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  • 特許-床下点検口 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】床下点検口
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
E04F19/08 101B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020090987
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021188264
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 株式会社ダイケン 「DAIKEN 点検口・フロア換気口 カタログ vol.9」 令和2年3月5日発行
(73)【特許権者】
【識別番号】000133319
【氏名又は名称】株式会社ダイケン
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 勝雄
(72)【発明者】
【氏名】松浦 俊介
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-181276(JP,A)
【文献】特開2010-116738(JP,A)
【文献】特開2019-119985(JP,A)
【文献】特開2018-119349(JP,A)
【文献】米国特許第06840555(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床の開口部に嵌め込まれて根太に固定される平面形状が矩形の外枠と、
前記外枠の内部に嵌め込まれる蓋体と、
前記外枠を前記根太に固定する外枠固定部材と、
を備えた床下点検口であって、
前記外枠を構成する枠材同士を直角に枠組して形成される前記外枠の角部に、前記枠材同士の突き合わせ部分を覆うコーナー部材を備え、
前記コーナー部材は、前記突き合わせ部分を形成する枠材の一端部と、前記枠材の一端部に隣接して前記突き合わせ部分を形成する枠材の他端部と、の間で挟持されて前記外枠の角部に配置され、
前記外枠固定部材は、
前記根太に固定される固定部と、
前記固定部に形成されて、前記コーナー部材に係合する係合部と、
から構成され、
前記固定部は、前記係合部が前記コーナー部材に係合することで、前記外枠の下面に当接するとともに、前記根太の固定面に当接すること
を特徴とする床下点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造建造物の床に設けられる床下点検口に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の床下点検口としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の床下点検口は、床の開口部に嵌め込まれて根太に固定される外枠と、外枠の内部に嵌め込まれる蓋体と、外枠を根太に固定する外枠固定部材と、備えるものである。外枠固定部材は、外枠に係合する係合部と、根太に固定される固定部と、を備え、固定部を根太の固定面に当接させた状態でビス止めすることで、外枠を根太に固定する。外枠固定部材は、外枠に対して回動することで、係合部の係合片が外枠に係止されるとともに、固定部が根太の固定面と対向して根太に固定可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5863500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の床下点検口では、外枠固定部材を根太に固定する際に、外枠固定部材を外枠に対し回動させて外枠に係合させる必要があるため、外枠への外枠固定部材の取り付けが煩雑であるという問題がある。
また、外枠固定部材の回動の際に外枠固定部材の係合部の係合片が外枠に接触することなく、外枠固定部材を外枠に係止させるために、係合部の係合片を面取りするとともに、係合部の係合片を挿通させるための孔部を外枠に設ける必要がある。