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  • 特許-プッシュスイッチ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/00 20060101AFI20240801BHJP
   G06F 3/02 20060101ALI20240801BHJP
   H01H 35/00 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
H01H13/00 A
G06F3/02 D
H01H35/00 V
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021121867
(22)【出願日】2021-07-26
(65)【公開番号】P2023017535
(43)【公開日】2023-02-07
【審査請求日】2024-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正紀
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-10568(JP,A)
【文献】特開2019-153558(JP,A)
【文献】特開2013-164907(JP,A)
【文献】特開2010-192410(JP,A)
【文献】特開平6-289968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
H01H 35/00
G06F 3/02 - 3/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プッシュ操作がなされる操作パネルと、
前記操作パネルの位置を測定する測定部と、
前記プッシュ操作の開始を判定するためのオンしきい値を有し、前記測定部が測定した位置に基づく変位量が前記オンしきい値以上となって前記プッシュ操作の開始が判定された後、前記操作パネルの最大変位量に基づいて前記プッシュ操作の終了を判定するためのオフしきい値を定める判定部と、
を備えたプッシュスイッチ装置。
【請求項2】
前記判定部は、0より大きく、1より小さい設定値を前記最大変位量に乗算して前記オフしきい値を定める、
請求項1に記載のプッシュスイッチ装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記最大変位量に基づいて算出した前記オフしきい値が前記オンしきい値以上である場合、前記オンしきい値より小さい前記オフしきい値となるように前記設定値を変更する、
請求項2に記載のプッシュスイッチ装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記変位量が前記オンしきい値を超えるたびに前記オフしきい値を定め、定めた前記オフしきい値が予め定められた回数、予め定められた許容範囲の値である場合、次回から前回定めた前記オフしきい値を用いて前記プッシュ操作の終了を判定し、予め定められた条件を満たす場合、再度前記最大変位量から前記オフしきい値を定める、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプッシュスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、押圧操作される操作部と、操作部の押圧操作を検出する検出部と、を備えた触聴覚呈示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この触聴覚呈示装置の検出部は、押圧操作がなされていない操作部の基準の高さと、押圧操作後の高さと、に基づく操作部の変位量を検出する。触聴覚呈示装置は、この変位量に基づいて押圧操作を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-144466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の触聴覚呈示装置は、押圧操作が終了したにも関わらず、操作部が押圧操作前の基準の高さに戻りきれない場合、押圧操作が継続していると誤判定する可能性がある。
【0006】
従って本発明の目的は、誤判定を抑制することができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、プッシュ操作がなされる操作パネルと、操作パネルの位置を測定する測定部と、プッシュ操作の開始を判定するためのオンしきい値を有し、測定部が測定した位置に基づく変位量がオンしきい値以上となってプッシュ操作の開始が判定された後、操作パネルの最大変位量に基づいてプッシュ操作の終了を判定するためのオフしきい値を定める判定部と、を備えたプッシュスイッチ装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、誤判定を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)は、実施の形態に係るプッシュスイッチ装置の一例を示す上面図であり、図1(b)は、プッシュスイッチ装置のブロック図の一例である。
