(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】音を生成し、並びにシンク及びソースの両方として同時に機能する、ように構成されたBluetoothスピーカ
(51)【国際特許分類】
H04R 3/12 20060101AFI20240801BHJP
H04R 1/06 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
H04R3/12 Z
H04R1/06 310
(21)【出願番号】P 2021527009
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 US2019043257
(87)【国際公開番号】W WO2020023646
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-07-05
(32)【優先日】2018-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517274556
【氏名又は名称】イーグル アコースティックス マニュファクチュアリング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プライス,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】フォックスマン,レオナード
(72)【発明者】
【氏名】マチエイェフスキ,ジェイク
(72)【発明者】
【氏名】トミッヒ,ピーター,アレクサンダー
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-508444(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0195769(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0094437(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0096899(US,A1)
【文献】特開2013-115782(JP,A)
【文献】特開2017-041755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 21/00-25/93
H04R 1/00- 3/14
H04S 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスシンクと、シグナルプロセッサと、ワイヤレスソースと、ポータブルデバイスの外部からオーディオを受信するように構成された少なくとも1つのマイクと、少なくとも1つのスピーカ及びライン出力のうちの少なくとも1つと、を含むポータブルデバイスであって、
前記デバイスは、前記ワイヤレスシンクを使用してワイヤレス信号を受信し、前記シグナルプロセッサを使用して前記信号を処理し、前記少なくとも1つのマイクからどんなオーディオが受信されたかに応じて前記ワイヤレスソースを使用して中高域周波数のワイヤレス信号を送信するように構成され、
前記ポータブルデバイスは、前記少なくとも1つのスピーカを使用して低域周波数の音を発するのと、前記少なくとも1つのマイクからどんなオーディオが受信されたかに応じて前記ライン出力に低域周波数の信号を提供するのと、の少なくとも1つをするように構成され、
前記ポータブルデバイスは、前記シグナルプロセッサで処理された低域周波数の信号と、前記少なくとも1つのマイクから信号とを受信するように構成される同期回路をさらに含み、
前記ポータブルデバイスは、前記同期回路によって受信された信号
の相互相関のピークを比較した後、最も高いピークが、次に高いピークに近似せず、そしてさらに、前記同期回路によって受信された前記信号の前記相互相関の平均にも近似しない、と決定された場合は、遅延を加えるように構成される、
ポータブルデバイス。
【請求項2】
前記ワイヤレスシンクは、ワイヤレス信号レシーバを含む、請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項3】
前記ワイヤレスシンクは、Bluetooth信号レシーバを含む、請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項4】
前記ワイヤレスソースは、ワイヤレス信号トランスミッタを含む、請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項5】
前記ワイヤレスソースは、Bluetooth信号トランスミッタを含む、請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項6】
