(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】付加製造用のレーザ制御システム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20240801BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20240801BHJP
B23K 26/062 20140101ALI20240801BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240801BHJP
B29C 64/268 20170101ALI20240801BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240801BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240801BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240801BHJP
B22F 10/28 20210101ALI20240801BHJP
B22F 12/42 20210101ALI20240801BHJP
B22F 12/49 20210101ALI20240801BHJP
【FI】
B23K26/00 M
B23K26/34
B23K26/062
B29C64/393
B29C64/268
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B22F10/28
B22F12/42
B22F12/49
(21)【出願番号】P 2021526366
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 US2020014582
(87)【国際公開番号】W WO2020154381
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2023-01-23
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518009515
【氏名又は名称】ヴァルカンフォームズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コムスタ,ヤン,パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ダンバー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】スイートランド,マシュー
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-290588(JP,A)
【文献】特表2018-518601(JP,A)
【文献】特開2011-215275(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/34
B23K 26/062
B29C 64/393
B29C 64/268
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/02
B22F 10/28
B22F 12/42
B22F 12/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザアレイを制御するためのレーザ制御システムであって、
前記レーザアレイの2次元平面内の位置を検出して、位置信号を生成するように構成された位置センサであって、前記レーザアレイが複数のレーザエネルギー源を備える、位置センサと、
前記位置センサから前記位置信号を受信し、前記位置信号を分割し、前記分割された位置信号を複数のレーザ制御モジュールに送信するように構成された第1のプロセッサであって、前記複数のレーザ制御モジュールは、前記複数のレーザエネルギー源の同期された位置ベースの制御を提供するように構成されている、第1のプロセッサとを備え、
各レーザ制御モジュールが、前記レーザアレイの前記複数のレーザエネルギー源の部分集合の動作を制御するように構成され、各レーザ制御モジュールが、前記第1のプロセッサから受信された前記分割された位置信号に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のレーザエネルギー源の前記部分集合のうちの1つ又は複数のレーザエネルギー源をトリガするように構成された少なくとも1つのプロセッサを含む、レーザ制御システム。
【請求項2】
各レーザ制御モジュールの前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のプロセッサに動作可能に結合された第2のプロセッサであって、
前記分割された位置信号を受信し、
前記分割された位置信号をレーザトリガ位置のリストと比較し、
前記分割された位置信号と前記レーザトリガ位置のリストとの前記比較に少なくとも部分的に基づいて、トリガ信号を生成する、ように構成された第2のプロセッサと、
前記第2のプロセッサ及び前記複数のレーザエネルギー源に動作可能に結合された第3のプロセッサであって、
前記トリガ信号を受信し、
前記トリガ信号を受信すると、前記複数のレーザエネルギー源の関連付けられた前記部分集合に発射信号を送信する、ように構成された第3のプロセッサと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記レーザアレイが、構築面と光学アセンブリとを備える付加製造システムの一部を形成し、前記光学アセンブリは、前記構築面に対して移動可能であり、前記構築面にレーザエネルギーピクセルのアレイを形成するために前記レーザアレイから前記構築面に向けてレーザエネルギーを指向するように構成され、
前記2次元平面が、前記付加製造システムによって構築される部品の単一の層に対応する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のレーザエネルギー源の前記部分集合が、前記レーザトリガ位置のリストの第1のレーザトリガ位置に対応する第1のレーザパターンに基づいて選択され、前記第3のプロセッサが、前記発射信号の送信後に、前記レーザトリガ位置のリストの第2のレーザトリガ位置に対応する第2のレーザパターンに移行するようにさらに構成され、前記第3のプロセッサが、第2のトリガ信号を受信すると、前記複数のレーザエネルギー源の第2の部分集合に第2の発射信号を送信するようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第3のプロセッサが、前記複数のレーザエネルギー源の個々のレーザエネルギー源を制御するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数のレーザエネルギー源の前記部分集合の各レーザエネルギー源が、前記第3のプロセッサから前記発射信号を受信すると、出力設定をトグルするように構成され、前記出力設定が、パルス幅変調設定、オン又はオフ状態、アナログ出力、及びオンタイムから選択される少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2のプロセッサが、前記レーザトリガ位置のリストを記憶するように構成された第1のメモリを備え、前記第3のプロセッサが、複数のレーザパターンを記憶するように構成された第2のメモリを備え、前記レーザトリガ位置のリストの各レーザトリガ位置が、前記複数のレーザパターンのうちの1つ又は複数のレーザパターンに対応し、前記複数のレーザパターンの各レーザパターンが、前記複数のレーザエネルギー源の各レーザエネルギー源に関する発射状態を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記位置センサが、第1の周波数で位置信号を生成するように構成され、前記第2のプロセッサが、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数でトリガ信号を生成するように構成され、前記第1の周波数が1MHz~50MHzであり、前記第2の周波数が1Hz~1MHzである、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のレーザエネルギー源の各レーザエネルギー源の相対位置が、前記レーザアレイ内で固定されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記位置信号が、エンコーダ信号、及び/又はタイミング信号に基づく推定位置のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
各レーザ制御モジュールの前記少なくとも1つのプロセッサが、1つ若しくは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ及び/又は1つ若しくは複数の特定用途向け集積回路を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数のレーザエネルギー源の各レーザエネルギー源が独立して制御可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
