(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】空気調和機の天井構造
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
F24F1/0007 401A
F24F13/20
(21)【出願番号】P 2020215947
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000104836
【氏名又は名称】クボタ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貞国 史彦
(72)【発明者】
【氏名】小堀 義則
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146147(JP,A)
【文献】特開2014-190633(JP,A)
【文献】特開2009-153887(JP,A)
【文献】登録実用新案第3134755(JP,U)
【文献】登録実用新案第3083053(JP,U)
【文献】実開昭60-134908(JP,U)
【文献】特開2020-066951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外に配置する空気調和機において、
ケーシングが、
排水勾配を形成して傾斜配置する天板パネルと、天板パネルを支える天井フレームを有し、
天井フレームが、天板パネルの四辺に対応
し、天板パネルを固定する複数の主部材と、各主部材を連結するコーナー連結部材を有し、
各主部材は中空部材からなり、
コーナー連結部材は、連結本体部と、連結本体部から伸びて
天板パネルの四辺に対応する複数の主部材と天井フレームを支える柱状に立てた主部材との各主部材に挿入する複数の連結挿入部を有し、
天板パネルの傾斜方向に向けて配置した主部材の両端に連結した一対のコーナー連結部材の連結挿入部が相対向し、上方に位置する一方のコーナー連結部材の連結挿入部の軸心が天板パネルの傾斜方向に向けて下り勾配に傾斜し、下方に位置する他方のコーナー連結部材の連結挿入部の軸心が天板パネルの傾斜方向に向けて上り勾配に傾斜することを特徴とする空気調和機の天井構造。
【請求項2】
上方に位置する一方のコーナー連結部材の連結本体部は天板パネルに対応するコーナー外側面が天板パネルの傾斜方向に向けて下り勾配に傾斜し、
下方に位置する他方のコーナー連結部材の連結本体部は天板パネルに対応するコーナー外側面が天板パネルの傾斜方向に向けて上り勾配に傾斜することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の天井構造。
【請求項3】
コーナー連結部材は、連結本体部と連結挿入部との境に主部材の厚みに相当する段差面を有し、段差面が連結挿入部の軸心と直交する方向に広がって主部材の端面に当接することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の天井構造。
【請求項4】
天板パネルは、下面に天井フレームの枠内に嵌入する凸状部を有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の空気調和機の天井構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和機の天井構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機には、例えば特許文献1に記載するものがある。これは空気調和機のケーシングを構成するフレームに関するものである。フレームは、中空状の主部材と、主部材を連結するコーナー連結部材を有する。コーナー連結部材は、相互に直角をなす3つのコーナー外側面を有する連結本体部と、連結本体部から相互に直角をなす3軸のそれぞれの軸方向に延びて主部材に挿入される連結挿入部を備える。
【0003】
このような、空気調和機を室外に配置する場合には、
図9から
図12に示すように、ケーシング100の天板パネル101を傾斜して配置し、排水勾配を形成している。
【0004】
このため、ケーシング100のフレーム102の上に傾斜付き部材103を乗せ、傾斜付き部材103を囲むように外壁パネル104を上方に継ぎ足し、傾斜付き部材103の上に天板パネル101を載置している。
【文献】特開2018-146147
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のケーシング100のフレーム102では、コーナー連結部材105の連結挿入部が相互に直角をなす3軸のそれぞれの軸方向に延びており、主部材106どうしが直角に連結される。このため、天板パネル101を支持する天井フレームは傾斜状態に形成することができず、天板パネル101を傾斜配置するためには、天井フレームと天板パネル101の間に傾斜付き部材103を配置することが必須であった。
【0006】
このため、空気調和機を室外に配置するためには、本来のケーシングとは別途に傾斜付き部材103を制作する必要がある。また、本来のケーシングの全高よりも傾斜付き部材103の分だけ全高が増加する。
【0007】
さらに、天板パネル101のそれ自体に傾斜をつける場合には、通常の形状と異なる天板パネルを別途に制作する必要があり、傾斜付き天板パネルを制作するための専用の製作工程が必要になり、作業効率が悪化する要因となる。