前記シグナルプロセッサから信号を受信するように構成されたデジタルオーディオバッファをさらに含む、請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項7】
前記同期回路は、前記デジタルオーディオバッファから信号を受信するように構成される、請求項6に記載のポータブルデバイス。
【請求項8】
前記シグナルプロセッサから信号を受信するように構成されたデジタルオーディオバッファをさらに含み、
前記少なくとも1つのマイク及び前記デジタルオーディオバッファの両方から信号を受信するように構成された同期回路をさらに含み、
アンプをさらに含み、
前記デジタルオーディオバッファは、前記同期回路から信号を受信し、前記アンプに信号を供給するように構成され、
前記アンプは、音を生成するために前記少なくとも1つのスピーカを駆動するように構成される、
請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項9】
前記同期回路は、前記デバイスの調整を行うために相互相関を使用するように構成される、請求項8に記載のポータブルデバイス。
【請求項10】
前記ポータブルデバイスは、前記相互相関の前記最も高いピークが、前記次に高いピークに近似するか、又は前記平均に近似する、と決定された場合は、遅延を加えず、代わりに、計算を繰り返すように構成される、請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項11】
前記ポータブルデバイスは、前記相互相関計算で使用される主導的な信号を遅延させることによって調整の精度を改善するように構成される、請求項9に記載のポータブルデバイス。
【請求項12】
前記ポータブルデバイスは、前記少なくとも1つのマイクを使用して前記同期回路によって検出されることができる周波数に従って、前記同期回路によって受信された信号をフィルタリングすることによって、調整の精度を改善するように構成される、請求項9に記載のポータブルデバイス。
【請求項13】
前記シグナルプロセッサに接続され、調整可能であるように構成された、少なくとも1つのユーザインタラクティブ制御をさらに含む、請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項14】
バッテリと、前記バッテリに関連付けられた内部電力管理回路と、をさらに含む、請求項1に記載のポータブルデバイス。
【請求項15】
音を同期させるためにポータブルデバイスを使用する方法であって、前記方法は、
ワイヤレスシンクと、シグナルプロセッサと、ワイヤレスソースと、前記ポータブルデバイスの外部からオーディオを受信するように構成された少なくとも1つのマイクと、少なくとも1つのスピーカ及びライン出力のうちの少なくとも1つとを含む、前記ポータブルデバイスを提供することと、
ワイヤレス信号を受信するために前記ワイヤレスシンクを使用することと、
前記信号を処理するために前記シグナルプロセッサを使用することと、
前記少なくとも1つのマイクからどんなオーディオが受信されるかに応じて中高域周波数のワイヤレス信号を送信するために前記ワイヤレスソースを使用することと、
前記少なくとも1つのマイクからどんなオーディオが受信されるかに応じて低域周波数の音を発するために前記少なくとも1つのスピーカを使用すること、及び、前記少なくとも1つのマイクからどんなオーディオが受信されるかに応じて低域周波数の信号を前記ライン出力に送信すること、のうちの少なくとも1つと、
前記ポータブルデバイスは、前記シグナルプロセッサで処理された低域周波数の信号と、前記少なくとも1つのマイクから信号とを受信するように構成される同期回路をさらに含み、
前記同期回路によって受信された信号
の相互相関のピークを比較した後、最も高いピークが、次に高いピークに近似せず、そしてさらに、前記同期回路によって受信された前記信号の前記相互相関の平均にも近似しない、と決定された場合は、遅延を加えることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/703,319の利益を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にワイヤレススピーカに関し、より詳細には、Bluetooth信号を受信し、音を出力し、Bluetoothを介して別のBluetoothスピーカ又は車両のオーディオシステムなどのオーディオシステムに接続する、ように構成された、サブウーファなどのBluetoothスピーカに関する。
【背景技術】
【0003】
パーソナルオーディオは、ユーザが自身の携帯電話からこれらのデバイスにオーディオをストリーミングすることができる、Bluetoothスピーカの使いやすさとポータビリティとによって主に推進されている重要な成長市場である。ほとんどの場合、これらのポータブルBluetoothスピーカは、サブウーファを備えたホームシアターシステムのように、より「豊かな」音質をユーザに提供するのに十分なバス周波数を提供していない。
