(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240801BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240801BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20240801BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652S
H01L29/78 653C
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652G
H01L29/78 652M
H01L29/78 658F
H01L29/78 652H
H01L29/44 Y
H01L29/44 L
H01L21/28 301A
(21)【出願番号】P 2020118213
(22)【出願日】2020-07-09
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】大谷 欣也
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-163107(JP,A)
【文献】特開2006-202931(JP,A)
【文献】特開2019-195013(JP,A)
【文献】特開2014-107417(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 29/41
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型のドリフト層、前記ドリフト層の表面に形成された第2導電型のベース領域、及び、前記ベース領域の表面に形成された第1導電型のソース領域を有する半導体基体と、
前記半導体基体の一方の表面側に形成されたソース電極と、
前記半導体基体の他方の表面側に形成されたドレイン電極と、
前記半導体基体の一方の表面に形成され、前記ドリフト層に隣接した底、及び、前記ドリフト層、前記ベース領域及び前記ソース領域に隣接した側壁を有する複数のトレンチと、
前記複数のトレンチの前記側壁のそれぞれに形成されたゲート絶縁膜を介して前記トレンチ内にそれぞれ配置され、側面が前記ベース領域と対向する複数の第1電極と、
前記第1電極のそれぞれの上方に前記第1電極と離隔した状態で形成された複数の第2電極と、
前記トレンチの前記底と前記第1電極との間に形成され、前記トレンチの底から前記第1電極を離隔させる第1絶縁領域と、
前記第2電極と前記第1電極との間に拡がり前記第1電極から前記第2電極を離隔させるとともに、前記第2電極と前記トレンチの前記側壁との間に拡がり前記トレンチの前記側壁から前記第2電極を離隔させる第2絶縁領域とを備え、
前記トレンチ、前記第1電極及び前記第2電極は、平面的に見てストライプ状に形成されており、
複数の前記第2電極のうちの少なくともいずれかは、前記ドレイン電極と接続され
、
前記第2電極は、前記トレンチ内に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2電極は、前記ソース領域及び前記ベース領域のうちの少なくともいずれかと前記第2絶縁領域を挟んで対向した位置に配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記トレンチの前記側壁と前記第2電極との間の前記第2絶縁領域の厚さは、前記ゲート絶縁膜の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項
1又は
2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2電極の少なくとも一部は、前記トレンチが形成されていない前記半導体基体の前記一方の表面の高さ位置よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記トレンチ内において、前記第1電極と前記トレンチの底との間に、前記トレンチの前記底、前記トレンチの前記側壁及び前記第1電極から離隔され、前記ソース電極又は前記第1電極と電気的に接続されたシールド電極をさらに備えることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基体は、前記ベース領域の底よりも深い領域に所定の間隔で形成された複数の第2導電型コラム領域をさらに有し、
隣り合う前記第2導電型コラム領域の間の前記ドリフト層が第1導電型コラム領域を構成し、
前記第1導電型コラム領域と前記第2導電型コラム領域とでスーパージャンクション構造が構成されていることを特徴とする請求項1~
5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2電極は、所定の濃度で不純物を含有するポリシリコンからなることを特徴とする請求項1~
6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2電極の下面の深さ位置は、前記ソース領域における前記トレンチとの接触面の最下部の深さ位置よりも浅いことを特徴とする請求項1~
7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれかに記載の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
第1導電型のドリフト層を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、
平面的に見てストライプ状となる複数のトレンチを形成するトレンチ形成工程と、
複数の前記トレンチのそれぞれの底及び側壁に第1絶縁膜を形成することによって、複数の前記トレンチのそれぞれの底に第1絶縁領域を形成するとともに、複数の前記トレンチのそれぞれの側壁にゲート絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成工程と、
前記トレンチ内に前記ゲート絶縁膜を介して第1電極を形成する第1電極形成工程と、
前記トレンチの側壁における前記第1絶縁膜の表面上、及び、前記第1電極の表面上に第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、
前記第1電極の上方に前記第1電極と離隔した状態となるように
前記トレンチ内に前記第2絶縁膜を介して
第2電極を形成する第2電極形成工程と、
前記半導体基体の一方の表面側にソース電極を形成する工程、及び、前記半導体基体の他方の表面側にドレイン電極を形成する工程を有するソース電極・ドレイン電極形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレンチゲート型の半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の半導体装置900は、
図22に示すように、n型のドリフト層912、ドリフト層912の表面に形成されたp型のベース領域913、及び、ベース領域913の表面に形成されたn型のソース領域914を有する半導体基体910と、半導体基体910の一方の表面側に形成されたソース電極920と、半導体基体910の他方の表面側に形成されたドレイン電極(図示せず。)と、半導体基体910の一方の表面に形成され、ドリフト層912に隣接した底942、及び、ドリフト層912、ベース領域913及びソース領域914に隣接した側壁944を有する複数のトレンチ940と、複数のトレンチ940の側壁944のそれぞれに形成されたゲート絶縁膜972を介してトレンチ940内に配置され、側面が前記ベース領域913と対向するゲート電極950とを備えるトレンチゲート型の半導体装置である。
【0004】
従来、このような半導体装置900を電力変換回路に組み込む際には、スイッチングノイズを吸収するために別途スナバ回路を取り付けることも知られている(従来の電力変換回路。例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2に記載の電力変換回路9においては、
