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特許7530818表示部を備える電装装置およびその組み付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】表示部を備える電装装置およびその組み付け方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/02 20060101AFI20240801BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20240801BHJP
   H01H 11/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H01H13/02 A
H01H9/16 A
H01H11/00 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020209267
(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公開番号】P2022096257
(43)【公開日】2022-06-29
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】高原 大樹
【審査官】荒木 崇志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-181737(JP,A)
【文献】特開2014-167260(JP,A)
【文献】実開昭49-126172(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28;
13/00 - 13/88;
89/00 - 89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部材と、
係合部を有し、前記保持部材に対して第1の方向に組み付けられる第1の導光部材と、
窓部を有し、前記保持部材に組み付けられる外装部材と、
係合対応部を有し、光源から前記第1の導光部材を介して入る光を前記窓部に導くための第2の導光部材と、を有し、
前記保持部材に対する組み付け前の前記第1の導光部材の前記係合部に対して前記第2の導光部材の前記係合対応部が係合することで前記第2の導光部材は前記第1の導光部材に対して組み付け状態となり、前記第2の導光部材は前記第1の導光部材に対して、少なくとも、前記第1の方向に平行な方向と前記第1の方向に対して交差する第2の方向とへの相対的な移動が規制され、
前記第2の導光部材は、前記第1の導光部材に対して、前記第1の方向と前記第2の方向とに対して交差する第3の方向に組み付けられ、
前記第1の導光部材に対して組み付け状態となった前記第2の導光部材の前記係合対応部と前記第1の導光部材の前記係合部との係合によって、前記第1の導光部材に対する前記第3の方向への前記第2の導光部材の相対的な移動が規制され、
前記係合部および前記係合対応部の一方は前記第2の方向に平行な方向に突出した凸部を含み、前記係合部および前記係合対応部の他方は、前記凸部を前記第1の方向に平行な方向において隙間を保って挟む凹部を含む、表示部を備える電装装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記第2の導光部材が前記第1の導光部材に組み付け状態となった状態で、前記第3の方向に平行な方向において前記凸部と当接することで、前記第1の導光部材に対する前記第2の導光部材の、前記第3の方向への移動を規制する第1の規制部を含む、請求項に記載の、表示部を備える電装装置。
【請求項3】
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられ、且つ前記外装部材が前記保持部材に組み付けられる前の状態では、前記第1、第2、第3の各方向に平行な3方向への前記第2の導光部材の移動が規制される、請求項に記載の、表示部を備える電装装置。
【請求項4】
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられることで、前記第1の導光部材が前記保持部材に対して位置決めされ、