レーザアレイを制御する方法であって、
複数のレーザエネルギー源を備えるレーザアレイの2次元平面内の位置を決定することと、
複数のレーザ制御モジュールの第1のレーザ制御モジュールの少なくとも1つのプロセッサで、前記レーザアレイの前記位置に対応する位置信号を受信することであって、前記複数のレーザ制御モジュールは、前記複数のレーザエネルギー源の同期された位置ベースの制御を提供するように構成されている、ことと、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記位置信号を分割することと、
前記少なくとも1つのプロセッサで、前記分割された位置信号を前記複数のレーザ制御モジュールに送信することと、
前記分割された位置信号に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のレーザエネルギー源の少なくとも1つの部分集合のうちの1つ又は複数のレーザエネルギー源をトリガするように、前記第1のレーザ制御モジュールを使用して前記複数のレーザエネルギー源の前記少なくとも1つの部分集合の動作を選択的に制御することと、
を含む方法。
【請求項14】
前記1つ又は複数のレーザエネルギー源を選択的に制御することが、
前記位置信号をレーザトリガ位置のリストと比較すること、
前記位置信号と前記レーザトリガ位置のリストとの前記比較に基づいて、トリガ信号を生成すること、
第2のコントローラで前記トリガ信号を受信すること、及び
前記トリガ信号を受信すると、前記複数のレーザエネルギー源のうちのレーザエネルギー源の部分集合に発射信号を送信すること
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記レーザエネルギー源の部分集合が、前記レーザトリガ位置のリストの第1のレーザトリガ位置に対応する第1のレーザパターンに基づいて選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記発射信号の送信後に、前記レーザトリガ位置のリストの第2のレーザトリガ位置に対応する第2のレーザパターンに移行すること、及び
第2のトリガ信号を受信すると、第2の発射信号をレーザエネルギー源の第2の部分集合に送信することをさらに含み、
前記レーザエネルギー源の第2の部分集合が前記第2のレーザパターンに基づいて選択され、前記第2のトリガ信号が前記第2のレーザトリガ位置に対応する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記位置信号が、第1の周波数を有し、前記トリガ信号が、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記発射信号を受信すると、前記レーザエネルギー源の部分集合の各レーザエネルギー源の出力設定をトグルすることをさらに含み、前記出力設定が、パルス幅変調設定、オン/オフ状態、アナログ出力、及び/又はオンタイムの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記トリガ位置のリストを第1のコントローラの第1のメモリに保存すること、及び
前記第2のコントローラの第2メモリに複数のレーザパターンを記憶すること、
をさらに含み、
前記レーザトリガ位置のリストの各レーザトリガ位置が、前記複数のレーザパターンのうちの1つ又は複数のレーザパターンに対応し、前記複数のレーザパターンの各レーザパターンが、前記複数のレーザエネルギー源の各レーザエネルギー源に関する発射状態を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
構築面と、
複数のレーザエネルギー源と、
前記構築面に対して移動可能であり、前記構築面にレーザエネルギーピクセルのアレイを形成するために前記複数のレーザエネルギー源から前記構築面に向けてレーザエネルギーを指向するように構成された光学アセンブリであって、前記アレイ内の各レーザエネルギーピクセルの相対位置が固定され、前記構築面に対する前記光学アセンブリの移動が、前記構築面に対して前記複数のレーザエネルギー源を移動させる、光学アセンブリと、
前記光学アセンブリの2次元平面内の位置を検出して、位置信号を生成するように構成された位置センサと、
レーザ制御システムと、
を備える付加製造システムであって、
前記レーザ制御システムが、前記位置センサから前記位置信号を受信し、前記位置信号を分割し、前記分割された位置信号を複数のレーザ制御モジュールに送信するように構成された第1のプロセッサであって、前記複数のレーザ制御モジュールは、前記複数のレーザエネルギー源の同期された位置ベースの制御を提供するように構成されている、第1のプロセッサを備え、各レーザ制御モジュールが、前記複数のレーザエネルギー源の部分集合の動作を制御するように構成され、各レーザ制御モジュールが、前記第1のプロセッサから受信された前記分割された位置信号に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のレーザエネルギー源の前記部分集合のうちの1つ又は複数のレーザエネルギー源をトリガするように構成された少なくとも1つのプロセッサを含む、
付加製造システム。
【請求項21】
前記位置センサが、アクチュエータのエンコーダを備え、前記位置信号が、前記アクチュエータからのエンコーダ信号を含み、前記エンコーダが、第1の周波数で前記エンコーダ信号を生成し、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第1の周波数よりも低い第2の周波数でトリガ信号を生成するように構成され、前記少なくとも1つのプロセッサからの前記トリガ信号が、各レーザ制御モジュールの前記少なくとも1つのプロセッサの第2のプロセッサに前記トリガ信号を送達するために分割される、請求項20に記載の付加製造システム。
【請求項22】
前記位置センサが、タイミング信号、及び前記光学アセンブリに関する位置プロファイルに基づいて、前記光学アセンブリの位置を推定するように構成される、請求項20に記載の付加製造システム。
【請求項23】
各レーザ制御モジュールの前記少なくとも1つのプロセッサが、フィールドプログラマブルゲートアレイ、特定用途向け集積回路、及び/又は各々が前記複数のレーザエネルギー源のレーザエネルギー源に結合された複数のデジタル出力、のうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の付加製造システム。
【請求項24】
各制御モジュールの前記少なくとも1つのプロセッサが、レーザトリガ位置のリストを記憶するように構成された第1のメモリを備え、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記第1のプロセッサから受信された前記分割された位置信号と前記レーザトリガ位置のリストとの比較に少なくとも部分的に基づいてトリガ信号を生成するように構成され、各レーザ制御モジュールの前記少なくとも1つのプロセッサが、複数のレーザパターンを記憶するように構成された第2のメモリをさらに備え、前記レーザトリガ位置のリストの各レーザトリガ位置が、前記複数のレーザパターンのうちの1つ又は複数のレーザパターンに対応する、請求項20に記載の付加製造システム。
【請求項25】
前記位置センサが、第1の軸に沿った前記光学アセンブリの位置を検出するように構成された第1の位置センサと、第2の軸に沿った前記光学アセンブリの位置を検出するように構成された第2の位置センサとを含み、前記位置信号が、前記第1の軸及び/又は前記第2の軸に沿った前記光学アセンブリの位置に対応する、請求項20に記載の付加製造システム。
【請求項26】
前記複数のレーザエネルギー源の各レーザエネルギー源が独立して制御可能である、請求項20に記載の付加製造システム。
【請求項27】
前記2次元平面が、前記付加製造システムによって構築される部品の単一の層に対応する、請求項20に記載の付加製造システム。
【請求項28】
各レーザ制御モジュールの前記少なくとも1つのプロセッサが、
前記第1のプロセッサから前記分割された位置信号を受信し、前記第1のプロセッサから受信された前記分割された位置信号に少なくとも部分的に基づいてトリガ信号を生成するように構成された第2のプロセッサと、
前記トリガ信号を受信し、前記トリガ信号を受信すると、前記レーザエネルギーピクセルのアレイの部分集合を選択的にアクティブ化するように前記複数のレーザエネルギー源の部分集合に発射信号を送信するように構成された第3のプロセッサと、を含む、請求項20に記載の付加製造システム。