図23に示すように、2つのスイッチング素子(半導体装置)が直列に接続されたハーフブリッジ回路が形成されており、抵抗及びコンデンサが直列に接続されたスナバ回路がそれぞれのスイッチング素子に並列に接続されていている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6429481号明細書
【文献】国際公開2018/012122号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、半導体装置を電力変換回路に組み込む際に別途スナバ回路を取り付ける場合には、スナバ回路を取り付けるための領域を確保する必要があり、電力変換回路を小型化することが難しく、ひいては電気機器を小型化することが難しい、という問題がある。
【0008】
そこで、スナバ回路を半導体装置に組み込んだスナバ回路内蔵の半導体装置とすることが考えられるが、この場合には、電気機器に応じてスナバ回路のスナバ容量を変更した半導体装置を設計・製造しなければならないため、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置とすることが難しい、という問題もある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、半導体装置が組み込まれた電力変換回路を小型化することができ、かつ、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体装置は、第1導電型のドリフト層、前記ドリフト層の表面に形成された第2導電型のベース領域、及び、前記ベース領域の表面に形成された第1導電型のソース領域を有する半導体基体と、前記半導体基体の一方の表面側に形成されたソース電極と、前記半導体基体の他方の表面側に形成されたドレイン電極と、前記半導体基体の一方の表面に形成され、前記ドリフト層に隣接した底、及び、前記ドリフト層、前記ベース領域及び前記ソース領域に隣接した側壁を有する複数のトレンチと、前記複数のトレンチの前記側壁のそれぞれに形成されたゲート絶縁膜を介して前記トレンチ内にそれぞれ配置され、側面が前記ベース領域と対向する複数の第1電極と、前記第1電極のそれぞれの上方に前記第1電極と離隔した状態で形成された複数の第2電極と、前記トレンチの前記底と前記第1電極との間に形成され、前記トレンチの底から前記第1電極を離隔させる第1絶縁領域と、前記第2電極と前記第1電極との間に拡がり前記第1電極から前記第2電極を離隔させるとともに、前記第2電極と前記トレンチの前記側壁との間に拡がり前記トレンチの前記側壁から前記第2電極を離隔させる第2絶縁領域とを備え、前記トレンチ、前記第1電極及び前記第2電極は、平面的に見てストライプ状に形成されており、複数の前記第2電極のうちの少なくともいずれかは、前記ドレイン電極と接続されることを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、本発明の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、第1導電型のドリフト層を有する半導体基体を準備する半導体基体準備工程と、平面的に見てストライプ状となる複数のトレンチを形成するトレンチ形成工程と、複数の前記トレンチのそれぞれの底及び側壁に第1絶縁膜を形成することによって、複数の前記トレンチのそれぞれの底に第1絶縁領域を形成するとともに、複数の前記トレンチのそれぞれの側壁にゲート絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成工程と、前記トレンチ内に前記ゲート絶縁膜を介して第1電極を形成する第1電極形成工程と、前記トレンチの側壁における前記第1絶縁膜の表面上、及び、前記第1電極の表面上に第2絶縁膜を形成する第2絶縁膜形成工程と、前記第1電極の上方に前記第1電極と離隔した状態となるように第2絶縁膜を介して形成された第2電極形成工程と、前記半導体基体の一方の表面側にソース電極を形成する工程、及び、前記半導体基体の他方の表面側にドレイン電極を形成する工程を有するソース電極・ドレイン電極形成工程とをこの順序で含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置及び半導体装置の製造方法によれば、第1電極の上方に第1電極と離隔した状態で形成された複数の第2電極を備え、複数の第2電極のうちの少なくともいずれかがドレイン電極と接続されるため、第2電極とソース領域との間の寄生容量をコンデンサ(の一部)とし、第2電極自身の内部抵抗を抵抗とするスナバ回路を形成することができる。従って、半導体装置を電力変換回路に組み込む際にスナバ回路を別途取り付けなくてもよくなる。その結果、スナバ回路を設置するための領域を確保しなくてもよく、電力変換回路を小型化することができる。
【0013】
また、本発明の半導体装置及び半導体装置の製造方法によれば、第2電極は、平面的に見てストライプ状に形成されており、複数の第2電極のうちの少なくともいずれかは、ドレイン電極と接続されるため、第2電極の長さや断面積、第2電極をドレイン電極と接続する本数を制限すること等により電気機器に応じたスナバ容量(スナバ回路の抵抗の抵抗値及びコンデンサの静電容量)を調整することができる。従って、電気機器に応じてスナバ回路のスナバ容量を変更した半導体装置を設計・製造し直さなくてもよく、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置となる。
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、トレンチ形成工程実施後に、他の絶縁膜を形成する前にゲート絶縁膜を形成する第1絶縁膜形成工程を含むため(
図4(c)参照)、他の絶縁膜を形成する前にトレンチの側壁に直接ゲート絶縁膜を形成することができる。従って、膜厚均一性を要求されるゲート絶縁膜を高い精度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1に係る半導体装置100を説明するために示す図である。
図1(a)は半導体装置100の平断面図であり、
図1(b)は
図1(a)のA-A断面図である。
【
図2】実施形態1に係る半導体装置100の周辺部を説明するために示す図である。
図2(a)は
図1(a)のB-B断面図であり、
図2(b)は
図1(a)のC-C断面図である。
【
図3】実施形態1に係る半導体装置100におけるスナバ回路を説明するために示す図である。
図3(a)は半導体装置100の寄生静電容量を示す図であり、
図3(b)は半導体装置100と静電容量の関係を示す図であり、
図3(c)は半導体装置及びスナバ回路の等価回路を示し、
図3(d)はスナバ電極1本あたりの抵抗及び静電容量C
DS1を表す式である。
【
図4】実施形態1に係る半導体装置100の製造方法を示す図である。
図4(a)~
図4(d)は各工程図である(
図5及び
図6において同じ)
【
図5】実施形態1に係る半導体装置100の製造方法を示す図である。
【
図6】実施形態1に係る半導体装置100の製造方法を示す図である。
【
図7】実施形態1に係る半導体装置100の製造方法を示す図である。
図7(a)~
図7(c)は各工程図である
【
図8】比較例に係る半導体装置800を示す図である。
【
図9】比較例に係る半導体装置800の製造方法を示す図である。
図9(a)~
図9(d)は各工程図である(
図10及び
図11において同じ)。なお、符号M1はマスクを示す。
【
図10】比較例に係る半導体装置800の製造方法を示す図である。
【
図11】比較例に係る半導体装置800の製造方法を示す図である。
【
図12】実施形態2に係る半導体装置101を説明するために示す図である。
【
図13】変形例1に係る半導体装置102を説明するために示す図である。
図13(a)は半導体装置102の平面図であり、
図13(b)は
図13(a)のD-D断面図を示す。
【
