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特許7530885自動的に工具認識が行われる医療工具のためのパッケージおよびこのようなパッケージを使用する梱包方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】自動的に工具認識が行われる医療工具のためのパッケージおよびこのようなパッケージを使用する梱包方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/90 20160101AFI20240801BHJP
【FI】
A61B90/90
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021512223
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019073579
(87)【国際公開番号】W WO2020049044
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】102018121682.3
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514129877
【氏名又は名称】エースクラップ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】レンツェンフーバー,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ヘーゲルレ,ローラント‐アロイス
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509363(JP,A)
【文献】特表2017-534429(JP,A)
【文献】国際公開第2018/013413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 90/90
A61B 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容空間(4)を形成する凹みを備える下側シェル(3)と、前記下側シェル(3)上
に配置されかつ前記受容空間(4)を閉じる蓋箔(6)と、を有するブリスター包装材で
ある、外装材(2)と、
前記受容空間(4)に配置され、かつ、保持構造(13、17、23)を有する保持デ
バイス(7、26)と、
前記保持デバイス(7、26)の前記保持構造(13、17、23)によって保持され
た医療工具(8、21、27)と、
医療工具固有のデータを有する可読データキャリア(42)であって、前記保持デバイ
ス(7、26)に強固に接続されるデータキャリア(42)と、
を含
前記医療工具(8、21、27)を前記保持デバイス(7、26)の前記保持構造(1
3、17、23)から取り外すときにのみ前記可読データキャリア(42)が読み出され
ることができるように、前記医療工具(8、21、27)が前記保持デバイス(7、26
)の前記保持構造(13、17、23)によって保持されるときに前記アンテナ回路(4
3)および/または電気回路が開いている、すなわち、ディアクティブにされる、そして
、前記医療工具(8、21、27)が前記保持デバイス(7、26)の前記保持構造(1
3、17、23)から取り外されたときに前記アンテナ回路(43)および/または電気
回路が閉じられる、すなわち、アクティブにされるように、前記パッケージ(1)はアン
テナ回路(43)および/または前記可読データキャリア(42)に接続される電気回路
をさらに含み、前記アンテナ回路(43)および/または電気回路は前記パッケージ(1
)の中での前記医療工具(8、21、27)の相対的な位置決めによってアクティブにさ
れる、パッケージ(1)。
【請求項2】
前記保持デバイス(7、26)は、位置決めして前記受容空間(4)に配置され、およ
び/または、
前記工具(8、21、27)は、位置決めして前記保持デバイス(7、26)に保持さ
れ、および/または、
前記データキャリア(42)は、前記保持デバイス(7、26)上に接着されることを
特徴とする、請求項1に記載のパッケージ(1)。
【請求項3】
前記データキャリア(42)は、RFIDタグ(42)またはNFCタグ(42)であ
ることを特徴とする、請求項に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記データキャリア(42)と前記保持デバイス(7、26)とは、一緒に接着または
鋳造または圧着されることを特徴とする、請求項に記載のパッケージ(1)。
【請求項5】
前記アンテナ回路(43)および/または電気回路は、前記医療工具(8、21、27
)が前記保持デバイス(7、26)に配置されているときに電気的に分離され、そして、
前記医療工具(8、21、27)が前記保持デバイス(7、26)から取り外されたとき
に電気的に接続される、二つの電気コンタクト(44a、44b)を有する、請求項に記載のパッケージ(1)。
【請求項6】
前記保持デバイス(7、26)はプラスチック成形部品として形成される、請求項1に
記載のパッケージ(1)。
【請求項7】
前記保持デバイス(7、26)はベースプレート(12)を有し、前記保持構造(13
、17、23)は前記ベースプレート(12)に接続されかつ前記ベースプレート(12
)から直交して延出する二つの平行する保持アーム(14、15)として形成され、前記
二つの平行する保持アーム(14、15)の間にスリット(16)が形成され、前記スリ
ット(16)の中に前記医療工具(8、21、27)が受容される、請求項1に記載のパ
ッケージ(1)。
【請求項8】
前記保持デバイス(7、26)はベースプレート(12)を有し、前記保持構造(13
、17、23)は、前記ベースプレート(30)に平行して延出しかつ前記ベースプレー
ト(30)に向かう方向にばね移動を行うことができる、掛止構造(34)を有するばね
アーム(33)として形成される、請求項1に記載のパッケージ(1)。
【請求項9】
請求項に記載のパッケージ(1)を用いて医療工具(8、21、27)を自動的に識別する方法において、
―プロバイダによって前記パッケージ(1)の前記受容空間(4)に前記工具(8、
21、27)を挿入するステップ、
―前記プロバイダによって前記データキャリア(42)に工具固有のデータを書き込
