(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】切断装置、及び、切断品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20240801BHJP
B24B 27/06 20060101ALI20240801BHJP
B24B 49/12 20060101ALI20240801BHJP
G01B 11/25 20060101ALI20240801BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01L21/78 C
B24B27/06 M
B24B49/12
H01L21/78 F
G01B11/25 H
G01B11/02 H
(21)【出願番号】P 2020133787
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2022-08-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】片岡 昌一
(72)【発明者】
【氏名】今井 一郎
(72)【発明者】
【氏名】井口 晴貴
【審査官】宮久保 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-136765(JP,A)
【文献】特開2012-242138(JP,A)
【文献】特表2010-512525(JP,A)
【文献】特開2008-166546(JP,A)
【文献】特開2015-219224(JP,A)
【文献】特開2016-167490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
B24B 27/06
B24B 49/12
G01B 11/25
G01B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを切断するように構成された切断装置であって、
前記ワークの斜め上方から前記ワークに光のパターンを投影するように構成された光源と、
前記ワークの真上から前記光のパターンを撮像し、第1画像データを生成するように構成された撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記光のパターンの位置に基づいて前記ワークの高さ位置を検出するように構成された検出部と、
を備え、
前記光源が前記光のパターンを投影する方向と、前記撮像部が前記光のパターンを撮像する方向とによって形成される角度は0°よりも大きく、60°以下であり、
前記検出部は、前記光のパターンを撮像する際のピントを合わすために前記撮像部が移動した移動量に基づいて、前記ワークの高さ位置を検出するように構成されている、切断装置。
【請求項2】
前記ワークは、樹脂成形済み基板である、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
ワークを切断するように構成された切断装置であって、
前記ワークの斜め上方から前記ワークに光のパターンを投影するように構成された光源と、
前記ワークの真上から前記光のパターンを撮像し、第1画像データを生成するように構成された撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記光のパターンの位置に基づいて前記ワークの高さ位置を検出するように構成された検出部と、
ブレードと、
を備え、
前記光源が前記光のパターンを投影する方向と、前記撮像部が前記光のパターンを撮像する方向とによって形成される角度は0°よりも大きく、60°以下であり、
前記ワークには溝が形成されており、
前記光源は、前記ワークにおける前記溝を含む領域に前記光のパターンを投影するように構成されており、
前記検出部は、前記撮像部によって撮像された前記光のパターンの形状に基づいて前記ブレードの摩耗状態を検出するように構成されている、切断装置。
【請求項4】
ワークを切断するように構成された切断装置であって、
前記ワークの斜め上方から前記ワークに光のパターンを投影するように構成された光源と、
前記ワークの真上から前記光のパターンを撮像し、第1画像データを生成するように構成された撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記光のパターンの位置に基づいて前記ワークの高さ位置を検出するように構成された検出部と、
を備え、
前記光源が前記光のパターンを投影する方向と、前記撮像部が前記光のパターンを撮像する方向とによって形成される角度は0°よりも大きく、60°以下であり、
前記光源は、前記ワークに形成された金属端子を含む領域に前記光のパターンを投影するように構成されており、
前記検出部は、前記撮像部によって撮像された前記光のパターンの形状に基づいて前記ワークのバリに関する検出を行なうように構成されている、切断装置。
【請求項5】
ワークを切断するように構成された切断装置であって、
前記ワークの斜め上方から前記ワークに光のパターンを投影するように構成された光源と、
前記ワークの真上から前記光のパターンを撮像し、第1画像データを生成するように構成された撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記光のパターンの位置に基づいて前記ワークの高さ位置を検出するように構成された検出部と、
前記ワークが載置される吸着部材と、
を備え、
前記光源が前記光のパターンを投影する方向と、前記撮像部が前記光のパターンを撮像する方向とによって形成される角度は0°よりも大きく、60°以下であり、
前記光源は、前記吸着部材に前記光のパターンを投影するように構成されており、
前記撮像部は、前記吸着部材を撮像するように構成されており、
前記検出部は、前記撮像部によって撮像された前記吸着部材における前記光のパターンの形状に基づいて前記吸着部材の劣化状態を検出するように構成されている、切断装置。
【請求項6】
ワークを切断するように構成された切断装置であって、
前記ワークの斜め上方から前記ワークに光のパターンを投影するように構成された光源と、
前記ワークの真上から前記光のパターンを撮像し、第1画像データを生成するように構成された撮像部と、
前記撮像部によって撮像された前記光のパターンの位置に基づいて前記ワークの高さ位置を検出するように構成された検出部と、
を備え、
前記光源が前記光のパターンを投影する方向と、前記撮像部が前記光のパターンを撮像する方向とによって形成される角度は0°よりも大きく、60°以下であり、
