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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】シール部材位置測定機
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20240801BHJP
   F16L 21/02 20060101ALN20240801BHJP
【FI】
G01B5/00 A
F16L21/02 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021153694
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045345
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井戸本 靖史
(72)【発明者】
【氏名】山下 彰
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-102697(JP,A)
【文献】特開平11-248404(JP,A)
【文献】実開昭61-082202(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 5/00-5/30
21/00-21/32
F16L 21/00-21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の管の端部に形成された挿し口が他方の管の端部に形成された受口の内部に挿入され、
挿し口の外周面と受口の内周面との間で環状のシール部材が圧縮されるように構成された管継手におけるシール部材の位置を測定するためのシール部材位置測定機であって、
測定機本体と、測定機本体に設けられた挿入体および出退自在な検出ロッドを有し、
挿入体は、受口の外部から受口と挿し口との隙間に挿入されて、シール部材に当接可能であり、
検出ロッドは、測定機本体から突出する突出方向に付勢されており、挿入体が隙間に挿入されるときに受口の端面に当接することで、挿入体の挿入寸法に応じた寸法だけ測定機本体に退入可能であり、
測定機本体は挿入体を取付可能な挿入体取付部を有し、
挿入体取付部に第1嵌合部が設けられ、
挿入体に第2嵌合部が設けられ、
第2嵌合部が第1嵌合部に嵌合することにより、挿入体が挿入体取付部に取り付けられ、
第2嵌合部が第1嵌合部から離脱することにより、挿入体が挿入体取付部から取り外されることを特徴とするシール部材位置測定機。
【請求項2】
第1嵌合部は切欠部であり、
第2嵌合部は突部であり、
切欠部は、挿入体を隙間に挿入する際の挿入方向側において開放された開放部と、突部の大きさよりも狭い狭幅部とを有し、
突部は開放部から狭幅部を通って切欠部に嵌脱自在であり、
突部が切欠部に嵌合する途中で、狭幅部が突部に押されて幅方向へ拡張し、
突部が狭幅部を通って切欠部に嵌合した状態で、狭幅部が幅方向へ拡張した状態から縮小することを特徴とする請求項1記載のシール部材位置測定機。
【請求項3】
測定機本体は、挿入体が突部を中心とする回転方向へ横振れするのを防止する横振れ防止部を有していることを特徴とする請求項2に記載のシール部材位置測定機。
【請求項4】
測定機本体は本体部を有し、
挿入体取付部は本体部に取り付けられた取付板であり、
取付板に切れ込み部が形成され、
切れ込み部の一端部は切欠部に連通していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のシール部材位置測定機。
【請求項5】
切れ込み部の他端部は取付板に形成された孔部に連通し、
孔部は切れ込み部よりも幅が広く且つ切欠部よりも幅が狭いことを特徴とする請求項4記載のシール部材位置測定機。
【請求項6】
取付板は複数の締結部材によって本体部に取り付けられ、
切れ込み部は切れ込み部の幅方向において対向する一対の締結部材間に位置しており、
突部が切欠部に嵌合する途中で、狭幅部が突部に押されて幅方向へ拡張した際、狭幅部と共に切れ込み部が幅方向へ拡張することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のシール部材位置測定機。
【請求項7】
挿入体は一端部の厚さと他端部の厚さとが異なっており、
