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特許7530822医療器具の器具管理装置および器具管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】医療器具の器具管理装置および器具管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 50/36 20160101AFI20240801BHJP
   A61J 1/14 20230101ALI20240801BHJP
   A61L 2/26 20060101ALI20240801BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A61B50/36
A61J1/14 510
A61L2/26
A61L2/24
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020214044
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099952
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】317009525
【氏名又は名称】DGSHAPE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 暁典
(72)【発明者】
【氏名】花島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 全
(72)【発明者】
【氏名】小久保 貴章
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-137702(JP,A)
【文献】特開2006-338047(JP,A)
【文献】特開2011-036683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 50/30
A61J 1/14
A61L 2/00
A61L 11/00-12/00
G16H 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリーと、
少なくとも1つのプロセッサと、
を備え、
1つまたは複数の医療器具をまとめた器具セットを滅菌処理するときに発行される滅菌ラベルを再発行する際、前記滅菌ラベルを再発行する理由である再発行理由の種類を作業者が指定する理由指定領域を有する再発行理由登録画面を表示装置に表示する表示処理と、
前記理由指定領域に指定された前記再発行理由の種類を取得し、前記メモリーに記憶させる取得処理と、
前記メモリーに記憶された前記再発行理由の種類ごとに、前記再発行理由の種類を理由として前記滅菌ラベルを再発行した回数である再発行回数をカウントするカウント処理と、
を実行可能に構成された、医療器具の器具管理装置。
【請求項2】
前記表示処理において表示される前記再発行理由登録画面は、前記理由指定領域で指定された前記再発行理由の種類を確定する確定ボタンを有し、
前記取得処理では、前記確定ボタンが押されたときに前記理由指定領域に指定された前記再発行理由の種類を取得する、請求項1に記載された医療器具の器具管理装置。
【請求項3】
前記取得処理では、前記滅菌ラベルの再発行の対象である器具セットに付された対象セットIDと、前記理由指定領域に指定された前記再発行理由の種類とを関連付けた滅菌ラベル情報を前記メモリーに記憶させる、請求項1または2に記載された医療器具の器具管理装置。
【請求項4】
前記メモリーは、滅菌ラベル情報テーブルを記憶し、
前記取得処理では、前記滅菌ラベル情報を前記滅菌ラベル情報テーブルに追加する、請求項3に記載された医療器具の器具管理装置。
【請求項5】
前記メモリーに記憶された前記滅菌ラベル情報に基づいて作成され、前記対象セットIDが付された器具セットのセット名と、前記再発行理由の種類とを関連付けた器具再発行理由情報を表示装置に表示する理由表示処理を実行可能に構成された、請求項3または4に記載された医療器具の器具管理装置。
【請求項6】
前記再発行理由の種類と、前記カウント処理においてカウントされた前記再発行回数とを関連付けた再発行回数情報を表示装置に表示する集計表示処理を実行可能に構成された、請求項1から5までの何れか1つに記載された医療器具の器具管理装置。
【請求項7】
前記集計表示処理では、再発行回数情報をグラフ化した再発行回数グラフを表示装置に表示する、請求項6に記載された医療器具の器具管理装置。
【請求項8】
前記理由指定領域で指定可能な前記再発行理由の種類として、
器具セットに対する滅菌処理の有効期限が切れたことを理由に前記滅菌ラベルを再発行する滅菌切れ理由と、
器具セットを構成する1つまたは複数の医療器具が収容される包装体が破損したことを理由に前記滅菌ラベルを再発行する包装破損理由と、
前記滅菌ラベルが破損したことを理由に前記滅菌ラベルを再発行するラベル破損理由と、
器具セットに対して滅菌処理が行われたことを示すインジケータを前記包装体に入れ忘れたことを理由に前記滅菌ラベルを再発行するIC入れ忘れ理由と、
を少なくとも含む、請求項1から7までの何れか1つに記載された医療器具の器具管理装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか1つに記載された医療器具の器具管理装置と、
表示装置と、
操作装置と、
を備えた、器具管理システム。
【請求項10】
前記滅菌ラベルを発行するラベル発行機を備え、
前記器具管理装置は、前記取得処理において前記理由指定領域に指定された前記再発行理由の種類を取得したとき、前記ラベル発行機に前記滅菌ラベルを発行させるラベル発行処理を実行可能に構成された、請求項9に記載された器具管理システム。
【請求項11】
前記滅菌ラベルには、前記滅菌ラベルの発行の対象である器具セットが滅菌処理されたことを示す対象滅菌IDが記録された滅菌識別標識が付されており、
前記ラベル発行機は、プリンタであり、
前記ラベル発行処理では、前記ラベル発行機に対して所定のラベル媒体に前記滅菌識別標識を印刷させることで、前記滅菌ラベルを発行させる、請求項10に記載された器具管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療器具の器具管理装置および器具管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、手術や診察などの医療行為で繰り返し使用される医療器具が開示されている。医療器具は、所定の医療作業工程を順に行うことで、繰り返し使用されることが可能になる。医療作業工程は、手術が行われる手術工程と、回収工程と、洗浄工程と、組立工程と、滅菌工程と、保管工程とを有している。
【0003】
