(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】減速機、及び減速機の偏心ギヤ
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
F16H1/32 A
(21)【出願番号】P 2020168404
(22)【出願日】2020-10-05
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】中井 悠人
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-163752(JP,A)
【文献】実開昭63-103034(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプットギヤと、
前記インプットギヤに噛合して回転する複数のスパーギヤと、
前記スパーギヤに連結されたシャフトにおいて形成された偏心カムと、
前記偏心カムを回転自在に支持する第1貫通孔と、前記第1貫通孔に隣接して配置され
た第2貫通孔とを有し、前記偏心カムの回転に連動して前記インプットギヤの回転軸に対して偏心回転する偏心ギヤと、を備え
、
前記偏心ギヤの中心軸方向から見て、前記第2貫通孔自身は、前記偏心ギヤの周方向の中央を中心に前記周方向の両側が非対称に形成され、前記周方向の両側のうちの一方の肉抜きよりも他方の肉抜きが少なく形成されており、
前記肉抜きが少なく形成された領域に肉厚部が形成されている、減速機。
【請求項2】
前記シャフトの両端を回転自在に支持する第1円板及び第2円板と、
両端が前記第1円板と前記第2円板とに支持されると共に前記第1円板と前記第2円板の間において各前記第2貫通孔に挿通され
た複数の連結軸と、を備え
、
前記連結軸は、前記連結軸自身が軸方向に見た断面が前記周方向の中央を中心に前記周方向の両側が非対称に形成されている、
請求項1
に記載の減速機。
【請求項3】
偏心カムを回転自在に支持する第1貫通孔と、前記第1貫通孔に隣接して配置され
た第2貫通孔とを有し、
前記第2貫通孔自身は、軸方向から見て周方向の中央を中心に前記周方向の両側が非対称に形成され、前記周方向の両側のうちの一方の肉抜きよりも他方の肉抜きが少なく形成されており、
前記肉抜きが少なく形成された領域に肉厚部が形成されており、
前記偏心カムの回転に連動して偏心回転する減速機の偏心ギヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強度を向上することができる減速機、及び減速機の偏心ギヤに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等の駆動軸に連結された入力軸から回転が入力され、入力軸の回転数に比して少ない回転数によって回転するすると共にトルクを増加させて回転出力を取り出す減速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。この減速機は、例えば、回転駆動力が入力されるインプットギヤと、インプットギヤに噛合して回転駆動される複数のスパーギヤと、複数のスパーギヤの回転軸に連結された偏心カムを有する複数のシャフトと、偏心カムを回転自在に支持する偏心ギヤと、偏心ギヤに形成されている外歯の歯数よりも少なくとも1つ多い歯数の内歯が形成されたケースとを備えている。
【0003】
更にこの減速機は、偏心ギヤにおいて複数の偏心カムを回転自在に支持する複数の第1貫通孔と、複数の第1貫通孔の間において配置された複数の第2貫通孔とを有している。更にこの減速機は、複数のシャフトの両端を支持する一対の円板と、複数の第2貫通孔を通じて両端が一対の回転板に支持された複数の連結軸と、を備えている。上記構成により、この減速機は、インプットギヤの回転に連動して偏心ギヤがケース内の内歯に沿って偏心回転する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された減速機において、偏心ギヤに形成されている第2貫通孔と外歯との間の部分に厚みが薄い薄肉部が形成される。減速機が駆動中に薄肉部において外歯と内歯とが噛合した状態において荷重がかかった場合、薄肉部に変形が生じる虞がある。偏心ギヤが変形すると、外歯と内歯との接触点が減少し、変形が生じた薄肉部以外の部分における外歯と内歯との接触部分の荷重が増加する。減速機においてトルクを増加させるためには偏心ギヤがなるべく変形せず外歯と内歯との接触部分に荷重が集中しないことが望ましい。
