(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】産業用ロボットのハンド、産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20240801BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
B25J15/08 P
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2020167856
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 正己
(72)【発明者】
【氏名】中江 孝郎
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-051188(JP,A)
【文献】特開昭60-161087(JP,A)
【文献】特開2003-236744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットのハンドであって、
ウエハ
の搭載面に前記ウエハの端面当接部材が設けられた搭載部と、
前記搭載部を支持し
た状態で回転することが可能な回動部と、
前記回動部の回転軸の向きを第一方向とするとき、前記回動部
の回転と連動して回転すると共に、前記回動部に対して前記第一方向に移動す
ることができる軸部材と、
前記軸部材の先端に固着されて、前記搭載部に搭載されたウエハの端面を押圧する押圧部と、
を備え、
前記回動部の回転軸
の中心と前記軸部材の軸中心とが一致
しており、
前記軸部材が前記ウエハに向って前記第一方向に移動するとき、前記軸部材に固定された前記押圧部が、前記ウエハの端面を前記端面当接部材に向けて押圧する、
産業用ロボットのハンド。
【請求項2】
請求項1記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記回動部は、前記押圧部を前記第一方向に移動自在に支持し、且つ、前記搭載部と固着された固着部材と、前記固着部材と固着され且つ前記軸部材が内挿された第一筒状部材と、前記第一筒状部材の内周面に固着され、前記軸部材の外周面に設けられた係合部に係合する被係合部を有する第二筒状部材と、を含む産業用ロボットのハンド。
【請求項3】
請求項2記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記軸部材が内挿された、前記軸部材に対する前記第一方向の位置が固定の軸受けと、
前記軸受けを前記第一方向に移動させて、前記軸部材を前記第一方向に移動させる第一駆動部と、
前記第一筒状部材を回転させて前記回動部及び前記軸部材を連動して回動させる第二駆動部と、を備える産業用ロボットのハンド。
【請求項4】
請求項3記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記軸受けに固着されて前記第一駆動部により前記第一方向に移動される可動部材と、
前記可動部材の前記第一方向の位置を検出する位置検出機構と、を含む産業用ロボットのハンド。
【請求項5】
請求項4記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記第一筒状部材を回動自在に支持する筐体を備え、
前記筐体内に、前記第一駆動部と前記第二駆動部と前記軸受けと前記位置検出機構が収容される産業用ロボットのハンド。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記搭載部に搭載されたウエハの厚み方向の中心位置と、前記軸部材の軸中心とが一致している産業用ロボットのハンド。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項記載の産業用ロボットのハンドと、
前記ハンドを支持するアームと、
前記アームを支持するアーム支持部と、を備える産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットのハンドとこれを備える産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の搬送対象物を搬送する産業用ロボットが知られている。例えば特許文献1には、ウエハを保持する保持部を備えたウエハ搬送機構が記載されている。このウエハ搬送機構では、保持部が、保持体本体と、該保持体本体に配設され噴射空気によって負圧を生成しウエハを非接触状態で吸着する複数個の吸着パッドと、該保持体本体に配設され吸着されたウエハに当接する摩擦面を有した摩擦部材と、を備えている。
【0003】
特許文献2には、ウエハ把持ハンドを用いて円板状のウエハを縦置き溝へ搬送するウエハ搬送方法が記載されている。このウエハ搬送方法は、ウエハ把持ハンドがウエハのエッジ上の少なくとも3つの支点でウエハを把持することと、ウエハが縦姿勢で縦置き溝の上方に位置するように、ウエハを把持しているウエハ把持ハンドが移動することと、ウエハ把持ハンドが、ウエハの把持を解除して、ウエハのエッジ上の2つの支点でウエハを支持することと、ウエハのエッジが縦置き溝に進入するまで、ウエハを支持しているウエハ把持ハンドが下方へ移動することと、を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-142462号公報
【文献】国際公開第2016/05641号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体ウエハの製造装置によっては、半導体ウエハを180度回転させた状態で搬送する必要が生じる場合がある。このような場合に対応するため、搬送対象物を保持した状態で180度回転させる機構を有する産業用ロボットが知られている。このような機構を有する産業用ロボットでは、例えば半導体ウエハを保持する方法としてウエハ端面をメカニカルに把持する方法を採用する場合には、半導体ウエハを把持する機構も半導体ウエハと一緒に回転させる必要がある。そのため、ハンドを回転させるための構造が複雑となる。特許文献1と特許文献2には、搬送対象物を回転させるための具体的な機構について開示していない。