前記撮像部は、前記ワーク上に形成されたマークを撮像し、第2画像データを生成するように構成されており、
前記検出部は、前記第2画像データに基づいて前記ワークの切断位置を検出するように構成されている、切断装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の切断装置を用いた切断品の製造方法であって、
前記ワークの斜め上方から前記ワークに光のパターンを投影するステップと、
前記ワークの真上から前記光のパターンを撮像し、画像データを生成するステップと、
前記画像データに基づいて前記ワークの高さ位置を検出するステップと、
前記ワークの高さ位置に基づいて前記ワークを切断し、前記切断品を製造するステップと、
を含む、切断品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、及び、切断品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-45418号公報(特許文献1)は、半導体ウエーハ等の被加工物を分割するレーザー加工装置を開示する。このレーザー加工装置においては、特定の波長帯の光が被加工物の上面に照射され、反射光と基準光との干渉光に基づいて被加工物の高さ位置が検出される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されているレーザー加工装置においては、レーザー光源等の高価な部品を用いることによって、被加工物の高さ位置が検出される。すなわち、上記特許文献1の技術を用いた場合、被加工物の高さ位置を検出するために、高いコストが掛かる。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、より低コストでワークの高さ位置を検出可能な切断装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う切断装置は、ワークを切断するように構成されている。この切断装置は、光源と、撮像部と、検出部とを備える。光源は、ワークに光のパターンを投影するように構成されている。撮像部は、光のパターンを撮像し、第1画像データを生成するように構成されている。検出部は、第1画像データに基づいてワークの高さ位置を検出するように構成されている。光源が光のパターンを投影する方向と、撮像部が光のパターンを撮像する方向とによって形成される角度は0°よりも大きい。
【0007】
また、本発明の他の局面に従う切断品の製造方法は、上記切断装置を用いた切断品の製造方法である。この切断品の製造方法は、ワークに光のパターンを投影するステップと、光のパターンを撮像し、画像データを生成するステップと、画像データに基づいてワークの高さ位置を検出するステップと、ワークの高さ位置に基づいてワークを切断し、切断品を製造するステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より低コストでワークの高さ位置を検出可能な切断装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】切断装置の一部の平面を模式的に示す図である。
【
図2】切断装置の一部の正面を模式的に示す図である。
【
図3】CCSブロックを用いた制御座標原点の検出手順を説明するための図である。
【
図4】撮像ユニットの構成を模式的に示す図である。
【
図6】ワークに投影される光のパターンの一例を示す図である。
【
図7】ワーク保持ユニット上に保持されたワークの正面を含む図である。
【
図8】ワークの上面の高さ位置によって光源により投影される光のパターンがどのように変化するかを示す図である。
【
図9】ワークに投影される光のパターンの例を説明するための図である。
【
図10】ワークに溝が形成されている場合にワークに投影される光のパターンの例を説明するための図である。
【
図11】ブレードによって溝が形成されたワークの部分断面を模式的に示す図である。
【
図12】摩耗したブレードによって溝が形成されている場合にワークに投影される光のパターンの例を説明するための図である。
【
図13】ワークに形成されたバリの一例を示す図である。
【
図14】端子にバリが形成されている場合にワークに投影される光のパターンの例を説明するための図である。
【
図15】ラバーに投影される光のパターンの例を説明するための図である。
【
図16】切断品の製造手順を示すフローチャートである。
【
図17】
図16のステップS110における具体的な処理内容を示すフローチャートである。
【
図18】ワークに形成された溝の深さの検出動作を示すフローチャートである。
【
図19】ブレードの摩耗状態の検出動作を示すフローチャートである。
【
図20】ワークに形成されたバリの有無の検出動作を示すフローチャートである。
【
図21】ワークに形成されたバリの高さの検出動作を示すフローチャートである。
【
図22】ラバーの劣化状態の検出動作を示すフローチャートである。
【
図23】他の実施の形態における、切断装置の一部の平面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
[1.切断装置の構成]
図1は、本実施の形態に従う切断装置10の一部の平面を模式的に示す図である。
図2は、切断装置10の一部の正面を模式的に示す図である。なお、
図1及び
図2において、矢印XYZの各々が示す方向は共通である。
【0012】
切断装置10は、ワークW1を切断することによって、ワークW1を複数の切断品に個片化するように構成されている(フルカット)。また、切断装置10は、ワークW1の一部を除去することによってワークW1に溝を形成するように構成されている(ハーフカット)。すなわち、切断装置10の名称(切断装置)に含まれる「切断」という用語の概念は、切断対象を複数に分離すること、及び、切断対象の一部を除去することを含む。ワークW1は、例えばパッケージ基板である。パッケージ基板においては、半導体チップが装着された基板又はリードフレームが樹脂封止されている。すなわち、ワークW1は、樹脂成形済み基板である。以下の説明では、ワークW1の封止側の面を「パッケージ面」、基板又はリードフレーム側の面を「基板面」とも記載する。
【0013】
