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特許7530896細胞密集度測定のための撮像及び照明のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】細胞密集度測定のための撮像及び照明のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20240801BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20240801BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/06
G01N21/17 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021529426
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2019063712
(87)【国際公開番号】W WO2020113076
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-25
(31)【優先権主張番号】62/773,899
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】コブ,ジョシュア モンロー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン,グレゴリー ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ラチュコフスキ,ロベルト レイモン
(72)【発明者】
【氏名】サンソン,マーク クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シュライバー,ホースト
(72)【発明者】
【氏名】アプトン,トッド マイケル
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-000193(JP,A)
【文献】国際公開第2018/207361(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/062125(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/103976(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/061883(WO,A1)
【文献】特開2018-102228(JP,A)
【文献】国際公開第2015/174356(WO,A1)
【文献】特表2013-516999(JP,A)
【文献】特表2022-509823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G01N 21/00 - 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平らな上面を有するハウジングと、
前記平らな上面に設けられた1つ以上の開口と、
前記ハウジングの前記平らな上面上に置かれた、多層/積層構造を有する細胞培養容器と、
前記ハウジング内に配置され、前記細胞培養容器の各層内の培養物を撮像するように構成された1つ以上の光学撮像システムと
を備える装置であって、
前記1つ以上の光学撮像システムはそれぞれ
前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた細胞培養容器内の培養物を撮像するように調整されうる可動の焦点距離を有する撮像部品と
前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた細胞培養容器の底面に斜めの角度で光を向けるように構成される照明部品であって、前記ハウジングの前記上面上に置かれた前記細胞培養容器内の培養物を前記撮像部品に対向する側から照明するように、前記光が前記底面から反射するように構成された照明部品
を備え、
前記撮像部品および前記照明部品は、前記ハウジングの前記平らな上面に設置された1つ以上の開口のうちの1つを共有する、
装置。
【請求項2】
前記撮像部品は前記ハウジングの前記上面の前記開口のうち1つからずれて前記ハウジング内に配置されるとともに、該1つの開口の真下に配置され前記培養物からの光を前記撮像部品に向けるように角度付けられたミラーを更に備える請求項1記載の装置。
【請求項3】
通信インターフェースと、
コントローラと、
前記通信インターフェース、コントローラ、及び前記1つ以上の光学撮像システムに電力供給するための電源と
を更に備える請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは前記通信インターフェースを介してコマンドを受信し、前記ハウジングの前記上面上に積み重ねられた1つ以上の細胞培養容器内の培養物を撮像するか、
前記コントローラは前記1つ以上の光学撮像システムからの画像を前記通信インターフェースを介して送信するか、又は
それらの組み合わせである請求項記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上の光学撮像システムから収集した画像を処理するための画像処理部を更に備え、
前記画像処理部は前記1つ以上の光学撮像システムから収集した画像を分析して前記ハウジングの前記上面上に積み重ねられた1つ以上の細胞培養容器内の細胞培養物の密集度を求めるか、
前記画像処理部は画像から細胞密集度を求めるように訓練された1つ以上の機械学習モデルを備えるか、