【請求項29】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記分割された位置信号に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のレーザエネルギー源の前記部分集合のうちの前記1つ又は複数のレーザエネルギー源をトリガして、構築面上の材料を溶融して部品を形成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記複数のレーザエネルギー源の前記少なくとも1つの部分集合の動作を選択的に制御することは、前記第1のレーザ制御モジュールを使用して、前記分割された位置信号に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のレーザエネルギー源の前記少なくとも1つの部分集合のうちの前記1つ又は複数のレーザエネルギー源をトリガして、構築面上の材料を溶融して部品を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記分割された位置信号に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のレーザエネルギー源の前記部分集合のうちの前記1つ又は複数のレーザエネルギー源をトリガして、構築面上の材料を溶融して部品を形成するように構成されている、請求項20に記載の付加製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本出願は、2019年1月23日出願の「付加製造用のレーザ制御システム」という名称の米国仮特許出願第62/795,693号の米国特許法第119条(e)に基づく優先権を主張するものであり、上記仮特許出願の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
分野
[0002] 開示される実施形態は、レーザ制御システム及び関連の方法に関する。いくつかの実施形態は、付加製造システム用のレーザ制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 粉末床溶融プロセスは、付加製造プロセスの一例であり、層ごとのプロセスで材料を選択的に接合することによって3次元形状が形成される。金属粉末床溶融プロセスでは、金属粉末の薄層にわたって1つ又は複数のレーザビームが走査される。レーザ出力、レーザスポットサイズ、及び/又はレーザ走査速度などの様々なレーザパラメータが、送達されるエネルギーが金属粉末の粒子を溶融するのに十分であるレジーム内にある場合、1つ又は複数のメルトプールを構築面に確立することができる。固化されたメルトプールのトラックが、3次元印刷部品の2次元スライスに対応する形状を作成するように、レーザビームは所定の軌道に沿って走査される。層の完成後、粉末表面は所定の距離でインデックスが付けられ、次の粉末層が構築面に広げられ、レーザ走査プロセスが繰り返される。多くの用途では、下層の部分的な再溶融と、連続する層の融合とを行えるように、層の厚さとレーザ出力密度とを設定することができる。層のインデックス付け及び走査は、所望の3次元形状が製造されるまで複数回繰り返される。
【0004】
[0004] シングルレーザシステムとマルチレーザシステムとの両方が使用される。いくつかのシステムは、ガルバノメータに取り付けられた1対のミラーを使用して、構築面での所望のパターンにわたって各レーザビームを走査する。いくつかのシステムは、モーションステージを使用して、構築面にわたってレーザを走査する。いくつかのシステムは、モーションステージとガルバのメータとの組合せを使用して、構築面にわたってレーザを走査する。走査法の一部としてガルバノメータを使用するシステムは、多くの場合、f-θ又はテレセントリックレンズを使用して、所与の構築面サイズに関して、構築面へのレーザビームの入射角をできるだけ垂直に近く保つ助けをする。任意のレーザ経路の最終的な光学構成要素(例えば、最終的な光学系、ガルバノメータ、ミラー、テレセントリックレンズ、又はf-θレンズ)間の間隔は、数ミリメートルから100センチメートル以上のオーダーであり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
[0005] 一実施形態では、レーザアレイを制御するためのレーザ制御システムは、レーザアレイの位置を検出して位置信号を生成するように構成された位置センサを備える。レーザアレイは、複数のレーザ源を備える。レーザ制御システムは、位置信号に基づいて、複数のレーザエネルギー源のうちの1つ又は複数のレーザエネルギー源をトリガするように構成されたコントローラをさらに備える。
【0006】
[0006] レーザ制御システムの特定の実施形態では、コントローラは、位置センサに動作可能に結合された第1のコントローラを備える。第1のコントローラは、位置信号を受信し、位置信号をレーザトリガ位置のリストと比較し、位置信号とレーザトリガ位置のリストとの比較に基づいてトリガ信号を生成するように構成される。コントローラは、第1のコントローラ及び複数のレーザ源に動作可能に結合された第2のコントローラも含む。第2のコントローラは、トリガ信号を受信し、トリガ信号を受信すると、複数のレーザ源のうちのレーザ源の部分集合に発射信号を送信するように構成される。
【0007】
[0007] 別の実施形態では、レーザアレイを制御する方法は、複数のレーザエネルギー源を備えるレーザアレイの位置を決定すること、及びレーザアレイの位置に基づいて1つ又は複数のレーザエネルギー源の動作を選択的に制御することを含む。
【0008】
[0008] この方法のいくつかの実施形態では、レーザアレイの位置を決定することは、第1のコントローラを用いて位置信号を受信することを含む。さらに、1つ又は複数のレーザエネルギー源を選択的に制御することは、位置信号をレーザトリガ位置のリストと比較し、位置信号とレーザトリガ位置のリストとの比較に基づいてトリガ信号を生成し、第2のコントローラを用いたトリガ信号を受信し、トリガ信号を受信すると、複数のレーザ源のうちのレーザ源の部分集合に発射信号を送信することを含む。
【0009】
[0009] さらなる実施形態において、付加製造システムは、構築面と、複数のレーザエネルギー源と、構築面に対して移動可能であり、構築面にレーザエネルギーピクセルのアレイを形成するために複数のレーザエネルギー源から構築面に向けてレーザエネルギーを指向するように構成された光学アセンブリとを備える。アレイ内の各レーザエネルギーピクセルの相対位置は固定される。このシステムは、光学アセンブリの位置を検出するように構成された位置センサと、レーザ制御システムとをさらに備える。レーザ制御システムは、位置センサから位置信号を受信し、位置信号に基づいてトリガ信号を生成するように構成された第1のコントローラと、トリガ信号を受信し、複数のレーザエネルギー源の部分集合に発射信号を送信し、トリガ信号を受信すると、レーザエネルギーピクセルのアレイの部分集合を選択的にアクティブ化するように構成された第2のコントローラとを備える。
【0010】
[0010] 本開示はこれに関して限定されないので、前述の概念、及び以下で論じる追加の概念は、任意の適切な組合せで構成することができることを理解されたい。さらに、本開示の他の利点及び新規の特徴は、添付図面と併せて考察すれば、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになろう。
【0011】
[0011] 本明細書と参照により援用する文書とが矛盾する及び/又は一致しない開示を含む場合、本明細書が優先されるものとする。参照により援用する2つ以上の文書が、互いに矛盾する及び/又は一致しない開示を含む場合、より遅い有効日の文書が優先されるものとする。
【0012】
図面の簡単な説明
[0012] 添付図面は、正確な縮尺で描くことを意図されていない。図面中、様々な図に示される同一又はほぼ同一の各構成要素は、同様の番号で表されることがある。見やすくするために、あらゆる図面ですべての構成要素に参照符号が付されているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]いくつかの実施形態による付加製造システムの概略図である。
【
図2】[0014]
図1の付加製造システムの一部分の概略図である。
【
図3】[0015]いくつかの実施形態による、光学アセンブリ、及び構築面でのレーザエネルギーのアレイの概略図である。
【
図4】[0016]いくつかの実施形態による、レーザ制御システムの概略図である。
【
図5】[0017]いくつかの実施形態による、レーザエネルギーのパターンと、レーザトリガ位置及びレーザ発射状態の関連の表との概略図である。
【
図6】[0018]いくつかの実施形態による、レーザ制御システムの概略図である。
【
図7】[0019]いくつかの実施形態による、レーザエネルギーのパターン及び関連のレーザ発射状態行列の概略図である。
【
図8】[0020]いくつかの実施形態による、レーザ制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
[0021] 金属粉末床溶融システムなど、レーザエネルギー源を利用するいくつかの付加製造システムでは、金属粉末にレーザ出力を選択的に供給して、望まれる場所で固体金属を生成し、残りの粉末は未溶融のままにすることによって付加製造プロセスが制御される。選択することができる複数のパラメータと、それらのパラメータが付加製造プロセスに及ぼす非常に非線形の相互作用とにより、これらのシステムの複雑性が生じ得ることを本発明者らは理解した。多くの場合に重要であるプロセスパラメータとしては、限定はしないが、レーザ出力、レーザスポットサイズ及び形状、レーザ出力分布、レーザ走査速度(すなわち、走査方向に沿った粉末床上でのレーザスポットの速度)、ハッチング距離(すなわち、連続する走査間の距離)、及び粉末層の厚さが挙げられる。レーザ出力や走査速度などいくつかのパラメータは、迅速に調節することができ、例えば単一部品のための製造プロセス中に何度も調節することができるが、レーザスポットサイズや出力分布など他のパラメータは、特定の付加製造システムのために設定することができる。所与の粉末サイズ及び材料に関して、これらのプロセスパラメータは、付加製造プロセス中に安定したメルトプールが実現され、最終的に製造された部品が完全に又はほぼ完全に稠密になるように選択される。