【0006】
本発明の目的は、ウエハを回転させた状態で搬送可能な製造コストの低い産業用ロボットのハンドとこれを備える産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様の産業用ロボットのハンドは、ウエハの搭載面に前記ウエハの端面当接部材が設けられた搭載部と、前記搭載部を支持した状態で回転することが可能な回動部と、前記回動部の回転軸の向きを第一方向とするとき、前記回動部の回転と連動して回転すると共に、前記回動部に対して前記第一方向に移動することができる軸部材と、前記軸部材の先端に固着されて、前記搭載部に搭載されたウエハの端面を押圧する押圧部と、を備え、前記回動部の回転軸の中心と前記軸部材の軸中心とが一致しており、前記軸部材が前記ウエハに向って前記第一方向に移動するとき、前記軸部材に固定された前記押圧部が、前記ウエハの端面を前記端面当接部材に向けて押圧するものである。
【0008】
本発明の一態様の産業用ロボットは、前記ハンドと、前記ハンドを支持するアームと、前記アームを支持するアーム支持部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ウエハを回転させた状態で搬送可能な製造コストの低い産業用ロボットのハンドとこれを備える産業用ロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる製造システムの概略構成を正面側から説明するための図である。
【
図2】
図1に示す製造システムの概略構成を上側から説明するための図である。
【
図3】
図1に示す水平多関節ロボットの側面図である。
【
図4】
図3に示す水平多関節ロボットの、アーム支持部が上昇している状態の側面図である。
【
図5】
図3に示す水平多関節ロボットの平面図である。
【
図6】
図3に示す保持部の内部の構造を説明するための概略図である。
【
図7】
図3に示す保持部の内部の構造を説明するための断面図である。
【
図8】
図5に示すハンドの支持部近傍の拡大図である。
【
図11】
図5のA方向に見たハンドの拡大側面図である。
【
図12】
図9に示すハンドの好ましい構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
(製造システムの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる製造システム1の概略構成を正面側から説明するための図である。
図2は、
図1に示す製造システム1の概略構成を上側から説明するための図である。
【0013】
本形態の製造システム1は、半導体を製造するための半導体製造システムである。この製造システム1は、半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする)に対して所定の処理を実行する複数の処理装置3を有する処理部4を備えている。処理部4は、複数階建てで構成されるとともに複数階の各階に処理装置3が複数個設置されている。また、製造システム1は、処理部4の各階ごとに設置され処理装置3に対するウエハ2の搬入および搬出を行う水平多関節ロボット5(以下、「ロボット5」とする)を備えている。本形態のウエハ2は、ロボット5によって搬送される搬送対象物である。
【0014】
以下の説明では、上下方向に直交する
図1等のX方向を「左右方向」とし、上下方向および左右方向に直交する
図1等のY方向を「前後方向」とする。前後方向は第一方向を構成する。また、左右方向のうちのX1方向側を「右」側とし、その反対側であるX2方向側を「左」側とし、前後方向のうちのY1方向側を「前」側とし、その反対側であるY2方向側を「後(後ろ)」側とする。
【0015】
本形態の処理部4は、
図1に示すように、2階建てで構成されている。処理部4の1階と処理部4の2階とのそれぞれには、ロボット5が1台ずつ設置されている。ロボット5は、処理部4の内部に設置されている。また、処理部4の1階と2階とのそれぞれには、たとえば、6個の処理装置3が設置されている。具体的には、
図2に示すように、処理部4の1階と2階とのそれぞれには、左右方向で隣接配置される3個の処理装置3が前後方向において所定の間隔をあけた状態で2箇所に設置されている。また、各処理装置3は、ウエハ2が載置されるウエハ載置部6を備えている。
【0016】
ロボット5は、処理部4の1階と2階とのそれぞれにおいて、前側に配置される3個の処理装置3と、後ろ側に配置される3個の処理装置3との間に設置されている。また、ロボット5は、処理部4の1階と2階とのそれぞれにおいて、左右方向における処理部4の中心位置に設置されている。処理部4の1階と2階とのそれぞれには、ロボット5を固定するための固定フレーム7が設けられており、ロボット5は固定フレーム7に固定されている。
【0017】
製造システム1は、複数のウエハ2が収容される2個の収容部10、11を有する昇降装置12を備えている。昇降装置12は、処理部4の内部の右端側に設置されている。また、昇降装置12は、前後方向において、ロボット5と略同じ位置に配置されている。この昇降装置12は、固定フレーム7に固定されている。製造システム1は、上下方向から見たときに、左右方向においてロボット5との間に昇降装置12を挟むように配置される水平多関節ロボット13(
図1参照。以下、「ロボット13」とする)を備えている。ロボット13は、処理部4の外部に設置されるとともに、前後方向において、昇降装置12と略同じ位置に配置されている。なお、
