(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/10 20060101AFI20240801BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240801BHJP
H10K 30/60 20230101ALI20240801BHJP
H10K 39/32 20230101ALI20240801BHJP
【FI】
H01L31/10 G
H01L31/10 A
H01L27/146 C
H10K30/60
H10K39/32
(21)【出願番号】P 2021018570
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2023-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 恵一
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
(72)【発明者】
【氏名】大山 敦則
【審査官】丸橋 凌
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-025171(JP,A)
【文献】特開2019-054499(JP,A)
【文献】特開2005-167598(JP,A)
【文献】特開2020-178249(JP,A)
【文献】国際公開第2020/213619(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/013170(WO,A1)
【文献】特開平10-284708(JP,A)
【文献】特開昭63-092153(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/032921(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/08-31/119
H01L 27/14-27/148
G01J 1/00-1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の検出期間に検出領域における被検出体の情報を検出する複数のフォトダイオードと、
複数の前記フォトダイオードにそれぞれ印加する逆バイアス電圧を個別に制御する電源制御回路と、
前記電源制御回路からの制御信号に基づき、前記逆バイアス電圧が第1電圧となる第1電位、又は、前記逆バイアス電圧が前記第1電圧よりも小さい第2電圧となる第2電位を、複数の前記フォトダイオードごとに供給する複数の電源供給回路と、
を備え、
前記フォトダイオードは、前記検出領域の複数の部分検出領域ごとに設けられ、
前記電源制御回路は、
前記検出期間とは異なる設定期間において、複数の前記フォトダイオードに前記第1電位を供給した際に複数の前記部分検出領域から出力される信号の出力レベルを検出し、
前記検出期間において、前記信号の出力レベルが所定の閾値以上である部分検出領域のフォトダイオードに前記第2電位を供給するように前記電源供給回路を制御する、
検出装置。
【請求項2】
前記電源制御回路は、
前記設定期間において、前記信号の出力レベルが前記閾値以上となる部分検出領域の数と、前記信号の出力レベルが前記閾値未満となる部分検出領域の数と、の比率が所定値となるように、前記閾値を設定する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2電圧は、前記第1電圧の略半値である、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
電源投入時に前記設定期間が設けられる、
請求項1から3の何れか一項に記載の検出装置。
【請求項5】
外部からの電圧設定処理指令に基づき、前記設定期間が設けられる、
請求項1から4の何れか一項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、個人認証等に用いられる生体センサとして、光学式の生体センサが知られている。生体センサとして、指紋センサ(例えば、特許文献1参照)や静脈センサが知られている。特許文献1に記載されている指紋センサは、フォトダイオード等の光電変換素子が半
導体基板上に複数配列されている。光電変換素子は、照射される光量に応じて出力される信号が変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2018/0012069号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検出用の光電変換素子として、例えば有機受光素子(OPD:Organic Photo Diode)等の有機光検出器(Organic Photo Detector)が知られている。OPDを用いた検出装置では、有機半導体層にバラツキが生じた場合、OPDの特性にバラツキが生じて検出精度や撮像特性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、検出精度や撮像特性を向上させることができる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る検出装置は、所定の検出期間に検出領域における被検出体の情報を検出する複数のフォトダイオードと、複数の前記フォトダイオードにそれぞれ印加する逆バイアス電圧を個別に制御する電源制御回路と、前記電源制御回路からの制御信号に基づき、前記逆バイアス電圧が第1電圧となる第1電位、又は、前記逆バイアス電圧が前記第1電圧よりも小さい第2電圧となる第2電位を、複数の前記フォトダイオードごとに供給する複数の電源供給回路と、を備え、前記フォトダイオードは、前記検出領域の複数の部分検出領域ごとに設けられ、前記電源制御回路は、前記検出期間とは異なる設定期間において、複数の前記フォトダイオードに前記第1電位を供給した際に複数の前記部分検出領域から出力される信号の出力レベルを検出し、前記検出期間において、前記信号の出力レベルが所定の閾値以上である部分検出領域のフォトダイオードに前記第2電位を供給するように前記電源供給回路を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、複数の部分検出領域を示す回路図である。
【
図5A】
図5Aは、センサ部の概略断面構成を示す断面図である。
【
図5B】
図5Bは、第1変形例に係る検出装置のセンサ部の概略断面構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、検出装置の検出動作の一例を表すタイミング波形図である。
【
図7】
図7は、
図6におけるリセット期間の動作例を表すタイミング波形図である。
【
図8】
図8は、
図6における読み出し期間の動作例を表すタイミング波形図である。
【
図9】
図9は、
図6における読み出し期間に含まれる1つのゲート線の駆動期間の動作例を表すタイミング波形図である。
【
図10】
図10は、検出装置のセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
【
図11A】
図11Aは、各部分検出領域におけるAFE信号出力レベルを検出領域において可視化した例を示す図である。
【
図11B】
図11Bは、各部分検出領域におけるAFE信号出力レベルを検出領域において可視化した例を示す図である。
【
図13】
図13は、OPDに印加する逆バイアス電圧を変化させたときのAFE信号出力レベルの変化を示す図である。
【
図14】
図14は、光源のON/OFFによるAFE信号出力レベルの追従性を示す図である。
【
図15】
図15は、明部領域においてOPD逆バイアス電圧を変化させたときのターンオフ時間の変化を示す図である。
【
図16】
図16は、センサ電源供給回路の回路構成の一例を示す図である。
【
図17】
図17は、センサ電源制御回路の回路構成の一例を示す図である。
【
図18】
図18は、センサ電源電位設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、検出期間と設定期間との関係を示す図である。
【
図20】
図20は、AFE出力信号レベル情報の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、AFE出力信号レベルに対する閾値の一例を示す図である。
【
図22】
図22は、センサ電源電位設定情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る検出装置を示す平面図である。
図1に示すように、検出装置1は、センサ基材21と、センサ部10と、ゲート線駆動回路15と、信号線選択回路16と、センサ電源電位設定回路30と、検出回路48と、制御回路122と、電源回路123と、第1光源基材51と、第2光源基材52と、第1光源61と、第2光源62と、を有する。第1光源基材51には、複数の第1光源61が設けられる。第2光源基材52には複数の第2光源62が設けられる。
【0010】
センサ基材21には、フレキシブルプリント基板71を介して制御基板121が電気的に接続される。フレキシブルプリント基板71には、検出回路48が設けられている。制御基板121には、制御回路122及び電源回路123が設けられている。本開示において、センサ基材21は、後述する複数の光センサ(フォトダイオード)PDが形成される有機半導体層が設けられている。
【0011】