【0015】
[0022] いくつかの用途では、付加製造プロセスの最大速度は、安定したメルトプールを維持しながら個々のレーザスポットによって送達することができるエネルギー量によって制限される。特に、所与の材料に関して、典型的には、メルトプールが安定したままである処理窓が狭い。処理窓は、単位面積あたりのレーザ出力として、又はそれと等価に、単位時間あたりの単位面積あたりのレーザエネルギーとして定義することができる。この処理窓に影響を与える主なプロセスパラメータのいくつかとして、レーザ出力及びレーザ走査速度が挙げられる。例えば、(例えばレーザ出力を増加させる、又は走査速度を低下させることによって)面積あたりのレーザ出力を増加させることで、メルトプール内の金属が急激に蒸発し、キーホール生成(これは、溶融されたメルトプールの過度の蒸発により生じ得る)及び/又は表面変形が生じる可能性がある。そのような過度の蒸発は、より深いメルトプール及び製造部品の空隙の生成につながることがあり、望ましくない高い多孔性をもたらす可能性がある。逆に、(例えばレーザ出力を減少する、又は走査速度を増加することによって)単位面積あたりの出力を減少すると、融合が不完全になり、未溶融の粉末の空隙の形成、又は層の分離が生じることがある。場合によっては、走査速度及びレーザ出力を増加させるための上限は、レイリー不安定性(「ボーリング(balling)」と呼ばれることがある)によりメルトプールが不連続な液滴を形成する点によって定義される。
【0016】
[0023] プロセスパラメータのこれらの制限に鑑みて、従来の粉末床溶融システムが、高い部品品質を維持しながら送達することができる単位面積あたりの出力を制限される(したがって粉末床溶融プロセスの速度が制限される)ことが多いことを本発明者らは理解した。したがって、単位面積あたりの粉末を増加させずに、粉末床に送達される合計出力を増加させるために複数のレーザエネルギー源を利用する粉末床溶融システムに関連するいくつかの利点を本発明者らは認識して理解した。さらに、複数のレーザ粉末床溶融システムは、この出力増加を提供しながら、個々のレーザに関する小さなレーザスポットサイズを維持し、それにより、合計出力が増加されるときに高解像度(より小さな部品フィーチャを印刷する能力に関連する)を維持することができる。
【0017】
[0024] しかし、複数レーザ粉末床溶融システムへの現在の手法に関連するいくつかの欠点を本発明者らはさらに認識した。例えば、多くの従来の粉末床溶融システムで利用されているレーザ作動及び制御システムは、ガルバノスキャナに基づいており、ガルバノスキャナは、ガルバノメータに取り付けられた1対のミラーからなる。これらのシステムは、多くの場合、所与の構築面サイズについて、構築面へのレーザビームの入射角をできるだけ垂直に近く保つ助けとなるようにf-θ又はテレセントリックレンズを含み、いくつかのシステムは、走査された領域にわたる一貫したスポットサイズを保証するためにオプトメカニカル自動焦点機構を使用することがある。しかし、特に、f-θ、テレセントリックレンズ、及び/又は自動焦点システムを備えたガルバノスキャナアセンブリのサイズにより、使用されるレーザの最大数が制限され、その結果、多くの従来のシステムは、1~4個のレーザに制限される。
【0018】
[0025] さらに、各レーザが関連のガルバノスキャナを有する既存のマルチレーザシステムでは、レーザスポット位置の制御は、典型的には個々の増幅器カードによって実行される。特に、高レベルのソフトウェアを使用して、所望の軌道を分割して割り当て、個々のガルバノスキャナの増幅器にインスタンスを発射することによって、レーザが同期される。この制御手法及び関連の機械アーキテクチャの複雑さレベルはレーザの数と共に高まり、その結果、計算及びハードウェアのコストがレーザの数の増加と共に増大することを本発明者は認識した。さらに、個々のレーザによって生成されるメルトプール間の相互作用を制御し、個々のガルバノスキャナの幾何学的な不正確さを補償することは、レーザの数を増加したときに難しい問題になる可能性があり、重なり合うガルバノスキャナの位置ずれによりエラーが生じる可能性がある。
【0019】
[0026] さらに、既存の制御解決策は、実質的に5個以上のレーザを利用するシステムには適さないことがあることを本発明者らは理解した。特に、既存のシステムのハードウェアアーキテクチャは、例えば5個以上のレーザに対してレーザ源の数が増加されるとき、複数の独立したレーザの同期制御にはあまり適していない。
【0020】
[0027] 以上のことに鑑みて、例えばレーザアレイにおける多数の独立したレーザの同期制御を提供することができるスケーラブルなレーザ制御システムに関連する多くの利益を本発明者らは認識して理解した。例えば、本明細書で述べるシステム及び方法は、多数の独立したレーザ源(例えば1000個以上の独立したレーザ)と共に使用するように構成されたシステムを含む、マルチレーザ粉末床溶融システムのスケーラブルな制御を提供することができる。
【0021】
[0028] いくつかの態様によれば、複数の独立したレーザを、アレイ内の各レーザの相対位置が固定されるようにアレイに配置することができ、アレイは任意の適切な形状(例えば、直線、長方形アレイ、円形アレイ、不規則な形状を有する2次元アレイ、及び/又は形状の任意の反復パターン)を有することができる。このようにして、アレイ内の各レーザの位置は、アレイの位置(これは、光学、磁気、容量、及び/又は誘導エンコーダなどの1つ若しくは複数の位置センサを使用して測定することができ、又はアレイに関する位置プロファイル及びタイミング測定に基づいて推定することができる)、及びアレイの特定の固定幾何形状に基づいて決定することができ、したがって、レーザアレイの位置に基づいてアレイ内の個々のレーザを制御することができる。そのような配置により、付加製造プロセス中に構築面でのレーザパターンを制御する際の複雑さを実質的に低減することができること、及び少ない自由度に基づいて多数のレーザを制御することができることを本発明者らは認識して理解した。例えば、N個のレーザを有するレーザアレイを備えるシステムでは、構築面に対するレーザアレイの動きに関連する対応する位置フィードバックデバイスによっていくつかの自由度(例えば、1~3自由度)に基づいてレーザアレイを制御することができる。例えば、3方向(例えば3つの並進方向、及び/又は並進方向と回転方向との組合せ)に沿って移動可能なレーザアレイは、3自由度に基づいて制御することができる。対照的に、ガルバノスキャナを利用してN個のレーザを制御するシステムは、N個以上の個別の自由度に基づいたレーザの制御を必要とし、これにより、レーザの数が増加されるにつれて制御の複雑さが大幅に高まる。
【0022】
[0029] いくつかの実施形態では、レーザ制御システムは、レーザ発射状態の1つ又は複数の行列に基づいてレーザアレイ内の複数の独立したレーザを制御するように構成することができる。例えば、行列は、N×Mの次元を有することができ、ここで、Nは、アレイ内のレーザの数(又は独立して制御可能なレーザ群の数)であり、Mは、固有の発射イベントの数である。特定の実施形態によっては、固有の発射イベントの数Mは、付加製造プロセスにおけるレーザアレイのパスごとに変わることがあり、したがって、レーザの数Nは、典型的には付加製造プロセス全体にわたって一定のままであるが、異なるパスに関するレーザ発射状態の異なる行列が、異なるパスに関する発射イベントの異なる数Mに基づいて異なる次元を有することがある。特定の実施形態では、単一の行列であるN×M行列が、付加製造プロセスの複数のパス、例えば最大ですべてのパスに対応する発射イベントを含むことができる。
【0023】
[0030] いくつかの実施形態では、発射状態の行列の発射イベントは、例えば付加製造プロセス中の構築面に沿ったレーザアレイの位置に対応することがある。例えば、位置は、部品の単一の層に対応する2次元平面内の位置、及び/又は部品の異なる層に対応する3次元(例えば垂直方向)での位置に対応することがある。発射状態行列内の各値は、特定の発射イベントでのアレイ内の特定のレーザに関する発射状態を提供することがある。例えば、いくつかの実施形態において、発射状態は、構築面での特定の位置における各レーザの出力設定(例えば、オン/オフ、及び/又は一連のレーザオン/オフパルス)に対応することがあり、レーザアレイは、製造すべき部品の幾何形状に対応する構築面でのレーザエネルギーの所望のパターンを形成する。いくつかの実施形態では、出力設定は、パルス幅変調設定、オン/オフ設定、オンタイム設定、及び/又はアナログ出力レベルに対応することがある。以下でより詳細に述べるように、レーザ制御システムは、(例えば、付加製造プロセス中に構築面に沿って移動されるときのレーザアレイの位置に基づいて)現在の発射イベントを決定し、アレイ内のすべてのレーザの状態を、現在の発射イベントに対応する状態に同期して変更することができる。さらに、いくつかの用途では、部品の特定の層が完全に走査されるまで、部品の様々な領域にわたって走査軌道(例えば走査パス)ごとにN×M行列を繰り返し適用することができる。