前記画像処理部は前記画像分析の結果を前記通信インターフェースを介して送信するように構成されるか、又は
それらの組み合わせである請求項記載の装置。
【請求項6】
上面と底面を有し、互いに積層可能な形状を有する複数の細胞培養容器と
平らな上面を有するハウジングであって、前記平らな上面上に前記細胞培養容器の底面が載せられる、ハウジングと、
前記平らな上面に設けられた1つ以上の開口と、
前記ハウジング内に配置され前記ハウジングの前記平らな上面上に置かれた前記細胞培養容器内の培養物を撮像するように構成された1つ以上の光学撮像システムと
を備える装置であって、
前記1つ以上の光学撮像システムはそれぞれ
前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた第2の細胞培養容器内の培養物を撮像するように調整されうる可動の焦点距離を有する撮像部品と
前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた前記複数の細胞培養容器のうちの1つの底面に斜めの角度で光を向けるように構成される照明部品であって、その細胞培養容器に収容された培養物を照明するように、前記ハウジングの前記上面上に位置する前記複数の細胞培養容器を、前記撮像部品に対向する側から照明して、前記光が向けられた前記底面から前記光が反射されるよう、構成される照明部品、
を備え、
前記撮像部品および前記照明部品は、前記ハウジングの前記平らな上面に設けられた1つ以上の開口の1つを共有する、
装置。
【請求項7】
前記撮像部品は前記ハウジングの前記上面の前記開口のうち1つからずれて前記ハウジング内に配置されるとともに、該1つの開口の真下に配置され前記培養物からの光を前記撮像部品に向けるように角度付けられたミラーを更に備える、請求項記載の装置。
【請求項8】
通信インターフェースと、
コントローラと、
前記通信インターフェース、コントローラ、及び前記1つ以上の光学撮像システムに電力供給するための電源と
を更に備え、
前記コントローラは前記通信インターフェースを介してコマンドを受信し、前記ハウジングの前記上面上に積み重ねられた1つ以上の細胞培養容器内の培養物を撮像するか、
前記コントローラは前記1つ以上の光学撮像システムからの画像を前記通信インターフェースを介して送信するか、又は
それらの組み合わせである請求項記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上の光学撮像システムから収集した画像を処理するための画像処理部を更に備え、
前記画像処理部は前記1つ以上の光学撮像システムから収集した画像を分析して前記ハウジングの前記上面上に積み重ねられた1つ以上の細胞培養容器内の細胞培養物の密集度を求めるか、
前記画像処理部は画像から細胞密集度を求めるように訓練された1つ以上の機械学習モデルを備えるか、
前記画像処理部は前記画像分析の結果を前記通信インターフェースを介して送信するように構成されるか、又は
それらの組み合わせである請求項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773899号の米国特許法第120条の下の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、研究室作業の分野に関し、特に研究室環境内で使用される細胞など微小な構造体の撮像のための機器及び方法に関する。より具体的には本開示は細胞培養密集度の測定のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞培養は、広範囲の分野、例えば薬剤選別、毒性試験、遺伝子操作、治療用タンパク質、及びワクチン製造に多くの重要で有益な用途がある不可欠な道具である。一般に哺乳動物細胞株が培養器で培養され、培養器内では温度、湿度、及びCO濃度を厳密に監視し制御することが有益である。細胞培養プロセスの間、培養基で満たされた培養容器に種付けされた細胞は、増殖する間、下流プロセスで処理されるまで監視されなければならない。
【0004】
例えば、細胞培養物の細胞密集度が監視されることがある。一般に、細胞は、増殖し過ぎると増殖性及び遺伝子発現表現型を失いうるので80%~90%の密集度に達すると植え継がれる。細胞密集度に加えて、広範囲の他の重要な用途、例えば細胞移動追跡、細胞密度測定、及び全細胞数推定も頻繁な観察を必要とする。
【0005】
密集度を可視化するために、卓上光学顕微鏡が通常使用される。細胞及び細胞培養基両方が入った細胞培養容器が細胞培養器から取り出されて光学顕微鏡の試料台に置かれる。研究者は顕微鏡の接眼レンズを通して明視野モードで細胞を観察する。細胞密集度はしばしば細胞を数えることで測定される。数えることは退屈で間違いを起こし易い作業でありうる。
【0006】
卓上光学顕微鏡で観察する方法は幾つかの主な欠点を有する。例えば、研究者は頻繁に細胞培養容器を細胞培養器から手で取り出さなければならない。この作業は細胞培養プロセスと干渉することがある。細胞培養容器を細胞培養器から取り出す時、細胞は温度、雰囲気、及び湿度を含む環境変化を経験する。また、細胞培養器外の不完全に殺菌された実験機器との細胞培養容器の頻繁な接触により細胞培養物が汚染される可能性が存在する。細胞培養物の微生物(バクテリア、菌、酵母など)による汚染は、細胞の生化学及び生物理的振舞いを変える又は細胞死さえ引き起こしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、培養器環境から顕微鏡へ細胞培養容器を物理的に移動させることなく細胞を観察する要望及び必要が存在する。1つの重大な問題は、これらの細胞を高コントラストで見るために必要な照明が細胞の背後から発せられなければならないことである、即ち、細胞を通過し顕微鏡の対物レンズに入る背面照明である。これは、光学撮像システム及び照明システムが積み重なり内の異なる場所に物理的に位置する場合、困難になる。積み重なり内の同じ領域に撮像チャンネル及び照明チャンネルを有しトレイ積み重なり及びそれらチャンネル間のアラインメントの変更をより容易にすることは非常に有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