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられた状態で、前記外装部材が前記保持部材に組み付けられることで、前記第2の導光部材が少なくとも前記外装部材に対して位置決めされる、請求項に記載の、表示部を備える電装装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられた状態で、前記第2の導光部材と係合することによって、前記第3の方向とは反対の方向への前記第2の導光部材の移動を規制する第2の規制部を備える、請求項に記載の、表示部を備える電装装置。
【請求項6】
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられることで、前記第1の導光部材が前記保持部材に対して位置決めされ、
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられた状態で、前記外装部材が前記保持部材に組み付けられることで、前記第2の導光部材が少なくとも前記外装部材に対して位置決めされる、請求項1に記載の、表示部を備える電装装置。
【請求項7】
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられた状態で、前記外装部材が前記保持部材に組み付けられたとき、前記第1の方向と平行な方向において前記第2の導光部材の一部が前記外装部材と前記保持部材とに挟持されることで、前記第1の方向における前記第2の導光部材の位置が決まる、請求項に記載の、表示部を備える電装装置。
【請求項8】
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられた状態で、前記外装部材が前記保持部材に組み付けられたとき、前記第1の方向と平行な方向において前記第2の導光部材の一部が前記外装部材と係合することで、前記第1の方向における前記第2の導光部材の位置が決まる、請求項に記載の、表示部を備える電装装置。
【請求項9】
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられた状態で、前記外装部材が前記保持部材に組み付けられたとき、前記第1の導光部材と前記第2の導光部材とは、位置決めに関して互いに干渉しない関係となる、請求項1乃至のいずれか1項に記載の、表示部を備える電装装置。
【請求項10】
保持部材と、係合部を有し、前記保持部材に対して第1の方向に組み付けられる第1の導光部材と、窓部を有し、前記保持部材に組み付けられる外装部材と、係合対応部を有し、光源から前記第1の導光部材を介して入る光を前記窓部に導くための第2の導光部材と、を有する、表示部を備える電装装置の組み付け方法であって、
前記第2の導光部材を、前記第1の導光部材に対して、前記第1の方向と前記第1の方向に対して交差する第2の方向とに対して交差する第3の方向に組み付ける際、前記保持部材に対する組み付け前の前記第1の導光部材の前記係合部に対して前記第2の導光部材の前記係合対応部を係合させることで、前記第2の導光部材を前記第1の導光部材に対して、少なくとも、前記第1の方向に平行な方向と前記第2の方向と前記第3の方向とへの相対的な移動が規制された組み付け状態とし、
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材を前記保持部材に組み付けることで、前記第1の導光部材を前記保持部材に対して位置決めし、
前記第2の導光部材が組み付け状態となった前記第1の導光部材が前記保持部材に組み付けられた状態で、前記外装部材を前記保持部材に組み付けることで、前記第2の導光部材を少なくとも前記外装部材に対して位置決めし、
前記係合部および前記係合対応部の一方は前記第2の方向に平行な方向に突出した凸部を含み、前記係合部および前記係合対応部の他方は、前記凸部を前記第1の方向に平行な方向において隙間を保って挟む凹部を含む、表示部を備える電装装置の組み付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部を備える電装装置およびその組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等に搭載される、表示部を備える電装装置として、ノブ等の被操作部材として機能する外装部材に設けられたインジケータ部(窓部)を通じて光源の光を視認できる導光型等のスイッチ装置が知られている(特許文献1、2)。この種のスイッチ装置の組み付け構造には、インジケータ部に導光部材をインサート成形するものがある。しかしこの構造では、スイッチ装置の製造に手間がかかる。一方、インジケータ部に位置を合わせて導光部材を外装部材に組み付けるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-16058号公報