パッケージ基板の一例としては、BGA(Ball Grid Array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip Size Package)パッケージ基板、LED(Light Emitting Diode)パッケージ基板、QFN(Quad Flat No-leaded)パッケージ基板が挙げられる。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、切断装置10は、切断ユニット100と、ワーク保持ユニット200と、CCS(Contact Cutter Set)ブロック300と、撮像ユニット400と、制御部500とを含んでいる。
【0015】
切断ユニット100は、ワークW1を切断するように構成されており、スピンドル部110と、スライダ103,104と、支持体105とを含んでいる。なお、切断装置10は、スピンドル部110とスライダ103,104との組を2組含むツインスピンドル構成であるが、スピンドル部110とスライダ103,104との組を1組のみ含むシングルスピンドル構成であってもよい。
【0016】
支持体105は、金属製の棒状部材であり、不図示のガイドに沿って矢印Y方向に移動するように構成されている。支持体105には、長手方向(矢印X方向)に延びるガイドG1が形成されている。
【0017】
スライダ104は、金属製で矩形状の板状部材であり、ガイドG1に沿って矢印X方向に移動可能な状態で支持体105に取り付けられている。スライダ104には、長手方向(矢印Z方向)に延びるガイドG2が形成されている。スライダ103は、金属製で矩形状の板状部材であり、ガイドG2に沿って高さ方向(矢印Z方向)に移動可能な状態でスライダ104に取り付けられている。
【0018】
スピンドル部110は、スピンドル部本体102と、スピンドル部本体102に取り付けられたブレード101とを含んでいる。ブレード101は、高速回転することによって、ワークW1を切断し、ワークW1を複数の切断品(半導体パッケージ)に個片化する。スピンドル部本体102は、スライダ103に取り付けられている。スピンドル部110は、スライダ103,104及び支持体105の移動に従って、切断装置10内の所望の位置に移動するように構成されている。
【0019】
ワーク保持ユニット200は、ワークW1を保持するように構成されており、切断テーブル201と、切断テーブル201上に配置されたラバー202とを含んでいる。本実施の形態においては、2個のワーク保持ユニット200を有するツインカットテーブル構成の切断装置10が例示されている。なお、ワーク保持ユニット200の数は、2つに限定されず、1つであっても3つ以上であってもよい。
【0020】
ラバー202は、ゴム製の板状部材であり、吸着部材の一例であって、ラバー202には複数の孔が形成されている。ラバー202上には、ワークW1が配置される。切断テーブル201は、ラバー202上に配置されたワークW1を下方のパッケージ面側から吸着することによってワークW1を保持する。切断テーブル201は、θ方向に回転可能である。ワークW1は、ワーク保持ユニット200によって保持された状態で、基板面側からスピンドル部110によって切断される。なお、ワーク保持ユニット200は、必ずしもラバー202を含む必要はなく、ラバー202の代わりに、上方に配置されたワークW1を下方のパッケージ面側から吸着する他の部材を含んでもよい。
【0021】
CCSブロック300は、スピンドル部110の高さ位置の制御における制御座標原点の検出のために用いられる。制御座標原点は、スピンドル部110の高さ方向における制御上の基準位置であり、例えば電気原点を含む。
【0022】
図3は、CCSブロック300を用いた制御座標原点の検出手順を説明するための図である。切断装置10においては、CCSブロック300の高さH1が予め記憶されている。
図3に示されるように、切断装置10においては、ブレード101をCCSブロック300に接触させることによって、スピンドル部110の高さ方向の制御座標原点が検出される。
【0023】
撮像ユニット400は、ワークW1が撮像ユニット400の下方に位置する状態で、ワークW1の上面に光のパターンを投影し、該光のパターンが投影されたワークW1の上面を撮像するように構成されている。撮像ユニット400は、上下方向(矢印Z方向)に移動可能となっている。撮像ユニット400によって生成された画像データに基づいて後述の各種検出が行なわれる。
【0024】
図4は、撮像ユニット400の構成を模式的に示す図である。
図4に示されるように、撮像ユニット400は、光源410と、撮像部420とを含んでいる。光源410は、ワークW1の上面に光のパターンを投影するように構成されている。撮像部420は、ワークW1の上面を撮像し、画像データを生成するように構成されている。すなわち、光源410はワークW1に光線を入射させ、撮像部420はワークW1で反射した光線を撮像する。
【0025】
光源410がワークW1の上面に光のパターンを投影する方向と、撮像部420がワークW1の上面を撮像する方向とによって形成される角度はA1である。角度A1は、0°よりも大きく、好ましくは30°-60°であり、さらに好ましくは40°-50°である。光源410は、ワークW1の上面の斜め上方からワークW1の上面に向かって光のパターンを投影する。撮像部420は、ワークW1の真上からワークW1の上面を撮像する。
【0026】
図5は、光源410の構成を模式的に示す図である。
図5に示されるように、光源410は、LED照明411と、光学系412とを含んでいる。LED照明411は、光学系412に向かって発光するように構成されている。
【0027】
光学系412は、投影レンズ413と、絞り414と、スリット部材415とを含んでいる。光学系412においては、LED照明411側から順に、スリット部材415、絞り414及び投影レンズ413が配置されている。投影レンズ413は、単位共役比デザインの両凸レンズで構成されている。絞り414は、投影レンズ413の焦点位置に配置されている。絞り414を投影レンズ413の焦点位置に配置することによって、テレセントリック照明が実現されている。スリット部材415には、線状のスリットが形成されている。スリットの大きさは、例えば、長さが2mm、幅が0.05mmである。
【0028】
図6は、ワークW1に投影される光のパターンの一例を示す図である。
図6に示されるように、LED照明411が光学系412に向かって発光すると、スリット部材415に形成されたスリットと同一形状(線状)の光パターンL1がワークW1上に投影される。
【0029】
