(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
F21S 45/47 20180101AFI20240801BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240801BHJP
F21S 41/24 20180101ALI20240801BHJP
F21S 41/29 20180101ALI20240801BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20240801BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20240801BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20240801BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240801BHJP
【FI】
F21S45/47
F21S41/143
F21S41/24
F21S41/29
F21V29/76
F21V29/503
F21W102:155
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021082223
(22)【出願日】2021-05-14
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆芳
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-3986(JP,A)
【文献】特開2020-136096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/47
F21S 41/143
F21S 41/24
F21S 41/29
F21V 29/76
F21V 29/503
F21W 102/155
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射することにより、所要の配光パターンを形成するように構成された灯具ユニットにおいて、
上記光源と上記投影レンズとの間に、上記光源からの出射光を導光して上記投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されており、
上記光源は、共通の基板に搭載された複数の発光素子で構成されており、
上記基板のユニット後方側に、上記複数の発光素子で発生した熱を放散させるためのヒートシンクが、上記基板と面接触した状態で配置されており、
上記導光体、上記基板および上記ヒートシンクは、上記投影レンズを支持するレンズホルダに支持されており、
上記レンズホルダに、ユニット後方へ向けて延びる位置決めピンが形成されており、
上記ヒートシンクに、上記位置決めピンの先端部と係合するピン係合部が形成されており、
上記基板に、上記位置決めピンを挿通させる挿通孔が形成されている、ことを特徴とする灯具ユニット。
【請求項2】
上記ヒートシンクは、金属製の押出成形品として構成されており、
上記ヒートシンクは、上記基板と面接触し得る形状を有する本体部と、上記本体部からユニット後方へ向けて延びる複数の放熱フィンとを備えており、
上記複数の放熱フィンは、左右方向に並んだ状態で上下方向に延びるように形成されており、
上記ピン係合部は、上記複数の放熱フィンのうち最外側に位置する放熱フィンと2番目の放熱フィンとの間において上記本体部に形成された貫通孔で構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の灯具ユニット。
【請求項3】
上記ヒートシンクは、上記最外側に位置する放熱フィンの外側面が上記本体部の側端面と面一となるように形成されている、ことを特徴とする請求項2記載の灯具ユニット。
【請求項4】
上記位置決めピンは、基端部が大径で先端部が小径の段付きピンとして構成されており、
上記位置決めピンは、上記先端部が上記挿通孔に挿通された状態で、上記基端部の先端面が上記基板に当接するように形成されている、ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の灯具ユニット。
【請求項5】
上記基板および上記ヒートシンクは、上記レンズホルダに対して共締めによってネジ締め固定されている、ことを特徴とする請求項1~4いずれか記載の灯具ユニット。
【請求項6】
上記投影レンズ、上記導光体および上記レンズホルダは、いずれも樹脂製部材で構成されており、
上記投影レンズおよび上記導光体は、上記レンズホルダに対してレーザー溶着により固定されている、ことを特徴とする請求項1~5いずれか記載の灯具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、投影レンズを備えた灯具ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源からの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射することにより、所要の配光パターンを形成するように構成された灯具ユニットが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような灯具ユニットの構成として、光源からの出射光をリフレクタで反射させることにより投影レンズの後側焦点面上に投影用画像を形成し、これを投影レンズによってユニット前方の照射対象面に投影することにより配光パターンを形成するように構成されたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような灯具ユニットの代わりに、複数の発光素子からの出射光を、導光体を介して投影レンズに入射させる構成とすれば、灯具ユニットの構成簡素化を図ることが可能となる。