図2では、ロボット13の図示を省略している。
【0018】
(水平多関節ロボットの構成)
図3は、
図1に示すロボット5の側面図である。
図4は、
図3に示すロボット5の、アーム支持部17が上昇している状態の側面図である。
図5は、
図3に示すロボット5の平面図である。
図6は、
図3に示す保持部18の内部の構造を説明するための概略図である。
図7は、
図3に示す保持部18の内部の構造を説明するための断面図である。
【0019】
ロボット5は、3リンクアーム型のロボットである。このロボット5は、ウエハ2が搭載される2個のハンド14、15と、ハンド14、15が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム16と、アーム16の基端側が回動可能に連結されるアーム支持部17と、アーム支持部17を昇降可能に保持する保持部18とを備えている。また、ロボット5は、アーム16に対してハンド14、15を回動させるハンド駆動機構19と、アーム16を駆動するアーム駆動機構20とを備えている(
図3参照)。また、ロボット5は、保持部18に対してアーム支持部17を昇降させるアーム昇降機構21を備えている(
図6、
図7参照)。
【0020】
アーム16は、アーム支持部17に基端側が回動可能に連結される第1アーム部24と、第1アーム部24の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部25と、第2アーム部25の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部26とから構成されている。すなわち、アーム16は、互いに相対回動可能に連結される3個のアーム部を備えている。第1アーム部24、第2アーム部25および第3アーム部26は、中空状に形成されている。アーム支持部17と第1アーム部24と第2アーム部25と第3アーム部26とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。
【0021】
ハンド14、15は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド14、15は、ハンド14の基端側部分とハンド15の基端側部分とが上下方向で重なるように配置されている。また、ハンド14が上側に配置され、ハンド15が下側に配置されている。ハンド14、15の基端側部分は、第3アーム部26の先端側に回動可能に連結されている。ハンド14、15の先端側部分の上面は、ウエハ2が搭載される搭載面となっており、ハンド14、15の先端側部分の上面には、1枚のウエハ2が搭載される。ハンド14、15は、第3アーム部26よりも上側に配置されている。
【0022】
なお、
図2では、ハンド15の図示を省略している。また、本形態のロボット5の動作時には、ハンド14とハンド15とが上下方向で重なる場合もあるが、ほとんどの場合、ハンド14とハンド15とは、上下方向で重なっていない。たとえば、
図2の二点鎖線で示すように、ハンド14が処理装置3の中へ入り込んでいるときには、ハンド15は、アーム支持部17側へ回転しており、処理装置3の中に入っていない。このときのハンド14に対するハンド15の回転角度は、たとえば、120°~150°である。
【0023】
保持部18は、略直方体の箱状に形成されている。保持部18の上端面および下端面は、上下方向に直交する平面となっている。また、保持部18の前後の両側面は、前後方向に直交する平面となっており、保持部18の左右の両側面は、左右方向に直交する平面となっている。上述のように、ロボット5は、処理部4の固定フレーム7に固定されている。本形態では、保持部18の前側面が固定フレーム7に固定されている。すなわち、保持部18の前側面が処理部4に固定されている。
【0024】
アーム支持部17は、略直方体の箱状に形成されている。アーム支持部17の上端面および下端面は、上下方向に直交する平面となっている。また、アーム支持部17の前後の両側面は、前後方向に直交する平面となっており、アーム支持部17の左右の両側面は、左右方向に直交する平面となっている。第1アーム部24の基端側は、アーム支持部17の上端面に回動可能に連結されている。アーム支持部17は、保持部18の後ろ側に配置されており、アーム支持部17と保持部18とは前後方向においてずれている。また、アーム支持部17は、保持部18の後側面に沿って昇降可能となっている。アーム支持部17の高さ(上下方向の長さ)は、保持部18の高さ(上下方向の長さ)よりも低くなっている。
【0025】
アーム駆動機構20は、
図3に示すように、アーム16が伸縮するように第1アーム部24および第2アーム部25を一緒に回動させる第1駆動機構27と、第2アーム部25に対して第3アーム部26を回動させる第2駆動機構28とを備えている。第1駆動機構27は、モータ30と、モータ30の動力を減速して第1アーム部24に伝達するための減速機31と、モータ30の動力を減速して第2アーム部25に伝達するための減速機32とを備えている。第2駆動機構28は、モータ33と、モータ33の動力を減速して第3アーム部26に伝達するための減速機34とを備えている。なお、第1駆動機構27は、左右方向に平行な仮想線上を第2アーム部25と第3アーム部26との連結部が直線的に移動するように、第1アーム部24および第2アーム部25を回動させる。
【0026】
モータ30は、アーム支持部17の内部に配置されている。減速機31は、アーム支持部17と第1アーム部24とを繋ぐ関節部を構成している。減速機32は、第1アーム部24と第2アーム部25とを繋ぐ関節部を構成している。モータ30と減速機31とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結され、モータ30と減速機32とは、図示を省略するプーリおよびベルト等を介して連結されている。モータ33は、第2アーム部25の内部に配置されている。減速機34は、第2アーム部25と第3アーム部26とを繋ぐ関節部を構成している。モータ33と減速機34とは、図示を省略する歯車列を介して連結されている。
