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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ハンドルスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   B62K 23/02 20060101AFI20240801BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20240801BHJP
   B62J 6/16 20200101ALN20240801BHJP
【FI】
B62K23/02
B62J45/00
B62J6/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020133826
(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公開番号】P2022030076
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】冨永 祐介
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄一
(72)【発明者】
【氏名】木村 紀任
(72)【発明者】
【氏名】山手 直之
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-121836(JP,A)
【文献】中国実用新案第204688325(CN,U)
【文献】中国実用新案第207389431(CN,U)
【文献】国際公開第2015/059730(WO,A1)
【文献】特開2019-127251(JP,A)
【文献】特開2013-105697(JP,A)
【文献】特開2017-103942(JP,A)
【文献】特開2015-044465(JP,A)
【文献】特開2004-224192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 21/00 - 23/08
B62J 1/00 - 99/00
B60R 9/00 - 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルバーに取り付けられ、
スイッチが設けられるスイッチハウジングと、前記スイッチハウジングに設けられて外部機器へ電力を供給する接続端子と、を備え、
前記接続端子は前記車両の幅方向に関して内側を指向し、
前記接続端子は前記スイッチハウジングの内部においてケースに覆われ、
前記ケースは、コネクタを前記接続端子へ差し込む際、前記コネクタを前記接続端子へガイドするように、前記スイッチハウジングから突出する突出部を有し、
前記突出部の先端には開口部と、該開口部を囲むフランジが形成され、
前記フランジは前記スイッチハウジングから離間し、
前記ケースに覆われる接続端子への被水を防ぎ、且つ前記突出部の開口部を覆う、前記ケースへ着脱自在な防水蓋をさらに備えるハンドルスイッチ装置。
【請求項2】
前記接続端子は前記ハンドルバーよりも下方に配置される請求項1に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項3】
前記接続端子は前記ハンドルバーよりも上方又は車両後方側に配置される請求項1に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項4】
前記接続端子は前記ハンドルバーよりも車両前方に位置する請求項1に記載のハンドルスイッチ装置。
【請求項5】
前記ケースの突出部の前記スイッチハウジングからの突出量は5mm以下である請求項1に記載のハンドルスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のハンドルバーに取付けられるハンドルスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鞍乗り型車両、例えば、二輪車において、ナビゲーションアプリがインストールされたモバイル機器をナビゲーション装置として用いることが多い。この場合、ハンドルバーへマウントを介してモバイル機器を車両へ取り付けるが、運転中、ナビゲーションアプリは使用し続けられるため、電力消費量が嵩んでモバイル機器のバッテリーの蓄電量が0となる可能性がある。
【0003】
そこで、ナビゲーションアプリの使用中は車両のバッテリーや発電機から常時、電力をモバイル機器へ供給する。モバイル機器へ電力を供給する方法としては、例えば、変圧器を納めるパイプ状の充電アダプタを車両に取り付け、変圧器を車両電源へ接続するとともに、変圧器に接続された接続端子から電源コードを介してモバイル機器へ電力を供給する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の方法は、充電アダプタを別途準備し、さらに充電アダプタを、例えば、トップブリッジへねじ等によって固定する必要があるため、ユーザにとって使い勝手のよいものではない。また、トップブリッジの近辺には車両のイメージに合わせたデジタルメータ等が配置されるため、パイプ状の充電アダプタを配置するとデザインの統一性が欠け、ハンドル周りの見栄えが悪くなるおそれもある。
【0005】
そこで、例えば、スクーター型の二輪車において、フロントレッグシールドの物品収納部内に電源ソケットを設け、当該電源ソケットから電源コードを介してモバイル機器へ電力を供給する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
特許文献2記載の方法では、充電アダプタを車体へ取り付ける必要がないため、電力供給に際してユーザの手を煩わすことが無く、また、電源コードも物品収納部内にほぼ収納されるため、見栄えが悪くなることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-159677号公報
【文献】特開2014-80181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2記載の方法では、物品収納部内において電源ソケットへ電源コードが接続されるため、電源コードが電源ソケットへ確実に接続されているか否かをユーザは容易に確認することができない。
【0009】