【0006】
このような構成を採用した場合には、複数の発光素子で発生した熱を効率良く放散させ得る構成とすることが、灯具ユニットの配光機能を維持する上で重要となる。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、投影レンズを備えた灯具ユニットにおいて、その配光機能を維持した上で灯具ユニットの構成簡素化を図ることができる灯具ユニットを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、複数の発光素子および導光体と共に放熱用のヒートシンクを備えた構成とした上で、その支持構造に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る灯具ユニットは、
光源からの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射することにより、所要の配光パターンを形成するように構成された灯具ユニットにおいて、
上記光源と上記投影レンズとの間に、上記光源からの出射光を導光して上記投影レンズに入射させるように構成された導光体が配置されており、
上記光源は、共通の基板に搭載された複数の発光素子で構成されており、
上記基板のユニット後方側に、上記複数の発光素子で発生した熱を放散させるためのヒートシンクが、上記基板と面接触した状態で配置されており、
上記導光体、上記基板および上記ヒートシンクは、上記投影レンズを支持するレンズホルダに支持されており、
上記レンズホルダに、ユニット後方へ向けて延びる位置決めピンが形成されており、
上記ヒートシンクに、上記位置決めピンの先端部と係合するピン係合部が形成されており、
上記基板に、上記位置決めピンを挿通させる挿通孔が形成されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「所要の配光パターン」の種類は特に限定されるものではなく、例えば、ロービーム用配光パターンやハイビーム用配光パターンのようなヘッドランプ用配光パターンあるいは文字や記号等の描画を行うための描画用配光パターン等が採用可能である。
【0011】
上記「光源」は、共通の基板に搭載された複数の発光素子で構成されていれば、複数の発光素子の具体的な配置や各発光素子の具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0012】
上記「導光体」は、光源からの出射光を導光して投影レンズに入射させるように構成されていれば、その具体的な構成は特に限定されるものではない。
【0013】
上記「ヒートシンク」は、複数の発光素子で発生した熱を放散させる機能を有していれば、その具体的な材質や形状等は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る灯具ユニットは、光源からの光を、投影レンズを介してユニット前方へ向けて照射する構成となっているが、光源と投影レンズとの間には光源からの出射光を導光して投影レンズに入射させる導光体が配置されており、かつ、光源は共通の基板に搭載された複数の発光素子で構成されているので、複数の発光素子の配置や導光体の形状等を適宜設定することにより、所要の配光パターンを形成することができる。
【0015】
また、基板のユニット後方側には、ヒートシンクが基板と面接触した状態で配置されているので、複数の発光素子で発生した熱をヒートシンクを介して放散させることができる。しかも、ヒートシンクは導光体および基板と共にレンズホルダに支持されているので、灯具ユニットの構成簡素化を図ることができる。
【0016】
その上で、レンズホルダにはユニット後方へ向けて延びる位置決めピンが形成されており、ヒートシンクには位置決めピンの先端部と係合するピン係合部が形成されており、基板には位置決めピンを挿通させる挿通孔が形成されているので、比較的重量のあるヒートシンクが、基板との面接触状態を維持した上でレンズホルダに対して確実に支持されるようにすることができる。したがって複数の発光素子で発生した熱を効率良く放散させることができ、これにより灯具ユニットの配光機能を維持することができる。
【0017】
このように本願発明によれば、投影レンズを備えた灯具ユニットにおいて、その配光機能を維持した上で灯具ユニットの構成簡素化を図ることができる。
【0018】
上記構成において、さらに、ヒートシンクの構成として、基板と面接触し得る形状を有する本体部と、この本体部からユニット後方へ向けて延びる複数の放熱フィンとを備えた金属製の押出成形品として構成されたものとすれば、安価な構成で放熱効果を高めることができる。
【0019】
その上で、複数の放熱フィンの構成として、左右方向に並んだ状態で上下方向に延びるように形成されたものとし、かつ、ピン係合部の構成として、複数の放熱フィンのうち最外側に位置する放熱フィンと2番目の放熱フィンとの間において本体部に形成された貫通孔で構成されたものとすれば、ヒートシンクを大型化させてしまうことなくレンズホルダに対して確実に支持される構成とすることができる。
【0020】
その際、ヒートシンクの構成として、最外側に位置する放熱フィンの外側面が本体部の側端面と面一となるように形成された構成とすれば、ヒートシンクの放熱機能を最大限に高めることができる。
【0021】
