(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】プレート及びタイヤ加硫金型
(51)【国際特許分類】
B29C 33/02 20060101AFI20240801BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20240801BHJP
B29L 30/00 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
B29C33/02
B29C35/02
B29L30:00
(21)【出願番号】P 2020163593
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】祝迫 貞夫
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-088517(JP,A)
【文献】特開2005-297353(JP,A)
【文献】特開2014-133402(JP,A)
【文献】特開2019-209518(JP,A)
【文献】特開2020-151915(JP,A)
【文献】実開平04-126838(JP,U)
【文献】特開2014-172360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 35/00-35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ加硫金型に形成された長手形状の装着溝に装着される、弾性を有する長手形状のプレートであって、
固定用ねじを取り付けるために長手方向両端にそれぞれ貫通孔が形成され、
前記装着溝に装着される際に前記装着溝の底面に対向する面が
、前記装着溝の底面へ向かって凸となるように長手方向に沿って湾曲した、プレート。
【請求項2】
150~200mmの曲率半径で湾曲している、請求項1に記載のプレート。
【請求項3】
前記装着溝の底面に対向する面から突出し、タイヤの外表面に標識又は模様を転写形成するための凸状膨出部を有する、請求項1又は2に記載のプレート。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のプレートと、
前記プレートが装着される装着溝と、
前記プレートと前記装着溝の底面との間に、前記プレートの縁に沿って配置されるスペーサーと、
前記プレートと前記スペーサーを前記装着溝へ固定するための固定用ねじと、を備えるタイヤ加硫金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プレート及びタイヤ加硫金型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤ成型面の装着溝にプレート(「セリアルプレート」又は「ステンシルプレート」とも呼ばれる)を固定したタイヤ加硫金型を使用してタイヤを加硫成型し、タイヤの外表面に凹凸状の標識を形成する方法が知られている。ここで、プレートを装着溝に固定する方法として、ねじを使用する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
プレートは、その両端がねじによって装着溝に固定されるが、プレートと装着溝との間に隙間があると、その隙間からゴムが流れ込み、加硫成型後のタイヤにバリやピンチが形成される。バリは、タイヤ表面に余分な被膜が形成されたものであり、ピンチは、タイヤの表面に生じる意図しない段差である。バリやピンチは、タイヤの外観不良の原因となる。特に長手形状を呈するプレートの長手方向両端をねじで固定する場合、プレートの長手方向中央部が浮き上がり、プレートと装着溝との間で隙間が発生しやすい傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、タイヤ加硫成型後の外観不良を抑制できるプレート及びタイヤ加硫金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のプレートは、タイヤ加硫金型に形成された長手形状の装着溝に装着される、弾性を有する長手形状のプレートであって、
固定用ねじを取り付けるために長手方向両端にそれぞれ貫通孔が形成され、
前記装着溝に装着される際に前記装着溝の底面に対向する面が凸となるように長手方向に沿って湾曲したものである。
【0007】
また、本開示のタイヤ加硫金型は、上記のプレートと、
前記プレートが装着される装着溝と、
前記プレートと前記装着溝の底面との間に、前記プレートの縁に沿って配置されるスペーサーと、
前記プレートと前記スペーサーを前記装着溝へ固定するための固定用ねじと、を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】タイヤ子午線断面に沿ったタイヤ加硫金型の断面図
【
図4】
図2のプレートが装着溝に装着される前の状態を模式的に示す斜視図
【
図6】別実施形態に係るプレートが装着溝に装着される前の状態を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、タイヤ加硫金型における一実施形態について、