【0024】
[0031] いくつかの態様によれば、固有の発射イベントがレーザアレイの位置に対応するシステムでは、1つ又は複数の位置センサを使用して、レーザアレイの位置を検出することができる。いくつかの実施形態では、位置センサは、様々な方向に沿ってレーザアレイを移動させるために使用されるアクチュエータの1つ又は複数のエンコーダを含むことがある。例えば、付加製造システム(例えば粉末床溶融システム)でのレーザアレイは、3つの直交軸に沿って移動可能であり得る。すなわち、2つの軸は、構築面に平行でよく、部品の個々の層を形成するときにレーザアレイが粉末床に沿って移動できるようにし、第3の直交軸は、構築面に対するレーザアレイの垂直運動(例えば、部品の後続の層を形成するために構築面が下向きにインデックスが付けられるとき)に関するものである。いくつかの実施形態では、1つ又は複数のエンコーダ信号を、レーザアレイに関する固有の発射イベントに対応するレーザトリガ位置のリストとリアルタイムで比較することができ、レーザアレイがレーザトリガ位置に対応する位置窓内で移動する場合、アレイ内の1つ又は複数のレーザは、特定のレーザトリガ位置に対応する発射状態アレイ内の値に従って新たな状態に移行することができる。例えば、エンコーダ信号を分割し、複数のレーザ制御モジュールに伝送することができ、各モジュールは、エンコーダ信号とレーザトリガ位置のリストとの上述した比較を行い、発射状態行列内の発射状態に対応するレーザパターンに基づいてレーザアレイ内のレーザの部分集合を選択的にアクティブ化するように構成することができる。
【0025】
[0032] 本開示は、レーザアレイの位置を決定する、及び/又は位置信号を生成するための特定のセンサ又は方法に限定されないことを理解されたい。特に、上述した実施形態は、関連のエンコーダ信号を生成するエンコーダを利用するが、他の構成が適切なこともある。例えば、いくつかの実施形態では、レーザアレイの位置は、所定の位置プロファイル及びタイミング信号に基づいて推定することができる。例えば、タイミング信号を使用して時間値を決定することができ、位置プロファイルに関連するレーザアレイの位置について時間値を参照し、レーザアレイの位置を推定することができる。
【0026】
[0033] 上述したレーザ制御手法は、複数のレーザ(例えば、最大で約10~20個の独立したレーザ)を備えるシステムに関する同期制御を行うのに適していることがあるが、レーザの数がさらに増加されるとき、高速位置信号のさらなる分割は、分割された信号の伝送における減衰、ノイズ、又は遅延などによる信号の望ましくない劣化につながることがあることを本発明者らは認識して理解した。エンコーダ信号のそのような劣化は、例えばアレイ内の1つ又は複数のレーザの不正確な位置での発射により、製造プロセスのエラーにつながることがある。したがって、本明細書で述べるいくつかの態様は、エンコーダ信号の分割を必要とせずに、又はエンコーダ信号の信号品質を維持するために限られた回数だけエンコーダ信号を分割することによって、多数の独立したレーザの同期された位置ベースの制御を可能にするようにレーザ制御システムのスケーラビリティを提供する。
【0027】
[0034] いくつかの実施形態では、レーザ制御システムは、第1のコントローラ及び第2のコントローラを含むことがある。第1のコントローラは、粉末床溶融プロセスにおける構築面に対する位置などレーザアレイの位置を検出するように構成された位置センサから1つ又は複数の位置信号(例えば、アクチュエータからのエンコーダ信号)を受信するように構成することができる。位置信号を受信すると、第1のコントローラは、位置信号をレーザトリガ位置のリストと比較することができる。上で論じたように、レーザトリガ位置のリストは、レーザ発射状態の行列における1組の発射イベントに対応する位置のリストを含むことがある。第1の制御が、レーザアレイの現在の位置がレーザトリガ位置のリストからのレーザトリガ位置に対応すると決定した場合、第1のコントローラは、第2のコントローラに伝送されるトリガ信号(例えばトリガパルス)を生成することができる。第2のコントローラは、レーザアレイを構成する複数のレーザに結合させることができ、第1のコントローラからトリガ信号を受信すると、第2の制御は、1つ又は複数のレーザに発射信号を送信することがある。例えば、第2のコントローラは、特定のレーザトリガ位置に対応する1組のレーザ発射状態に基づいて選択された複数のレーザの部分集合に発射信号を送信することができる。このようにして、そのようなシステムは、レーザアレイ内のあらゆるレーザに分割することはできない単一の高周波エンコーダ信号(又は少数のエンコーダ信号)を利用して、レーザアレイの位置に基づくレーザアレイ内の各レーザの閉ループ決定論的制御を提供することができる。特に、高周波エンコーダ信号は、より低い周波数の一連のトリガ信号に変換することができ、これらのトリガ信号は、必要に応じてより容易に分割することができる。特定の実施形態によっては、エンコーダ信号は、約1MHz~約50MHzの間の周波数を有することができ、トリガ信号は、1Hz~約1MHzの間の周波数を有することができる。
【0028】
[0035] いくつかの実施形態では、第1のコントローラは、レーザトリガ位置のリストを記憶するように構成された第1のメモリを含むことがあり、第2のコントローラは、レーザ発射状態の行列を記憶するように構成される第2のメモリを含むことがある。レーザトリガ位置のリスト及びレーザ発射状態の行列は、レーザトリガ位置のリスト内の第1のレーザトリガ位置がレーザ発射イベントの行列内の第1の組のレーザ発射イベントに対応するように並べ替えることができる。例えば、レーザ発射イベントの行列は、行列内の各列がレーザトリガ位置に対応し、各行が各レーザトリガ位置での各レーザの発射状態に対応するように編成することができる。したがって、行列内の値の各列は、各レーザトリガ位置でのレーザアレイに関するレーザパターンを定義することができる。レーザトリガ位置のリストとレーザ発射状態の行列とを並べ替えることによって、第1及び第2のコントローラは、プロセス全体を通じて、レーザトリガ位置及び各レーザトリガ位置でのレーザパターンを順次に処理することができる。例えば、第1のコントローラからトリガ信号を受信すると、第2のコントローラは、現在のレーザトリガ位置でのレーザパターンに対応するレーザアレイ内のレーザの部分集合に発射信号を送信することができ、その後、第2のコントローラは、行列内の次のレーザパターンに移行し、第1のコントローラからの次のトリガ信号を待機することができる。
【0029】
[0036] いくつかの実施形態では、第1のコントローラの第1のメモリは、レーザトリガ位置の複数のリストを記憶するように構成することができ、各リストは、レーザアレイの各レーザ(又はレーザ群)に関する発射イベントに関連するトリガ位置を含む。そのような実施形態では、第1のコントローラは、エンコーダ信号(又は他の適切な位置信号)をレーザトリガ位置の各リストと比較するように構成された複数の比較器モジュールを含むことができ、各比較器モジュールは、レーザアレイの個々のレーザ(又はレーザ群)に結合された複数の第2のコントローラに個別のトリガ信号を送信することができる。複数の第2のコントローラは、各レーザに関するレーザ発射状態のリストに従って個々のトリガ信号を受信すると、レーザそれぞれに発射信号を送信するように構成することができる。特に、第2のコントローラはそれぞれ、その関連のレーザに関するレーザ発射状態のリストを含む第2のメモリを有することがあり、第2のコントローラは、個々のトリガ信号を受信すると、レーザ発射状態のリストを実行することができる。このようにして、そのような実施形態は、上で論じたものなど複合の発射状態行列の使用を必要としないことがある。
【0030】
[0037] 特定の実施形態では、レーザ制御システムで採用される第1及び第2のコントローラはそれぞれ、高速フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を備えることがあり、高速フィールドプログラマブルゲートアレイは、サーボモータなどのアクチュエータ及びそれらの関連のエンコーダ信号に関連する高い位置精度と併せて、高い位置精度と高い速度との両方を有するレーザアレイの制御を可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、レーザアレイは、5マイクロメートル以下の位置精度、及びトリガ信号とレーザパターンのアクティブ化との間の5マイクロ秒未満の遅延で制御することができる。さらに、特定の実施形態に応じて、アレイ内の各レーザの発射は、連続モードで動作させる(すなわち、オン状態とオフ状態との間でトグルする)、及び/又はパルスモードで動作させることができる。パルスモードでは、第2のコントローラからの発射信号は、パルス幅変調モードで動作し、各レーザによって供給されるパワーレベルの変化(例えば、各レーザに関して最大パワーの0%~100%のパワーレベルへ)を可能にすることがある。
【0031】
