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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/33 20060101AFI20240801BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240801BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20240801BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240801BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240801BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240801BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240801BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240801BHJP
【FI】
G09F9/33
G02B5/00 A
G02B5/02 B
G02B5/20
G09F9/00 338
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H01L33/00 L
H10K59/10
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020168365
(22)【出願日】2020-10-05
(65)【公開番号】P2022060724
(43)【公開日】2022-04-15
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】平野 貴文
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0279979(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0126501(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0212113(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0295120(US,A1)
【文献】特開2019-134025(JP,A)
【文献】特開2014-063033(JP,A)
【文献】特開2019-066613(JP,A)
【文献】特開2016-090812(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0085191(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0255505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B5/00-5/136
5/20-5/28
G09F9/00-9/46
H01L25/00-25/07
25/10-25/11
25/16-25/18
33/00
33/48-33/64
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面に赤、緑又は青色の複数の発光源を実装した複数の表示タイルを配置した表示部と、
少なくとも1つの前記発光源を内包し得る大きさの開口を有して該発光源に対応させて設けられ、内部に光拡散材を充填した複数の開口部を備える光拡散層と、
前記開口部と同等以下の大きさの開口を有し、前記光拡散層の全領域の複数の開口部に対応して予め定められた画素ピッチで形成された複数の開口窓を備えるブラックマトリクスと、
を順次積層して構成し
前記光拡散層は、前記表示タイル側の第1面と前記ブラックマトリクス側の第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向かって広がる前記開口部の側面に、前記光拡散材によって拡散された光を前記開口部内に反射する反射膜を設けることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光拡散層の1つの開口部に対応して1つの発光源が存在することを特徴とする請求項記載の表示装置。
【請求項3】
実装面に赤、緑又は青色の複数の発光源を実装した複数の表示タイルを配置した表示部と、
少なくとも1つの前記発光源を内包し得る大きさの開口を有して該発光源に対応させて設けられ、内部に光拡散材を充填した複数の開口部を備える光拡散層と、
前記開口部と同等以下の大きさの開口を有し、前記光拡散層の全領域の複数の開口部に対応して予め定められた画素ピッチで形成された複数の開口窓を備えるブラックマトリクスと、
を順次積層して構成し、
前記光拡散層の1つの開口部に対応して赤、緑及び青色発光の3つの発光源が存在することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記光拡散材は、該光拡散材と異なる屈折率を有するバインダー樹脂に分散させて設けられており、
前記バインダー樹脂は、無色透明な樹脂、又は赤、緑又は青色に対応した波長の光を選択的に透過する色素を含有した無色透明な樹脂である、
ことを特徴とする請求項記載の表示装置。
【請求項5】
前記光拡散材は、該光拡散材と異なる屈折率を有する無色透明なバインダー樹脂に分散させて設けられていることを特徴とする請求項記載の表示装置。
【請求項6】
実装面に赤、緑又は青色の複数の発光源を実装した複数の表示タイルを配置した表示部と、