むステップ、
―前記プロバイダによって前記パッケージ(1)を閉じるステップ、
―ユーザによって前記パッケージ(1)を開けるステップ、
―前記ユーザによって前記データキャリア(42)を読み出すことによって前記工具
(8、21、27)を識別するステップ、
を含む方法。
【請求項10】
前記工具(8、21、27)が前記受容空間(4)に挿入される、または前記保持デバ
イス(7、26)に配置されること、および、前記受容空間(4)に前記工具(8、21
、27)を導入する前または後、または前記保持デバイス(7、26)に前記工具(8、
21、27)を配置する前または後で、前記データキャリア(42)にデータを書き込む
ことを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記パッケージ(1)を閉じた後でガンマ線滅菌が行われることを特徴とする、請求項
に記載の方法。
【請求項12】
前記データキャリア(42)から読み出されたデータが前記工具(8、21、27)の
ユーザに対して表示されること、および/または前記データキャリア(42)から読み出
された前記工具(8、21、27)のデータが記憶されかつ/または該工具(8、21、
27)の前記プロバイダへ転送されることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療工具のためのパッケージ、特に無菌パッケージであって、当該医療工具のための受容空間を含むパッケージに関する。本発明は、さらに、本発明に係るパッケージを用いて医療工具を自動的に識別する方法に関する。
【0002】
医療用の製品および特に工具のための様々なパッケージおよびデバイスが知られている。例えば切刃または鋸刃、ミーリングヘッドおよびドリルまたはねじ山部の形をした、先の尖ったかつ/または鋭利な手術部を備えるインプラントおよび工具などの医療製品のパッケージは、特別な要求事項に従わなければならない。前記製品の使用前および特に使用後に怪我からユーザを保護することに加えて、前記包装された製品を汚染および損傷などの望ましくない影響から保護することも必要である。
【0003】
前記パッケージに対するさらなる要求事項は、当該パッケージに包装された前記製品の適切な識別であり、これは、当該包装された製品がそれとして視認できない場合(例えば、当該包装された製品が前記パッケージによって覆われているため)または認識および/または識別できない場合(例えば、材料、寸法または同様の特徴などの特定の識別特徴が、当該製品に関してすぐに識別されることができないため)に特に重要である。しかし、外科器械、外科工具またはインプラントなどの医療製品の確実かつ明確な識別は、患者の安全の面から最も重要である。
【0004】
医療工具の別の重要な面は、工具固有の情報の転送および通信であるといえる。これは、例えば、特定の工具が特定の用途に適しているか否かおよび/または当該特定の工具の状態がどうであるかに関する情報であり得る。例えば、医療工具の場合、当該医療工具が既に使用されているか否かおよびどれだけ使用されているか、当該医療工具の耐用年数はどのくらいか、および当該医療工具の在庫水準はどのくらいかということを知ることは必須である。このような情報は、標準的なパッケージを使用して伝達して保守することが困難または不可能である。
【0005】
前記パッケージに取り付けられたラベルまたは前記パッケージ内のラベルを用いて前記ユーザが前記包装された工具を識別することは先行技術である。この場合の欠点は、前記ユーザが、前記ラベルおよび/または前記パッケージを単独にかつ注意深く観察しなければ、どの工具が当該パッケージに入っているかを確信をもってすぐに識別することができないことである。さらに、このようなラベルの場合、最大使用性、寸法、材料などのさらなる情報の表示は、例えば汚れまたは摩耗によって、前記ユーザが当該情報を識別しようとするときはもちろん、サプライヤの方でも困難で、無条件の注意を要する可能性がある。また、特に外科器械および外科工具などの無菌製品の取り扱いは、当該外科器械および外科工具が前記パッケージから取り出されているときに規制(手術中の時間的制約またはストレスなど)を受けることがあり、このことが、前記ユーザが製品固有のデータを記録および/または文書化することを困難にすることがある。これは、特に、それぞれの工具および当該工具の性質または使用特性の不適当な記録による医療工具の不正確な使用が、特に患者にとって、深刻な好ましくない結果に直結しかねないため重大である。最後に、既知のパッケージでは、工具認識が文書化される可能性がない、または限られた可能性しかない。
【0006】
前記医療工具が強固にかつ/または定められた位置に保持されるパッケージが先行技術から知られている。このようなパッケージの一例は、前記工具を前記パッケージ内の定められた位置に位置決めして保持するために当該工具の結合領域にクランプを備えるブリスター包装材である。このようなパッケージは、例えば、独国特許出願公開第102013004168号に開示されており、前記外科工具は、プラスチックパッケージに無菌条件下で包装され、当該パッケージは、少なくとも二つの部分からなり、当該外科工具の慎重に扱うべき部分のための内側保護包装材と、当該保護包装材を収容する封止可能なブリスター包装材とによって構成される。さらに、無菌の外科工具を包装する方法が提案されており、当該方法では、前記外科工具は、無菌条件下で前記プラスチック包装材に包装されるが、第一のステップにおいて、当該外科工具は、まず、少なくとも部分的に、かつ特に当該外科工具の慎重に扱うべき切刃および作用面を前記第一の保護包装材に入れた状態で包装され、当該保護包装材は、内部に包装した前記外科工具とともに第二のブリスター包装材の中に移され、当該保護包装材は所定の位置に固定され、次に封止フィルムで封止される。この包装材の欠点は、前記工具の手術刃は非常に良好に保護されるが、当該工具自体は、当該包装材を介して前記ユーザによって識別されることができない、または識別に困難を有するということである。
【0007】
この背景に対し、本発明は、先行技術の上記欠点を軽減するという目的に基づくものであり、特に、当医療工具のためのパッケージまたは当該パッケージ内での配置のために提供される工具支持体を提供しようとするものであり、当該パッケージまたは当該工具支持体により、前記それぞれの包装された工具の認識が簡単かつ確実に可能になり、当該工具の不正確な適用のリスクを最小限にすることができる。