図1~
図4を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0010】
図1を参照しながら、タイヤの加硫成型に用いられるタイヤ加硫金型について説明する。
図1は、タイヤ子午線断面に沿ったタイヤ加硫金型10(以降、金型10という)の断面を示す。この金型10は型閉め状態にある。タイヤTは、タイヤ幅方向を上下に向けてセットされる。
図1において、左方向はタイヤ径方向外側、右方向はタイヤ径方向内側である。
【0011】
金型10は、タイヤTのトレッドを成型するトレッド型部11と、タイヤTのサイドウォールを成型する一対のサイド型部12,13と、タイヤTのビードが嵌合される一対のビードリング14,15とを備える。金型10は、キャビティ16にセットされたタイヤTの外表面に接するタイヤ成型面1を備える。タイヤ成型面1は、トレッド型部11の内面、サイド型部12,13の内面、及び、ビードリング14,15の内面を含む。図示を省略しているが、トレッド型部11の内面には、タイヤTのトレッドにトレッドパターンを形成するための凹凸部が設けられている。
【0012】
トレッド型部11の内面の材料としては、アルミニウム材が例示される。このアルミニウム材は、純アルミ系の材料のみならずアルミニウム合金を含む概念であり、例えばAl-Cu系、Al-Mg系、Al-Mg-Si系、Al-Zn-Mg系、Al-Mn系、Al-Si系が挙げられる。サイド型部12,13の内面及びビードリング14,15の内面の材料としては、一般構造用圧延鋼材(例えばSS400)などの鋼材が例示される。
【0013】
金型10は、キャビティ16にセットされたタイヤTの外表面に接するタイヤ成型面1と、タイヤ成型面1に設けられた装着溝2と、タイヤTの外表面に凹凸を形成する凹凸形成部を有し、装着溝2に装着されるプレート3(「セリアルプレート」又は「ステンシルプレート」とも呼ばれる)とを備える。装着溝2は、タイヤ成型面1の一部を局所的に窪ませることにより設けられている。本実施形態において、装着溝2は、タイヤ成型面1であるサイド型部12の内面に設けられている。
【0014】
図2は、
図1のX矢視平面図であり、
図1の下側に位置するサイド型部12の内面における、装着溝2に嵌め込まれたプレート3が示されている。
図2では、左右方向がタイヤ周方向に相当し、上方向がタイヤ径方向外側、下方向がタイヤ径方向内側である。
【0015】
装着溝2及びプレート3は、タイヤ周方向の長さがタイヤ径方向の長さよりも長い長手形状を有する。本実施形態において、装着溝2及びプレート3の長手方向LDはタイヤ周方向に沿う方向であり、短手方向WDはタイヤ径方向に沿う方向である。本実施形態において、装着溝2及びプレート3は、タイヤ周方向に沿って円弧状に湾曲した形状であるが、これに限られず、長手方向LDが直線的に延びた形状でもよい。
【0016】
図3は、
図2における線C1上の断面図を示している。
図4は、プレート3を装着溝2に装着する前の状態を示している。なお、線C1は、装着溝2又はプレート3の短手方向WDにおける中心を通る線である。
図3において、左右方向が装着溝2及びプレート3の長手方向LDに相当する。
【0017】
装着溝2は、長手方向LDに延びる一対の第1長手方向側壁21及び第2長手方向側壁22を有する。第1長手方向側壁21及び第2長手方向側壁22は、何れもタイヤ径方向外側に凸となる円弧状を呈する。第1長手方向側壁21及び第2長手方向側壁22は、平面視で何れも長手方向LDに沿って湾曲した形状である。また、装着溝2は、一対の第1長手方向側壁21及び第2長手方向側壁22の端部同士を接続する一対の第1短手方向側壁23及び第2短手方向側壁24を有する。第1短手方向側壁23及び第2短手方向側壁24は、平面視で半円弧状を呈する。また、装着溝2は、平坦な底面20を有する。
【0018】
装着溝2の短手方向WDの幅W2は、長手方向LDに一定である。本開示において、「一定」とは、厳密な意味での一定に限るものではなく、厳密に一定である場合だけでなく、±5%以下の変動がある場合も含む(以下も同様)。
【0019】
プレート3は、タイヤの外表面に凹凸を形成可能な領域である凹凸形成部5を有する。タイヤの外表面に形成される凹凸は、例えば、タイヤサイズやロードインデックス、メーカー名、製造年週などを表示した文字や記号等からなる標識、又は、模様やデザインを示す。未加硫のタイヤが、金型10におけるタイヤ成型面1の装着溝2に装着されたプレート3に押し当てられ、凹凸形成部5の凹凸が加硫成型後のタイヤ表面に転写される。
図2では、「TT」という文字列からなる標識が凹部34で形成される例を示す。凹部34の詳細は後で説明する。
【0020】
プレート3は、装着溝2に固定用ねじ4(以下、ねじ4という)を介して着脱自在に装着される。プレート3が製造年週を表す標識である場合などには、定期的にプレート3が取り換えられる。
【0021】