そのため、床下点検口(外枠及び外枠固定部材)の構成が複雑であるとともに、外枠及び外枠固定部材の作成に多くの工数を要するという問題がある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、外枠及び外枠固定部材を簡素化でき、外枠への外枠固定部材の取り付けを容易に行うことが可能な床下点検口を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、床の開口部に嵌め込まれて根太に固定される平面形状が矩形の外枠と、前記外枠の内部に嵌め込まれる蓋体と、前記外枠を前記根太に固定する外枠固定部材と、を備えた床下点検口であって、前記外枠を構成する枠材同士を直角に枠組して形成される前記外枠の角部に、前記枠材同士の突き合わせ部分を覆うコーナー部材を備え、前記コーナー部材は、前記突き合わせ部分を形成する枠材の一端部と、前記枠材の一端部に隣接して前記突き合わせ部分を形成する枠材の他端部と、の間で挟持されて前記外枠の角部に配置され、前記外枠固定部材は、前記根太に固定される固定部と、前記固定部に形成されて、前記コーナー部材に係合する係合部と、から構成され、前記固定部は、前記係合部が前記コーナー部材に係合することで、前記外枠の下面に当接するとともに、前記根太の固定面に当接するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の床下点検口によれば、外枠固定部材を外枠に対して回動させることなく、外枠固定部材の係合部をコーナー部材に係合させることで外枠固定部材を外枠に取り付け可能となるため、外枠を構成する枠材同士の突き合わせ部分をコーナー部材によって保護しつつ外枠への外枠固定部材の取り付けを容易に行うことができる。また、外枠固定部材の係合部を面取りすること及び外枠に孔部を設けることが不要となるため、床下点検口(外枠及び外枠固定部材)の構成が簡素化でき、外枠及び外枠固定部材の作成を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施の形態に係る床下点検口の平面図である。
図2】同床下点検口の底面図である。
図3】同床下点検口における外枠の角部の拡大斜視図である。
図4】(a)は、同床下点検口におけるコーナー部材及び外枠固定部材の前方斜視図であり、(b)は、同床下点検口における外枠固定部材の背面図である。
図5】同床下点検口における外枠固定部材の根太への固定状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、本発明に係る床下点検口10について説明する。
【0010】
図1から図3に示すように、床下点検口10は、木造建造物の床90に形成された開口部91に取り付けられて、床下の点検に用いられるものである。床下点検口10は、床90の開口部91の開口周縁に設けられる平面形状が矩形の外枠11と、外枠11の内部に嵌め込まれる平面形状が矩形の蓋体20と、を備える。
【0011】
外枠11は、開口部91に嵌め込まれ、後述する外枠固定部材40によって根太92に固定される。外枠11は、アルミ押し出し成型された外枠材12(「枠材」の一例)を組み立てて平面形状が矩形の額縁状に形成される。外枠11は、隣接する外枠材12同士を直角に枠組して構成され、同一断面の4本の外枠材12を四辺に配置し、外枠材12の一端部12aと、その隣接する外枠材12の他端部12bと、を接合することによって矩形に形成される。
【0012】
図3に示すように、外枠材12は、開口部91の内周面に沿う立ち上がり壁13を備える。立ち上がり壁13の上端には、鍔部14が連設されている。鍔部14は、開口部91外方に向かって水平に設けられ、開口部91の開口周縁の床90上面に当接する。立ち上がり壁13の下端には、蓋体受け部15が連設されている。蓋体受け部15は、開口部91の内方に向かって水平に設けられ、蓋体20を支持する。蓋体受け部15(立ち上がり壁13の下端)には、外枠11と蓋体20との気密性を向上させるための気密材(図示せず)を配置するための溝16が設けられる。
【0013】
図1に示すように、蓋体20は、蓋板21と、内枠22と、を備えている。蓋板21は、床90と同一の材料を用いて平面形状が矩形の平板状に形成される。内枠22は、蓋板21の外周を覆うように蓋板21にビス止めされる。内枠22は、アルミ押し出し成型された内枠材23を組み立てて平面形状が矩形の額縁状に形成される。内枠22は、隣接する内枠材23同士を直角に枠組して構成され、同一断面の4本の内枠材23を四辺に配置し、内枠材23の一端部23aと、その隣接する内枠材23の他端部23bと、を接合することによって矩形に形成される。
【0014】
図3に示すように、外枠材12の一端部12a及び他端部12bは、外枠材12の一端部12aと、その外枠材12に隣接する外枠材12の他端部12bと、を突き合わせた際に突き合わせた外枠材12同士が直角となるように、45度の角度で切断されている。外枠材12の一端部12aと、その外枠材12に隣接する外枠材12の他端部12bと、を突き合わせて直角に枠組することによって、外枠11の角部11aが形成される。外枠11の角部11aにはコーナー部材30が取り付けられている。
【0015】