挿入体は、一端部が受口と挿し口との隙間に挿入される第1取付姿勢と、他端部が受口と挿し口との隙間に挿入される第2取付姿勢とに、付け替え可能であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のシール部材位置測定機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に備えられたシール部材の位置を測定するシール部材位置測定機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管継手の一種として、図18に示すように、一方の管101の端部に形成された挿し口102が他方の管103の端部に形成された受口104の内部に挿入され、挿し口102の外周面と受口104の内周面との間で円環状のシール部材105が圧縮されるように構成された管継手106が知られている。
【0003】
受口104の内周には、その開口端側から順番に、シール部材収容溝109と、ロックリング収容溝110とが形成されている。シール部材収容溝109は、深溝構造のヒール部の収容部111と、それよりも浅く形成されたバルブ部の収容部112とを有する。
【0004】
シール部材105は、ゴム製であり、シール部材収容溝109に収容されている。図19に示すように、このシール部材105は、硬質のヒール部113と軟質のバルブ部114とが一体に形成されたものである。そしてシール部材105は、ヒール部113が収容部111に収容されることで管軸心方向117に位置決めされるとともに、バルブ部114が収容部112に収容され且つ受口104の内周面を構成する収容部112の底面と挿し口102の外面との間で圧縮されることで、所要のシール機能を発揮可能である。
【0005】
ロックリング収容溝110には、環状の周方向一つ割りのロックリング115が収容されている。挿し口102の先端の外周には、テーパ付きの環状突部116が一体に形成されている。
【0006】
このような構成において、一方の管101を他方の管103に接合する際、受口104の内部に予めロックリング115とシール部材105とを収容しておき、その状態の受口104の内部に挿し口102を挿入する。すると、挿し口102の環状突部116は、シール部材105を弾性的に押し広げることによってこのシール部材105の位置を通過し、またロックリング115を弾性的に押し広げることによってこのロックリング115の位置を通過する。
【0007】
図18は、その後の接合完了状態を示す。この状態においては、挿し口102の先端が受口104の奥端104bに当たる位置から、環状突部116がロックリング115に当たる位置までの範囲で、受口104と挿し口102との伸縮が可能である。また、環状突部116がロックリング115に当たることで、受口104からの挿し口102の離脱が防止される。
【0008】
接合工事が終了したなら、シール部材105が規定の位置よりも受口104の奥側に深く入り込み過ぎていないかどうかを確認する。このために、図19に示すようなシール部材位置確認装置131を用いる。
【0009】
以下、シール部材位置確認装置131について説明する。
【0010】
シール部材位置確認装置131は装置本体部132と挿入体133と突出ロッド134と発光ダイオード135とを有している。ここで、挿入体133は、装置本体部132の前端部に取り付けられるとともに、受口104の外側から受口104と挿し口102との隙間136(図18参照)に挿入されることが可能であり、かつ挿入時にシール部材105に当たることが可能な部材である。
【0011】
また、突出ロッド134は、装置本体部132の前端部から突出するとともに、挿入体133が隙間136に挿入されるときに受口104に当たることで、挿入体133の挿入寸法に応じた寸法だけ装置本体部132に入り込み可能な部材である。
【0012】
さらに、発光ダイオード135は、装置本体部132への突出ロッド134の入り込み寸法に応じて、青色と赤色との2種類の色の光を発する。
【0013】
尚、一般に、挿入体133は複数のねじ等で装置本体部132に取り付けられている。
【0014】
これによると、作業者がシール部材位置確認装置131の装置本体部132を手に持って、挿入体133を受口104と挿し口102との隙間136に挿入する。すると、突出ロッド134の先端が受口104の端面104aに当接し、さらに挿入体133を隙間136に挿入していくと、突出ロッド134が装置本体部132内に入り込む。その後、挿入体133の先端がシール部材105に当たると、それ以上挿入体133を挿入することができない状態になる。このときの挿入体133の挿入寸法に応じた寸法だけ、突出ロッド134が装置本体部132内に入り込み、突出ロッド134の入り込み寸法に応じて、発光ダイオード135が青色又は赤色に発光する。