制御回路122は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)である。制御回路122は、センサ部10、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16、及びセンサ電源電位設定回路30に制御信号を供給して、センサ部10の検出動作を制御する。また、制御回路122は、第1光源61及び第2光源62に制御信号を供給して、第1光源61及び第2光源62の点灯又は非点灯を制御する。
【0012】
電源回路123は、センサ電源電位VDDSNS(
図4参照)等の電圧信号をセンサ部10、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16、及びセンサ電源電位設定回路30に供給する。また、電源回路123は、電源電圧を第1光源61及び第2光源62に供給する。
【0013】
センサ基材21は、検出領域AAと、周辺領域GAとを有する。検出領域AAは、センサ部10が有する複数の光センサPD(
図4参照)が設けられた領域である。周辺領域GAは、検出領域AAの外周と、センサ基材21の端部との間の領域であり、光センサPDが設けられない領域である。
【0014】
ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16、及びセンサ電源電位設定回路30は、周辺領域GAに設けられる。具体的には、ゲート線駆動回路15は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。信号線選択回路16は、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられ、センサ部10と検出回路48との間に設けられる。センサ電源電位設定回路30は、周辺領域GAのうち第2方向Dyに沿って延在する領域に設けられる。
図1において、センサ電源電位設定回路30は、センサ部10のゲート線駆動回路15の反対側に設けられた例を示したが、これに限らず、信号線選択回路16と同様に、周辺領域GAのうち第1方向Dxに沿って延在する領域に設けられる態様であっても良い。
【0015】
なお、第1方向Dxは、センサ基材21と平行な面内の一方向である。第2方向Dyは、センサ基材21と平行な面内の一方向であり、第1方向Dxと直交する方向である。なお、第2方向Dyは、第1方向Dxと直交しないで交差してもよい。また、第3方向Dzは、第1方向Dx及び第2方向Dyと直交する方向であり、センサ基材21の法線方向である。
【0016】
複数の第1光源61は、第1光源基材51に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。複数の第2光源62は、第2光源基材52に設けられ、第2方向Dyに沿って配列される。第1光源基材51及び第2光源基材52は、それぞれ、制御基板121に設けられた端子部124、125を介して、制御回路122及び電源回路123と電気的に接続される。
【0017】
複数の第1光源61及び複数の第2光源62は、例えば、無機LED(Light Emitting Diode)や、有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)等が用いられる。
【0018】
第1光源61及び第2光源から出射された光は、主に指Fg等の被検出体の表面や内部で反射されセンサ部10に入射する。これにより、センサ部10は、指Fg等の表面の凹凸の形状や、指Fg等の内部の生体に関する情報を検出することができる。生体に関する情報とは、例えば、指Fgや掌の脈波、脈拍、血管像等である。すなわち、検出装置1は、指紋を検出する指紋検出装置や、静脈などの血管パターンを検出する静脈検出装置として構成されてもよい。
【0019】
第1光源61から出射される光と、第2光源62から出射される光とは、それぞれ異なる波長を有する態様であっても良い。このように、検出装置1は、第1光源61から出射される光に基づいた検出と、第2光源62から出射される光に基づいた検出とを行うことで、種々の生体に関する情報を検出することができる。
【0020】
なお、
図1に示す第1光源61及び第2光源62の配置は、あくまで一例であり適宜変更することができる。検出装置1は、光源として複数種類の光源(第1光源61と第2光源62)が設けられている。ただし、これに限定されず、光源は1種類であってもよい。例えば、第1光源基材51及び第2光源基材52のそれぞれに、複数の第1光源61及び複数の第2光源62が配置されていてもよい。また、第1光源61及び第2光源62が設けられる光源基材は1つ又は3つ以上であってもよい。あるいは、光源は、少なくとも1つ以上配置されていればよい。また、光源は、例えば、検出領域AAの直下に設けられた、いわゆる直下型のバックライトであっても良い。
【0021】
図2は、実施形態に係る検出装置の構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、検出装置1は、さらに検出制御部11と検出部40と、有する。検出制御部11の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。また、検出部40のうち、検出回路48以外の機能の一部又は全部は、制御回路122に含まれる。
【0022】
センサ部10は、複数の光センサPD(
図4参照)を有する。光センサPDは、光電変換素子であり、それぞれに照射される光に応じた電気信号を、検出信号Vdetとして信号線選択回路16に出力する。本開示において、光センサPDは、OPD(Organic Photo Diode)である。また、センサ部10は、ゲート線駆動回路15から供給されるゲート駆動信号Vgclにしたがって検出を行う。
【0023】
検出制御部11は、ゲート線駆動回路15、信号線選択回路16及び検出部40にそれぞれ制御信号を供給し、これらの動作を制御する回路である。検出制御部11は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号をゲート線駆動回路15に供給する。また、検出制御部11は、選択信号ASW等の各種制御信号を信号線選択回路16に供給する。また、検出制御部11は、各種制御信号を第1光源61及び第2光源62に供給して、それぞれの点灯及び非点灯を制御する。
【0024】
ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて複数のゲート線GCL(
図3参照)を駆動する回路である。ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを順次又は同時に選択し、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLに接続された複数の光センサPDを選択する。
【0025】
信号線選択回路16は、複数の信号線SGL(
図3参照)を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路16は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路16は、検出制御部11から供給される選択信号ASWに基づいて、選択された信号線SGLと検出回路48とを電気的に接続する。これにより、信号線選択回路16は、光センサPDの検出信号Vdetを検出部40に出力する。
【0026】
センサ電源電位設定回路30は、光センサPDを逆バイアスするためのセンサ電源VDDSNSを印加するスイッチ回路である。センサ電源電位設定回路30は、後述するセンサ電源制御信号VDDSNSCTRLに基づいて、各光センサPDにセンサ電源VDDSNSを供給する。
【0027】
なお、本開示において、センサ電源電位設定回路30は、複数の光センサPDに、それぞれ電圧値が異なる2種類の第1センサ電源電位(第1電位)VDDSNS1又は第2センサ電源電位VDDSNS2(第2電位)のいずれか一方を供給する。センサ電源電位設定回路30の具体的な構成例については後述する。
【0028】
検出部40は、検出回路48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、記憶部46と、検出タイミング制御部47と、画像処理部49と、出力処理部50とを備える。検出タイミング制御部47は、検出制御部11から供給される制御信号に基づいて、検出回路48と、信号処理部44と、座標抽出部45と、画像処理部49と、が同期して動作するように制御する。
【0029】
検出回路48は、例えばアナログフロントエンド回路(AFE:Analog Front End)である。検出回路48は、少なくとも検出信号増幅部42及びA/D変換部43の機能を有する信号処理回路である。検出信号増幅部42は、検出信号Vdetを増幅する。A/D変換部43は、検出信号増幅部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換し、AFE信号AFESIG(後述)を出力する。
【0030】
信号処理部44は、検出回路48の出力信号に基づいて、センサ部10に入力された所定の物理量を検出する論理回路である。信号処理部44は、指Fgが検出面に接触又は近接した場合に、検出回路48からの信号に基づいて指Fgや掌の表面の凹凸を検出できる。また、信号処理部44は、検出回路48からの信号に基づいて生体に関する情報を検出できる。生体に関する情報は、例えば、指Fgや掌の血管像、脈波、脈拍、血中酸素濃度等である。
【0031】