上記構成において、さらに、レンズホルダに形成された位置決めピンの構成として、基端部が大径で先端部が小径の段付きピンとして構成されたものとした上で、その先端部が基板の挿通孔に挿通された状態で、その基端部の先端面が基板に当接するように形成されたものとすれば、基板をユニット前後方向に関して精度良く位置決めすることができる。
【0022】
上記構成において、さらに、基板およびヒートシンクがレンズホルダに対して共締めによってネジ締め固定された構成とすれば、ヒートシンクと基板との面接触状態を維持した上でこれらをレンズホルダに対して確実に固定することができる。
【0023】
上記構成において、さらに、投影レンズ、導光体およびレンズホルダがいずれも樹脂製部材で構成されたものとした上で、投影レンズおよび導光体がレンズホルダに対してレーザー溶着により固定された構成とすれば、灯具ユニットの構成部品を必要最小限に抑えた上で、投影レンズおよび導光体をレンズホルダに対して位置精度良く固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本願発明の一実施形態に係る灯具ユニットを備えた車両用灯具を示す側断面図
【
図2】上記灯具ユニットを単品で示す、
図1のII方向矢視図
【
図4】上記灯具ユニットを斜め前方から見て示す斜視図
【
図5】上記灯具ユニットを斜め前方から見て示す分解斜視図
【
図6】上記灯具ユニットを斜め後方から見て示す分解斜視図
【
図7】上記灯具ユニットを斜め前方から見て示す一部分解斜視図
【
図8】上記灯具ユニットを斜め後方から見て示す一部分解斜視図
【
図10】(a)は
図7のXa-Xa線断面図、(b)は
図7のXb-Xb線断面図、(c)は
図7のXc-Xc線断面図
【
図11】上記灯具ユニットからの照射光によって形成される配光パターンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0026】
図1は、本願発明の一実施形態に係る灯具ユニット10を備えた車両用灯具100を示す側断面図である。また、
図2は、灯具ユニット10を単品で示す
図1のII方向矢視図であり、
図3は
図2のIII-III線断面図である。
【0027】
これらの図において、Xで示す方向が「ユニット前方」であり、Yで示す方向が「ユニット前方」と直交する「左方向」(ユニット正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0028】
車両用灯具100は、車両の前端部に設けられるヘッドランプであって、ランプボディ102と透光カバー104とで形成される灯室内に、灯具ユニット10がその前後方向(すなわちユニット前後方向)を車両前後方向と略一致させるように光軸調整が行われた状態で収容された構成となっている。
【0029】
灯具ユニット10は、プロジェクタ型の灯具ユニットであって、光源20からの光を、投影レンズ30を介してユニット前方へ向けて照射することにより、ロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターン(これについては後述する)を形成し得る構成となっている。
【0030】
投影レンズ30は、ユニット前後方向に延びる光軸Axを有しており、その後側焦点面上に形成される投影用画像を反転投影することにより上記配光パターンを形成するようになっている。
【0031】
投影レンズ30とそのユニット後方側に配置された光源20との間には、光源20からの出射光を透過制御することによって投影用画像を形成するように構成された導光体40が配置されている。
【0032】
図4は、灯具ユニット10を斜め前方から見て示す斜視図である。また、
図5は、灯具ユニット10を斜め前方から見て示す分解斜視図であり、
図6は、灯具ユニット10を斜め後方から見て示す分解斜視図である。
【0033】
これらの図にも示すように、光源20は、共通の基板24に搭載された4つの発光素子22A、22B、22C、22Dで構成されている。
【0034】
基板24のユニット後方側には、4つの発光素子22A~22Dで発生した熱を放散させるためのヒートシンク70が、基板24と面接触した状態で配置されている。
【0035】
導光体40、基板24およびヒートシンク70は、投影レンズ30を支持するレンズホルダ50に支持されている。
【0036】
投影レンズ30および導光体40はレンズホルダ50に予め固定されており、これにより配光制御ユニット12が構成されている。そして、この配光制御ユニット12に対して基板24およびヒートシンク70が組み付けられることにより灯具ユニット10が構成されるようになっている。
【0037】
図7、8は、灯具ユニット10を配光制御ユニット12と基板24とヒートシンク70とに分解した状態で示す、
図5、6と同様の図である。
【0038】
次に、灯具ユニット10の具体的な構成について説明する。
【0039】
図5、6に示すように、投影レンズ30は、外周フランジ部32を有する両凸非球面レンズであって、無色透明の樹脂製部材(例えばアクリル樹脂製部材)で構成されている。この投影レンズ30は、その外周フランジ部32においてレンズホルダ50に支持されている。
【0040】
レンズホルダ50は、ユニット前後方向に延びる筒状部材であって、不透明の樹脂製部材(例えばポリカーボネート樹脂製部材)で構成されており、その前端部には環状のレンズ支持部52が形成されている。
【0041】
投影レンズ30は、その外周フランジ部32がレンズホルダ50のレンズ支持部52に対してユニット前方側から押し当てられた状態で、レーザー溶着によってレンズホルダ50に固定されている。このレーザー溶着はユニット前方側からのレーザー光照射によって行われている。
【0042】
