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特許7530843ゴムストリップ製造方法及びゴムストリップ製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】ゴムストリップ製造方法及びゴムストリップ製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/24 20060101AFI20240801BHJP
   B29D 30/60 20060101ALI20240801BHJP
   B29D 30/72 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
B29C43/24
B29D30/60
B29D30/72
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021013710
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022117159
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】毛利 尚暉
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-020547(JP,A)
【文献】特開2000-254980(JP,A)
【文献】特開2003-320543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/24
B29D 30/60
B29D 30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し出し機の押し出し口からゴムを押し出すステップを含むゴムストリップ製造方法において、
円形の前記押し出し口からゴムを押し出して長尺ゴム部材とし、
回転する一対のローラの隙間に前記長尺ゴム部材を通してゴムストリップとし、
前記隙間が、前記ローラの回転軸に平行な方向の中央部において最も広く、前記中央部から離れるに従い狭くなっていく形状であり、
一対の前記ローラが上下に配置され、前記押し出し口の中心が前記隙間の底部より高い位置にある
ことを特徴とする、ゴムストリップ製造方法。
【請求項2】
前記ローラの回転中の表面速度が前記長尺ゴム部材の前記押し出し口からの押し出し速度より大きい、請求項1に記載のゴムストリップ製造方法。
【請求項3】
(前記隙間の面積)×(前記ローラの回転中の表面速度)の値が、前記押し出し口から単位時間あたりに押し出される前記長尺ゴム部材の体積より多い、請求項1又は2に記載のゴムストリップ製造方法。
【請求項4】
前記押し出し口の面積が前記隙間の面積の1.5~4.0倍である、請求項1~3のいずれか1項に記載のゴムストリップ製造方法。
【請求項5】
長尺ゴム部材を押し出す押し出し機と、前記押し出し機に設けられた前記長尺ゴム部材の押し出し口と、を有するゴムストリップ製造装置において、
前記押し出し口から押し出された前記長尺ゴム部材の進行方向の場所に一対のローラが設けられ、前記押し出し口から押し出された前記長尺ゴム部材が一対の前記ローラの隙間を通過してゴムストリップとして成型され、
前記押し出し口が円形であり、
前記隙間が、前記ローラの回転軸に平行な方向の中央部において最も広く、前記中央部から離れるに従い狭くなっていく形状であり、
一対の前記ローラが上下に配置され、前記押し出し口の中心が前記隙間の底部より高い位置にある
ことを特徴とする、ゴムストリップ製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴムストリップ製造方法及びゴムストリップ製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、断面三角形のゴムストリップを成型ドラムに螺旋巻きしてタイヤ用ゴム部材を成型する方法が知られている。この方法において使用されるゴムストリップは、三角形の押し出し口を有する押し出し機からゴムを押し出すことによって作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018―103895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、三角形のような左右両側が薄い形状の押し出し口からゴムを押し出す方法では、押し出し口の内側の左右両側の場所にゴムが行き届かなかったり、押し出し口の内側の左右両側の場所においてゴムの流速が遅かったりして、ゴムストリップの断面形状がいびつになりやすかった。そして、ゴムストリップの断面形状がいびつな場合、ゴムストリップと成型ドラムの表面との間に空気層が出来やすく、その空気層がタイヤ用ゴム部材においてボイドとして残りやすかった。