再び
図1及び
図2を参照して、制御部500は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行なうように構成されている。制御部500は、例えば、切断ユニット100、ワーク保持ユニット200及び撮像ユニット400を制御するように構成されている。
【0030】
切断装置10においては、ワークW1のフルカット及びハーフカットが行なわれる。ハーフカットを通じてワークW1上に所望の深さの溝を形成するためには、ワークW1の高さ位置を高精度に検出する必要がある。切断装置10においては、ワークW1の高さ位置が高精度に検出される。また、切断装置10においては、ワークW1に形成された溝の深さ、ブレード101の摩耗状態、ワークW1に形成されたバリ、及び、ラバー202の劣化状態が検出される。次に、切断装置10において、ワークW1の高さ位置が検出される理由について説明する。
【0031】
[2.高さ位置の検出が必要な理由]
図7は、ワーク保持ユニット200上に保持されたワークW1の正面を含む図である。
図7に示されるように、ワークW1の切断時に、ラバー202は切断テーブル201の上面に配置されており、ワークW1はラバー202の上面に配置されている。
【0032】
切断装置10において、ワークW1の高さH2、及び、ラバー202の高さH3等の各部材の高さが設計段階の寸法値に基づいて予め記憶されていれば、ワークW1の高さ位置を必ずしも検出する必要はないとも考えられる。しかしながら、各部材の高さ情報は、必ずしも正確ではない。例えば、ラバー202は、切断テーブル201からの吸着によって撓んでいる可能性がある。また、ラバー202は、経時変化によって摩耗している可能性がある。また、ワークW1は、前の工程における熱等に起因して撓んでいる可能性がある。また、ワークW1は、スピンドル部110等の構成部品の加工による誤差等に起因して撓んでいる可能性がある。
【0033】
このように、様々な要因に起因して、各部材の実際の高さと予め記憶されている高さとが一致しない場合がある。したがって、ワークW1の実際の高さ位置を把握するためには、ワークW1の高さ位置を実際に検出する必要がある。
【0034】
[3.各種検出原理]
<3-1.高さ位置の検出原理>
図8は、ワークW1の上面の高さ位置によって光源410により投影される光のパターンがどのように変化するかを示す図である。
図8に示されるように、切断装置10において、ワークW1の上面の高さ位置が基準位置Z1である場合に、光源410によって発される光のパターンは位置A1に投影される。また、ワークW1の上面の高さ位置が位置Z1+αである場合に光のパターンは位置A2に投影され、ワークW1の上面の高さ位置が位置Z1-αである場合に光のパターンは位置A3に投影される。
【0035】
切断装置10においては、撮像ユニット400の高さ方向の基準位置Z2(不図示)が予め定められている。ワークW1の高さ位置の検出開始時点において、撮像ユニット400の高さ位置は基準位置Z2である。撮像ユニット400の高さ位置が基準位置Z2であり、かつ、ワークW1の上面の高さ位置が基準位置Z1である場合に、光のパターンのピントがワークW1の上面で合う。すなわち、切断装置10においては、そのような基準位置Z1,Z2が予め用意されている。切断装置10においては、基準位置Z1,Z2が予め記憶されている。
【0036】
図9は、ワークW1に投影される光のパターンの例を説明するための図である。
図9に示されるように、撮像ユニット400が基準位置Z2に存在し、かつ、ワークW1の上面が基準位置Z1に存在する場合に、ワークW1には光パターンL2が投影される。また、撮像ユニット400が基準位置Z2に存在し、かつ、ワークW1の上面が位置Z1-αに存在する場合に、ワークW1には光パターンL3が投影される。また、撮像ユニット400が基準位置Z2に存在し、かつ、ワークW1の上面が位置Z1+αに存在する場合に、ワークW1には光パターンL4が投影される。
【0037】
すなわち、ワークW1の上面の高さ位置に応じて、光のパターンの投影位置が変化する。これは、光源410がワークW1の上面に光のパターンを投影する方向と、撮像部420がワークW1の上面を撮像する方向とによって形成される角度が0°よりも大きいためである。
【0038】
撮像ユニット400が基準位置Z2に存在し、かつ、ワークW1の上面が基準位置Z1に存在する場合に、撮像部420によって撮像される画像における矢印Y方向の中心に光パターンL2が位置する。ワークW1の上面の高さ位置が基準位置Z1からずれることによって、光のパターンが投影される位置が矢印Y方向においてずれる。なお、光パターンL2のピントは合っている一方、光パターンL3,L4のピントは合っていない。
【0039】
上述のように、ワークW1の上面の高さ位置の検出開始時において、撮像ユニット400の高さ位置は基準位置Z2である。この場合に、制御部500は、撮像部420によって撮像された画像の矢印Y方向の中心に光のパターンが投影されているときは、ワークW1の上面の高さ位置が基準位置Z1であると特定する。一方、制御部500は、撮像部420によって撮像された画像の矢印Y方向の中心からずれた位置に光のパターンが投影されているときは、光のパターンが中心に移動するように撮像ユニット400の高さ位置を調整する。切断装置10においては、撮像ユニット400の移動量とワークW1の上面の高さ位置との関係が予め記憶されている。制御部500は、撮像ユニット400の高さ方向(矢印Z方向)における移動量に基づいて、ワークW1の上面の高さ位置を算出する。以上の方法によって、ワークW1の上面の高さ位置が検出される。
【0040】
<3-2.溝の深さの検出原理>
図10は、ワークW1に溝GR1が形成されている場合にワークW1に投影される光のパターンの例を説明するための図である。
図10に示されるように、ワークW1の上面には、矢印Y方向に延びる溝GR1が形成されている。
【0041】
光源410は、ワークW1の上面の溝GR1を跨ぐ領域に光パターンL5を投影するように構成されている。光パターンL5は、溝GR1が延びる方向とは略垂直な方向に延びている。なお、光パターンL5が延びる方向は、必ずしも溝GR1が延びる方向と略垂直である必要はない。光パターンL5が溝GR1を跨いでいればよい。光パターンL5は、部分P1,P2,P3を含んでいる。部分P1,P3は溝GR1以外のワークW1の上面に投影され、部分P2は溝GR1に投影される。溝GR1以外のワークW1の上面の高さ位置と、溝GR1の高さ位置とが異なるため、部分P1,P3と部分P2とは矢印Y方向において異なる位置に投影される。