図14】変形例2に係る半導体装置102aを説明するために示す図である。
図14(a)は半導体装置102aの平面図であり、
図14(b)は
図14(a)のE-E断面図を示す。
【
図15】実施形態3に係る半導体装置103を説明するために示す図である。
【
図16】実施形態4に係る半導体装置104を説明するために示す図である。
【
図17】変形例3に係る半導体装置105を説明するために示す図である。なお、
図17において、ドレインフィンガーDF、ドレインパッドDP、ソース電極120の図示は省略している(
図18において同じ)。
【
図18】変形例4に係る半導体装置106を説明するために示す図である。
【
図19】変形例5に係る半導体装置107を説明するために示す図である。
【
図20】変形例6に係る半導体装置108を説明するために示す図である。
【
図21】変形例7に係る半導体装置109を説明するために示す図である。
図21(a)は半導体装置109の平面図を示し、
図21(b)は
図21(a)のF-F断面図を示す。
【
図22】特許文献1に記載の半導体装置900を説明するために示す図である。なお、符号911は低抵抗半導体層を示し、符号917はコンタクト領域を示し、符号976は層間絶縁膜を示す。
【
図23】特許文献2に記載の電力変換回路(ハーフブリッジ回路)9を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の半導体装置及び半導体装置の製造方法について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。各実施形態においては、基本的な構成、特徴、機能等が同じ構成、要素(形状等が完全に同一ではない構成要素を含む。)については、実施形態をまたいで同じ符号を使用するとともに再度の説明を省略することがある。
【0017】
[実施形態1]
1.実施形態1に係る半導体装置100の構成
実施形態1に係る半導体装置100は、
図1(a)に示すように、セル領域A1とセル領域を取り囲む領域に画定された周辺領域A2とを備えるトレンチゲート型の半導体装置(MOSFET)である。セル領域A1は、半導体基体110の一方面側にソース電極120が配置された領域である。周辺領域A2は、セル領域A1を取り囲む位置にドレインフィンガーDF、ドレインパッドDP、ゲートフィンガーGF及びゲートパッドGPが配置された領域である。実施形態1においては、半導体基体110は平面的に見て矩形形状をしており、矩形形状の1辺にゲートパッドGPが形成されている。また、ゲートパッドGPが形成されている辺と隣接した一方の辺から他方の辺(
図1(a)における上辺から下辺)に向かって延在する帯状のゲート電極150及びスナバ電極160がセル領域A1を縦断するようにストライプ状に形成されている。
【0018】
実施形態1に係る半導体装置100は、周辺領域A2において、ドレイン引き出し配線162(
図2参照)、ドレインパッドDP(
図1(a)参照)、ドレインフィンガーDF、ゲート引き出し配線152(
図2参照)、ゲートパッドGP(
図1(a)参照)及びゲートフィンガーGFを備える。なお、周辺領域A2の外縁部分においては、半導体基体110のベース領域113は形成されていない。また、本明細書では、ベース領域113が形成されている領域のn型層をドリフト層112とし、ベース領域113が形成されていない領域のn型層をn型半導体層117としている(
図2(b)参照)。
【0019】
ドレイン引き出し配線162は、平面的に見て帯状のスナバ電極160の両端に形成されている(
図2(a)参照)。ドレイン引き出し配線162は、後述するスナバ電極160と同じ濃度の不純物を含有するポリシリコンからなる。
ドレインパッドDPは、後述する第3絶縁領域176(層間絶縁膜)上に形成されている。ドレインパッドDP直下の第3絶縁領域176にはコンタクトホールが形成されており、ドレインパッドDPは、当該コンタクトホール内の金属プラグPgを介して半導体基体110のn型半導体層117と接続されている(
図2(b)参照)。
ドレインフィンガーDFは、平面的に見てドレインパッドDPからセル領域A1を取り囲むように形成されており(
図1参照)、第3絶縁領域176上に形成されている(
図2(a)参照)。ドレインフィンガーDF直下の第3絶縁領域176にはコンタクトホールが形成されており、ドレインフィンガーDFは、当該コンタクトホール内の金属プラグPgを介してドレイン引き出し配線162と接続されている。
【0020】
ゲート引き出し配線152は、平面的に見て帯状のゲート電極150の両端に形成されている(
図2(a)参照)。ゲート引き出し配線152は、後述するゲート電極150と同じ濃度で不純物を含有するポリシリコンからなる。
ゲートパッドGPは、図示しない外部接続用のゲート端子と接続されている。ゲートパッドGPは、第3絶縁領域176上に形成されている。
ゲートフィンガーGFは、平面的に見てゲートパッドGPから、セル領域A1、ドレインパッドDP及びドレインフィンガーDFを取り囲むように形成されており(
図1(a)参照)、第3絶縁領域176上に形成されている。ゲートフィンガーGF直下の第3絶縁領域176にはコンタクトホールが形成されており、ゲートフィンガーGFは、当該コンタクトホール内の金属プラグPgを介してゲート引き出し配線152と接続されている(
図2(a)参照)。
【0021】
実施形態1に係る半導体装置100は、セル領域A1において、
図1(b)に示すように、半導体基体110と、ソース電極120と、ドレイン電極130と、複数のトレンチ140と、ゲート電極150(第1電極)と、スナバ電極160(第2電極)と、第1絶縁領域170と、ゲート絶縁膜172と、第2絶縁領域174と、第3絶縁領域176とを備える。
【0022】
半導体基体110は、n+型の低抵抗半導体層111と、低抵抗半導体層111上に形成され、低抵抗半導体層111よりも不純物濃度が低いn-型のドリフト層112と、ドリフト層112の表面に形成されたp型のベース領域113と、ベース領域113の表面に形成され、ドリフト層112よりも不純物濃度が高いn型のソース領域114とを有する。
【0023】
低抵抗半導体層111の厚さは50μm~500μm(例えば350μm)であり、低抵抗半導体層111の不純物濃度は1×1018cm-3~1×1021cm-3(例えば1×1019cm-3)である。トレンチ140が形成されていない領域におけるドリフト層112の厚さは3μm~50μm(例えば15μm)であり、ドリフト層112の不純物濃度は1×1014cm-3~1×1019cm-3(例えば1×1015cm-3)である。ベース領域113の厚さは0.5μm~10μm(例えば5μm)であり、ベース領域113の不純物濃度は1×1016cm-3~1×1019cm-3(例えば1×1017cm-3)である。
【0024】
ソース電極120は、半導体基体110の一方の表面側に第3絶縁領域176を介して形成されており、第3絶縁領域176に形成されたコンタクトホール内の金属プラグPgを介してソース領域114及びベース領域113とコンタクトされている。ソース電極120は、例えばAl膜又はAl合金膜(例えばAlSi膜)からなり、ソース電極120の厚さは1μm~10μm(例えば3μm)である。ドレイン電極130は、半導体基体110の他方の表面側(低抵抗半導体層111の表面上)に形成されている。ドレイン電極130は、Ti、Ni、Au(又はAg)がこの順序で積層された積層膜からなり、ドレイン電極130の厚さは0.2μm~1.5μm(例えば1μm)である。
【0025】
複数のトレンチ140は、半導体基体110の一方の表面に形成されている。複数のトレンチ140はそれぞれ、ドリフト層112に隣接した底142、及び、ドリフト層112、ベース領域113及びソース領域114に隣接した側壁144を有する。トレンチ140の最底部は、ドリフト層112とベース領域113との間のpn結合の位置よりも深い位置にある。
【0026】