図2図2(a)は、実施の形態に係るプッシュ操作前のプッシュスイッチ装置を図1(a)のA-A線で切断した断面を矢印方向から見た断面図の一例であり、図2(b)は、プッシュ操作後のプッシュスイッチ装置の断面図の一例である
図3図3は、実施の形態に係るプッシュスイッチ装置に対してプッシュ操作が行われた際の操作パネルの変位量の時間変化の一例を示すグラフである。
図4図4は、実施の形態に係るプッシュスイッチ装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る操作装置は、プッシュ操作がなされる操作パネルと、操作パネルの位置を測定する測定部と、プッシュ操作の開始を判定するためのオンしきい値を有し、測定部が測定した位置に基づく変位量がオンしきい値以上となってプッシュ操作の開始が判定された後、操作パネルの最大変位量に基づいてプッシュ操作の終了を判定するためのオフしきい値を定める判定部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
このプッシュスイッチ装置は、最大変位量に基づいてオフしきい値が定められるので、固定されたオフしきい値を備える場合と比べて、操作パネルが元の位置に戻らない場合であってもプッシュ操作のオフを判定することができ、誤判定を抑制することができる。
【0012】
[実施の形態]
(プッシュスイッチ装置1の概要)
図1(a)は、プッシュスイッチ装置の一例を示す上面図であり、図1(b)は、プッシュスイッチ装置のブロック図の一例である。図2(a)は、プッシュ操作前のプッシュスイッチ装置を図1(a)のA-A線で切断した断面を矢印方向から見た断面図の一例であり、図2(b)は、プッシュ操作後のプッシュスイッチ装置の断面図の一例である。
【0013】
なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率や形状は、実際の比率や形状とは異なる場合がある。また図1(b)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0014】
本実施の形態のプッシュスイッチ装置1は、一例として、車両に搭載され、車両の車載装置を操作対象としている。車載装置は、一例として、車両全体の設定や自動運転機能の制御を行う車両制御装置、車室内の温度を調整する空調装置、現在地の地図や目的地までの誘導を行うナビゲーション装置、画像を表示する表示装置、シートの位置や傾きなどを制御するシート装置、音楽や映像を再生する音楽及び映像再生装置などである。なおプッシュスイッチ装置1は、例えば、これらの車載装置に有線又は無線によって接続された携帯端末などを操作することも可能である。
【0015】
本実施の形態のプッシュスイッチ装置1は、一例として、車両のステアリングスイッチとして配置されている。
【0016】
プッシュスイッチ装置1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、プッシュ操作がなされる操作パネル2と、操作パネル2の位置を測定する測定部3と、プッシュ操作の開始を判定するためのオンしきい値Thonを有し、測定部3が測定した位置に基づく変位量がオンしきい値Thon以上となってプッシュ操作の開始が判定された後、操作パネル2の最大変位量△Hmaxに基づいてプッシュ操作の終了を判定するためのオフしきい値Thoffを定める制御部5と、を備えて概略構成されている。
【0017】
制御部5は、図1(b)に示すように、オンしきい値Thon、及び最大変位量の情報である最大変位量情報50を格納している。
【0018】
(操作パネル2の構成)
操作パネル2は、一例として、ポリカーボネートなどの樹脂材料を用いて板形状に形成されている。操作パネル2は、操作がなされる操作面20が正方形状を有しているが、円形状や長方形状、それらを組み合わせた形状などでも良く、限定されない。
【0019】
操作パネル2は、図2(a)に示すように、上面が開放された箱形状を有する筐体10に配置されている。筐体10は、一例として、図2(a)に示すように、凹部11を有している。操作パネル2は、一例として、操作面20を囲む端部22がこの凹部11に嵌め込まれ、その上にベゼル12が配置されている。
【0020】
(測定部3の構成)
測定部3は、一例として、図2(a)及び図2(b)に示すように、筐体10の底面100に配置されている。測定部3は、発光素子と受光素子を含んで構成されるフォトセンサである。測定部3は、発光素子から出力され、操作パネル2の裏面21で反射した光を受光素子で受光することにより、操作パネル2までの距離を測定するように構成されている。なお測定部3は、例えば、レーザー光を用いた距離センサや超音波を用いた距離センサなどの距離を測定できるものであれば良い。
【0021】
測定部3は、図2(a)及び図2(b)に示すように、プッシュ操作前の操作パネル2の裏面21までの距離、及びプッシュ操作によって撓んだ裏面21までの距離を測定するように構成されている。
【0022】
変形例として、操作パネル2がプッシュ操作によって撓むのではなく、凹部11に弾性部材を介して配置され、底面100に向かって平行に移動するように構成された場合、測定部3は、底面100に配置されても良いし、筐体10の側面部101に配置されても良い。
【0023】
測定部3は、操作パネル2の裏面21までの距離を測定し、測定した距離の情報を含む距離情報Sを生成して制御部5に出力する。