少なくとも1つの前記発光源を内包し得る大きさの開口を有して該発光源に対応させて設けられ、内部に光拡散材を充填した複数の開口部を備える光拡散層と、
前記開口部と同等以下の大きさの開口を有し、前記光拡散層の全領域の複数の開口部に対応して予め定められた画素ピッチで形成された複数の開口窓を備えるブラックマトリクスと、
を順次積層して構成し、
前記発光源は、赤、緑又は青色発光のLEDであることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
実装面に赤、緑又は青色の複数の発光源を実装した複数の表示タイルを配置した表示部と、
少なくとも1つの前記発光源を内包し得る大きさの開口を有して該発光源に対応させて設けられ、内部に光拡散材を充填した複数の開口部を備える光拡散層と、
前記開口部と同等以下の大きさの開口を有し、前記光拡散層の全領域の複数の開口部に対応して予め定められた画素ピッチで形成された複数の開口窓を備えるブラックマトリクスと、
を順次積層して構成し、
前記発光源は、紫外線を発光するLED上に、該LEDから放出される紫外線によって励起されて赤、緑又は青色の蛍光を発する蛍光発光部を備えたものであることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
前記LEDは、発光ダイオード(Light Emitting Diode)又は有機EL(Organic Light Emitting Diode)であることを特徴とする請求項6又は7記載の表示装置。
【請求項9】
実装面に紫外線の発光源である複数のLEDを実装した複数の表示タイルを配置した表示部と、
前記LEDを内包し得る大きさの開口を有して該LEDに対応させて設けられた複数の開口部内に、前記LEDから放出される前記紫外線によって励起されて赤、緑、青色の蛍光を発する蛍光色素を夫々充填して形成した複数の蛍光発光部を備える波長変換層と、
前記開口部と同等以下の大きさの開口を有し、前記波長変換層の全領域の複数の開口部に対応して予め定められた画素ピッチで形成された複数の開口窓を備えるブラックマトリクスと、
を順次積層して構成し
前記蛍光色素は、無色透明なバインダー樹脂に分散させて設けられ、
前記バインダー樹脂には、赤、緑又は青色に対応した波長の光を選択的に透過する色素が含有されていることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
前記波長変換層は、前記表示タイル側の第1面と前記ブラックマトリクス側の第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向かって広がる前記開口部の側面に、前記蛍光色素が発する蛍光を前記開口部内に反射する反射膜を設けたことを特徴とする請求項記載の表示装置。
【請求項11】
前記バインダー樹脂には、該バインダー樹脂と屈折率の異なる光拡散材が分散されていることを特徴とする請求項記載の表示装置。
【請求項12】
前記ブラックマトリクスを覆って可視光を透過する透明基板が設けられていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記複数の表示タイルの前記実装面とは反対側の裏面には、前記発光源の点灯を制御する駆動部が備えられていることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項14】
実装面に赤、緑又は青色の複数の発光源を実装した複数の表示タイルを形成するステップと、
前記複数の表示タイルを配置した表示部と同等以上の大きさを有する可視光を透過する透明基板上に、予め定められた画素ピッチで複数の開口窓を設けてブラックマトリクスを形成するステップと、
前記ブラックマトリクス上に、前記開口窓と同等以上の大きさの開口を有して前記複数の開口窓に対応させて形成された複数の開口部内に光拡散材を充填して光拡散層を形成するステップと、
前記表示タイルの前記複数の発光源と前記透明基板上の前記光拡散層とを対面させた状態で、少なくとも1つ前記発光源が前記光拡散層の前記開口部内に収まるように前記複数の表示タイルを前記光拡散層に対してアライメントするステップと、
前記複数の表示タイルと前記光拡散層とを接着剤を介して接合するステップと、
を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記光拡散層は、前記表示タイル側の第1面と前記ブラックマトリクス側の第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向かって広がる前記開口部の側面に、前記光拡散材によって拡散された光を前記開口部内に反射する反射膜を設けたことを特徴とする請求項14記載の表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記光拡散層の1つの開口部に対応して1つの発光源を配置したことを特徴とする請求項14又は15記載の表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記光拡散層の1つの開口部に対応して赤、緑及び青色発光の3つの発光源を配置したことを特徴とする請求項14又は15記載の表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記光拡散材は、該光拡散材と異なる屈折率を有するバインダー樹脂に分散させて設けられており、
前記バインダー樹脂は、無色透明な樹脂、又は赤、緑又は青色に対応した波長の光を選択的に透過する色素を含有した無色透明な樹脂である、
ことを特徴とする請求項16記載の表示装置の製造方法。
【請求項19】