【0027】
ハンド駆動機構19は、モータ35と、モータ35の動力を減速してハンド14に伝達するための減速機36と、モータ37と、モータ37の動力を減速してハンド15に伝達するための減速機38とを備えている。モータ35、37および減速機36、38は、第3アーム部26の内部に配置されている。ハンド14の基端側と減速機36とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結され、ハンド15の基端側と減速機38とは、図示を省略するプーリおよびベルトを介して連結されている。
【0028】
アーム昇降機構21は、
図6、
図7に示すように、上下方向を軸方向として配置されるボールネジ39と、ボールネジ39を回転させるモータ40と、ボールネジ39に係合するナット部材41と、アーム支持部17を上下方向へ案内するガイドレール42およびガイドブロック43とを備えている。このアーム昇降機構21は、保持部18の内部に配置されている。
【0029】
ボールネジ39は、保持部18の一部を構成するフレーム44に回転可能に保持されている。ボールネジ39の下端側には、プーリ45が固定されている。モータ40は、フレーム44に固定されている。モータ40の出力軸には、プーリ46が固定されている。プーリ45とプーリ46とには、ベルト47が架け渡されている。ガイドレール42は、フレーム44に固定されている。ガイドレール42は、ガイドレール42の長手方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、本形態では、フレーム44の左右の両端側の2箇所にガイドレール42が固定されている。
【0030】
ナット部材41は、アーム支持部17の前側面に固定される固定部材48(
図7参照)に固定されている。ガイドブロック43も固定部材48に固定されている。固定部材48には、後ろ側へ突出する突出部48aが形成されており、突出部48aの後端面がアーム支持部17の前側面に固定されている。固定部材48は、保持部18の一部を構成するカバー49に覆われている。カバー49には、突出部48aが配置されるスリット状の配置孔49aが形成されている。
【0031】
アーム昇降機構21は、
図3に示すアーム支持部17の下限位置と
図4に示すアーム支持部17の上限位置との間でアーム支持部17を昇降させる。アーム支持部17が下限位置まで下降しているときには、
図3に示すように、保持部18の上端面は、第1アーム部24の下面よりも上側にある。具体的には、保持部18の上端面は、アーム支持部17の上端面に回動可能に連結される第1アーム部24の基端側部分の下面よりも上側にある。
【0032】
また、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときには、保持部18の上端面は、第3アーム部26の下面よりも下側にある。本形態では、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときに、保持部18の上端面は、第2アーム部25の上面よりもわずかに下側にある。すなわち、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときに、保持部18の上端面は、上下方向において、第2アーム部25の上面と第2アーム部25の下面との間にある。
【0033】
ロボット13は、
図1に示すように、ウエハ2が搭載される2個のハンド52、53と、ハンド52が先端側に回動可能に連結されるアーム54と、ハンド53が先端側に回動可能に連結されるアーム55と、アーム54、55の基端側が回動可能に連結されるアーム支持部56と、アーム支持部56を昇降可能に保持する本体部57とを備えている。ハンド52、53には、複数枚のウエハ2が搭載可能となっている。
【0034】
また、ロボット13は、アーム54に対してハンド52を回動させるハンド駆動機構(図示省略)と、アーム55に対してハンド53を回動させるハンド駆動機構(図示省略)と、アーム54を駆動するアーム駆動機構(図示省略)と、アーム55を駆動するアーム駆動機構(図示省略)と、本体部57に対してアーム支持部56を回動させるアーム支持部駆動機構(図示省略)と、本体部57に対してアーム支持部56を昇降させるアーム昇降機構(図示省略)とを備えている。
【0035】
上述のように、ロボット13は、上下方向から見たときに、左右方向においてロボット5との間に昇降装置12を挟むように配置されている。具体的には、ロボット13は、
図1に示すように、左右方向において、処理部4の1階に設置されるロボット5との間に昇降装置12を挟むように配置されている。このロボット13は、収容部10、11に対するウエハ2の搬入および搬出を行う。
【0036】
(ハンドの詳細構成)
ロボット5、ロボット13に搭載されるハンドの詳細構成について説明する。ロボット5、ロボット13に搭載される各ハンドは、いずれも同じ構成であってもよい。以下では、ロボット5のハンド14を例示して、ハンドの詳細構成について説明する。
図8は、
図5に示すハンド14の支持部14b近傍の拡大図であり、支持部14bの一部断面を示した図である。
図9は、
図8のB-B線の断面矢視図である。
図10は、
図9のC-C線の断面矢視図である。
図11は、
図5のA方向に見たハンドの拡大側面図である。本明細書における“固着”とは、固着対象となる2つの部材が、接着、圧入嵌合、ボルト締め等によって強固に一体化されている状態を言う
【0037】