ゲート電極150は、複数のトレンチ140の側壁144(側壁のうちの下側)のそれぞれに形成されたゲート絶縁膜172を介して各トレンチ140内に配置され、側面がベース領域113と対向している。ゲート電極150の上面は、ソース領域114の最深部よりも浅い深さ位置にあり、ゲート電極150の下面は、ベース領域113とドリフト層112との間のpn接合面の深さ位置と同じ深さ位置又はそれよりも深い深さ位置にある。ゲート電極150は、平面的に見て帯状に形成されており、各スナバ電極はストライプ状に形成されている。帯状のゲート電極150の端部にはゲート引き出し配線152が形成されており(
図2(a)参照)、ゲート電極150は、ゲート引き出し配線152、金属プラグPg、ゲートフィンガーGF及びゲートパッドGPを介して外部のゲート端子と接続されている。
【0027】
スナバ電極160は、所定の濃度で不純物を含有するポリシリコンからなり、トレンチ140内において、ゲート電極150の上方に第2絶縁領域174を挟んで離隔した状態で配置されている。スナバ電極160の下面の深さ位置は、ソース領域114におけるトレンチ140との接触面の最下部の深さ位置よりも浅い。なお、スナバ電極160の上面の深さ位置は、トレンチ140が形成されていない領域の半導体基体110の表面の高さ位置と同じでもよいし、当該半導体基体110の表面の高さ(深さ)位置よりも深い深さ位置でもよいし、当該半導体基体110の表面の高さ(深さ)位置よりも上方の高さ位置でもよい。
【0028】
スナバ電極160は、平面的に見てストライプ状(帯状)に形成されている。スナバ電極160の幅(
図1(b)の断面図における横方向の幅)は、ゲート電極150の幅よりも狭い。帯状のスナバ電極160の端部にはドレイン引き出し配線162が形成されている(
図2(a)参照)。スナバ電極160は、ドレイン引き出し配線162、金属プラグPg、ドレインフィンガーDF、ドレインパッドDP、金属プラグPg、n型半導体層117及び低抵抗半導体層111を介してドレイン電極130と電気的に接続されている。
【0029】
第1絶縁領域170は、トレンチ140の底142とゲート電極150との間に形成され、トレンチ140の底142からゲート電極150を離隔させる。ゲート絶縁膜172は、トレンチ140の側壁144のうち下側の側壁の表面に形成され、トレンチ140の側壁144からゲート電極150を離隔させる。実施形態1において、第1絶縁領域170は、ゲート絶縁膜172と一括して形成されており、ゲート絶縁膜172と同じ膜厚であるが、ゲート絶縁膜172よりも厚い膜厚でもよい。第1絶縁領域170及びゲート絶縁膜172は、熱酸化膜であるが、CVD酸化膜でもよい。
【0030】
第2絶縁領域174は、ゲート電極150とスナバ電極160との間に拡がりゲート電極150からスナバ電極160を離隔させるとともに、スナバ電極160とトレンチ140の側壁144との間に拡がりトレンチ140の側壁144からスナバ電極160を離隔させる。トレンチ140の側壁144とスナバ電極160との間の第2絶縁領域174の膜厚tоx1は、ゲート絶縁膜172の膜厚tоx2よりも厚く、第1絶縁領域170の膜厚tоx3よりも厚い。スナバ電極160とゲート電極150との間の第2絶縁領域174の膜厚は、スナバ電極160とトレンチ140の側壁144との間の第2絶縁領域174の膜厚tоx1よりも薄い。第2絶縁領域174は、CVD法によって形成されたCVD酸化膜であるが、熱酸化膜でもよい。
【0031】
第3絶縁領域176は、ソース電極120とスナバ電極160との間に拡がりスナバ電極160からソース電極120を離隔させる。第3絶縁領域176は、実装時にソース電極120にワイヤ等と接合する際にスナバ電極160やゲート電極150に与える振動や熱等の影響を低減する。
【0032】
複数のトレンチ140、トレンチ140内のゲート電極150、スナバ電極160、及びソース領域114は平面的に見てストライプ状に形成されている。
【0033】
2.実施形態1に係る半導体装置100におけるスナバ回路
上記したように、実施形態1に係る半導体装置100には、スナバ電極160が形成されており、スナバ電極160はドレイン電極130と接続されている。また、スナバ電極160とゲート電極150との間に拡がりゲート電極150からスナバ電極160を離隔させるとともに、スナバ電極160とトレンチ140の側壁144との間に拡がりトレンチ140の側壁144からスナバ電極160を離隔させる第2絶縁領域174を備える。
【0034】
これにより、
図3(a)に示すように、スナバ電極160とソース領域114との間に静電容量C
DS1が存在することになる。スナバ電極160は、
図1(a)に示すように、ストライプ状に複数本形成されているため、各スナバ電極160で静電容量C
DS1が存在することとなる。また、ベース領域113とドリフト層112との間にも静電容量C
DS2が存在する。従って、
図3(b)に示すように、ソース電極120とドレイン電極130との間に静電容量C
DS1(各スナバ電極160とソース領域114との間の静電容量C
DS1の合成容量)及び静電容量C
DS2が配置されることと等価となる。これらの静電容量(寄生容量)は、ソース電極120とドレイン電極130との間のコンデンサCを構成する(
図3(c)参照)。
【0035】
スナバ電極160は、所定の濃度で不純物を含有したポリシリコンからなり、かつ、スナバ電極160は平面的に見てストライプ状に形成されているため(
図1(a)参照)、スナバ電極160には内部抵抗が存在することとなる。各スナバ電極160の内部抵抗の合成抵抗は、上記したコンデンサCとドレイン電極130との間の抵抗を構成する(
図3(c)参照)。
【0036】
このことから、半導体装置100は、コンデンサC及び抵抗Rとが直列に接続されたRCスナバ回路を内蔵した半導体装置(MOSFET)となる。
【0037】
ここで、電気抵抗率をρとし、スナバ電極160の断面積をS1とし、スナバ電極160の長さ(電流経路に沿った長さ)をlとすると、
図3(d)に示すように、ストライプの1本あたりのスナバ電極160の内部抵抗R1は、電気抵抗率ρ及びスナバ電極160の長さlに比例し、スナバ電極160の断面積S1に反比例する。従って、第2絶縁領域174の膜厚を調整することによってスナバ電極160の断面積S1(
図1(b)における横幅×高さ)を調整することができる。また、帯状のスナバ電極160の長さlも調整することができる。従って、ストライプ1本あたりのスナバ電極160の抵抗値を比較的容易に調整することができ、ひいては、スナバ回路の抵抗Rも比較的容易に調整することができる。なお、電気抵抗率ρもポリシリコンに導入する不純物濃度に依存するため、この観点においてもスナバ電極160の抵抗値を調整することができる。
【0038】
また、スナバ回路のコンデンサについては、静電容量C
DS1は、第2絶縁領域174の誘電率をεとし、スナバ電極160とソース領域114との間の長さ、すなわち、第2絶縁領域174の厚さをt
оx1とし、スナバ電極160とソース領域114とが対向する領域の面積をS2とすると、
図3(d)に示すように、ストライプ1本あたりの静電容量C
DS1は、第2絶縁領域174の膜厚t
оx1に反比例し、スナバ電極160とソース領域114とが対向する領域の面積S2に比例する。
ここで、第2絶縁領域174の膜厚t
оx1は、比較的容易に調整することができる。また、スナバ電極160とソース領域114とが対向する領域の面積S2は、スナバ電極160の高さに比例するため、第2絶縁領域174の膜厚を調整することによって、スナバ電極160とソース領域114とが対向する領域の面積をS2も調整することができる。従って、ストライプ1本あたりのスナバ電極160とソース領域114との間の静電容量C
DS1を容易に調整することができ、ひいては、スナバ回路の静電容量を比較的容易に調整することができる。
【0039】
従って、実施形態1に係る半導体装置100におけるスナバ回路の抵抗値及び静電容量を容易に調整できるため、フレキシビリティが高い半導体装置となる。
【0040】
3.実施形態1に係る半導体装置の製造方法
実施形態1に係る半導体装置100は、以下の手順で製造することができる。実施形態1に係る半導体装置の製造方法においては、