また、信号処理部44は、複数の光センサPDにより同時に検出された検出信号Vdet(生体に関する情報)を取得し、これらを平均化する処理を実行してもよい。この場合、検出部40は、ノイズや、指Fg等の被検出体とセンサ部10との相対的な位置ずれに起因する測定誤差を抑制して、安定した検出が可能となる。
【0032】
さらに、信号処理部44は、センサ電源制御信号VDDSNSCTRL(後述)を生成して、センサ電源電位設定回路30に供給する態様であっても良い。
【0033】
記憶部46は、信号処理部44で演算された信号を一時的に保存する。記憶部46は、例えばRAM(Random Access Memory)、レジスタ回路等であってもよい。
【0034】
座標抽出部45は、信号処理部44において指の接触又は近接が検出されたときに、指等の表面の凹凸の検出座標を求める論理回路である。また、座標抽出部45は、指Fgや掌の血管の検出座標を求める論理回路である。画像処理部49は、センサ部10の各光センサPDから出力される検出信号Vdetを組み合わせて、指Fg等の表面の凹凸の形状を示す二次元情報及び指Fgや掌の血管の形状を示す二次元情報を生成する。なお、座標抽出部45は、検出座標を算出せずにセンサ出力Voとして検出信号Vdetを出力してもよい。また、座標抽出部45及び画像処理部49は、検出部40に含まれていない場合であってもよい。
【0035】
出力処理部50は、複数の光センサPDからの出力に基づいた処理を行う処理部として機能する。具体的には、実施形態の出力処理部50は、少なくとも、信号処理部44を経て取得された検出信号Vdetに基づいて、少なくとも脈波データを含むセンサ出力Voを出力する。実施形態では、後述する各光センサPDの検出信号Vdetの出力の変化(振幅)を示すデータを信号処理部44が出力し、どの出力がセンサ出力Voに採用されるかを出力処理部50が決定するが、この両方を信号処理部44又は出力処理部50が行うようにしてもよい。なお、出力処理部50は、座標抽出部45が求めた検出座標、画像処理部49が生成した二次元情報等をセンサ出力Voに含めるようにしてもよい。また、出力処理部50の機能は、他の構成(例えば、画像処理部49等)に統合されてもよい。
【0036】
次に、検出装置1の回路構成例について説明する。
図3は、検出装置を示す回路図である。ここでは、検出処理を行う際の回路構成について説明する。
【0037】
図3に示すように、センサ部10は、マトリクス状に配列された複数の部分検出領域PAAを有する。複数の部分検出領域PAAには、それぞれ光センサPDが設けられている。
【0038】
ゲート線GCLは、第1方向Dxに延在し、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAと接続される。また、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)は、第2方向Dyに配列され、それぞれゲート線駆動回路15に接続される。なお、以下の説明において、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)を区別して説明する必要がない場合には、単にゲート線GCLと表す。また、
図3では説明を分かりやすくするために、8本のゲート線GCLを示しているが、あくまで一例であり、ゲート線GCLは、M本(Mは8以上、例えばM=256)配列されていてもよい。具体的に、ゲート線GCLは、例えば168本が例示されるが、これより多くても良いし少なくても良い。
【0039】
信号線SGLは、第2方向Dyに延在し、第2方向Dyに配列された複数の部分検出領域PAAの光センサPDに接続される。また、複数の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(12)は、第1方向Dxに配列されて、それぞれ信号線選択回路16及びリセット回路17に接続される。なお、以下の説明において、複数の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(12)を区別して説明する必要がない場合には、単に信号線SGLと表す。
【0040】
また、
図3では、説明を分かりやすくするために、12本の信号線SGLを示しているが、あくまで一例であり、信号線SGLは、N本(Nは12以上、例えばN=252)配列されていてもよい。具体的に、信号線SGLは、例えば126本が例示されるが、これより多くても良いし少なくても良い。
【0041】
また、
図3では、信号線選択回路16とリセット回路17との間にセンサ部10が設けられている。これに限定されず、信号線選択回路16とリセット回路17とは、信号線SGLの同じ方向の端部にそれぞれ接続されていてもよい。
【0042】
ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK、リセット信号RST1等の各種制御信号を、制御回路122(
図1参照)から受け取る。ゲート線駆動回路15は、各種制御信号に基づいて、複数のゲート線GCL(1)、GCL(2)、…、GCL(8)を時分割的に順次選択する。ゲート線駆動回路15は、選択されたゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。これにより、ゲート線GCLに接続された複数の第1スイッチング素子Trにゲート駆動信号Vgclが供給され、第1方向Dxに配列された複数の部分検出領域PAAが、検出対象として選択される。
【0043】
なお、ゲート線駆動回路15は、指紋の検出及び異なる複数の生体に関する情報(脈波、脈拍、血管像、血中酸素濃度等)のそれぞれの検出モードごとに、異なる駆動を実行してもよい。例えば、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを束ねて駆動してもよい。
【0044】
信号線選択回路16は、複数の選択信号線Lselと、複数の出力信号線Loutと、第3スイッチング素子TrSと、を有する。複数の第3スイッチング素子TrSは、それぞれ複数の信号線SGLに対応して設けられている。6本の信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)は、共通の出力信号線Lout1に接続される。6本の信号線SGL(7)、SGL(8)、…、SGL(12)は、共通の出力信号線Lout2に接続される。出力信号線Lout1、Lout2は、それぞれ検出回路48に接続される。
【0045】
ここで、信号線SGL(1)、SGL(2)、…、SGL(6)を第1信号線ブロックとし、信号線SGL(7)、SGL(8)、…、SGL(12)を第2信号線ブロックとする。複数の選択信号線Lselは、1つの信号線ブロックに含まれる第3スイッチング素子TrSのゲートにそれぞれ接続される。また、1本の選択信号線Lselは、複数の信号線ブロックの第3スイッチング素子TrSのゲートに接続される。
【0046】
制御回路122(
図1参照)は、選択信号ASWを順次選択信号線Lselに供給する。これにより、信号線選択回路16は、第3スイッチング素子TrSの動作により、1つの信号線ブロックにおいて信号線SGLを時分割的に順次選択する。また、信号線選択回路16は、複数の信号線ブロックでそれぞれ1本ずつ信号線SGLを選択する。このような構成により、検出装置1は、検出回路48を含むIC(Integrated Circuit)の数、又はICの端子数を少なくすることができる。なお、信号線選択回路16は、複数の信号線SGLを束ねて検出回路48に接続してもよい。
【0047】
図3に示すように、リセット回路17は、基準電位線Lvr、リセット信号線Lrst及び第4スイッチング素子TrRを有する。第4スイッチング素子TrRは、複数の信号線SGLに対応して設けられている。基準電位線Lvrは、複数の第4スイッチング素子TrRのソース又はドレインの一方に接続される。リセット信号線Lrstは、複数の第4スイッチング素子TrRのゲートに接続される。
【0048】
制御回路122は、リセット信号RST2をリセット信号線Lrstに供給する。これにより、複数の第4スイッチング素子TrRがオンになり、複数の信号線SGLは基準電位線Lvrと電気的に接続される。電源回路123は、基準電位COMを基準電位線Lvrに供給する。これにより、複数の部分検出領域PAAに含まれる容量素子Ca(
図4参照)に基準電位COMが供給される。本開示において、基準電位COMは、例えば0.75[V]である。
【0049】
図4は、複数の部分検出領域を示す回路図である。なお、
図4では、検出回路48の回路構成も併せて示している。
図4に示すように、部分検出領域PAAは、光センサPDと、容量素子Caと、第1スイッチング素子Trとを含む。容量素子Caは、光センサPDに形成される容量(センサ容量)であり、等価的に光センサPDと並列に接続される。さらに、信号線容量Ccは、信号線SGLに形成される寄生容量であり、等価的に、信号線SGLと、光センサPDのアノード及び容量素子Caの一端側との間に形成される。
【0050】
図4では、複数のゲート線GCLのうち、第2方向Dyに並ぶ2つのゲート線GCL(m)、GCL(m+1)を示す。また、複数の信号線SGLのうち、第1方向Dxに並ぶ2つの信号線SGL(n)、SGL(n+1)を示す。部分検出領域PAAは、ゲート線GCLと信号線SGLとで囲まれた領域である。
【0051】
第1スイッチング素子Tr1は、光センサPDに対応して設けられる。第1スイッチング素子Tr1は、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFT(Thin Film Transistor)で構成されている。