【0006】
本発明は、ギヤの強度を高めてトルクを増加させる減速機、及び減速機の偏心ギヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、インプットギヤと、前記インプットギヤに噛合して回転する複数のスパーギヤと、前記スパーギヤに連結されたシャフトにおいて形成された偏心カムと、前記偏心カムを回転自在に支持する第1貫通孔と、前記第1貫通孔に隣接して配置され中心軸方向から見て非対称に形成された第2貫通孔とを有し、前記偏心カムの回転に連動して前記インプットギヤの回転軸に対して偏心回転する偏心ギヤと、を備える減速機である。
【0008】
本発明によれば、第2貫通孔が非対称に形成されていることにより、回転駆動により荷重が負荷された際に、偏心ギヤの変形を減少させ、トルクを増加させることができる。
【0009】
また、本発明の前記第2貫通孔は、前記偏心ギヤの周方向における一方側が他方側に比して肉抜きが少なく形成された肉厚部を有していてもよい。
【0010】
本発明によれば、肉厚部が形成されていることにより、回転駆動による荷重が負荷された際に、偏心ギヤの噛合部分の変形を減少させることができる。
【0011】
また、本発明は、前記複数のシャフトの両端を回転自在に支持する第1円板及び第2円板と、両端が前記第1円板と前記第2円板とに支持されると共に前記第1円板と前記第2円板の間において各前記第2貫通孔に挿通され軸方向に見た断面が非対称に形成されている複数の連結軸と、を備えていてもよい。
【0012】
本発明によれば、連結軸の断面が非対称に形成されていることにより、連結軸の強度を増加させ、出力トルクを増加させることができる。
【0013】
本発明は、偏心カムを回転自在に支持する第1貫通孔と、前記第1貫通孔に隣接して配置され中心軸方向から見て非対称に形成された第2貫通孔とを有し、前記偏心カムの回転に連動して偏心回転する減速機の偏心ギヤである。
【0014】
本発明によれば、第2貫通孔が非対称に形成されていることにより、回転駆動により荷重が負荷された際に、偏心ギヤの変形を減少させ、トルクを増加させることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、減速機においてギヤの強度を高めてトルクを増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態における減速機の側面方向の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示されるように、減速機1は、円筒形のケース2と、ケース2内に設けられた減速機構3を備える。ケース2の内周面には、内歯2Hが形成されている。内歯2Hは、円柱状に形成された複数のピン2Pと、複数のピン2Pを支持する略半円断面に形成されたピン溝2Mとにより形成されている。複数のピン溝2Mは、ケース2の中心軸方向から見て内周面に沿って配置されている。
【0018】
ピン溝2Mは、ケース2の内周面において中心軸方向に沿って延在している。各ピン溝2Mに対して各ピン2Pが軸方向に沿って当接している。複数のピン2Pは、ケース2の中心軸方向から見て内周面に沿った複数のピン溝2Mに配置されている。上記構成により、ケース2の内周面には、中心軸方向に見て複数のピン2Pにより内歯2Hが形成されている。
【0019】
減速機構3は、回転駆動力が入力されるインプットギヤ4を備える。インプットギヤ4は、例えば、入力された回転が伝達される連結板4Dと、連結板4Dに連結された第1シャフト4Sと、第1シャフト4Sに連結された第1ギヤ4Gとを備える。回転駆動力は、連結板4D側だけでなく、第1ギヤ4G側に入力されてもよい。連結板4Dは、例えば、円板状に形成されている。連結板4Dには、例えば、モータ(不図示)等により構成される駆動部の回転軸が連結されている。連結板4Dと第1シャフト4Sの一端側とは、第1シャフト4Sの軸線4Lと同心に連結されている。
【0020】