【文献】特開2005-209505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構造では、小さな導光部材を外装部材の内側に取り付ける作業が容易でない。また、導光部材が、インジケータ部で光を拡散させるための乳白色等の拡散用の導光部材と、光源に対向し、光源からの光を拡散用の導光部材へ効率的に導くための無色透明等の導光部材とに分けて構成される場合がある。特に、目標とする輝度を発揮する為には光源に対向する導光部材は光源との位置関係が重要であるのに対し、拡散用の導光部材はインジケータ部との位置関係が重要である。このような状況で、2つに分離されている導光部材をそれぞれ適切に位置決めしつつ組み付ける作業は容易でない。
【0005】
本発明は、2つの導光部材の組み付け性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の、表示部を備える電装装置は、保持部材と、係合部を有し、前記保持部材に対して第1の方向に組み付けられる第1の導光部材と、窓部を有し、前記保持部材に組み付けられる外装部材と、係合対応部を有し、光源から前記第1の導光部材を介して入る光を前記窓部に導くための第2の導光部材と、を有し、前記保持部材に対する組み付け前の前記第1の導光部材の前記係合部に対して前記第2の導光部材の前記係合対応部が係合することで前記第2の導光部材は前記第1の導光部材に対して組み付け状態となり、前記第2の導光部材は前記第1の導光部材に対して、少なくとも、前記第1の方向に平行な方向と前記第1の方向に対して交差する第2の方向とへの相対的な移動が規制され、前記第2の導光部材は、前記第1の導光部材に対して、前記第1の方向と前記第2の方向とに対して交差する第3の方向に組み付けられ、前記第1の導光部材に対して組み付け状態となった前記第2の導光部材の前記係合対応部と前記第1の導光部材の前記係合部との係合によって、前記第1の導光部材に対する前記第3の方向への前記第2の導光部材の相対的な移動が規制され、前記係合部および前記係合対応部の一方は前記第2の方向に平行な方向に突出した凸部を含み、前記係合部および前記係合対応部の他方は、前記凸部を前記第1の方向に平行な方向において隙間を保って挟む凹部を含む
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2つの導光部材の組み付け性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】表示部を備える電装装置およびその関連部材を示す分解斜視図である。
図2】第1のレンズに第2のレンズを組み付ける様子を示す斜視図である。
図3】組体をホルダに組み付ける様子を示す斜視図である。
図4】+Y側から見た組体の要部を示す図である。
図5】ノブの斜視図である。
図6図1のA-A線に沿う部分断面図である。
図7図6のB-B線に沿う部分断面図である。
図8】変形例の第1のレンズおよび第2のレンズの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係る、表示部を備える電装装置およびその関連部材を示す分解斜視図である。この電装装置は例えばスイッチ装置として構成され、主な構成要素として、第1のレンズ10(第1の導光部材)、第2のレンズ20(第2の導光部材)、ノブ30(外装部材)およびホルダ40(保持部材)を備える。基板60は、ケースを介して車体(いずれも図示せず)に固定される。基板60にはLED61、小型スイッチ62が実装されている。ノブ30は、一例として、押下操作される被操作部材である。スイッチ装置は、基板60に対してノブ30の操作方向に相対的に変位する。以降、各部の方向を、図1等に示したX、Y、Z座標軸を基準として呼称する。なお、方向に関し向きを限定する場合は、+X方向、-X方向等のように記す。また、双方の向きを含む表現として、±X方向をX軸方向、±Y方向をY軸方向、±Z方向をZ軸方向と記す。例えば、ノブ30の押下方向が-Z方向(第1の方向)である。
【0011】
組み付け方法の概略を説明する。まず、作業者は、第1のレンズ10と第2のレンズ20とを組み付ける。第1のレンズ10と第2のレンズ20とを組み付けたものを組体100と称する。次に、作業者は、組体100をホルダ40に組み付け、その後、ホルダ40にノブ30を組み付ける。
【0012】
図2は、第1のレンズ10に第2のレンズ20を組み付ける様子を示す斜視図である。図3は、組体100をホルダ40に組み付ける様子を示す斜視図である。図4は、+Y側から見た組体100の要部を示す図である。
【0013】