図5に示すように、ハンド14は、上下方向から見たときに所定の軸線を対称軸とする略線対称に形成されている。ハンド14は、ウエハ2が搭載されるウエハ搭載部14aと、ウエハ搭載部14aをその基端側で支持する支持部14bと、を備えている。ウエハ搭載部14aの先端側は、二股状に形成されており、上下方向から見たときのウエハ搭載部14aの形状は、略Y形状となっている。ウエハ搭載部14aは、平板状に形成されている。
【0038】
以下で記載する“径方向”とは、ウエハ2の表面(おもて面と裏面)がウエハ搭載部14aの上面と平行になるようにウエハ搭載部14aにウエハ2が搭載された状態におけるウエハ2の径方向(ウエハ2の外周縁上の各点から中心に向かう方向)のことを言う。“径方向内側”とは、ウエハ2の中心側のことを言う。“径方向外側”とは、ウエハ2の外周縁側のことを言う。
図5に示したA方向は、径方向及び上下方向に直交する方向である。
【0039】
二股状に形成されるウエハ搭載部14aの先端側の上面には、ウエハ2の端面(外周面)が当接する第一当接面141b1と、ウエハ2の裏面が当接する第二当接面141a1とを有する端面当接部材141が固定されている。すなわち、ウエハ搭載部14aには、2個の端面当接部材141が固定されている。ウエハ搭載部14aの基端側の上面の2箇所には、ウエハ2が載置されるウエハ載置部材142が固定されている。ウエハ2は、端面当接部材141とウエハ載置部材142とに搭載される。ウエハ搭載部14aの基端側には、左右方向に並ぶ2つのウエハ載置部材142の間に開口143が設けられている。
【0040】
図11に示すように、端面当接部材141は、上下方向にみたときの形状が略三角形状の基部141aと、基部141aの径方向外側の端部から上方向に突出する突出部141bと、により構成されている。基部141aは、略三角形状の1つの頂部がウエハ2の中心に向くように配置されている。基部141aの上面は、ウエハ2の裏面が当接する第二当接面141a1となっている。第二当接面141a1は、径方向外側から径方向内側に向かって下向きに傾斜する傾斜面となっている。突出部141bの径方向内側の側面は、ウエハ2の端面が当接する第一当接面141b1となっている。第一当接面141b1は、第二当接面141a1の径方向外側の端縁から斜め上方向に延びる面である。第一当接面141b1は、径方向外側から径方向内側に向かって傾斜角度θ2にて傾斜する傾斜面となっている。
【0041】
図8及び
図9に示すように、支持部14bは、筐体14Kと、一部が筐体14K内に収容された回動部144と、回動部144によって前後方向に移動自在に支持された押圧部145と、一部が筐体14Kに収容された前後方向に延びる柱状の軸部材146と、を備える。
図9に示すように、筐体14Kには、第一駆動部を構成するエアシリンダ149と、エアシリンダ149の可動部分(ピストンロッド)と固着された可動部材148と、軸部材146が内挿された軸受け147と、位置検出機構153と、第二駆動部を構成するモータ150と、モータ150の回転軸150aに連結されたプーリ151と、プーリ151と回動部144のプーリ144cとに架け渡されたベルト152と、が収容されている。
【0042】
回動部144は、固着部材144aと、第一筒状部材を構成する略円筒状の回転部材144bと、略円筒状のプーリ144cと、略円筒状のスプラインナット144dと、を備える。
図9に示すように、固着部材144aは、前後方向及び左右方向に平行な平板状の上面部144uと、上面部144uの後端から下方向に延びる側面部144sと、を備える。側面部144sには、前後方向に貫通する貫通孔144s1が形成されている。貫通孔144s1には、回転部材144bの前側端部が嵌合されている。
図8に示すように、固着部材144aは、ウエハ搭載部14aの基端と固着されており、ウエハ搭載部14aを支持している。
【0043】
回転部材144bは、筐体14Kの前端部に形成された開口部14Kaに、軸受け14Aを介して回転自在に嵌合されている。回転部材144bの内周部には、軸部材146が内挿されたスプラインナット144dの一部が嵌合されている。この嵌合により、回転部材144bの内周面とスプラインナット144dの外周面は固着されている。プーリ144cの内周部には、スプラインナット144dのうちの回転部材144bの外部にある部分が嵌合されている。
【0044】
図10に示すように、スプラインナット144dの内周部には軸部材146が前後方向に移動可能に挿通されている。スプラインナット144dの内周面144d1には、周方向に等間隔で並ぶ3つの凹部144d2(被係合部)が形成されている。軸部材146は、いわゆるスプライン軸であり、その外周面146aには、スプラインナット144dの各凹部144d2と係合する凸部146b(係合部)が形成されている。軸部材146は、軸中心CP1を中心として回転自在に構成されている。
【0045】
図9に示したモータ150が作動すると、その動力がプーリ144cに伝達されて、プーリ144c、回転部材144b、スプラインナット144d、及び固着部材144aからなる回動部144が一体的に回転する。凹部144d2と凸部146bが係合していることにより、この回転動作によって、軸部材146が連れ動いて回転する。つまり、回動部144の回転軸(
図5に示す回転軸AL)と、軸部材146の回転軸である軸中心CP1とは一致している。
なお、スプラインナット144dの内周面144d1に凸部(被係合部)を設け、軸部材146の外周面146aにこの凸部と係合する凹部(係合部)を設けることでも、同様の動作を実現できる。
【0046】
図8及び