回収工程では、手術後の医療器具が回収される。洗浄工程は、回収された医療器具を複数の部品に分解して、洗浄を行う工程である。組立工程は、洗浄後の医療器具の各部品を組み立てる工程である。滅菌工程は、組立後の医療器具に対して滅菌処理を行う工程である。保管工程は、滅菌処理された医療器具を所定の保管場所に保管する工程である。手術工程では、保管場所に保管された医療器具を払い出し、払い出された医療器具を使用して手術が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-148113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば1つまたは複数の医療器具をまとめた器具セットの単位で、上記の医療作業工程の各工程が行われる。器具セットを構成する医療器具は、例えば所定の包装材料に収容されて、滅菌工程における滅菌処理や、保管工程における保管が行われる。滅菌工程において器具セットに対して滅菌処理されるとき、当該滅菌処理に紐づけられた滅菌IDが記録された滅菌ラベルが発行される。滅菌ラベルは、例えば器具セットを構成する医療器具が収容された包装材料に貼り付けられる。滅菌ラベルに記録された滅菌IDから、滅菌処理された器具セットの情報や、滅菌処理の情報が特定される。
【0006】
ところで、滅菌ラベルは再発行されることがあり得る。滅菌ラベルの再発行の理由としては、例えば滅菌ラベル、または、滅菌ラベルが貼り付けられた包装材料が破損するなどが挙げられる。滅菌ラベルを再発行する際には作業者の手間が掛かるため、滅菌ラベルの再発行の回数は、少ない方が好ましい。そのため、滅菌ラベルの再発行の回数を少なくするように対策することが好ましい。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、滅菌ラベルの再発行の回数を少なくするための対策を検討することが可能な医療器具の器具管理装置および器具管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る医療器具の器具管理装置は、メモリーと、少なくとも1つのプロセッサと、を備えている。前記器具管理装置は、表示処理と、取得処理と、カウント処理とを実行可能に構成されている。前記表示処理では、1つまたは複数の医療器具をまとめた器具セットを滅菌処理するときに発行される滅菌ラベルを再発行する際、前記滅菌ラベルを再発行する理由である再発行理由の種類を作業者が指定する理由指定領域を有する再発行理由登録画面を表示装置に表示する。前記取得処理では、前記理由指定領域に指定された前記再発行理由の種類を取得し、前記メモリーに記憶させる。前記カウント処理では、前記メモリーに記憶された前記再発行理由の種類ごとに、前記再発行理由の種類を理由として前記滅菌ラベルを再発行した回数である再発行回数をカウントする。
【0009】
本発明に係る医療器具の器具管理装置によれば、滅菌ラベルを再発行する際、作業者が理由指定領域において再発行理由の種類を指定することで、どのような理由で滅菌ラベルが再発行されるかをメモリーに記憶させることができる。そして、再発行理由の種類ごとに、再発行回数がカウントされる。よって、作業者は、再発行理由の種類ごとの再発行回数を知ることで、どの再発行理由の種類を理由とした滅菌ラベルの再発行の回数が多いかを知ることができる。したがって、作業者は、滅菌ラベルの再発行回数が多い再発行理由の種類による再発行回数が少なくなるような対策を検討することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、滅菌ラベルの再発行の回数を少なくするための対策を検討することが可能な医療器具の器具管理装置および器具管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る器具管理システムを示す概要図である。
図2】循環サイクルの説明図である。
図3】器具セット8の一例を示す図である。
図4】器具管理装置のブロック図である。
図5】滅菌ラベル情報テーブルの構成例を示す図である。
図6】滅菌ラベルが再発行されるときの器具管理装置の処理手順を示したフローチャートである。
図7】ラベル再発行画面を示す図である。
図8】再発行理由登録画面を示す図である。
図9】再発行理由集計画面を示す図である。
図10】警告画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る医療器具の器具管理装置(以下、単に器具管理装置という。)を備えた器具管理システムについて説明する。なお、ここで説明される実施の形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る器具管理システム100を示す概略図である。器具管理システム100は、繰り返し使用される医療器具5を管理する際に使用されるシステムである。
【0014】
医療器具5は、病院などの医療現場において行われる医療行為で使用される器具である。医療行為とは、医師が患者に対して行う医療に関する行為のことをいう。医療行為には、例えば手術および診察が含まれる。
【0015】
医療器具5は、例えばトラカール、鉗子、切開装置、洗浄吸引装置、剪刀、メス(例えばレーザーメスや電気メス)、超音波カッター、メスホルダー、カニューレ、鑷子、開創器、スケール、ゾンデ、エレバ、ラスパ、吸引管、開胸器、閉胸器、持針器、注射器、金属ボール、膿盆、コップ、ピン、ミラー、やすり、開口器、クレンメ、ハンドピース、エレバトリューム、ノミ、鋭匙、剥離子、鏡、縫合針、スタンツェ、受水器、針、圧子、ブジー、通気管、骨片打ち込み棒、リウエル、ラジオペンチ、ハンマー、角度計、温度計、穿孔器、スポイト、金属綿棒、浣腸器、シリンジおよび内視鏡などである。ただし、上記例は、医療器具5の一部を列挙したに過ぎない。医療器具5は上記例に限定されない。
【0016】
医療器具5は、1つの部品で構成されていてもよいし、複数の部品で構成されていてもよい。複数の部品で構成された医療器具5として、例えば腹腔鏡外科手術で用いられるトラカール、鉗子、切開装置、洗浄吸引装置などが挙げられる。このような医療器具5は、複数の構成部品を含み、例えば手術後に回収され、複数の構成部品に分解される。ここでは、医療器具5を構成する部品のことを構成部品という。また、構成部品がさらに複数の構成部品からなる場合には、全てを構成部品と称する。
【0017】
図2は、循環サイクル10の説明図である。図2に示すように、医療器具5は、所定の循環サイクル10において繰り返し使用可能なものである。なお、1つの医療器具5に対する循環サイクル10における繰り返し回数は特に限定されず、医療器具5の種類、および、医療器具5を構成する構成部品の種類によって適宜決定されるものである。本実施形態では、循環サイクル10は、手術・診察工程11と、回収工程12と、洗浄工程13と、組立工程14と、滅菌工程15と、保管工程16とを有している。
【0018】
手術・診察工程11は、医療器具5を用いて医療行為の一例である手術または診察を行う工程である。手術・診察工程11では、所定の保管場所で保管された医療器具5を払い出し(言い換えると、取り出し)、払い出した医療器具5を使用して手術または診察が行われる。
【0019】