【0042】
制御部500は、例えば、撮像部420によって撮像された画像の矢印Y方向の中心に部分P1,P3が移動するように撮像ユニット400の高さ位置を調整する。その後、制御部500は、部分P2が矢印Y方向の中心に移動するように撮像ユニット400の高さ位置を調整する。制御部500は、部分P2を矢印Y方向の中心に移動させたときの撮像ユニット400の高さ方向における移動量に基づいて溝GR1の深さを算出する。以上の方法によって、溝GR1の深さが検出される。なお、この例では、部分P1,P3を先に画像の矢印Y方向の中心に移動させたが、部分P2を先に矢印Y方向の中心に移動させてもよい。
【0043】
<3-3.ブレードの摩耗状態の検出原理>
図11は、ブレード101によって溝GR2が形成されたワークW1の部分断面を模式的に示す図である。
図11に示されるように、仮にブレード101が摩耗していなければ、ワークW1には溝GR21が形成されるはずである。すなわち、ブレード101の側面が摩耗によって薄くなっていなければ、ワークW1には溝GR21が形成されるはずである。溝GR21の側壁は、ワークW1の上面から略垂直に下方に延びている。一方、ブレード101が摩耗して、ブレード101の側面が薄くなっている場合には、例えば、ワークW1に溝GR2が形成される。溝GR2の側壁は、ワークW1の上面からなだらかに傾斜して下方に延びている。
【0044】
図12は、摩耗したブレード101によって溝GR2が形成されている場合にワークW1に投影される光のパターンの例を説明するための図である。
図12に示されるように、ワークW1の上面には、矢印Y方向に延びる溝GR2が形成されている。
【0045】
光源410は、ワークW1の上面の溝GR2を跨ぐ領域に光パターンL6を投影するように構成されている。光パターンL6は、溝GR2が延びる方向とは略垂直な方向に延びている。なお、光パターンL6が延びる方向は、必ずしも溝GR2が延びる方向と略垂直である必要はない。光パターンL6が溝GR2を跨いでいればよい。光パターンL6は、部分P4,P5,P6,P7,P8を含んでいる。部分P4,P8は溝GR2以外のワークW1の上面に投影され、部分P5,P6,P7は溝GR2に投影される。
【0046】
溝GR2以外のワークW1の上面の高さ位置と、溝GR2の高さ位置とが異なるため、部分P4,P8と部分P5,P6,P7とは矢印Y方向において異なる位置に投影される。特に、溝GR2の側壁がなだらかであるため、部分P5は部分P4から斜め方向に延びて徐々に部分P6に向かい、部分P7は部分P8から斜め方向に延びて徐々に部分P6に向かっている。
【0047】
制御部500は、例えば、撮像部420によって撮像された画像に基づいて、部分P5,P7の傾きを検出する。制御部500は、部分P5,P7の傾きが所定よりなだらかである場合にブレード101が摩耗していると判定し、そうでない場合にブレード101が摩耗していないと判定する。
【0048】
制御部500は、例えば、部分P4と部分P5との接続部分におけるX座標(矢印X方向における座標)と、部分P5と部分P6との接続部分におけるX座標との差が所定値以上である場合に部分P5の傾きがなだらかであると判定する。なお、制御部500は、部分P5,P7の両方の傾きがなだらかな場合にブレード101が摩耗していると判定してもよいし、部分P5,P7の少なくとも一方の傾きがなだらかな場合にブレード101が摩耗していると判定してもよい。以上の方法によって、ブレード101の摩耗状態が検出される。
【0049】
<3-4.バリに関する検出原理>
例えば、ワークW1が金属製リードフレームを用いたQFNパッケージ基板であるような場合に、ワークW1の切断によってワークW1の金属端子部分にバリが発生することがある。
【0050】
図13は、ワークW1に形成されたバリの一例を示す図である。
図13に示されるように、ワークW1においては、端子510にバリ511が形成されている。端子510は金属製である。
【0051】
図14は、端子510にバリ511が形成されている場合にワークW1に投影される光のパターンの例を説明するための図である。
図14に示されるように、ワークW1の上面には、矢印Y方向に延びる溝GR3が形成されている。ワークW1においては、溝GR3に沿って、複数の端子510が並んでいる。
【0052】
光源410は、ワークW1の上面の溝GR3及び端子510を跨ぐ領域に光パターンL7を投影するように構成されている。光パターンL7は、溝GR3が延びる方向と略垂直な方向に延びている。なお、光パターンL7が延びる方向は、必ずしも溝GR3が延びる方向と略垂直である必要はない。光パターンL7が溝GR3を跨いでいればよい。光パターンL7は、部分P9,P10,P11を含んでいる。部分P9,P11は溝GR3以外のワークW1の上面に投影され、部分P10は溝GR3に投影される。
【0053】
端子510にバリ511が形成されており、バリ511が形成されていない部分よりもバリ511部分が隆起しているため、部分P9,P11の投影位置は、バリ511付近で矢印Y方向においてずれている。
【0054】
制御部500は、例えば、撮像部420によって撮像された画像に基づいて、ワークW1の上面に形成された端子510部分において隆起した部分があるか否かを判定する。制御部500は、例えば、部分P9,P11の投影位置が端子510付近で矢印Y方向において所定量以上ずれているか否かに基づいて、端子510部分において隆起した部分があるか否かを判定する。制御部500は、隆起した部分があると判定された場合に、ワークW1にバリ511が形成されていると判定する。以上の方法によって、ワークW1に形成されたバリ511が検出される。
【0055】
また、切断装置10においては、ワークW1におけるバリ511の有無の検出のみならず、バリ511の高さの検出も行なわれる。次に、バリ511の高さの検出原理について説明する。制御部500は、例えば、部分P9のうち溝GR3から所定量離れた位置(部分P9のうち矢印Y方向にずれていない位置)が撮像部420によって撮像された画像の矢印Y方向の中心に移動するように撮像ユニット400の高さ位置を調整する。その後、制御部500は、部分P9のうち矢印Y方向に最もずれている位置(バリ511が最も隆起している位置)が矢印Y方向の中心に移動するように撮像ユニット400の高さ位置を調整する。制御部500は、部分P9のうち矢印Y方向に最もずれている位置を矢印Y方向の中心に移動させたときの撮像ユニット400の高さ方向における移動量に基づいてバリ511の高さを算出する。以上の方法によって、バリ511の高さが検出される。なお、この例では、部分P9のうち溝GR3から所定量離れた位置を先に画像の矢印Y方向の中心に移動させたが、部分P9のうち矢印Y方向に最もずれている位置を先に矢印Y方向の中心に移動させてもよい。