【0004】
ポータブルBluetoothスピーカは一般に、同じレベルの中高域周波数(200~20kHz)で低域周波数(20~200Hz)を提供するのが困難である。これは主に、この範囲(20~200Hz)の低域周波数を生成するために必要な量の空気を動かすことができない、ラウドスピーカのサイズに起因する。別の理由は、ポータブルBluetoothスピーカのサイズである。中高域周波数と同じレベルの音を生成するには、デバイス内のラウドスピーカは、元のサイズと重量とを大幅に増やす可能性のある、はるかに大きなサイズのエンクロージャを必要とする。
【0005】
今日市場にある多くのOEM自動車ステレオシステムは、標準オプションとしてBluetooth接続を提供している。サブウーファはステレオシステムの一般的な標準オプションではないため、低域周波数の出力レベルは「豊かな音」にとって最適ではない。サブウーファは自動車全体の設計にコスト、重量、及びスペースの要件を追加するので、自動車メーカは標準オプションとしてサブウーファを提供していない、と考えられている。
【0006】
自動車ステレオシステムを補完するためにアフターマーケットソリューションが利用可能であり、これによって、消費者はサブウーファを自分で設置せざるを得ないか、又は、ケーブルを取り回し、及びアンプなどのサードパーティの電子機器をインストールするために、通常は、自動車の一部を分解することを必要とするため、専門的なサービスを利用せざるを得ない。多くの自動車所有者にとって、彼らはアフターマーケットの電子機器をインストールするための経験又は知識を持っていないか、又はインストール料金のために高額な費用を払いたくない。自動車をリースするとき、ほとんどの場合、アフターマーケットの電子機器で自動車を操作することは、リース契約に違反する。
【0007】
サブウーファを含む、オーディオ再生のための複数のワイヤレススピーカを接続することができるソリューションが存在するが、それらはそのように特別に設計された同じメーカによってのみ機能する。一例として、これらの製品は競合製品に接続することができない。
【0008】
既存のサブウーファは「ポータブル」とは見なされず、そのように設計もされていない。
サブウーファはポータブルと見なされるには一般的に重すぎて大きすぎる。さらに、サブウーファはACコンセントからか、又は12~16Vを受け取るように自動車内において配線で接続されることによって電力が供給される。
【0009】
ポータブルで、バッテリ駆動で、既存のサードパーティのBluetoothオーディオシステムへの接続が容易なオーディオシステムに、より良好なバスを提供する必要性が存在する。この技術のユーザは、このサブウーファデバイスを自身の既存のBluetoothスピーカ、Bluetooth対応という条件で自身のカーオーディオシステム、又は任意のその他のBluetoothオーディオシステムと、専門家によるインストールを必要とせずにペアリングすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一実施形態の目的は、Bluetooth信号を受信し、音を生成し、Bluetoothを介して、Bluetoothスピーカ、車両オーディオシステム、ホームシアターシステム、又はスマートTVになど、オーディオシステムに接続する、ように構成された、サブウーファ(subwoofer)などのBluetoothスピーカを提供することである。
【0011】
本発明の一実施形態の別の目的は、スマートフォン又は他のデバイスからなど、Bluetooth信号を受信し、デバイスの少なくとも1つのスピーカを介して音を再生し、別のスピーカ又は車両のオーディオシステム、などのオーディオシステムに、Bluetoothを介して信号をワイヤレスで送信、することができるデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
簡単に言えば、本発明の一実施形態は、Bluetooth信号レシーバと、シグナルプロセッサと、少なくとも1つのスピーカと、Bluetooth信号トランスミッタとを含むデバイスを提供する。デバイスは、Bluetooth信号レシーバを使用してBluetooth信号を受信し、シグナルプロセッサを使用してその信号を処理し、少なくとも1つのスピーカを使用して音を発し、Bluetooth信号トランスミッタを使用してBluetooth信号を送信する、ように構成される。
【0013】