【0052】
第1方向Dxに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのゲートは、ゲート線GCLに接続される。第2方向Dyに並ぶ複数の部分検出領域PAAに属する第1スイッチング素子Trのソースは、信号線SGLに接続される。第1スイッチング素子Trのドレインは、光センサPDのカソード及び容量素子Caに接続される。
【0053】
光センサPDのアノードには、センサ電源電位設定回路30から第1センサ電源電位VDDSNS1又は第2センサ電源電位VDDSNS2が供給される。また、信号線SGL、光センサPDのカソード及び容量素子Caには、電源回路123から、信号線SGL及び容量素子Caの初期電位となる基準電位COMが供給される。
【0054】
本開示において、第1センサ電源電位VDDSNS1は、例えば-1.25[V]である。また、本開示において、第2センサ電源電位VDDSNS2は、例えば-0.25[V]である。また、本開示において、基準電位COMは、上述したように、例えば0.75[V]である。すなわち、光センサPDは、基準電位COMと第1センサ電源電位VDDSNS1との電位差である2.0[V]、又は、基準電位COMと第2センサ電源電位VDDSNS2との電位差である1.0[V]で逆バイアスされる。換言すれば、光センサPDは、基準電位COMと第1センサ電源電位(第1電位)VDDSNS1との電位差によって、2.0[V]の逆バイアス電圧(第1電圧)が印加される。また、光センサPDは、基準電位COMと第2センサ電源電位(第2電位)VDDSNS2との電位差によって、1.0[V]の逆バイアス電圧(第2電圧)が印加される。
【0055】
部分検出領域PAAに光が照射されると、光センサPDには光量に応じた電流が流れ、これにより容量素子Caに電荷が蓄積される。第1スイッチング素子Trがオンになると、容量素子Caに蓄積された電荷に応じて、信号線SGLに電流が流れる。信号線SGLは、信号線選択回路16の第3スイッチング素子TrSを介して検出回路48に接続される。これにより、検出装置1は、部分検出領域PAAごとに、又はブロック単位PAGごとに光センサPDに照射される光の光量に応じた信号を検出できる。
【0056】
検出回路48は、読み出し期間Pdet(
図6参照)にスイッチSSWがオンになり、信号線SGLと接続される。検出回路48の検出信号増幅部42は、信号線SGLから供給された電流の変動を電圧の変動に変換して増幅する。検出信号増幅部42の非反転入力部(+)には、固定された電位を有する基準電位(Vref)が入力され、反転入力端子(-)には、信号線SGLが接続される。実施形態では、基準電位(Vref)電圧として基準信号COMと同じ信号が入力される。また、検出信号増幅部42は、容量素子Cb及びリセットスイッチRSWを有する。リセット期間Prst(
図6参照)において、リセットスイッチRSWがオンになり、容量素子Cbの電荷がリセットされる。
【0057】
次に、光センサPDの構成について説明する。
図5Aは、センサ部の概略断面構成を示す断面図である。
図5Aに示すように、センサ部10は、センサ基材21と、TFT層22と、絶縁層23と、光センサPDと、絶縁層24a、24b、24c、25を備える。センサ基材21は、絶縁性の基材であり、例えば、ガラスや樹脂材料が用いられる。センサ基材21は、平板状に限定されず、曲面を有していてもよい。この場合、センサ基材21は、フィルム状の樹脂であってもよい。センサ基材21は、第1面と、第1面の反対側の第2面とを有する。第1面に、TFT層22、絶縁層23、光センサPD、絶縁層24、25の順に積層される。
【0058】
TFT層22は、上述したゲート線駆動回路15や信号線選択回路16等の回路が設けられる。また、TFT層22には、第1スイッチング素子Tr等のTFT(Thin Film Transistor)や、ゲート線GCL、信号線SGL等の各種配線が設けられる。センサ基材21及びTFT層22は、所定の検出領域ごとにセンサを駆動する駆動回路基板であり、バックプレーン又はアレイ基板とも呼ばれる。
【0059】
絶縁層23は、有機絶縁層であり、TFT層22の上に設けられる。絶縁層23は、TFT層22に形成される第1スイッチング素子Trや、各種導電層で形成される凹凸を平坦化する平坦化層である。
【0060】
光センサPDは、絶縁層23の上に設けられる。光センサPDは、下部電極35、半導体層31及び上部電極34を有し、この順で積層される。
【0061】
下部電極35は、絶縁層23の上に設けられ、コンタクトホールH1を介してTFT層22の第1スイッチング素子Trと電気的に接続される。下部電極35は、光センサPDのカソードであり、検出信号Vdetを読み出すための電極である。下部電極35は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電材料である。
【0062】
半導体層31は、アモルファスシリコン(a-Si)である。半導体層31は、i型半導体層32a、p型半導体層32b及びn型半導体層32cを含む。i型半導体層32a、p型半導体層32b及びn型半導体層32cは、光電変換素子の一具体例である。
図5Aでは、センサ基材21の表面に垂直な方向において、n型半導体層32c、i型半導体層32a及びp型半導体層32bの順に積層されている。ただし、反対の構成、つまり、p型半導体層32b、i型半導体層32a及びn型半導体層32cの順に積層されていてもよい。この場合、第1センサ電源電位VDDSNS1は、例えば2.75[V]である。また半導体層31は、有機半導体からなる光電変換素子であってもよい。
【0063】
n型半導体層32cは、a-Siに不純物がドープされてn+領域を形成する。p型半導体層32bは、a-Siに不純物がドープされてp+領域を形成する。i型半導体層32aは、例えば、ノンドープの真性半導体であり、p型半導体層32b及びn型半導体層32cよりも低い導電性を有する。
【0064】
上部電極34は、光センサPDのアノードであり、第1センサ電源電位VDDSNS1又は第2センサ電源電位VDDSNS2を光電変換層に供給するための電極である。上部電極34は、例えば、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等の金属材料や、IZO(Indium Zinc Oxide)が用いられる。又は、上部電極34は、銀(Ag)等の金属材料が複数積層された積層膜であってもよい。
【0065】
絶縁層23の上に絶縁層24a及び絶縁層24bが設けられている。絶縁層24aは、上部電極34の周縁部を覆い、上部電極34と重なる位置に開口が設けられている。接続配線36は、上部電極34のうち、絶縁層24aが設けられていない部分で上部電極34と接続される。絶縁層24bは、上部電極34及び接続配線36を覆って絶縁層24aの上に設けられる。絶縁層24bの上に平坦化層である絶縁層24cが設けられる。絶縁層24cの上に絶縁層25が設けられる。ただし、絶縁層25は、なくてもよい。
【0066】
図5Bは、第1変形例に係る検出装置のセンサ部の概略断面構成を示す断面図である。
図5Bに示すように、第1変形例の検出装置1Aにおいて、光センサPDAは、絶縁層23aの上に設けられる。絶縁層23aは、絶縁層23を覆って設けられた無機絶縁層であり、例えば窒化シリコン(SiN)で形成される。光センサPDAは、光電変換層31Aと、下部電極35(カソード電極)と、上部電極34(アノード電極)と、を有する。センサ基材21の第1面S1に垂直な方向において、下部電極35、光電変換層31A、上部電極34の順に積層される。
【0067】
光電変換層31Aは、照射される光に応じて特性(例えば、電圧電流特性や抵抗値)が変化する。光電変換層31Aの材料として、有機材料が用いられる。具体的には、光電変換層31Aとして、例えば、低分子有機材料であるC60(フラーレン)、PCBM(フェニルC61酪酸メチルエステル:Phenyl C61-butyric acid methyl ester)、CuPc(銅フタロシアニン:Copper Phthalocyanine)、F16CuPc(フッ素化銅フタロシアニン)、rubrene(ルブレン:5,6,11,12-tetraphenyltetracene)、PDI(Perylene(ペリレン)の誘導体)等を用いることができる。
【0068】
光電変換層31Aは、これらの低分子有機材料を用いて蒸着型(Dry Process)で形成することができる。この場合、光電変換層31Aは、例えば、CuPcとF16CuPcとの積層膜、又はrubreneとC60との積層膜であってもよい。光電変換層31Aは、塗布型(Wet Process)で形成することもできる。この場合、光電変換層31Aは、上述した低分子有機材料と高分子有機材料とを組み合わせた材料が用いられる。高分子有機材料として、例えばP3HT(poly(3-hexylthiophene))、F8BT(F8-alt-benzothiadiazole)等を用いることができる。光電変換層31Aは、P3HTとPCBMとが混合した状態の膜、又はF8BTとPDIとが混合した状態の膜とすることができる。
【0069】
下部電極35と、上部電極34とは、光電変換層31Aを挟んで対向する。上部電極34は、例えば、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等の金属材料が用いられる。又は、下部電極35は、これらの金属材料の少なくとも1以上を含む合金材料であってもよい。下部電極35は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等の透光性を有する導電性材料が用いられる。
