。そして、先端77に近い部分ほど貯氷部50の底面59から高くなるように柄72の全体が貯氷部50の底面59に対して傾斜している。利用者は、このように傾斜している柄72を掴み、氷掬い具70を持ち上げる。次に、利用者は、氷掬い具70の掬い部71で貯氷部50に溜まっている氷を掬い取り、コップに入れる等して利用する。
【0047】
以上のように、本実施形態では、配置部61に、貯氷部50の底面59より高い位置で氷掬い具70の柄72を支持する支持部63が設けられている。そのため、氷掬い具70の柄72が貯氷部50の底面59から離れた場所で保持されることとなり、利用者にとって柄72が掴みやすく、氷掬い具70が取り出しやすい。また、氷掬い具70の柄72が貯氷部50の底面59から遠く離れているため、柄72の下に氷が溜まったとしても柄72に氷が当たりにくく、氷の衛生状態が維持される。
【0048】
また、本実施形態では、氷掬い具70の柄72を支持する支持部63の高さが、柄72が支持部63に支持され掬い部71が貯氷部50の底面59に接した姿勢のときに、柄72の延長方向が貯氷部50の底面59に対して傾斜する高さである。しかも、柄72の全体が、先端77に近い部分ほど貯氷部50の底面59から高くなるように貯氷部50の底面59に対して傾斜する。柄72がこのように傾斜するため、利用者にとって柄72が掴みやすい。
【0049】
また、本実施形態では、柄72が支持部63に支持され掬い部71が貯氷部50の底面59に接した姿勢のときの氷掬い具70の上端部(例えば柄72の先端77)が、貯氷部50の左側壁53、右側壁51、前側壁55及び後側壁56の最も高い部分よりも低い。そのため、氷掬い具70が、貯氷部50を備える中型収納容器26の前後方向への移動の邪魔になりにくい。特に、氷掬い具70の上端部が前側壁55よりも低いことにより、利用者が中型収納容器26を前後に移動させたときに、氷掬い具70が邪魔にならない。
【0050】
また、本実施形態では、貯氷部50の内部で底面59から第1区画壁57及び第2区画壁58が立ち上がり、第1区画壁57及び第2区画壁58によって、氷掬い具70の掬い部71の収容部64が区画形成されている。そのため、掬い部71が氷に埋まることなく保護される。
【0051】
ここで、掬い部71が収容部64に収容された状態を上から見ると、柄72の延長方向に(つまり左右方向に)、収容部64の長さL2が、掬い部71の長さL3よりも長く、氷掬い具70全体の長さL4よりも短い(図10及び図11参照)。そのため、掬い部71の全体が収容部64に収容されるが、柄72は収容部64の外に出ることができる。そして、柄72が収容部64の外に出るため、利用者が柄72を掴みやすい。
【0052】
また、このように、収容部64が氷掬い具70の全体が収容されるような広いものではないため、貯氷部50における氷が貯蔵される空間が広く確保される。上記のように収容部64の外に出た柄72の下の空間にも氷が貯蔵されるので、空間に無駄がない。
【0053】
また、氷掬い具70の柄72を支持する支持部63が第2区画壁58の切り欠き部60によって形成されているので、第2区画壁58とは別に支持部を設ける必要がない。
【0054】
また、切り欠き部60が第2区画壁58の前部に形成されているため、氷掬い具70の向きが、表側が前方、裏側が後方となる向きに規制され、その反対向きには配置されない。表側が前方を向くように氷掬い具70が配置されていると、利用者が氷掬い具70を使用しやすい。
【0055】
また、氷掬い具70の柄72を支持する支持部63が中型収納容器26における引き出し方向前側の場所に設けられているので、利用者が中型収納容器26を引き出したときに利用者に近い場所に氷掬い具70が現れることになる。そのため利用者が氷掬い具70を取り出しやすい。
【0056】
また、第1区画壁57の全体及び第2区画壁58の一部の高さが、貯氷部50の左側壁53に設けられた満氷時の目印54と同じ高さのため、貯氷部50に貯まった氷が最大量となっても、氷が収容部64に入りにくい。