本発明の好ましい一実施形態は、ワイヤレスBluetooth信号を受信するように構成されたBluetooth信号レシーバと、Bluetooth信号レシーバからデジタルオーディオ信号を受信するように構成されたシグナルプロセッサと、シグナルプロセッサから信号を受信し、Bluetooth信号をワイヤレスで送信する、ように構成されたBluetooth信号トランスミッタと、シグナルプロセッサから信号を受信するように構成されたデジタルオーディオバッファと、少なくとも1つのマイクと、少なくとも1つのマイク及びデジタルオーディオバッファの両方から信号を受信するように構成された同期回路と、アンプと、を含み、前記デジタルオーディオバッファは、同期回路から信号を受信し、アンプに信号を供給する、ように構成され、前記アンプは、音を生成するために前記少なくとも1つのスピーカを駆動するように構成された、ポータブルでバッテリ駆動のBluetoothサブウーファを含む。少なくとも1つのユーザインタラクティブ制御が、ユーザによって調整可能なシグナルプロセッサに接続されている状態で提供され得る。
【0014】
本発明の構造及び操作の構成及び方法は、さらなる目的及びその利点と共に、類似の符号が類似の要素を特定する添付の図面に関連させた以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る、ポータブルでバッテリ駆動のBluetoothサブウーファのブロック図である。
【
図2】携帯電話をBluetoothスピーカに接続する標準的な方法を示す。
【
図3】
図2と似ているが、同じアプリケーションで
図1のデバイスが使用されているのを示す。
【
図4】携帯電話をBluetooth対応のカーラジオ(別名「ヘッドユニット」)に接続する標準的な方法を示す。
【
図5】
図4と似ているが、同じアプリケーションで
図1のデバイスが使用されているのを示す。
【
図6】オーディオ信号の調整(又は同期)で使用される相互相関計算のプロットである。
【
図7】オーディオ信号の同期に役立たない相互相関計算を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、異なる形態の実施形態を受け入れる余地があり得るが、本開示は本発明の原理の例示と見なされるべきであって本発明を図示のようなものに限定することを意図するものではない、という理解のもとに、特定の実施形態が図面に示され、本明細書で詳細に説明される。
【0017】
図1は、ワイヤレス信号を受信し、音を生成し、別のスピーカ又は車両のオーディオシステムなどのオーディオシステムにワイヤレスに接続する、ように構成されているデバイスのブロック図である。具体的には、本発明の好ましい一実施形態が示されており、デバイスは、本発明の好ましい一実施形態に係る、ポータブルでバッテリ駆動のBluetoothサブウーファ10を含む。
【0018】
示されるように、ポータブルでバッテリ駆動のBluetoothサブウーファ10は、Bluetooth信号レシーバ12などの少なくとも1つのワイヤレスシンクを含む。Bluetooth信号レシーバ12は、携帯電話からのBluetooth信号などのワイヤレス信号を受信するように構成される。したがって、音楽は、たとえば、携帯電話からサブウーファ10にワイヤレスに送信されることができる。サブウーファ10は、Bluetooth信号レシーバ12からデジタルオーディオ信号16を受信するように構成されているシグナルプロセッサ14(デジタルシグナルプロセッサ(DSP)など)を含む。サブウーファ10はまた、シグナルプロセッサ14から信号20を受信し、Bluetooth信号をワイヤレスに、すなわち、別のスピーカに(
図3にされるように、以下で後にさらに完全に説明される)、又は車両のオーディオシステムに(
図5に示されるように、以下で後にさらに完全に説明される)など、オーディオシステムに送信する、ように構成されているBluetooth信号トランスミッタ18などの、少なくとも1つのワイヤレスソースも含む。
【0019】
図1に示されるように、サブウーファ10はまた、好ましくは、シグナルプロセッサ14から信号23を受信するように構成されているデジタルオーディオバッファ22と、少なくとも1つのマイク24と、少なくとも1つのマイク24及びデジタルオーディオバッファ22の両方から信号28、30を受信するように構成されている同期回路26と、も含む。好ましくはアンプ32が備えられ、デジタルオーディオバッファ22は、同期回路26から信号34を受信し、信号36をアンプ32に供給する、ように構成され、アンプ32は、音を生成するために少なくとも1つのスピーカ38を駆動するように構成される。
【0020】
図1に示されるように、1又は複数のノブ及び/又はスイッチなどの少なくとも1つのユーザインタラクティブ制御40が、シグナルプロセッサ14に接続されているように備えられ得、少なくとも1つのユーザインタラクティブ制御は、たとえば、クロスオーバ周波数、位相などを設定するためにユーザによって調整可能であり、こうした制御は、サブウーファアプリケーションにおいて一般的なユーザ調整である。さらに、ポータブルでバッテリ駆動のBluetoothサブウーファ10は、業界で標準的であることから明確さのために図面から省略されている、1又は複数の入力、ライト、ボタンなどを含み得る。