その際、レンズホルダ50のレンズ支持部52に形成された左右1対の位置決めピン52aに対して、投影レンズ30の外周フランジ部32の左右両側部に形成された位置決め孔32aおよび位置決め溝32bが係合することにより、レンズホルダ50に対して投影レンズ30がユニット前後方向と直交する方向に関して位置決めされるようになっている。
【0043】
図7に示すように、4つの発光素子22A~22Dは、いずれも矩形状の発光面を有する白色発光ダイオードであって、その発光面をユニット前方へ向けた状態で配置されている。
【0044】
4つの発光素子22A~22Dのうち、3つの発光素子22A~22Cはロービーム用配光パターンを形成する際に点灯するようになっており、残り1つの発光素子22Dはハイビーム用配光パターンを形成する際に追加点灯するようになっている。
【0045】
3つの発光素子22A~22Cは、投影レンズ30の光軸Axの真上の位置およびその左右両側に一定量離れた位置に配置されており、発光素子22Dは光軸Axの真下の位置に配置されている。
【0046】
4つの発光素子22A~22Dは、いずれも基板24の前面に対して熱伝導性を有する接着剤により接着固定されている。
【0047】
基板24は、投影レンズ30の光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びるように配置された板厚一定の金属板(具体的にはアルミニウム板)で構成されている。この基板24は、ユニット正面視において横長矩形状の外形形状を有しており、その下端縁の左右方向中央部には下方突出部24aが形成されている。
【0048】
基板24の前面には、略T字形に延びるように形成されたフレキシブルプリント配線板26が貼付されている。
【0049】
フレキシブルプリント配線板26は、絶縁フィルム26Aと、この絶縁フィルム26Aの表面に形成された複数の導電層26Bとを備えた構成となっている。
【0050】
複数の導電層26Bは、4つの発光素子22A~22Dの下方側に隣接する位置から基板24の下方突出部24aの下端縁近傍の位置まで帯状に延びている。各導電層26Bは、その両端部を除く領域が絶縁フィルム26Cで被覆されている。絶縁フィルム26B、26Cは、例えばポリイミド製のフィルムで構成されている。
【0051】
【0052】
図9にも示すように、発光素子22Aは、対応する導電層26Bの端部と金属線28を介して電気的に接続されている。なお、他の発光素子22B~22Dに関しても同様である。
【0053】
金属線28は、アルミニウム製リボンで構成されており、アーチ状に湾曲して延びるように形成されている。そして、金属線28は、その両端部が発光素子22Aの端子部および導電層26Bの端部に対して超音波溶着によって固定されている。
【0054】
図7に示すように、フレキシブルプリント配線板26は、基板24の下方突出部24aに装着される電源側のカードエッジコネクタ(図示せず)と電気的に接続されるように構成されており、これにより4つの発光素子22A~22Dに対して電力が供給されるようになっている。
【0055】
導光体40は、無色透明の樹脂製部材(例えばアクリル樹脂製部材またはポリカーボネート樹脂製部材)で構成されている。
【0056】
図1~3、5に示すように、導光体40は、ロービーム用配光パターン用の投影用画像を形成するための第1出射面42Aおよび上向き反射面42Cと、ハイビーム用配光パターン用の投影用画像を追加形成するための第2出射面42Bとを備えている。
【0057】
第1出射面42Aは、導光体40の前面上部を構成している。この第1出射面42Aは、投影レンズ30の後側焦点面よりもユニット後方側に一定量離れた位置において凹曲面状に形成されており、ユニット正面視において略横長矩形状の外形形状を有している。
【0058】
上向き反射面42Cは、第1出射面42Aの下端縁からユニット前方へ向けて水平面に沿って延びており、ユニット正面視において左右段違いで形成されている。この上向き反射面42Cは、導光体40の表面に鏡面処理(例えばアルミニウム蒸着)を施すことにより構成されている。
【0059】
上向き反射面42Cの前端縁42Caは、投影レンズ30の後側焦点F近傍を通るようにして、左右両方向へ向けてユニット前方側に湾曲して延びるように形成されている。
【0060】
第2出射面42Bは、導光体40の前面下部を構成している。この第2出射面42Bは、上向き反射面42Cの前端縁42Caから下方へ向けてユニット前方側に多少傾斜して延びるように形成されており、ユニット正面視において略横長矩形状の外形形状を有している。
【0061】
導光体40は、4つの発光素子22A、22B、22C、22Dの各々からの出射光を入射させるための4つの入射部44A、44B、44C、44Dを備えている。その際、3つの入射部44A~44Cは、3つの発光素子22A~22Cの各々に対してユニット前方側で、かつ、第1出射面42Aに対してユニット後方側に位置するように形成されている。また、残り1つの入射部44Dは、発光素子22Dに対してユニット前方側で、かつ、第2出射面42Bに対してユニット後方側に位置するように形成されている。
【0062】
3つの入射部44A~44Cは、3つの発光素子22A~22Cの各々からの出射光を入射させた後、直接または全反射させてから第1出射面42Aに導くように構成されている。また、入射部44Dは、発光素子22Dからの出射光を入射させた後、直接または全反射させてから第2出射面42Bに導くように構成されている。
【0063】