【0070】
下部電極35の膜厚を制御することで、透光性を有する半透過型電極として下部電極35を形成できる。例えば、下部電極35は、膜厚10nmのAg薄膜で形成することで、60%程度の透光性を有する。この場合、光センサPDAは、センサ基材21の両面側から照射される光、例えば第1面S1側から照射される光L1及び第2面S2側から照射される光の両方を検出できる。
【0071】
図5Bでは図示を省略するが、上部電極34を覆って保護膜24が設けられてもよい。保護膜は、低温(LT:Low Temperature)シリコンナイトライド(SiNx)や酸化アルミニウム(AlOx)等のパッシベーション膜であり、光センサPDAを保護するために設けられている。
【0072】
図5Bに示すように、TFT層22には、光センサPDAに電気的に接続される第1スイッチング素子Trが設けられる。第1スイッチング素子Trは、半導体層81、ソース電極82、ドレイン電極83及びゲート電極84、85を有する。光センサPDAの下部電極35は、絶縁層23、23aに設けられたコンタクトホールH11を介して、第1スイッチング素子Trのドレイン電極83と電気的に接続される。
【0073】
第1スイッチング素子Trは、半導体層81の上側及び下側の両方にゲート電極84、85が設けられた、いわゆるデュアルゲート構造である。ただし、これに限定されず、第1スイッチング素子Trはトップゲート構造でもよく、ボトムゲート構造でもよい。
【0074】
なお、
図5Bでは、周辺領域GAに設けられた第2スイッチング素子TrA及び端子部72を、模式的に示している。第2スイッチング素子TrAは、例えば、ゲート線駆動回路15(
図1参照)に設けられたスイッチング素子である。第2スイッチング素子TrAは、半導体層86、ソース電極87、ドレイン電極88及びゲート電極89を有する。第2スイッチング素子TrAは、半導体層86の上側にゲート電極89が設けられた、いわゆるトップゲート構造である。半導体層86の下側で、半導体層86とセンサ基材21との間には、遮光層90が設けられる。ただし、これに限定されず、第2スイッチング素子TrAはボトムゲート構造でもよく、デュアルゲート構造でもよい。
【0075】
第1スイッチング素子Trの半導体層81と、第2スイッチング素子TrAの半導体層86とは、異なる層に設けられる。第1スイッチング素子Trの半導体層81は、例えば酸化物半導体である。第2スイッチング素子TrAの半導体層86は、例えばポリシリコンである。
【0076】
次に、本実施形態の検出装置1の検出動作について説明する。
図6は、検出装置の検出動作の一例を表すタイミング波形図である。
図7は、
図6におけるリセット期間の動作例を表すタイミング波形図である。
図8は、
図6における読み出し期間の動作例を表すタイミング波形図である。
図9は、
図6における行読み出し期間VRに含まれる1つのゲート線の駆動期間の動作例を表すタイミング波形図である。
図10は、検出装置のセンサ部の駆動と、光源の点灯動作との関係を説明するための説明図である。
【0077】
図6に示すように、検出装置1は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetを有する。センサ電源電位設定回路30は、リセット期間Prst、露光期間Pex及び読み出し期間Pdetに亘って、第1センサ電源電位VDDSNS1又は第2センサ電源電位VDDSNS2を光センサPDのアノードに供給する。検出装置1は、
図6に示す検出動作を1フレームとして複数回繰り返し、検出領域AAにおける被検出体の検出を行う。以下、検出装置1において被検出体の検出を行う期間を、「検出期間」とも称する。
【0078】
第1センサ電源電位VDDSNS1又は第2センサ電源電位VDDSNS2は、光センサPDのアノード-カソード間に逆バイアスを印加する信号である。例えば、光センサPDのカソードには実質0.75[V]の基準電位COMがされているが、アノードに実質-1.25[V]の第1センサ電源電位VDDSNS1を印加することにより、アノード-カソード間は実質2.0[V]で逆バイアスされる。また、アノードに実質-0.25[V]の第2センサ電源電位VDDSNS2を印加することにより、アノード-カソード間は実質1.0[V]で逆バイアスされる。換言すれば、光センサPDのアノード-カソード間は、実質0.75[V]の基準電位COMと実質-1.25[V]の第1センサ電源電位(第1電位)VDDSNS1との電位差によって、実質2.0[V]の逆バイアス電圧(第1電圧)が印加される。また、光センサPDは、実質0.75[V]の基準電位COMと実質-0.25[V]の第2センサ電源電位(第2電位)VDDSNS2との電位差によって、実質1.0[V]の逆バイアス電圧(第2電圧)が印加される。
【0079】
制御回路122は、リセット信号RST2を“H”とした後にゲート線駆動回路15にスタート信号STVおよびクロック信号CKを供給し、リセット期間Prstが開始する。リセット期間Prstにおいて、制御回路122は、基準電位COMをリセット回路17に供給し、リセット信号RST2によってリセット電圧を供給するための第4スイッチング素子TrRをオンさせる。これにより各信号線SGLにはリセット電圧として基準電位COMが供給される。基準電位COMは、上述したように、例えば0.75[V]とされる。
【0080】
リセット期間Prstにおいて、ゲート線駆動回路15は、スタート信号STV、クロック信号CK及びリセット信号RST1に基づいて、順次ゲート線GCLを選択する。ゲート線駆動回路15は、ゲート駆動信号Vgcl{Vgcl(1)~Vgcl(M)}をゲート線GCLに順次供給する。ゲート駆動信号Vgclは、高レベル電圧である電源電圧VDDと低レベル電圧である電源電圧VSSとを有するパルス状の波形を有する。
図6では、M本(例えばM=256)のゲート線GCLが設けられており、各ゲート線GCLに、ゲート駆動信号Vgcl(1)、…、Vgcl(M)が順次供給され、複数の第1スイッチング素子Trは各行毎に順次導通され、リセット電圧が供給される。リセット電圧として例えば、基準電位COMの電圧0.75Vが供給される。
【0081】
具体的には、
図7に示すように、ゲート線駆動回路15は、期間V(1)において、ゲート線GCL(1)に、高レベル電圧(電源電圧VDD)のゲート駆動信号Vgcl(1)を供給する。制御回路122は、ゲート駆動信号Vgcl(1)が高レベル電圧(電源電圧VDD)の期間に、選択信号ASW1、…、ASW6のいずれか1つ(
図7では選択信号ASW1)を、信号線選択回路16に供給する。これにより、ゲート駆動信号Vgcl(1)により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが検出回路48に接続される。この結果、第3スイッチング素子TrSと検出回路48との間の接続配線にもリセット電圧(基準電位COM)が供給される。
【0082】
同様に、ゲート線駆動回路15は、期間V(2)、…、V(M-1)、V(M)において、ゲート線GCL(2)、…、GCL(M-1)、GCL(M)に、それぞれ高レベル電圧のゲート駆動信号Vgcl(2)、…、Vgcl(M-1)、Vgcl(M)を供給する。
【0083】
これにより、リセット期間Prstでは、全ての部分検出領域PAAの容量素子Caは、順次信号線SGLと電気的に接続されて、基準電位COMが供給される。この結果、容量素子Caの容量がリセットされる。尚、部分的にゲート線、および信号線SGLを選択することにより部分検出領域PAAのうち一部の容量素子Caの容量をリセットすることも可能である。
【0084】
露光するタイミングの例として、ゲート線非選択時露光制御方法と常時露光制御方法がある。ゲート線非選択時露光制御方法においては、検出対象の光センサPDに接続された全てのゲート線GCLにゲート駆動信号{Vgcl(1)~(M)}が順次供給され、検出対象の全ての光センサPDにリセット電圧が供給される。その後、検出対象の光センサPDに接続された全てのゲート線GCLが低電圧(第1スイッチング素子Trがオフ)になると露光が開始され、露光期間Pexの間に露光が行われる。
【0085】
露光が終了すると前述のように検出対象の光センサPDに接続されたゲート線GCLにゲート駆動信号{Vgcl(1)~(M)}が順次供給され、読み出し期間Pdetに読み出しが行われる。常時露光制御方法においては、リセット期間Prst、読み出し期間Pdetにおいても露光を行う制御(常時露光制御)をすることも可能である。この場合は、リセット期間Prstにゲート駆動信号Vgcl(1)がゲート線GCLに供給された後に、露光期間Pex(1)が開始する。
【0086】
ここで、露光期間Pex{(1)・・・(M)}とは光センサPDから容量素子Caへ充電される期間とされる。リセット期間Prstに容量素子Caにチャージされた電荷が光照射によって光センサPDに逆方向電流(カソードからアノードへ)が流れ、容量素子Caの電位差は減少する。なお、各ゲート線GCLに対応する部分検出領域PAAでの、実際の露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、開始のタイミング及び終了のタイミングが異なっている。
【0087】