回収工程12は、手術・診察工程11の後に行われる工程である。回収工程12は、手術または診察で使用された医療器具5を回収する工程である。なお、医療器具5が複数の構成部品によって構成されている場合、回収工程12では、医療器具5を個々の構成部品に分解する作業が含まれていてもよい。
【0020】
洗浄工程13は、回収工程12の後に行われる工程である。洗浄工程13は、回収工程12で回収された医療器具5、または、医療器具5の個々の構成部品を洗浄する工程である。洗浄工程13では、例えば図示が省略された洗浄器を使用して、医療器具5に対する洗浄が行われる。
【0021】
組立工程14は、洗浄工程13の後に行われる工程である。組立工程14は、洗浄工程13で洗浄された医療器具5の構成部品を組み立てて、1つの医療器具5を完成させる工程である。組立工程14は、複数の構成部品によって構成された医療器具5を組み立てる工程である。例えば1つの構成部品によって構成された医療器具5や、回収工程12で分解されなかった医療器具5の場合、組立工程14は省略されることがあり得る。
【0022】
滅菌工程15は、組立工程14の後に行われる工程である。滅菌工程15は、組立工程14で組み立てられた医療器具5を滅菌処理する工程である。滅菌工程15では、例えば図示が省略された滅菌器を使用して、医療器具5に対する滅菌処理が行われる。以下、滅菌処理のことを、単に滅菌ともいう。
【0023】
保管工程16は、滅菌工程15の後に行われる工程である。保管工程16では、滅菌処理が行われた医療器具5を所定の保管場所に保管する工程である。なお、保管工程16の後には、手術・診察工程11が行われる。
【0024】
本実施形態に係る循環サイクル10では、図1に示す器具セット8の単位で各工程が行われる。ここで、器具セット8は、1つまたは複数の医療器具5をまとめたものである。複数の医療器具5を、1つまたは複数の器具セット8に分ける方法は特に限定されない。器具セット8に含まれる医療器具5の数および種類は、病院などの医療現場ごとに決定されるものであり、医療現場の医師、看護師、循環サイクル10の各工程の作業者などのスタッフの経験則に基づいて決定されることがあり得る。
【0025】
例えば器具セット8は、1回の医療行為(例えば手術または診察)で使用される1つまたは複数の医療器具5をまとめたものである。1回の手術または診察で使用される器具セット8の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0026】
ところで、本実施形態では、図2において組立工程14において医療器具5が組み立てられた後、器具セット8の単位で医療器具5がまとめられる。ここでは、1つの器具セット8に含まれる医療器具5は、図3に示すような所定の包装体6の中に収容される。以下、器具セット8に含まれる医療器具5が包装体6に収容されることを、器具セット8が包装体6に収容されるという。ここでは、器具セット8が包装体6に収容された状態で、包装体6が封止される。器具セット8は、包装体6に収容された状態で、滅菌工程15において滅菌処理され、保管工程16において保管される。
【0027】
なお、本実施形態では、包装体6の種類は、特に限定されず、器具セット8に含まれる医療器具8を包む、または、梱包するものであればよい。ここでは、包装体6として、図3に示すような封止されたパウチ状のものが用いられてもよいが、これに限定されない。例えば包装体6として、器具セット8を収容するコンテナが用いれられてもよい。また、包装体6の材質も特に限定されるものではない。例えば包装体6は、不織布によって形成されてもよい。例えば包装体6は、アルミニウムや紙によって形成されるものであってもよいし、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂によって形成されるものであってもよい。
【0028】
本実施形態では、滅菌工程15において器具セット8に対して滅菌処理されるとき、図3に示すような滅菌ラベル20が発行される。滅菌ラベル20は、例えば器具セット8が収容された包装体6に貼り付けられる。滅菌ラベル20には、滅菌識別標識21が付されている。図1に示すように、滅菌識別標識21は、後述の読取装置30によって読み取られるものである。滅菌識別標識21の種類は、特に限定されない。例えば滅菌識別標識21は、一次元コードであってもよいし、二次元コードであってもよいし、ICタグであってもよい。本実施形態では、図3に示すように、滅菌識別標識21は二次元コードである。
【0029】
滅菌識別標識21には、例えば対象滅菌ID22が記録されている。対象滅菌ID22は、滅菌ラベル20が発行されるときに、滅菌処理される、または、滅菌処理された器具セット8に対して付されるIDである。この対象滅菌ID22は、滅菌ラベル20が発行されるごとに器具セット8に対して付される固有のIDである。
【0030】
なお、滅菌ラベル20には、滅菌識別標識21以外の情報、例えば滅菌処理に関する情報(例えば滅菌タイプや、滅菌処理の有効期限など)、および、器具セット8に関する情報(例えば器具セット8のセット名や、器具セット8が保管される棚の棚名など)が付されてもよい。
【0031】
本実施形態では、滅菌ラベル20の発行とは、対象滅菌ID22が記録された二次元コードの滅菌識別標識21や、上記の滅菌処理および器具セット8の情報(以下、滅菌識別標識21などという。)が所定のラベル媒体(例えばラベル用紙)に印刷されて、滅菌ラベル20が作製されることをいう。
【0032】
ところで、滅菌ラベル20は、再発行されることがあり得る。例えば滅菌ラベル20を再発行する際には、滅菌識別標識21などをラベル媒体に印刷して、滅菌ラベル20が再度作製される。作業者は、作製された滅菌ラベル20を包装体6に再度貼り付ける。このように、滅菌ラベル20を再発行する際、作業者の手間が掛かるため、滅菌ラベル20の再発行の回数は、少ない方が好ましい。そのため、滅菌ラベル20の再発行の回数を少なくするように対策することが好ましい。
【0033】
しかしながら、従来では、滅菌ラベル20が再発行される頻度は把握されていなく、また、滅菌ラベル20が再発行される理由についても把握されていなかった。そのため、滅菌ラベル20の再発行の回数(以下、再発行回数という。)を少なくするような対策を検討することが難しかった。
【0034】
そこで、本実施形態では、図1に示す器具管理システム100において、滅菌ラベル20を再発行の理由(以下、再発行理由という。)の種類ごとに、滅菌ラベル20の再発行回数を集計する。そして、作業者は、滅菌ラベル20の再発行の回数が集計された情報に基づいて、どのような再発行理由の種類に対する再発行回数が多いかを把握する。頻度が高い再発行理由の種類による滅菌ラベル20の再発行を少なくするように対策を検討する。
【0035】
なお、本実施形態では、滅菌ラベル20の再発行とは、手術・診察工程11で器具セット8が使用される前において、滅菌ラベル20が再度発行されることをいう。なお、滅菌ラベル20が再発行されるときには、滅菌ラベル20に付される情報であって、滅菌処理に関する情報(例えば滅菌タイプなど。ただし、滅菌処理の有効期限は除く)、および、器具セット8に関する情報(例えば器具セット8のセット名や、器具セット8が保管される棚の棚名など)は、基本的には変更されない。