【0005】
そこで本発明は、断面形状が目標通りとなりやすいゴムストリップの製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のゴムストリップ製造方法は、押し出し機の押し出し口からゴムを押し出すステップを含むゴムストリップ製造方法において、円形の前記押し出し口からゴムを押し出して長尺ゴム部材とし、回転する一対のローラの隙間に前記長尺ゴム部材を通してゴムストリップとし、前記隙間が、前記ローラの回転軸に平行な方向の中央部において最も広く、前記中央部から離れるに従い狭くなっていく形状であり、一対の前記ローラが上下に配置され、前記押し出し口の中心が前記隙間の底部より高い位置にあることを特徴とする。
【0007】
また、実施形態のゴムストリップ製造装置は、長尺ゴム部材を押し出す押し出し機と、前記押し出し機に設けられた前記長尺ゴム部材の押し出し口と、を有するゴムストリップ製造装置において、前記押し出し口から押し出された前記長尺ゴム部材の進行方向の場所に一対のローラが設けられ、前記押し出し口から押し出された前記長尺ゴム部材が一対の前記ローラの隙間を通過してゴムストリップとして成型され、前記押し出し口が円形であり、前記隙間が、前記ローラの回転軸に平行な方向の中央部において最も広く、前記中央部から離れるに従い狭くなっていく形状であり、一対の前記ローラが上下に配置され、前記押し出し口の中心が前記隙間の底部より高い位置にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
実施形態のゴムストリップ製造方法及びゴムストリップ製造装置によれば、ゴムストリップの断面形状が目標通りとなりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ゴムストリップ製造装置の平面図。
図2】ゴムストリップ製造装置の正面図。
図3】ゴムストリップ製造装置のローラ部分の右側面図。
図4】制御装置を中心とするブロック図。
図5図1の溝付きローラの部分の拡大図。
図6図5のA-Aの位置における長尺ゴム部材の断面図。
図7図5のB-Bの位置における長尺ゴム部材の断面図。
図8図5のC-Cの位置における長尺ゴム部材の断面図。
図9図5のD-Dの位置における長尺ゴム部材の断面図。
図10】変更例の隙間を示す図。
図11】別の変更例の隙間を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0011】
図1図3に示すように、実施形態のゴムストリップ製造装置10は、押し出し機11と圧延装置20とを有している。押し出し機11から押し出された長尺ゴム部材G1が、圧延装置20を通過することによりゴムストリップG2となる。そのゴムストリップG2が、ゴムストリップ製造装置10に隣接して設けられた成型ドラムDに巻き付けられる。
【0012】
以下の説明において、押し出し機11からの長尺ゴム部材G1の押し出し方向を前とする。圧延装置20から見ると、押し出し機11は後方、成型ドラムDは前方にある。また、以下の説明において左右方向とは、前を向いたときの左右方向のことである。
【0013】
押し出し機11の基本構造は、一般的なゴムの押し出し機と同じである。押し出し機11の本体12の内部にスクリュー13が設けられ、本体12内部の前方部分にはゴム定量用のギアポンプのギア14が設けられている。スクリュー13及びギア14はモータ17、18(図4参照)によって回転する。また、本体12の前端部には口金15が設けられている。口金15にはゴムの押し出し口16が開いている。
【0014】
押し出し口16は前から見て円形(図6に示す長尺ゴム部材G1と同じ形)である。ここで円形とは、真円に限定されず、ほぼ円形として近似できる形状、例えば長軸の長さが短軸の長さの110%以下の楕円や、12角形以上の正多角形等が含まれるものとする。
【0015】
圧延装置20は上下に並んだ一対のローラ21、22を有している。上側のローラを溝付きローラ21、下側のローラを溝無しローラ22と言うこととする。溝付きローラ21及び溝無しローラ22は回転軸が平行になるように配置されている。溝付きローラ21及び溝無しローラ22の回転軸の延長方向は、前後方向に直交し、かつ水平方向である。
【0016】