露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、それぞれ、リセット期間Prstでゲート駆動信号Vgclが高レベル電圧の電源電圧VDDから低レベル電圧の電源電圧VSSに変化したタイミングで開始される。また、露光期間Pex(1)、…、Pex(M)は、それぞれ、読み出し期間Pdetでゲート駆動信号Vgclが電源電圧VSSから電源電圧VDDに変化したタイミングで終了する。各露光期間Pex(1)、…、Pex(M)の露光時間の長さは等しい。
【0088】
ゲート線非選択時露光制御方法において、露光期間Pex{(1)・・・(M)}では、各部分検出領域PAAで、光センサPDに照射された光に応じて電流が流れる。この結果、各容量素子Caに電荷が蓄積される。
【0089】
読み出し期間Pdetが開始する前のタイミングで、制御回路122は、リセット信号RST2を低レベル電圧にする。これにより、リセット回路17の動作が停止する。尚、リセット信号はリセット期間Prstのみ高レベル電圧としてもよい。読み出し期間Pdetでは、リセット期間Prstと同様に、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCLにゲート駆動信号Vgcl(1)、…、Vgcl(M)を順次供給する。
【0090】
具体的には、
図8に示すように、ゲート線駆動回路15は、行読み出し期間VR(1)において、ゲート線GCL(1)に、高レベル電圧(電源電圧VDD)のゲート駆動信号Vgcl(1)を供給する。制御回路122は、ゲート駆動信号Vgcl(1)が高レベル電圧(電源電圧VDD)の期間に、選択信号ASW1、…、ASW6を、信号線選択回路16に順次供給する。これにより、ゲート駆動信号Vgcl(1)により選択された部分検出領域PAAの信号線SGLが順次、又は同時に検出回路48に接続される。この結果、検出信号Vdetが部分検出領域PAAごとに検出回路48に供給される。
【0091】
同様に、ゲート線駆動回路15は、行読み出し期間VR(2)、…、VR(M-1)、VR(M)において、ゲート線GCL(2)、…、GCL(M-1)、GCL(M)に、それぞれ高レベル電圧のゲート駆動信号Vgcl(2)、…、Vgcl(M-1)、Vgcl(M)を供給する。すなわち、ゲート線駆動回路15は、行読み出し期間VR(1)、VR(2)、…、VR(M-1)、VR(M)ごとに、ゲート線GCLにゲート駆動信号Vgclを供給する。各ゲート駆動信号Vgclが高レベル電圧となる期間ごとに、信号線選択回路16は選択信号ASWに基づいて、順次信号線SGLを選択する。信号線選択回路16は、信号線SGLごとに順次、1つの検出回路48に接続する。これにより、読み出し期間Pdetで、検出装置1は、全ての部分検出領域PAAの検出信号Vdetを検出回路48に出力することができる。
【0092】
以下、
図9を参照して、
図6における1つのゲート駆動信号Vgcl(j)の供給期間である行読み出し期間VR中の動作例について説明する。
図6では、最初のゲート駆動信号Vgcl(1)に行読み出し期間VRの符号を付しているが、他のゲート駆動信号Vgcl(2)、…、Vgcl(M)についても同様である。jは、1からMのいずれかの自然数である。
【0093】
図9および
図4に示すように、第3スイッチング素子TrSの出力(Vout)は予め基準電位(Vref)電圧にリセットされている。基準電位(Vref)電圧はリセット電圧とされ、例えば0.75[V]とされる。次にゲート駆動信号Vgcl(j)がハイレベルとなり当該行の第1スイッチング素子Trがオンし、各行の信号線SGLは当該部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷に応じた電圧になる。
【0094】
ゲート駆動信号Vgcl(j)の立ち上がりから期間t1の経過後、選択信号ASW(k)がハイになる期間t2が生じる。選択信号ASW(k)がハイになって第3スイッチング素子TrSがオンすると、当該第3スイッチング素子TrSを介して検出回路48と接続されている部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に充電された電荷により、第3スイッチング素子TrSの出力(Vout)(
図4参照)が当該部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷に応じた電圧に変化する(期間t3)。
図9の例では期間t3のようにこの電圧はリセット電圧から下がっている。
【0095】
その後、スイッチSSWがオン(SSW信号のハイレベルの期間t4)すると当該部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷が検出回路48の検出信号増幅部42の容量(容量素子Cb)へ電荷が移動し、検出信号増幅部42の出力電圧は容量素子Cbに蓄積された電荷に応じた電圧となる。このとき検出信号増幅部42の反転入力部はオペアンプのイマジナリショート電位となるため、基準電位(Vref)に戻っている。検出信号増幅部42の出力電圧はA/D変換部43で読み出す。
【0096】
図9の例では、各列の信号線SGLに対応する選択信号ASW(k)、ASW(k+1)、…の波形がハイになって第3スイッチング素子TrSを順次オンさせ、同様の動作を順次行うことで当該ゲート線GCLに接続された部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷を順次読み出している。なお
図9におけるASW(k)、ASW(k+1)…は、例えば、
図9におけるASW1からASW6のいずれかである。
【0097】
具体的には、スイッチSSWがオンになる期間t4が生じると、部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)から検出回路48の検出信号増幅部42の容量(容量素子Cb)へ電荷が移動する。このとき検出信号増幅部42の非反転入力(+)は、基準電位(Vref)電圧(例えば、0.75[V])にバイアスされている。このため、検出信号増幅部42の入力間のイマジナリショートにより第3スイッチング素子TrSの出力(Vout)も基準電位(Vref)電圧になる。
【0098】
また、容量素子Cbの電圧は、選択信号ASW(k)に応じて第3スイッチング素子TrSがオンした箇所の部分検出領域PAAの容量(容量素子Ca)に蓄積された電荷に応じた電圧となる。検出信号増幅部42の出力は、イマジナリショートによって第3スイッチング素子TrSの出力(Vout)が基準電位(Vref)電圧になった後に、容量素子Cbの容量に応じた電圧になり、この出力電圧をA/D変換部43で読み取る。なお、容量素子Cbの電圧とは、例えば、容量素子Cbを構成するコンデンサに設けられる2つの電極間の電圧である。
【0099】
なお、期間t1は、例えば20[μs]である。期間t2は、例えば60[μs]である。期間t3は、例えば44.7[μs]である。期間t4は、例えば0.98[μs]である。
【0100】
図10に示すように、期間t(1)、期間t(2)のそれぞれにおいて、検出装置1は、上述したリセット期間Prst、露光期間Pex{(1)・・・(M)}及び読み出し期間Pdetを実行する。リセット期間Prst及び読み出し期間Pdetにおいて、ゲート線駆動回路15は、ゲート線GCL(1)からゲート線GCL(M)まで順次走査する。以下の説明において、各期間tでの検出、すなわち、リセット期間Prst及び読み出し期間Pdetでゲート線GCL(1)からゲート線GCL(M)まで走査され、各列の信号線SGLから検出信号Vdetを取得する検出を、1フレームの検出と表す。
【0101】
期間t(1)及び期間t(2)に連続して、光源(第1光源61又は第2光源62)が点灯される。制御回路122は、検出対象に応じて光源の点灯、非点灯を制御することができる。たとえば、制御回路122は、期間ごとに第1光源61及び第2光源62の点灯、非点灯を切り換えてもよいし、いずれか一方を連続して点灯してもよい。
【0102】
なお、
図6から
図10では、ゲート線駆動回路15がゲート線GCLを個別に選択する例を示したが、これに限定されない。ゲート線駆動回路15は、2以上の所定数のゲート線GCLを同時に選択し、所定数のゲート線GCLごとに順次ゲート駆動信号Vgclを供給してもよい。また、信号線選択回路16も、2以上の所定数の信号線SGLを同時に1つの検出回路48に接続してもよい。また更には、ゲート線駆動回路15は、複数のゲート線GCLを間引いて走査してもよい。
【0103】
ここで、光センサPD(OPD:Organic Photo Diode)が形成される有機半導体層にバラツキが生じた場合、OPDの特性にバラツキが生じて検出精度が低下する可能性がある。
図11A及び
図11Bは、各部分検出領域におけるAFE信号出力レベルを検出領域において可視化した例を示す図である。
図11Aは、OPDの特性にバラツキが生じた場合のAFE信号出力レベルを検出領域AAにおいて可視化した例を示している。
図11Bは、OPDの特性のバラツキが少ない場合の理想的なAFE信号出力レベルを検出領域AAにおいて可視化した例を示している。
図11A及び
図11Bでは、光源(例えば、実施形態に係る検出装置1の第1光源61及び第2光源62)を消灯し、検出領域AAにおいて各部分検出領域PAAのOPD(光センサPD)を2.0[V]で逆バイアスした状態でのAFE信号出力レベルを可視化した例を示している。
【0104】
有機半導体層のバラツキが生じた場合、検出領域AAの各部分検出領域PAAにおいてAFE信号出力レベルにバラツキが生じ、
図11Aに示すように、比較的暗い領域と比較的明るい領域とが生じて検出領域AA内でムラが生じる。以下、比較的暗い領域を「暗部領域DAA」と称し、比較的明るい領域を「明部領域BRA」と称する。
