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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】内窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/18 20060101AFI20240801BHJP
   E06B 1/36 20060101ALI20240801BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240801BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20240801BHJP
   E05D 13/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
E06B1/18 P
E06B1/36 Z
E06B3/46
E06B7/22 B
E05D13/00 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020182341
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022072733
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】山田 正謙
(72)【発明者】
【氏名】杉本 みく
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-141085(JP,U)
【文献】実開昭62-032160(JP,U)
【文献】特開2009-228350(JP,A)
【文献】特開2005-030170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/18
E06B 1/36
E06B 3/46
E06B 7/22
E05D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外窓の屋内側に配置される内窓であって、
上枠を有する枠体と、
前記枠体内に配置され、横方向にスライド移動可能な障子と、を備え、
前記上枠は、下方に突出する下方突出レールを有し、
前記障子は、上方に向けて開放すると共に前記下方突出レールの少なくとも一部を収容して前記障子の横方向へのスライド移動をガイドするレール収容ガイド部を有し、
前記レール収容ガイド部は、上方に向けて開放した部分の上部側に設けられ下部側よりも見込方向の幅の間隔が狭く形成された幅狭部を有し、
前記幅狭部は、下部側から上部側に向かうに従って見込方向の幅の間隔が徐々に狭く形成され、
前記下方突出レールの下端側には、前記障子のスライド移動の移動範囲の少なくとも一部において、見込方向の厚さが該下方突出レールの上部側の厚さよりも大きく且つ前記下方突出レールに対して前記レール収容ガイド部の掛かりが少ない場合に前記幅狭部に干渉することが可能な突条部が形成される、内窓。
【請求項2】
前記突条部は、見込方向の厚さが前記幅狭部の見込方向の幅の間隔よりも大きい、請求項1に記載の内窓。
【請求項3】
前記突条部は、前記下方突出レールにおける前記障子の移動方向の全域に形成される、請求項1又は2に記載の内窓。
【請求項4】
前記突条部は、前記下方突出レールから少なくとも屋内側及び屋外側のいずれかに突出する凸状に形成される、請求項1~3のいずれかに記載の内窓。
【請求項5】
前記幅狭部は、前記突条部に接触可能な気密材を有する、請求項1~4のいずれかに記載の内窓。
【請求項6】
前記障子は、該障子のスライド移動の移動方向の端部の上端に設けられ該障子の振れを抑制する振れ止め部材を有し、
前記振れ止め部材は、前記下方突出レールを収容してガイドする前記レール収容ガイド部である、請求項1~5のいずれかに記載の内窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内窓に関する。詳しくは、二重窓における外窓の屋内側に配置される内窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部に、内窓と外窓とが二重に設けられて構成される二重窓が知られている(例えば、特許文献1参照)。二重窓は、窓を二重にすることで、断熱性能を高めることができると共に、防音性を高くすることができる。二重窓は、新築時に外窓と内窓とを同時に設けることや、既設の窓の屋内側に、リフォームにより内窓を追加することで設けることもできる。
【0003】