【0056】
<3-5.ラバーの劣化状態の検出原理>
上述のように、切断装置10においては、ワークW1のフルカットも行なわれる。ワークW1のフルカットを通じて、ワークW1が載置されているラバー202が劣化する。
【0057】
図15は、ラバー202に投影される光のパターンの例を説明するための図である。
図15に示されるように、ラバー202には、ワークW1のフルカットを通じて、例えば、溝GR4,GR5が形成される。溝GR4,GR5の各々は、矢印Y方向に延びている。ラバー202には、ワークW1を吸引するための複数の孔B1が形成されている。
【0058】
光源410は、ラバー202の上面の溝GR4,GR5を跨ぐ領域に光パターンL8を投影するように構成されている。光パターンL8は、溝GR4,GR5が延びる方向と略垂直な方向に延びている。なお、光パターンL8が延びる方向は、必ずしも溝GR4,GR5が延びる方向と略垂直である必要はない。光パターンL8が溝GR4,GR5を跨いでいればよい。光パターンL8は、部分P12,P13,P14,P15,P16,P17を含んでいる。部分P12,P14,P15,P17は、溝GR4,GR5以外のラバー202の上面に投影される。部分P13は溝GR4に投影され、部分P16は溝GR5に投影される。
【0059】
溝GR4,GR5等以外のラバー202の上面の面積が狭くなると、ワークW1とラバー202との接触面積が小さくなるため、ワークW1の吸着が不安定になる。すなわち、部分P12,P14,P15,P17等が短くなると、ワークW1の吸着が不安定になる。
【0060】
制御部500は、例えば、部分P12,P14,P15,P17等の長さが所定よりも短い場合に、ラバー202が劣化していると判定する。なお、制御部500は、部分P12,P14,P15,P17等のすべてが所定よりも短い場合にラバー202が劣化していると判定してもよいし、部分P12,P14,P15,P17等の少なくとも一部が所定よりも短い場合にラバー202が劣化していると判定してもよい。また、制御部500は、部分P13,P16等が所定よりも長い場合にラバー202が劣化していると判定してもよい。この場合においても、制御部500は、部分P13,P16等のすべてが所定よりも長い場合にラバー202が劣化していると判定してもよいし、部分P13,P16等の少なくとも一部が所定よりも長い場合にラバー202が劣化していると判定してもよい。以上の方法によって、ラバー202の劣化状態が検出される。
【0061】
[4.動作]
<4-1.切断品の製造手順>
図16は、切断品の製造手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、切断対象のワークW1が準備された後に、制御部500によって実行される。
【0062】
図16を参照して、制御部500は、スピンドル部110の高さ方向における制御座標原点を検出するために、ブレード101をCCSブロック300に接触させるようにスピンドル部110を制御する(ステップS100)。制御部500は、ワーク保持ユニット200上に保持されたワークW1の上面の複数箇所における高さ位置を検出するように撮像ユニット400を制御する(ステップS120)。なお、この時点で、ワークW1は、撮像ユニット400の下方に位置している。
【0063】
図17は、
図16のステップS110における具体的な処理内容を示すフローチャートである。
図17を参照して、制御部500は、ワークW1の上面に光のパターンを投影するように撮像ユニット400を制御する(ステップS200)。制御部500は、撮像ユニット400によって撮像された画像の矢印Y方向(
図9等参照)の中心(以下、単に「画像の中心」とも称する。)に光のパターンが位置しているか否かを判定する(ステップS210)。
【0064】
画像の中心に光のパターンが位置していると判定されると(ステップS210においてYES)、制御部500は、ワークW1の高さ位置が基準位置Z1であると特定する(ステップS220)。
【0065】
一方、画像の中心に光のパターンが位置していないと判定されると(ステップS210においてNO)、制御部500は、光のパターンの位置が画像の中心に移動するように撮像ユニット400を上下方向に移動させる(ステップS230)。制御部500は、撮像ユニット400の移動量に基づいてワークW1の高さ位置を算出する(ステップS240)。
【0066】
制御部500は、予定しているすべての箇所の高さ位置が検出済みか否かを判定する(ステップS250)。予定しているすべての箇所の高さ位置が検出済みであると判定されると(ステップS250においてYES)、このフローチャートに示される処理は終了する。一方、予定しているすべての箇所の高さ位置が検出済みでないと判定されると(ステップS250においてNO)、制御部500は、ワーク保持ユニット200の位置を調整した後に、ステップS200-S250の処理を繰り返す。
【0067】
再び
図16を参照して、ステップS110の処理が終了すると、制御部500は、ワークW1の高さ位置の測定結果に基づいてスピンドル部110の高さ位置を調整する(ステップS120)。制御部500は、スピンドル部110の高さ位置を調整しながら、ワークW1の切断を行なうようにスピンドル部110を制御する(ステップS130)。このような処理を通じて、ワークW1の切断が行なわれる。
【0068】
<4-2.溝の深さの検出動作>
図18は、ワークW1に形成された溝の深さの検出動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、上面に溝が形成されたワークW1が撮像ユニット400の下方に位置している状態で、制御部500によって実行される。
【0069】
図18を参照して、制御部500は、ワークW1の上面の溝を含む領域に光のパターンを投影するように撮像ユニット400を制御する(ステップS300)。制御部500は、溝以外のワークW1の上面に投影された光のパターンが撮像ユニット400によって撮像された画像の中心に位置しているか否かを判定する(ステップS310)。
【0070】