第1のレンズ10は、一例として、無色の透明樹脂で一体に形成される。第2のレンズ20は、一例として、乳白色等の半透明樹脂で一体に形成される。ホルダ40およびノブ30はそれぞれ、一例として不透明樹脂で一体に形成される。
【0014】
図2に示すように、第1のレンズ10は、全体として概ね板状を呈する。第1のレンズ10は、凸部11A、11Bを含む。凸部11A、11Bは、X軸方向における側面15から、それぞれ-X方向、+X方向に突出している。第1のレンズ10の+Y側の面には係止爪12が突出して形成されている。第1のレンズ10の-Y側の面は平坦な面である。凸部11Aは、+Z側の端面である上面13、-Z側の端面である下面14を有する(図4も参照)。レンズ10、20は各々、Y軸方向から見てZ軸に対して略線対称である。
【0015】
第2のレンズ20は、それぞれ-X側端部、+X側端部に、腕部22A、22Bを備える。腕部22Aは、凹部21Aを含む。凹部21Aは凸部11Aに対して嵌合的な形状を有し、-Y側に規制面23Aを有する。腕部22Aは、+Z側の端面である上面24、-X側の端面である側面25、-Z側の端面である下面26を有する(図4も参照)。腕部22Bは凹部21Bを含む。凹部21Bは凸部11Bに対して嵌合的な形状を有し、-Y側に規制面23Bを有する。また、図4に示すように、凹部21A、21Bはいずれも、+Z側に天井面27を有し、-Z側に底面28を有する。
【0016】
第2のレンズ20は、ノブ30のインジケータ部である窓部31から光を拡散させる機能を果たすために、乳白色等であることが好ましい。一方、第1のレンズ10は、光源であるLED61に対向し、LED61からの光を第2のレンズ20へ効率的に導くため、無色透明であることが好ましい。これらのことから、第2のレンズ20と第1のレンズ10とは別体で構成されている。しかし、2つに分離されているレンズ10、20をそれぞれ適切に位置決めしつつ組み付ける作業は容易でないことから、本実施の形態ではレンズ10、20を仮組み付けしやすくする工夫を施している。
【0017】
図2に示すように、第2のレンズ20は、ホルダ40への組み付け前の第1のレンズ10に対して+Y方向(第3の方向)に組み付けられる。+Y方向は、Z軸方向とX軸方向とに対して交差する(略直交する)方向である。作業者は、係合部としての凸部11A、11Bに対して、係合対応部としての凹部21A、21Bを-Y側から係合させる。これにより、第2のレンズ20と第1のレンズ10とが組み付け状態となった組体100が得られる。この状態においては、凸部11A、11Bと凹部21A、21Bとが係合していることから、第1のレンズ10に対して、Z軸方向(第1の方向に平行な方向)とX軸方向(第2の方向)とへの第2のレンズ20の相対的な移動が規制される。
【0018】
すなわち、Z軸方向に関しては、凹部21A、21Bの天井面27と凸部11A、11Bの上面13との当接、または、凹部21A、21Bの底面28と凸部11A、11Bの下面14との当接によって、第2のレンズ20の相対的な移動が規制される(図4参照)。また、X軸方向に関しては、第1のレンズ10の側面15(凸部11A、11Bの基面)と腕部22A、22Bの内側面29との当接によって、第2のレンズ20の相対的な移動が規制される。これに加えて、第2のレンズ20が+Y方向へ変位しようとすると、凸部11A、11Bと規制面23A、23B(第1の規制部)とが当接することから、第1のレンズ10に対して、+Y方向への第2のレンズ20の相対的な移動も規制される。
【0019】
図4に示すように、Z軸方向において、凸部11A、11Bの厚みよりも、凹部21A、21Bの幅の方が若干大きい。すなわち、凹部21A、21Bは、凸部11A、11Bを、Z軸方向において隙間を保って挟む。また、X軸方向における第1のレンズ10の幅(2つの側面15間の距離)よりも、第2のレンズ20の腕部22A、22Bの2つの内側面29の間隔の方が若干大きい。これらの関係から、実質的には、組体100においては、第2のレンズ20と第1のレンズ10とは、X、Y、Zの3方向にガタのある仮組み付け状態といえる。従って、両レンズの相対的な移動規制は、位置決めされた状態とは異なる。しかしながら、作業者が組体100を扱う際、第2のレンズ20と第1のレンズ10とが容易に分離しにくいため、組体100を一体として扱いやすく、その観点からは2つのレンズ10、20の組み付け性が向上する。
【0020】