図9に示すように、押圧部145は、押圧部材を構成する外径が軸方向に変化する円筒状のローラ145aと、ローラ145aの回転軸145cを軸支するローラ支持部材145bと、を備えている。ローラ145aの回転軸145cは上下方向に延びている。ローラ支持部材145bは、前端部においてローラ145aを回転自在に支持している。ローラ支持部材145bの後端部は、回動部144を構成している固着部材144aによって、前後方向に移動自在に支持されている。ローラ支持部材145bの後端面には凹部145b1が形成されている。凹部145b1の底面には、軸部材146の前端部が固着されている。固着部材144aは凹部145b1内に配置されている。
モータ150が作動し、回動部144と軸部材146が同じ回転軸を中心に一体的に回転すると、回動部144に支持されたウエハ搭載部14aと、軸部材146と固着された押圧部145も、これに連動して回転することになる。これにより、ウエハ搭載部14aに搭載したウエハ2を180度回転させたり、90度回転させたりすることができる。
【0047】
図9に示すように、ローラ145aの外周面145a1は、ウエハ搭載部14aに搭載されたウエハ2の裏面側からおもて面側に向かって(下方向から上方向に向かって)径が大きくなるテーパ面となっている。換言すると、ローラ145aの外周面145a1は、回転軸145cの先端側から基端側に向かって径が大きくなるテーパ面となっている。このように、外周面145a1は、ウエハ搭載部14aに搭載されるウエハ2の端面に対し、傾斜角度θ1で傾斜する傾斜面となっている。
【0048】
図9に示すように、軸部材146の後端部には、軸受け147が固着されている。軸受け147は、軸部材146の後端面と固着されている。つまり、軸受け147は、軸部材146に対する前後方向の位置が固定となっており、軸部材146と一体となって動く。可動部材148は、軸受け147と固着されている。可動部材148には、位置検出機構153の検知板153aと、エアシリンダ149のピストンロッドとが固着されている。
【0049】
エアシリンダ149が作動すると、その動力が可動部材148を介して軸受け147に伝達され、軸部材146が軸受け147と一体となって動く。これにより、軸部材146に固着された押圧部145を前後方向に移動させて、ローラ145aによるウエハ2の端面の押圧が可能になる。エアシリンダ149の作動により、押圧部145は、
図5の破線で示すように、ローラ145aがウエハ2の端面に接触して第一当接面141b1に向かってウエハ2を押圧する押圧位置と、
図5の実線で示すようにローラ145aがウエハ2の端面から離れるように退避する退避位置との間で直線的に移動する。
図8、9に示した位置P1は、押圧部145が押圧位置にあるときの可動部材148の位置を示している。
【0050】
位置検出機構153は、検知板153aと、前後に並ぶ2個のセンサ153bとを備えている。センサ153bは、互いに対向するように配置される発光素子と受光素子とを有する透過型の光学式センサである。検知板153aには、センサ153bの発光素子と受光素子との間を遮るための遮光部が形成されている。押圧部145が押圧位置にあるときには、2個のセンサ153bのうちの前側のセンサ153bの発光素子と受光素子との間が遮光部によって遮られ、押圧部145が退避位置にあるときには、2個のセンサ153bのそれぞれの発光素子と受光素子との間が遮光部によって遮られない。また、ウエハ2がウエハ搭載部14aに搭載されていない状態で、押圧部145が押圧位置よりも前側に移動した場合には、2個のセンサ153bのそれぞれの発光素子と受光素子との間が遮光部によって遮られる。これにより、ウエハ搭載部14aにウエハ2が搭載されているか否か、押圧部145が押圧位置と退避位置のどちらにあるのかを、2個のセンサ153bの出力に基づいて検出できる。
【0051】
(製造システムの概略動作)
製造システム1では、ロボット13の右側に複数枚のウエハ2が収容されるカセット(図示省略)が配置されており、ロボット13は、このカセットと収容部10、11との間でウエハ2を搬送する。ロボット13が収容部10に対するウエハ2の搬入や搬出を行うときには、収容部10が下限位置まで下降している。処理部4の2階に設置されるロボット5は、処理部4の2階に設置される処理装置3と収容部10との間でウエハ2を搬送する。このときには、収容部10は、上限位置まで上昇している。処理部4の1階に設置されるロボット5は、処理部4の1階に設置される処理装置3と収容部11との間でウエハ2を搬送する。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上のハンド14によれば、ウエハ2の把持動作を行うために前後方向に移動自在な軸部材146の軸中心CP1の回りに、ウエハ搭載部14aを支持している回動部144が回転することで、ウエハ2の回転動作が行われる。このため、ハンド14の構造を簡素化でき、ハンド14の小型軽量化、ハンド14の製造コストの低減が可能になる。
例えば、
図9において、ハンド14の全体を前後方向に延びる軸回りに回転させる構成を想定する。この構成では、筐体14Kも回転させる必要があり、筐体14Kの内部配管や配線の引き回しが容易ではない。これに対し、ハンド14によれば、筐体14Kは回転させることなく、回動部144、軸部材146、押圧部145、及びウエハ搭載部14aのみを回転させることができる。このため、筐体14Kの内部構造を簡素化できる。
また、モータ150が作動して、回動部144、軸部材146、押圧部145、及びウエハ搭載部14aが回転した場合でも、軸受け147が軸部材146の回転を許容する。このため、筐体14K内における軸受け147の前後方向以外への移動は発生しない。つまり、この軸受け147を利用して軸部材146を駆動しているモータ150及び可動部材148と、この可動部材148の位置を検出する位置検出機構153とを動かすことなく、ウエハ2の回転が可能になる。このため、ハンド14の低コスト化と長寿命化が可能になる。
【0053】