図1に示すように、光軸Axの真上に位置する入射部44Bから導光体40に入射した発光素子22Bからの光は、第1出射面42Aから出射した後、直接または上向き反射面42Cで正反射してから投影レンズ30に入射し、投影レンズ30から略下向きの光としてユニット前方へ向けて照射される。右側および左側に位置する入射部44A、44Cから導光体40に入射した発光素子22A、22Cからの光についても同様である。一方、入射部44Dから導光体40に入射した発光素子22Dからの光は、第2出射面42Bから投影レンズ30へ向けて出射し、投影レンズ30から略上向きの光としてユニット前方へ向けて照射される。
【0064】
図1、3、5、6に示すように、導光体40において、第1出射面42Aの上部および左右両側部には、光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる外周フランジ部46が形成されている。そして、導光体40は、レンズホルダ50の内部空間に収容された状態で、その外周フランジ部46においてレンズホルダ50に支持されている。
【0065】
レンズホルダ50には、導光体40の外周フランジ部46に沿って延びる導光体支持部54が形成されている。
【0066】
そして、導光体40は、その外周フランジ部46がレンズホルダ50の導光体支持部54の後面に対してユニット後方側から押し当てられた状態で、レーザー溶着によってレンズホルダ50に固定されている。このレーザー溶着はユニット後方側からのレーザー光照射によって行われている。
【0067】
その際、
図6に示すように、レンズホルダ50の導光体支持部54に形成された左右1対の位置決めピン54aに、導光体40の外周フランジ部46に形成された左右1対の位置決め孔46a、46bが係合することにより、レンズホルダ50に対して導光体40がユニット前後方向と直交する方向に関して位置決めされるようになっている。
【0068】
左側に位置する位置決め孔46aは、位置決めピン54aの外径よりも僅かに大きい内径を有する円形の開口形状を有しており、右側に位置する位置決め孔46bは、位置決めピン54aの外径よりも僅かに広い上下幅で左右方向に延びる長円形の開口形状を有している。
【0069】
ヒートシンク70は、金属製(例えばアルミニウム製)の押出成形品として構成されている。このヒートシンク70は、投影レンズ30の光軸Axと直交する鉛直面に沿って平板状に延びる本体部72と、この本体部72からユニット後方へ向けて鉛直面に沿って平板状に延びる複数の放熱フィン74とを備えている。
【0070】
ヒートシンク70は、その本体部72の前面において基板24の後面と面接触した状態で基板24と共にレンズホルダ50に支持されている。その際、基板24とヒートシンク70との面接触は、基板24の後面に熱伝導性を高めるためのグリスが予め塗布された状態で行われている。
【0071】
複数の放熱フィン74は、左右方向に並んだ状態で上下方向に延びるように形成されており、最外側に位置する1対の放熱フィン74はその外側面が本体部72の側端面と面一となるように形成されている。
【0072】
複数の放熱フィン74は等間隔で配置されているが、最外側に位置する1対の放熱フィン74と2番目の放熱フィン74との間は上記等間隔の幅よりも広幅に設定されている。
【0073】
【0074】
図10(b)に示すように、レンズホルダ50に対する基板24およびヒートシンク70の支持は、レンズホルダ50に対して基板24およびヒートシンク70を左右2箇所において共締めによってネジ締め固定することによって行われている。
【0075】
レンズホルダ50には左右1対のネジ締め用ボス56が形成されており、基板24およびヒートシンク70には、共締め用のネジ76を挿通させるための左右1対のネジ挿通孔24b、72bがそれぞれ形成されている。その際、ヒートシンク70に形成された左右1対のネジ挿通孔72bは、最外側に位置する1対の放熱フィン74とこれに隣接する1対の(すなわち2番目の)放熱フィン74との間においてヒートシンク70の本体部72に形成されている。
【0076】
図10(a)、(c)に示すように、レンズホルダ50には、左右1対のネジ締め用ボス56の上下両側に位置する4箇所に、ユニット後方へ向けて延びる位置決めピン58A、58Bが形成されている。4本の位置決めピン58A、58Bのうち、左下(ユニット正面視では右下)および右上に位置する2本の位置決めピン58Aは基板24を位置決めするためのものであり、左上および右下に位置する2本の位置決めピン58Bはヒートシンク70を位置決めするためのものである。4本の位置決めピン58A、58Bはいずれも同様の構成を有している。
【0077】
具体的には、各位置決めピン58A、58Bは、その基端部58Ab、58Bbが大径で先端部58Aa、58Baが小径の段付きピンとして構成されている。各位置決めピン58A、58Bは、その基端部58Ab、58Bbの先端面が各ネジ締め用ボス56の先端面と面一なるように形成されている。
【0078】
一方、基板24には、2本の位置決めピン58Aに対応する対角線上の2箇所の位置に、その先端部58Aaと係合するピン係合部として位置決め孔24c1、24c2が形成されている。その際、左下に位置する位置決め孔24c1は、位置決めピン58の先端部58Aaの外径よりも僅かに大きい内径を有する円形の開口形状を有しており、右上に位置する位置決め孔24c2は、位置決めピン58の先端部58Aaの外径よりも僅かに広い幅で対角線方向に延びる長円形の開口形状を有している。
【0079】
そして、2本の位置決めピン58Aの先端部58Aaが基板24の位置決め孔24c1、24c2に挿入された状態で、2本の位置決めピン58Aの基端部58Abの先端面が基板24に当接することにより、レンズホルダ50に対して基板24がユニット前後方向およびこれと直交する方向に関して位置決めされるようになっている。