第1シャフト4Sは、円柱状に形成されている。第1シャフト4Sは、円板状に形成された第1円板U1及び第2円板U2の中心に回転自在に軸支されている。第1シャフト4Sの他端側には、所定の歯数の平歯を有する円板状に形成された第1ギヤ4Gが連結されている。インプットギヤ4は、例えば、第1シャフト4Sにおける第1ギヤ4G側がベアリングB1を介して第1円板U1に軸支されている。ベアリングB1は、例えば、ローラベアリングできる。ベアリングB1は、他の種類のベアリングであってもよい(以下同じ)。
【0021】
インプットギヤ4は、例えば、第1シャフト4Sの連結板4D側がベアリングB2を介して第2円板U2に軸支されている。ベアリングB1,B2は、ボールベアリング、ローラベアリング等が用いられる。インプットギヤ4の周囲において、複数のスパーギヤ5が噛合している。本実施形態においては、インプットギヤ4の周囲において、3個のスパーギヤ5が均等に配置されている。スパーギヤ5は、3個以上設けられていてもよい。
【0022】
回転駆動力が入力されたインプットギヤ4の回転によって、3個のスパーギヤ5が回転する。回転駆動力は、インプットギヤ4側だけでなく、3個のスパーギヤ5のうちの1個のスパーギヤ5側に入力されてもよい。この場合、スパーギヤ5の回転に連動してインプットギヤ4が回転する。スパーギヤ5は、例えば、第1ギヤ4Gと噛合する第2ギヤ5Gと、第2ギヤ5Gと同心に連結された第2シャフト5Sと、第2シャフト5Sに形成された第1偏心カム5M及び第2偏心カム5Nとを備える。第2シャフト5Sは、円柱状に形成されている。第2シャフト5Sの一端側は、第2円板U2にベアリングB4を介して回転自在に軸支されている。第2シャフト5Sの他端側は、第1円板U1にベアリングB3を介して回転自在に軸支されている。
【0023】
第2シャフト5Sの他端側と、第2ギヤ5Gとは、第2シャフト5Sの軸線5L(回転軸)と同心に連結されている。第2ギヤ5Gは、例えば、円板状に形成されている。第2ギヤ5Gは、円板の周囲に所定の歯数の平歯を有する。第2ギヤ5Gが第1ギヤ4Gに回転駆動されると、第2シャフト5Sが連動して回転する。第2シャフト5Sには、第1偏心カム5M及び第2偏心カム5Nが一体に形成されている。第1偏心カム5M及び第2偏心カム5Nは、例えば、円柱状に形成されている。第1偏心カム5Mは、中心軸が第2シャフト5Sの軸線5Lからずれて偏心して形成されている。
【0024】
第2偏心カム5Nは、中心軸が第2シャフト5Sの軸線5Lからずれて偏心して形成されている。第2偏心カム5Nの偏心方向は、第1偏心カム5Mの偏心方向と反対方向である。第1偏心カム5M及び第2偏心カム5Nは、スパーギヤ5に連結されたスパーギヤ5の第2シャフト5Sに連動して回転する。第1偏心カム5Mは、ケース2内に設けられた第1偏心ギヤ6を駆動する。
【0025】
第1偏心ギヤ6は、円板状に形成されている。第1偏心ギヤ6の中心軸6L周りには円形の貫通孔6Dが形成されている。貫通孔6Dは、第1シャフト4Sの径に比して大きく形成されている。貫通孔6Dには、第1シャフト4Sが挿通されている。貫通孔6Dは、後述のように第1偏心ギヤ6が偏心回転した際に第1シャフト4Sが接触しない径に形成されている。
【0026】
第1偏心ギヤ6の外周に沿って外歯6Cが形成されている。外歯6Cは、ケース2の内周面に沿って形成された内歯2Hと一部が噛合する。外歯6Cは、例えば、内歯2Hに比して歯数が1個以上少なく形成されている。第1偏心ギヤ6は、インプットギヤ4の軸線4L(回転軸)に対して偏心回転する。第1偏心ギヤ6は、外歯6Cが内歯2Hと一部が噛合しながらケース2の内周面に沿って滑らずに転がり、偏心回転する。
【0027】
第1偏心ギヤ6は、例えば、3個の第1偏心カム5Mを回転自在に支持する3個の第1貫通孔6Hを有する。第1貫通孔6Hは、円形の開口に形成されている。第1貫通孔6Hには、第1偏心カム5MがニードルベアリングB5を介して回転自在に支持されている。第1偏心ギヤ6は、3個の第1貫通孔6Hの間において配置された3個の第2貫通孔6Kを有する。第2貫通孔6Kは、第1貫通孔6Hの数に応じて3個以上形成されていてもよい。
【0028】
第2貫通孔6Kは、第1貫通孔6Hに隣接して配置され、第1偏心ギヤ6の中心軸6L方向から見て非対称に形成されている。第2貫通孔6Kは、外歯6Cとの間の厚みが最も薄く形成された領域である薄肉部6Pを有する。第2貫通孔6Kは、第1偏心ギヤ6の周方向における一方側が他方側に比して肉抜きが少なく形成された領域である肉厚部6Qを有する。