【0021】
好ましくは、シグナルプロセッサ14は、少なくとも1つのスピーカ38を介した最終的な出力のために低域周波数をデジタルオーディオバッファ22に効果的に供給するように構成され、及び、中高域周波数を再生する別のスピーカ(
図3に示されるように、以下で後にさらに完全に説明される)又は車両のオーディオシステム(
図5に示されるように、以下で後にさらに完全に説明される)などの別のオーディオシステムにペアリングされている、Bluetooth信号トランスミッタ18に中高域周波数を供給するように構成される。
【0022】
とにかく、低域周波数を他のオーディオシステムに合わせて調整(又は同期)するために、好ましくは、サブウーファ10は、信号28を同期回路26にフィードバックする少なくとも1つのマイク24を使用するように構成される。同期回路26は、全体の遅延を決定し、低域周波数のデジタルオーディオ信号23が、マイク24を介して受信された入力のオーディオと一致する場所に関して、デジタルオーディオバッファ22内のメモリアドレスを指し示す、ように構成される。次いで、信号36は、少なくとも1つのスピーカ38を介した再生のためにアンプ32に供給される。好ましくは、サブウーファ10は、全体の遅延精度が許容可能、たとえば5ミリ秒未満であることを提供するように構成される。
【0023】
調整(又は同期)は、好ましくは、デジタル回路、プログラムされたフィールドプログラマブルゲートアレイ、又はプログラムされたデジタルシグナルプロセッサを含む、同期回路26において達成され、少なくとも1つのマイク24からの信号28の、信号30として遅延させられた信号23との相互相関を実行する。相互相関は、十分に研究され、十分に文書化された数学的アルゴリズムである。同期回路26の具体的な実施態様に応じて、プログラム可能な係数を有する有限インパルス応答フィルタの適用による畳み込みなどの数学的に同等のテクニックが望ましい場合がある。相互相関のピークの計算されたサンプル番号(時間)位置(
図6において、91での「0」遅延に対する90における「X」)は、十分な信頼度をもって、必要に応じてアンプへの信号36及びライン出力80への信号を遅延させるためにデジタルオーディオバッファ22を制御するために使用される。
【0024】
調整の信頼度は、好ましくは、
図6及び
図7の相互相関のピークの90及び93の「Y」値を、次に高いピークの92及び94の「Y」値とそれぞれ比較することによって、さらに、ピークのY値を、評価されている相互相関の平均のY値と比較することによって、計算される。
図6によって例示されるように、ピークが、次に高いピークよりも十分に大きく、さらに、平均よりも十分に大きい場合、その計算が遅延を設定するために使用される。
図7によって両方のケースが例示されているが、ピークが、次に高いピークよりも十分に大きくないか、又は平均よりも十分に大きくない場合、結果は誤っていると推定され、破棄され、計算が繰り返される。
【0025】
調整の精度は、好ましくは、信号23を遅延させることによって改善され、信号28との相互相関比較のためのより有用な信号30を生成する。この遅延は、0、固定、又は前の調整試行から計算され得る。
【0026】
調整の精度は、好ましくは、少なくとも1つのマイク24によって容易に検出されることができ、トランスミッタ18及び48からの信号を受信するスピーカによって容易に再生されてスピーカ38又は(おそらく)82によっては再生されないと推定される、周波数に従って、信号28及び30をフィルタリングすることによっても改善される。
【0027】
好ましくは、サブウーファ10は、バッテリ駆動であるように構成され、したがって、
図1に示されるように、バッテリ42、関連する内部電力管理回路44を含み、サブウーファ10は、外部ウォールチャージャ46を使用して充電されるように構成される。もちろん、サブウーファ10は、代わりに(又は追加で)、自動車の電力システムへなど、配線で接続されるように構成されることができる。
【0028】
単一のBluetoothトランスミッタ18の代わりに、追加のBluetoothトランスミッタ(
図1においてドット48によって表される)が、5.1サラウンドシステムを作成するためになど、サブウーファ10が複数のBluetoothスピーカに同時に接続(及び送信)するように構成されるように、シグナルプロセッサ14から信号49を受信するように備えられることができる。
【0029】