本開示において、ねじ4とは、螺旋状の溝が設けられた棒と当該棒の一端に設けられた頭部とを有する締結要素全般を指し、ボルトやビスを含むものである。本実施形態では、ねじ4の頂面41bには、プラスドライバの先端を挿入するための十字の窪みを有するが、これに限られない。例えば、ねじ4の頂面41bに、マイナスドライバの先端を挿入するためのすり割り状の窪みや、六角レンチの先端を挿入するための六角形状の窪みを有していても、構わない。また、係る窪みを有していなくてもよく、例えば、ねじ頭部側から見たときのねじ頭部を六角形状に形成し、該六角形状のねじ頭部を回すようにしてもよい。本実施形態のねじ4は、頭部41の底面41aがテーパ状に形成された皿ねじである。締結時において、頭部41の頂面41bは、タイヤ成型面1とほぼ面一である。
【0022】
プレート3は、長手方向LDの両端部に、ねじ4を取り付けるための貫通孔39を有している。貫通孔39は丸穴である。ねじ4は、貫通孔39を介して、装着溝2の底面20にあるねじ穴25に螺着される。貫通孔39の穴径は、ねじ4の直径に対し0.5~1.0mm程度大きい。装着溝2の溝深さD2は、例えば、1.2mmに設定される。
【0023】
プレート3は、キャビティ16に対向する正面31と、装着溝2の底面20に対向する背面32と、を有する。加硫成型時には、プレート3の正面31にタイヤTの外表面が押し当てられ、凹凸形成部5によって標識等がタイヤTの外表面に転写形成される。正面31は、タイヤ成型面1よりも装着溝2の底面20に近い。
【0024】
本実施形態では、正面31に、タイヤの外表面に凸状の標識を形成するための凹部34が設けられている。凹部34は、例えば、正面31側からのエンボス加工(浮き出し工法)により陥没形成される。背面32には、凹部34に対応した凸部36(凸状膨出部に相当する)がある。凸部36は、凹部34を陥没形成したことに伴って形成される。したがって、凸部36は、プレート3の背面32側から凹部34を見たものとなる。なお、プレート3の正面31と背面32は、標識を形成する凹凸形成部5の表裏から容易に判別可能である。
【0025】
本実施形態におけるプレート3は、タイヤの外表面に凸状の標識を形成するためのものであるが、タイヤの外表面に凹状の標識や模様を形成するための凹凸部をさらに備えてもよい。
【0026】
プレート3は、弾性を有するようにするため軟鋼若しくは極軟鋼の板材で形成するとよい。軟鋼若しくは極軟鋼としては、JIS G3141に規定の冷間圧延鋼板及び鋼帯が例示される。プレート3の厚みT3は、加工の容易性等の観点から、例えば、1mm以下が好ましく、0.6mm以下がより好ましい。厚みT3は、プレート3に適度な強度を付与するなどの観点から、0.3mm以上が好ましい。本実施形態では厚みT3が0.35mmである。
【0027】
プレート3は、貫通孔39の周囲が背面32から突出する絞り38を有する。絞り38は、ねじ4の底面41aに沿うようにテーパ状に形成されており、頭部41の少なくとも一部を収容する。装着溝2は、ねじ穴25の周囲に、プレート3の絞り38の背面に当接する座繰り26を有する。座繰り26は、プレート3の絞り38の少なくとも一部を収容する。
【0028】
図4に示すように、装着溝2に装着する前のプレート3は、装着溝2の底面20に対向する背面32が凸となるように長手方向LDに沿って湾曲している(なお、
図4には湾曲していないプレートの外形を2点鎖線で示している)。長手方向LDに沿って湾曲したプレート3を装着溝2へ挿入すると、プレート3の長手方向LDの中央部は装着溝2の底面20に接し、プレート3の長手方向LDの両端部は装着溝2の底面20から浮いた状態となる。この状態にてプレート3をねじ4で装着溝2へ固定することで、装着溝2との間で隙間が発生しやすいプレート3の長手方向LDの中央部での浮きを抑えることができ、バリの発生を低減して外観不良を抑制できる。
【0029】
プレート3を湾曲させる方法としては、平板状のプレート3を所定の曲率半径を有する曲面に押し当てることで湾曲させる方法が例示される。プレート3は、150~200mmの曲率半径R3で湾曲していることが好ましい。曲率半径R3がこの範囲であれば、プレート3の長手方向LDの中央部での浮きを適切に抑えることができる。
【0030】
ねじ4の頂面41bに設けられた窪みによって形成されるゴム隆起部の高さは、プレート3の凹部34によって形成される標識の高さ以下が好ましい。これにより、形成される標識の視認性を向上できる。
【0031】
また、ねじ4の頭部41の直径は、プレート3の短手方向WDの幅W3の50~100%であるのが好ましい。頭部41の直径が小さいとプレート3を保持する力が弱くなり、頭部41の直径が大きいと、装着溝2内に頭部41が収まらず、プレート3とねじ4の接触性悪化によりプレート3を保持する力が損なわれる。
【0032】
プレート3の長手方向LDの長さL3は、装着溝2の長手方向LDの長さL2より僅かに小さい程度である。なお、プレート3の長さL3及び装着溝2の長さL2は、線C1上での長さである。本実施形態のプレート3の長さL3は、73mmである。
【0033】
プレート3の短手方向WDの幅W3は、装着溝2の短手方向WDの幅W2より僅かに小さい程度である。そのため、装着溝2とプレート3との隙間からゴムが入り込みにくい。なお、装着溝2の長手方向LDの長さL2は、装着溝2の短手方向WDの幅W2の5倍以上とするのが好ましい。