図4~
図7に示すように、半導体基体準備工程と、トレンチ形成工程と、第1絶縁膜形成工程と、ゲート電極形成工程(第1電極形成工程)と、第2絶縁膜形成工程と、スナバ電極形成工程と、ソース領域及びベース領域形成工程と、第3絶縁膜形成工程と、コンタクト工程と、ソース電極及びドレイン電極形成工程とをこの順序で実施する。
【0041】
(1)半導体基体準備工程
まず、n
+型の低抵抗半導体層111と、低抵抗半導体層111上に形成されたn型のドリフト層112とを有する半導体基体110を準備する(
図4(a)参照)。
【0042】
(2)トレンチ形成工程
次に、ドリフト層112に、平面的に見てストライプ状となる複数のトレンチ140を形成する(
図4(b)参照)。
【0043】
(3)第1絶縁膜形成工程
次に、半導体基体110の一方の表面上(ドリフト層112側の表面上。トレンチ140の内表面上を含む)に第1絶縁膜170’を形成する(
図4(c)参照)。これにより、複数のトレンチ140のそれぞれの底142に第1絶縁領域170を形成するとともに、複数のトレンチのそれぞれの側壁144にゲート絶縁膜172を形成する。第1絶縁膜170’は例えば、熱酸化法によって形成されたものである。
【0044】
(4)ゲート電極形成工程(第1電極形成工程)
次に、トレンチ140内に、第1絶縁領域170及びゲート絶縁膜172を介してゲート電極150を形成する。具体的にはまず、半導体基体110の一方面側全域に所定の不純物濃度を有するポリシリコン150’を形成する(
図4(d)参照)。このとき、周辺領域A2においては、ゲート引き出し配線152を形成する。その後、当該ポリシリコン150’をエッチングすることにより、ゲート電極150を形成する(
図5(a)参照)。ポリシリコン150’は、ポリシリコンを形成した後、p型不純物(例えばボロン)をイオン注入して形成してもよいし、p型不純物雰囲気下でポリシリコンを成長させて形成してもよい(ドープドポリシリコン)。
【0045】
(5)第2絶縁膜形成工程
次に、トレンチ140の側壁144及び半導体基体110の表面に形成された第1絶縁膜170’の表面上、及びゲート電極150の表面上に第2絶縁膜174’を形成する(
図5(b)参照)。これにより、ゲート電極150上の第2絶縁膜174’でゲート電極150側の第2絶縁領域174(
図5(d)参照)を構成するとともに、トレンチ140の上側の側壁(上部側壁)の表面上に積層された第1絶縁膜170’及び第2絶縁膜174’でトレンチ140の側壁144側の第2絶縁領域174(
図5(d)参照)を構成する。第2絶縁膜174’はCVD法によって形成されたものであるが、熱酸化法によって形成された熱酸化膜を用いてもよい。
【0046】
(6)スナバ電極形成工程(第2電極形成工程)
次に、ゲート電極150上にゲート電極150と離隔した状態でスナバ電極160を形成する。具体的には、まず、半導体基体110の一方面側の表面全体にポリシリコン160’を形成する(
図5(c)参照)。このとき、周辺領域A2においては、ドレイン引き出し配線162を形成する。次に、当該ポリシリコン160’の上面が半導体基体110の表面と同じ深さ位置又はそれよりも深い深さ位置となるようにエッチングして除去するとともに、半導体基体110の表面上の第1絶縁膜170’及び第2絶縁膜174’をエッチングで除去する(
図5(d)参照)。
【0047】
(7)ソース領域及びベース領域形成工程
次に、半導体基体110の一方の表面側からp型不純物(例えば、ボロン)を所定の深さにイオン注入する(
図6(a)参照)。次に、当該p型不純物を活性化してベース領域113を形成する。次に、半導体基体110の表面側からn型不純物(例えば、リン)を所定の深さにイオン注入する(
図6(b)参照)。次に、当該n型不純物を活性化してソース領域114を形成する。
【0048】
(8)第3絶縁膜形成工程
次に、半導体基体110の表面、第2絶縁領域174及びスナバ電極160上に第3絶縁膜(第3絶縁領域176)を形成する(
図6(c)参照)。第3絶縁膜は、例えば、CVD法によって形成されたものである。
【0049】
(9)コンタクト形成工程
次に、隣接するトレンチ140間に第3絶縁領域176及びソース領域114を貫通しベース領域113に達するようにコンタクトホールを形成する(
図6(d)参照)。このとき、周辺領域A2において、ゲート電極150の端部に形成されたゲート引き出し配線152とゲートフィンガーをコンタクトするためのコンタクトホール、スナバ電極160の端部に形成されたドレイン引き出し配線162とドレインフィンガー(ドレインパッド)とコンタクトするためのコンタクトホール、ドレインパッドDPとn型半導体層117とをコンタクトするコンタクトホールがそれぞれ形成される。
次に、スパッタ法により各コンタクトホールの内周面にバリアメタル(図示せず)を形成し、当該バリアメタルを介してタングステンを成膜する(
図7(a)参照)。次に、CMP法により、各コンタクトホール内のみにタングステンを残存させ、金属プラグPgをそれぞれ形成する(
図7(b)参照)。
【0050】
(10)ソース電極及びドレイン電極形成工程
次に、第3絶縁領域176及び金属プラグPgの表面上にスパッタ法によりAl-Cu系金属膜を成膜し、ソース電極120、ドレインパッドDP及びドレインフィンガーDF、並びに、ゲートパッドGP及びゲートフィンガーGFを形成する(
図7(b)参照)。これにより、ソース電極120は金属プラグPgを介してソース領域114及びベース領域113と電気的に接続され、ドレインフィンガーDF及びドレインパッドDPは金属プラグPgを介してスナバ電極160と電気的に接続され、ゲートフィンガーGF及びゲートパッドGPは金属プラグPgを介してゲート電極と接続される。また、低抵抗半導体層111の表面上にTi-Ni-Au(又はAg)などの多層金属膜を成膜し、ドレイン電極130を形成する(
図7(c)参照)。なお、周辺領域において、ドレイン電極130は、n型半導体層117及び金属プラグPgを介してドレインパッドDPと接続されることとなる。従って、ドレイン電極130を形成することにより、スナバ電極160は、ドレイン引き出し配線162、ドレインフィンガーDF、ドレインパッドDP、半導体基体110(ドリフト層112)を介してドレイン電極130と接続する。
【0051】
このようにして、実施形態1に係る半導体装置を製造することができる。
【0052】
4.本発明の半導体装置とシールドゲート構造を有する半導体装置との比較
ところで、トレンチ内に2以上の種類の電極を配置する半導体装置として、シールドゲート構造の半導体装置(例えば、比較例に係る半導体装置800、
図8参照)が知られている。
【0053】
比較例に係る半導体装置800は、
図8に示すように、半導体基体810と、トレンチ840と、ゲート電極850と、ゲート絶縁膜872と、シールド電極890と、絶縁領域878と、ソース電極820と、ドレイン電極830と、層間絶縁膜876とを備える。
半導体基体810は、n型の低抵抗半導体層811、低抵抗半導体層811に隣接したn型のドリフト層812、ドリフト層812に隣接したp型のベース領域813、及び、ベース領域813に隣接したn型のソース領域814を有する。
ゲート電極850は、トレンチ840内に配設されている。ゲート電極850の側壁の部分は、ゲート絶縁膜872を介してベース領域813と対向している。
シールド電極890は、トレンチ840内に配設され、かつ、ゲート電極850の下側に位置する。
絶縁領域878は、ゲート電極850とシールド電極890との間に拡がり、さらに、トレンチ840の側壁及び底に沿って拡がって側壁及び底からシールド電極890を離隔させる。
【0054】
比較例に係る半導体装置800は、例えば、以下のような方法で製造することができる。
すなわち、比較例に係る半導体装置の製造方法においては、半導体基体810を準備する第1工程(
図9(a)参照)と、
半導体基体810に平面的に見てストライプ状となる複数のトレンチ840を形成する第2工程(
図9(b)参照)と、