[0038] いくつかの態様によれば、レーザ制御システムは、位置センサ、第1のコントローラ、及び/又は第2のコントローラの間で位置信号及び/又はトリガ信号を伝送するように構成された通信バスを含むことができ、通信バス及びコントローラは通信遅延時間を導入することができ、レーザアレイの実際の位置を、信号が第1のコントローラによって受信される時間だけ、及び/又はトリガ信号が生成されて第2のコントローラによって受信される時間だけ位置信号値からオフセットすることができる。遅延時間が所与のプロセス全体にわたって安定している場合、レーザトリガ位置のリスト内の位置値を、処理ベクトルに沿ったレーザアレイの速度と、通信バス及びコントローラの遅延時間との積として定義される位置オフセットだけオフセットすることによって遅延を補償することができることを本発明者らは認識して理解した。
【0032】
[0039] いくつかの用途、例えばレーザアレイ内の多数のレーザを採用するシステムでは、第1のコントローラによって生成されたトリガ信号が分割され、レーザアレイ内のレーザの部分集合を制御するようにそれぞれ構成された複数の第2のコントローラに伝送される。上述したように、何度も分割されると劣化し得る高周波エンコーダ信号と比較して、低周波数トリガ信号は、大きな劣化なしに複数回分割することが可能であり得る。さらに、いくつかの実施形態では(例えば、システムのサイズがさらに増大されるとき)、エンコーダ信号は、少ない回数(例えば、15回未満、10回未満、又は5回未満)だけ分割されることがあり、分割されたエンコーダ信号は、複数のトリガ信号を生成するように構成された複数の第1のコントローラに伝送されることがあり、トリガ信号がさらに、レーザアレイ内のレーザの発射を制御するように構成された複数の第2のコントローラによって受信される。理論に束縛されることを望むものではないが、トリガ信号及び/又はエンコーダ信号がそれぞれ複数の第2のコントローラ及び/又は第1のコントローラに分割されるこれらの構成は、各コントローラでの計算負荷を軽減し、より高い処理速度及び/又はより高度な同期システム制御を可能にする。
【0033】
[0040] いくつかの実施形態では、レーザアレイに関する所望の運動軌道及びそれらの運動軌道に沿ったレーザトリガ位置を生成し、粉末床溶融プロセスなどのプロセスの前に最適化することができる。一実施形態では、平行な走査線の所定のパターンが、部品のスライスされた3次元モデルの各層に重畳される。このパターンの各線は、レーザアレイの単一のレーザピクセルの運動経路に対応することがあり、レーザパターンは、レーザアレイの寸法と、構築面上の各レーザスポットによって形成されるピクセルサイズとによって定義されることがある。各レーザに関するレーザトリガ位置は、ピクセルと、スライスされた幾何形状との交点によって決定される。場合によっては、レーザ発射イベントをさらに変更するために、走査パターンマスク(例えばチェッカーボードパターン)を部品幾何形状にオーバーレイすることができる。いくつかの走査戦略は、同じ領域にわたってアレイの複数のパスを採用することがあり、各パスでのピクセルの同じ又は異なるトグルシーケンスを使用する。各走査領域は、固有のレーザ出力設定を有することができ、又は、レーザがパルスモードで動作される場合、各レーザは特定のパルス周波数及びパルス充填比が割り当てられてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、レーザアレイのサイズは、走査すべき領域よりも小さいことがあり、したがって、走査領域全体をレーザエネルギーの所望のパターンに露出するために、複数のパスが採用されることがある。
【0034】
[0041] 1つの例示的実施形態では、レーザアレイの動きは線形でよいが、曲線に沿った又は任意の適切な形状での軌道など他の走査軌道も適切であり得る。そのような軌道は、運動軌道及びレーザ発射位置点の計算の複雑さを高めることがあるが、いくつかの部品幾何形状に関してより効率的な走査を可能にすることができる。
【0035】
[0042] 上述したいくつかの実施形態は、レーザアレイ内のレーザの発射を制御するために位置ベースのフィードバックを利用するが、他のタイプのフィードバック又は他の制御信号も適切であり得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、レーザ制御システムは、推定される位置信号及び/又はタイミングベースの信号を利用することができる。特に、第1のコントローラは、タイミング信号(例えば、プロセッサからのクロック信号)を受信するように構成することができ、第1のコントローラは、タイミング信号とレーザトリガ時間のリストとの比較に基づいて一連のトリガパルスを生成するように構成することができる。例えば、所定の走査軌道に従ってアレイが移動するとき、レーザアレイの予測位置に基づいて、レーザトリガ時間を選択することができる。そのような構成により、エンコーダなど別個の位置センサを必要とせずにレーザアレイの制御を可能にすることができ、レーザ制御システムのコスト及び複雑さの低減が可能になり得ることを本発明者らは認識して理解した。
【0036】
[0043] 図面を参照して、特定の非限定的な実施形態をさらに詳細に述べる。本開示は本明細書で述べる特定の実施形態のみに限定されないので、それらの実施形態に関して述べる様々なシステム、構成要素、特徴、及び方法は、個別に及び/又は任意の所望の組合せで使用することができることを理解されたい。
【0037】
[0044]
図1は、本明細書で述べるレーザ制御システム及び方法を利用することができる付加製造システム100(例えば粉末床溶融システム)の一実施形態を示す。このシステムは、レーザエネルギー2を構築面4に向けるように構成された光学ユニット1を含む。レーザエネルギーは、複数のレーザエネルギー源によって生成され、複数の光ファイバを介して光学ユニット1に送達され、光学ユニットは、構築面上にレーザエネルギーの所望のパターンを形成するように構成された1つ又は複数の光学要素を含むことができる。そのような光学素子の例示的な構成は、全体を参照により本明細書に援用する米国特許出願第15/940,315号に記載されている。付加製造プロセス中、光学ヘッド1は、ガントリシステム3によって構築面に対して移動されて、所望の部品幾何形状に従って構築面上に所望のパターンのレーザエネルギーを送達することができる。図示されるように、ガントリシステムは、構築面に対して複数の方向に沿って、例えば構築面に平行な直交方向X及びYに沿って光学ユニット1を移動させるように構成されることがある。特定の実施形態によれば、ガントリシステム3は、構築面4に対する光学ユニットの位置を検出するために関連の位置変換器を有する1つ又は複数のサーボモータなど、光学ユニットを移動させるための任意の適切なアクチュエータを含むことがある。適切な位置変換器としては、限定はしないが、光学、磁気、容量、及び誘導エンコーダなどのアブソリュートエンコーダ又はインクリメンタルエンコーダが挙げられる。
【0038】
[0045]
図2に示されるように、光学ユニット1は、アレイ内の各レーザエネルギーピクセルの相対位置が一定のままであるようにレーザエネルギー2が構築面上にレーザエネルギーピクセル20のアレイを形成するように構築及び配置されることがある。上で論じたように、そのような構成により、多数の個々のレーザエネルギーピクセルを含むアレイ20を、例えば光学ユニット1の位置に対応する少数の自由度に基づいて制御することが可能になり得る。
図2に示されるレーザエネルギーアレイ20は、レーザエネルギーピクセルの長方形構成を有するが、本開示はアレイ20に関する特定の形状に限定されないことを理解されたい。例えば、アレイは、1次元の線、正方形のアレイ、円形のアレイ、又は不規則な形状を含む任意の他の適切な形状を有するアレイでよい。さらに、
図3に示されるように、いくつかの実施形態では、光学ユニット1は、構築面上にレーザエネルギーの複数のアレイを形成するように構成されることがある。特に、
図3に示される実施形態では、光学ユニットは、構築面4上にレーザエネルギーピクセル20、20b、及び20cの3つのラインを形成するように構成される。
【0039】
[0046]
図4は、
図1に関連して上述したシステム100など付加製造システムにおいてレーザエネルギーピクセルのアレイ(すなわち、レーザアレイ)を制御するために使用することができる制御システム400の一実施形態の概略図である。制御システムは、(例えば光学ユニット1の位置に基づいて)レーザアレイの位置を検出するように構成された1つ又は複数の位置センサ410から1つ又は複数の位置信号を受信するように構成された第1のコントローラ420を含む。上で論じたように、アレイ内の各レーザエネルギーピクセルの相対位置は、アレイの幾何形状と共に、アレイ内の各レーザの位置を定義するのにアレイの位置が十分であるように固定することができる。第1のコントローラ420は、位置信号に基づいてトリガ信号を生成するようにさらに構成される。例えば、上述し、以下でより詳細に述べるように、第1のコントローラは、位置信号をレーザトリガ位置のリストと比較することができ、第1のコントローラは、レーザアレイがレーザトリガ位置のリスト内の位置に対応する位置にあると判断した場合、第2のコントローラ430に伝送されるトリガ信号(例えばトリガパルス信号)を生成することができる。トリガ信号を受信すると、第2のコントローラ430は、第2のコントローラ430に関連する複数の出力(例えばデジタル出力)を介して複数のレーザエネルギー源450に発射信号を送信することができる。発射信号は、光学ユニット1の位置に対応する所望のレーザパターンに基づくことができる。図示される実施形態では、各レーザエネルギー源450は、光ケーブル(例えば光ファイバケーブル)を介して光学ヘッド1に結合され、レーザエネルギーを光学ユニット1に伝送することができ、レーザエネルギーを、構築面4での複数のレーザエネルギーピクセルに集束させる及び/又は向けることができる。