溝無しローラ22は円筒状のローラで、外周面が1つの曲面である。溝無しローラ22は、左右方向の一端から他端まで、外径が一定である。
【0017】
一方、溝付きローラ21はほぼ円筒状のローラだが、左右方向(ローラ21、22の回転軸に平行な方向)の中央部に溝23が形成されている。溝23より左右両側の部分は、溝無しローラ22と同じ外径の円筒状の円筒部分24となっている。溝付きローラ21は、溝23の部分において、円筒部分24よりも直径が小さくなっている。
【0018】
前後方向から見ると、溝23は2つの傾斜面27によって形成されている。傾斜面27は、左右方向の中央部から両側にかけて徐々に円筒部分24の外径に近づいていく面である。また、傾斜面27はそれぞれ溝付きローラ21の周方向に1周する1つの曲面である。溝23の形状は左右対称であり、溝23の部分の外径は左右方向の中央部において最も小さい。
【0019】
溝付きローラ21の円筒部分24は溝無しローラ22と線接触している。そして、溝付きローラ21の溝23と溝無しローラ22との間に隙間25が形成されている。前後方向から見た隙間25の形状は、ゴムストリップG2の目標とする断面形状と同じであり、二等辺三角形である。
【0020】
この二等辺三角形の底辺は、溝付きローラ21と溝無しローラ22とが線接触しているところの延長上の部分でもあり、隙間25の底部26である。隙間25の底部26より高い位置(二等辺三角形の頂点側の位置)に、上記の押し出し機11の押し出し口16の中心(円の中心)がある。
【0021】
隙間25の面積は、押し出し機11の押し出し口16の面積よりも小さい。具体的には、押し出し機11の押し出し口16の面積が、隙間25の面積の1.5~4.0倍である。なお、隙間25の面積とは、溝付きローラ21の回転軸と溝無しローラ22の回転軸とを結ぶ面(この面は溝付きローラ21と溝無しローラ22とが線接触する位置を通る)上での隙間25の面積のことである。
【0022】
溝付きローラ21及び溝無しローラ22は、モータ30、31によってそれぞれ独立して回転可能である。ただし、溝付きローラ21及び溝無しローラ22は、回転方向は逆だが、回転中の外周面の表面速度は同じになるよう制御される。
【0023】
モータ30、31、押し出し機11のスクリュー13及びギア14のモータ17、18、成型ドラムDを回転させるモータ32等の、ゴムストリップG2の製造に用いられる機器は、図4に示すように制御装置33に接続されている。
【0024】
制御装置33は、押し出し機11のスクリュー13のモータ17及びギア14のモータ18の回転を制御することにより、単位時間あたりに押し出し口16から押し出される長尺ゴム部材G1の体積を調整することができる。また、制御装置33は、溝付きローラ21及び溝無しローラ22のモータ30、31の回転や、成型ドラムDのモータ32の回転も制御することができる。制御装置33は、これらのモータ17、18、30、31、32を制御することにより、長尺ゴム部材G1やゴムストリップG2が弛んだり切れたりしないようにしつつ、長尺ゴム部材G1を成型ドラムDに巻き付ける。
【0025】
ゴムストリップG2の製造においては、制御装置33がモータ17、18等を制御して押し出し機11の押し出し口16から長尺ゴム部材G1を押し出す。押し出し口16から押し出された長尺ゴム部材G1は、圧延装置20の溝付きローラ21及び溝無しローラ22へ供給され圧延加工される。
【0026】
ここで、押し出し機11の押し出し口16の中心が、隙間25の底部26より高い位置にあるので、押し出し口16から前方へ直進した長尺ゴム部材G1は、図6に示すように下側の溝無しローラ22より先に、上側の溝付きローラ21に当たる。溝付きローラ21の溝23は、左右方向の中央部から両側にかけて徐々に下がる傾斜面27によって形成されている。そのため、長尺ゴム部材G1の位置が溝23の左右方向の中央部からずれている場合は、長尺ゴム部材G1が傾斜面27に当たって左右方向の中央部に案内される。
【0027】
長尺ゴム部材G1がさらに前方へ進むと、図7のように長尺ゴム部材G1が溝付きローラ21と溝無しローラ22に挟まれる。この状態のときも、長尺ゴム部材G1の位置が溝23の左右方向の中央部からずれた場合は、長尺ゴム部材G1が傾斜面27に当たって左右方向の中央部に戻される。
【0028】
長尺ゴム部材G1がさらに前方へ進むにつれ、図8のように長尺ゴム部材G1が溝付きローラ21と溝無しローラ22によって押し潰されていき、徐々に偏平になっていく。長尺ゴム部材G1を上から押す傾斜面27が左右対称であるため、溝23の左右方向中心部にあった長尺ゴム部材G1が左右に均等な形状を保ちながら潰されていく。