【0057】
次に、以上の実施形態の変更例について説明する。
【0058】
<変更例1>
図12及び図13で示す変更例では、支持部63より右側の場所、言い換えれば支持部63を挟んで収容部64とは反対側の場所において、貯氷部50の底面が前方に向かって高くなるように傾斜した傾斜面101となっている。
【0059】
傾斜面101の前端部は貯氷部50の前側壁55の後面に連結され、傾斜面101の後端部は貯氷部50の底面59に連結され、傾斜面101の左端部は第2区画壁58の右面に連結されている、また、傾斜面101の右端部は貯氷部50の右側壁51に連結されている。
【0060】
このような構造のため、氷掬い具70が正規の配置姿勢で配置部61に配置されると、氷掬い具70の柄72の下の場所が傾斜面101となる。
【0061】
貯氷部50に氷が多くなってくると、氷掬い具70の柄72の近くまで氷が迫ってくる。しかし、柄72の下の場所が傾斜面101であり、氷が傾斜面101を登ることができない。そのため、利用者が触った柄72に氷が接触することがなく、衛生的である。
【0062】
<変更例2>
図14で示す変更例では、変更例1の傾斜面101に相当する部分が、貯氷部50の底面59に対して一段高く、底面59に対して平行な平面102となっている。この変更例でも、貯氷部50の底面59より高い平面102に氷が載ることができないため、利用者が触った柄72に氷が接触することがなく、衛生的である。
【0063】
<変更例3>
図15及び図16に示す変更例の配置部には、上記実施形態と同様に、貯氷部50の前方左側の部分を区画する第1区画壁157及び第2区画壁158が設けられている。上記実施形態と同様に、左右方向に延びる第1区画壁157は一定の高さを有している。また、前後方向に延びる第2区画壁158は、第1区画壁157と同じ高さの高部162と、高部162より低い低部163とからなる。この低部163は氷掬い具70の柄72を支持する支持部163となる。貯氷部50の前方左側の、第1区画壁157及び第2区画壁158によって区画された部分が、氷掬い具70の掬い部71の収容部164である。
【0064】
この変更例では、上記実施形態と異なり、収容部164の前後方向の長さが、氷掬い具70の幅方向の長さw2より長い。また、第2区画壁158の低部163が、第2区画壁158の前後方向の中央部に形成されている。
【0065】
このような長さ関係及び低部163の位置のため、この配置部には、氷掬い具70が、表裏方向が上下方向となり、掬い部71が収容部164に収容され、柄72が支持部163に支持された姿勢で、配置可能である。
【0066】
<変更例4>
図17に示す変更例の配置部には、上記実施形態における第1区画壁57に相当する壁が存在しない。しかし、上記実施形態のものと同じ第2区画壁58が存在する。さらに、この配置部には、第2区画壁58の後端部から右側に向かって延びる別の区画壁110と、その区画壁110の右端部と前側壁55とを連結するさらに別の区画壁111とが設けられている。
【0067】
この配置部に、上記実施形態と同様に掬い部71が左、柄72が右になる向きで氷掬い具70が配置されると、区画壁58、110、111で区画された部分に柄72が収容されることとなる。従って、区画壁58、110、111及び前側壁55で囲まれた部分は、氷掬い具70の柄72の収容部である。なお、氷掬い具70の柄72は、上記実施形態と同様に第2区画壁58の支持部63に支持される。
【0068】
このように収容部に柄72が収容されるので、利用者が触った柄72に氷が接触することがなく、衛生的である。
【0069】
<変更例5>
図18に示す変更例の配置部には、上記実施形態における第1区画壁57に相当する壁が存在しない。しかし、上記実施形態のものと同じ第2区画壁58が、単独で存在する。そして上記実施形態と同様に、第2区画壁58に切り欠き部が形成され、切り欠き部によって高さが低くなった壁部が、氷掬い具70の柄72を支持する支持部63となっている。