溝以外のワークW1の上面に投影された光のパターンが画像の中心に位置していないと判定されると(ステップS310においてNO)、制御部500は、光のパターンの位置が画像の中心に移動するように撮像ユニット400を上下方向に移動させる(ステップS320)。一方、溝以外のワークW1の上面に投影された光のパターンが画像の中心に位置していると判定されると(ステップS310においてYES)、処理はステップS330に移行する。
【0071】
その後、制御部500は、溝に投影された光のパターンの位置が画像の中心に移動するように撮像ユニット400を上下方向に移動させる(ステップS330)。制御部500は、ステップS330における撮像ユニット400の移動量に基づいてワークW1に形成されている溝の深さを算出する(ステップS340)。
【0072】
<4-3.ブレードの摩耗状態の検出動作>
図19は、ブレード101の摩耗状態の検出動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、上面に溝が形成されたワークW1が撮像ユニット400の下方に位置している状態で、制御部500によって実行される。
【0073】
図19を参照して、制御部500は、ワークW1の上面の溝を含む領域に光のパターンを投影するように撮像ユニット400を制御する(ステップS400)。制御部500は、撮像ユニット400によって撮像された画像に基づいて、例えば、
図12に示される部分P4(右寄りの線)と、部分P6(左寄りの線)とを接続する部分P5(接続部分)を検出する(ステップS410)。
【0074】
制御部500は、部分P5(接続部分)の傾きが所定よりなだらかか否かを判定する(ステップS420)。部分P5の傾きが所定よりなだらかであると判定されると(ステップS420においてYES)、制御部500は、ブレード101の側面が摩耗していると判定する(ステップS430)。一方、部分P5の傾きが所定よりなだらかでないと判定されると(ステップS420においてNO)、制御部500は、ブレード101の側面が摩耗していないと判定する(ステップS440)。
【0075】
<4-4.バリに関する検出動作>
図20は、ワークW1に形成されたバリ511の有無の検出動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、切断されたワークW1が撮像ユニット400の下方に位置している状態で、制御部500によって実行される。
【0076】
図20を参照して、制御部500は、ワークW1の上面の端子510含む領域に光のパターンを投影するように撮像ユニット400を制御する(ステップS500)。
【0077】
制御部500は、撮像ユニット400によって撮像された画像に基づいて、端子510において隆起した領域があるか否かを判定する(ステップS510)。隆起した領域があると判定されると(ステップS510においてYES)、制御部500は、ワークW1にバリ511が形成されていると判定する(ステップS520)。一方、隆起した領域がないと判定されると(ステップS510においてNO)、制御部500は、ワークW1にバリ511が形成されていないと判定する(ステップS530)。
【0078】
図21は、ワークW1に形成されたバリ511の高さの検出動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、切断されたワークW1が撮像ユニット400の下方に位置している状態で、制御部500によって実行される。
【0079】
図21を参照して、制御部500は、ワークW1の上面の端子510を含む領域に光のパターンを投影するように撮像ユニット400を制御する(ステップS600)。制御部500は、光のパターンのうち溝GR3(
図14)から所定量離れた部分(
図14において、部分P9のうち矢印Y方向にずれていない部分)が撮像ユニット400によって撮像された画像の中心に位置しているか否かを判定する(ステップS610)。
【0080】
光のパターンのうち溝GR3から所定量離れた部分が画像の中心に位置していないと判定されると(ステップS610においてNO)、制御部500は、光のパターンのうち溝GR3から所定量離れた部分が画像の中心に移動するように撮像ユニット400を上下方向に移動させる(ステップS620)。一方、光のパターンのうち溝GR3から所定量離れた部分が画像の中心に位置していると判定されると(ステップS610においてYES)、処理はステップS630に移行する。
【0081】
その後、制御部500は、光のパターンのうちバリ511の最も隆起している箇所に投影された部分(
図14において、部分P9のうち矢印Y方向に最もずれた部分)が画像の中心に移動するように撮像ユニット400を上下方向に移動させる(ステップS630)。制御部500は、ステップS630における撮像ユニット400の移動量に基づいてバリ511の高さを算出する(ステップS640)。
【0082】
<4-5.ラバーの劣化状態の検出動作>
図22は、ラバー202の劣化状態の検出動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、上面にワークW1が載置されていないラバー202が撮像ユニット400の下方に位置している状態で、制御部500によって実行される。
【0083】
図22を参照して、制御部500は、ラバー202の上面に光のパターンを投影するように撮像ユニット400を制御する(ステップS700)。制御部500は、撮像ユニット400によって撮像された画像に基づいて、溝以外のラバー202の上面に投影されたライン状の光のパターンを検出する(ステップS710)。
【0084】
制御部500は、溝以外のラバー202の上面に投影されたライン状の光のパターンが所定よりも短いか否かを判定する(ステップS720)。光のパターンが所定よりも短いと判定されると(ステップS720においてYES)、制御部500は、ラバー202が劣化していると判定する(ステップS630)。一方、光のパターンが所定よりも短くないと判定されると(ステップS720においてNO)、制御部500は、ラバー202が劣化していないと判定する(ステップS640)。
【0085】
[5.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う切断装置10においては、光源410がワークW1に光のパターンを投影する方向と、撮像部420が光のパターンを撮像する方向とによって形成される角度が0°よりも大きい。したがって、ワークW1の上面の高さ位置に応じて、ワークW1の上面における光のパターンの投影位置が変化する。そのため、切断装置10によれば、高価な部品を用いることなく、光のパターンの投影位置に基づいて、ワークW1の上面の高さ位置を検出することができる。