【0008】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載のパッケージ/支持体によって、すなわち、医療工具のための受容空間を備える当該医療工具のためのパッケージ、特に無菌パッケージにおいて、工具固有のデータを有する可読データキャリアを含む当該パッケージまたは当該パッケージ内の当該支持体によって達成される。前述の目的は、さらに、本発明に係るパッケージまたは当該パッケージ内に配置される支持体を用いて、特に、従属請求項のうちの一項に記載のパッケージまたは当該パッケージ内に配置される支持体を用いて、医療工具を自動的に識別する方法において、
―プロバイダによって前記パッケージの前記受容空間に前記工具を挿入するステップ、
―前記プロバイダによって前記データキャリアに工具固有のデータを書き込むステップ、
―前記プロバイダによって前記パッケージを閉じるステップ、
―ユーザによって前記パッケージを開けるステップ、
―前記ユーザによって前記データキャリアを読み出すことによって前記工具を識別するステップ、
を含む方法によって達成される。
【0009】
本発明の意味における工具とは、手術的な機能を実行するための一般に先端側の刃の鋭利な手術部と、当該工具を、ハンドルユニット、特に駆動ハンドルユニットと結合するための基端側の結合部とを備える手術工具/外科工具であると理解される。このような工具の例としては、特に、回転工具および鋸断工具であり、ドリル、ミーリングカッター、鋸、ねじアダプタ、カッティングブレードまたは研磨アダプタを含み、これらは、周知の方法でハンドルおよび/または駆動ユニットに結合される。さらに、本発明の意味における工具とは、スプレーノズル、HFシリンジ、超音波ブレードなどであると理解される。最後に、本発明の意味における「工具」という用語は、骨インプラントおよび関節インプラントまたは部分的なインプラントなどの任意の種類および形状のインプラント、ステントなども含む。
【0010】
本発明の特別な利点は、前記工具が、前記ユーザによって前記パッケージから取り出されるときに自動的に認識されることができることである。前記データキャリアは、好ましくは、外部の読み出しおよび/または書き込みユニットとのワイヤレス通信用に設計されている。前記工具と併用すべきハンドルピースは、前記データキャリアに含有される前記データを認識および/または読み出すことができる読み出しデバイスを有していると特に有利であるが、これは、当該工具が、その場合、当該ハンドルピースに接続/配置/差し込まれるときに自動的に識別されることができるからである。このようにして取得されたデータは、前記ユーザに対して、前記ハンドルピースと通信している表示ユニットに伝送/表示されることができる。
【0011】
前記データキャリアに書き込まれる前記データは、本発明の意味では、物品番号、ロット番号、バッチ番号、推奨使用期限、消費期限または最長使用期限、材料、寸法および外形、使用目的、使用歴および使用時間、在庫水準などでよい。
【0012】
本発明の根底にある概念は、工具認識が行われ、データ伝送によって周辺デバイスに伝えられること、および、選択されたデータが最終顧客に対して表示されることを含む。同時に、さらなるデータが記録および処理されることができる。
【0013】
本発明の有利な構成例を、従属請求項において請求し、下記により詳細に説明する。
【0014】
本発明の一構成例は、前記パッケージが外装材を含むことを特徴とする。加えて、当該パッケージは、前記受容空間に配置される保持デバイス/工具支持体を含んでよい。このような保持デバイスは、有利には、前記受容空間に位置決定的に配置および/または保持されてよい。前記保持デバイスは、特に前記工具を保持する、特に前記工具を位置決定的に保持するものであり、かつ、前記パッケージの材料との鋭利な手術部の接触が回避されるように、かつ鋭利な手術部が前記パッケージから離間するようにして、前記受容空間に前記工具を位置決めするものである。このような保持デバイスを提供することにより、前記パッケージの部分との前記工具の接触が防止される、または少なくとも安全に最小限にすることができるので、前記工具による包装材料の摩損を防止することができる。前記保持デバイスおよび/または前記外装材は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、吸収性の材料によって構成してよい。前記受容空間は、特に密封的に、前記外装材によって閉じられるように形成されることができる。前記受容空間は無菌であるように形成することもできる。本発明の特別な利点は、前記データキャリアが、前記パッケージを開けて無菌性を失わなくても読み出されることができることである。
【0015】
本発明の一構成例によれば、前記保持デバイスは、前記外装材とは別に形成される。したがって、前記保持デバイスに保持される前記工具は、前記外装材から前記保持デバイスとともに取り出されることができ、特に、当該工具が最終的に使用されるまで開梱後に当該保持デバイス内に残っていることができる。好ましくは、前記パッケージおよび前記保持デバイスは、当該保持デバイスを取り扱うことによって、かつ前記工具に直接接触することなく取出しを行うことができるように設計されるので、当該工具の汚染の確率が容易にかつ安全に最小化し、あるいは完全に回避されることができる。さらに、前記工具は、粗雑に下に置かなくても、器械台に前記保持デバイスとともに載置されることができる。外科治療中または処置中、前記ホルダーは、前記工具を途中で保管するために特に有利に使用されることができ、より良好な秩序および明瞭性が得られる。したがって、文字通りの意味での前記パッケージに加えて、本発明は、前記別体の保持デバイスを用いて独立したホルダーを提供することができ、当該ホルダーにより、前記それぞれの外装材内での輸送中の工具の安全かつ安定した保管に加えて、処理(例えば、滅菌)中、および手術室での処置中における前記製品の準備中に、前記工具の定められた位置決めおよび安全な取り扱いも可能になる。この目的のため、前記保持デバイスは、内部に保持した前記工具とともに前記外装材から取り出されて立てて置かれることができる。
【0016】