屋内側に配置される内窓は、上枠を有する枠体と、枠体内に配置される障子と、を有する。上枠には、下方に突出する下方突出レールが形成されている。障子の上端部には、上枠の下方突出レールを収容するレール収容ガイドが形成されている。上枠の下方突出レールが、障子のレール収容ガイドに収容されてガイドされることで、障子は、枠体内を見付方向の左右方向にスライド移動可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-152002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
内窓は、リフォームにより、既存の窓の内側に追加で取り付ける場合がある。この場合、施工時の調整不足・経年劣化による取付面の変形等により、上枠の下方突出レールと障子のレール収容ガイドとの掛かりが少なくなり、障子が脱落し、内窓の障子が倒れてしまう可能性がある。そのため、内窓の障子の脱落に対する対策が望まれている。
【0006】
本開示は、内窓の障子を枠体に取り付ける施工時及び施工後の使用時において、障子と上枠との掛かりが少ないことを認識できる内窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、外窓の屋内側に配置される内窓であって、上枠を有する枠体と、前記枠体内に配置され、横方向にスライド移動可能な障子と、を備え、前記上枠は、下方に突出する下方突出レールを有し、前記障子は、上方に向けて開放すると共に前記下方突出レールの少なくとも一部を収容して前記障子の横方向へのスライド移動をガイドするレール収容ガイド部を有し、前記レール収容ガイド部は、上方に向けて開放した部分の上部側に設けられ下部側よりも見込方向の幅の間隔が狭く形成された幅狭部を有し、前記下方突出レールの下端側には、前記障子のスライド移動の移動範囲の少なくとも一部において、見込方向の厚さが該下方突出レールの上部側の厚さよりも大きく且つ前記下方突出レールに対して前記レール収容ガイド部の掛かりが少ない場合に前記幅狭部に干渉することが可能な突条部が形成される、内窓に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る内窓を屋内側から見た正面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3図1のB-B線断面図である。
図4図1のC-C線断面図である。
図5】振れ止め部材を示す斜視図である。
図6】内障子の掛かりが少ない場合に突条部に幅狭部を構成する気密材が接触した状態を示す図である。
図7】内障子の掛かりが少ない場合に突条部に幅狭部を構成する振れ止め部材の傾斜面部が接触した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物の壁に形成された開口部に納められた内窓1におけるガラスの面方向を意味し、「見込方向」とは、上記ガラスの厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。図面において、屋外側を「OUTSIDE」と記載し、屋内側を「INSIDE」と記載する。
【0010】
本実施形態の内窓1は、二重窓のうちの屋内側の窓を構成する。二重窓は、建物の壁に形成された開口部に納められる。二重窓は、建物の開口部に設けられた枠部に外窓(図示せず)を設置し、外窓の屋内側に内窓1を設置することで、二重の窓となる。
【0011】
外窓(図示せず)は、二重窓のうちの屋外側の窓を構成する。外窓は、内窓1よりも屋外側に配置される。外窓は、いわゆる引き違い窓であり、図示を省略するが、方形状に枠組みされた窓枠内に、内障子と外障子とを開閉可能に嵌め込んで構成される。
【0012】
内窓1は、外窓の屋内側に配置される。本実施形態においては、例えば、内窓1は、外窓が取り付けられた後において、リフォームにより、外窓の屋内側に設置される。なお、二重窓は、リフォームにより内窓を外窓の屋内側に追加して設ける場合に限られず、新築時に外窓と内窓とを同時に設けてもよい。
【0013】
内窓1は、いわゆる引き違い窓であり、図1及び図2に示すように、窓枠2(枠体)と、窓枠2内に開閉可能に配置された内障子3(障子)及び外障子4(障子)と、を備える。
【0014】
窓枠2の内側には、内障子3及び外障子4が組み付けられる。窓枠2は、いずれも長尺状の上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24により矩形に枠組みされている。窓枠2は、例えば、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂の押出し成形品により形成された樹脂製の樹脂枠で構成される。上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24は、例えば額縁部材(図示省略)の内周面にそれぞれ固定される。
【0015】
上枠21は、図1に示すように、窓枠2の上部において、見付方向の左右方向(横方向)に延びる。上枠21は、図2に示すように、上枠上面板部211と、内障子用上枠下方突出レール212(下方突出レール)と、外障子用上枠下方突出レール213(下方突出レール)と、上枠屋内側下方延出壁部214と、を有する。