【0029】
第1偏心ギヤ6は、減速機構3の動作による荷重が負荷された際に、薄肉部6Pが変形する。第1偏心ギヤ6は、減速機構3の動作による荷重が負荷された際に、肉厚部6Qが形成されていることにより、薄肉部6Pの変形を減少させることができる。肉厚部6Qが形成されていることにより、薄肉部6Pの変形によって、外歯6Cとピン2Pとの接触点が減少することを防止できる。
【0030】
肉厚部6Qが形成されていることにより、変形した薄肉部6P以外の部分にあるピン2Pの接触荷重が増加することを防止できる。肉厚部6Qが形成されていることにより、第1偏心ギヤ6の強度を高めて減速機1のトルクを増加させることができる。第2偏心カム5Nは、ケース2内に設けられた第2偏心ギヤ7を駆動する。第2偏心ギヤ7は、円板状に形成されている。
【0031】
第2偏心ギヤ7の中心軸7L周りには円形の貫通孔7Dが形成されている。貫通孔7Dは、第1シャフト4Sの径に比して大きく形成されている。貫通孔7Dには、第1シャフト4Sが挿通されている。貫通孔7Dは、後述のように第2偏心ギヤ7が偏心回転した際に第1シャフト4Sが接触しない径に形成されている。第2偏心ギヤ7の外周に沿って外歯7Cが形成されている。外歯7Cは、ケース2の内周面に沿って形成された内歯2Hと一部が噛合する。外歯7Cは、例えば、内歯2Hに比して歯数が1個以上少なく形成されている。第2偏心ギヤ7は、インプットギヤ4の軸線4L(回転軸)に対して偏心回転する。
【0032】
第2偏心ギヤ7は、外歯7Cが内歯2Hと一部が噛合しながらケース2の内周面に沿って滑らずに転がり、偏心回転する。第2偏心ギヤ7は、第1偏心ギヤ6と連動して回転し、第1偏心ギヤ6の偏心方向と反対方向に偏心回転する。第2偏心ギヤ7と第1偏心ギヤ6とが連動して回転することにより、減速機1におけるバランスが保たれる。
【0033】
第2偏心ギヤ7は、例えば、3個の第2偏心カム5Nを回転自在に支持する3個の第1貫通孔7Hを有する。第1貫通孔7Hは、円形の開口に形成されている。第1貫通孔7Hには、第2偏心カム5NがニードルベアリングB6を介して回転自在に支持されている。第2偏心ギヤ7は、3個の第1貫通孔7Hの間において配置された3個の第2貫通孔7Kを有する。第2貫通孔7Kは、第1貫通孔7Hの数に応じて3個以上形成されていてもよい。
【0034】
第2貫通孔7Kは、第1貫通孔7Hに隣接して形成され、第2偏心ギヤ7の中心軸7L方向から見て非対称に形成されている。第2貫通孔7Kは、外歯7Cとの間の厚みが最も薄く形成された領域である薄肉部7Pを有する。第2貫通孔7Kは、第2偏心ギヤ7の周方向における一方側が他方側に比して肉抜きが少なく形成された領域である肉厚部7Qを有する。
【0035】
第2偏心ギヤ7は、減速機構3の動作による荷重が負荷された際に、薄肉部7Pが変形する。第2偏心ギヤ7は、減速機構3の動作による荷重が負荷された際に、肉厚部7Qが形成されていることにより、薄肉部7Pの変形を減少させることができる。肉厚部7Qが形成されていることにより、薄肉部7Pの変形によって、外歯7Cとピン2Pとの接触点が減少することを防止できる。
【0036】
肉厚部7Qが形成されていることにより、変形した薄肉部7P以外の部分にあるピン2Pの接触荷重が増加することを防止できる。肉厚部7Qが形成されていることにより、第2偏心ギヤ7の強度を高めて減速機1のトルクを増加させることができる。第2貫通孔6K,7Kには、連結軸Sが挿通される。連結軸Sの一端側は、3個の第2シャフト5Sの一端側を回転自在に支持する第2円板U2に連結されている。連結軸Sの他端側は、3個の第2シャフト5Sの他端側を回転自在に支持する第1円板U1に連結されている。連結軸Sは、3個の第2貫通孔6K,7Kに応じて3個設けられている。
【0037】
連結軸Sは、一端SA側が第2円板U2から第2貫通孔6K,7Kを通じて突出している。連結軸Sにおいて、一端SA側及び他端SB側の軸SL方向に見た断面は、円柱状に形成されている。連結軸Sは、一端SA側が第2円板U2に支持されている。連結軸Sは、他端SB側が第1円板U1に支持されている。即ち、連結軸Sは、両端が第1円板U1と第2円板U2に支持されると共に、第1円板U1と前記第2円板U2の間において第2貫通孔6K,7Kに挿通されている。連結軸Sは、軸SL方向に見た断面が非対称に形成されている。