【0015】
すなわち、シール部材105が正常な位置にある場合、突出ロッド134の入り込み寸法が規定の寸法になり、発光ダイオード135が青色に発光する。また、シール部材105が正常な位置よりも奥側へ深く入り込み過ぎた異常な位置にある場合、突出ロッド134の入り込み寸法が規定の寸法よりも大きくなり、発光ダイオード135が赤色に発光する。これにより、シール部材位置確認装置131を用いて、シール部材105の位置を確認することができる。
【0016】
尚、上記のようなシール部材位置確認装置131は例えば下記特許文献1に記載されている。
【0017】
また、上記のようなシール部材105の位置確認作業については、一般社団法人:日本ダクタイル鉄管協会が発行している「GX形ダクタイル鉄管の接合要領書(適用呼び径75~450)」に以下のような規定が記載されている。
【0018】
先ず、厚さ2mmのチェックゲージ(挿入体133)を用いてシール部材105の位置を確認し、合格範囲外であれば、厚さ4mmのチェックゲージ(挿入体133)を用いて、再度シール部材105の位置を確認し、合格範囲内であれば正常と判断する。また、厚さ2mm,4mmのいずれのチェックゲージ(挿入体133)を用いても合格範囲外であれば異常と判断し、管継手106を解体して点検する(接合要領書の第20~21頁参照)。
【0019】
このような規定に則ってシール部材105の位置確認作業を行う場合、先ず、厚さ2mmの挿入体133を装置本体部132に取り付けたシール部材位置確認装置131を用いてシール部材105の位置を確認し、合格範囲外であれば、厚さ2mmの挿入体133を装置本体部132から取り外し、厚さ4mmの挿入体133を装置本体部132に取り付け、厚さ4mmの挿入体133を取り付けたシール部材位置確認装置131を用いてシール部材105の位置を確認する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特許第5312297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら上記の従来形式では、一般に挿入体133は複数のねじ等で装置本体部132に取り付けられているため、厚さ2mmの挿入体133を厚さ4mmの挿入体133に付け替える際、ドライバー等の工具を用いて複数のねじ等を回し着脱させる必要があり、厚さの異なる挿入体133に付け替える作業に手間を要するといった問題がある。
【0022】
本発明は、容易に挿入体を付け替えることが可能なシール部材位置測定機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために、本第1発明は、一方の管の端部に形成された挿し口が他方の管の端部に形成された受口の内部に挿入され、
挿し口の外周面と受口の内周面との間で環状のシール部材が圧縮されるように構成された管継手におけるシール部材の位置を測定するためのシール部材位置測定機であって、
測定機本体と、測定機本体に設けられた挿入体および出退自在な検出ロッドを有し、
挿入体は、受口の外部から受口と挿し口との隙間に挿入されて、シール部材に当接可能であり、
検出ロッドは、測定機本体から突出する突出方向に付勢されており、挿入体が隙間に挿入されるときに受口の端面に当接することで、挿入体の挿入寸法に応じた寸法だけ測定機本体に退入可能であり、
測定機本体は挿入体を取付可能な挿入体取付部を有し、
挿入体取付部に第1嵌合部が設けられ、
挿入体に第2嵌合部が設けられ、
第2嵌合部が第1嵌合部に嵌合することにより、挿入体が挿入体取付部に取り付けられ、
第2嵌合部が第1嵌合部から離脱することにより、挿入体が挿入体取付部から取り外されるものである。
【0024】
これによると、第2嵌合部を第1嵌合部から離脱させることにより、挿入体が挿入体取付部から取り外されるため、挿入体を容易に測定機本体から取り外すことができる。また、第2嵌合部を第1嵌合部に嵌合させることにより、挿入体が挿入体取付部に取り付けられるため、挿入体を容易に測定機本体に取り付けることができる。これにより、容易に挿入体を付け替えることができる。
【0025】
本第2発明におけるシール部材位置測定機は、第1嵌合部は切欠部であり、
第2嵌合部は突部であり、
切欠部は、挿入体を隙間に挿入する際の挿入方向側において開放された開放部と、突部の大きさよりも狭い狭幅部とを有し、
突部は開放部から狭幅部を通って切欠部に嵌脱自在であり、