本発明の一構成例によれば、前記データキャリアは、RFIDタグまたはNFCタグであることができる。当該データキャリアのデータは、前記ユーザのなんらかの特別な相互作用を必要としなくても、接触せずにかつ自動的に、特にいつでも、読み出し、書き込みおよび処理を行うことができることが特に有利である。特に、前記データキャリアは、永久に読み出し可能であり得る。特に、前記データキャリアは、前記外装材上または前記保持デバイス上に配置されることができる。一つのデータキャリアを前記外装材上と前記保持デバイス上の両方に配置することもできる。前記データキャリアは、特に、接着されることができる。
【0017】
本発明の一構成例によれば、前記データキャリアと前記外装材、または前記データキャリアと前記保持デバイスは、互いに対して強固にまたは取外し不能に接続される。好ましくは、前記データキャリアは、前記外装材または前記保持デバイスに対して接合、成形または圧着される。その結果、前記データキャリアの偶発的な緩みおよび前記データキャリアと前記パッケージ/工具の意図しない分離が起きなくなるので、前記データキャリア上の前記データが間違いなく前記パッケージ/保持デバイス内にある前記工具のものであることを、高い確信をもって保証することができる。これにより、患者の安全が有利に高められる。
【0018】
本発明のさらなる一構成例によれば、前記データキャリアはアクティブにさせることができる。特に、前記データキャリアは、前記パッケージまたは外装材または保持デバイスに対する前記工具の相対的な位置決めによってアクティブにさせることができる。例えば、このような相対的な位置決めにより、前記データキャリアに接続されたアンテナ回路および/または電気回路および/またはスイッチング回路を閉じ/アクティブにし、それによって当該データキャリアをアクティブにし、当該データキャリアを読み出すことを可能にしてよい。これは、前記工具が意図したように前記パッケージ内に位置決めされるとき、前記電気回路および/またはアンテナ回路および/またはスイッチング回路が不活性であるように開いているという事実によって引き起こすことができるが、これは、例えば、当該工具それ自体が絶縁性であり、当該回路を遮断するからであり、または、当該工具が、当該回路が遮断されるように前記パッケージ/外装材/保持デバイスを変形させるからである。前記方法によれば、前記データキャリアは、当該データキャリアに含有される前記データの読み出しまたは当該データキャリアに含有される前記データの送信のために、前記受部または前記保持デバイス内での前記製品の相対的な位置決めによって、または前記受部または前記保持デバイスからの取り外しによってアクティブにされる。
【0019】
前記アンテナ回路および/または電気回路は、前記パッケージの一部であることができる。特に、前記アンテナ回路および/または電気回路は、前記外装材および/または前記保持デバイスに一体化または配置または形成されることができる。好ましくは、前記回路は、前記工具が意図したように前記パッケージ内に配置されているときに当該回路が開いている、すなわち、ディアクティブにされており、前記工具が当該工具の意図した位置から取り外されたときに当該回路が閉じられる、すなわち、アクティブにされるように設計される。これは、前記工具が前記パッケージから取り出されるまで前記データキャリアが読み出されないので、不必要なデータトラフィックおよびエネルギー消費を回避または軽減させることができるという利点を有する。本発明に係る前記方法に関して、前記データキャリアは、好ましくはハンドピース内にある読み出しデバイスによって、前記パッケージ内にある前記工具、特に前記保持デバイス内にある前記工具が、当該工具を受容することを意図した当該ハンドピースに挿入されたときに読み出されることができる。
【0020】
前記方法によれば、前記工具は、前記受容空間に挿入される、または前記保持デバイスに配置されることができ、データは、好ましくは無菌条件下で、当該受容空間への当該工具の挿入または当該保持デバイス内での当該工具の配置の前または後で、前記データキャリアに書き込まれることができる。これにより大幅な柔軟性が与えられる。本発明に係る前記方法の一構成例は、前記パッケージの封止後にガンマ線滅菌が行われることを規定する。このようにして、前記データキャリアの安全機能を損なうことなく無菌状態をもたらすことができる。一構成例によれば、前記データキャリア上にデータを書き込むことは、前記滅菌が行われた後で行うこともできる。
【0021】
本発明のさらなる構成例によれば、前記データキャリアから読み出されたデータは、前記工具のユーザに対して表示されると特に有利である。その代わりに、またはそれに加えて、前記データキャリアから読み出された前記工具のデータは記憶されることができ、かつ/または当該工具の前記プロバイダに転送されることができる。上述の処理は、好ましくは自動的に行われるので、前記データは特に、自動的に表示および/または転送および/またはデータベースに記憶される。
【0022】
前記保持デバイスはベースプレートを含むことができる。特に、これは、特に前記パッケージから開梱された状態で、内部に工具を保持した前記保持デバイスの位置安定的な載置のための底面、および/または前記パッケージに対する当接のための当接構造を形成するように設計されることができる。前記底面に加えて、前記保持デバイスは、前記パッケージの前記受部内での明瞭で安定した向きによる位置決めを確実にするために当該パッケージと相互作用し当該パッケージに当接するさらなる当接構造または当接部を有してよい。前記データキャリアが本発明の範囲内のこのような保持デバイスに一体化または配置されれば、例えば器械台上での、当該保持デバイス内に入れられた前記工具の識別が、医療介入の範囲において特に容易である。
【0023】
本発明の一構成例によれば、前記保持デバイスは、前記工具の向き決定的な位置決めのために互いに離間した少なくとも二つの保持構造を有することができる。好ましくは、これらの各々は、前記ベースプレート上に配置され、当該ベースプレートから前記受容空間に延出してよい。前記工具を保持する機能に加えて、前記保持構造は、好ましくは前記保持デバイスの向きが前記パッケージの前記受部内で保持(secured)または固定されるように、当該保持デバイスを当該パッケージに載せるアタッチメントを形成することができる。前記保持構造のうちの一つは、前記保持デバイスの端側、特に前記ベースプレートに配置されることができる。前記保持構造のうちの別の一つは、前記保持デバイス上、特に前記ベースプレート上の実質的に中心に配置されることができる。これにより、前記保持デバイスにおける前記工具の特に安定した保持が可能になる。