【0016】
上枠上面板部211は、上枠21の上部に配置され、見込方向に延びる板状に形成される。
【0017】
内障子用上枠下方突出レール212は、上枠上面板部211の屋内側の下面から下方に突出する。外障子用上枠下方突出レール213は、上枠上面板部211の外窓側(屋外側)の下面から下方に突出する。内障子用上枠下方突出レール212及び外障子用上枠下方突出レール213は、見付方向の左右方向(横方向)に延びて形成され、上枠21の長手方向の全域に亘って形成される。
【0018】
内障子3は、内障子用上枠下方突出レール212が、内障子3の上端部に形成された上部レールガイド312(レール収容ガイド部)(後述)にガイドされて移動することで、窓枠2内を見付方向の左右方向にスライド移動可能である。外障子4は、外障子用上枠下方突出レール213が、外障子4の上端部に形成された上部レールガイド412(レール収容ガイド部)(後述)にガイドされて移動することで、窓枠2内を見付方向の左右方向にスライド移動可能である。
【0019】
内障子用上枠下方突出レール212及び外障子用上枠下方突出レール213は、いずれも、上枠上面板部211の下面から下方に突出するレール本体215と、レール本体215の下端に形成される一対の突条部216と、を有する。
【0020】
レール本体215は、中空部を有し、断面形状が縦長の長方形状に形成される。レール本体215は、上枠21の長手方向の全域に亘って形成される。一対の突条部216は、レール本体215の下端において、屋内側及び屋外側の両方に突出する。
【0021】
一対の突条部216は、レール本体215に一体で形成される。一対の突条部216は、見込方向の厚さが、幅狭部38(後述)の見込方向の幅の間隔よりも大きく形成されると共に、レール本体215の上部側の厚さよりも大きく形成され、幅狭部38(後述)に接触(干渉)することが可能である。突条部216が幅狭部38に接触した場合には、レール本体215の上部側の部分が幅狭部38に接触した場合よりも、内障子3及び外障子4の開閉は重くなる。本実施形態においては、突条部216は、レール本体215の屋内側及び屋外側の両方に断面形状が円弧状に突出して形成される。
【0022】
一対の突条部216は、いずれも、レール本体215の長手方向の全域に亘って形成される。これにより、一対の突条部216は、いずれも、内障子3及び外障子4のスライド移動の移動範囲の全域に亘って形成される。一対の突条部216の上下方向の位置は、内障子用上枠下方突出レール212及び外障子用上枠下方突出レール213に対して上框31,41の上部レールガイド312,412(後述)及び振れ止め部材6(後述)の掛かりが少ない場合に、幅狭部38(後述)に接触可能な位置が設定される。
【0023】
上枠屋内側下方延出壁部214は、内障子3の屋内側に配置され、上枠上面板部211における屋内側の見込方向の端部から、下方に所定長さ延出する。本実施形態においては、上枠屋内側下方延出壁部214の下端部214aは、内障子用上枠下方突出レール212の下端部212a及び外障子用上枠下方突出レール213の下端部213aよりも上方側に位置する。
【0024】
下枠22は、図1に示すように、窓枠2の下部において、見付方向の左右方向(横方向)に延びる。下枠22は、図2に示すように、内障子用下部レール221と、外障子用下部レール222と、を有する。
【0025】
内障子用下部レール221は、下枠22の屋内側の上面において、上方に立設される。内障子用下部レール221には、内障子3の下框32の下端部に配置された戸車321が係合する。これにより、内障子3が窓枠2内を見付方向の左右方向にスライド移動可能となっている。
【0026】
外障子用下部レール222は、下枠22の外窓側(屋外側)の上面において、上方に立設される。外障子用下部レール222には、外障子4の下框42の下端部に配置された戸車421が係合する。これにより、外障子4が窓枠2内を見付方向の左右方向にスライド移動可能となっている。
【0027】
左右の縦枠23,24は、図1に示すように、上枠21及び下枠22の見付方向の左右方向の両端部において上下方向に延びる。左右の縦枠23,24は、窓枠2の側部を構成する。
【0028】
内障子3及び外障子4は、いずれも引き戸であり、これらを見付方向の左右方向(横方向)にスライド移動可能に構成されることで、窓枠2の開口部が閉鎖又は開放される、いわゆる引き違い窓を構成する。
【0029】
内障子3は、図1に示すように、いずれも長尺状の上框31、下框32および左右の縦框である召内框33,戸先框34により矩形に枠組みされた框体35と、框体35内に嵌め込まれて固定されたガラス36と、を含んで構成される。外障子4は、いずれも長尺状の上框41、下框42および左右の縦框である召外框43,戸先框44により矩形に枠組みされた框体45と、框体45内に嵌め込まれて固定されたガラス46と、を含んで構成される。
【0030】