【0036】
本実施形態では、図1に示すように、器具管理システム100は、読取装置30と、表示装置50と、操作装置55と、ラベル発行機58と、器具管理装置60と、を備えている。
【0037】
読取装置30は、作業者によって操作されるものであり、器具セット8に付された滅菌ラベル20の滅菌識別標識21を読み取ることで、対象滅菌ID22を読み取るものである。図示は省略するが、読取装置30には、作業者の手が掴まれる持ち手が設けられている。
【0038】
なお、読取装置30の種類は特に限定されず、滅菌識別標識21の対象滅菌ID22を読み取ることが可能なものであればよい。例えば滅菌識別標識21が二次元コードの場合、読取装置30は、二次元コードを読み取ることが可能な二次元コードリーダであるとよい。例えば滅菌識別標識21がICタグの場合、読取装置30は、ICタグリーダであるとよい。本実施形態では、読取装置30は、非接触式の装置である。しかしながら、読取装置30は、接触式の装置であってもよい。なお、読取装置30の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0039】
表示装置50には、滅菌ラベル20の再発行に関する画面などが表示される。なお、表示装置50の種類は特に限定されない。例えば表示装置50は、携帯型端末のディスプレイであってもよい。表示装置50は、デスクトップ型またはノート型(言い換えるとラップトップ型)のパーソナルコンピュータのディスプレイであってもよい。
【0040】
操作装置55は、表示装置50に表示された画面などを作業者が操作するときに使用するものである。例えば作業者が操作装置55を操作することで、表示装置50に表示される画面を切り替えることができる。また、作業者が操作装置55を操作することで、滅菌ラベル20の再発行理由の種類を入力することができる。なお、操作装置55の種類は特に限定されない。例えば操作装置55は、パーソナルコンピュータのキーボードおよびマウスなどである。ただし、操作装置55は、表示装置50に設けられたタッチパネルであってもよい。なお、ここでは、表示装置50および操作装置55の数は、それぞれ1つであるが、それぞれ複数であってもよい。
【0041】
ラベル発行機58は、滅菌ラベル20を発行するものである。ここでは、ラベル発行機58は、所定のラベル媒体(例えばラベル用紙)に対象滅菌ID22が記録された滅菌識別標識21などを印刷する。滅菌識別標識21などが印刷されたラベル媒体に印刷されることで、滅菌ラベル20が作製される。ラベル媒体は、例えばシール材である。シール材は、例えばベースシートと、接着剤などの接着部材を介して、ベースシートの表面に貼り付けられる印刷シートとを有している。印刷シートに滅菌識別標識21などが印刷され、印刷シートがベースシートから剥がされて、滅菌ラベル20として使用される。なお、ラベル発行機58の種類は特に限定されないが、本実施形態では、ラベル発行機58は、いわゆるプリンタによって実現される。
【0042】
次に、本実施形態に係る器具管理装置60について説明する。器具管理装置60は、滅菌ラベル20の発行の指示や、滅菌ラベル20の再発行理由の種類の登録および集計する装置である。器具管理装置60は、コンピュータの制御装置である。図4は、器具管理装置60のブロック図である。器具管理装置60は、図4に示すように、メモリー60aと、少なくとも1つのプロセッサ60bとを備えている。プロセッサ60bは、1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、メモリー60aに記憶されたプログラムをプロセッサ60bが使用することで、処理を実行することができる。器具管理装置60は、専用のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、汎用のコンピュータによって実現されるものであってもよい。
【0043】
本実施形態では、器具管理装置60は、図1に示すように、読取装置30と通信可能に接続されている。器具管理装置60は、読取装置30と有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。器具管理装置60は、表示装置50および操作装置55と通信可能に接続されている。なお、器具管理装置60、表示装置50および操作装置55は、1つのパーソナルコンピュータで実現されるものであってもよい。また、本実施形態では、器具管理装置60は、ラベル発行機58と通信可能に接続されている。
【0044】
ここでは、器具管理システム100は、いわゆるクライアントサーバシステムで実現されるものであってもよいし、クラウドコンピューティングで実現されるものであってもよい。また、器具管理システム100は、いわゆるスタンドアローンシステムで実現されるものであってもよい。
【0045】
本実施形態では、器具管理装置60は、図4に示すように、記憶部61と、表示部63と、取得部65と、ラベル発行部67と、カウント部71と、理由表示部73と、集計表示部75とを備えている。記憶部61は、メモリー60aに記憶されているものである。表示部63、取得部65、ラベル発行部67、カウント部71、理由表示部73、および、集計表示部75は、プロセッサ60bによって実行可能なものである。
【0046】
本実施形態では、メモリー60aによって実現される記憶部61には、図5に示す滅菌ラベル情報テーブルTB30が予め記憶されている。
【0047】
図5に示すように、滅菌ラベル情報テーブルTB30は、器具セット8に対する滅菌ラベル情報130が記憶されたテーブルである。滅菌ラベル情報130は、例えば滅菌ラベル20が再発行であるか初回発行であるかに関わらず、滅菌ラベル20が発行される際に作成される情報である。滅菌ラベル情報130は、例えば滅菌ID131と、セットID132と、セット名133と、棚名134と、ユーザID135と、ユーザ名136と、再発行理由の種類137と、ラベル発行日138とが関連付けられた情報である。ここでは、滅菌ラベル情報130には、滅菌ID131、セットID132、セット名133、棚名134、ユーザID135、ユーザ名136、再発行理由の種類137およびラベル発行日138などの項目が少なくとも存在する。
【0048】
ここで、「関連付けられた」とは、テーブルの同じ行に記載された項目同士のことをいう。「関連付けられた」とは、「対応した」や「紐づけられた」と言い換えることが可能である。
【0049】
図5の滅菌ID131は、滅菌ラベル20を発行する際に自動で発行される固有のIDである。滅菌ID131は、滅菌処理される器具セット8に付されるIDである。ここでは、滅菌ID131が付された器具セット8に対して、滅菌ラベル20が発行されたと判断される。セットID132は、滅菌ラベル20が発行された対象の器具セット8に付されている固有のセットIDのことである。セット名133は、滅菌ラベル20が発行された対象の器具セット8のセット名のことである。