前記光拡散材は、該光拡散材と異なる屈折率を有する無色透明なバインダー樹脂に分散させて設けられていることを特徴とする請求項17記載の表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記発光源は、赤、緑又は青色発光のLEDであることを特徴とする請求項14~19のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法
【請求項21】
前記発光源は、紫外線を発光するLED上に、該LEDから放出される紫外線によって励起されて赤、緑又は青色の蛍光を発する蛍光発光部を備えたものであることを特徴とする請求項14~19のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法
【請求項22】
前記LEDは、発光ダイオード(Light Emitting Diode)又は有機EL(Organic Light Emitting Diode)であることを特徴とする請求項20又は21記載の表示装置の製造方法
【請求項23】
実装面に紫外線の発光源である複数のLEDを実装した複数の表示タイルを形成するステップと、
前記複数の表示タイルを配置した表示部と同等以上の大きさを有する可視光を透過する透明基板上に、予め定められた画素ピッチで複数の開口窓を設けてブラックマトリクスを形成するステップと、
前記ブラックマトリクス上に、前記開口窓と同等以上の大きさの開口を有して前記複数の開口窓に対応させて形成された複数の開口部内に、前記LEDから放出される前記紫外線によって励起されて赤、緑、青色の蛍光を発する蛍光色素を夫々充填して形成した複数の蛍光発光部を備える波長変換層を形成するステップと、
前記表示タイルの前記複数のLEDと前記透明基板上の前記波長変換層とを対面させた状態で、前記LEDが前記波長変換層の前記開口部内に収まるように前記複数の表示タイルを前記波長変換層に対してアライメントするステップと、
前記複数の表示タイルと前記波長変換層とを接着剤を介して接合するステップと、
を含むことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項24】
前記波長変換層は、前記表示タイル側の第1面と前記ブラックマトリクス側の第2面とを有し、前記第1面から前記第2面に向かって広がる前記開口部の側面に、前記蛍光色素が発する蛍光を前記開口部内に反射する反射膜を設けたことを特徴とする請求項23記載の表示装置の製造方法。
【請求項25】
前記蛍光色素は、無色透明なバインダー樹脂に分散させて設けられていることを特徴とする請求項23又は24記載の表示装置の製造方法。
【請求項26】
前記バインダー樹脂には、該バインダー樹脂と屈折率の異なる光拡散材が分散されていることを特徴とする請求項25記載の表示装置の製造方法。
【請求項27】
前記バインダー樹脂には、赤、緑又は青色に対応した波長の光を選択的に透過する色素が含有されていることを特徴とする請求項25又は26記載の表示装置の製造方法。
【請求項28】
前記複数の表示タイルの前記実装面とは反対側の裏面には、前記発光源の点灯を制御する駆動部が備えられていることを特徴とする請求項14~27のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示タイルを配置して大型の表示画面を形成する表示装置に関し、特に、表示タイルの配置ずれによる表示品質の劣化を容易に防止し得るようにした表示装置及びその製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の表示装置の製造方法は、例えばR,G,BのLEDチップから成る画素をマトリクス状に配置して備え、画像描画面の部分として用いられる複数の画素タイル(表示タイル)を組み合わせることにより大型の画像描画面を作製するものとなっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような複数の画素タイルを組み合わせることにより大型の画像描画面を作製する方法によれば、画素タイルの配置ずれによる隣接する画素の位置ずれが視認され、表示品質が劣化するという問題であった。
【0004】
このような問題に対して、上記引用文献1に記載の発明は、画素タイルのランダムな配置ずれを、画素ずれの許容範囲内で意図的に生じさせて、画素の位置ずれの知覚を緩和させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特表2018-510389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このような従来の表示装置においては、画素タイルのランダムな配置ずれを、画素ずれの許容範囲内で意図的に生じさせるものであったので、製造が煩雑になり、容易でなかった。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に対処し、表示タイルの配置ずれによる表示品質の劣化を容易に防止し得るようにした表示装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の発明による表示装置は、実装面に赤、緑又は青色の複数の発光源を実装した複数の表示タイルを配置した表示部と、少なくとも1つの前記発光源を内包し得る大きさの開口を有して該発光源に対応させて設けられ、内部に光拡散材を充填した複数の開口部を備える光拡散層と、前記開口部と同等以下の大きさの開口を有し、前記光拡散層の全領域の複数の開口部に対応して予め定められた画素ピッチで形成された複数の開口窓を備えるブラックマトリクスと、を順次積層して構成したものである。
【0009】