【0024】
好ましくは、前記保持構造のうちの一つは、第一の方向に前記保持デバイスに対して決まった向きで(orientation-determined manner)前記工具を位置決めするように設計される。前記保持構造のうちの他方は、第二の方向および第三の方向に前記保持デバイスに対して向き決定的に前記工具を位置決めするように設計されることができ、前記第一、第二および第三の方向は互いに直交する。このような案内によって、前記工具は、一方では前記保持デバイスに安定して保持され、他方では、当該保持デバイスに配置され、特にユーザによって容易に当該保持デバイスから取り出されることができる。前記パッケージのさらなる構成例によれば、前記保持構造のうちの少なくとも一つは、前記工具と、特に前記工具の結合構造との形状嵌合部および/または圧力嵌め部を形成すると特に好ましい。
【0025】
前記保持構造の少なくとも一つ、特に両方の保持構造は、互いに対向する二つの保持アームを有することができる。これらの各々の間にはスリットが形成されて、前記工具を受容して保持する。前記保持アームは、前記保持デバイスの前記ベースプレートに対して本質的に垂直に配置されることができる。特に有利には、前記保持アームは、クランピングアームとして設計されることができ、特に、前記スリットに対して横断方向に弾力性を有することができる。前記保持構造における前記工具の取外しおよび配置は、本発明の一形態によれば、前記スリットが前記ベースの基端から当該ベースの先端への方向に拡幅すると特に容易である。これにより、未使用の器械と使用済みの器械の両方のほぼリスクのない取扱いが容易になるため、特に、前記保持構造における工具の廃棄がより怪我をしにくいものとなり、原理上存在する感染のリスクが軽減する。本発明のさらなる発展形態によれば、前記スリットに対向する前記保持アームの側部は、窪みを備えてよい。このような窪みは、前記スリットに挿入された前記工具のための係止ポケットを有利に形成することができるので、当該工具は、前記保持構造にしっかりと保持され、なおかつユーザによって容易に取り出されることができる。
【0026】
前記保持デバイスに保持された前記工具によるユーザの怪我を回避する、本発明の特にユーザフレンドリーな構成例は、前記保持デバイスが、前記ベースプレートから前記受容空間に突出しかつ接触することなく前記工具の先端または前記工具の刃の鋭利な構造を覆う保護ラグを含むと規定する。このようにして、ユーザは、内部に前記工具を保持した前記保持デバイスを取り扱うときに、当該工具のいかなる鋭利な刃による怪我からも保護される。
【0027】
本発明の一構成例によれば、前記パッケージはブリスターとして形成される。このようなブリスターは安価であり、前記製品および/または保持デバイスのほとんどどのような形状に合わせても製造されることができる。好ましくは、前記ブリスター包装材は、前記工具のための前記受容空間を形成する凹みを備える下側シェルを有してよい。このような下側シェルは、前記保持デバイスおよび工具の前記向き安定的な位置決めのために十分な安定性および形状を備えて簡単に形成されることができる。前記下側シェル上に既知のように配置された蓋箔を用いて、前記受容空間は望ましいように、特に密封してかつ/または無菌的に閉じることができる。前記データキャリアは、前記下側シェル上または前記蓋箔上に位置決めされることができる。
【0028】
前記本発明のさらなる構成例によれば、前記パッケージは、例えばざるの形をしたキャリア要素を含んでよい。当該キャリア要素は、前記保持デバイスおよび当該保持デバイス上に保持された前記工具とともに、特にそれぞれの工具を保持した複数の保持デバイスとともに、前記パッケージ内に配置されることができる。このようなキャリア要素を用いて、内部に工具を保持した数個の保持デバイスは特に容易にかつ同時に取り扱われることができ、例えば、これらの保持デバイスは滅菌されることおよび/または器械台に載置されることができる。
【0029】
本発明のさらなる構成例によれば、前記保持デバイスは、例えば色付きの設計を有することによって、コード化されることができる。このようにして、本発明は、異なる製品が、ユーザによって容易に区別されることができるようにコード化されることができるだけでなく、特定の工具のこのようなコード化またはマーキングが、当該工具が前記パッケージから開梱された後でも残り、当該それぞれの工具に割り当てることができるシステムを特に簡単に提供することができる。特に、既に開梱され、器械台上または滅菌設備での使用準備が完了した工具が、前記ユーザによって特に容易かつ確実に識別されることができる。異なる工具および/または保持デバイスは、例えば、それらの指標または特定の製品群などに関して、好ましくは、前記保持デバイスの異なる色を用いて識別されることができる。このようにして、不正確な組み合わせを回避することができる。このようにして、工具の不正確な組み合わせは、前記パッケージの内外において、特にプラスチック射出成形部品として設計される前記保持デバイスの前記カラーリングによって回避されることができる。
【0030】
本発明のさらなる構成例によれば、前記保持デバイスは、成形プラスチック部品として形成されてよい。本発明のさらなる発展形態によれば、前記保持デバイスが多成分射出成形品として形成されれば、当該保持デバイスは、例えば、特に良好な滑り止め底面を備えることができる。これにより、処理作業中の器械台上および/またはざるなどのキャリア要素上での前記保持デバイスの安定した配置を可能にする。また、これにより、未使用の工具を取り外すときおよび使用済みの工具を挿入するときの前記保持デバイスの取り扱いが非常に容易になる。特に、前記データキャリアは、前記保持デバイスの中に成形/注入されることができる。
【0031】
特定の医療工具を使用している最中のユーザが、どの工具を現在使用しているのか、または使用しようとしているのか、および/またはハンドルユニットに載置されているのか/載置しようとしているのかについての情報を、ラベルまたは前記外装材を見なくても、安全に、容易に、迅速にかつ特に自動的に得ることができるということが本発明の特別な利点である。特に、ユーザは、使用している前記製品が、特定の用途に適切であるか不適切であるかを自動的かつ容易に認識することができる。本発明のさらなる利点は、ユーザが、問題となっている前記工具のどの在庫が倉庫(場合によっては委託倉庫)にまだあるかということを、在庫確認をしなくても容易に分かるということである。