【0080】
また、基板24には、2本の位置決めピン58Bに対応する対角線上の2箇所の位置に、その先端部58Baを挿通させるための挿通孔24dが形成されている。各挿通孔24dは、各位置決めピン58Bの先端部58Baとの干渉を未然に防止するため、先端部58Baの外径よりもある程度大きい内径を有する円形の開口形状を有している。
【0081】
さらに、
図10(a)、(c)に示すように、ヒートシンク70の本体部72には、2本の位置決めピン58Bに対応する対角線上の2箇所の位置に、その先端部58Baと係合するピン係合部として貫通孔72dが形成されている。各貫通孔72dは、位置決めピン58の先端部58Aaの外径よりも多少大きい内径(具体的には基板24の位置決め孔24c1の内径よりも大きい内径)を有する円形の開口形状を有している。
【0082】
そして、各位置決めピン58Bの先端部58Baが基板24の2つの挿通孔24dを介して各貫通孔72dに挿入され、2本の位置決めピン58Bの基端部58Bbの先端面が基板24に当接することにより、レンズホルダ50に対してヒートシンク70がユニット前後方向およびこれと直交する方向に関して位置決めされるようになっている。
【0083】
また、ヒートシンク70の本体部72には、2本の位置決めピン58Aに対応する対角線上の2箇所の位置に、その先端部58Aaを挿通させるための挿通孔72cが形成されている。各挿通孔72cは、各位置決めピン58Aの先端部58Aaとの干渉を未然に防止するため、先端部58Aaの外径よりもある程度大きい内径を有する円形の開口形状を有している。
【0084】
図2~8に示すように、レンズホルダ50の外周面における後部領域には、投影レンズ30の光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びる左右1対のフランジ部62が形成されている。各フランジ部62には上下1対の開口部62aが形成されている。灯具ユニット10は、これらの開口部62aに装着される光軸調整機構(図示せず)を介してランプボディ102に支持されるようになっている。各フランジ部62には、その前後両面にハニカム状の凹凸部62bが形成されており、これにより各フランジ部62の剛性を高めるようになっている。
【0085】
図11は、灯具ユニット10から照射される光により、車両前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを透視的に示す図であって、
図11(a)はロービーム用配光パターンPLを示す図であり、
図11(b)はハイビーム用配光パターンPHを示す図である。
【0086】
図11(a)に示すように、ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V-V線よりも右側の対向車線側部分が下段カットオフラインCL1として形成されるとともに、V-V線よりも左側の自車線側部分が、この下段カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった上段カットオフラインCL2として形成されている。ロービーム用配光パターンPLにおいて、下段カットオフラインCL1とV-V線との交点であるエルボ点Eは、H-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。
【0087】
ロービーム用配光パターンPLは、3つの配光パターンPA、PB、PCの合成配光パターンとして形成されている。
【0088】
各配光パターンPA、PB、PCは、導光体40の第1出射面42Aから出射した各発光素子22A、44B、44Cからの光によって投影レンズ30の後側焦点面上に形成される投影用画像の反転投影像として形成される配光パターンである。
【0089】
その際、導光体40は、その上向き反射面42Cの前端縁42Caが投影レンズ30の後側焦点F近傍を通るようにして左右両方向へ向けてユニット前方側に湾曲して延びているので、ロービーム用配光パターンPLは、そのカットオフラインCL1、CL2が鮮明に形成されたものとなっている。
【0090】
図11(b)に示すように、ハイビーム用配光パターンPHは、ロービーム用配光パターンPLに対して、カットオフラインCL1、CL2の上方側に拡がるハイビーム用付加配光パターンPDが付加されたものとなっている。
【0091】
このハイビーム用付加配光パターンPDは、導光体40の第2出射面42Bから出射した発光素子22Dからの光によって投影レンズ30の後側焦点面上に形成される投影用画像の反転投影像として形成される配光パターンである。その際、この投影用画像は、その上端位置が上向き反射面42Cの前端縁42Caによって規定されるので、ハイビーム用付加配光パターンPDは、その下端位置がカットオフラインCL1、CL2によって規定されたものとなる。したがって、ハイビーム用配光パターンPHは、ロービーム用配光パターンPLとハイビーム用付加配光パターンPDとが隙間なく繋がったものとなる。
【0092】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0093】
本実施形態に係る灯具ユニット10は、光源20からの光を、投影レンズ30を介してユニット前方へ向けて照射する構成となっているが、光源20と投影レンズ30との間には光源20からの出射光を導光して投影レンズ30に入射させる導光体40が配置されており、かつ、光源20は共通の基板24に搭載された4つの発光素子22A、22B、22C、22Dで構成されているので、4つの発光素子22A~22Dの配置や導光体40の形状等を適宜設定することにより、所要の配光パターンを形成することができる。