【0008】
本発明は上記した課題を解決するものであり、容易に天板パネルを傾斜配置することができる空気調和機の天井構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の空気調和機の天井構造は、室外に配置する空気調和機において、ケーシングが、排水勾配を形成して傾斜配置する天板パネルと、天板パネルを支える天井フレームを有し、天井フレームが、天板パネルの四辺に対応し、天板パネルを固定する複数の主部材と、各主部材を連結するコーナー連結部材を有し、各主部材は中空部材からなり、コーナー連結部材は、連結本体部と、連結本体部から伸びて天板パネルの四辺に対応する複数の主部材と天井フレームを支える柱状に立てた主部材との各主部材に挿入する複数の連結挿入部を有し、天板パネルの傾斜方向に向けて配置した主部材の両端に連結した一対のコーナー連結部材の連結挿入部が相対向し、上方に位置する一方のコーナー連結部材の連結挿入部の軸心が天板パネルの傾斜方向に向けて下り勾配に傾斜し、下方に位置する他方のコーナー連結部材の連結挿入部の軸心が天板パネルの傾斜方向に向けて上り勾配に傾斜することを特徴とする。
【0010】
本発明の空気調和機の天井構造において、上方に位置する一方のコーナー連結部材の連結本体部は天板パネルに対応するコーナー外側面が天板パネルの傾斜方向に向けて下り勾配に傾斜し、下方に位置する他方のコーナー連結部材の連結本体部は天板パネルに対応するコーナー外側面が天板パネルの傾斜方向に向けて上り勾配に傾斜することを特徴とする。
【0011】
本発明の空気調和機の天井構造において、コーナー連結部材は、連結本体部と連結挿入部との境に主部材の厚みに相当する段差面を有し、段差面が連結挿入部の軸心と直交する方向に広がって主部材の端面に当接することを特徴とする。
【0012】
本発明の空気調和機の天井構造において、天板パネルは、下面に天井フレームの枠内に嵌入する凸状部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、天板パネルを傾斜配置する場合には、コーナー連結部材を傾斜配置用のコーナー連結部材に取り換えることで、天井フレームが傾斜する状態を形成することができるので、天井フレームと天板パネルの間に何ものも介在させることなく、天板パネルに傾斜を与えることができる。よって、ケーシングの全高が増加することなく、天板パネルを傾斜配置することができる。また、通常の天板パネルとは異なる形状の天板パネルを別途に製作する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態における空気調和機を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のA-A矢視断面図
【
図3】同空気調和機の主部材およびコーナー連結部材を示す斜視図
【
図6】同空気調和機の他の実施例における天井部を示す断面図
【
図7】同空気調和機のコーナー連結部材を示す側面図
【
図8】同空気調和機の他の実施例におけるコーナー連結部材を示す側面図
【
図9】従来の空気調和機を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のB-B矢視断面図
【
図12】同空気調和機の傾斜付き部材を配置した天井部を示す側面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(全体構造)
図1に示すように、空気調和機のケーシング1は、側壁をなす複数の外壁パネル2と、天井部をなす複数の天板パネル3と、ケーシング1の内部の空間を複数の室に仕切る隔壁をなす内部パネル4をフレーム6に固定したものである。ケーシング1の各室の正面開口部にはそれぞれ扉パネル7を配置し、扉パネル7をフレーム6に開閉可能に取り付けている。
【0016】
ケーシング1の内部は、外気室8と、給気室9と、ファン室10に分かれている。外気室8にはプレフィルター14および中性能フィルター15からなるフィルターユニット16を装着している。給気室9には冷温水コイルからなる熱交換器19を装着している。ファン室10には、プラグファンからなる給気ファン装置21を設置している。(空気調和機の運転)
(フレーム構造)
図1から
図5、
図7に示すように、ケーシング1は、架台50の上にドレンパン51を配置し、ドレンパン51の上にフレーム6を配置している。
【0017】
フレーム6は、ケーシング1の構造材をなす中空状の主部材610を各架台50の四隅に柱状に立てた状態に配置するとともに、立てた主部材610の間に横木状に主部材610を寝かせて配置し、さらに平行な一対の主部材610の間に補助材をなす中間部材620を配置し、主部材610と主部材610を連結し、主部材610に中間部材620を固定し、あるいは中間部材620と中間部材620を連結している。
(連結構造)
図2、
図3、
図7に示すように、ケーシング1のフレーム6は底部をなす底部フレーム650と天井フレーム660と柱状に立てた主部材610をコーナー連結部材630、640で連結している。
【0018】
主部材610どうしを連結するコーナー連結部材630、640は樹脂材からなり、中実状の連結本体部631、641と、主部材610に挿入される中空状の連結挿入部632、642を有する。
【0019】