【0029】
長尺ゴム部材G1がさらに前方へ進み、溝付きローラ21と溝無しローラ22とが線接触している位置に到達すると、図9に示すように長尺ゴム部材G1が溝付きローラ21と溝無しローラ22に挟まれ、長尺ゴム部材G1の断面形状が、溝付きローラ21と溝無しローラ22の隙間25の形状と同じ二等辺三角形となる。このようにして長尺ゴム部材G1が二等辺三角形の断面形状のゴムストリップG2として成型される。
【0030】
このようなゴムストリップG2の成型中、制御装置33は、一対のローラ21、22が長尺ゴム部材G1を前方へ引っ張るように制御する。具体的には、制御装置33は、一対のローラ21、22の表面速度が、押し出し口16からの長尺ゴム部材G1の押し出し速度より大きくなるように、制御を行う。ここで、ローラ21、22の表面速度とは、回転中のローラ21、22の外周面の周方向への速度のことである。ローラ21、22はこの表面速度で長尺ゴム部材G1を引き取ろうとする。ただし、実際にはローラ21、22と長尺ゴム部材G1との間で若干の滑りが生じるため、長尺ゴム部材G1のローラ21、22への引き取り速度はローラ21、22の表面速度より小さい。
【0031】
また、制御装置33は、押し出し機11のスクリュー13及びギア14のモータ17、18を制御することにより、押し出し口16から単位時間あたりに押し出される長尺ゴム部材G1の体積V1を制御する。それに加えて、制御装置33は、溝付きローラ21と溝無しローラ22のモータ30、31を制御して、(隙間25の面積)×(ローラ21、22の回転中の表面速度)の計算値V2が、前記の体積V1より大きくなるよう制御する。
【0032】
計算値V2は、単位時間に一対のローラ21、22の隙間25を通過するゴムストリップG2の、計算上の体積だと言える。この計算値V2が前記の体積V1より大きくなることにより、長尺ゴム部材G1を前方へ引っ張る力が生じ、押し出し機11の押し出し口16から一対のローラ21、22までの間で、長尺ゴム部材G1を直線又はそれに近い状態に張ることができる。
【0033】
なお、一対のローラ21、22と長尺ゴム部材G1との間で若干の滑りが生じるため、単位時間に一対のローラ21、22の隙間25を通過するゴムストリップG2の実際の体積は、計算値V2より小さい。計算値V2は、体積V1の1.1~1.3倍となることが好ましい。
【0034】
一対のローラ21、22を通過したゴムストリップG2は、さらに前進して成型ドラムDに巻き付けられる。なお、ゴムストリップG2の先端の成型ドラムDへの貼り付けは、作業者の手によって行われても良いし、不図示の貼り付け装置によって行われても良い。成型ドラムDに螺旋巻きされたゴムストリップG2は、サイドウォールゴム等のタイヤ構成部材となる。
【0035】
以上のように、本実施形態では、円形の押し出し口16からゴムを押し出して長尺ゴム部材G1とし、回転する一対のローラ21、22の隙間25に長尺ゴム部材G1を通してゴムストリップG2とする。ここで、隙間25を、左右方向の中央部において最も上下に広く、中央部から離れるに従い上下に狭くなっていく形状とする。そのため、隙間25に入り始めた長尺ゴム部材G1が隙間25の左右方向の中央部に案内されやすく、長尺ゴム部材G1がさらに前方へ進んで一対のローラ21、22で押圧されたときに左右にバランス良く潰される。そのため、ゴムが隙間25の角部を含む全体に行き渡りやすく、ゴムストリップG2の断面形状が目標通りとなりやすい。
【0036】
本実施形態では、隙間25が三角形であるが、三角形の頂点付近にあたる隙間25の角部にまでゴムが行き渡りやすい。そのため、隙間25において断面三角形に成型されたゴムストリップG2において、角部に欠け等が生じにくい。
【0037】
また、本実施形態では、隙間25が二等辺三角形であり、隙間25の左右方向の中央部から左右両端にかけてのそれぞれの上面が傾斜面27であるため、隙間25に向かう長尺ゴム部材G1が隙間25の左右方向の中央部に案内されやすい。
【0038】
また、一対のローラ21、22が長尺ゴム部材G1を引っ張りながら回転するので、押し出し機11の押し出し口16と一対のローラ21、22との間で長尺ゴム部材G1が弛んだり蛇行したりしにくい。そのため長尺ゴム部材G1が直線状に近い状態で一対のローラ21、22の隙間25の中心に入って行きやすい。その結果として、ゴムストリップG2の断面形状が目標通りとなりやすい。
【0039】