框体35,45は、例えば、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂の押出し成形品により形成された樹脂製の樹脂框体で構成される。ガラス36,46は、本実施形態においては、例えば、2層ガラスで構成される。内障子3の召内框33の見込面には、戸締り用のクレセント錠331が設けられている。
【0031】
下框32,42の内部の下部には、図2に示すように、戸車321,421が設けられる。戸車321,421の見付方向の左右方向への移動は、内障子用下部レール221,外障子用下部レール222によりガイドされる。
【0032】
上框31,41は、図2に示すように、下部に形成される下部ガラス溝311,411と、上部に形成される上部レールガイド312,412(レール収容ガイド部)と、を有する。下部ガラス溝311,411は、下方に開放する溝状に形成される。下部ガラス溝311,411には、ガラス36,46の上端部が配置される。
【0033】
上部レールガイド312,412は、上方に向けて開放する。上部レールガイド312,412には、内障子用上枠下方突出レール212の下部側及び外障子用上枠下方突出レール213の下部側が収容(配置)される。上部レールガイド312,412は、内障子用上枠下方突出レール212及び外障子用上枠下方突出レール213の少なくとも一部を収容して、内障子3,外障子4の左右方向(横方向)へのスライド移動をガイドする。
【0034】
上部レールガイド312,412は、図3に示すように、一対の鉛直板部313,413と、水平底板部314,414と、一対の上端L字状屈曲板部315,415と、一対の屈曲傾斜板部316,416と、を有する。
【0035】
一対の鉛直板部313,413は、上下方向に延びる板状に形成され、上部レールガイド312,412の上端において、見込方向に離間して配置される。
【0036】
水平底板部314,414は、上部レールガイド312,412の底部を構成し、見込方向に延びる板状に形成される。水平底板部314,414は、一対の鉛直板部313,413の上下方向の途中において、一対の鉛直板部313,413を水平に接続するように、水平方向に延びて形成される。
【0037】
一対の上端L字状屈曲板部315,415は、一対の鉛直板部313,413それぞれの上端部において、一対の鉛直板部313,413の内側に配置される。一対の上端L字状屈曲板部315,415は、鉛直板部313,413の上端部から、一対の鉛直板部313,413の内側に延びる延出板部315a,415aと、延出板部315a,415aの内側の端部から、下方に所定長さ延びる取付板部315b,415bと、を有する。
【0038】
取付板部315b,415bの内側の面には、それぞれ、気密材51が設けられている。気密材51は、取付板部315b,415bに固定される固定部511と、固定部511の下端部から内障子用上枠下方突出レール212側又は外障子用上枠下方突出レール213側に向かうに従って上方に向かって延びる気密片512と、を有する。気密片512の上端部は、上枠21の内障子用上枠下方突出レール212又は外障子用上枠下方突出レール213の側面に当接する。
【0039】
一対の屈曲傾斜板部316,416は、一対の鉛直板部313,413の上下方向の途中から、一対の鉛直板部313,413の内側に突出する突出板316a,416aと、突出板316a,416aの内側の端部から、一対の鉛直板部313,413の内側に向かって下り傾斜で延びる直線状の傾斜板部316b,416bと、を有する。
【0040】
上部レールガイド312,412において、上方に向けて開放した部分の上部側には、幅狭部38が形成される。幅狭部38は、上端L字状屈曲板部315,415及び気密材51を見込方向に離間して一対設けることにより構成される。幅狭部38の見込方向の幅は、下部側よりも見込方向の幅の間隔が狭く形成される。
【0041】
内障子3の上部レールガイド312と内障子用上枠下方突出レール212との掛かりが少ない場合には、幅狭部38の気密材51には、内障子用上枠下方突出レール212の下端の突条部216が接触可能である。これにより、内障子3の上部レールガイド312と内障子用上枠下方突出レール212との掛かりが少ない場合に、突条部216が幅狭部38の気密材51に接触して、内障子3の開閉が重くなり、内障子3の動きが硬くなり又は動かなくなることで、内障子3の施工不良を察知できる。
【0042】
図1に示すように、内障子3の召内框33の上部、内障子3の戸先框34の上部、外障子4の召外框43及び戸先框44の上部には、それぞれ、振れ止め部材6(レール収容ガイド部)が配置される。
【0043】