また、ハンド14では、ローラ145aの外周面145a1がテーパ面となっている。これにより、ウエハ搭載部14aに搭載されたウエハ2をローラ145aによって押圧する際に、ウエハ2の端面がローラ145aの外周面145a1に沿って浮き上がるのを防止できる。また、ハンド14では、端面当接部材141の第一当接面141b1が、ウエハ搭載部14aに搭載されるウエハ2の径方向内側に向かって傾斜する傾斜面となっている。これにより、ウエハ搭載部14aに搭載されたウエハ2をローラ145aによって押圧する際に、ウエハ2の端面が端面当接部材141の第一当接面141b1に沿って浮き上がるのを防止できる。これにより、ウエハ2を確実に保持してウエハの落下を防ぐことができる。
特に、ウエハ搭載部14aの回転によってウエハ2のおもて面が鉛直方向に向いた状態になった場合でも、ローラ145aの外周面145a1のテーパ形状と、端面当接部材141の第一当接面141b1の傾斜形状とが、ウエハ2の落下方向への移動を抑止できる。このため、ウエハ2の落下を強固に防止できる。
【0054】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0055】
上述した形態では、回動部144の回転軸AL(
図5参照)とウエハ搭載部14aに搭載されるウエハ2の厚みとの関係について述べなかった。しかし、
図12に示すように、回動部144の回転軸AL(これは軸部材146の軸中心CP1と一致)の上下方向の位置を、ウエハ搭載部14aに搭載されるウエハ2の厚み方向(上下方向)の中心位置CP2と一致させることが好ましい。このようにすることで、ウエハ2の回転動作を安定して行うことができる。
【0056】
上述した形態では、収容部11は、柱状部材60に固定され、収容部11の上側に配置される収容部10は、処理部4の1階と2階との間で昇降可能となっている。この他にもたとえば、収容部11の上側に配置される収容部10が柱状部材60に固定され、収容部11が処理部4の1階と2階との間で昇降可能となっていても良い。この場合には、収容部10は、処理部4の2階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置で固定されている。また、この場合には、ロボット13は、左右方向において、処理部4の2階に設置されるロボット5との間に昇降装置12を挟むように配置されている。すなわち、この場合には、ロボット13は、処理部4の2階と同じ高さで配置されている。なお、この場合の収容部10は、第2の収容部である。
【0057】
上述した形態では、昇降装置12は、収容部11を備えているが、昇降装置12は、収容部11を備えていなくても良い。この場合には、昇降機構61は、処理部4の2階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置と、処理部4の1階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置との間で収容部10を昇降させる。この場合には、たとえば、処理部4の1階に設置される処理装置3で処理された後のウエハ2を収容部10に収容して、処理部4の2階へ直接、搬送することが可能になる。
【0058】
上述した形態では、処理部4は、2階建てで構成されているが、処理部4は、1階建てで構成されても良い。この場合には、昇降装置12が不要になる。また、処理部4は、3階建て以上で構成されても良い。たとえば、処理部4は、3階建てで構成されても良い。
この場合には、たとえば、昇降装置12は、収容部10、11に加えて、処理部4の1階と3階との間で昇降可能な収容部を備えるとともに、昇降機構61に加えて、この収容部を処理部4の1階と3階との間で昇降させる昇降機構を備えている。
【0059】
また、処理部4が3階建てで構成される場合には、昇降機構61によって、処理部4の1階と3階との間で収容部10を昇降させても良い。すなわち、処理部4の2階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置と、処理部4の3階に設置されるロボット5が収容部10に対してウエハ2の搬入および搬出を行うことが可能な位置とに収容部10を昇降させても良い。さらに、処理部4が3階建てで構成される場合には、収容部10が固定され、処理部4の1階と2階との間で収容部11が昇降するとともに、昇降装置12は、処理部4の2階と3階との間で昇降する収容部を備えていても良い。
【0060】
上述した形態では、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときに、保持部18の上端面は、上下方向において、第2アーム部25の上面と第2アーム部25の下面との間にある。この他にもたとえば、アーム支持部17が下限位置まで下降しているときに、
保持部18の上端面は、上下方向において、第1アーム部24の上面と第1アーム部24の基端側部分の下面との間にあっても良い。また、上述した形態では、保持部18の前側面が処理部4の固定フレーム7に固定されているが、保持部18の底面が処理部4の各階の床面に固定されても良い。また、上述した形態では、第3アーム部26の先端側に2個のハンド14、15が取り付けられているが、第3アーム部26の先端側に取り付けられるハンドは1個であっても良い。
【0061】
上述した形態では、処理部4の1階と2階とのそれぞれに6個の処理装置3が設置されているが、処理部4の1階と2階とのそれぞれに5個以下または7個以上の処理装置3が設置されても良い。また、上述した形態では、ロボット5の前後の両側に処理装置3が配置されているが、ロボット5の前後の一方側のみに処理装置3が配置されても良い。また、上述した形態では、製造システム1は、半導体を製造するための半導体製造システムであるが、製造システム1は、半導体以外の物を製造するシステムであっても良い。すなわち、ロボット5は、たとえば、ガラス基板等のウエハ2以外の搬送対象物を搬送しても良い。