【0050】
棚名134は、滅菌ラベル20が発行された対象の器具セット8が保管される棚の名称のことである。ユーザID135は、滅菌ラベル20を発行した作業者のIDのことである。ユーザ名136は、滅菌ラベル20を発行した作業者の名前(名称)のことである。ここでは、ユーザID135およびユーザ名136は、ユーザマスタテーブル(図示せず)に記憶されたユーザ情報(図示せず)に対応している。
【0051】
再発行理由の種類137には、滅菌ラベル20が再発行される際の理由が示されている。なお、滅菌ラベル20が再発行ではなく、初回発行の場合には、再発行理由の種類137には、何も示されず、例えばヌル文字が記される。ラベル発行日138は、滅菌ラベル20が発行された日付である。
【0052】
次に、滅菌ラベル20を再発行する際の器具管理装置60の処理手順について、図6のフローチャートに沿って説明する。
【0053】
本実施形態では、滅菌ラベル20を再発行する必要が生じたとき、図6のステップS101では、図4の表示部63は、表示装置50にラベル再発行画面DP10(図7参照)を表示する。図示は省略するが、例えば表示装置50には、ラベル再発行画面DP10を表示するための表示ボタンが配置された画面が表示される。作業者が操作装置55を介して上記表示ボタンを押す(例えばクリックする)ことで、表示部63は、ラベル再発行画面DP10を表示装置50に表示する。
【0054】
なお、ラベル再発行画面DP10の構成は特に限定されない。本実施形態では、ラベル再発行画面DP10には、滅菌ラベル20を再発行する器具セット8に関する情報や滅菌処理に関する情報を表示する複数の領域101~107が配置されている。例えばラベル再発行画面DP10には、器具セット8の画像を表示する画像領域101、器具セット8を構成する医療器具5の数を表示する部品数領域102、所属(診療科)が表示される所属領域103、器具セット8が置かれる容器のタイプが表示される容器領域104、滅菌処理する際の滅菌タイプが表示されるタイプ領域105、器具セット8の保管先の棚名が表示される棚名領域106、および、器具セット8に対する注意事項などの備考が表示される備考領域107が配置されている。備考領域107には、例えば過去に滅菌ラベル20が再発行されたことがある器具セット8の場合には、滅菌ラベル20を再発行した日付や、再発行理由の種類が表示される。
【0055】
なお、ラベル再発行画面DP10の各領域101~107に情報が表示される方法は特に限定されず、例えば各領域101~107がテキストボックスによって構成され、作業者が各領域101~107に対して手動で入力するものであってもよいし、自動で入力されるものであってもよい。例えば図4の記憶部61には、器具セット8のセットID、器具セット8の画像の画像ファイル名、器具セット8の医療器具5の数、所属、容器タイプ、滅菌タイプ、および、棚名が関連付けられた器具セット情報(図示せず)が記憶されている。
【0056】
例えば滅菌ラベル20の再発行を行いたい対象の器具セット8には、対象セットID9(図3参照)が付されている。そこで、器具管理装置60は、滅菌ラベル20の再発行の対象の器具セット8の対象セットID9を取得する。そして、器具管理装置60は、取得した対象セットID9と同一のセットIDを有する上記の器具セット情報を抽出し、抽出した器具セット情報に基づいて、表示部63は、ラベル再発行画面DP10の各領域101~107に、対象セットID9が付された器具セット8、ここでは滅菌ラベル20の再発行の対象となる器具セット8に関する情報を表示する。
【0057】
なお、上記の対象セットID9を取得する方法は特に限定されない。例えば対象の器具セット8に対して以前に発行された滅菌ラベル20の滅菌識別標識21を読取装置30で読み取り、対象滅菌ID22(図1参照)を取得する。次に、対象滅菌ID22と同一の滅菌ID131を滅菌ラベル情報130から抽出して、抽出した滅菌ID131に関連付けられたセットID132を対象セットID9として取得してもよい。
【0058】
本実施形態では、図7に示すように、ラベル再発行画面DP10には、ラベル発行ボタンBT10が配置されている。作業者は、操作装置55を介してラベル発行ボタンBT10を押すことで、次に図6のステップS103に進む。
【0059】
ステップS103では、図4の表示部63は、再発行理由登録画面DP20を表示装置50に表示する。図8に示すように、この再発行理由登録画面DP20は、作業者が滅菌ラベル20の再発行理由の種類を登録するための画面である。ここでは、再発行理由登録画面DP20には、再発行理由を指定する理由指定領域121と、確定ボタンBT20とが配置されている。
【0060】
理由指定領域121は、作業者が滅菌ラベル20の再発行理由の種類25を指定する領域である。本実施形態では、理由指定領域121は、作業者が再発行理由の種類25を選択するように構成されている。ただし、例えば理由指定領域121がテキストボックスによって構成され、作業者が理由指定領域121に再発行理由の種類25を、操作装置55を介して手動で入力するように構成されていてもよい。
【0061】
ここでは、理由指定領域121は、作業者が選択可能な選択リストによって実現されている。本実施形態では、滅菌ラベル20の再発行理由の種類25として、滅菌切れ理由26と、包装破損理由27と、ラベル破損理由28と、IC入れ忘れ理由29とが含まれている。ただし、再発行理由の種類25に含まれるものは、これら理由26~29に限定されず、再発行理由の種類25に、他の理由が含まれていてもよい。
【0062】
ここで、滅菌切れ理由26は、器具セット8に対する滅菌処理の有効期限が切れているために滅菌処理をし直すことを、滅菌ラベル20の再発行の理由としている。このように、滅菌処理の有効期限が切れているときには、同じ滅菌処理の条件のもとで再度、対象セットID9が付された器具セット8に対して滅菌処理される。再度の滅菌処理のために滅菌ラベル20が再発行される。
【0063】
包装破損理由27は、器具セット8を構成する医療器具5を収容している包装体6(図3参照)が破損したことを、滅菌ラベル20の再発行の理由としている。例えば包装体6が破損したときには、破損した包装体6は、貼り付けられた滅菌ラベル20と共に廃棄される。そのため、新しい包装体6に器具セット8を収容し、新しい包装体6に貼り付けるための滅菌ラベル20を再発行する。
【0064】
ラベル破損理由28は、器具セット8が収容された包装体6に付された滅菌ラベル20が破損したことを、滅菌ラベル20の再発行の理由としている。包装体6に付された滅菌ラベル20が破けるなどの破損することで、滅菌ラベル20の滅菌識別標識21を読取装置30が読み取ることができないときには、滅菌ラベル20が再発行される。
【0065】