以下の説明においては、内障子3の戸先框34の上部に配置される振れ止め部材6の詳細について説明する。内障子3の召内框33の上部に配置される振れ止め部材6の構成は、内障子3の戸先框34の上部に配置される振れ止め部材6を左右の向きを反対にした構成と同様であるため、その説明を省略する。外障子4の戸先框44の上部及び召外框43の上部に配置される振れ止め部材6の構成は、内障子3の戸先框34の上部及び召内框33の上部に配置される振れ止め部材6の構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、内障子3の戸先框34の上部に配置される振れ止め部材6は、内障子3の戸先框34の上部に形成される上方に向けて開放する開口37に配置される。振れ止め部材6は、内障子3のスライド移動の移動方向の端部の上端に設けられる。振れ止め部材6は、内障子3の振れを抑制する。振れ止め部材6は、内障子用上枠下方突出レール212(下方突出レール)を収容してガイドする。
【0045】
図4及び図5に示すように、振れ止め部材6は、上方が開放して形成される断面視U字状の振れ止め部材本体61と、板状の係合パッキン板63と、を有する。振れ止め部材本体61と係合パッキン板63とは、一体で形成される。振れ止め部材本体61は、一対の上部板62,62を有する。一対の上部板62,62は、それぞれ、振れ止め部材本体61の上端から見込方向の外側に延びる。
【0046】
振れ止め部材本体61は、戸先框34の開口37内に配置される。振れ止め部材本体61は、見込方向に沿って切断した場合の断面形状が、上方に向けて開放する断面視U字状に形成される。振れ止め部材本体61は、底面部611と、U字状の下部において見込方向の間隔が同じ間隔で上方に延びる一対の垂直面部612と、U字状の上部において下方側から上方側に向かうに従って見込方向の中央に向かって見込方向の間隔が狭くなるように傾斜する一対の傾斜面部613と、を有する。
【0047】
係合パッキン板63は、板状に形成され、内障子3の見付方向の左右方向の外側の端部に配置される。係合パッキン板63は、振れ止め部材本体61の見付方向の左右方向の外側の端部の端面に取り付けられている。係合パッキン板63は、例えば、樹脂材料で形成される。係合パッキン板63は、上部において下方に窪む凹部631が形成される。凹部631には、内障子用上枠下方突出レール212の下部が配置される。
【0048】
係合パッキン板63には、凹部631におけるU字状の縁において、内障子用上枠下方突出レール212が接触する。これにより、内障子3が見付方向の左右方向に移動する際に、内障子用上枠下方突出レール212が係合パッキン板63に接触しながら移動することで、係合パッキン板63は、気密部材として機能する。
【0049】
振れ止め部材6には、振れ止め部材本体61の一対の垂直面部612又は一対の傾斜面部613の間に内障子用上枠下方突出レール212が配置されることで、内障子3が窓枠2内を見付け方向にスライド移動する際において、内障子3の屋内外方向の移動が規制され、内障子3と窓枠2とのガタつきが抑制される。
【0050】
振れ止め部材本体61において、上方に向けて開放した部分の上部側には、幅狭部39が形成される。幅狭部39は、一対の傾斜面部613を設けることにより構成される。幅狭部39は、下部側よりも見込方向の幅の間隔が狭く形成される。内障子3の振れ止め部材6と内障子用上枠下方突出レール212との掛かりが少ない場合には、幅狭部39の一対の傾斜面部613には、内障子用上枠下方突出レール212の下端の突条部216が接触可能である。これにより、内障子3の振れ止め部材6と内障子用上枠下方突出レール212との掛かりが少ない場合に、突条部216が幅狭部39の一対の傾斜面部613に接触して、内障子3の開閉が重くなり、内障子3の動きが硬くなり又は動かなくなることで、内障子3の施工不良を察知できる。
【0051】
次に、内窓1の施工手順について説明する。内窓1の施工時において、内障子3及び外障子4を窓枠2に組み込む場合について説明する。内障子3及び外障子4を、窓枠2内に、いわゆるケンドン式にて組み込んで建て込む。
【0052】
外障子4をケンドン式で窓枠2に組み込む場合には、外障子4の上部を内窓1の窓枠2の内部側に傾けて、外障子4を徐々に立てながら、上方側に持ち上げて、外障子4の上部レールガイド412を上枠21の外障子用上枠下方突出レール213に挿入して、上方側に更に持ち上げた後に、下方側に下ろすことで、外障子4の戸車321を下枠22の外障子用下部レール222に挿入する。内障子3をケンドン式で窓枠2に組み込む場合には、内障子3の上部を内窓1の窓枠2の内部側に傾けて、内障子3を徐々に立てながら、上方側に持ち上げて、内障子3の上部レールガイド312を上枠21の内障子用上枠下方突出レール212に挿入して、上方側に更に持ち上げた後に、下方側に下ろすことで、内障子3の戸車321を下枠22の内障子用下部レール221に挿入する。
【0053】
その後、内障子3の上端の左右方向の端部において、振れ止め部材6を、内障子3と上枠21の内障子用上枠下方突出レール212との掛かりが適正になるよう調整を行う。外障子4の上端の左右方向の端部において、振れ止め部材6を、外障子4と上枠21の外障子用上枠下方突出レール213との掛かりが適正になるよう調整を行う。