スピーカ38を駆動するためのアンプ32に信号36を提供する代わりに、又はそれに加えて、デジタルオーディオバッファ22は、電源供給される外部サブウーファへ又はパッシブサブウーファに接続されているアンプへなど、外部アクティブスピーカ82に接続されることができるライン出力80に信号を供給することができる。実際、アンプ32及びスピーカ38は、デバイス10から完全に省略されることができ、ライン出力80のみが備えられることができる。あるいは、又はさらに、パッシブスピーカ又はサブウーファなどの外部パッシブスピーカ87に接続されることができるアンプ出力85にパワード出力を供給するために、アンプ83がデバイス10の内部に備えられることができる。これらの選択肢、すなわち、内部アンプ32及びスピーカ38、ライン出力80、内部アンプ83及びアンプ出力85、のうちの任意の1又は複数が実装されることができる。
【0030】
別の実施形態は、改善されたノイズキャンセリングを提供するためになど、符号25で示される複数のドットによって表されるように、2つ以上のマイク24が備えられることを提供し得る。
【0031】
ポータブルサブウーファ10は、オーディオをストリーミングすることができる任意のBluetoothデバイスに接続するように構成される。一般的な例は、携帯電話、タブレット、パソコンなどを含む。本開示では、携帯電話は単に一例として使用されている。
【0032】
図2は、携帯電話50を従来のBluetoothスピーカ60に接続する標準的な方法を示している。携帯電話50は「ソース」と見なされ、Bluetoothスピーカ60は「シンク」と見なされる。携帯電話50からBluetoothスピーカ60へオーディオデータがストリーミングする。Bluetoothスピーカ60は、信号を受信し、それを処理し、スピーカへの信号を増幅して、オーディオ音を生成する。
【0033】
図3は、
図1に示され、上で説明された、ポータブルサブウーファ10を使用する同じソリューションを示している。
図3に示されるように、携帯電話50は、「ソース」としてBluetoothを介してポータブルサブウーファ10に接続する。ポータブルサブウーファ10は、携帯電話60に対する「シンク」であり、Bluetoothスピーカ60に対する「ソース」でもある。Bluetoothスピーカ60はポータブルサブウーファ10に対して「シンク」である。基本的に、ポータブルサブウーファ10は、携帯電話50からオーディオ信号を受信し、信号を処理し、低域周波数を、内部サブウーファラウドスピーカ(loudspeaker)38(
図1を参照)にパワーを供給する内部アンプ32(
図1を参照)にルーティングし、中高域周波数を、次いでBluetoothスピーカ60に効果的にブロードキャストされる「ソース」部分にルーティング(
図3を参照)する、ように構成される。発せられる音に聞き取れる遅延がないように、ポータブルサブウーファ10及びBluetoothスピーカ60の両方が同期される(すなわち、
図1に示される少なくとも1つのマイク24及び同期回路26を使用して)。
【0034】
ポータブルBluetoothスピーカ60にペアリングするとき、ポータブルサブウーファ10は、ソース携帯電話50及びBluetoothスピーカ60の範囲内に配置されなければならない。次いで、ユーザは、Bluetoothを介して携帯電話50をポータブルサブウーファ10にペアリングする。ポータブルサブウーファ10は、Bluetoothスピーカ60にペアリングし、接続された時点で、ユーザは、自身の携帯電話50を介してオーディオをストリーミングする。
【0035】
ポータブルサブウーファ10は、現在Bluetoothオーディオ製品の最も一般的なクラスであるクラス2のBluetoothパワーレベルを使用するように構成され得る。その範囲は通常、約10メートル又は32フィートである。あるいは、ポータブルサブウーファ10は、クラス1のBluetoothパワーレベルなどの他のクラスで動作するように構成されてもよい。
【0036】
図4は、携帯電話50を従来のBluetooth対応のカーラジオ(別名「ヘッドユニット」)70に接続する標準的な方法を示している。携帯電話50は「ソース」と見なされ、ヘッドユニット70は「シンク」と見なされる。携帯電話50からヘッドユニット70にオーディオデータがストリーミングする。ヘッドユニット70は、信号を受信し、それを処理し、車内のスピーカ72への信号を増幅して、オーディオ音を生成する。
【0037】
図5は、
図1に示され、上で説明された、ポータブルサブウーファ10を使用する同じソリューションを示している。
図5に示されるように、携帯電話50は、「ソース」としてBluetoothを介してポータブルサブウーファ10に接続する。ポータブルサブウーファ10は、携帯電話50に対する「シンク」であり、カーステレオ(すなわち、ヘッドユニット)70に対する「ソース」でもある。ヘッドユニット70は、ポータブルサブウーファ10に対して「シンク」である。基本的に、ポータブルサブウーファ10は、携帯電話50からオーディオ信号を受信し、信号を処理し、低域周波数を、内部サブウーファラウドスピーカ(
図1の38)にパワーを供給する内部アンプ(