コーナー部材30は、外枠11の角部11aにて、隣接する外枠材12同士を突き合わせた突き合わせ部分(外枠材12同士を接合させた部分)を覆う保護部材である。コーナー部材30は、外枠材12の一端部12aと、隣接する外枠材12の他端部12bと、を突き合わせる際に、外枠11の角部11aの中央部分に配置される。外枠11の角部11aにコーナー部材30を配置することで、外枠材12同士の突き合わせ部分が外部に露出することがなく、外枠材12同士の突き合わせ部分に手足が引っ掛かることを防止できる。
【0016】
図4(a)に示すように、コーナー部材30は、側面視略Z字状の樹脂製の部材によって形成される。コーナー部材30は、外枠材12同士の突き合わせ部分を覆う覆い部31と、覆い部31を支持する支持部32と、後述する外枠固定部材40と係合する係合部33と、から構成される。
【0017】
覆い部31は、支持部32の上端から水平に突出して形成される。覆い部31は、外枠材12同士が直角に枠組みされる際に、外枠材12の一端部12aと、その隣接する外枠材12の他端部12bと、の接合部分を上方から覆うように、外枠11の対角線Tに沿って配置される。覆い部31は、略矢形状に形成され、その一端部が鋭角状に形成され、その他端部が鋭角状に凹んだ凹状部分によって形成される。
【0018】
支持部32は、側面視L字状に形成される部分であり、外枠11の対角線T(図1参照)に沿って配置される。支持部32は、外枠材12同士が直角に枠組みされる際に、外枠材12の一端部12aと、その隣接する外枠材12の他端部12bと、の間で挟持される。具体的には、支持部32は、その上下方向に延設される部分が、隣接する外枠材12の立ち上がり壁13の間で挟持され、その水平方向に延設される部分が、隣接する外枠材12の蓋体受け部15の間で挟持される。また、支持部32の上下方向に延設される部分には、金属製の板状の連結金具95(図3参照)が嵌合される嵌合部35が形成されている。嵌合部35は、立ち上がり壁13の外側面に外枠材12の長手方向に沿って形成される側面視略C字形状の溝状の部分であり、鉛直方向に配置される連結金具95が嵌め込まれる。
【0019】
係合部33は、側面視横U字状に形成される部分であり、支持部32の下部に形成される。係合部33には、外枠固定部材40を嵌め込むための凹状部分36が形成されている。係合部33は、凹状部分36に外枠固定部材40が水平方向から嵌め込まれることで、外枠固定部材40を係止する。係合部33の凹状部分36は、支持部32と一体に成形される上面部36aと、上面部36aと平行に所定間隔で配置され中央で二股に分かれたフォーク形状の下面部36bと、上面部36a及び下面部36bとを上下方向に接続する接続部36cと、によって構成されている。
【0020】
外枠固定部材40は、外枠11を根太92に固定するための部材である。外枠固定部材40は、コーナー部材30の係合部33に係合することで、コーナー部材30に取り付けられる。また、コーナー部材30に取り付けられた外枠固定部材40が根太92にビス止めされることによって、外枠11が根太92に固定される。
【0021】
外枠固定部材40の本体部40A(「固定部」の一例)の上部中央には、コーナー部材30の係合部33に係合する溝部41(「係合部」の一例)が形成されている。溝部41は、係合部33の凹状部分36の上面部36aを嵌め込み可能な深さで凹状に形成されている。溝部41の底部分41aは、係合部33の凹状部分36(上面部36aと下面部36bとの間)に嵌め込み可能な厚さに形成されている。図4(b)に示すように、溝部41の下面と後述するネジ孔45との間には上下方向に延びる梁部42(「係合部」の一例)が形成されている。梁部42は、係合部33の凹状部分36の下面部36bに嵌め込み可能な厚さに形成されている。
【0022】
外枠固定部材40の本体部40Aの上面43は、外枠固定部材40をコーナー部材30に係合した際に、外枠11の下面(蓋体受け部15の下面)に当接する面である。図4(a)及び図4(b)に示すように、外枠固定部材40の本体部40Aの上面43は、外枠固定部材40をコーナー部材30に係合した際に、外枠11の下面(蓋体受け部15の下面)に対して傾きなく当接するように平坦状に成形されている。
【0023】
外枠固定部材40は、本体部40Aが根太92に固定される。外枠固定部材40の本体部40Aの中央部には、外枠固定部材40を根太92に固定するためのネジ孔45が設けられている。ネジ孔45は、外枠固定部材40の本体部40Aの上面43に対して下方に傾斜している。外枠固定部材40を根太92に固定する際には、本体部40Aの背面を根太92の固定面に当接させた状態でネジ孔45にビス96を挿入する。
【0024】
次に、床下点検口10の外枠11の組立方法について説明する。
【0025】