【0054】
続けて、内障子3及び外障子4を見付方向の左右方向にスライド移動させて動作確認を行う。図6に示すように、内障子3の上部レールガイド312と内障子用上枠下方突出レール212との掛かりが少ない場合には、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の突条部216が幅狭部38を構成する気密材51に接触することで、突条部216が幅狭部38を構成する気密材51に接触して、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の上部側の部分が幅狭部38を構成する気密材51に接触する場合よりも、障子(内障子3,外障子4)の開閉が重くなり、内障子3の動きが硬くなり又は動かなくなるため、内障子3の施工不良を察知できる。ここでは、内障子3について説明したが、外障子4においても同様である。
【0055】
図7に示すように、内障子3に取り付けられた振れ止め部材6と内障子用上枠下方突出レール212との掛かりが少ない場合には、突条部216が幅狭部39を構成する振れ止め部材本体61の一対の傾斜面部613,613に接触することで、突条部216が幅狭部39を構成する振れ止め部材本体61の一対の傾斜面部613,613に接触して、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の上部側の部分が幅狭部39を構成する振れ止め部材本体61の一対の傾斜面部613,613に接触する場合よりも、障子(内障子3,外障子4)の開閉が重くなり、内障子3の動きが硬くなり又は動かなくなるため、内障子3の施工不良を察知できる。ここでは、内障子3について説明したが、外障子4においても同様である。
【0056】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の内窓1は、窓枠2内に配置され横方向にスライド移動可能な障子(内障子3,外障子4)と、を備え、上枠21は、下方に突出する下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)を有し、障子(内障子3,外障子4)は、上方に向けて開放すると共に下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の少なくとも一部を収容して障子(内障子3,外障子4)の横方向へのスライド移動をガイドするレール収容ガイド部(上部レールガイド312,412、振れ止め部材6)を有し、レール収容ガイド部(上部レールガイド312,412、振れ止め部材6)は、上方に向けて開放した部分の上部側に設けられ下部側よりも見込方向の幅の間隔が狭く形成された幅狭部38,39を有し、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の下端側には、障子(内障子3,外障子4)のスライド移動の移動範囲の少なくとも一部において、見込方向の厚さが該下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の上部側の厚さよりも大きく且つ下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)に対してレール収容ガイド部(上部レールガイド312,412、振れ止め部材6)の掛かりが少ない場合に幅狭部38,39に干渉することが可能な突条部216が形成される。
【0057】
これにより、障子(内障子3,外障子4)において、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)とレール収容ガイド部(上部レールガイド312,412、振れ止め部材6)との掛かりが少ない場合には、突条部216が幅狭部38を構成する気密材51に接触して、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の上部側の部分が幅狭部38を構成する気密材51に接触する場合よりも、障子(内障子3,外障子4)の開閉が重くなる。また、障子(内障子3,外障子4)に取り付けられた振れ止め部材6と下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)との掛かりが少ない場合には、突条部216が幅狭部39を構成する振れ止め部材本体61の一対の傾斜面部613,613に接触して、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)の上部側の部分が幅狭部39を構成する振れ止め部材本体61の一対の傾斜面部613,613に接触する場合よりも、障子(内障子3,外障子4)の開閉が重くなる。よって、障子(内障子3,外障子4)の動きが硬くなり又は動かなくなることで、障子(内障子3,外障子4)と上枠21との掛かりが少ないことを認識でき、障子(内障子3,外障子4)の施工不良を察知できる。