【0062】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0063】
(1)
産業用ロボット(ロボット5)のハンド(ハンド14)であって、
ウエハ(ウエハ2)が搭載される搭載部(ウエハ搭載部14a)と、
前記搭載部を支持し且つ第一方向(前後方向)に延びる軸回りに回転自在に構成された回動部(回動部144)と、
前記回動部により前記第一方向へ移動自在に支持され、前記搭載部に搭載されたウエハの端面を押圧可能な押圧部(押圧部145)と、
前記押圧部と固着され、前記第一方向に移動自在に構成された軸部材(軸部材146)と、を備え、
前記軸部材は、前記回動部の回転と連動して回転可能であり、
前記回動部の回転軸(回転軸AL)と前記軸部材の軸中心(軸中心CP1)とが一致する産業用ロボットのハンド。
【0064】
(1)によれば、軸部材の第一方向への移動によって押圧部によるウエハの把持動作が行われ、回動部の回転によって、把持動作によって把持された状態のウエハの回転動作(ウエハ表面の向きを90度や180度回転させる動作)が行われる。このように、把持動作を行うために第一方向に移動自在な軸部材の軸中心の回りに回動部が回転して回転動作が行われる。このため、ハンドの構造を簡素化でき、ハンドの小型軽量化、ハンドの製造コストの低減が可能になる。
【0065】
(2)
(1)記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記回動部は、前記押圧部を前記第一方向に移動自在に支持し、且つ、前記搭載部と固着された固着部材(固着部材144a)と、前記固着部材と固着され且つ前記軸部材が内挿された第一筒状部材(回転部材144b)と、前記第一筒状部材の内周面に固着され、前記軸部材の外周面に設けられた係合部(凸部146b)に係合する被係合部(凹部144d2)を有する第二筒状部材(スプラインナット144d)と、を含む産業用ロボットのハンド。
【0066】
(2)によれば、軸部材と回動部をそれぞれ駆動する駆動部を収容する部分を回転させることなく、保持されたウエハの回転動作が実現できる。上記部分が回転しないことで、駆動部に必要な配管及び配線の引き回しの簡略化、これら配管及び配線の回動による摩耗の防止が可能になる。したがって、ハンドの低コスト化と長寿命化が可能になる。
【0067】
(3)
(2)記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記軸部材が内挿された、前記軸部材に対する前記第一方向の位置が固定の軸受け(軸受け147)と、
前記軸受けを前記第一方向に移動させて、前記軸部材を前記第一方向に移動させる第一駆動部(エアシリンダ149)と、
前記第一筒状部材を回転させて前記回動部及び前記軸部材を連動して回動させる第二駆動部(モータ150)と、を備える産業用ロボットのハンド。
【0068】
(3)によれば、搭載部が回転しても軸受けの位置は変化しない。このため、第一駆動部を回転させることなく回転動作が実現できる。また、軸受けに固着された部材の位置を検出することで、押圧部の移動位置を検出する機構を設ける場合には、この機構を回転させることなく、回転動作が実現できる。このため、ハンドの低コスト化と長寿命化が可能になる。
【0069】
(4)
(3)記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記軸受けに固着されて前記第一駆動部により前記第一方向に移動される可動部材(可動部材148)と、
前記可動部材の前記第一方向の位置を検出する位置検出機構(位置検出機構153)と、を含む産業用ロボットのハンド。
【0070】
(4)によれば、位置検出機構を回転させることなく、搭載部の回動動作が実現できる。このため、ハンドの低コスト化と長寿命化が可能になる。
【0071】
(5)
(4)記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記第一筒状部材を回動自在に支持する筐体(筐体14K)を備え、
前記筐体内に、前記第一駆動部と前記第二駆動部と前記軸受けと前記位置検出機構が収容される産業用ロボットのハンド。
【0072】
(5)によれば、筐体を回転させることなく、保持されたウエハの回転動作が実現できる。このため、筐体内の構造を簡素化でき、ハンドの低コスト化と長寿命化が可能になる。また、搭載部に比べて厚みの大きくなりやすい筐体が回転しない構成となるため、ハンドの周囲に余剰スペースが不要となる。この結果、産業用ロボットの設計に柔軟性を持たせることができる。
【0073】
(6)
(1)から(5)のいずれか1つに記載の産業用ロボットのハンドであって、
前記搭載部に搭載されたウエハの厚み方向の中心位置(中心位置CP2)と、前記軸部材の軸中心(軸中心CP1)とが一致している産業用ロボットのハンド。
【0074】
(6)によれば、ウエハの回転動作を安定して実施することができる。
【0075】
(7)
(1)から(6)のいずれか1つに記載の産業用ロボットのハンドと、
前記ハンドを支持するアーム(アーム16)と、
前記アームを支持するアーム支持部(アーム支持部17)と、を備える産業用ロボット。
【符号の説明】
【0076】
1 製造システム
2 ウエハ(半導体ウエハ)
3 処理装置
4 処理部
5 ロボット(水平多関節ロボット)
10 収容部
11 収容部(第2の収容部)
12 昇降装置
14、15 ハンド
14a ウエハ搭載部
144 回動部
145 押圧部
145a ローラ
145a1 外周面
146 軸部材
AL 回転軸
CP1 軸中心CP1
16 アーム
17 アーム支持部
18 保持部
19 ハンド駆動機構
20 アーム駆動機構
21 アーム昇降機構
24 第1アーム部
25 第2アーム部
26 第3アーム部
27 第1駆動機構
28 第2駆動機構
61 昇降機構