本発明の目的は、電力供給に際してユーザの手を煩わすことが無く、且つユーザが電源コードの接続状態を容易に確認することができるハンドルスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のハンドルスイッチ装置は、車両のハンドルバーに取り付けられ、スイッチが設けられるスイッチハウジングと、前記スイッチハウジングに設けられて外部機器へ電力を供給する接続端子と、を備え、前記接続端子は前記車両の幅方向に関して内側を指向し、前記接続端子は前記スイッチハウジングの内部においてケースに覆われ、前記ケースは、コネクタを前記接続端子へ差し込む際、前記コネクタを前記接続端子へガイドするように、前記スイッチハウジングから突出する突出部を有し、前記突出部の先端には開口部と、該開口部を囲むフランジが形成され、前記フランジは前記スイッチハウジングから離間し、前記ケースに覆われる接続端子への被水を防ぎ、且つ前記突出部の開口部を覆う、前記ケースへ着脱自在な防水蓋をさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両のハンドルバーに取り付けられるハンドルスイッチ装置が外部機器へ電力を供給する接続端子を備えるため、電力供給に際して充電アダプタ等を設ける必要が無く、ユーザの手を煩わすことが無い。また、接続端子は車両の幅方向に関して内側を指向するため、車両の中心線上に着座するユーザは接続端子と外部機器の電源コードの接続状態を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係るハンドルスイッチ装置の外観を概略的に示す斜視図である。
図2】USBポートの指向方向を説明するための平面図である。
図3】フロントハウジングを取り除いた状態でハンドルスイッチ装置を運転手側から眺めた図である。
図4】ハンドルスイッチ装置が備える防水蓋を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るハンドルスイッチ装置10の外観を概略的に示す斜視図である。図1において、ハンドルスイッチ装置10は、円筒状のハンドルバー11(破線で示す。)に取り付けられるケース状のスイッチハウジング12を備える。スイッチハウジング12には、例えば、ユーザである運転手の操作入力を受け付けるウィンカスイッチ13と、ホーンスイッチ14と、ディマースイッチ15とが設けられる。
【0015】
また、スイッチハウジング12は、車両の進行方向(以下、「車両前方」ともいう。)に関して運転手側に配置されるフロントハウジング16と、車両の進行方向に関して運転手と反対側(以下、「車両後方側」ともいう。)に配置されるリアハウジング17とを有する。フロントハウジング16とリアハウジング17は2つのビス(図示しない)によって互いに締結されることにより、ハンドルバー11を挟み込んで該ハンドルバー11に取り付けられる。
【0016】
さらに、ハンドルスイッチ装置10は、USB(Universal Serial Bus)規格に従う接続端子であるUSBポート18を備える。USBポート18はスイッチハウジング12に収納された、変圧器等の電子部品を有する基板(図示しない)に設けられ、該基板を介して車両電源、例えば、バッテリーや発電機に接続される。なお、USBポート18と車両電源の間に介在する変圧器等の電子部品は、車両の車体に収納された他の基板、例えば、車両制御用ECUとして車両に実装されている基板に搭載されてもよい。
【0017】
そして、USBポート18は、USBポート18へ挿入された電源コード19のUSBコネクタ20を介して、外部機器へ電力を供給する。USBポート18は、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、ハンドルバー11の周辺に配置される。
【0018】
例えば、USBポート18は、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、ハンドルバー11よりも下方に配置される。この場合、ハンドルバー11が雨除けとして機能し、USBポート18が雨等によって被水するのを防ぎ、USBポート18へ雨水等が侵入するのを抑制することができる。なお、この場合、運転手はハンドルバー11の斜め後方からUSBポート18を眺めることになるため、USBポート18がハンドルバー11よりも下方に位置しても、ハンドルバー11によって運転手からUSBポート18が隠されることはない。
【0019】
USBポート18が電力を供給する外部機器としては、例えば、小型のナビゲーション装置、電子料金収受システムの車載器、スマートフォン等のモバイル機器、アクションカメラ、インターコム、ドライブレコーダー、高度計やヒートウォーマーが該当する。
【0020】
また、USBポート18は、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、車両21の幅方向に関して内側を指向する。図2は、USBポート18の指向方向を説明するための平面図である。図2ではバーハンドル型の自動二輪車である車両21が示される。
【0021】
図2において、ハンドルスイッチ装置10のUSBポート18の位置は「●」で示される。そして、本実施の形態における車両21の幅方向に関する内側とは車両21の中心線C側であり、「車両21の幅方向に関して内側を指向する」とは、車両21の直進状態、つまり、ハンドルが切られていない状態において、中心線Cに対して0°乃至180°の範囲(図中の矢印で示す範囲)をUSBポート18が指向する状態を示す。したがって、車両21の中心線C上に着座する運転手はUSBポート18と向き合うことができ、USBポート18を容易に視認することができる。
【0022】
図3は、フロントハウジング16を取り除いた状態でハンドルスイッチ装置10を運転手側から眺めた図である。USBポート18周りの構造の理解を容易にするために、図3では、スイッチハウジング12に収容される構造の一部が省略される。
【0023】
図3において、USBポート18は、スイッチハウジング12の内部において、ケース22に覆われる。ケース22の一端は開口し、USBポート18を露出させる。また、ケース22の開口部を有する一端はスイッチハウジング12の側面12aから車両21の幅方向に関して内側に向けて突出する。ケース22のスイッチハウジング12の側面12aからの突出量Lは5mm以下である。なお、ケース22が設けられない場合、USBポート18の一端をスイッチハウジング12の側面12aから車両21の幅方向に関して内側に向けて突出させてもよい。