【0032】
本発明は、前記ユーザだけでなく、包装された医療デバイスおよび工具の前記サプライヤにも本質的な利益をもたらす。すなわち、本発明により、前記サプライヤは、どの製品/工具が組み合わされたかおよび/または使用されたかを特に容易に判断することができるようになる。さらに、前記サプライヤは、工具の過負荷および任意の関連する製品の損傷を追跡することができる。最後に、本発明により、サプライヤは、カスタマイズされたロジスティックスを顧客に提示することが可能になる。
【0033】
要約すると、本発明により、使用される前記それぞれの製品の、特にハンドルまたは駆動ユニットに挿入される前記それぞれの工具の、認識、特に自動的な認識が可能になると言うことができる。さらに、本発明により、特に簡単かつほぼエラーが防止されたメンテナンス、および/または前記データキャリアに書き込まれた任意の製品関連のデータの伝送が可能になる。本発明により、特に次の利点が得られる。
―ユーザとプロバイダの両者のために直接的で、自動化した製品識別(サプライチェーン管理(SCM)、サービス、エラー解析)
―前記ユーザおよび/または前記プロバイダへの任意数の追加データの伝送(サプライチェーン管理(SCM)、サービス、不良解析)
―前記ユーザのために、本発明は、適時に患者記録に製品関連データを自動的に記録する方法を創出する。
【0034】
言い換えれば、本発明は、無菌パッケージの構成部品を形成するように、当該パッケージ内に受容または形成されるように適応させて設けられる工具受けまたは工具支持体を提供する。前記工具支持体は、好ましくは一つの材料からなる、ベースまたはベースプレート上に配置される、少なくとも一つの、好ましくは数個の、(軸方向に)離間したシャフト受容クランプ(各々が二つのばね弾性的なクランピングアーム/クランピングジョーまたはばね弾性的に搭載されたクランピングアーム/クランピングジョー)を有し、好ましくは各々が工具シャフトを(部分的に)包囲するように受容するための少なくとも一つまたは数個の膨出部を形成する。
【0035】
前記工具受けクランプ内での前記工具/工具シャフトの軸方向移動を防止するために、二つの(軸方向に)離間したエンドストップが前記ベースプレート上に設けられる/搭載可能である。
【0036】
前記可読データキャリア(タグ)は、特に前記ベースプレート上/内で、軸方向に前記二つのエンドストップ間に、かつ好ましくは軸方向に二つのシャフト支持体クランプ間に載置されることができる。
【0037】
本発明のさらなる特徴および利点は、図面を用いる本発明の次の例示的かつ非制限的な説明から明らかになるだろう。これらは、本質的に概略的なものに過ぎず、本発明を理解するためにのみ役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、本発明に係るパッケージの一構成例の斜視図を示す。
図2図2は、本発明に係るパッケージの一構成例の斜視図を示す。
図3図3は、内部に工具を保持した保持デバイスの斜視図を示す。
図4図4は、内部に工具を保持した保持デバイスの斜視図を示す。
図5図5は、図4の拡大した細部を示す。
図6図6は、各々が内部に工具を保持した複数の保持デバイスを示す。
図7図7は、長手軸を横断する保持デバイスの保持構造を通る当該保持デバイスの断面図を示す。
図8図8は、長手軸の方向における保持デバイスの断面図を示す。
図9図9は、図2の前記保持デバイスの平面図を示す。
図10図10は、図9の前記保持デバイスの断面図を示す。
【0039】
図1および図2は、各々、本発明に係るパッケージ1の一構成例を示す。これは、内部に形成された凹み4と当該凹み4を包囲する縁5とを備える下側シェル3を備えるブリスター2の形をした外装材2を含む。当該外装材2は、前記下側シェル3の前記周縁5上に配置されかつ前記凹み4を密封する蓋箔6も含み、当該蓋箔6は、図1および図3のそれぞれにおいて部分的に開けられた状態で示されている。前記下側シェル3と前記蓋箔6は両方とも吸収性材料で作られることができる。
【0040】
図1の前記外装材2の前記凹み4には、内部に工具8を保持した保持デバイス7が、包装された製品の一例として配置されている(図3も参照)。本実施形態における前記工具8はドリル8であり、当該ドリル8の先端には、ドリルヘッド9の形をした手術部9が形成され、当該ドリル8の基端には、当該工具8を駆動ハンドルユニットの工具受け(図示せず)に配置するための結合構造10が形成されている。前記工具8は、前記手術部9と前記結合構造10の間に細長い工具シャフト11を有する。
【0041】
本発明によれば、ここでは電波による可読/記録可能なデータキャリアの形、例えばNFCタグまたはRFIDタグ42の形をしたデータキャリア42が、図1に示す前記構成例の前記保持デバイス7上に配置される。図2の前記構成例では、この場合もRFIDタグ42の形をしたデータキャリア42が、前記外装材2上に配置されている。前記各工具8に固有のデータは、図1および図2の前記データキャリア42に記憶される。
【0042】
図1の前記構成例の前記保持デバイス7は、図3では前記外装材2のない状態で示されている。前記保持デバイス7はプラスチック成形部品として設計され、再吸収性の材料によって全体的に構成され、ベースプレート12を有する。当該ベースプレート12の基端には第一の保持構造13が形成されている。この保持構造13は、二つの保持アーム14、15を含み、当該保持アーム14、15は互いに対して平行であり、前記ベースプレート12から前記工具8の方向に本質的に直交して延出し、当該ベースプレート12に接続されている。前記保持アーム14、15の間には、前記工具8の前記結合構造10のための受部としてスリット16が形成されている。前記ベースプレート12の中央には第二の保持構造17が形成され、当該第二の保持構造17は、当該ベースプレート12から前記第一の保持構造13と同じ方向に延出している。前記第二の保持構造17も二つの保持アーム19、20を有し、当該保持アーム19、20は互いに対向し、互いの間に受容スリット18を形成し、両方とも前記ベースプレート12に対して本質的に直交して配置されている。前記第一の保持構造13と前記第二の保持構造17の間には第三の保持構造23が形成されているが、当該第三の保持構造23は前記第二の保持構造17と本質的に同様であるため、さらなる説明はしない。前記データキャリア42は、前記工具8に対向する前記ベースプレート12の側に配置され、この場合は貼着されている。