図5は、ノブ30の斜視図である。図5では、ノブ30を斜め-Z側から見ており、ノブ30の内側が見える。表示部としての窓部31は、X軸方向に長い貫通穴であるが、透明樹脂で埋められていてもよい。組み付け後のスイッチ装置においては、第2のレンズ20の+Z側の先端部が窓部31に嵌まり、外部から視認可能となる。
【0021】
図5に示すように、ノブ30は、X軸方向における窓部31の両側に、位置決め部37A、37Bを有する。位置決め部37Bは、Z軸方向から見てY軸に対して位置決め部37Aと略線対称に構成されるので、代表して位置決め部37Aについて説明する。位置決め部37Aは、Y軸方向において互いに対向する一対のY規制面34、35を有する。一対のY規制面34、35の間に、Z軸に直交するZ規制面32が形成される。また、位置決め部37Aは、X軸に直交するX規制面33を有する。さらに、ノブ30には、垂下片38A、38Bが形成されている。垂下片38A、38Bにはそれぞれ、係止穴36A、36Bが形成されている。
【0022】
図3に示すように、ホルダ40は、組体100の主に第1のレンズ10を収容する収容部43を有する。+Y側の第1の壁47と、第1の壁47より-Y側に位置する第2の壁44とを有する。第1の壁47と第2の壁44とは、一対の壁50A、50Bにより接続されている。そして、壁47、44、50A、50Bと底部51(図6参照)とにより収容部43が形成される。第1の壁47は、+Z側に延出する係止片47aを含む。係止片47aには係止穴42が形成されている。第2の壁44にはリブ45(第2の規制部)が一体に形成されている。X軸方向におけるホルダ40の両側部には係止爪41が形成されている(-X側のものだけ図示)。
【0023】
図6は、図1のA-A線に沿う部分断面図である。図7は、図6のB-B線に沿う部分断面図である。図3に示すように、組体100は、ホルダ40に対して-Z方向に組み付けられる。作業者は、第2のレンズ20が組み付け状態となった第1のレンズ10を、+Z側から収容部43へ挿入する。すると、図6に示すように、第1のレンズ10の下端面16がホルダ40の底部51と当接すると共に、第1のレンズ10の係止爪12が係止穴42に係止される。これにより、ホルダ40に対してZ軸方向における第1のレンズ10の位置決めがなされる。
【0024】
また、図7に示すように、収容部43において、一対の壁50A、50Bからはそれぞれリブ49が収容部43の内側に突出している。さらに、第1の壁47からは2つのリブ48が収容部43の内側に突出している。また、上述したように、第2の壁44からはリブ45が収容部43の内側に突出している。収容部43に収容された第1のレンズ10は、複数のリブ48、49、45と当接し、第1のレンズ10の位置が決まる。具体的には、第1のレンズ10と2つのリブ49との当接により、X軸方向における第1のレンズ10の位置決めがなされる。第1のレンズ10とリブ48、45との当接により、Y軸方向における第1のレンズ10の位置決めがなされる。
【0025】
このように、組体100がホルダ40に組み付けられ、且つ、ノブ30が組み付けられる前の状態では、第1のレンズ10は、ホルダ40によってX、Y、Zの3方向に位置決めされる。しかも、第2の壁44が存在することから、第2のレンズ20は、-Y方向には一定量しか変位できない。ここで、-Y方向は、凸部11A、11Bと凹部21A、21Bとの係合によって第2のレンズ20の相対変位が規制される+Y方向とは反対の方向である。従って、組体100がホルダ40に挿入された状態では、第1のレンズ10と係合状態にある第2のレンズ20は、実質的に、X、Y、Zの3方向への移動が規制される。これにより、ノブ30の組み付け前であっても、第2のレンズ20が脱落しにくい。
【0026】
次に、組体100が組み付けられたホルダ40に対して、作業者は、+Z側からノブ30を組み付ける(図1参照)。ノブ30の垂下片38A、38Bの係止穴36A、36B(図5参照)が、ホルダ40における対応する係止爪41に係止されることで、ノブ30がホルダ40に対して組み付けられる。そのとき、次に説明するように、第2のレンズ20も、少なくともノブ30に対して位置決めされる。
【0027】
図4では、組み付け後のスイッチ装置における組体100の、主として腕部22Aと凸部11Aとの関係を示しているが、腕部22Bと凸部11Bとの関係もこれと同様である。ノブ30をホルダ40に組み付ける際、ノブ30のZ規制面32により腕部22Aの上面24が押圧され、腕部22Aの下面26が壁50Aの上端面46に当接する。Z軸方向において、第2のレンズ20の一部である腕部22Aが、ノブ30の位置決め部37AのZ規制面32と壁50Aの上端面46とに挟持される。これにより、Z軸方向における腕部22Aの位置が決まる。腕部22Bにおいてもこれと同様の作用が生じる。従って、ノブ30をホルダ40に組み付けることで、Z軸方向において第2のレンズ20の位置決めがなされる。従って、第2のレンズ20は、第1のレンズ10からの影響を受けることなくZ軸方向において位置決めされる。