【0024】
また、図3に示すように、USBポート18は、電源コード19のUSBコネクタ20の差し込み方向23(図中矢印で示す)がハンドルバー11の中心線Cと略平行となるように配置される。ここでの「略平行」とは、中心線Cに対して差し込み方向23のなす角度が±5°に収まる状態を言う。
【0025】
さらに、ハンドルスイッチ装置10は、図4に示すように、USBポート18のケース22へ着脱自在な防水蓋24を備える。防水蓋24は、ラバー等の防水性の軟部材によって成形される。USBポート18へUSBコネクタ20が差し込まれていない場合、防水蓋24はスイッチハウジング12の側面12aから突出するケース22の開口部を覆うことができる。なお、ケース22が設けられない場合、防水蓋24はUSBポート18の一端を覆う。
【0026】
本実施の形態によれば、ハンドルスイッチ装置10がUSBポート18を備えるため、外部機器への給電のために充電アダプタ等を設ける必要が無く、運転手の手を煩わすことが無い。また、ハンドルスイッチ装置10は車両21の内部へ格納されることがなく、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11へ取り付けられた状態において、USBポート18は車両21の幅方向に関して内側を指向するため、車両21の中心線C上に着座する運転手はUSBポート18と外部機器の電源コード19の接続状態を容易に確認することができる。さらに、トップブリッジ25等に充電アダプタ等を設けること無いため、ハンドル周りの見栄えが悪くなるのを防止することができる。
【0027】
また、通常、外部機器はハンドルバー11よりも車両21の幅方向に関して内側に位置するトップブリッジ25やガソリンタンク26へマウント等を介して取り付けられるが、本実施の形態では、USBポート18が、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、車両21の幅方向に関して内側を指向するため、USBポート18と接続される電源コード19を引き回し易い。これにより、電源コード19のUSBコネクタ20のUSBポート18へ差し込みが行い易くなるとともに、電源コード19の配線形態をシンプルにすることができ、見栄えの悪化を防止することができる。
【0028】
さらに、本実施の形態では、USBポート18はケース22で覆われ、ケース22はスイッチハウジング12の側面12aから突出するため、スイッチハウジング12の側面12aを伝う雨水等がUSBポート18へ侵入するのを防止することができる。特に、USBポート18へUSBコネクタ20が差し込まれていない場合、ケース22の開口部は防水蓋24で覆われるため、USBポート18へ水や塵芥が侵入するのを確実に防止することができる。
【0029】
また、本実施の形態では、ケース22の一端がスイッチハウジング12の側面12aから車両21の幅方向に関して内側に向けて突出するため、該突出する一端がUSBコネクタ20をガイドする。これにより、USBコネクタ20のUSBポート18への差し込みを行い易くすることができる。特に、運転手はUSBポート18を直接目視しなくても、突出するケース22の一端を探ることにより、USBコネクタ20をUSBポート18への差し込むことができるので、運転手による使い勝手を向上させることができる。
【0030】
但し、ケース22のスイッチハウジング12の側面12aからの突出量Lは5mm以下であるため、ケース22の突出部分は目立たず、ハンドルスイッチ装置10の見栄えが悪化することはない。
【0031】
また、本実施の形態では、USBコネクタ20のUSBポート18への差し込み方向23がハンドルバー11の中心線Cと略平行となるため、運転手はハンドルバー11をガイドとしてUSBコネクタ20をUSBポート18へ差し込むことができ、運転手による使い勝手を向上させることができる。さらに、ハンドルバー11は車両21の幅方向に関して内側に向けて上向きに配置されるため、結果として、USBポート18も上向きに配置される。これにより、運転手は、USBポート18と外部機器の電源コード19の接続状態をより容易に確認することができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0033】
例えば、本発明は車両21の左側のハンドルバー11へ取り付けられるハンドルスイッチ装置10へ適用されたが、本発明を車両21の右側のハンドルバーへ取り付けられるハンドルスイッチ装置へ適用してもよい。
【0034】
また、上述した本実施の形態では、USBポート18が、ハンドルスイッチ装置10がハンドルバー11に取り付けられた状態において、ハンドルバー11よりも上方又は車両後方側に配置されてもよい。この場合、運転手からUSBポート18がハンドルバー11によって隠されることがないため、運転手からUSBポート18が視認し易くなる。
【0035】
さらに、本実施の形態では、USBポート18がハンドルバー11よりも車両前方に配置されてもよい。この場合、運転手の手、特に指がUSBポート18に届きにくくなるため、USBポート18に差し込まれているUSBコネクタ20が運転手の手との接触によってUSBポート18から外れるのを抑制することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、バーハンドル型の自動二輪車に本発明が適用される事例について説明したが、本発明はセパレートハンドル型の自動二輪車に適用されてもよい。
【0037】
また、本実施の形態に係るハンドルスイッチ装置10は自動二輪車に適用されたが、ハンドルスイッチ装置10が適用可能な車両は自動二輪車に限られず、ハンドルバーを備える車両であれば、ハンドルスイッチ装置10を適用可能である。ハンドルスイッチ装置10を適用可能な車両としては、例えば、いわゆる鞍乗り型車両であり、ATV(All Terrain Vehicle)に分類される三輪車両や四輪車両、さらには、スノーモービルを含む。また、ハンドルスイッチ装置10はハンドルを備える滑走型の鞍乗り小型船舶にも適用可能である。
【符号の説明】
【0038】
10 ハンドルスイッチ装置
11 ハンドルバー
12 スイッチハウジング
18 USBポート
19 電源コード
21 車両
22 ケース
24 防水蓋
図1
図2
図3
図4