複数のトレンチ840のそれぞれの底面及び側壁に第1の絶縁膜878’を形成する第3工程(
図9(c)参照)と、
半導体基体810の一方の表面全体にポリシリコン890’を形成し(
図9(d)参照)、当該ポリシリコン890’をトレンチ840内の一部を残してエッチングすることでトレンチ840内に第1の絶縁膜878’を介してシールド電極890を形成する第4工程(
図10(a)参照)と、
半導体基体810全体に第2の絶縁膜870’を形成する第5工程(
図10(b)参照)と、
シールド電極890上のみを残して第1の絶縁膜878’及び第2の絶縁膜870’をエッチングする第6工程(
図10(c)参照)と、
半導体基体810の一方の表面(トレンチ840内表面を含む)に絶縁膜872’を形成することで、トレンチ840の上部の側壁にゲート絶縁膜872を形成する第7工程(
図10(d)参照)と、
半導体基体810の一方の表面(トレンチ840内表面を含む)にポリシリコン850’を形成し(
図11(a)参照)、トレンチ840内のみを残してエッチングしてゲート電極850を形成する第8工程(
図11(b)参照)と、
層間絶縁膜876を形成する第9工程(
図11(c)参照)と、
ソース電極820及びドレイン電極830を形成する第10工程(
図11(d)参照)とをこの順序で実施する。
【0055】
デバイスの閾値電圧を決定するゲート絶縁膜は高い精度を要求される。比較例に係る半導体装置の製造方法においては、第3工程において、第1の絶縁膜878’を形成し(
図9(c)参照)、第5工程において、第2の絶縁膜870’を形成した後(
図10(b)参照)、第6工程において、当該第1の絶縁膜878’及び第2の絶縁膜870’をエッチングして(オーバーエッチング、
図10(c)参照)、第7工程において、ゲート絶縁膜872を形成する(
図10(d)参照)。しかしながら、第6工程において、必要以上に絶縁膜をエッチングしてしまう場合もある等、第1の絶縁膜878’及び第2の絶縁膜870’を高い精度でエッチングすることは難しく、高い精度でゲート絶縁膜872を形成することは難しい、という問題がある。
【0056】
これに対して、実施形態1に係る半導体装置の製造方法によれば、他の絶縁膜を形成する前にゲート絶縁膜を形成するため(
図4(c)参照)、他の絶縁膜を形成する前にトレンチの側壁に直接ゲート絶縁膜を形成することができる。従って、高い精度でゲート絶縁膜を形成することができる。
【0057】
5.実施形態1に係る半導体装置100及び半導体装置の製造方法の効果
実施形態1に係る半導体装置100及び半導体装置の製造方法によれば、ゲート電極150の上方にゲート電極150と離隔した状態で形成されたスナバ電極160を備え、複数のスナバ電極160のうちの少なくともいずれか(実施形態1においては全て)がドレイン電極130と接続されるため、スナバ電極160とソース領域114との間の寄生容量をコンデンサ(の一部)とし、スナバ電極160自身の内部抵抗を抵抗とするスナバ回路を形成することができる。従って、半導体装置を電力変換回路に組み込む際にスナバ回路を別途取り付けなくてもよくなる。その結果、スナバ回路を設置するための領域を確保しなくてもよく、電力変換回路を小型化することができる。
【0058】
また、実施形態1に係る半導体装置100及び半導体装置の製造方法によれば、スナバ電極160は、平面的に見てストライプ状に形成されており、複数のスナバ電極のうちの少なくともいずれかは、ドレイン電極130と接続されるため、スナバ電極160の長さ(
図1(a)の上下方向の長さ)や断面積、さらには、各スナバ電極160をドレイン電位とするか否かを選択することで電気機器に応じたスナバ容量を調整することができる。従って、電気機器に応じてスナバ回路のスナバ容量を変更した半導体装置を設計・製造し直さなくてもよく、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置となる。
【0059】
また、実施形態1に係る半導体装置の製造方法によれば、トレンチ形成工程実施後に、他の絶縁膜を形成する前にゲート絶縁膜172を形成する第1絶縁膜形成工程を含むため(
図4(c)参照)、他の絶縁膜を形成する前にトレンチ140の側壁144に直接ゲート絶縁膜172を形成することができる。従って、他の絶縁膜のエッチング精度に左右されることがなく、膜厚均一性を要求されるゲート絶縁膜172を高い精度で形成することができる。
【0060】
ところで、半導体装置内にスナバ電極を形成しようとすると、スナバ回路を形成するための領域を別途準備しなくてはならなくなり、半導体装置自体を小型化することが難しい。これに対して、実施形態1に係る半導体装置100によれば、スナバ電極160は、トレンチ140内に配置されているため、スナバ回路を形成するための領域を別途準備しなくてもよくなる。その結果、スナバ回路を内蔵する半導体装置でありながら半導体装置自体を小型化することができる。
【0061】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、スナバ電極160は、ソース領域114と第2絶縁領域174を挟んで対向した位置に配置されているため、スナバ電極160とソース領域114との間に静電容量CDS1を構成することができ、スナバ電極160とトレンチ140の側壁144との間の第2絶縁領域174の厚さを調整することで静電容量CDS1を調整し易くなる。その結果、実施形態1に係る半導体装置100は、電気機器に応じたスナバ容量を調整しやすくなり、様々な電気機器によりフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置となる。
【0062】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、トレンチ140の側壁144とスナバ電極160との間の第2絶縁領域174の厚さは、ゲート絶縁膜172の厚さよりも厚いため、トレンチ140の側壁144とスナバ電極160と間の第2絶縁領域174をスナバ回路を構成するのに適した所定の静電容量を有する誘電体とすることができる。
【0063】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、スナバ電極160は、所定の濃度で不純物を含有するポリシリコンからなるため、不純物濃度を調整することによってスナバ電極160の抵抗値を調整することができ、スナバ回路の抵抗値を所望の抵抗値とすることができる。
【0064】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、スナバ電極160の下面の深さ位置は、ソース領域114におけるトレンチ140との接触面の最下部の深さ位置よりも浅いため、スナバ電極160の側面全体がソース領域114と対向することとなる。従って、スナバ電極160とソース領域114とが対向する領域の面積S2を大きくすることができることからスナバ電極160とソース領域114との間の静電容量CDS1を大きくすることができ、スナバ回路を構成するのに必要な静電容量を確保することができる。
【0065】
[実施形態2]
実施形態2に係る半導体装置101は、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、ドレイン電極と接続されているスナバ電極の本数が実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る半導体装置101においては、実施形態1のように複数のスナバ電極160の全てのスナバ電極160がドレイン電極130と接続されているのではなく、複数のスナバ電極160のうちのいずれか(所定の本数)のスナバ電極160がドレイン電極130と接続されている(
図12参照)。
【0066】
実施形態2においては、複数のスナバ電極160のうちの半数(ストライプの1本おきのスナバ電極160)がドレインフィンガーDFと接続されており(