【0043】
図4は、ここではミーリングアダプタ21の形をした別の工具21と、電波による可読/記録可能なデータキャリアの形、例えばNFCタグまたはRFIDタグ42の形をした別のデータキャリア42とを備える、図3の前記保持デバイス7と同様の保持デバイス7を示す。図1および図3の前記ドリル8のように、前記ミーリングアダプタ21は、結合構造10および工具シャフト11を有しており、当該ミーリングアダプタ21の先端側の手術部22がミーリングヘッド22として形成されている点で前記ドリル8とは異なっている。それでもなお、本発明は、前記ドリル8および前記ミーリングヘッド21が同じ保持デバイス7に収容されることを可能にする。前記データキャリア42は、この場合も前記ベースプレート12上で、前記ミーリングアダプタ21の前記結合構造10の近くに配置されている。前記データキャリア42はアンテナ回路43に接続されている。この回路は、二つのコンタクト44aおよび44bを有し、当該コンタクト44aおよび44bは、前記工具21が図4で意図されているように前記保持デバイス7に配置されているときには互いに電気的に分離しているため、前記アンテナ回路43は遮断されている。別の構成例によれば、前記アンテナ回路は、前記保持デバイス7の下側にあることができ、かなり大型であることができる。図示の回路の閉鎖は、前記アンテナ回路の機能が次にそこでアクティブにされることを表す。同様に、前記回路の閉鎖は、その他の構造的な設計によって、例えば板ばねなどによって達成することもできる。しかし、基本的な思想は、前記工具が取り外されているときに回路が常に閉じられているか開かれているということである。
【0044】
図4に示す前記構成例では、前記二つのコンタクト44aおよび44bは、前記第三の保持構造23の領域に設けられている。しかし、前記コンタクト44aおよび44bは、前記保持デバイス7の異なる領域に設けられることも考えられる。例えば、前記コンタクト44aは、前記第三の保持構造23の領域に/前記第三の保持構造23に設けられる/配置されることができ、前記コンタクト44bは、前記第一の保持構造13の領域に/前記第一の保持構造13に設けられる/配置されることができる。前記工具21が前記保持デバイス7に配置されていれば、前記アンテナ回路43は、この場合、遮断/閉塞されていることも好ましい。前記コンタクト44aおよび44bが前記保持デバイス7の異なる領域に設けられれば、前記工具なしでの意図しない接触がより効果的に回避されることができる。
【0045】
図5は、前記保持デバイス7の前記第二の保持構造17を、拡大した詳細図で示す。互いに対向する前記保持アーム19、20の側面は、各々が異なる直径の工具シャフト11を受容するための、上下に配置された異なる大きさの二つの窪み24、25を各々備える(図7も参照、図7は、前記第二の保持構造17を前記工具8、21の長手軸を横断する断面図で示す)。前記保持アーム19、20は、特定の弾性ばねの性質を有し、互いに対してばね移動を行うことができるので、前記スリット18は、工具8、21が挿入されたときに拡幅することができ、前記保持アーム19、20は、当該対応する工具8、21の前記シャフト11が前記窪み24、25に配置されるとすぐに各自の元の位置に跳ね戻る。このようにして、前記工具8、21は、前記保持デバイス7にしっかりと保持される。特に、前記工具8、21は、前記保持アーム19、20の間に挟持されて保持されることができる。しかし、前記工具8、21が前記窪みにあるときは、前記保持アーム19、20は、各自の元の位置に完全に跳ね戻るのではなく、特定の量だけ互いに離間したままであるので、前記データキャリアに電気的に接続された前記アンテナ回路43の前記二つのコンタクト44a、44bは互いに分離しており、当該アンテナ回路43は遮断されている。前記工具8、21が前記二つの保持アーム19、20の間にある前記スリット18から取り除かれたときにのみ、当該保持アーム19、20は、各自の元の位置に完全に跳ね戻ることができ、当該位置では、前記二つのコンタクト44a、44bは互いに接触しているため、前記工具8、21が取り外されているときは、前記アンテナ回路43が閉じられ、当該アンテナ回路43に電気的に接続された前記データキャリア42が読み出されることができる。
【0046】
前記第一の保持構造13とは反対側の前記ベースプレート12の端(手術部側)には保護ラグ38が配置されている。当該保護ラグ38は、まず傾斜部39が斜角(ここでは約45°)で前記ベースプレート12から突出し、次に端部40へとさらなる角度だけ曲がっているので、前記ベースプレート12とは異なる方を向く当該保護ラグ38の端は、当該ベースプレート12に対してほぼ横断的に配置されている。特に図8が示すように、前記保護ラグ38は、前記手術部9、22のそれぞれの先端が接触せずに覆われる程度まで前記ベースプレート12から突出している。前記保護ラグ38のこの設計により、例えば器械台から図6に示す位置から、ユーザが把持するための前記傾斜部39の形で良好なグリップの可能性が生じ、当該ユーザによる前記手術部の接触が安全に防止されることができ、したがって怪我のリスクを最小限にすることができる。図8は、前記ベースプレート12の前記下側に張り付けられた、例えばNFCタグまたはRFIDタグ42の形をした、電波による可読/記録可能なデータキャリアも示している。
【0047】
図6は、異なる工具8、21が、シャフト11と、前記基端における結合構造10とを備える実質的に同様の基本的な形状を有し、実際にはそれぞれの手術部9、22に関してのみ異なっている限りは、当該保持デバイス7が、当該異なる工具8、21を受容して保持するのに適しているということを示している。図6に例示的に示されているのは、前記ドリル8、前記ミーリングアダプタ21、ねじ切りアダプタ36および研削アダプタ37であり、当該アダプタ36、37のシャフト径は、当該アダプタ8、21のシャフト径よりも小さいので、当該アダプタ36、37は、より径の小さい前記窪み24に配置され、当該アダプタ8、21は、より径の大きい前記窪み25に配置されている。さらに、図6および図3からは、前記保持デバイス7(下記の保持デバイス26にも同じことが当てはまる)は、包装された状態、すなわち、図1および図2に示す状態で、前記工具8、21の位置を固定することに加えて、例えば当該工具が手術の途中または滅菌中に提供されるときに、当該工具を置くために、前記外装材2とは別々に使用されることができる保持デバイスとして使用されることができるということが分かる。前記ベースプレート12、30の前記下側41はこの目的のために底面41を形成しており、当該底面41で、内部に工具を保持した前記保持デバイス7、26が安定して載置されることができる。最後に、図6は、前記保持デバイス7に工具8、21がないときに前記アンテナ回路43の前記二つのコンタクト44aと44bが互いに接触していることを示している。図5は間隔を示しており、前記工具が取り外されているときに接続するだろう。