また、第2の発明による表示装置は、実装面に紫外線の発光源である複数のLEDを実装した複数の表示タイルを配置した表示部と、前記LEDを内包し得る大きさの開口を有して該LEDに対応させて設けられた複数の開口部内に、前記LEDから放出される前記紫外線によって励起されて赤、緑、青色の蛍光を発する蛍光色素を夫々充填して形成した複数の蛍光発光部を備える波長変換層と、前記開口部と同等以下の大きさの開口を有し、前記波長変換層の全領域の複数の開口部に対応して予め定められた画素ピッチで形成された複数の開口窓を備えるブラックマトリクスと、を順次積層して構成したものである。
【0010】
さらに、第3の発明による表示装置の製造方法は、実装面に赤、緑又は青色の複数の発光源を実装した複数の表示タイルを形成するステップと、前記複数の表示タイルを配置した表示部と同等以上の大きさを有する可視光を透過する透明基板上に、予め定められた画素ピッチで複数の開口窓を設けてブラックマトリクスを形成するステップと、前記ブラックマトリクス上に、前記開口窓と同等以上の大きさの開口を有して前記複数の開口窓に対応させて形成された複数の開口部内に光拡散材を充填して光拡散層を形成するステップと、前記表示タイルの前記複数の発光源と前記透明基板上の前記光拡散層とを対面させた状態で、少なくとも1つ前記発光源が前記光拡散層の前記開口部内に収まるように前記複数の表示タイルを前記光拡散層に対してアライメントするステップと、前記複数の表示タイルと前記光拡散層とを接着剤を介して接合するステップと、を含むものである。
【0011】
そして、第4の発明による表示装置の製造方法は、実装面に紫外線の発光源である複数のLEDを実装した複数の表示タイルを形成するステップと、前記複数の表示タイルを配置した表示部と同等以上の大きさを有する可視光を透過する透明基板上に、予め定められた画素ピッチで複数の開口窓を設けてブラックマトリクスを形成するステップと、前記ブラックマトリクス上に、前記開口窓と同等以上の大きさの開口を有して前記複数の開口窓に対応させて形成された複数の開口部内に、前記LEDから放出される前記紫外線によって励起されて赤、緑、青色の蛍光を発する蛍光色素を夫々充填して形成した複数の蛍光発光部を備える波長変換層を形成するステップと、前記表示タイルの前記複数のLEDと前記透明基板上の前記波長変換層とを対面させた状態で、前記LEDが前記波長変換層の前記開口部内に収まるように前記複数の表示タイルを前記波長変換層に対してアライメントするステップと、前記複数の表示タイルと前記波長変換層とを接着剤を介して接合するステップと、を含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、表示タイルの配置ずれにより、画素ずれが生じた場合でも、画素ピッチはブラックマトリクスの開口窓の位置できまるため、画素ずれは視認されない。したがって、表示タイルの配置ずれによる表示品質の劣化を容易に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による表示装置の第1の実施形態の概略構成を模式的に示す正面図である。
図2図1の要部拡大正面図である。
図3】上記第1の実施形態におけるブラックマトリクスの形成工程を示す説明図である。
図4】上記第1の実施形態における光拡散層の開口部の形成工程を示す説明図である。
図5】上記開口部の側壁への反射膜の形成工程を示す説明図である。
図6】上記開口部内に光拡散材を充填して光拡散層を形成する工程を示す説明図である。
図7】上記光拡散層と表示タイルとの組み立て工程を示す説明図である。
図8】ブラックマトリクス及び光拡散層の形成の変形例を説明する図であり、BM樹脂層及び光拡散層の開口部形成工程を示す説明図である。
図9】ブラックマトリクス及び光拡散層の形成の変形例を説明する図であり、上記開口部の側壁への反射膜の形成工程を示す説明図である。
図10】本発明による表示装置の効果を示す説明図であり、(a)は表示タイルの配置ずれによるLEDの位置ずれを示し、(b)はLEDの位置ずれがブラックマトリクスにより視認されないことを示している。
図11】本発明による表示装置の第2の実施形態を示す要部拡大正面図である。
図12】本発明による表示装置の上記第1及び第2の実施形態の変形例であり、(a)は第1の実施形態に対応し、(b)は第2の実施形態に対応する。
図13】本発明による表示装置の第3の実施形態の概略構成を模式的に示す正面図である。
図14】本発明による表示装置の製造方法の変形例を示す説明図であり、(a)は第1の変形例を示し、(b)は第2の変形例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明による表示装置の第1の実施形態の概略構成を模式的に示す正面図であり、図2図1の要部拡大正面図である。この表示装置は、複数の表示タイルを配置して大型の表示画面を形成するもので、複数の表示タイル1と、光拡散層2と、ブラックマトリクス3と、透明基板4と、を積層して構成したものである。
【0015】
上記表示タイル1は、実装面に赤、緑又は青色の発光源である複数のマイクロLED(Light Emitting Diode)(以下、単に「LED」という)5を予め定められた所定の画素ピッチPでマトリクス状に配置して実装したものであり、複数の走査線及びデータ線が交差して設けられたその交差領域に、LED5及びそれを駆動する薄膜トランジスタを備えた小型の表示基板である。そして、複数の表示タイル1を並べて配置することにより大型の表示部を形成することができるようになっている。なお、ここで「実装面」とは、表示タイル1の複数の走査線及びデータ線が交差して設けられた面であり、複数のLED5が実装される面をいう。また、図1においては、図面が煩雑になるのを避けるために赤色LED5R、緑色LED5G及び青色LED5Bの3個のLED5が表示タイル1に配置されている場合を示しているが、実際には各色対応の複数のLED5が表示タイル1にマトリクス状に配置されている。また、各表示タイル1のLED5の実装面とは反対側の裏面には、LED5の点灯を制御する図示省略の駆動部が備えられている。