【0070】
この変更例によれば、壁(第2区画壁58)が1枚だけの単純な構造で氷掬い具70の柄72を支持できる。また、氷掬い具70の掬い部71が壁で囲われておらず掬い部71の周囲にも氷が貯蔵できるため、氷が貯蔵される空間が広く確保できる。
【0071】
<変更例6>
図19及び図20に示す変更例では、変更例5と同様に、上記実施形態における第1区画壁57に相当する壁が存在せず、上記実施形態のものと同じ第2区画壁58が存在する。それに加えて、上記実施形態の収容部64に相当する部分に、前後方向に延びる板状のリブ105が複数本設けられている。隣り合うリブ105の間隔は、氷が侵入可能な間隔であり、例えば30mm以上である。このような配置部では、氷掬い具70の掬い部71がリブ105に載り、柄72が支持部63に支持される。
【0072】
上記のように隣り合うリブ105の間に氷が侵入可能なので、配置部に氷掬い具70が配置されていても氷掬い具70の下に氷が入り込むことができる。そのため、貯氷部50に多くの氷が貯蔵可能である。
【0073】
<変更例7>
図21及び図22に示すように、上記実施形態における第2区画壁58を変更して、第1区画壁57と同じ高さの高部62が前方、第1区画壁57よりも低い低部63が後方となり、切り欠き部60が第2区画壁58の後部に形成されている形態としても良い。
【0074】
この変更例の配置部に氷掬い具70が配置されると、氷掬い具70の表が後方、裏が前方を向く。
【0075】
<変更例8>
図示省略するが、氷掬い具70の配置部は、氷掬い具70の長手方向が前後方向になるように配置できるものであっても良い。
【0076】
また、氷掬い具70の配置部の場所は、貯氷部50のいずれの場所であっても良い。ただし、氷掬い具70の柄72を支持する支持部が、貯氷部50の前後方向の中心よりも前側にあれば、利用者が氷掬い具70を取り出しやすく好ましい。
【0077】
<変更例9>
前方に引き出し可能な引き出し式容器の全体が貯氷部であっても良い。
【0078】
<変更例10>
冷蔵庫には、冷凍温度に冷却され独立した扉で開閉される貯蔵室として、冷凍室とは別に製氷室が設けられていても良い。この場合、冷凍室と製氷室はそれぞれ独立した扉で開閉される。そして、製氷室に、貯氷部からなる引き出し式容器、製氷駆動装置44及び製氷容器43が設けられている。
【0079】
<変更例11>
第1区画壁57及び第2区画壁58の少なくとも一部の高さが、目印54の高さと同じ、又は、目印54の高さより高ければ、上記実施形態と同様に氷が収容部64に入りにくいという効果が生じる。
【符号の説明】
【0080】
10…冷蔵庫、12…筐体、13…収納容器、14…上下仕切壁、15…仕切壁、16…載置棚、17…機械室、18…圧縮機、19…レール、20…冷蔵室、21…冷蔵室扉、22…野菜室、23…野菜室扉、24…大型収納容器、25…小型収納容器、26…中型収納容器、27…凍結物貯蔵部、28…冷凍室、29…冷凍室扉、30…冷却器、31…送風装置、32…流路、33…吹出口、34…流路、35…第1ダンパ、36…第2ダンパ、37…吹出口、40…給水タンク、41…給水ポンプ、42…ホース、43…製氷容器、44…製氷駆動装置、45…満氷センサ、50…貯氷部、51…右側壁(仕切壁)、52…底板、53…左側壁、54…目印、55…前側壁、56…後側壁、57…第1区画壁、58…第2区画壁、59…底面、60…切り欠き部、61…配置部、62…高部、63…支持部(低部)、64…収容部、70…氷掬い具、71…掬い部、72…柄、73…先端、74…基部、75…根元、76…段差、77…先端、101…傾斜面、102…平面、110…区画壁、111…区画壁、157…第1区画壁、158…第2区画壁、162…高部、163…支持部(底部)、164…収容部
図1
図2
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