【0028】
さらに、X軸方向に関しては、ノブ30をホルダ40に組み付けると、位置決め部37A、37Bの各々におけるX規制面33の間に第2のレンズ20が挟まれる。すなわち、腕部22A、22Bの側面25がそれぞれ、位置決め部37A、37Bにおける対応するX規制面33と当接する。これにより、X軸方向において第2のレンズ20の位置決めがなされる。さらにY軸方向に関しては、ノブ30をホルダ40に組み付けると、位置決め部37A、37Bにおける一対のY規制面34、35間(図5参照)に、腕部22A、22Bがそれぞれ挟まれる。すなわち、腕部22A、22Bは、位置決め部37A、37BのそれぞれにおけるY規制面34とY規制面35とに当接する。これにより、Y軸方向において第2のレンズ20の位置決めがなされる。
【0029】
このように、組体100が組み付けられたホルダ40にノブ30を組み付けると、第2のレンズ20は、Z軸方向に関してはノブ30とホルダ40との協働により位置決めされるが、X、Y軸方向に関しては、専らノブ30によって位置決めされる。また、第2のレンズ20が位置決めされた状態では、図4に示すように、凸部11A、11Bと凹部21A、21Bとは当接しない。これは、第1のレンズ10はホルダ40によって位置決めされているからである。
【0030】
従って、ホルダ40にノブ30が組み付けられた際、第1のレンズ10と第2のレンズ20とは、位置決めに関して互いに干渉しない関係となる。特に、第1のレンズ10は、LED61との位置関係が重要であるため、ホルダ40に位置決めされる。一方、第2のレンズ20は、ノブ30の窓部31との位置関係が重要であるため、少なくともノブ30に位置決めされる。従って、第1のレンズ10および第2のレンズ20は、互いの影響を排してそれぞれ正確に位置決めされる。
【0031】
組み付け後のスイッチ装置において、ノブ30が-Z方向に操作されると、ホルダ40に設けられた不図示のアクチュエータが、基板60上の小型スイッチ62を押圧してONにする。
【0032】
本実施の形態によれば、ホルダ40への組み付け前に、第1のレンズ10の凸部11A、11Bに対して第2のレンズ20の凹部21A、21Bを係合させることで、第2のレンズ20と第1のレンズ10とが組み付け状態となった組体100が得られる。組体100においては、第2のレンズ20は、第1のレンズ10に対して、Z軸方向とX軸方向とへの相対的な移動が規制される。これにより、第1のレンズ10と第2のレンズ20との組み付け性を向上させることができる。
【0033】
特に、第2のレンズ20は第1のレンズ10に対して第3の方向(+Y方向)に組み付けられる。ここで第3の方向(+Y方向)は、第1のレンズ10がホルダ40に組み付けられる第1の方向(-Z方向)と、第2のレンズ20が第1のレンズ10に対して相対的な移動が規制される第2の方向(X軸方向)とに対して交差する方向である。しかも、凸部11A、11Bと凹部21A、21Bとの係合によって、第1のレンズ10に対する第3の方向(+Y方向)への第2のレンズ20の相対的な移動が規制されるので、2つのレンズ10、20が組み付け状態で分離しにくい。従って、作業者は、2つのレンズ10、20を一体に扱うことが容易である。
【0034】
また、組体100がホルダ40に組み付けられ、且つ、ノブ30がホルダ40に組み付けられる前の状態では、3方向(±XYZ)への第2のレンズ20の移動が規制されるので、第2のレンズ20が脱落しにくい。従って、ノブ30を組み付ける作業が容易になる。
【0035】
また、第2のレンズ20に関しては、ノブ30がホルダ40に組み付けられたとき、第2のレンズ20の腕部22A、22Bが、ノブ30のZ規制面32と壁50Aの上端面46とに挟持されることで、Z軸方向において第2のレンズ20がノブ30に対して位置決めされる。また、位置決め部37A、37Bによって、X、Y軸方向において第2のレンズ20がノブ30に対して位置決めされる。
【0036】