並んで配置されるが細胞の背面照明を可能にする照明システム及び撮像システムでトレイ内の細胞を撮像するためのシステム及び方法が本明細書に開示される。撮像システム及び照明システムは小型で機能的であり細胞増殖トレイと一緒に使用できる。
【0009】
本発明は生きた細胞を増殖させるための少なくとも1つの透明なトレイ、第1のトレイの上に積み重ねられた第2のトレイ、細胞が増殖するトレイの領域の画像を形成するための撮像システム、及び細胞を透過背面照明するための照明システムを含む。撮像システムはレンズシステム、テレセントリック開口絞り、及び画像センサーを含む。照明システムはスペクトル帯域内の光を生成するための光源とその光源の平行光像を生成するためのレンズとを含み、光源の平行光像は細胞がその上で増殖しているトレイ表面を斜めの角度で通過し、第2のトレイの表面で反射され第1のトレイの表面上の細胞を背面照明する、この背面照明光は撮像システムに入り、光源の像が撮像システムレンズによってテレセントリック絞り内に再結像され、細胞の画像が画像センサー上に生成される。
【0010】
本発明の目的は、照明システムの光軸が対象トレイ上方のトレイ表面によって撮像システムの光軸に映されることである。これは照明システムが撮像システムの隣に配置され、それでもなお対象細胞を背後から照明するのを可能にする。この構成は細胞平面が照明システム及び撮像システム両方の光軸に対して斜めの角度であることを要求する。従って、撮像システムレンズによって生成される像平面は光軸に対して斜めに傾斜する。これを補償するように画像センサーを傾斜させない限り、これはシャインプルーフ条件を満たすことで視野を横切る焦点シフトを生成する。
【0011】
独立型監視プレートに本発明を一体化することは業界標準細胞培養容器を含むシステムの使用を可能にしうる。本発明は、照明システム及び撮像システムが隣り合い、即ち一体型装置として設置されうるので利点を有する。それらのシステムは予め互いに位置合わせされ細胞増殖トレイ内の最小のスペースを占めうる。カメラシステムにより占められるどんなスペースも細胞増殖のために使用できないスペースである。これはスペースを最小化し背面照明により細胞の画像を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】単一の細胞培養プレートのための検出器/照明源を概略的に例示する。
図2】積み重ねられた複数の細胞培養プレートのための検出器/照明源を概略的に例示する。
図3】本発明の実施形態に係る監視プレートの実例である。
図4】上部が取り除かれた図3の監視プレートの実例であり、監視プレートの内側に対して各光学撮像システムの相対的サイズ及び配置を示す。
図5A】監視プレートの部品を示す論理ブロック図である。
図5B】監視プレートの内側における部品の撮像部分の可能な配置を示す。
図6】監視プレート内での使用に適した単一の光学撮像システムの光路の実施形態の概略図である。
図7】光学撮像システムの照明部品及び撮像部品を収容するためのハードウェア構成の可能な実施形態の実例である。
図8図7の光学撮像システムの部品の別の図であり、それらの相対的位置を示す。
図9】斜め照明を提供するために光学撮像システムの部品を配置する別の実施形態を示す。
図10A】複数の光学撮像システムの1つの配置を示す監視プレートの破断図を示す。
図10B】監視プレートの側面図を示し、相対的に薄いアスペクト比を示す。
図10C】監視プレートの上面の1つの開口の上面図であり、その開口を共有する単一の光学撮像システムの撮像部品及び照明部品を示す。
図11A】本書に記載の監視プレートと共に使用するのに適した積み重ねられた市販の細胞培養プレートの実施形態を示す。
図11B】本書に記載の監視プレートと共に使用するのに適した積み重ねられた市販の細胞培養プレートの実施形態を示す。
図12】細胞培養プレートの積み重ねを可能にする接続特徴の実施形態を示す。
図13】監視プレートに相対した積み重ねられた細胞培養プレートの実例である。
図14】1つ以上の監視プレートによって取り込まれた画像を分析し培養物の細胞密集度及び他の特性を求めるためのシステムの論理図である。
図15】本書に記載された研究室環境のための接続された生態系の機能を支援するのに適した計算機アーキテクチャを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される用語「密集度」は細胞により占有された細胞培養基板表面の割合を指す。
【0014】
本明細書で使用されるように、「have」、「having」、「include」、「including」、「comprise」、「comprising」などは非限定の意味で使用され、概ね「これらに限定されないが~を含む」を意味する。
【0015】
英語の単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈からそうでないと明らかに指示されない限り、複数の指示対象を含む。同じ特性を記述する全ての範囲の端点は独立に結合可能で、それら記述された端点を含める。全ての参照文献は本明細書に引用される。
【0016】