【0086】
また、切断装置10が上記のような特徴を有するため、切断装置10によれば、高価な部品を用いることなく、ワークW1に投影される光のパターンの形状に基づいて、ブレード101の摩耗状態を検出することができる。
【0087】
また、切断装置10が上記のような特徴を有するため、切断装置10によれば、高価な部品を用いることなく、ワークW1に投影される光のパターンの形状に基づいて、ワークW1に形成されたバリ511に関する検出を行なうことができる。
【0088】
また、切断装置10が上記のような特徴を有するため、切断装置10によれば、高価な部品を用いることなく、ラバー202に投影される光のパターンの形状に基づいて、ラバー202の劣化状態を検出することができる。
【0089】
[6.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0090】
上記実施の形態において、光源410によって投影される光のパターンは線状であった。しかしながら、光のパターンの形状はこれに限定されない。光のパターンの形状は、例えば、円状であってもよいし、多角形状であってもよい。
【0091】
また、上記実施の形態において、切断装置10は、ワークW1の高さ位置の検出機能、ワークW1に形成された溝の深さの検出機能、ブレード101の劣化状態の検出機能、ワークW1に形成されたバリ511の検出機能、及び、ラバー202の劣化状態の検出機能を有していた。しかしながら、切断装置10は、必ずしもすべての機能を有している必要はない。切断装置10は、例えば、上記機能のうち、一部の機能のみを有していてもよい。
【0092】
また、上記実施の形態においては、スピンドル部110が矢印XY方向に移動することとした。しかしながら、スピンドル部110は、必ずしも矢印XY方向に移動しなくてもよい。例えば、スピンドル部110が矢印XY方向に移動しない代わりに、ワーク保持ユニット200が矢印XY方向に移動することにより、ワークW1をスピンドル部110の下方の切断位置に搬送するようにしてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態においては、CCSブロック300を用いることによって、スピンドル部110の高さ方向における制御座標原点が検出された。しかしながら、スピンドル部110の高さ方向における制御座標原点は、必ずしもCCSブロック300を用いることによって検出されなくてもよい。スピンドル部110の高さ方向における制御座標原点は、例えば、ブレード101の接触を検出するタッチセンサ等を用いることによって検出されてもよい。また、制御座標原点の検出時にCCSブロック300等に接触する部分は、必ずしもブレード101である必要はない。例えば、スピンドル部110のブレード101以外の部分がCCSブロック300等に接触してもよい。
【0094】
また、上記実施の形態に従う切断装置10においては、上記各種機能を実現するために、別途撮像ユニット400が設けられた。しかしながら、上記各種機能を実現するために、必ずしも別途撮像ユニット400が設けられる必要はない。
【0095】
図23は、切断装置10Aの一部の平面を模式的に示す図である。
図23に示されるように、切断装置10Aは、上記実施の形態における撮像ユニット400を含んでいない。
【0096】
切断装置10Aは、第1位置確認カメラ700と、第2位置確認カメラ800とを含んでいる。第1位置確認カメラ700及び第2位置確認カメラ800は、
図1においては不図示であった。ワークW1の上面には、所定のマークがプリントされている。このマークは、例えば、ワークW1の切断位置を示す。第1位置確認カメラ700は、ワークW1を撮像し、画像データを生成する。制御部500は、画像データが示すマークの位置に基づいて、ワーク保持ユニット200におけるワークW1の位置、及び、ワークW1の切断位置を確認する。第1位置確認カメラ700による撮像は、ワークW1の切断前に行なわれる。
【0097】
また、第2位置確認カメラ800は、切断後のワークW1を撮像し、画像データを生成する。制御部500は、生成された画像データに基づいて、ワーク保持ユニット200におけるワークW1の位置、並びに、ワークW1における切断位置及び切断幅等を確認する。第2位置確認カメラ800によって生成された画像データに基づいて、ワークW1における切断位置及び切断幅等に問題がないかが判定される。
【0098】
例えば、第1位置確認カメラ700又は第2位置確認カメラ800が、上記実施の形態における撮像ユニット400の構成を含んでいてもよい。このように、既存のカメラに撮像ユニット400の構成が含まれることによって、コスト低減及び省スペースを実現することができる。
【0099】
また、例えば、第1位置確認カメラ700が撮像ユニット400の構成を含む場合には、ワークW1の切断位置の確認時に、あわせてワークW1の高さ位置が検出されるため、ワークW1の切断位置におけるワークW1の高さ位置がより正確に検出される。
【0100】
また、例えば、第2位置確認カメラ800が撮像ユニット400の構成を含む場合には、ワークW1のバリに関する検出、又は、ブレード101の側面の摩耗状態に関する検出等のワークW1の切断後に行なわれる検出を最低限のワークW1の移動で実現することができる。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0102】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 切断装置、100 切断ユニット、101 ブレード、102 スピンドル部本体、103,104 スライダ、105 支持体、110 スピンドル部、200 ワーク保持ユニット、201 切断テーブル、202 ラバー(吸着部材の一例)、300 CCSブロック、400 撮像ユニット、410 光源、411 LED照明、412 光学系、413 投影レンズ、414 絞り、415 スリット部材、420 撮像部、500 制御部(検出部の一例)、510 端子、511 バリ、700 第1位置確認カメラ、800 第2位置確認カメラ、G1,G2 ガイド、B1 孔、L1-L8 光パターン、P1-P17 部分、GR1-GR5 溝、W1 ワーク。