図1から図3に示すように、外枠11を構成する外枠材12の一端部12aにコーナー部材30を取り付ける。外枠材12の一端部12aにコーナー部材30を取り付けると、他の外枠材12の他端部12bをコーナー部材30に当接させる。これにより、2本の外枠材12が直角に突き合わされて枠組みされるとともに、コーナー部材30が2本の外枠材12によって挟持されて外枠11の角部11aの中央部分に配置される。そして、コーナー部材30が2本の外枠材12の接合部分を上方から覆う。このため、コーナー部材30によって、2本の外枠材12の接合部分が露出しない状態となる。
【0026】
コーナー部材30を2本の外枠材12によって挟持し、2本の外枠材12を突き合わされて枠組みすると、突き合わせた2本の外枠材12同士間に連結金具95を取り付け、取り付けた連結金具95をかしめることによって、2本の外枠材12を接合する。具体的には、突き合わせた2本の外枠材12の支持部32の嵌合部35に連結金具95を嵌合させ、嵌合させた連結金具95をかしめることによって2本の外枠材12を接合する。これにより、連結金具95が、2本の外枠材12を突き合わせて形成される外枠11の角部11aの外側面に沿ってコーナー部材30と2本の外枠材12とを覆うように取り付けられる。このように、突き合わせた2本の外枠材12同士間に取り付けられた連結金具95をかしめることによって、外枠材12同士を突き合わせて形成される外枠11の形状を安定させることができ、外枠11の対角を容易に出すことができる。このようなコーナー部材30に対する外枠材12の接合作業を4本の外枠材12について繰り返すことによって、平面形状が矩形の外枠11が形成される。
【0027】
次に、床90の開口部91への床下点検口10の取り付け手順について説明する。
【0028】
図3図4(a)及び図4(b)に示すように。矩形の外枠11には外枠固定部材40が係合される。外枠固定部材40は、外枠11の角部11aに配置されるコーナー部材30に係合される。具体的には、外枠固定部材40の溝部41及び梁部42が、コーナー部材30の係合部33の凹状部分36に係合される。外枠固定部材40の溝部41は、凹状部分36の上面部36aに嵌め込まれる。外枠固定部材40の梁部42は、凹状部分36の下面部36bに嵌め込まれる。
【0029】
図1から図3に示すように、外枠固定部材40がコーナー部材30に係合されることで、外枠固定部材40は、その上面43が外枠11の下面(外枠材12の蓋体受け部15の下面)に当接した状態で、外枠11に取り付けられる。4つの角部11aに外枠固定部材40が取り付けられた外枠11は、床90に形成された開口部91に嵌め込まれる。外枠11は、外枠材12の鍔部14が開口部91周縁の床90上面に当接するように嵌め込まれる。図3及び図5に示すように、外枠11が開口部91に嵌め込まれることで、外枠固定部材40の本体部40Aの背面が根太92の固定面と対向し、外枠固定部材40の本体部40Aが根太92に固定可能な状態となる。根太92の固定面に当接させた外枠固定部材40のネジ孔45にビス96を挿入して、外枠固定部材40の本体部40Aを根太92にビス止めする。図1及び図2に示すように、根太92に外枠固定部材40の本体部40Aをビス止めして外枠11を固定した後に、蓋板21が内枠22に支持された状態の蓋体20が外枠11の内側に嵌め込まれる。
【0030】
以上のように、床下点検口10においては、外枠固定部材40を外枠11に対して回動させることなく、外枠固定部材40の溝部41及び梁部42をコーナー部材30の係合部33の凹状部分36に係合させることで外枠固定部材40を外枠11に取り付け可能となるため、外枠11を構成する外枠材12同士の突き合わせ部分をコーナー部材30によって保護しつつ外枠11への外枠固定部材40の取り付けを容易に行うことができる。また、外枠固定部材40の溝部41及び梁部42を面取りすること及び外枠11に孔部を設けることが不要となるため、床下点検口10(外枠11及び外枠固定部材40)の構成が簡素化でき、外枠11及び外枠固定部材40の作成を容易に行うことができる。
【0031】
なお、本実施の形態においては、4つの角部11aに外枠固定部材40が取り付けられた外枠11を、床90の開口部91に嵌め込んでいるが、これに限定されるものではなく、床90の開口部91に嵌め込まれた外枠11の4つの角部11aに外枠固定部材40を取り付けても構わない。すなわち、外枠11への外枠固定部材40の取り付けは、外枠11を床90の開口部91に嵌め込む前でも嵌め込んだ後でも構わない。
【符号の説明】
【0032】
10 床下点検口
11 外枠
11a 外枠の角部
12 外枠材(枠材)
20 蓋体
30 コーナー部材
40 外枠固定部材
40A 本体部(固定部)
41 溝部(係合部)
42 梁部(係合部)
90 床
91 開口部
92 根太

図1
図2
図3
図4
図5