【0016】
上記表示タイル1の上部には、光拡散層2が設けられている。この光拡散層2は、表示タイル1のLED5から放出された光を拡散するもので、複数の表示タイル1を並べて形成したデイスプレイパネルの全表示部の複数LED5に対応して該LED5を内包し得る大きさの開口を有する開口部6を備えると共に、該開口部6内に光拡散材7を充填したものである。この場合、1つのLED5と1対1で対応する開口部6が1画素に相当する。
【0017】
光拡散層7の形成には、フォトリソグラフィー技法により、所望の大きさの開口部6をパターニングすることができる各種感光性樹脂を適用することができる。光拡散層2の厚みは、1μm~100μm程度が好適である。上記感光性樹脂は、特に、開口部6内に十分な量の光拡散材7を充填することができるように高アスペクト比の開口部6を形成することが可能な、例えば東京応化工業のTMMR(登録商標)が好適である。
【0018】
上記光拡散層2は、表示タイル1側の第1面2aとブラックマトリクス3側の第2面2bとを有しており、第1面2aから第2面2bに向かって広がる上記開口部6の側面2cには、上記光拡散材7によって拡散された光を開口部6内に反射する反射膜8が設けられている。この反射膜8としては、可視光を効率的に反射する材料を用いるのが望ましく、例えば、金(Al)、銀(Ag)、錫(Zn)又はニッケル(Ni)等が好適である。そして、反射膜8は、スパッタリングやめっき等の公知の成膜技術により成膜することができる。
【0019】
上記光拡散材7は、該光拡散材7と異なる屈折率を有するバインダー樹脂9に分散させて設けられている。この光拡散材7は、LED5から放出された光を拡散させて、セル内を均一に光らせる役目を果たすもので、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ等の無機材料、又はシリコーン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の粒形樹脂等を適用することができる。光拡散材7の粒径は、使用する光拡散材7の種類にもよるが、10nm~10μmのものを適用することができる。必要に応じて複数種の光拡散材7及び異なる粒径の光拡散材7を混合して使用してもよい。なお、バインダー樹脂9に対する光拡散材7の濃度は、3重量%~30重量%程度が好適である。
【0020】
上記バインダー樹脂9は、上記光拡散材7の分散に優れ、光の拡散を阻害しないように、可視光領域の波長の透過率の高い、例えばアクリル樹脂や、エポキシ樹脂等の無色透明な材料が好適である。また、バインダー樹脂9は、赤、緑及び青色発光のLED5に対応して対応色の波長の光を選択的に透過する、例えばカラーフィルタ用の色素を含有するものであってもよい。これにより、赤、緑及び青の色純度を向上させることができる。
【0021】
上記光拡散層2上には、ブラックマトリクス3が設けられている。このブラックマトリクス3は、光拡散層2の開口部6と同等以下の大きさの開口を有する開口窓10を、光拡散層2の全領域の複数の開口部6に対応させて予め定められた画素ピッチPでマトリクス状に備えたものである。この場合、上記開口窓10が表示装置のピクセルサイズを決定する。
【0022】
上記ブラックマトリクス3は、液晶表示装置に使用される一般的なブラックマトリクス用樹脂を使用してフォトリソグラフィー技法により所望の大きさの開口窓10を形成したものである。ここで、ブラックマトリクス3の開口窓10、光拡散層2の開口部6及びLED5の発光端面の大きさ(一辺の寸法)を夫々WB、WD、WLとすると(図2を参照)、これらの関係は、次のように設定するのがよい。
WL≦WB≦WD
【0023】
具体的には、ブラックマトリクス3の開口窓10の大きさWBは、LED5の発光端面の大きさWLと同等~4倍程度の大きさに設定するのが好ましい。また、光拡散層2の開口部6の大きさWDは、ブラックマトリクス3の開口窓10の大きさWBと同等~2倍程度の大きさに設定するのが好ましい。
【0024】
上記ブラックマトリクス3を覆って透明基板4が設けられている。この透明基板4は、ブラックマトリクス3を支持するものであり、可視光領域の波長の透過率が高いガラス基板や、アクリル板等である。
【0025】
次に、このように構成された本発明による表示装置の第1の実施形態の製造方法を、図を参照して説明する。
最初に、ブラックマトリクス3の形成工程が実施される。このブラックマトリクス3の形成工程は、先ず、図3(a)に示すように、複数の表示タイル1を配置した表示部と同等以上の大きさを有し、可視光領域における波長の透過率の高いガラス等の透明基板4上に、液晶表示装置において使用される一般的なブラックマトリクス用の感光性樹脂11が所定の厚みで均一に塗布される。
【0026】
次に、図3(b)に示すように、ブラックマトリクス3の開口窓10に対応して、LED5の発光端面と同等以上の大きさを有し、予め定められた所定の画素ピッチPでマトリクス状に並べて複数の遮蔽部12を備えたフォトマスク13を使用してブラックマトリクス用の上記感光性樹脂11に紫外線UVを照射し、感光性樹脂11を露光する。
【0027】
次いで、露光された上記感光性樹脂11を専用の現像液を使用して現像することにより、フォトマスク13の遮蔽部12に対応する未露光部が除去される。さらに、これをベークすることにより、透明基板4上に開口窓10が所定の画素ピッチPでマトリクス状に配置して設けられたブラックマトリクス3が完成する。
【0028】