ここで、(隙間25の面積)×(ローラ21、22の表面速度)で計算される計算値V2が、押し出し口16から単位時間あたりに押し出される長尺ゴム部材G1の体積V1より大きい。そのため、一対のローラ21、22が長尺ゴム部材G1を引っ張ることができる。特に、計算値V2が体積V1の1.1~1.3倍であれば、適度な張力が長尺ゴム部材G1にかかり、しかも長尺ゴム部材G1が切れてしまう可能性も低い。
【0040】
また、押し出し口16の面積が一対のローラ21、22の隙間25の面積の1.5倍以上であれば、一対のローラ21、22が前方に送り出そうとする長尺ゴム部材G1の量に対して、押し出し口16から押し出される長尺ゴム部材G1の量が十分となり、押し出し口16と一対のローラ21、22との間で長尺ゴム部材G1が切れにくくなる。
【0041】
また、押し出し口16の面積が一対のローラ21、22の隙間25の面積の4.0倍以下であれば、一対のローラ21、22が前方に送り出そうとする長尺ゴム部材G1の量に対して、押し出し口16から押し出される長尺ゴム部材G1の量が過剰にならず、一対のローラ21、22の場所に長尺ゴム部材G1が溜まる等の問題が生じにくい。
【0042】
また、押し出し口16の面積が一対のローラ21、22の隙間25の面積の1.5倍以上4.0倍以下の範囲内であり、計算値V2が体積V1の1.1~1.3倍であれば、一対のローラ21、22が前方に送り出そうとする長尺ゴム部材G1の速度と、押し出し口16から押し出される長尺ゴム部材G1の速度との差が大きくなり過ぎず、押し出し口16と一対のローラ21、22との間で長尺ゴム部材G1が特に切れにくくなる。
【0043】
また、押し出し口16の中心が隙間25の底部26より高い位置にあるので、押し出し口16から前方へ直進した長尺ゴム部材G1が溝無しローラ22より先に溝付きローラ21の溝23に当たる。そのため、長尺ゴム部材G1の位置が溝23の左右方向の中央部からずれている場合は、長尺ゴム部材G1が溝23の傾斜面27に当たって左右方向の中央部に案内されやすい。
【0044】
また、本実施形態のゴムストリップ製造装置10は、押し出し機11の押し出し口16から押し出された長尺ゴム部材G1の進行方向の場所に一対のローラ21、22が設けられ、押し出し口16から押し出された長尺ゴム部材G1が一対のローラ21、22の隙間25を通過してゴムストリップG2として成型される構造である。さらに、押し出し口16が円形であり、一対のローラ21、22の隙間25が、ローラ21、22の回転軸に平行な方向(左右方向)の中央部において最も広く、前記中央部から離れるに従い狭くなっていく形状である。
【0045】
このような構造のため、押し出し口16から押し出され一対のローラ21、22の隙間25に入り始めた長尺ゴム部材G1が、隙間25の左右方向の中央部に案内されやすい。そして、長尺ゴム部材G1がさらに前方へ進んで一対のローラ21、22で押圧されたときに左右にバランス良く潰される。そのため、ゴムが隙間25の角部を含む全体に行き渡りやすく、ゴムストリップG2の断面形状が目標通りとなりやすい。
【0046】
以上の実施形態に対し、様々な変更を行うことができる。以下では変更例について説明する。
【0047】
(変更例1)
溝付きローラ21と溝無しローラ22の隙間の形状は、これらのローラ21、22の回転軸に平行な方向の中央部において最も広く、前記中央部から離れるに従い狭くなっていく形状であれば良い。ただし、左右対称の形状が好ましい。
【0048】
例えば図10の隙間125は、ほぼ二等辺三角形だが、頂角の部分が丸みのあるR面126となっている。また図11の隙間225は、ほぼ二等辺三角形だが、底角の部分に立ち上がり部226が形成されている。
【0049】
これらの隙間125、225を通過したゴムストリップG2の断面形状は、隙間125、225と同じ形状となる。
【0050】
(変更例2)
長尺ゴム部材G1の押し出し機として、口金を有さないものも使用可能である。口金を有さない押し出し機から長尺ゴム部材G1を押し出す場合は、押し出し機本体の長尺ゴム部材G1を押し出す孔が、円形の押し出し口となっていれば良い。
【符号の説明】
【0051】
D…成型ドラム、G1…長尺ゴム部材、G2…ゴムストリップ、10…ゴムストリップ製造装置、11…押し出し機、12…本体、13…スクリュー、14…ギア、15…口金、16…押し出し口、17…モータ、18…モータ、20…圧延装置、21…溝付きローラ、22…溝無しローラ、23…溝、24…円筒部分、25…隙間、26…底部、27…傾斜面、30…モータ、31…モータ、32…モータ、33…制御装置、125…隙間、126…R面、225…隙間、226…立ち上がり部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11