図12のドレインフィンガーDF上の白丸参照)、残りのスナバ電極160は、ドレインフィンガーDFとコンタクトされていない。なお、実施形態2においては、複数のスナバ電極160のうちの半数をコンタクトしているが、コンタクトする本数を半数より増やしたり減らしたりすることができる、これにより容易にスナバ回路のスナバ容量(抵抗値及び静電容量)を調整することができる。
【0067】
このように、実施形態2に係る半導体装置101は、ドレイン電極と接続されているスナバ電極の本数が実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、複数のスナバ電極160のうちの少なくともいずれか(実施形態2においては半数)がドレイン電極と接続されるため、スナバ回路を内蔵した半導体装置となり、小型化された電力変換回路とすることができる。また、スナバ電極160の長さや断面積、さらには、各スナバ電極160をドレイン電位とするか否かを選択することで電気機器に応じたスナバ容量を調整することができ、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置となる。
【0068】
また、実施形態2に係る半導体装置101によれば、複数のスナバ電極160のうちの所定のスナバ電極160のみがドレイン電極130と接続されているため、ドレイン電極130と接続されているスナバ電極160の本数を調整することにより、スナバ回路の抵抗値及び静電容量を調整することができる。従って、実施形態2に係る半導体装置101は、様々な電気機器に対応可能なスナバ回路を内蔵した半導体装置となる。
【0069】
なお、実施形態2に係る半導体装置101は、ドレイン電極と接続されているスナバ電極の本数以外の点においては実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0070】
[変形例1]
変形例1に係る半導体装置102は、基本的には実施形態2に係る半導体装置101と同様の構成を有するが、ソース領域の構成が実施形態2に係る半導体装置101の場合とは異なる(
図13(a)及び
図13(b)参照)。すなわち、変形例1においては、ドレインフィンガーDF(ドレイン電極)とコンタクトされていないスナバ電極160を内包するトレンチ140(
図13(b)右側のトレンチ140参照)の周囲にはソース領域114が形成されておらず、ドレインフィンガーDF(ドレイン電極)とコンタクトされているスナバ電極160を内包するトレンチ140(
図13(b)左側のトレンチ140参照)の周囲にはソース領域114が形成されている。
【0071】
このように、変形例1に係る半導体装置102は、ソース領域の構成が実施形態2に係る半導体装置101の場合とは異なるが、実施形態2に係る半導体装置102の場合と同様に、複数のスナバ電極160のうちの少なくともいずれか(変形例1においては半数)がドレイン電極と接続されるため、スナバ回路を内蔵した半導体装置となり、電力変換回路を小型化することができる。また、電気機器に応じてスナバ回路のスナバ容量を変更した半導体装置を設計・製造し直さなくてもよく、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置となる。
【0072】
なお、ドレイン電極130と接続されているスナバ電極160を有するトレンチ140においては、トレンチ140よりも深い方向に向かって空乏層が延伸されるが、ドレイン電極130と接続されていないスナバ電極160を有するトレンチ140(
図13(b)の右側のトレンチ参照)においても、当該空乏層を深い深さ位置で維持させることができ、ゲートトレンチとしての機能はないものの、いわゆるダミートレンチとしての機能を有する。
【0073】
[変形例2]
変形例2に係る半導体装置102aは、基本的には変形例1に係る半導体装置102と同様の構成を有するが、ドレインフィンガーとコンタクトしているスナバ電極の本数が変形例1に係る半導体装置102の場合とは異なる。すなわち、変形例2においては、スナバ電極160は全てドレインフィンガーDFと接続されている(
図14(a)参照)。このとき、周囲にソース領域114が形成されていないトレンチ140(
図14(b)の右側のトレンチ参照)は、ゲートトレンチとしての機能は有しないものの、スナバ回路としての機能、及び、いわゆるダミートレンチとしての機能を有する。なお、変形例2においても、ドレインフィンガーと接続するスナバ電極の本数や、周囲にソース領域を形成しないトレンチの本数を任意に調整することができる。
【0074】
このように、変形例2に係る半導体装置102aは、ドレインフィンガーとコンタクトしているスナバ電極の本数が変形例1に係る半導体装置102の場合とは異なるが、変形例1に係る半導体装置102の場合と同様に、複数のスナバ電極160のうちの少なくともいずれか(変形例2においては半数)がドレイン電極と接続されるため、スナバ回路を内蔵した半導体装置となり、電力変換回路を小型化することができる。また、電気機器に応じてスナバ回路のスナバ容量を変更した半導体装置を設計・製造し直さなくてもよく、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置となる。
【0075】
[実施形態3]
実施形態3に係る半導体装置103は、基本的には実施形態1に係る半導体装置100又は実施形態2に係る半導体装置101(以下、実施形態1に係る半導体装置100等という)と同様の構成を有するが、シールドゲート構造を有する点が実施形態1に係る半導体装置100等の場合とは異なる。すなわち、実施形態3に係る半導体装置103は、トレンチ140内において、ゲート電極150とトレンチ140の底との間に、トレンチ140及びソース電極120から離隔され、ソース電極120(ゲート電極でもよい)に接続されたシールド電極190を備える半導体装置(シールドゲート構造を有する半導体装置)である(
図15参照)。なお、実施形態3においては、シールド電極190をソース電極と接続したが、ゲート電極と接続してもよい。この場合、シールド電極190とゲート電極150とはトレンチ140内では離隔されており、トレンチ140の外側のゲートフィンガーGFを介して電気的に接続されている。
【0076】
実施形態3においては、シールド電極190とゲート電極150との間に拡がりシールド電極190からゲート電極150を離隔させるとともに、ゲート電極150とトレンチ140の側壁144との間に拡がりトレンチ140の側壁144からゲート電極150を離隔させる第4絶縁領域178を備える。
【0077】
このように、実施形態3に係る半導体装置103は、シールドゲート構造を有する点で実施形態1に係る半導体装置100等の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100等の場合と同様に、複数のスナバ電極160のうちの少なくともいずれかがドレイン電極と接続されているため、スナバ回路を内蔵した半導体装置となり、小型化された電力変換回路とすることができる。また、スナバ電極160の長さや断面積、さらには、各スナバ電極160をドレイン電位とするか否かを選択することで電気機器に応じたスナバ容量を調整することができ、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置となる。
【0078】
また、実施形態3に係る半導体装置103によれば、トレンチ140内において、ゲート電極150とトレンチ140の底との間に、トレンチ140の底142、トレンチ140の側壁144及びゲート電極150から離隔され、ゲート電極150又はソース電極120に接続されたシールド電極190を備えるため、ゲート・ドレイン間容量CGDが低減する。従って、ゲート充電電流量及びゲート放電電流量が低減し、スイッチング速度を速くすることができる。
【0079】
さらに、シールド電極190とゲート電極150との間に拡がりシールド電極190からゲート電極150を離隔させるとともに、ゲート電極150とトレンチ140の側壁144との間に拡がりトレンチ140の側壁144からゲート電極150を離隔させる第4絶縁領域178を備えるため、電界集中が起こり易いトレンチ140の角部からゲート電極150までの距離を長くでき、さらには、第4絶縁領域178で電界を緩和することができる結果、耐圧を高くすることができる。