【0024】
測定部3は、測定の基準となる基準面30を有している。図2(a)及び図2(b)は、一例として、基準面30を測定部3の上面として図示しているがこれに限定されない。測定部3は、基準面30から操作パネル2の裏面21までの距離を測定する。
【0025】
なお測定部3は、基準面30から操作パネル2の裏面21までの距離を距離情報Sとして出力しても良いし、基準面30からプッシュ操作がなされていない状態の操作パネル2の裏面21までの距離Hを基準とした変位量△Hを距離情報Sとして出力しても良い。本実施の形態の測定部3は、一例として、操作パネル2までの距離を周期的に測定し、距離の情報として距離情報Sを出力するものとする。
【0026】
(制御部5の構成)
図3は、プッシュ操作が行われた際の操作パネルの変位量の時間変化の一例を示すグラフである。Hmaxは、最大変位量である。Thoffは、プッシュ操作の終了を判定するためのオフしきい値である。図3は、横軸が時間t、縦軸が変位量△Hである。図3の矢印は、オフしきい値Thoffが△Hmaxから定められることを示している。
【0027】
図3に示す時間tは、プッシュ操作が開始された時間である。時間tは、変位量△Hがオンしきい値Thon以上となった時間である。時間tは、変位量△Hが最大変位量△Hmaxとなった時間である。時間tは、最大変位量△Hmaxから変位量△Hが減少し始めた時間である。時間tは、変位量△Hがオフしきい値Thoff以下となった時間である。時間tは、操作パネル2が基準の距離Hに戻り切れなくて距離H(<H)の位置で止まった時間である。時間tは、再度プッシュ操作が行われて操作パネル2が撓み始めた時間である。
【0028】
図3に示す距離Hは、正常な状態の操作パネル2までの距離である。距離Hは、プッシュ操作がなされている際に測定された距離Hである。距離Hは、最大変位量△Hmaxとなる距離である。距離Hは、距離Hに戻り切れなかった際の距離である。距離Hは、距離Hから撓み始めた際に測定された距離である。
【0029】
図3に示す「操作」は、ユーザの操作を示し、「離し」が操作パネル2から操作指9が離れている状態を示し、「押下」が操作パネル2に操作指9が接触して押し下げている状態を示している。「判定」は、制御部5が行う判定を示し、「オフ判定」がスイッチのオフを判定した状態を示し、「オン判定」がスイッチのオンを判定した状態を示している。
【0030】
制御部5は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部5が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部5は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。
【0031】
制御部5は、プッシュ操作前の基準となる距離Hからの変位量△Hを算出するように構成されている。制御部5は、例えば、図3に示すように、変位量△Hが変化する場合、プッシュ操作が開始される時間tより前に測定された距離Hと、時間tより後に測定された距離Hと、に基づいて変位量△H(=H-H)を算出する。
【0032】
制御部5は、周期的に変位量△Hを算出し、増加する変位量△Hを更新しながら最大変位量情報50を記憶する。なお変形例として制御部5は、変位量△Hがオンしきい値Thon以上となった後に算出された変位量△Hを最大変位量△Hmaxとして更新しても良い。
【0033】
制御部5は、最大変位量△Hmaxに基づいてオフしきい値Thoffを定める。具体的には、制御部5は、0より大きく、1より小さい設定値を最大変位量△Hmaxに乗算してオフしきい値Thoffを定める。この設定値をα(0<α<1)とすると、制御部5は、以下の式を用いてオフしきい値Thoffを定める。
オフしきい値Thoff=最大変位量△Hmax×設定値α
図3に示すオフしきい値Thoffは、一例として、設定値αを0.5として算出しているがこれに限定されない。
【0034】
なお変形例として制御部5は、予め定められた設定値αに限定されず関数や変数を乗算しても良い。
【0035】
ここで他の変形例として設定値αの値や操作パネル2の材質、大きさや厚みなどによっては、上述の式で算出したオフしきい値Thoffがオンしきい値Thonより大きくなる可能性がある。そこで制御部5は、最大変位量△Hmaxに基づいて算出したオフしきい値Thoffがオンしきい値Thon以上である場合、オンしきい値Thonより小さいオフしきい値Thoffとなるように設定値αを変更する。
【0036】
具体的には、制御部5は、一例として、設定値αを0.5として上述の式に基づいて算出したオフしきい値Thoffがオンしきい値Thon以上となった場合、設定値αを0.4、0.3・・・と0.1刻みで下げ、オンしきい値Thonより小さくなったオフしきい値Thoffを用いてプッシュ操作の終了を判定する。なお設定値αは、0.1刻みに限定されず、0.05などであっても良く、またこれに限定されない。
【0037】
また他の変形例として制御部5は、操作パネル2の基準の距離Hの何割以上のオフしきい値Thoffになるように設定値αを変更しても良い。この場合、一例として、オフしきい値Thoffが基準の距離Hの5割以上となるように設定された場合、制御部5は、上述の式に基づいて算出したオフしきい値Thoffが距離Hの5割より小さくなった場合、設定値αを変えながら距離Hの5割以上となるオフしきい値Thoffを定める。