続いて、光拡散層2の開口部6の形成工程が実施される。この光拡散層2の開口部6の形成工程は、先ず、図4(a)に示すように、ブラックマトリクス3上に、高アスペクト比の開口部6を形成することができる、例えば東京応化工業のTMMR(登録商標)等の光拡散層用の感光性樹脂14が例えば1μm~100μm程度の厚みに塗布される。
【0029】
次いで、図4(b)に示すように、ブラックマトリクス3の開口窓10と同等以上の大きさを有し、所定の画素ピッチPでマトリクス状に並べて複数の遮蔽部15を備えたフォトマスク16を使用して光拡散層用の上記感光性樹脂14に紫外線UVを照射し、感光性樹脂14を露光する。この場合、フォトマスク16は、事前に、上記遮蔽部15とブラックマトリクス3の開口窓10とが所定の許容誤差内で合致するようにブラックマトリクス3に対してアライメントされる。
【0030】
続いて、図4(c)に示すように、露光された上記感光性樹脂14を専用の現像液を使用して現像することにより、フォトマスク16の遮蔽部15に対応する未露光部が除去される。さらに、これをベークすることにより感光性樹脂14には、ブラックマトリクス3の開口窓10に対応して開口部6が形成される。
【0031】
次に、開口部6の側面2cへの反射膜8の成膜工程が実施される。この反射膜8の成膜工程は、先ず、図5(a)に示すように、スパッタリングやめっき等の公知の成膜技術を使用して、開口部6の内部を含む感光性樹脂14の側面に金(Al)、銀(Ag)、錫(Zn)又はニッケル(Ni)等の反射膜8が成膜される。
【0032】
次いで、図5(b)に示すように、光拡散層2のブラックマトリクス3側の第1面2aとは反対の第2面2b側からブラックマトリクス3の開口窓10に対応した開口部6内の部分にレーザ光Lが照射され、開口部6内にてブラックマトリクス3の開口窓10の対応部に被着した反射膜8が除去される。この場合、照射されるレーザ光Lは、図示省略のスリットを通して上記開口窓10の大きさに整形されたものである。これにより、図5(c)に示すように、ブラックマトリクス3の開口窓10に対応した部分の反射膜8が除去されて、開口部6の側面2cへの反射膜8の成膜工程が終了する。
【0033】
続いて、光拡散層2の開口部6内への光拡散材7の充填工程が実施される。この光拡散材7の充填工程は、先ず、図6(a)に示すように、可視光領域の波長の透過率の高い、例えばアクリル樹脂や、エポキシ樹脂等の無色透明なバインダー樹脂9に、該バインダー樹脂9と屈折率の異なる、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ等の無機材料、又はシリコーン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の粒形樹脂等の光拡散材7を均一に分散させたペースト17が、例えばスクリーン印刷により、反射膜8が被着した感光性樹脂14を覆って透明基板4の全面に塗布される。
【0034】
次に、図6(b)に示すように、反射膜8を含む感光性樹脂14上にて透明基板4の一方端から他方端に向かって(同図の矢印方向)にスキージ18を移動し、感光性樹脂14上の余分なペースト17が除去される。
【0035】
次いで、光拡散層2の開口部6内に残ったペースト17をベークして乾燥させることにより、図6(c)に示すように、開口部6内に光拡散材7が充填されて光拡散層2が形成される。
【0036】
続いて、光拡散層2と表示タイル1との組み立て工程が実施される。この組み立て工程は、先ず、図7(a)に示すように、光拡散層2の第2面2bを覆って熱硬化型又は紫外線硬化型等の透明な接着剤19が塗布される。又は、複数のLED5が実装された表示タイル1の実装面の全面を覆って感光性熱硬化型接着剤を塗布し、これを露光及び現像してLED5の周辺領域に接着剤を設けてもよい。又は光拡散層2上に両面接着テープを貼付してもよい。以下の説明においては、光拡散層2側に接着剤19を塗布する場合について述べる。
【0037】
次に、図7(b)に示すように、光拡散層2と表示タイル1の実装面1aとを対面させた状態で、光拡散層2の開口部6に対応した領域内にLED5が位置するように光拡散層2に対して表示タイル1をアライメントする。
【0038】
次いで、図7(c)に示すように、光拡散層2と表示タイル1とを相対的に押圧して両者を突き合せる。この作業は、複数の表示タイル1に対して夫々実施される。その後、接着剤19を硬化させて光拡散層2に対する複数の表示タイル1の接合が終了すると図1に示す表示装置が完成する。
【0039】
図8,9はブラックマトリクス3及び光拡散層2の形成工程の変形例を示す説明図である。図8はBM樹脂層及び光拡散層の開口部形成工程を示す説明図である。
先ず、図8(a)に示すように、透明基板4を覆ってブラックマトリクス用の感光性樹脂11が一定の厚みで均一に塗布され、その後、ベークして乾燥されてBM樹脂層20が形成される。この場合、ブラックマトリクス用の部材は低反射クロムであってもよいが、以下の説明においては、BM樹脂層20の場合について説明する。
【0040】
続いて、光拡散層2の開口部6の形成工程が実施される。この光拡散層2の開口部6の形成工程は、図4を用いて説明した工程と同様の手順に従って実施される。先ず、図8(b)に示すように、BM樹脂層20上に、高アスペクト比の開口部6を形成することができる、例えば東京応化工業のTMMR(登録商標)等の光拡散層用の感光性樹脂14が例えば1μm~100μm程度の厚みに塗布される。
【0041】
次いで、図8(c)に示すように、形成しようとする光拡散層2の開口部6に対応して所定の画素ピッチPで並べて複数の遮蔽部15を備えたフォトマスク16を使用して光拡散層2用の上記感光性樹脂14に紫外線UVが照射され、感光性樹脂14が露光される。
【0042】