突部が切欠部に嵌合する途中で、狭幅部が突部に押されて幅方向へ拡張し、
突部が狭幅部を通って切欠部に嵌合した状態で、狭幅部が幅方向へ拡張した状態から縮小するものである。
【0026】
これによると、突部を切欠部に嵌合させる際、突部は切欠部の開放部から狭幅部を通って切欠部に嵌め込まれる。これにより、挿入体を容易に測定機本体に取り付けることができる。また、突部が切欠部に嵌め込まれた状態では、狭幅部が幅方向へ拡張した状態から縮小しているため、突部が不用意に切欠部から離脱することを防止できる。
【0027】
本第3発明におけるシール部材位置測定機は、測定機本体は、挿入体が突部を中心とする回転方向へ横振れするのを防止する横振れ防止部を有しているものである。
【0028】
これによると、測定機本体に取り付けられた挿入体が横振れするのを防止することができる。
【0029】
本第4発明におけるシール部材位置測定機は、測定機本体は本体部を有し、
挿入体取付部は本体部に取り付けられた取付板であり、
取付板に切れ込み部が形成され、
切れ込み部の一端部は切欠部に連通しているものである。
【0030】
これによると、突部を切欠部に嵌合したり或いは切欠部から離脱する際、切欠部の狭幅部が突部に押されて幅方向へ拡張するが、このとき、狭幅部と共に切れ込み部も拡張するため、突部を切欠部にスムーズに出し入れすることができ、これにより、挿入体を測定機本体に容易に着脱することができる。
【0031】
本第5発明におけるシール部材位置測定機は、切れ込み部の他端部は取付板に形成された孔部に連通し、
孔部は切れ込み部よりも幅が広く且つ切欠部よりも幅が狭いものである。
【0032】
これによると、切欠部の狭幅部が突部に押されて幅方向へ拡張する際、切れ込み部が拡張し易くなる。また、切れ込み部の他端部に作用する応力が孔部によって分散されるため、切れ込み部の他端部における応力集中が緩和され、切れ込み部の他端部の破損を防止することができる。
【0033】
本第6発明におけるシール部材位置測定機は、取付板は複数の締結部材によって本体部に取り付けられ、
切れ込み部は切れ込み部の幅方向において対向する一対の締結部材間に位置しており、
突部が切欠部に嵌合する途中で、狭幅部が突部に押されて幅方向へ拡張した際、狭幅部と共に切れ込み部が幅方向へ拡張するものである。
【0034】
これによると、切欠部の狭幅部が突部に押されて幅方向へ拡張する際、切れ込み部が拡張し易くなり、切れ込み部が拡張するときに生じる荷重の一部は一対の締結部材によって受けられる。これにより、切れ込み部が過剰に拡張し過ぎるのを防止することができ、孔部にかかる応力が低減される。
【0035】
本第7発明におけるシール部材位置測定機は、挿入体は一端部の厚さと他端部の厚さとが異なっており、
挿入体は、一端部が受口と挿し口との隙間に挿入される第1取付姿勢と、他端部が受口と挿し口との隙間に挿入される第2取付姿勢とに、付け替え可能であるものである。
【0036】
これによると、挿入体を第1取付姿勢で測定機本体に取り付けることにより、挿入体の一端部を受口と挿し口との隙間に挿入して、シール部材の位置を測定することができる。また、挿入体を第2取付姿勢で測定機本体に取り付けることにより、挿入体の他端部を受口と挿し口との隙間に挿入して、シール部材の位置を測定することができる。
【0037】
これにより、例えば、先ず、挿入体の厚さが薄い方の端部を受口と挿し口との隙間に挿入して、シール部材の位置を測定し、合格範囲外であれば、次に、挿入体の厚さが分厚い方の端部を受口と挿し口との隙間に挿入して、シール部材の位置を再度測定することができる。
【発明の効果】
【0038】
以上のように本発明によると、シール部材位置測定機の挿入体を測定機本体に容易に付け替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1の実施の形態におけるシール部材位置測定機の斜視図であり、挿入体の一端部を挿し口と受口との隙間に挿入可能にした第1取付姿勢を示す。
図2】同、シール部材位置測定機の分解斜視図である。
図3図1におけるX-X矢視図である。
図4】同、シール部材位置測定機の一部切欠き側面図である。
図5】同、シール部材位置測定機の一部切欠き正面図であり、挿入体の突部を取付板の切欠部に嵌め込んだ構成を拡大して示す。
図6】同、シール部材位置測定機の取付板の図である。
図7】同、シール部材位置測定機の挿入体の斜視図である。
図8図7におけるX-X矢視図である。
図9】同、シール部材位置測定機の図であり、挿入体を測定機本体から取り外した状態を示す。