図1の32)にルーティングし、中高域周波数を、次いでヘッドユニット70に効果的にブロードキャストされる「ソース」部分にルーティングする、ように構成される。発せられる音に聞き取れる遅延がないように、ポータブルサブウーファ10及びヘッドユニット70の両方が同期される(すなわち、
図1に示される少なくとも1つのマイク24及び同期回路26を使用して)。
【0038】
カーステレオ70にペアリングするとき、ポータブルサブウーファ10は、ソース携帯電話50及びカーステレオ70の範囲内にセットされる。ユーザは、Bluetoothを介して携帯電話50をポータブルサブウーファ10にペアリングし、ポータブルサブウーファ10は、カーステレオ70にペアリングする。接続された時点で、ユーザは自身の携帯電話を介してオーディオをストリーミングする。
【0039】
ポータブルサブウーファ10は、好ましくは、ペアリングされている環境又は製品に一致するように音レベルを「チューニング」するために、既存のサブウーファと同様の機能を有する。これは、好ましくは、たとえば、ボリュームレベル、クロスオーバ周波数、及び位相を含む。
【0040】
ポータブルサブウーファ10はまた、音を他のオーディオデバイス(ポータブルBluetoothスピーカ、カーステレオなど)と同期させるように構成されるので、ユーザは、ポータブルサブウーファ10からの低域周波数と他のオーディオデバイスからの中高域周波数との間でのいかなる遅延もなく音楽を聞くことになる。
【0041】
ポータブルサブウーファ10は、Bluetoothオーディオをストリーミングすることができる任意のデバイスからBluetoothを介してペアリングし、「シンク」として機能する、ように構成される。ポータブルサブウーファ10はまた、Bluetoothを介して、Bluetoothオーディオをストリーミングすることができる他のオーディオ機器にペアリングし、「ソース」として機能する、ようにも構成される。
【0042】
ポータブルサブウーファ10はまた、好ましくは、信号を2つのストリームに「分割」するためにオーディオ信号出力をフィルタリングするようにも構成される。一方はポータブルサブウーファ10への低域周波数で、他方は中高域周波数を対象とした他のデバイスにワイヤレスでストリーミングする。
【0043】
ポータブルサブウーファ10はまた、オーディオストリームを再生する2つのユニット間の遅延がユーザに聞こえないように、好ましくは、ポータブルサブウーファ10へ行くオーディオ信号と中高域周波数を再生するユニットとを同期させるように構成される。
【0044】
好ましくは、ポータブルサブウーファ10は、人が持ち運べるほどサイズ及び重量が十分に小さいということで、ポータブルとなるように構成され、ユニット内の充電式バッテリで動作するので、ACコンセントなどの任意の他の電源又は自動車電力システムを必要としないということで、ポータブルである。
【0045】
ポータブルBluetoothスピーカ、及びサブウーファのないカーステレオなど、十分なバスを有していない既存のオーディオシステムを改良するために、ポータブルサブウーファ10は、より豊かな音を作成するために、携帯電話などのBluetoothオーディオをストリーミングできるデバイスにペアリングし、ポータブルサブウーファ10がより大きなバスを生成するようにオーディオを分割し、中高域周波数を既存のオーディオシステムに送信する、能力でこれを実現することができる。サイズ及び重量だけでなく、ユニットがバッテリ駆動で、動作するためにACコンセント又は自動車からの直接の電源を必要としないため、ポータブルである。
【0046】
本開示は、本明細書に開示されるデバイス及びシステムによって使用されるワイヤレス通信の標準であるとしてBluetoothを対象としているが、デバイス及び関連するシステムは、本発明の範囲内に十分とどまりつつ、将来の標準などの他の標準及び周波数を使用してデータを受信及び送信するように構成されることができる。
【0047】
さらに、デバイスはサブウーファであるとして説明されてきたが、デバイスは、たとえば、低、高、及び中域周波数を生成することができるフルレンジスピーカであるとして提供されることができる。したがって、本明細書に開示される「少なくとも1つのスピーカ」38は、実際には、3つのスピーカなどの複数のスピーカであるとすることができ、シグナルプロセッサ14は、異なるスピーカと関連付けられた異なるアンプに異なる周波数を送信するように構成される。
【0048】
前述の説明はBluetoothを強調したが、本発明は当該のワイヤレス規格に限定されず、代わりに、本発明は他のワイヤレス規格で機能するように構成されることができる、ということが理解されるべきである。
【0049】
本発明の特定の実施形態が示され、説明されてきたが、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、さまざまな修正を考案し得るものと予想される。