【0040】
[0047] 次に
図5及び6を参照すると、レーザ制御システムの一実施形態がより詳細に示されている。
図5に示されるように、レーザピクセル520のアレイによって形成されるレーザエネルギー510のパターンは、テーブル530に示されるように、レーザトリガ位置とレーザ発射状態との個別のセットによって定義することができる。特に、各レーザピクセルは、レーザピクセルの状態が変化する位置(例えば、オンからオフ、又はオフからオン)を定義するレーザトリガ位置の独自のリストを有することがある。したがって、特定のパターン510に応じて、様々なレーザピクセル520は、(例えばレーザアレイ520がx軸に沿って移動されるときに)レーザピクセル520のアレイの共通の合計変位にわたって異なる長さを有するレーザトリガ位置のリストを有することができる。例えば、
図5に示されるように、レーザピクセルL1は、パターン510を形成するときに2つの位置(P
11及びP
12)のみで状態を変化させるが、レーザピクセルL2は、アレイ520に関する同じ移動範囲にわたって4つの位置(P
21、P
22、P
23、及びP
24)で状態を変化させる。
図5には一列に並べられた5つのレーザピクセルが示されているが、上で論じたように、より多数又はより少数のレーザ及び/又は異なる構成など、他の配置も適切であり得ることを理解されたい。
図5に示されるレーザ発射状態はオン/オフ状態として示されているが、本開示はこれに関して限定されないので、他の発射状態も適切であり得ることを理解されたい。例えば、他の適切な発射状態値として、限定はしないが、アナログ電力、パルス幅変調、及び/又はオンタイムなどの出力設定を挙げることができる。
【0041】
[0048]
図6に示されるように、第1のコントローラ620は、1つ又は複数の位置センサから位置信号(例えばエンコーダ信号)と、レーザトリガ位置のリストを含むデータセット602とを受信することができる。例えば、n個のレーザを含むレーザアレイ内の各レーザは、特定の各レーザに関するレーザトリガ位置を含む関連のリストAを有することがある。したがって、データセット602は、n個のリスト(A
1~A
n)を含むことができる。いくつかの実施形態では、データセット602は、第1のコントローラ620のメモリに記憶されることがある。第1のコントローラ620は、データセット内のリストの数に対応する複数の比較器モジュール622a~622nを含むことがあり、各比較器モジュールは、位置信号をデータセットからのレーザトリガ位置の1つのリストと比較するように構成されることがある。例えば、第1の比較器モジュール622aは、位置信号を第1のリストA
1と比較することができ、第2の比較器モジュール622bは、位置信号を第2のリストA
2と比較することができ、以下同様である。任意の比較器モジュールは、位置信号がそのリスト内のレーザトリガ位置に対応すると判断すると、トリガ信号を生成して、第2のコントローラ630の関連の出力632に送信することができる。トリガ信号を受信すると、出力は、発射信号を生成して関連のレーザエネルギー源に送信し、例えば、レーザエネルギー源の状態(例えばオフ状態とオン状態)をトグルして、所望のパターン(例えば
図5に示されるパターン510)を形成することができる。このようにして、第1のコントローラは、複数の独立したトリガ信号を生成して、各レーザエネルギー源の発射状態を独立して制御することができる。
【0042】
[0049]
図7及び8は、本開示のいくつかの態様によるレーザ制御システムの別の実施形態を示す。
図7に示されるように、レーザエネルギー510のパターンは、レーザエネルギーピクセル720のアレイによって形成することができ、パターンは、アレイ720の1組の離散的なレーザトリガ位置Pによって定義することができる。例えば、アレイ720をx方向に沿って移動させることができ、位置Pは、x方向に沿った離散位置に対応することがあり、それらの離散位置で、1つ又は複数のレーザエネルギーピクセルの発射状態が変化し得る。各位置Pでの発射状態は、レーザ発射状態行列730によって定義することができる。図示されるように、発射状態行列730での各列は、1組のレーザトリガ位置からの1つの位置に対応することがあり、行列の各行は、各位置でのアレイ720内のレーザに関する発射状態を提供することができる。このようにして、行列730の各列は、それぞれの位置に関するレーザパターンを定義することができ、M個の離散位置を通って移動されるN個のレーザを有するレーザアレイの場合、行列730はN×Mの次元を有することがある。上述した実施形態と同様に、この実施形態は、アレイ730内の任意の特定の数のレーザ、及び/又はアレイ内でのレーザの配置に限定されないことを理解されたい。
【0043】
[0050] 次に
図8を参照すると、レーザ制御システムは、1つ又は複数の位置センサ810から位置信号と、レーザトリガ位置Pのリストを含む第1のデータセット802とを受信するように構成された第1のコントローラ820を含みうる。システムは、発射状態の行列Aを含む第2のデータセット804を受信するように構成された第2のコントローラ830をさらに含む。いくつかの実施形態では、第1のデータセット802は、第1のコントローラ820の第1のメモリに記憶されることがあり、第2のデータセット804は、第2のコントローラ830の第2のメモリに記憶されることがある。位置センサ810は、例えば、アレイ720に関連する光学ユニットの位置を検出することによって、レーザエネルギーピクセルのアレイ(例えばアレイ720)の位置を検出するように構成されることがある。第1のコントローラは、位置信号を第1のデータセット802内のレーザトリガ位置のリストと比較することができ、第1のコントローラは、位置信号がリストPからのレーザトリガ位置に対応すると判断した場合、トリガ信号を生成して、第2のコントローラ830に送信することができる。トリガ信号を受信すると、第2のコントローラは、レーザトリガ位置に対応するレーザパターン(すなわち、行列Aにおけるレーザ発射状態の列)に従って、複数の発射信号を生成し、複数の出力832を介して送信することができる。上で論じたように、いくつかの実施形態では、第1のデータセット802内のレーザトリガ位置のリスト及び第2のデータセット804内の発射状態行列は、各レーザトリガ位置P
iが発射状態行列Aの第iの列のレーザパターンに対応するように並べ替えられることがある。したがって、発射状態行列はシフトレジスタとして構成することができ、トリガ信号を受信して複数の発射信号を送信すると、第2のコントローラ830は、行列内の次のレーザパターンに(すなわち行列A内の次の列に)自動的にシフトし、後続のトリガ信号を待機することができるようにする。このようにして、レーザ制御システムは、粉末床溶融プロセスなどのプロセス全体を通じて、各レーザトリガ位置に対応する各レーザパターンを順次に実行することができる。
【0044】
[0051] 特定の実施形態では、第2のデータセット804内の発射状態行列Aは、1つ又は複数の列を含む複数の部分行列として編成することができ、各部分行列は、第1のデータセット802内の単一のレーザトリガ位置Piによってトリガすることができる。例えば、部分行列は、次元N×mを有することがあり、ここで、mは、特定のレーザトリガ位置でトリガされる所定の発射イベントの数である。各部分行列が異なる次元(すなわち異なる値m)を有することもあることを理解されたい。そのような構成により、レーザ制御システムは、トリガ信号の周波数よりも高い周波数でレーザアレイを動作させることができるようになり、及び/又はレーザアレイは、レーザアレイパターンの更新時の損失なく、より低い周波数の発射信号で動作できるようになる。
【0045】
[0052] 特定の実施形態によっては、レーザトリガ位置のリストは、単一の軸に沿ったレーザアレイの並進、複数の軸に沿ったレーザアレイの並進、及び/又は1つ若しくは複数の軸の周りでのレーザアレイの回転に対応することがあり、これらの様々な方向に沿ったアレイの動きを測定するために複数の位置センサ(例えば、複数のエンコーダ)が含まれることがある。本明細書で述べるレーザ制御システムは、複数の位置センサから特定の位置信号を選択し、その特定の位置センサに対応する1組のレーザパターンに基づいて、レーザアレイ内のレーザの部分集合を選択的にアクティブ化するように構成されることがある。さらに、いくつかの実施形態では、異なる位置センサが異なる精度スケールを有することがある。したがって、本明細書で述べるレーザ制御システムは、様々な位置精度スケールを有する異なる発射信号セット(すなわち、異なるレーザパターンセット)に基づいてレーザアレイを制御するように構成されることがある。
【0046】
[0053] さらに、上で述べたように、本明細書で述べる特定の実施形態は、位置フィードバックに基づいて(例えば、1つ又は複数の位置センサからの位置信号に基づいて)制御されるレーザアレイを含むが、タイミングベースのフィードバックなど他の構成も適切であり得る。例えば、レーザトリガ位置は、事前に計画されたタイミングに基づいて(すなわち、レーザアレイに関する計画された軌道に基づいて)事前に決定することができる。したがって、いくつかの実施形態は、(例えばシステムクロックからの)タイミング信号を受信するように構成された第1のコントローラを採用することができ、第1のコントローラは、タイミング信号に基づいてレーザアレイの位置を決定することができる。したがって、本開示は、位置センサを含む、及び/又は位置ベースのフィードバックを利用するレーザ制御システムに限定されないことを理解されたい。