【0105】
【0106】
図12Aに示すように、
図11Aでは、検出領域AAの各部分検出領域PAAにおけるAFE信号出力レベルのバラツキが大きく、AFE信号出力レベルが高出力側にも及んでいる。
【0107】
これに対し、検出領域AAの各部分検出領域PAAにおけるAFE信号出力レベルのバラツキが小さい場合、
図11Bに示すように、検出領域AA内のムラが抑制され、
図12Bに示すように、暗部領域DAAが主体となっている。
【0108】
図13は、OPDに印加する逆バイアス電圧を変化させたときのAFE信号出力レベルの変化を示す図である。
図13において、実線は検出領域AAの暗部領域DAAに属する部分検出領域PAAのAFE信号出力レベルの変化を示し、破線は検出領域AAの明部領域BRAに属する部分検出領域PAAのAFE信号出力レベルの変化を示している。
【0109】
図13に示すように、暗部領域DAAでは、AFE信号出力レベルが0[V]から5[V]までほぼ一定であるが、明部領域BRAでは、0[V]から5[V]までの範囲でAFE信号出力レベルが変動している。具体的には、明部領域BRAでは、0[V]から5[V]まで変化させる過程において、徐々にAFE信号出力レベルが大きくなっている。
【0110】
図14は、光源のON/OFFによるAFE信号出力レベルの追従性を示す図である。
図14において、実線は検出領域AAの暗部領域DAAに属する部分検出領域のAFE信号出力レベルの変化を示し、破線は検出領域AAの明部領域BRAに属する部分検出領域のAFE信号出力レベルの変化を示している。
【0111】
図14に示すように、明部領域BRAでは、光源をオフからオンに制御したときのターンオン時間、及び、光源をオンからオフに制御したときのターンオフ時間が、暗部領域DAAよりも長くなっている。具体的には、例えば、生体に関する情報として脈拍や脈波等を取得するようなケースでは、特に、ターンオフ時間が長くなると、検出精度が大幅に低下することが考えられる。
【0112】
図15は、明部領域BRAにおいてOPD逆バイアス電圧を変化させたときのターンオフ時間の変化を示す図である。明部領域BRAにおいてOPD逆バイアス電圧を変化させたときのターンオフ時間の変化、すなわち光応答は、
図15に示すように、OPD逆バイアス電圧に依存して変化する。このため、OPD逆バイアス電圧を変化させることで、光応答の応答遅延が軽減する可能性がある。
図15に示す例では、OPD逆バイアス電圧を2[V]から1[V]にすると、ターンオフ時間が大幅に短縮している。また、
図13に示すように、OPD逆バイアス電圧を2[V]から1[V]にすると、明部領域BRAにおけるAFE信号出力レベルが暗部領域DAAにおけるAFE信号出力レベルに近づく。
【0113】
本実施形態では、部分検出領域PAAごとに、すなわち、光センサPDごとに、検出期間において光センサPDに印加する逆バイアス電圧を異なる値とする。具体的には、暗部領域DAAでは、光センサPDに印加する逆バイアス電圧(第1電圧)を2[V]とし、明部領域BRAでは、光センサPDに印加する逆バイアス電圧(第2電圧)を1[V]とする。これにより、検出期間における検出領域AA全体のAFE信号出力レベルのバラツキを抑制することができる。
【0114】
以下、検出期間において検出領域AA全体のAFE信号出力レベルのバラツキを抑制する構成及び動作について説明する。
【0115】
図16は、センサ電源供給回路の回路構成の一例を示す図である。
図17は、センサ電源制御回路の回路構成の一例を示す図である。
【0116】
図16に示すように、センサ電源供給回路300は、例えば、センサ電源電位設定回路30に設けられる。センサ電源供給回路300は、第1スイッチトランジスタ301と、第2スイッチトランジスタ302と、論理反転回路303と、を含む。
【0117】
また、
図17に示すように、センサ電源制御回路400は、例えば、検出部40に設けられる。センサ電源制御回路400は、AFE信号出力レベル検出部401と、閾値生成部402と、比較判定部403と、センサ電源制御信号出力部404と、記憶部405と、を含む。
【0118】
AFE信号出力レベル検出部401、閾値生成部402、比較判定部403、及びセンサ電源制御信号出力部404の機能は、例えば、信号処理部44に統合されてもよい。また、記憶部405の機能は、例えば、記憶部46に統合されてもよい。
【0119】
センサ電源供給回路300には、電源回路123から第1センサ電源電位VDDSNS1及び第2センサ電源電位VDDSNS2が供給されている。本開示において、第1センサ電源電位VDDSNS1は-1.25[V]とされる。また、本開示において、第2センサ電源電位VDDSNS2は-0.25[V]とされる。
【0120】
センサ電源制御回路400は、後述するセンサ電源電位設定処理において、各部分検出領域PAAに対応する光センサPDのセンサ電源電位を設定し、これらの設定値を含むセンサ電源電位設定情報をセンサ電源制御信号VDDSNSCTRLとしてセンサ電源供給回路300に出力する。
【0121】
センサ電源供給回路300は、上述した検出処理において、センサ電源制御回路400から出力されたセンサ電源制御信号VDDSNSCTRLに基づき、各部分検出領域PAAに対応する光センサPDに、それぞれ、第1センサ電源電位VDDSNS1又は第2センサ電源電位VDDSNS2のいずれか一方を出力する。
【0122】
具体的に、センサ電源供給回路300は、各部分検出領域PAAに対応する光センサPDのセンサ電源電位設定値が“H”であるとき、検出期間において当該光センサPDに第1センサ電源電位VDDSNS1を供給する。また、センサ電源供給回路300は、各部分検出領域PAAに対応する光センサPDのセンサ電源電位設定値が“L”であるとき、検出期間において当該光センサPDに第2センサ電源電位VDDSNS2を供給する。これにより、検出期間において検出処理を行う際の検出領域AA全体のAFE信号出力レベルのバラツキを抑制することができる。
【0123】
図18は、センサ電源電位設定処理の一例を示すフローチャートである。本開示において、検出装置1は、上述した検出期間とは異なる、センサ電源電位VDDSNSの設定を行う設定期間が設けられる。この設定期間において、
図18に示すセンサ電源電位設定処理が実施される。
図19は、検出期間と設定期間との関係を示す図である。
図19に示すように、設定期間では、光源(第1光源61及び第2光源62)を消灯する。
【0124】
図11A及び
図12Aに示すAFE信号出力レベルのバラツキは、一定ではなく経時変化する。このため、
図19に示すように、例えば外部のホストデバイスから適宜入力されるOPD電圧設定処理指令に基づき、
図18に示すセンサ電源電位設定処理を実施する(設定期間を設ける)態様であることが望ましい。また、
図19に示すように、例えば検出装置1の電源投入時において、
図18に示すセンサ電源電位設定処理を実施する(設定期間を設ける)態様であっても良い。以下の説明では、制御回路122から出力されるOPD電圧設定処理指令に基づき、
図18に示すセンサ電源電位設定処理を実施する(設定期間を設ける)態様について説明する。
【0125】
外部のホストデバイスからOPD電圧設定処理指令が出力されると(ステップS1)、制御回路122は、第1光源61及び第2光源62に制御信号を供給して、第1光源61及び第2光源62を消灯する(ステップS2)。ここで、OPD電圧設定処理指令が出力された時点で第1光源61及び第2光源62が消灯している場合、ステップS2の処理を省略する。
【0126】
この時点において、センサ電源制御回路400のセンサ電源制御信号出力部404は、センサ電源供給回路300から出力される、検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全ての光センサPDのセンサ電源電位を第1センサ電源電位VDDSNS1(-1.25[V])とすべく、検出領域AAにおける全ての光センサPDに対するセンサ電源制御信号VDDSNSCTRLの設定値を“H”とする。これにより、検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全ての光センサPDが2.0[V]に逆バイアスされる。
【0127】
AFE信号出力レベル検出部401は、検出回路48から出力されるAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)(
図4参照)を検出し(ステップS101)、当該AFE出力信号レベルAFESIG(n,m)を記憶部405に順次記憶する(ステップS102)。
【0128】
AFE信号出力レベル検出部401は、検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全てのAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が記憶されたか否かを判定する(ステップS103)。検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全てのAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が記憶されていない場合(ステップS103;No)、検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全てのAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が記憶されるまで(ステップS103;Yes)、ステップS101及びステップS102の処理を繰り返す。