IC入れ忘れ理由29は、器具セット8と共にインジケータを包装体6の中に収容することを忘れたことを、滅菌ラベル20の再発行の理由としている。本実施形態では、滅菌処理する際、包装体6の中には、器具セット8と共に、インジケータが収容される。このインジケータは、滅菌処理が適切に行われると色が変化するものである。作業者は、インジケータの色を見ることで、器具セット8に対して滅菌処理が適切に行われたかを確認することができる。例えばインジケータを入れ忘れた場合には、インジケータを入れるために、包装体6を破く。破かれた包装体6は廃棄され、新たな包装体6に、器具セット8とインジケータとを収容する。そのため、新しい包装体6に貼り付けるための滅菌ラベル20を再発行する。
【0066】
本実施形態では、図8に示すように、再発行理由登録画面DP20の理由指定領域121は、再発行理由の種類25が有する滅菌切れ理由26、包装破損理由27、ラベル破損理由28、および、IC入れ忘れ理由29の何れか1つを作業者が選択可能に構成されている。作業者は、操作装置55を操作することで、滅菌切れ理由26、包装破損理由27、ラベル破損理由28、および、IC入れ忘れ理由29のうちの1つを選択することができる。
【0067】
確定ボタンBT20は、滅菌ラベル20の再発行理由の種類25を確定すると共に、滅菌ラベル20の再発行を実行するためのボタンである。ここでは、作業者が再発行理由の種類25を1つ選択した後、操作装置55を介して確定ボタンBT20を押す。このように作業者によって確定ボタンBT20が押されると、次に図6のステップS105に進む。
【0068】
ステップS105では、図4の取得部65は、再発行理由の種類25を取得する。ここでは、取得部65は、再発行理由登録画面DP20の理由指定領域121に指定された再発行理由の種類25を取得する。詳しくは、取得部65は、滅菌ラベル20の再発行の対象の器具セット8の対象セットID9と、再発行理由の種類25とを関連付けた滅菌ラベル情報130(図5参照)を作成する。そして、取得部65は、作成した滅菌ラベル情報130を、メモリー60aの記憶部61に記憶させる。ここでは、取得部65は、作成した滅菌ラベル情報130を滅菌ラベル情報テーブルTB30(図5参照)に追加することで、作成された滅菌ラベル情報130を記憶部61に記憶させる。
【0069】
取得部65によって作成される滅菌ラベル情報130は、図5に示すように、滅菌ID131と、セットID132と、セット名133と、棚名134と、ユーザID135と、ユーザ名136と、再発行理由の種類137と、ラベル発行日138が関連付けられた情報である。取得部65は、再発行理由登録画面DP20の確定ボタンBT20が押されたときに、自動で固有の滅菌ID131を発行する。取得部65は、滅菌ラベル20の再発行の対象となる器具セット8の対象セットID9をセットID132に追加し、対象セットID9が付された器具セット8のセット名をセット名133に追加する。器具セット8のセット名は、例えば上記の器具セット情報から抽出することができる。
【0070】
取得部65は、図7のラベル再発行画面DP10の棚名領域106に表示された棚名を棚名134に追加する。取得部65は、滅菌ラベル20の発行を行った作業者のユーザIDおよびユーザ名を、それぞれユーザID135およびユーザ名136に追加する。本実施形態では、ラベル再発行画面DP10を表示装置50に表示するとき、作業者のユーザIDを入力する。このときの作業者が入力したユーザIDが滅菌ラベル情報130のユーザID135に追加され、作業者が入力したユーザIDに対応したユーザ名が滅菌ラベル情報130のユーザ名136に追加される。
【0071】
本実施形態では、取得部65は、図8に示す再発行理由登録画面DP20の理由指定領域121で作業者によって指定された(ここでは選択された)再発行理由の種類25(ここでは、滅菌切れ理由26、包装破損理由27、ラベル破損理由28、および、IC入れ忘れ理由29のうちの何れか)を、滅菌ラベル情報130の再発行理由の種類137に追加する。なお、ここでは、上述のように、滅菌ラベル情報130は、滅菌ラベル20が再発行のときのみではなく、滅菌ラベル20が初回発行のときにも作成されて、滅菌ラベル情報テーブルTB30に追加されるものである。滅菌ラベル20が初回発行のときには、滅菌ラベル情報130の再発行理由の種類137に、ヌル文字が追加される。
【0072】
取得部65は、滅菌ラベル20が発行された日付をラベル発行日138に追加する。本実施形態では、ラベル再発行画面DP10のラベル発行ボタンBT10(図7参照)が押された日付を、滅菌ラベル20が発行された日付としてラベル発行日138に追加する。以上のような滅菌ラベル情報130が作成されて、滅菌ラベル情報テーブルTB30に追加されることで、器具管理装置60に再発行理由の種類25が登録される。
【0073】
このように再発行理由の種類25が登録された後、次に図6のステップS107では、図4のラベル発行部67は、滅菌ラベル20の再発行を行う。ここでは、ラベル発行部67は、図1のラベル発行機58によってラベル媒体に滅菌識別標識21などを印刷させる。このとき、ラベル媒体に印刷される滅菌識別標識21に記録される対象滅菌ID22は、ステップS105において作成された滅菌ラベル情報130の滅菌ID131(図5参照)である。なお、ステップS105とステップS107は、同時に実行されてもよく、ステップS107の後にステップS105が実行されてもよい。以上のようにして、滅菌ラベル20の再発行が行われる。
【0074】
本実施形態では、表示部63は、図9に示すような再発行理由集計画面DP30を表示装置50に表示することが可能である。ここでは、再発行理由集計画面DP30には、再発行理由一覧表T30と、再発行回数グラフG30とが配置されている。ここでは、図4の理由表示部73は、再発行理由一覧表T30を、再発行理由集計画面DP30を介して表示装置50に表示する。再発行理由一覧表T30には、滅菌ラベル20が再発行された対象の器具セット8に関する情報が表示される。ここでは、再発行理由一覧表T30は、器具再発行理由情報140に基づいた一覧表である。
【0075】
器具再発行理由情報140は、図5の滅菌ラベル情報テーブルTB30の滅菌ラベル情報130に基づいて作成された情報である。詳しくは、再発行理由一覧表T30の器具再発行理由情報140は、再発行理由の種類137が示された(言い換えると、ヌル文字以外である)滅菌ラベル情報130を滅菌ラベル情報テーブルTB30から抽出し、抽出した滅菌ラベル情報130から作成される。
【0076】
図9に示す器具再発行理由情報140は、対象セットID9(図3参照)が付された器具セット8のセット名142と、再発行理由の種類145とが少なくとも関連付けられた情報である。本実施形態では、器具再発行理由情報140は、診療科141と、セット名142と、棚名143と、再発行日144と、再発行理由の種類145とが関連付けられている。セット名142には、図5の滅菌ラベル情報130のうち、理由26~29(図8参照)の何れかが示された再発行理由の種類137に関連付けられたセット名133が追加される。診療科141には、セット名133を示す器具セット8が使用される診療科が追加される。図示を省略するが、記憶部61には、器具セット8のセット名またはセットIDと、診療科とが関連付けられた器具・診療科マスタ情報が予め記憶されている。セット名133に関連付けられた診療科を上記器具・診療科マスタ情報から抽出し、当該抽出された診療科が、器具再発行理由情報140の診療科141に追加される。