図3に示すように、底部フレーム650を構成するコーナー連結部材630の連結本体部631は、フレーム6のフレーム外側面の一部をなす3つのコーナー外側面633が相互に直角をなす出隅角を形成し、フレーム6のフレーム内側面の一部をなす3つのコーナー内側面634が相互に直角をなす入隅角を形成する。
【0020】
連結挿入部632は、連結本体部631から相互に直角をなす3軸のそれぞれの軸方向に延びており、連結本体部631と連結挿入部632との境に主部材610の厚みに相当する段差面635を有する。
【0021】
フレーム6は、コーナー連結部材630の連結挿入部632に主部材610を挿入した状態で、主部材610の主部材外側面611とコーナー部材630のコーナー外側面633とが平面状に連続してフレーム外側面を形成する。
【0022】
図7に示すように、天井フレーム660を構成するコーナー連結部材640は、底部フレーム650を構成するコーナー連結部材630と基本的な構造は同じである。
【0023】
すなわち、連結本体部641は、フレーム6のフレーム外側面の一部をなす3つのコーナー外側面643が出隅角を形成し、フレーム6のフレーム内側面の一部をなす3つのコーナー内側面(図示省略)が入隅角を形成する。
【0024】
連結挿入部642は、連結本体部641から3軸のそれぞれの軸方向に延びており、連結本体部641と連結挿入部642との境に主部材610の厚みに相当する段差面645を有する。
【0025】
天井フレーム660は、平面視で短辺と長辺からなる矩形状をなし、天板パネル3の傾斜方向、ここではケーシング1の前面側から背面側に向けて下り勾配となる傾斜方向に向けて短辺をなす主部材610を配置し、短辺の主部材610の両端のそれぞれにコーナー連結部材640を配置している。コーナー連結部材640は、各連結挿入部642に短辺の主部材610、長辺の主部材610、柱状に立てた主部材610を挿入し、3つの主部材610を連結している。
【0026】
図7に示すように、短辺の主部材610の両端に連結した一対のコーナー連結部材640は、天板パネル3の傾斜方向において一方が上方に位置し、他方が下方に位置する。上方に位置する一方のコーナー連結部材640の連結挿入部642の軸心が天板パネル3の傾斜方向に向けて下り勾配に傾斜し、下方に位置する他方のコーナー連結部材640の連結挿入部642の軸心が天板パネル3の傾斜方向に向けて上り勾配に傾斜している。連結挿入部642の軸心の傾斜角度は、ここでは1/50であり、短辺の主部材610の両端に連結した一対のコーナー連結部材640の高さの違いhは、短辺の主部材610を介して対向する一対のコーナー連結部材640の離隔距離Lに応じたものであり、h=L×1/50である。
【0027】
連結本体部641と連結挿入部642との境にある段差面645は、連結挿入部642の傾斜した軸心と直交する方向に広がって主部材610の端面に当接する。
【0028】
この結果、
図4、
図5に示すように、短辺の主部材610の両端に連結した一対のコーナー連結部材640の間において短辺の主部材が1/50の傾斜角度で傾斜し、天井フレーム660が傾斜する姿勢となり、天井フレーム660の上に載置した天板パネル3がケーシング1の前面側から背面側へ傾斜する。
【0029】
このように、天板パネル3を傾斜配置する場合に、通常のコーナー連結部材630に替えて傾斜配置用のコーナー連結部材640を使用することで、天井フレーム660が傾斜する状態を形成することができるので、天井フレーム660と天板パネル3の間に何ものも介在させることなく、天板パネル3に傾斜を与えることができる。よって、ケーシング1の全高が増加することなく、天板パネル3を傾斜配置することができる。
【0030】
また、通常の天板パネル3とは異なる形状の天板パネル3を別途に製作する必要もない。
【0031】
さらに、天井フレーム660を構成する傾斜配置用のコーナー連結部材640は、
図8に示す構成とすることもできる。
【0032】
すなわち、上方に位置する一方のコーナー連結部材640の連結本体部641は、天板パネル3に対応するコーナー外側面643が天板パネル3の傾斜方向に向けて下り勾配に傾斜し、下方に位置する他方のコーナー連結部材640の連結本体部641は、天板パネル3に対応するコーナー外側面643が天板パネル3の傾斜方向に向けて上り勾配に傾斜している。
【0033】
また、
図6に示すように、天板パネル3は、下面に天井フレーム660の枠内に嵌入する凸状部31を有する形状とすることも可能である。この構造は、天板パネル3を傾斜配置しない場合にも適用可能である。
(固定構造詳細)
外壁パネル2、天板パネル3は、ドリルネジからなるパネル固定ネジ701でフレーム6の主部材610および中間部材620に固定している。
【符号の説明】
【0034】
OA 外気
RA 還気
SA 給気
1 ケーシング
2 外壁パネル
3 天板パネル
4 内部パネル
6 フレーム
7 扉パネル
8 外気室
9 給気室
10 ファン室
31 凸状部
50 架台
51 ドレンパン
610 主部材
611 主部材外側面
620 中間部材
630 コーナー連結部材
631 連結本体部
632 連結挿入部
633 コーナー外側面
634 コーナー内側面
635 段差面
640 コーナー連結部材
641 連結本体部
642 連結挿入部
643 コーナー外側面
645 段差面
650 底部フレーム
660 天井フレーム
701 パネル固定ネジ