【0034】
以上のように、本実施形態に係るプレート3は、タイヤ加硫金型10に形成された長手形状の装着溝2に装着される、弾性を有する長手形状のプレート3であって、固定用ねじ4を取り付けるために長手方向LD両端にそれぞれ貫通孔39が形成され、装着溝2に装着される際に装着溝2の底面20に対向する面32が凸となるように長手方向LDに沿って湾曲したものである。
【0035】
この構成によれば、装着溝2との間で隙間が発生しやすいプレート3の長手方向LDの中央部での浮きを抑えることができ、バリの発生を低減して外観不良を抑制できる。
【0036】
また、本実施形態に係るプレート3においては、150~200mmの曲率半径R3で湾曲している、という構成である。
【0037】
この構成によれば、プレート3の長手方向LDの中央部での浮きを適切に抑えることができる。
【0038】
また、本実施形態に係るプレート3においては、装着溝2の底面20に対向する面32から突出し、タイヤの外表面に標識又は模様を転写形成するための凸状膨出部36を有する、という構成である。
【0039】
特に凸状膨出部36の周囲においてプレート3の浮きが生じやすいが、プレート3を装着溝2の底面20に対向する面32が凸となるように長手方向LDに沿って湾曲させることで、プレート3の浮きを効果的に抑制できる。
【0040】
なお、プレート3及びタイヤ加硫金型10は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、プレート3及びタイヤ加硫金型10は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記した複数の実施形態の各構成や各方法等を任意に採用して組み合わせてもよく、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0041】
(1)上記実施形態に係るプレート3においては、150~200mmの曲率半径で湾曲している、という構成である。しかしながら、プレート3は、かかる構成に限られない。例えば、曲率半径R3は150mm未満でもよい。
【0042】
(2)また、上記実施形態に係るプレート3においては、装着溝2の底面20に対向する面32から突出し、タイヤの外表面に標識又は模様を転写形成するための凸状膨出部36を有する、という構成である。しかしながら、プレート3は、かかる構成に限られない。例えば、プレート3は、キャビティ16に対向する正面31から突出し、タイヤの外表面に凹状の標識又は模様を転写形成するための凸状膨出部を有するものでもよい。
【0043】
(3)
図5は、別実施形態に係るタイヤ加硫金型10の断面図であり、
図6は、別実施形態に係るプレート3が装着溝2に装着される前の状態を模式的に示す斜視図である。別実施形態に係るタイヤ加硫金型10は、プレート3と、プレート3が装着される装着溝2と、プレート3と装着溝2の底面20との間に、プレート3の縁に沿って配置されるスペーサー6と、プレート3とスペーサー6を装着溝2へ固定するための固定用ねじ4と、を備える。なお、上記実施形態で説明した部位と同じ部位には同一の符号を付し、重複した説明を省略する
【0044】
装着溝2の底面20と、プレート3の凹凸形成部5を除く背面32との間に、スペーサー6が位置する。スペーサー6は、プレート3の縁に沿って配置される。スペーサー6は、プレート3を載置する底面20を部分的に高くするために使用される。
【0045】
スペーサー6がプレート3の縁を支持することで、プレート3の座りを安定させ、また、加硫成型時においてもゴムがプレート3の縁をスペーサー6に押さえつけるため、プレート3と装着溝2との間の隙間の発生を防いで、その隙間にゴムが流れ込んでバリが発生することを抑制できる。また、スペーサー6によりプレート3の縁が固定され、タイヤ成型面1とプレート3の正面31の段差を減らすことができるため、ゴムが流れ込む空間が減り、ピンチ発生の抑制することができる。
【0046】
スペーサー6の厚みT6と凸部36の突出量T36は、同程度に設定される。スペーサー6の厚みT6と凸部36の突出量T36が同程度であれば、タイヤ加硫成型時、スペーサー6及び凸部36の先端のみがタイヤ加硫成型時に付与される成型圧力によって装着溝2の底面20に当接する。
【0047】
スペーサー6の厚みT6は、凸部36の突出量T36の85%~125%であるのが好ましい。なお、加硫成型時の成型圧力によりプレート3が変形するため、スペーサー6の厚みT6が凸部36の突出量T36の100%未満であっても加硫成型時にスペーサー6とプレート3の接触は実現できる。また、凸部36の先端と装着溝2の底面20との間隔は、0.1mm以下が好ましく、0.05mm以下がより好ましい。
【符号の説明】
【0048】
1…タイヤ成型面、2…装着溝、3…プレート、4…固定用ねじ、5…凹凸形成部、6…スペーサー、10…タイヤ加硫金型、20…底面、21…第1長手方向側壁、22…第2長手方向側壁、23…第1短手方向側壁、24…第2短手方向側壁、31…正面、32…背面、36…凸部(凸状膨出部)、39…貫通孔、LD…長手方向、WD…短手方向、R3…曲率半径