【0038】
さらに他の変形例として制御部5は、変位量△Hがオンしきい値Thonを超えるたびにオフしきい値Thoffを定め、定めたオフしきい値Thoffが予め定められた回数、予め定められた許容範囲の値である場合、次回から前回定めたオフしきい値Thoffを用いてプッシュ操作の終了を判定し、予め定められた条件を満たす場合、再度最大変位量△Hmaxからオフしきい値Thoffを定める。
【0039】
この許容範囲の値とは、算出されたオフしきい値Thoffが同一とみなせる値を有する場合である。また制御部5は、予め定められた回数同じオフしきい値Thoffを使用した場合、一例として、予め定められた条件が満たされたとして再度最大変位量△Hmaxからオフしきい値Thoffを定める。また制御部5は、車両の電源が投入された場合、一例として、予め定められた条件が満たされたとして前回算出したオフしきい値Thoffを用いず、再度最大変位量△Hmaxからオフしきい値Thoffを定める。
【0040】
以下に本実施の形態のプッシュスイッチ装置1の動作の一例について図4のフローチャートに従って説明する。
【0041】
(動作)
プッシュスイッチ装置1の制御部5は、電源が投入されると、測定部3から周期的に距離情報Sを取得し、変位量△Hを算出する(Step1)。制御部5は、図3に示すように、変位量△Hがオンしきい値Thonより小さい期間、オフ判定を行う。
【0042】
制御部5は、変位量△Hがオンしきい値Thon以上となった場合(Step2:Yes)、プッシュ操作が開始されたと判定し、オンを示す操作情報Sを生成して操作対象に出力する(Step3)。
【0043】
図3では、ユーザが時間tにおいて操作パネル2を押し下げ始め、制御部5が時間tにおいてオフ判定からオン判定に切り替えた場合を示している。このオン判定は、時間tから時間tの期間、行われる。
【0044】
制御部5は、測定部3が測定した距離から変位量△Hを算出し、最大変位量△Hmaxとして最大変位量情報50を更新する。制御部5は、増加する変位量△Hが減少に転じると、記憶された最大変位量△Hmaxに基づいてオフしきい値Thoffを算出する(Step4)。
【0045】
図3では、時間tから時間tまで最大変位量△Hmax(=H-H)が継続し、時間tを過ぎてから変位量△Hが減少するので、制御部5は、時間tを過ぎた後、最大変位量△Hmaxに基づいてオフしきい値Thoffを算出する。
【0046】
制御部5は、変位量△Hが定めたオフしきい値Thoff以下となるか監視する。制御部5は、ステップ5の「Yes」が成立する、つまり変位量△Hがオフしきい値Thoff以下となった場合(Step5:Yes)、プッシュ操作が終了したと判定し、オフを示す操作情報Sを生成して操作対象に出力する(Step6)。
【0047】
図3では、ユーザが時間tにおいて操作パネル2から操作指9を離すことで、操作パネル2が湾曲した状態から元の形状に復帰する時間tにおいて変位量△Hがオフしきい値Thoff以下となり、制御部5は、オン判定からオフ判定に切り替える。
【0048】
ここでステップ2において制御部5は、変位量△Hがオンしきい値Thonより小さい場合(Step2:No)、ステップ1に進んで新たに変位量△Hを算出する。
【0049】
図3は、時間tにおいて操作パネル2が基準の距離Hに戻らず、距離Hに位置している状態を示している。制御部5は、この状態においても上述のステップを行い、最大変位量△Hmaxに基づいてオフしきい値Thoffを算出する。
【0050】
例えば、図3に示すように、制御部5は、時間tから変位量△H(=H-H)を算出し、変位量△Hがオンしきい値Thon以上となった場合、プッシュ操作の開始を判定し、その後の最大変位量△Hmaxに基づいてオフしきい値Thoffを上述の式によって定める。
【0051】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るプッシュスイッチ装置1は、誤判定を抑制することができる。具体的には、プッシュスイッチ装置1は、オフしきい値Thoffをオンしきい値Thonに対して一定のヒステリシスとして設定するのではなく、操作パネル2の最大変位量△Hmaxに対するヒステリシスとしてオフしきい値Thoffを設定するので、操作パネル2が基準位置である距離Hに戻らなくてもプッシュ操作の終了を判定することができる。従ってプッシュスイッチ装置1は、操作パネル2の戻り不良時のオン判定の継続によるチャタリングを抑制し、誤判定を抑制することができる。
【0052】
プッシュスイッチ装置1は、最大変位量△Hmaxに基づいてオフしきい値Thoffを定めるので、オフしきい値を固定する場合と比べて、経年変化によって操作パネル2の変形が生じたとしてもプッシュ操作の終了を判定することができ、オン判定の継続を抑制することができる。
【0053】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1…プッシュスイッチ装置、2…操作パネル、3…測定部、5…制御部、Thoff…オフしきい値、Thon…オンしきい値、α…設定値
図1
図2
図3
図4