【0058】
本実施形態においては、突条部216は、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)における障子(内障子3,外障子4)の移動方向の全域に形成される。これにより、障子(内障子3,外障子4)のいずれの位置においても、障子(内障子3,外障子4)と上枠21との掛かりが少ないことを認識でき、障子(内障子3,外障子4)の施工不良を察知できる。
【0059】
本実施形態においては、突条部216は、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)から少なくとも屋内側及び屋外側のいずれかに突出する凸状に形成される。これにより、障子(内障子3,外障子4)と上枠21との掛かりが少ない場合に、突条部216は、レール収容ガイド部(上部レールガイド312,412、振れ止め部材6)に接触しやすい。よって、障子(内障子3,外障子4)と上枠21との掛かりが少ないことを認識しやすい。
【0060】
本実施形態においては、幅狭部38は、突条部216に接触(干渉)することが可能な気密材51を有する。これにより、気密材51により止水機能を有しつつ、気密材51が突条部216に接触することで障子(内障子3,外障子4)と上枠21との掛かりが少ないことを認識できる。
【0061】
本実施形態においては、障子(内障子3,外障子4)は、障子(内障子3,外障子4)のスライド移動の移動方向の端部の上端に設けられ障子(内障子3,外障子4)の振れを抑制する振れ止め部材6を有し、振れ止め部材6は、(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)を収容してガイドする。これにより、振れ止め部材6も、幅狭部39を備えており、障子(内障子3,外障子4)と上枠21との掛かりが少ない場合に、振れ止め部材6の幅狭部39が突条部216に接触することで、障子(内障子3,外障子4)と上枠21との掛かりが少ないことを認識できる。
【0062】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれる。
【0063】
例えば、前記実施形態においては、突条部を、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)のレール本体215の見付面から突出する突条部216により構成し、下方突出レール(内障子用上枠下方突出レール212,外障子用上枠下方突出レール213)のレール本体215の見付面から突出する突条部216により構成したが、これに限定されない。例えば、突条部を、突出せずに、見込方向の厚さが、レール本体215の上部側の厚さよりも大きい肉厚の板材により構成してもよい。
【0064】
前記実施形態においては、突条部216をレール本体215と一体で形成したが、これに限定されない。突条部216をレール本体215と別体で形成してもよい。
【0065】
前記実施形態においては、突条部216の位置をレール本体215の下端に設けたが、突条部216の位置は、レール本体215の下端に限定されない。レール本体215の下端よりも上方側の位置でもよい。突条部216の上下方向の位置は、レール本体215に対して上框31,41の上部レールガイド312,412の掛かりが少ない場合に、幅狭部38に接触可能な位置であればよい。同様に、突条部216の上下方向の位置は、レール本体215に対して振れ止め部材6の掛かりが少ない場合に、幅狭部39に接触可能な位置であればよい。
【0066】
前記実施形態においては、突条部216を、障子(内障子3、外障子4)の屋内側及び屋外側の両方に設けたが、これに限定されない。突条部216を、屋内側及び屋外側のいずれか一方に設けてもよい。突条部216を内障子3及び外障子4の両方に設けたが、これに限定されない。突条部216を内障子3及び外障子4のいずれか一方に設けてもよい。
【0067】
前記実施形態においては、レール本体215において、突条部216を障子(内障子3、外障子4)の移動範囲の全域に設けたが、これに限定されない。突条部216を障子(内障子3、外障子4)の移動範囲の少なくとも一部に設ければよい。
【0068】
前記実施形態においては、内窓1の窓枠2を樹脂製の枠で構成したが、これに限定されない。内窓1の窓枠を、例えば、金属製の枠で構成してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 内窓、2 窓枠(枠体)、3 内障子(障子)、4 外障子(障子)、6 振れ止め部材(レール収容ガイド部)、21 上枠、38,39 幅狭部、51 気密材、212 内障子用上枠下方突出レール(下方突出レール)、213 外障子用上枠下方突出レール(下方突出レール)、216 突条部、312,412 上部レールガイド(レール収容ガイド部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7