図10】同、シール部材位置測定機の挿入体の突部を取付板の切欠部に嵌め込む直前の様子を示す拡大図である。
図11】同、シール部材位置測定機の挿入体の突部を取付板の切欠部に嵌め込んでいる途中の様子を示す拡大図である。
図12】同、シール部材位置測定機の挿入体の突部を取付板の切欠部に嵌め込んだ様子を示す拡大図である。
図13】同、シール部材位置測定機の測定機本体内に備えられた制御系のブロック図である。
図14】同、シール部材位置測定機を用いてシール部材の位置を測定しているときの様子を示した管継手部分の断面図である。
図15】同、シール部材位置測定機の斜視図であり、挿入体の他端部を挿し口と受口との隙間に挿入可能にした第2取付姿勢を示す。
図16】本発明の第2の実施の形態におけるシール部材位置測定機の測定機本体に取り付けられる薄い挿入体の図である。
図17】同、シール部材位置測定機の測定機本体に取り付けられる分厚い挿入体の図である。
図18】管継手の断面図である。
図19】従来のシール部材位置確認装置を用いてシール部材の位置を測定しているときの様子を示した管継手部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。尚、先述した従来のものと同じ部材については、同一の符号を付記して、その詳細な説明を省略する。
【0041】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、図1図5に示すように、1は管継手106のシール部材105の位置を測定するためのシール部材位置測定機である。シール部材位置測定機1は、測定機本体2と、測定機本体2に設けられた挿入体3および出退自在な検出ロッド4を有している。
【0042】
測定機本体2は、四角箱状のケースからなる本体部7と、本体部7に取り付けられた取付板8(挿入体取付部の一例)とを有している。
【0043】
挿入体3は、細長い平板状の部材であり、受口104の外部から受口104と挿し口102との隙間136(図14参照)に挿入されて、シール部材105に当接可能であり、取付板8に着脱自在に取り付けられている。
【0044】
図2図6に示すように、取付板8は四角形状の平板であり、取付板8には切欠部9(第1篏合部の一例)が形成されている。また、図7図8に示すように、挿入体3の長さ方向における中央部には突部11(第2篏合部の一例)が設けられている。突部11が切欠部9に嵌合することにより、挿入体3が取付板8に取り付けられ、突部11が切欠部9から離脱することにより、挿入体3が取付板8から取り外される。
【0045】
突部11は、断面が円形状の突部本体13と、突部本体13の先端に設けられた鍔部14とを有している。鍔部14は突部本体13よりも大径である。
図6に示すように、切欠部9は、挿入体3を隙間136(図14参照)に挿入する際の挿入方向16の側にある一辺17において開放された開放部18と、突部11の突部本体13の直径19(図8図10参照)よりも狭い間隔20を有する狭幅部21と、突部本体13の直径19と同径の奥止部22とを有している。
【0046】
狭幅部21は開放部18と奥止部22との間にあり、開放部18は狭幅部21から取付板8の一辺17に向かってテーパー状に広がる一対の傾斜部24を有している。尚、突部11の鍔部14は奥止部22よりも大径である。
【0047】
取付板8には切れ込み部27(スリット)が一直線状に形成されている。切れ込み部27の一端は切欠部9の奥止部22に連通している。また、切れ込み部27の他端は、取付板8に形成された円形の孔部28に連通している。切れ込み部27と孔部28とは、取付板8の厚さ方向において、取付板8の表裏両面に貫通している。孔部28の内径Bは、切れ込み部27の幅W1よりも大きく、切欠部9の奥止部22の幅W2よりも小さい。
【0048】
図2図9に示すように、測定機本体2の本体部7には取付用凹部38が形成されている。取付板8は、本体部7の取付用凹部38に嵌め込まれ、2本(複数の一例)のねじ部材30(締結部材の一例)によって本体部7に取り付けられている。図2図10に示すように、取付用凹部38は測定機本体2の幅方向において相対向する一対の側壁面39を有し、側壁面39と取付板8との間には所定の間隙40が形成されている。
【0049】
切れ込み部27は、切れ込み部27の幅方向29(図11参照)において対向する両ねじ部材30間に位置している。
【0050】
図2に示すように、取付板8には2個の貫通孔31が形成され、測定機本体2の本体部7には2個のねじ孔32が形成されている。ねじ部材30は貫通孔31に挿通されてねじ孔32に螺合している。