【0047】
[0054] 本明細書で述べる技術の上述した実施形態は、多くの方法のうちの任意の方法で実装することができる。例えば、本明細書で述べる実施形態のいくつかの態様は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組合せを使用して実装することができる。ソフトウェアで実装される場合、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータに提供されているか、複数のコンピュータに分散されているかにかかわらず、任意の適切なプロセッサ又は1群のプロセッサで実行することができる。そのようなプロセッサは集積回路として実装することができ、1つ又は複数のプロセッサが、CPUチップ、GPUチップ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又はコプロセッサなどの名前で当技術分野で知られている市販の集積回路コンポーネントを含めた集積回路コンポーネント内にある。代替として、プロセッサは、ASIC若しくはFPGAなどのカスタム回路、又はプログラマブルロジックデバイスを構成することにより得られるセミカスタム回路に実装することもできる。さらなる代替形態として、プロセッサは、市販、セミカスタム、又はカスタムのいずれかであるかにかかわらず、より大きな回路又は半導体デバイスの一部分でよい。具体的な例として、いくつかの市販のマイクロプロセッサは複数のコアを有することがあり、それらのコアの1つ又は部分集合がプロセッサを構成することがある。しかし、プロセッサは、任意の適切な形式での回路を使用して実装することができる。
【0048】
[0055] さらに、コンピュータは、ラックマウントコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はタブレットコンピュータなど、多くの形態のうちの任意の形態で具現化することができることを理解されたい。さらに、コンピュータは、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、又は任意の他の適切なポータブル若しくは固定電子デバイスを含む、一般にコンピュータとは見なされないが適切な処理機能を備えたデバイスに埋め込むことができる。
【0049】
[0056] また、コンピュータは、1つ又は複数の入力及び出力デバイスを有することがある。これらのデバイスは、とりわけ、ユーザインターフェースを表示するために使用することができる。ユーザインターフェースを提供するために使用することができる出力デバイスの例としては、出力を視覚的に提示するためのプリンタ又はディスプレイ画面、及び出力を聴覚的に提示するためのスピーカ又は他の音生成デバイスが挙げられる。ユーザインターフェースに使用することができる入力デバイスの例としては、キーボード、並びにポインティングデバイス、例えばマウス、タッチパッド、及びデジタルタブレットが挙げられる。別の例として、コンピュータは、音声認識又は他の可聴形式によって入力情報を受信することができる。
【0050】
[0057] そのようなコンピュータは、ローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワーク、例えばエンタープライズネットワークやインターネットを含む、任意の適切な形態で1つ又は複数のネットワークによって相互接続することができる。そのようなネットワークは、任意の適切な技術に基づくことができ、任意の適切なプロトコルに従って動作することができ、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバネットワークを含むことがある。
【0051】
[0058] また、本明細書で概説する様々な方法又はプロセスは、様々なオペレーティングシステム又はプラットフォームの任意の1つを採用する1つ又は複数のプロセッサで実行可能なソフトウェアとして符号化することができる。さらに、そのようなソフトウェアは、多数の適切なプログラミング言語及び/又はプログラミング若しくはスクリプトツールのうちの任意のものを使用して書くことができ、フレームワーク又は仮想マシンで実行される実行可能な機械語コード又は中間コードとしてコンパイルすることもできる。
【0052】
[0059] これに関して、本明細書で述べる実施形態は、1つ又は複数のコンピュータ又は他のプロセッサで実行されるときに上で論じた様々な実施形態を実装する方法を実施する1つ又は複数のプログラムで符号化された、コンピュータ可読記憶媒体(又は複数のコンピュータ可読媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ又は複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ若しくは他の半導体デバイスでの回路構成、又は他の有形のコンピュータ記憶媒体)として具現化することができる。前述の例から明らかなように、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータ実行可能命令を非一時的に提供するのに十分な時間にわたって情報を保持することができる。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、輸送可能でよく、したがって、そこに記憶されたプログラムを1つ又は複数の異なるコンピュータ又は他のプロセッサにロードして、上で論じたような本開示の様々な態様を実装することができる。本明細書で使用するとき、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、製造物(すなわち製品)又は機械と見なすことができる非一時的なコンピュータ可読媒体のみを包含する。代替又は追加として、本開示は、伝播信号など、コンピュータ可読記憶媒体以外のコンピュータ可読媒体として具現化することもできる。
【0053】
[0060] 本明細書において、「プログラム」又は「ソフトウェア」という用語は、上で論じたような本開示の様々な態様を実装するためにコンピュータ又は他のプロセッサをプログラムするために採用することができる任意のタイプのコンピュータコード又はコンピュータ実行可能命令のセットを表すために、一般的な意味で使用される。さらに、この実施形態の一態様によれば、実行時に本開示の方法を実施する1つ又は複数のコンピュータプログラムが、単一のコンピュータ又はプロセッサに常駐する必要はなく、本開示の様々な態様を実装するために複数の異なるコンピュータ又はプロセッサにモジュール式に分散されてもよいことを理解されたい。
【0054】
[0061] コンピュータ実行可能命令は、1つ又は複数のコンピュータ又は他のデバイスによって実行されるプログラムモジュールなど多くの形式でよい。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施する、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。典型的には、プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態において望みに応じて組み合わせる、又は分散させることができる。
【0055】
[0062] また、データ構造は、任意の適切な形式でコンピュータ可読媒体に記憶することができる。説明を簡単にするために、データ構造は、データ構造内の位置に関連するフィールドを有するように示されることがある。そのような関係は、フィールド間の関係を伝達するコンピュータ可読媒体内の位置を伴うフィールドに関する記憶を割り当てることによって同様に実現することができる。しかし、ポインタ、タグ、又はデータ要素間の関係を確立する他のメカニズムの使用を含めた、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立するための任意の適切なメカニズムを使用することができる。
【0056】
[0063] 本開示の様々な態様は、単独で、組み合わせて、又は前述した実施形態で具体的に論じていない様々な構成で使用することができ、したがって、前述の説明に記載される又は図面に示される構成要素の詳細及び構成への適用に限定されない。逆に、当業者に理解されるように、本教示は、様々な代替形態、修正形態、及び等価形態を包含する。したがって、前述の説明及び図面は、単なる例にすぎない。例えば、一実施形態で述べた態様を、他の実施形態で述べた態様と任意の様式で組み合わせることができる。
【0057】
[0064] また、本明細書で述べる実施形態は、方法として具現化することもでき、その例は上述した。方法の一部として実施される行為は、任意の適切な形で順序付けられる。したがって、例示したのとは異なる順序で行為が実施される実施形態を構築することができる。例示的実施形態では順次の行為として示されているが、いくつかのアクションを同時に実施することを含むこともできる。