【0077】
器具再発行理由情報140の棚名143には、図5の滅菌ラベル情報130において、理由26~29の何れかが示された再発行理由の種類137に関連付けられた棚名134が追加される。再発行日144には、滅菌ラベル情報130において、理由26~29の何れかが示された再発行理由の種類137に関連付けられたラベル発行日138が追加される。器具再発行理由情報140の再発行理由の種類145には、滅菌ラベル情報130の再発行理由の種類137が追加される。図4の理由表示部73は、以上のようにして作成された器具再発行理由情報140を、再発行理由一覧表T30を介して表示装置50に表示する。
【0078】
本実施形態では、図4の集計表示部75は、再発行回数グラフG30を表示装置50に表示する。再発行回数グラフG30は、図5の滅菌ラベル情報テーブルTB30の滅菌ラベル情報130に基づいたグラフであり、図9に示す再発行理由一覧表T30の器具再発行理由情報140に対応したグラフである。
【0079】
再発行回数グラフG30は、再発行回数情報150をグラフ化したものである。ここで、再発行回数情報150は、再発行理由の種類151と、再発行回数152とを関連付けた情報である。
【0080】
再発行理由の種類151は、滅菌切れ理由26と、包装破損理由27と、CI入れ忘れ理由29とを含む。再発行回数152は、図4のカウント部71によって算出されるものである。ここでは、カウント部71は、再発行理由の種類151ごとに、再発行理由の種類151を理由として滅菌ラベル20を再発行した回数である再発行回数152をカウントする。本実施形態では、カウント部71は、図5の滅菌ラベル情報130の中から、再発行理由の種類137に理由が示された滅菌ラベル情報130を抽出する。次に、カウント部71は、再発行理由の種類137ごと、すなわち滅菌切れ理由26、包装破損理由27、ラベル破損理由28およびCI入れ忘れ理由29における再発行の回数をそれぞれカウントする。
【0081】
ここでは、カウント部71は、例えば再発行理由の種類137が滅菌切れ理由26である滅菌ラベル情報130の数、すなわち滅菌ラベル情報テーブルTB30の行の数をカウントすることで、再発行理由の種類151に含まれる滅菌切れ理由26における再発行回数152を算出する。同様にして、カウント部71は、再発行理由の種類137が包装破損理由27である滅菌ラベル情報130の数をカウントして、再発行理由の種類151に含まれる包装破損理由27における再発行回数152を算出する。カウント部71は、再発行理由の種類137がラベル破損理由28である滅菌ラベル情報130の数をカウントして、再発行理由の種類151に含まれるラベル破損理由28における再発行回数152を算出する。カウント部71は、再発行理由の種類137がIC入れ忘れ理由29である滅菌ラベル情報130の数をカウントして、再発行理由の種類151に含まれるIC入れ忘れ理由29における再発行回数152を算出する。
【0082】
このようにカウント部71によって算出された再発行回数152と、再発行理由の種類151とを関連付けた再発行回数情報150が作成される。図4の集計表示部75は、再発行回数情報150に基づいて、滅菌切れ理由26における再発行回数152、包装破損理由27における再発行回数152、ラベル破損理由28における再発行回数152、および、CI入れ忘れ理由29における再発行回数152をグラフ化して、再発行回数グラフG30を作成し、再発行回数グラフG30を表示装置50に表示する。なお、再発行回数グラフG30の種類は特に限定されないが、ここでは、再発行回数グラフG30は、再発行理由の種類151ごとの棒グラフである。
【0083】
なお、本実施形態では、図2の循環サイクル10の各工程11~16において器具セット8を取り扱う際、取り扱う対象の器具セット8に対して、過去に滅菌ラベル20を再発行したことがある場合、図4の表示部63は、図10に示すような警告画面DP40を表示装置50に表示してもよい。この場合、例えば取り扱う対象の器具セット8の対象セットID9と一致するセットID132に関連付けられた再発行理由の種類137(図5参照)にヌル文字以外、すなわち理由26~29の何れかが示されている場合のとき、表示部63は、警告画面DP40を表示する。
【0084】
警告画面DP40には、例えば警告メッセージM40と、OKボタンBT40とが配置されている。警告メッセージM40は、取り扱う器具セット8に対して滅菌ラベル20が再発行されたことがあることを示すメッセージである。作業者は、警告メッセージM40を見ることで、過去に滅菌ラベル20が再発行されたことがある器具セット8を取り扱っていることを知ることができる。なお、この警告画面DP40には、取り扱う対象の器具セット8における滅菌ラベル20の再発行時の再発行理由の種類や、取り扱う対象の器具セット8に対して滅菌ラベル20が再発行された回数などが表示されてもよい。作業者は、操作装置55を介してOKボタンBT40を押すことで、警告画面DP40は閉じられる。
【0085】
以上、本実施形態では、図4に示すように、器具管理装置60は、メモリー60aと、少なくとも1つのプロセッサ60bと、を備えている。少なくとも1つのプロセッサ60bは、表示処理と、取得処理と、カウント処理とを実行可能に構成されている。表示処理は、図4の表示部63によって実行される。表示処理では、図6のステップS103のように、1つまたは複数の医療器具5をまとめた器具セット8を滅菌処理するときに発行される滅菌ラベル20を再発行する際、図8に示すように、滅菌ラベル20を再発行する理由である再発行理由の種類25を作業者が指定する理由指定領域121を有する再発行理由登録画面DP20を表示装置50に表示する。取得処理は、図4の取得部65によって実行される。取得処理では、図6のステップS105のように、理由指定領域121に指定された再発行理由の種類25を取得し、メモリー60a(ここでは、記憶部61)に記憶させる。カウント処理は、図4のカウント部71によって実行される。カウント処理では、メモリー60a(ここでは記憶部61)に記憶された再発行理由の種類137(図5参照)ごとに、再発行理由の種類137を理由として滅菌ラベル20を再発行した回数である再発行回数152(図9参照)をカウントする。
【0086】
本実施形態では、滅菌ラベル20を再発行する際、図8に示すように、作業者が理由指定領域121において再発行理由の種類25を指定することで、どのような理由で滅菌ラベル20が再発行されるかをメモリー60a(ここでは記憶部61)に記憶させることができる。そして、図5の再発行理由の種類137ごとに、再発行回数152(図9参照)がカウントされる。よって、作業者は、図9に示すように、再発行理由の種類151ごとの再発行回数152を知ることで、どの再発行理由の種類151を理由とした滅菌ラベル20の再発行の回数が多いかを知ることができる。したがって、作業者は、滅菌ラベル20の再発行回数152が多い再発行理由の種類151による再発行回数152が少なくなるような対策を検討することができる。