【0094】
また、基板24のユニット後方側には、ヒートシンク70が基板24と面接触した状態で配置されているので、4つの発光素子22A~22Dで発生した熱をヒートシンク70を介して放散させることができる。しかも、ヒートシンク70は導光体40および基板24と共にレンズホルダ50に支持されているので、灯具ユニット10の構成簡素化を図ることができる。
【0095】
その上で、レンズホルダ50には、その対角線上の2箇所にユニット後方へ向けて延びる2本の位置決めピン58Bが形成されており、ヒートシンク70には、2本の位置決めピン58Bの先端部58Baと係合するピン係合部として2つの貫通孔72dが形成されており、基板24には、位置決めピン58Bを挿通させる2つの挿通孔24dが形成されているので、比較的重量のあるヒートシンク70が、基板24との面接触状態を維持した上でレンズホルダ50に対して確実に支持されるようにすることができる。したがって4つの発光素子22A~22Dで発生した熱を効率良く放散させることができ、これにより灯具ユニット10の配光機能を維持することができる。
【0096】
このように本実施形態によれば、投影レンズ30を備えた灯具ユニット10において、その配光機能を維持した上で灯具ユニット10の構成簡素化を図ることができる。
【0097】
しかも、レンズホルダ50に形成された位置決めピン58Bは、その基端部58Bbが大径で先端部58Baが小径の段付きピンとして構成されており、その先端部58Baが基板24の挿通孔24dに挿通された状態で、その基端部58Bbの先端面が基板24に当接するように形成されているので、ヒートシンク70を基板24と共にユニット前後方向に関して精度良く位置決めすることができる。
【0098】
また、レンズホルダ50には、2本の位置決めピン58Bと左右対称の位置関係でユニット後方へ向けて延びる2本の位置決めピン58Aが形成されており、基板24には、2本の位置決めピン58Aの先端部58Aaと係合するピン係合部として位置決め孔24c1、24c2が形成されているので、2本の位置決めピン58Aの先端部58Aaが位置決め孔24c1、24c2に挿入された状態で、2本の位置決めピン58Aの基端部58Abの先端面が基板24に当接することにより、基板24をユニット前後方向およびこれと直交する方向に関して位置決めすることができる。
【0099】
しかも、位置決め孔24c1は位置決めピン58の先端部58Aaの外径よりも僅かに大きい内径を有する円形の開口形状を有しており、位置決め孔24c2は位置決めピン58の先端部58Aaの外径よりも僅かに広い幅で対角線方向に延びる長円形の開口形状を有しているので、基板24をユニット前後方向と直交する方向に関して精度良く位置決めすることができ、これにより4つの発光素子22A~22Dを位置精度良く配置することができる。
【0100】
その際、ヒートシンク70の本体部72には、2本の位置決めピン58Aに対応する対角線上の2箇所の位置に、その先端部58Aaを挿通させるための挿通孔72cが形成されているので、各位置決めピン58Aの先端部58Aaとの干渉を未然に防止することができる。
【0101】
さらに本実施形態においては、ヒートシンク70が、基板24と面接触し得る形状を有する本体部72と、この本体部72からユニット後方へ向けて延びる複数の放熱フィン74とを備えた金属製の押出成形品として構成されているので、安価な構成で放熱効果を高めることができる。
【0102】
その上で、複数の放熱フィン74は、本体部72において左右方向に並んだ状態で上下方向に延びるように形成されており、かつ、左右1対の貫通孔72dは、複数の放熱フィン74のうち最外側に位置する放熱フィン74と2番目の放熱フィン74との間に形成されているので、ヒートシンク70を大型化させてしまうことなくレンズホルダ50に対して確実に支持される構成とすることができる。
【0103】
しかも、ヒートシンク70は、最外側に位置する放熱フィン74の外側面が本体部72の側端面と面一となるように形成されているので、ヒートシンク70の放熱機能を最大限に高めることができる。
【0104】
その際、ヒートシンク70に形成された左右1対の貫通孔72dは、いずれも円形の開口形状を有しているので、押出成形品として構成されたヒートシンク70に対して後加工により各貫通孔72dを容易に形成することができる。
【0105】
その際、各貫通孔72dは、基板24の位置決め孔24c1の内径よりも大きい内径を有する円形の開口形状を有しているが、ヒートシンク70は、4つの発光素子22A~22Dが搭載された基板24に比してユニット前後方向と直交する方向に関する位置決め精度を高める必要性が低いので、このような構成を採用した場合においても灯具ユニット10の機能に支障が生じてしまうことはない。
【0106】
さらに本実施形態においては、基板24およびヒートシンク70がレンズホルダ50に対して共締めによってネジ締め固定されているので、ヒートシンク70と基板24との面接触状態を維持した上でこれらをレンズホルダ50に対して確実に固定することができる。
【0107】
また本実施形態においては、投影レンズ30、導光体40およびレンズホルダ50がいずれも樹脂製部材で構成されており、投影レンズ30および導光体40がレンズホルダ50に対してレーザー溶着により固定されているので、灯具ユニット10の構成部品を必要最小限に抑えた上で、投影レンズ30および導光体40をレンズホルダ50に対して位置精度良く固定することができる。
【0108】
上記実施形態においては、光源20が4つの発光素子22A~22Dを備えているとともに導光体40が4つの入射部44A~44Dを備えているものとして説明したが、3つ以下あるいは5つ以上の発光素子および入射部を備えた構成とすることも可能である。