続いて、図8(d)に示すように、露光された上記感光性樹脂14を専用の現像液を使用して現像することにより、フォトマスク16の遮蔽部15に対応する未露光部が除去される。さらに、これをベークすることにより、感光性樹脂14には、複数の開口部6が形成される。
【0043】
図9は開口部6の側面2cへの反射膜8の成膜工程を示す説明図である。この反射膜8の成膜工程は、図5を用いて説明した工程と同様の手順に従って実施される。先ず、図9(a)に示すように、スパッタリングやめっき等の公知の成膜技術を使用して、開口部6の内部を含む感光性樹脂14の側面に金(Al)、銀(Ag)、錫(Zn)又はニッケル(Ni)等の反射膜8が成膜される。
【0044】
次いで、図9(b)に示すように、光拡散層2のBM樹脂層20側の第1面2aとは反対の第2面2b側から開口部6内にレーザ光Lを照射し、開口部6の底面に被着した反射膜8及びBM樹脂層20が除去される。この場合、照射されるレーザ光Lは、図示省略のスリットを通してブラックマトリクス3の開口窓10の大きさに整形されたものである。これにより、図9(c)に示すように、開口部6の底面の反射膜8が除去されると共にブラックマトリクス3の開口窓10が形成されて、光拡散層2の側面2cへの反射膜8の成膜工程が終了する。この場合、複数の開口窓10の形成は、1ビームのレーザ光Lを画素ピッチPと等しいピッチで移動しながら行ってもよく、画素ピッチPと等しいピッチで並んだ複数のレーザ光Lを照射して行ってもよい。
【0045】
以降、図6を用いて説明した工程と同様の手順に従って、光拡散層2の開口部6内への光拡散材7の充填工程が実施される。即ち、図6(a)に示すように、可視光領域の波長の透過率の高い、例えばアクリル樹脂や、エポキシ樹脂等の無色透明なバインダー樹脂9に、該バインダー樹脂9と屈折率の異なる、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ等の無機材料、又はシリコーン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂等の粒形樹脂等の光拡散材7を均一に分散させたペースト17が、例えばスクリーン印刷により、反射膜8が被着した感光性樹脂14を覆って透明基板4の全面に塗布される。
【0046】
次に、図6(b)に示すように、反射膜8を含む感光性樹脂14上にて透明基板4の一方端から他方端に向かってスキージ18を移動し、感光性樹脂14上の余分なペースト17が除去される。
【0047】
次いで、感光性樹脂14の開口部6内に残ったペースト17をベークして乾燥させることにより、図6(c)に示すように、開口部6内に光拡散材7が充填されて光拡散層2が形成される。
【0048】
上記第1の実施形態によれば、表示タイル1の配置ずれにより、図10(a)に示すように、LED5の位置ずれ(画素ずれ)Dが生じた場合でも、図10(b)に示すように、画素ピッチPはブラックマトリクス3の開口窓10の位置できまるため、LED5の位置ずれ(画素ずれ)Dが、光拡散層2の開口部6に対応した領域内で生じているときにはLED5の位置ずれ(画素ずれ)Dは視認されない。したがって、表示タイル1の配置ずれによる表示品質の劣化を容易に防止しすることができる。
【0049】
図11は本発明による表示装置の第2の実施形態を示す要部拡大正面図である。この第2の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、1つの画素内に発光源である赤、緑、青色発光の3個のLED5R,5G,5Bが存在することである。詳細には、上記第2の実施形態は、透明基板4上に複数の開口窓10を画素ピッチPでマトリクス状に設けたブラックマトリクス3と、上記開口窓10に対応させて該開口窓10と同等以上の大きさの開口を有し、光拡散材7を充填した開口部6を画素ピッチPでマトリクス状に設けた光拡散層2と、上記光拡散層2の1つの開口部6に対応して3個のLED5R,5G,5Bを備えた表示タイル1とを積層して構成したものである。この場合、LED5R,5G,5Bの発光を制御すると共に、LED5R,5G,5Bから放出される3原色光を光拡散層2の開口部6内で拡散及び混色させることにより、1画素で所望の色を生成させることができる。
【0050】
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、発光源が赤、緑、青色発光のLED5R,5G,5Bである場合について説明したが、発光源は、図12に示すように、紫外線を発光するLED5UV上に、該LED5UVから放出される紫外線によって励起されて赤、緑又は青色の蛍光を発する蛍光発光部21R,21G,21Bを備えたものであってもよい。この場合、本発明による表示装置は、表示タイル1に実装された上記発光源を開口部22内に収容して備えた波長変換層23上に光拡散層2及びブラックマトリクス3を順次積層した構成を有するものである。図12(a)は第1の実施形態の変形例であり、LED5UVを含む各蛍光発光部21R,21G,21Bに夫々対応させて光拡散層2の1つの開口部6及びブラックマトリクス3の1つの開口窓10を設けたものである。また、図12(b)は第2の実施形態の変形例であり、LED5UVを含む3つの蛍光発光部21R,21G,21Bに対応して光拡散層2の1つの開口部6及びブラックマトリクス3の1つの開口窓10を設けたものである。
【0051】
図13は本発明による表示装置の第3の実施形態の概略構成を模式的に示す正面図である。