【0048】
内部に工具27を保持した保持デバイス26は、図2の前記外装材2の前記凹み4内に配置されている。前記工具27は、本実施形態では鋸断アダプタ27であり、当該工具27の先端には、鋸ブレードの形をした手術部28が形成され、当該工具27の基端には、ドライブハンドルユニットの工具受け(図示せず)に当該工具27を配置するための結合構造29が形成されている。
【0049】
図9および図10に示すように、前記保持デバイス26はベースプレート30を含み、当該ベースプレート30の上側には、例えばNFCタグまたはRFIDタグ42の形をした、電波による可読/記録可能なデータキャリアが、工具固有のデータを有するデータキャリアとして取り付けられている。前記ベースプレート30上にも、当該ベースプレート30を横断する方向に当該ベースプレート30から離間した第一の保持構造31および第二の保持構造32が配置されている。図9および図10の前記保持デバイス26は、異なる形状および/または大きさの鋸断アダプタを収容することができるように、合計で三つの第一の保持構造31および三つの第二の保持構造32を備えている。前記三つの異なる保持構造31、32は基本的に同一の設計なので、各々のうちの一つのみを下記で説明する。
【0050】
前記第一の保持構造31は、前記ベースプレート30に向かう方向にばね移動を行うことができるばねアーム33を有する。前記ベースプレート30とは異なる方を向く側に、前記ばねアーム33は、ここではスナップ嵌め凸部34の形をした掛止構造34を備え、当該掛止構造34は、前記鋸断アダプタ27の前記結合構造29と相互作用することができ、したがって、前記第二の保持構造32に対して所定の位置にかつ前記ベースプレート30に平行な方向に当該鋸断アダプタ27を固定することができる。前記第二の保持構造32はスリット35として形成され、当該スリット35の中を、前記鋸断アダプタ27の前記結合構造は、前記第一の保持構造31および前記凸部34と係合するまで押し通されることができる。前記スリット35は、前記鋸断アダプタ27が、前記ベースプレート30を横断する向きおよび当該ベースプレート30と平行なもう一方の方向に位置決めされるように寸法が設定される。前記スリット35および前記ばねアーム33は、前記鋸断アダプタ27が、当該鋸断アダプタ27が前記ばねアーム33における弾発によって前記スナップ嵌め凸部34に掛止される当該鋸断アダプタ27の意図する位置にのみ持ってくることができるように、互いに対して設計されて位置決めされる。
【0051】
前記鋸断アダプタ27を取り外すために、前記ばねアーム33は、前記鋸断アダプタ27の前記結合構造が前記スナップ嵌め凸部34から解放されることができ、当該鋸断アダプタ27が前記ベースプレート30に平行な方向に前記スリット35から引き抜かれることができるように、前記ベースプレート30の方向にオペレータによって手動で変形させることができる。使用済みの鋸断アダプタ27は、前記スリット35の中を前記スナップ嵌め凸部34の方向に当該使用済みの鋸断アダプタ27を再び押し通すことによって、途中の保管および/または廃棄のために、特に容易に前記保持デバイス26に再配置されることができ、前記ばねアーム33は、前記スナップ嵌め凸部34が前記鋸断アダプタ27の前記結合構造29と係合するまで撓み、当該鋸断アダプタ27は、前記保持デバイス26内の所定の位置に固定される。
【0052】
前記データキャリア42のアクティベーションは、図9および図10に示す前記構成例において次のように実現されることができる。すなわち、受容ポケットとして形成された各第二の保持構造32はボタンとして設計/形成されてよい。例えば、各受容ポケットは、塗布された導電トレースまたは撚り線を含む。前記鋸断アダプタ27は回路を閉じるように構成/設計されている。これは、好ましいことに、前記鋸断アダプタ27が導電性の材料、特に金属で作られているか、少なくとも溶着金属などの導電性の層を有する(前記鋸断アダプタ27が例えば、セラミック、プラスチックまたは複合材料で作られている場合)ため実現されることができる。例えば、前記保持デバイス26からの前記鋸断アダプタ27の取り外し時に、当該鋸断アダプタ27を通る前記回路が(一時的に)閉じられてもよく、前記データキャリア42がアクティブにされてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 パッケージ
2 パッケージ/外装材
3 下側シェル
4 凹み、受容空間
5 縁
6 箔蓋
7 保持デバイス
8 製品、工具、ドリルアダプタ
9 手術部、ドリルヘッド
10 結合構造
11 工具シャフト
12 ベースプレート
13 第一の保持構造
14 保持アーム
15 保持アーム
16 スリット
17 第二の保持構造
18 受容スリット
19 保持アーム、クランピングアーム
20 保持アーム、クランピングアーム
21 工具、ミーリングアダプタ
22 手術部、ミーリングヘッド
23 第三の保持構造
24 窪み
25 窪み
26 保持デバイス
27 工具、鋸断アダプタ
28 手術部、鋸ブレード
29 結合構造
30 ベースプレート
31 第一の保持構造
32 第二の保持構造
33 ばねアーム
34 ラッチ構造、スナップ嵌め凸部
35 スリット
36 鋸断アダプタ
37 研磨アダプタ
38 保護ラグ
39 傾斜部
40 端部
41 底面
42 非接触的に可読/記録可能なデータキャリア、RFIDタグ、NFCタグ
43 アンテナ回路
44a、44b コンタクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10