【0109】
上記実施形態においては、車両用灯具100が車両の前端部に設けられるヘッドランプであり、その灯室内に灯具ユニット10が収容された構成について説明したが、これ以外にも例えば、ヘッドランプよりも下方側のバンパー位置に設置される路面描画用ランプに灯具ユニット10が適用された構成や、車体後端部に設置される路面描画用ランプ等に灯具ユニット10が適用された構成とすることも可能である。
【0110】
上記実施形態においては、灯具ユニット10が車載用の灯具ユニットであるものとして説明したが、車載用以外の用途に用いることも可能である。
【0111】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0112】
図12は、本変形例に係る灯具ユニットの要部を示す、
図10と同様の図である。
【0113】
図12に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、ヒートシンク170の構成が上記実施形態の場合と異なっている。
【0114】
すなわち、本変形例のヒートシンク170も、基板24と面接触し得る形状を有する本体部172と、この本体部172からユニット後方へ向けて延びる複数の放熱フィン174とを備えているが、このヒートシンク170は金属製(例えばアルミニウム製)のダイカスト成形品として構成されており、その形状が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0115】
すなわち、ヒートシンク170の本体部172には、レンズホルダ50における2本の位置決めピン58Bに対応する対角線上の2箇所の位置に、その先端部58Baと係合するピン係合部として2つの係合穴172dが形成されている。各係合穴172dは、位置決めピン58Bの先端部58Baの外径よりも多少大きい内径を有する円形の開口形状を有している。
【0116】
また、ヒートシンク170の本体部172には、レンズホルダ50における2本の位置決めピン58Aに対応する対角線上の2箇所の位置に、その先端部58Aaを収容するための2つの逃がし穴172cが形成されている。各逃がし穴172cは、各位置決めピン58Aの先端部58Aaとの干渉を未然に防止するため、先端部58Aaの外径よりもある程度大きい内径を有する円形の開口形状を有している。
【0117】
本変形例のヒートシンク170においても、複数の放熱フィン174は、左右方向に並んだ状態で上下方向に延びるように形成されているが、これらはすべて等間隔で配置されている。したがって、最外側に位置する放熱フィン174の外側面は本体部172の側端面よりも左右方向の中心寄りの位置に形成されている。
【0118】
各係合穴172dおよび各逃がし穴172cは、複数の放熱フィン174のうち最外側に位置する放熱フィン174と2番目の放熱フィン174との間において、最外側に位置する放熱フィン174寄りの位置に形成されている。
【0119】
本変形例のヒートシンク170においては、最外側に位置する放熱フィン174が上下が分離した状態で形成されている。そしてこれにより共締め用のネジ76が、基板24およびヒートシンク170のネジ挿通孔24b、172bを介してレンズホルダ50のネジ締め用ボス56に対して支障なく締め付けられ得る構成となっている。
【0120】
本変形例の構成を採用した場合においても、ヒートシンク170にはレンズホルダ50の位置決めピン58Bの先端部58Baと係合するピン係合部として係合穴172dが形成されており、基板24には位置決めピン58Bを挿通させる挿通孔24dが形成されているので、比較的重量のあるヒートシンク170が、基板24との面接触状態を維持した上でレンズホルダ50に対して確実に支持されるようにすることができる。したがって4つの発光素子22A~22Dで発生した熱を効率良く放散させることができ、これにより灯具ユニットの配光機能を維持することができる。
【0121】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0122】
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0123】
10 灯具ユニット
12 配光制御ユニット
20 光源
22A、22B、22C、22D 発光素子
24 基板
24a 下方突出部
24b、72b、172b ネジ挿通孔
24c1、24c2、32a、46a 位置決め孔
24d 挿通孔
26 フレキシブルプリント配線板
26A、26C 絶縁フィルム
26B 導電層
28 金属線
30 投影レンズ
32、46 外周フランジ部
32b 位置決め溝
40 導光体
42A 第1出射面
42B 第2出射面
42C 上向き反射面
42Ca 前端縁
44A、44B、44C、44D 入射部
50 レンズホルダ
52 レンズ支持部
52a、54a、58A、58B 位置決めピン
54 導光体支持部
56 ネジ締め用ボス
58Aa、58Ba 先端部
58Ab、58Bb 基端部
62 フランジ部
62a 開口部
62b 凹凸部
70、170 ヒートシンク
72、172 本体部
72c 挿通孔
72d 貫通孔(ピン係合部)
74、174 放熱フィン
76 ネジ
100 車両用灯具
102 ランプボディ
104 透光カバー
172c 逃がし穴
172d 係合穴(ピン係合部)
Ax 光軸
CL1 下段カットオフライン
CL2 上段カットオフライン
E エルボ点
F 後側焦点
PA、PB、PC 配光パターン
PD ハイビーム用付加配光パターン
PH ハイビーム用配光パターン
PL ロービーム用配光パターン