この第3の実施形態は、実装面に紫外線の発光源である複数のLED5UVを実装した複数の表示タイル1を配置した表示部と、LED5UVを内包し得る大きさの開口を有して該LED5UVに対応させて設けられた複数の開口部22内に、LED5UVから放出される紫外線によって励起されて赤、緑、青色の蛍光を発する蛍光色素としての染料又は顔料を夫々充填して形成した複数の蛍光発光部21R,21G,21Bを備える波長変換層23と、開口部22と同等以下の大きさの開口を有し、波長変換層23の全領域の複数の開口部22に対応して予め定められた画素ピッチPで形成された複数の開口窓10を備えるブラックマトリクス3と、を順次積層して構成したものである。
【0052】
この場合、波長変換層23は、表示タイル1側の第1面と前記ブラックマトリクス側の第2面とを有し、第1面から第2面に向かって広がる開口部22の側面に、蛍光色素が発する蛍光を開口部22内に反射する反射膜8を設けるとよい。
【0053】
また、蛍光色素は、無色透明なバインダー樹脂に均一に分散させて設けられている。この場合、バインダー樹脂には、該バインダー樹脂と屈折率の異なる光拡散材7が分散されているとよい。これにより、蛍光色素が発する蛍光を拡散させて、セル内を均一に光らせることができる。又は、バインダー樹脂には、赤、緑又は青色に対応した波長の光を選択的に透過する色素が含有されていてもよい。これにより、各色対応のピクセルの色純度を向上させることができる。
【0054】
本発明による表示装置の第3の実施形態の製造方法は、図3図7を用いて説明した第1の実施形態の製造方法と同様にして行うことができる。
概略は、先ず、実装面に紫外線の発光源である複数のLED5UVを実装した複数の表示タイル1を形成するステップが実施される。
【0055】
次に、図3において説明したブラックマトリクス3の形成工程と同様にして、複数の表示タイル1を配置した表示部と同等以上の大きさを有する可視光を透過する透明基板4上に、予め定められた画素ピッチPで複数の開口窓10を設けてブラックマトリクス3を形成するステップが実施される。
【0056】
さらに、図4~6において説明した光拡散層2の形成工程と同様にして、ブラックマトリクス3上に、開口窓10と同等以上の大きさの開口を有して複数の開口窓10に対応させて形成された複数の開口部22内に、LED5UVから放出される紫外線によって励起されて赤、緑、青色の蛍光を発する蛍光色素を夫々充填して形成した複数の蛍光発光部21R,21G,21Bを備える波長変換層23を形成するステップが実施される。なお、蛍光発光部21R,21G,21Bの形成は、蛍光色素を含有するレジストを例えばインクジェットにより対応色の開口部22内に充填して行ってもよく、又は波長変換層23用の感光性樹脂14(光拡散層2用と同じ樹脂を使用することができる)上に上記レジストを塗布した後、フォトリソグラフィー技法により露光及び現像して所定の開口部22内に対応色の蛍光色素を充填して行ってもよい。
【0057】
さらにまた、図7において説明した組み立て工程と同様にして、表示タイル1の複数のLED5UVと透明基板4上の波長変換層23とを対面させた状態で、LED5UVが波長変換層23の開口部22内に収まるように複数の表示タイル1を波長変換層23に対してアライメントするステップが実施される。そして、複数の表示タイル1と波長変換層23とを接着剤19を介して接合するステップが実施される。これにより、図12に示す表示装置が完成する。
【0058】
上記第3の実施形態においても、表示タイル1の配置ずれにより、LED5UVの位置ずれ(画素ずれ)が生じた場合でも、画素ピッチPはブラックマトリクス3の開口窓10の位置できまるため、LED5UVの位置ずれ(画素ずれ)が、波長変換層23の開口部22に対応した領域内で生じているときにはLED5UVの位置ずれ(画素ずれ)は視認されない。したがって、第3の実施形態においても、表示タイル1の配置ずれによる表示品質の劣化を容易に防止することができる。
【0059】
なお、上記実施形態の説明においては、透明基板4上にブラックマトリクス3及び、光拡散層2又は波長変換層23を形成した後、光拡散層2又は波長変換層23に対して複数の表示タイル1を張り付けて大画面の表示装置を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限られず、光拡散層2又は波長変換層23が表示タイル1の実装面1aに設けられてもよい。この場合、図14に示すように透明基板4に設けられたブラックマトリクス3に対して、光拡散層2(又は波長変換層23)を設けた複数の表示タイル1が張り付けられる。光拡散層2(又は波長変換層23)は、図14(a)に示すように表示タイル1毎に個別に設けてもよく、図14(b)に示すように複数の表示タイル1を組み合わせた大型の表示部の全面を覆って設けてもよい。この場合も、画素ピッチPはブラックマトリクス3の開口窓10の位置できまるため、表示タイル1の配置ずれに起因した画素ずれは視認されない。
【0060】
また、以上の説明においては、LEDが発光ダイオード(Light Emitting Diode)である場合について述べたが、本発明はこれに限られず、LEDは有機EL(Organic Light Emitting Diode)であってもよい。
【0061】
上記実施形態は、本発明が理解及び実施できる程度に概略的に示したものであり、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲を逸脱しない限り種々に変更及び修正をすることができる。
【符号の説明】
【0062】
1…表示タイル
2…光拡散層
3…ブラックマトリクス
4…透明基板
5,5R,5G,5B…LED
6…開口部
7…光拡散材
8…反射膜
9…バインダー樹脂
10…開口窓
19…接着剤
21R…赤色蛍光発光部
21G…緑色蛍光発光部
21B…青色蛍光発光部
22…開口部
23…波長変換層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14