突部11の突部本体13が切欠部9の開放部18から狭幅部21を通って奥止部22に嵌合する途中で、図11に示すように、狭幅部21が突部本体13に押されて幅方向34へ僅かに拡張し、この際、取付板8が狭幅部21の幅方向34へ僅かに変形すると共に、切れ込み部27も僅かに幅方向29へ拡張する。
【0051】
また、図12に示すように、突部11の突部本体13が狭幅部21を通って奥止部22に嵌合した状態で、狭幅部21が幅方向34へ拡張した状態から縮小して元の間隔20に戻り、この際、取付板8が変形した状態から元の形状に戻ると共に、切れ込み部27も幅方向29へ拡張した状態から縮小して元の幅に戻る。このように、取付板8は、幅方向29,34において僅かに弾性変形可能であり、材質として弾性を有する樹脂等が使用され、取付用凹部38の側壁面39と取付板8との間の間隙40の存在によって幅方向29,34における変形を可能にしている。
【0052】
図7に示すように、挿入体3は一端部3aの厚さtaと他端部3bの厚さtbとが異なっている。すなわち、挿入体3は他端部3bに突起3cを有しており、これにより、挿入体3は他端部3bの厚さtbは挿入体3の一端部3aの厚さtaよりも分厚く設定されており(厚さta<厚さtb)、例えば、厚さtaが2mm、厚さtbが4mmに設定されている。挿入体3は、図1図4図14に示すように一端部3aが挿し口102と受口104との隙間136に挿入される第1取付姿勢と、図15に示すように他端部3bが上記隙間136(図14参照)に挿入される第2取付姿勢とに、付け替え可能である。
【0053】
図2図3図9に示すように、測定機本体2の本体部7は、挿入体3が突部11を中心とする回転方向42へ横振れするのを防止する横振れ防止用溝43(横振れ防止部の一例)を有している。横振れ防止用溝43は取付用凹部38に連通している。挿入体3は横振れ防止用溝43に嵌脱自在であり、図12に示すように突部11の突部本体13が切欠部9の奥止部22に嵌合した状態で、図1に示すように挿入体3が横振れ防止用溝43に嵌まり込む。図4に示すように、横振れ防止用溝43の深さCは挿入体3の他端部3bの厚さtb(図7参照)以上に深く設定されている(厚さtb≦深さC)。
【0054】
また、図8に示すように、挿入体3の突部11と他端部3bの突起3cとの間の長さをE1とし、図6に示すように、取付板8の一辺17とその反対側の他辺36との間の長さをE2とすると、長さE1は長さE2よりも長く設定されている(長さE1>長さE2)。
【0055】
図1に示すように、検出ロッド4は、測定機本体2に内蔵されたスプリング(図示省略)によって測定機本体2から突出する突出方向45に付勢されており、図14に示すように、挿入体3が隙間136に挿入されるときに受口104の端面104aに当接することで、挿入体3の挿入寸法に応じた寸法だけ測定機本体2に退入可能である。
【0056】
図13に示すように、測定機本体2の本体部7の内部には、検出ロッド4が最突出位置P1から測定機本体2内へ退入したときの退入寸法L(退入距離)を検出する退入寸法検出部46と、演算部47と、通信部48と、記憶部49と、制御部50とが設けられている。
【0057】
退入寸法検出部46は、検出ロッド4が長手方向へ移動した際、検出ロッド4に噛合する歯車52の回転数や回転角度に基づいて、退入寸法Lを検出する。
【0058】
演算部47は、退入寸法検出部46で検出されたに退入寸法Lに基づいて、受口104の端面104aからシール部材105までの距離D(図14参照)を演算する。
【0059】
通信部48は演算部47で演算された距離Dを外部の携帯端末やサーバ等に送信する機能を有する。
【0060】
記憶部49は退入寸法検出部46で検出された退入寸法Lや演算部47で求められた距離D等を記憶する。
【0061】
以下に、シール部材位置測定機1を用いて管継手106のシール部材105の位置を測定する方法を説明する。
【0062】
図1図14に示すように、先ず、挿入体3を第1取付姿勢に切り替えた状態で、挿入体3の厚さtaが薄い方の一端部3aを受口104の外部から挿し口102と受口104との隙間136に挿入することにより、検出ロッド4の先端が受口104の端面104aに当接し、さらに挿入体3を隙間136に挿入していくと、検出ロッド4がスプリングの付勢力に抗して測定機本体2内に退入する。
【0063】
そして、挿入体3の一端部3aがシール部材105に当たると、それ以上挿入体3を挿入することができず、このときの挿入体3の挿入寸法に応じた寸法だけ、検出ロッド4が測定機本体2内に退入し、このときの検出ロッド4の退入寸法Lが退入寸法検出部46によって検出され、この退入寸法Lに基づいて、演算部47が受口104の端面104aからシール部材105までの距離Dを演算する。