【0080】
なお、実施形態3に係る半導体装置103は、シールドゲート構造を有する点以外の点においては実施形態1に係る半導体装置100等と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100等が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0081】
[実施形態4]
実施形態4に係る半導体装置104は、基本的には実施形態1に係る半導体装置100等と同様の構成を有するが、スーパージャンクション構造(以下、SJ構造)を有する点が実施形態1に係る半導体装置100等の場合とは異なる。すなわち、実施形態4に係る半導体装置104において、半導体基体110は、ベース領域113の底よりも深い領域に所定の間隔で形成された複数のp型コラム領域116(第2導電型コラム領域)をさらに有し、隣り合うp型コラム領域116の間のドリフト層がn型コラム領域115(第1導電型コラム領域)を構成し、n型コラム領域115とp型コラム領域116とでSJ構造が構成されている(
図16参照)。なお、実施形態4においては、トレンチ140の下方にn型コラム領域115が形成されており、ソース領域114とチャネルを形成するために、トレンチ140の幅よりも幅広となっているが、SJ構造となり、かつ、ソース領域114とチャネルを形成できるのであれば適宜の構成とすることができる。
【0082】
このように、実施形態4に係る半導体装置104は、SJ構造を有する点で実施形態1に係る半導体装置100等の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100等の場合と同様に、複数のスナバ電極160のうちの少なくともいずれかがドレイン電極と接続されているため、スナバ回路を内蔵した半導体装置となり、小型化された電力変換回路とすることができる。また、スナバ電極160の長さや断面積、さらには、各スナバ電極160をドレイン電位とするか否かを選択することで電気機器に応じたスナバ容量を調整することができ、様々な電気機器にフレキシブルに適用可能なスナバ回路内蔵の半導体装置となる。
【0083】
また、実施形態4に係る半導体装置104によれば、n型コラム領域115とp型コラム領域116とでSJ構造が構成されているため、耐圧を維持しながらオン抵抗の小さい半導体装置となる。
【0084】
なお、実施形態4に係る半導体装置104は、SJ構造を有する点以外の点においては実施形態1に係る半導体装置100等と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100等が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0085】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0086】
(1)上記各実施形態(各変形例も含む。以下同じ)において記載した形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。また、各実施形態や変形例を組み合わせてもよい。
【0087】
(2)上記各実施形態において、半導体基体の外周部のみにゲートフィンガーGFを配置したが、本発明はこれに限定されるものではない。外周部に加えてゲートパッドGPから反対側の辺に向かって半導体基体110を横断するようにゲートフィンガーGFをさらに配置してもよい(
図17参照)。この場合、ソース電極(図示せず)がゲートフィンガーで囲まれた2つの領域に分割されており、ドレインフィンガー及びドレインパッド(図示せず)はそれぞれのソース電極を取り囲むように(合計2つ)配置されている。
【0088】
(3)上記各実施形態において、平面的に見て半導体基体を縦断するように、トレンチ、ゲート電極及びスナバ電極を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。1本の長い帯状のスナバ電極を、平面的に見て2本以上に短く分けて配置してもよいし(スナバ電極を2本に分けた場合については
図18の符号160a参照。変形例4に係る半導体装置106)、ゲート電極150を2本以上に短く分けて配置してもよいし、スナバ電極とゲート電極の両方を2本以上に短く分けて配置してもよい。
【0089】
(4)上記各実施形態においては、スナバ電極160をトレンチ140内に形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。スナバ電極全体をトレンチ外、すなわち、トレンチが形成されていない領域における半導体基体110の表面の高さ位置よりも高い位置にスナバ電極を形成してもよいし(
図19のスナバ電極160b参照)、一部がトレンチ内に、他の一部が半導体基体110の表面の高さ位置よりも高い位置になるようにスナバ電極を形成してもよい(
図20のスナバ電極160c参照)。
【0090】
(5)上記各実施形態において、ソース電極120を金属プラグPgを用いてソース領域及びベース領域とコンタクトしたが、本発明はこれに限定されるものではない。半導体基体に高濃度のp型拡散半導体領域を形成してソース電極120をソース領域及びベース領域とコンタクトしてもよい。この場合、コンタクト領域形成工程においては、半導体基体をエッチングせず、p型不純物を半導体基体に導入(例えば、イオン注入法や、エピタキシャル成長法など)してp型拡散半導体領域を形成してもよいし、特段p型拡散半導体領域を形成しなくてもよい。また、n型不純物を半導体基体の一方面全域にイオン注入したが、マスクを用いてn型不純物を半導体基体に選択的にイオン注入してもよい。
【0091】
(6)上記各実施形態においては、周辺領域において、スナバ電極160は、第3絶縁領域176を貫通するように形成された金属プラグPg及びn型半導体層117を介してドレイン電極と接続したが、本発明はこれに限定されるものではない。スナバ電極160は、半導体基体の側面部分やチャネルストッパ電極を介してドレイン電極130と接続してもよい(図示せず)。また、絶縁性基板210と絶縁性基板210上に配置された配線220とを備える回線基板200を準備し、回路基板200の配線220上に導電性接合材S(例えば、はんだなど)を介して半導体装置109(構成は実施形態1に係る半導体装置100と同じ構成)を配置し、ドレイン電極130と配線220とを電気的に接続して、さらに、配線220とドレインパッドDPとをボンディングワイヤw等の接続部材を介して接続することによってドレインパッドDPをドレイン電極130と接続してもよい(
図21参照)。なお、この場合、半導体基体内において、ドレインパッドDPとドレイン電極130とを接続するためにドレインパッドDPと半導体基体110との間を金属プラグPgで接続しなくてもよい。
【0092】
(7)上記各実施形態においては、ドレインパッドを形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。ドレインパッドを形成しなくてもよい。
【0093】
(8)上記各実施形態においては、第1導電型をn型、第2導電型をp型としたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1導電型をp型、第2導電型をn型としてもよい。
【符号の説明】
【0094】
100,101,102,102a,103,104,105,106,107,108,109…半導体装置、110…半導体基体、112…ドリフト層、113…ベース領域、114…ソース領域、115…n型コラム領域、116…p型コラム領域、120…ソース電極、130…ドレイン電極、140…トレンチ、142…底、144…側壁、150…ゲート電極、160…スナバ電極、170…第1絶縁領域、170’…第1絶縁膜、172…ゲート絶縁膜、174…第2絶縁領域、174’…第2絶縁膜、190…シールド電極