【0038】
連結軸Sは、軸SL方向に見て、他端SB側が第1円板U1にピンSPにより位置決めされている。連結軸Sは、軸SL方向に見て、一端SA側が第2円板U2にピンSPにより位置決めされていてもよい。
【0039】
次に、減速機1の動作について説明する。減速機1は、固定方法に応じて様々な回転駆動力の入力方法、回転出力の出力方法がある。
【0040】
ケース2を固定対象物に固定した状態について説明する。インプットギヤ4に回転動力が入力されると、第1シャフト4Sを介して第1ギヤ4Gが連動して軸線4L回りに回転する。第1ギヤ4Gに噛合する複数の第2ギヤ5Gが連動して軸線5L回りに回転する。第2ギヤ5Gが回転すると第2シャフト5Sが連動して回転する。第2シャフト5Sの回転に連動して、第1偏心カム5M及び第2偏心カム5Nが軸線5L回りに偏心回転する。
【0041】
第1偏心カム5Mの回転に連動して第1偏心ギヤ6がケース2の内周面に沿って軸線4L回りに偏心回転する。第2偏心カム5Nの回転に連動して第2偏心ギヤ7がケース2の内周面に沿って軸線4L回りに偏心回転する。第2偏心ギヤ7は、第1偏心ギヤ6の回転に対して半回転ずれて回転する。第1偏心ギヤ6及び第2偏心ギヤ7の回転に連動して第1円板U1及び第2円板U2が同時に軸線4L回りにケース2に対して相対的に回転する。第1円板U1及び第2円板U2は、連結板4Dの回転数に比して低い回転数により回転する。第1円板U1及び第2円板U2の回転に連動して連結軸Sがインプットギヤ4の軸線4L回りに回転する。
【0042】
第1円板U1及び第2円板U2の回転に連動して複数のスパーギヤ5が軸線4L回りに公転する。第1円板U1及び第2円板U2の回転に連動して複数の連結軸Sが軸線4L回りに公転する。この時、連結軸Sは、第1偏心ギヤ6の第2貫通孔6Kの内周に接触せずに第2貫通孔6Kの内周の形状に沿って相対的に移動する。同様に、連結軸Sは、第2偏心ギヤ7の第2貫通孔(不図示)の内周に接触せずに第2貫通孔の内周の形状に沿って相対的に移動する。
【0043】
次に複数の連結軸Sを固定対象物に固定した場合について説明する。第1円板U1及び第2円板U2を連動して停止させた状態にした状態において、インプットギヤ4に回転動力が入力されると、複数のスパーギヤ5が軸線5L回りに回転する。複数のスパーギヤ5の回転に連動して、第1偏心ギヤ6及び第2偏心ギヤ7が軸線4L回りに偏心運動する。第1偏心ギヤ6及び第2偏心ギヤ7の偏心運動に連動してケース2が第1円板U1及び第2円板U2に対して軸線4L回りに回転運動する。ケース2は、インプットギヤ4に比して低い回転数により回転する。ケース2に回転出力を伝達する回転対象物を連結すると、インプットギヤ4に比して減速されてトルクが増強された回転出力が得られる。
【0044】
上述したように、減速機1によれば、第2貫通孔6Kが中心軸6L方向から見て非対称に形成され、肉厚部6Qが形成されていることにより、外歯6Cが内歯2Hと噛合する際に、薄肉部6Pの変形を抑制し、減速機1のトルクを増加させることができる。減速機1によれば、連結軸Sが軸SL方向から見て非対称に形成されていることにより、連結軸Sから出力されるトルクを増加させることができる。
【0045】
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、減速機1において連結軸Sは、3本以上設けられていてもよい。減速機1において回転駆動力は、インプットギヤ4だけでなく、スパーギヤ5入力してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 減速機、2 ケース、2H 内歯、2M ピン溝、2P ピン、3 減速機構、4 インプットギヤ、4D 連結板、4G 第1ギヤ、4L 軸線、4S 第1シャフト、5 スパーギヤ、5G 第2ギヤ、5L 軸線、5M 第1偏心カム、5N 第2偏心カム、5S 第2シャフト、6 第1偏心ギヤ、6C 外歯、6D 貫通孔、6H 第1貫通孔、6K 第2貫通孔、6L 中心軸、6P 薄肉部、6Q 肉厚部、7 第2偏心ギヤ、7C 外歯、7D 貫通孔、7H 第1貫通孔、7K 第2貫通孔、7L 中心軸、7P 薄肉部、7Q 肉厚部、B1-B4 ベアリング、B5、B6 ニードルベアリング、S 連結軸、SA 一端、SB 他端、SL 軸、SP ピン、U1 第1円板、U2 第2円板