【0064】
このようにして測定された距離Dは、通信部48から外部の携帯端末やサーバ等に送信され、携帯端末やサーバの表示画面等に表示される。この際、表示された距離Dの値が合格範囲内であれば、シール部材105が正常な位置にあると判定する。
【0065】
また、表示された距離Dの値が合格範囲外であれば、図15に示すように挿入体3を第1取付姿勢から第2取付姿勢に切り替え、この状態で、挿入体3の厚さtbが分厚い方の他端部3bを受口104の外部から挿し口102と受口104との隙間136(図14参照)に挿入し、上記と同様にして、受口104の端面104aからシール部材105までの距離Dを再度測定する。
【0066】
そして、携帯端末やサーバの表示画面等に表示された距離Dの値が合格範囲内であれば、シール部材105が正常な位置にあると判定する。反対に、携帯端末やサーバの表示画面等に表示された距離Dの値が合格範囲外であれば、シール部材105が異常な位置にあると判定し、管継手106を解体して点検する。
【0067】
上記のようなシール部材105の位置測定方法において、以下のようにして挿入体3を第1取付姿勢(図1参照)から第2取付姿勢(図15参照)に切り替える。
【0068】
先ず、第1取付姿勢の挿入体3の突部11を取付板8の切欠部9から離脱させる。これにより、挿入体3が取付板8から取り外されるため、挿入体3を容易に測定機本体2から取り外すことができる。
【0069】
次に、挿入体3を、取り外した状態で第1取付姿勢から第2取付姿勢になるように180°方向転換する。その後、挿入体3の突部11を取付板8の切欠部9に嵌合させる。これにより、図15に示すように、挿入体3が第2取付姿勢に切り替えられた状態で取付板8に取り付けられるため、挿入体3を容易に測定機本体2に取り付けることができる。この際、挿入体3の一端部3a側が横振れ防止用溝43に嵌まり込む。
【0070】
また、挿入体3を第2取付姿勢(図15参照)から第1取付姿勢(図1参照)に切り替える場合も、同様に、第2取付姿勢の挿入体3の突部11を取付板8の切欠部9から離脱させ、挿入体3を、取り外した状態で第2取付姿勢から第1取付姿勢になるように180°方向転換する。その後、挿入体3の突部11を取付板8の切欠部9に嵌合させることにより、図1に示すように、挿入体3が第1取付姿勢に切り替えられた状態で取付板8に取り付けられる。この際、挿入体3の他端部3b側が横振れ防止用溝43に嵌まり込む。
【0071】
上記のように挿入体3の突部11を取付板8の切欠部9に嵌合させる際、図10図12に示すように、突部11の突部本体13が切欠部9の開放部18から狭幅部21を通って奥止部22に嵌め込まれる。また、反対に、挿入体3の突部11を取付板8の切欠部9から離脱させる際、突部11の突部本体13が切欠部9の奥止部22から狭幅部21を通り開放部18を経て外部へ離脱する。
【0072】
このように、突部11を切欠部9に嵌合したり或いは切欠部9から離脱する際、図11に示すように、切欠部9の狭幅部21が突部本体13に押されて幅方向34へ僅かに拡張し、狭幅部21と共に切れ込み部27も幅方向29へ僅かに拡張するため、突部11を切欠部9にスムーズに出し入れすることができる。これにより、挿入体3を測定機本体2に容易に着脱することができる。
【0073】
また、上記のように狭幅部21と共に切れ込み部27が幅方向29へ拡張した際、切れ込み部27の他端部に作用する応力が孔部28によって分散されるため、切れ込み部27の他端部における応力集中が緩和され、切れ込み部27の他端部の破損を防止することができる。
【0074】
また、上記のように切れ込み部27が幅方向29へ拡張するときに生じる荷重の一部は両ねじ部材30によって支えられるため、切れ込み部27が過剰に拡張し過ぎるのを防止することができ、これにより、孔部28にかかる応力が低減される。
【0075】
また、図12に示すように、突部11を切欠部9に嵌め込んで、挿入体3を測定機本体2に取り付けた場合、突部11の突部本体13が切欠部9の奥止部22に嵌め込まれ、狭幅部21が幅方向34へ拡張した状態から縮小して元の間隔20に戻っているため、突部本体13が不用意に切欠部9の奥止部22から離脱することを防止できる。この際、図5に示すように、取付板8は突部11の鍔部14と挿入体3との間に挟まれているため、挿入体3が取付板8から不用意に脱落するのを防止することができる。