また、第1のレンズ10に関しては、組体100がホルダ40に組み付けられることで、X、Y、Z軸方向において第1のレンズ10がホルダ40に対して位置決めされる。その際、第2のレンズ20の凹部21A、21Bは、第1のレンズ10の凸部11A、11Bを、Z軸方向において隙間を保って挟む。このとき、第1のレンズ10と第2のレンズ20とは、Z軸方向だけでなく、X軸、Y軸方向においても互いに係合しない。従って、組み付け後のスイッチ装置において、第1のレンズ10と第2のレンズ20とが位置決めに関して互いに干渉しない関係が実現される。すなわち、第1のレンズ10とホルダ40とを位置決めすることができると共に、第2のレンズ20とノブ30とを位置決めすることができる。このことから、作業者は、組体100がホルダ40に組み付けられた状態で、ノブ30をホルダ40に組み付けるという簡単な作業により、第1のレンズ10および第2のレンズ20を、互いの影響を排してそれぞれ正確に位置決めすることができ、目標とする輝度を発揮することができる。
【0037】
図8で、第1のレンズ10および第2のレンズ20の変形例を説明する。図8は、変形例において第1のレンズ10に第2のレンズ20を組み付ける様子を示す斜視図である。この変形例においては、第1のレンズ10と第2のレンズ20との凹凸関係を、図2に示す例とは逆にしている。代表して、腕部22A、22Bのうち腕部22Aとそれに対応する第1のレンズ10の凹部について説明する。
【0038】
腕部22Aには、凸部52が形成されている。第1のレンズ10には、凸部52に嵌合的な凹部53が形成されている。凹部53は、規制面23A(図2)に相当する規制面53aを+Y側に有する。
【0039】
このような変形例であっても、第2のレンズ20は、ホルダ40への組み付け前の第1のレンズ10に対して+Y方向に組み付けられる。凸部52と凹部53とが係合することで、第2のレンズ20と第1のレンズ10とが組み付け状態となった組体100が得られる。第1のレンズ10に対して、Z軸方向とX軸方向とへの第2のレンズ20の相対的な移動が規制される。これに加えて、第2のレンズ20が+Y方向へ変位しようとすると、凸部52と規制面53aとが当接することから、第1のレンズ10に対して、+Y方向への第2のレンズ20の相対的な移動も規制される。
【0040】
本実施の形態によれば、第1のレンズ10と第2のレンズ20との組み付け性を向上させることに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0041】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
【0042】
なお、第1、第2の実施の形態において、凹部21A、21B、凹部53は、Y軸方向において規制面23A、23B、53aを備えるいわゆる止まり溝であった。しかしこれに限定されず、凹部は、規制面を有さず、Y軸方向に貫通した溝形状であってもよい。その場合、組体100において、第2のレンズ20は、第1のレンズ10に対して-Y方向だけでなく+Y方向にも外れやすくなる。しかし、作業者は、レンズ10、20の双方をY軸方向から挟むように把持すれば、第2のレンズ20を脱落させずに組体100をあたかも一体物のように扱うことは可能である。
【0043】
なお、上記各実施の形態において、第1のレンズ10に対する第2のレンズ20の組み付け方向と、ホルダ40に対する組体100の組み付け方向とは、交差する関係であればよく、直交しなくてもよい。従って、第1のレンズ10に対する第2のレンズ20の組み付け方向は、X軸方向とZ軸方向とに対して交差する方向であればよく、X軸方向とZ軸方向とに直交する方向に限定されない。
【0044】
なお、上記各実施の形態において、Z軸方向における第2のレンズ20の位置決めに関してはホルダ40も関与した。しかし、第2のレンズ20が、Z軸方向に関しても専らノブ30によって位置決めされるように構成されてもよい。
【0045】
なお、本発明の適用は、車両に搭載されるスイッチ装置に限定されない。また、本発明のスイッチ装置は、車両等に固定されて使用されるものに限定されず、独立したスイッチとして構成されてもよい。
【0046】
また、本発明のスイッチ装置は、LED61との位置関係が変化しない構成のスイッチに適用されてもよい。あるいは、LED61や小型スイッチ62を有しないスイッチに適用されてもよい。
【0047】
なお、放光のための窓部を有する部材は、ノブ30のように可動する部材に限定されず、例えば、パネルのような部材であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 第1のレンズ、 11A、11B 凸部、 20 第2のレンズ、 21A、21B 凹部、 30 ノブ、 31 窓部、 40 ホルダ、 61 LED
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8