【0087】
本実施形態では、図8に示すように、表示処理において表示される再発行理由登録画面DP20は、理由指定領域121で指定された再発行理由の種類25を確定する確定ボタンBT20を有している。図4の取得部65で実行される取得処理では、確定ボタンBT20が押されたときに、理由指定領域121に指定された再発行理由の種類25を取得する。このことによって、理由指定領域121において間違えた再発行理由の種類25を指定した場合であっても、確定ボタンBT20が押されるまでは、理由指定領域121で指定されている再発行理由の種類25を変更することができる。
【0088】
本実施形態では、図4の取得部65によって実行される取得処理では、滅菌ラベル20の再発行の対象である器具セット8に付された対象セットID9が追加されたセットID132(図5参照)と、理由指定領域121に指定された再発行理由の種類25が追加された再発行理由の種類137(図5参照)とを関連付けた滅菌ラベル情報130(図5参照)をメモリー60aに記憶させる。このことによって、どのような器具セット8に対して、どのような再発行理由の種類137に基づいた滅菌ラベル20の再発行が行われたかを知ることができる。よって、器具セット8ごとに、滅菌ラベル20の再発行の回数を少なくするように対策を検討することができる。
【0089】
本実施形態では、メモリー60aは、図5に示す滅菌ラベル情報テーブルTB30を記憶している。取得部65によって実行される取得処理では、作成した滅菌ラベル情報130を滅菌ラベル情報テーブルTB30に追加する。このことによって、滅菌ラベル情報130は、データベースのテーブルで管理されているため、滅菌ラベル情報130の追加、削除、変更を容易に行うことができる。
【0090】
本実施形態では、少なくとも1つのプロセッサ60bは、理由表示処理を実行可能に構成されている。理由表示処理は、図4の理由表示部73によって実行される。理由表示処理では、メモリー60a(ここでは記憶部61)に記憶された滅菌ラベル情報130(図5参照)に基づいて作成され、図9に示すように、対象セットID9(図3参照)が付された器具セット8のセット名142と、再発行理由の種類145とを関連付けた器具再発行理由情報140を表示装置50に表示する。このことによって、作業者は、表示装置50に表示された器具再発行理由情報140を見ることで、どの器具セット8に対してどのような再発行理由の種類145を理由とした滅菌ラベル20の再発行が行われたかを視覚的に知り易い。
【0091】
本実施形態では、少なくとも1つのプロセッサ60bは、集計表示処理を実行可能に構成されている。集計表示処理は、図4の集計表示部75によって実行される。集計表示処理では、図9に示すように、再発行理由の種類151と、図4のカウント部71によって実行されるカウント処理においてカウントされた再発行回数152とを関連付けた再発行回数情報150を表示装置50に表示する。このことによって、作業者は、表示装置50に表示された再発行回数情報150を見ることで、どのような再発行理由の種類151による滅菌ラベル20の再発行が多いかを視覚的に分かり易い。
【0092】
本実施形態では、図4の集計表示部75によって実行される集計表示処理では、図9に示すように、再発行回数情報150をグラフ化した再発行回数グラフG30を表示装置50に表示する。このことによって、作業者は、再発行回数グラフG30を見ることで、どのような再発行理由の種類151による滅菌ラベル20の再発行が多いかを視覚的により分かり易くすることができる。
【0093】
本実施形態では、図8に示すように、理由指定領域121で指定可能な再発行理由の種類25として、滅菌切れ理由26と、包装破損理由27と、ラベル破損理由28と、IC入れ忘れ理由29とを少なくとも含む。滅菌切れ理由26では、器具セット8に対する滅菌処理の有効期限が切れたことを理由に滅菌ラベル20を再発行する。包装破損理由27では、器具セット8を構成する1つまたは複数の医療器具5が収容される包装体6(図3参照)が破損したことを理由に滅菌ラベル20を再発行する。ラベル破損理由28では、滅菌ラベル20が破損したことを理由に滅菌ラベル20を再発行する。IC入れ忘れ理由29では、器具セット8に対して滅菌処理が行われたことを示すインジケータを包装体6に入れ忘れたことを理由に滅菌ラベル20を再発行する。滅菌ラベル20が再発行される理由として、滅菌切れ理由26、包装破損理由27、ラベル破損理由28、および、IC入れ忘れ理由29の頻度が高いと考えられる。よって、理由指定領域121で、再発行理由の種類25として、滅菌切れ理由26と、包装破損理由27と、ラベル破損理由28と、IC入れ忘れ理由29とが指定することができるように構成されることで、作業者が再発行理由の種類25を指定し易い。
【0094】
本実施形態では、図1に示すように、器具管理システム100は、器具管理装置60と、表示装置50と、操作装置55と、滅菌ラベル20を発行するラベル発行機58とを備えている。器具管理装置60の少なくとも1つのプロセッサ60bは、ラベル発行処理を実行可能に構成されている。ラベル発行処理は、図4のラベル発行部67によって実行される。ラベル発行処理では、図6のステップS107のように、図4の取得部65によって実行される取得処理において理由指定領域121に指定された再発行理由の種類25(図8参照)を取得したとき、ラベル発行機58に滅菌ラベル20を発行させる。このように、作業者が指定した再発行理由の種類25を取得したタイミングで、滅菌ラベル20の再発行を行うことができる。
【0095】
本実施形態では、図3に示すように、滅菌ラベル20には、滅菌ラベル20の発行の対象である器具セット8が滅菌処理されたことを示す対象滅菌ID22が記録された滅菌識別標識21が付されている。図1のラベル発行機58は、プリンタである。図4のラベル発行部67によって実現されるラベル発行処理では、ラベル発行機58に対して所定のラベル媒体に滅菌識別標識21を印刷させることで、滅菌ラベル20を簡単に発行させることができる。
【符号の説明】
【0096】
5 医療器具
8 器具セット
9 対象セットID
20 滅菌ラベル
25 再発行理由の種類
26 滅菌切れ理由
27 包装破損理由
28 ラベル破損理由
29 IC入れ忘れ理由
50 表示装置
55 操作装置
58 ラベル発行機(プリンタ)
60 器具管理装置(医療器具の器具管理装置)
60a メモリー
60b プロセッサ
121 理由指定領域
130 滅菌ラベル情報
140 器具再発行理由情報
142 セット名
145 再発行理由の種類
150 再発行回数情報
151 再発行理由の種類
152 再発行回数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10