【0076】
また、図1図12図15に示すように、突部11を切欠部9に嵌め込んで、挿入体3を測定機本体2に取り付けた場合、挿入体3が横振れ防止用溝43に嵌まり込むため、図3に示すように、挿入体3が突部11を中心とする回転方向42へ横振れするのを防止することができる。
【0077】
また、挿入体3の突部11と他端部3bの突起3cとの間の長さE1(図8参照)が取付板8の一辺17と他辺36との間の長さE2(図6参照)よりも長いため、挿入体3を第1取付姿勢に切り替えた状態で測定機本体2に取り付ける際、図10に示すように、取付板8を挿入体3の突部11と他端部3bの突起3cとの間に挿入することができ、この状態で、挿入体3をスライドさせて挿入体3の突部11を取付板8の切欠部9に嵌め込むことができる。これにより、挿入体3の突起3cが取付板8に当接して嵌め込みの妨げになるのを防止することができ、挿入体3の突部11を取付板8の切欠部9に容易に嵌め込むことができる。
【0078】
(第2の実施の形態)
先述した第1の実施の形態では、図7に示すように、挿入体3の一端部3aの厚さtaと他端部3bの厚さtbとが異なっており、挿入体3の向きを180°変えて挿入体3を第1取付姿勢(図1参照)と第2取付姿勢(図15参照)とに付け替え可能にしているが、第2の実施の形態では、図16図17に示すように、2本の挿入体61,62を用意し、一方の挿入体61を厚さtaとし、他方の挿入体62を厚さtbとしている(厚さta<厚さtb)。
【0079】
これによると、先ず、薄い方の厚さtaを有する一方の挿入体61を測定機本体2に取り付けてシール部材105の位置を測定し、合格範囲外であれば、一方の挿入体61を測定機本体2から取り外し、厚さtaよりも分厚い厚さtbを有する他方の挿入体62を測定機本体2に取り付けてシール部材105の位置を測定する。
【0080】
上記第2の実施の形態では、厚さの異なる2種類の挿入体61,62を用意しているが、厚さの異なる3種類以上の挿入体を用意してもよい。
【0081】
上記第1および第2の実施の形態では、図2に示すように、切欠部9を取付板8に設け、突部11を挿入体3に設けているが、逆に、切欠部9を挿入体3に設け、突部11を取付板8に設けてもよい。また、第1篏合部の一例として切欠部9を挙げ、第2篏合部の一例として突部11を挙げたが、これら第1および第2篏合部は切欠部9と突部11に限定されるものではない。
【0082】
上記第1および第2の実施の形態では、横振れ防止部の一例として、図2に示すように、横振れ防止用溝43を測定機本体2の本体部7に形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、本体部7に一対の横振れ防止用突起部材を設け、挿入体3が一対の横振れ防止用突起部材間に嵌脱自在であり、突部11の突部本体13が切欠部9の奥止部22に嵌合した状態で、挿入体3が一対の横振れ防止用突起部材間に嵌まり込むように構成してもよい。
【0083】
上記第1および第2の実施の形態では、図1に示すように、2本のねじ部材30を用いて取付板8を測定機本体2の本体部7に取り付けているが、3本以上の複数本のねじ部材30を用いてもよい。
【0084】
上記第1および第2の実施の形態では、図2に示すように、測定機本体2の本体部7と取付板8と別体構造にし、取付板8を本体部7に着脱自在に取り付けているが、取付板8と本体部7とを一体構造にしてもよい。
【0085】
上記第1および第2の実施の形態では、挿入体3の厚さtaを2mm、厚さtbを4mmに設定しているが、これらの値に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0086】
1 シール部材位置測定機
2 測定機本体
3 挿入体
4 検出ロッド
7 本体部
8 取付板(挿入体取付部)
9 切欠部(第1篏合部)
11 突部(第2篏合部)
16 挿入方向
18 開放部
21 狭幅部
27 切れ込み部
28 孔部
29,34 幅方向
30 ねじ部材(締結部材)
42 回転方向
43 横振れ防止用溝(横振れ防止部)
45 突出方向
101 一方の管
102 挿し口
103 他方の管
104 受口
104a 端面
105 シール部材
106 管継手
136 隙間
ta 挿入体の一端部の厚さ
tb 挿入体の他端部の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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