【0129】
図20は、AFE出力信号レベル情報の一例を示す図である。
【0130】
検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全てのAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が記憶されると(ステップS103;Yes)、
図20に示すAFE出力信号レベル情報が生成される。閾値生成部402は、記憶部405に記憶されたAFE出力信号レベル情報を読み出し(S104)、AFE出力信号レベルAFESIG(n,m)に対する閾値AFEthを算出する(ステップS105)。
【0131】
図21は、AFE出力信号レベルに対する閾値の一例を示す図である。閾値生成部402は、例えば、検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全ての光センサPDを100[%]としたとき、例えば、上位10[%]に相当するAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)の下限値を、閾値AFEthとして設定する。すなわち、閾値生成部402は、AFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が閾値AFEth以上となる明部領域BRAに属する部分検出領域PAAの数と、AFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が閾値AFEth未満となる暗部領域DAAに属する部分検出領域PAAの数と、の比率が所定値(例えば、1:9)となるように、閾値AFEthを設定する。なお、本開示における閾値AFEthの算出手法あるいは設定手法、設定値については一例であり、これに限定されない。
【0132】
閾値生成部402は、算出した閾値AFEthを記憶部405に記憶する(ステップS106)。
【0133】
比較判定部403は、記憶部405に記憶された閾値AFEthを読み出し(ステップS107)、
図20に示すAFE出力信号レベル情報から、検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全てのAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)を順次読み出して(ステップS108)、読み出したAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が閾値AFEth以上であるか否かを判定する(ステップS109)。
【0134】
AFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が閾値AFEth以上である場合(ステップS109;Yes)、比較判定部403は、当該AFE出力信号レベルAFESIG(n,m)に対応する部分検出領域PAAの光センサPDのセンサ電源電位設定値を“L”として(ステップS110)、当該センサ電源電位設定値を記憶部405に記憶する(ステップS112)。
【0135】
AFE出力信号レベルAFESIG(n,m)が閾値AFEth未満である場合(ステップS109;No)、比較判定部403は、当該AFE出力信号レベルAFESIG(n,m)に対応する部分検出領域PAAの光センサPDのセンサ電源電位設定値を“H”として(ステップS111)、当該センサ電源電位設定値を記憶部405に記憶する(ステップS112)。
【0136】
比較判定部403は、検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全ての光センサPDのセンサ電源電位設定値が記憶されたか否かを判定する(ステップS113)。検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全ての光センサPDのセンサ電源電位設定値が記憶されていない場合(ステップS113;No)、検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全ての光センサPDのセンサ電源電位設定値が記憶されるまで(ステップS113;Yes)、ステップS108からステップS112までの処理を繰り返す。
【0137】
図22は、センサ電源電位設定情報の一例を示す図である。
【0138】
検出領域AAの各部分検出領域PAAに対応する全ての光センサPDのセンサ電源電位設定値が記憶されると(ステップS113;Yes)、センサ電源電位設定処理を終了する。これにより、
図22に示すセンサ電源電位設定情報が生成される。
【0139】
上述した検出処理において、
図18に示すセンサ電源電位設定処理において設定されたセンサ電源電位設定情報をセンサ電源制御信号VDDSNSCTRLとしてセンサ電源供給回路300に出力することにより、センサ電源供給回路300は、各部分検出領域PAAに対応する光センサPDのセンサ電源電位設定値が“H”であるとき、当該光センサPDに第1センサ電源電位VDDSNS1を供給する。これにより、暗部領域DAAに含まれる光センサPDは、2.0[V]で逆バイアスされる。
【0140】
また、センサ電源供給回路300は、各部分検出領域PAAに対応する光センサPDのセンサ電源電位設定値が“L”であるとき、当該光センサPDに第2センサ電源電位VDDSNS2を供給する。これにより、明部領域BRAに含まれる光センサPDは、1.0[V]で逆バイアスされる。
【0141】
このように、実施形態に係る検出装置1では、検出処理において、暗部領域DAAに含まれる光センサPDが2.0[V]で逆バイアスされ、明部領域BRAに含まれる光センサPDが1.0[V]で逆バイアスされる。これにより、検出処理を行う際の検出領域AAにおけるAFE信号出力レベルのバラツキを抑制することができ、検出装置1の検出精度や撮像特性を向上させることができる。
【0142】
なお、上述した実施形態では、センサ電源供給回路300がセンサ電源電位設定回路30に設けられる例を示したが、センサ電源供給回路300は、例えば各部分検出領域PAAにそれぞれ設けられる態様であっても良い。この場合、センサ電源電位設定回路30は、センサ電源制御信号VDDSNSCTRLに基づき、各部分検出領域PAAに対応するセンサ電源供給回路300にそれぞれセンサ電源電位設定値を出力可能な態様とし、電源回路123から各部分検出領域PAAに対して第1センサ電源電位VDDSNS1及び第2センサ電源電位VDDSNS2を供給する態様であれば良い。また、センサ電源電位設定回路30は、センサ電源制御信号VDDSNSCTRLに基づき各部分検出領域PAAに対応するセンサ電源電位設定値を記憶する記憶部を有する態様であっても良い。このようにすれば、検出処理を行うごとにセンサ電源制御信号VDDSNSCTRLを出力する必要がなく、処理を簡略化することができる。
【0143】
また、上述した実施形態では、センサ電源制御回路400が検出部40に設けられる例を示したが、センサ電源制御回路400は、例えば検出制御部11に設けられる態様であっても良い。この場合、検出部40の検出回路48からAFE出力信号レベルAFESIG(n,m)を検出制御部11に出力する態様であれば良い。また、センサ電源制御回路400は、検出部40や検出制御部11とは独立した態様であっても良い。
【0144】
また、上述した実施形態では、センサ電源供給回路300がセンサ電源電位設定回路30に設けられる例を示したが、センサ電源供給回路300は、第1方向Dxに沿って並ぶ部分検出領域PAAを含む領域ごとに設けられても良いし、第2方向Dyに沿って並ぶ部分検出領域PAAを含む領域ごとに設けられても良い。あるいは、センサ電源供給回路300は、第1方向Dx及び第2方向Dyに部分検出領域PAAがそれぞれ複数個並んだ所定の領域ごとに設けられても良い。この場合、これらの領域内のAFESIGの値が閾値AFETh以上となる部分検出領域PAAの数が所定数以上の場合には、当該領域内の部分検出領域PAAの光センサPDのセンサ電源電位設定値を“L”とし、所定数未満の場合には、当該領域内の部分検出領域PAAの光センサPDのセンサ電源電位設定値を“H”とするようにしても良い。
【0145】
さらには、例えばセンサ電源制御回路400から、各部分検出領域PAAに設けられたセンサ電源供給回路300にセンサ電源電位設定値を直接出力する態様であっても良い。
【0146】
なお、上述した実施形態は、各構成要素を適宜組み合わせることが可能である。また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0147】
1 検出装置
10 センサ部
11 検出制御部
15 ゲート線駆動回路
16 信号線選択回路
17 リセット回路
21 センサ基材
30 センサ電源電位設定回路
40 検出部
48 検出回路
61 第1光源
62 第2光源
122 制御回路
123 電源回路
300 センサ電源供給回路
301 第1スイッチトランジスタ
302 第2スイッチトランジスタ
303 論理反転回路
400 センサ電源制御回路
401 AFE信号出力レベル検出部
402 閾値生成部
403 比較判定部
404 センサ電源制御信号出力部
405 記憶部
AA 検出領域
BRA 明部領域
DAA 暗部領域
GA 周辺領域
GCL ゲート線
PD,PDA 光センサ(フォトダイオード)
PAA 部分検出領域
SGL 信号線
VDDSNS1 第1センサ電源電位(第1電位)
VDDSNS2 第2センサ電源電位(第2電位)