用語「上面」、「底面」、「側面」、「上の」、「下の」、「上方」、「下方」などは必ずしも恒久的な相対位置を記述するためでなく、説明目的のために本明細書で使用される。そのように使用される用語は適切な状況下では交換可能であり、本開示の実施形態が、例えば本書に例示又は記述された向き以外の向きで動作可能であることは理解されるべきである。
【0017】
添付の図面にその例が示された実施形態を詳細に記述する。可能ならいつでも、同じ又は類似の部品を指すために同じ符号を全図面に亘って使用する。
【0018】
本書で使用される全ての科学的用語及び技術的用語は、そうでないと明記されない限り、通常当分野で使用される意味を持つ。本書で提供されるどんな定義も本書で頻繁に使用される用語の理解を容易にするであろうが、本開示の範囲を限定するように意図されていない。
【0019】
本開示は下記に先ず大まかに記述され、次に幾つかの代表的な実施形態に基づいて詳細に記述される。個々の代表的な実施形態に互いに組み合わされて示された特徴の全てを理解する必要はない。特に、個々の特徴は省略されても又は同じ代表的な実施形態又は他の代表的な実施形態の他の特徴と他のやり方で組み合わされてもよい。
【0020】
本発明は平らなトレイ底上で増殖する細胞を見るための照明及び撮像システムを含む。透明な対象を見る時、細胞の縁のどんなコントラストも見るのが困難でありうる。うまく働く1つの方法は細胞を背後から照明し、照明源を撮像システムの対物レンズの入射瞳に入り入射瞳を満たさないように向けることである。
【0021】
本発明の実施形態は撮像チャンネル及び照明チャンネルを撮像している細胞の同じ側に配置することの利益を提供する。従って、撮像チャンネル及び照明チャンネルは細胞培養積み重なりの同じ領域に配置され、トレイ積み重なり及びそれらチャンネル間のアラインメントの変更をより容易にしうる。加えて、本発明の実施形態は、細胞培養容器が撮像のために定位置に留まるのを許し、細胞培養容器を細胞培養器環境から撮像台に移動させる必要をなくす小型の撮像システムを提供する。そのような容器の移動は細胞の邪魔をし、細胞の環境条件を変えて細胞培養に悪影響しうるので望ましくない。
【0022】
本開示の実施形態は、監視プレート内に作られた細胞培養監視のための小型の光学撮像システムに関する。監視プレート上に複数の細胞培養トレイが積み重ねられうる。監視プレートは複数の検出器及び照明源を含む。コリメーターレンズが細胞培養容器の表面と照明源の間に配置され、照明源は細胞培養容器の表面に斜めの角度で光を放出するように構成される。検出器は細胞培養容器の表面とその検出器の間に配置された関連するレンズを有し、そのレンズは光を開口絞りを通って検出器に集束させ、検出器は細胞培養容器の表面をその表面に斜めの角度で出る光を受光するように構成される。
【0023】
このシステムは、明視野モードで動作するように構成される。このモードは細胞培養状態の様々な側面を明視野画像の画像分析により特定するのを可能にする。加えて、本書に記載されたシステムは小さい設置面積を有し、本システムが明視野モードを使って細胞培養状態の継続する監視を可能にする仕方で細胞培養容器に一体化される又は取り外し可能に結合されるのを許す。
【0024】
図1は監視プレートの複数の検出器/照明源の1つを概略的に例示する。図1の概略図は一定の比率で描かれていないことは理解されるべきである。図示のように、小型の光学撮像システム100は照明源10及びコリメーターレンズ20を備える。照明源10は、コリメーターレンズ20により平行光線され細胞培養容器30の第1表面50に向けられる光を放出するように向けられる。照明源10は、例えばこれらに限定されないが発光ダイオード(LED)又はLEDアレイであってもよい。或いは、照明源10は非LED光源、例えば白熱灯、小型蛍光灯(CFL)、ハロゲン、又は光ビームを生成し放出するように構成された他の光源であってもよい。照明源10は白色光、又は可視領域内の任意の波長又は波長の組み合わせの着色光を生成してもよい。
【0025】
図1に更に示すように、光学撮像システム100は検出器80を備える。検出器80は、自身に当たる光を検出しその光を電気信号に変えるための画像センサーを備える。画像センサーは電荷結合素子(CCD)センサー、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサー、又は光を電気信号に変えうる任意の他の種類のセンサーであってよい。或いは、検出器80はCCD、CMOS、又は他の画像センサーを単に含んでもよい。システム100は光を集めるためのレンズ60と、細胞培養容器30の第1表面50と検出器80の間に配置された開口絞り70とを更に含み、レンズ60は光を集め、その光を開口絞り70を通って検出器80に集束させる。
【0026】
本開示の実施形態によれば、照明源10、コリメーターレンズ20、及び照明源10から放出された光の光路内の任意の他の光学部品は、細胞培養容器30に入る時の光ビームの方向が第1表面50に斜めの角度であるように光を通過させるように配置される。同様に、検出器80は細胞培養容器30の第1表面50を表面50に斜めの(即ち、表面50に平行でも直角でもない)角度で出る光を受光するように斜めに配置される。動作時、光ビームは照明源10から細胞培養容器30の第1表面50に向かって放出される。第1表面50には撮像対象の生きた細胞が収容されている。光ビームは細胞培養容器30の1つの細胞培養容器90に入りその中を進み細胞培養容器90の反対側の細胞培養容器30第2表面40に到達し、検出器80に向かって斜めに方向が変えられる。方向が変えられた後、光は細胞培養容器30の第1表面50上の細胞を通過し、レンズ60により開口絞り70へ集束させられる。照明源10の像は開口絞り70において生成され照明源像は開口サイズより小さい。そのテレセントリック絞りより小さい時、撮像された細胞群の適切なコントラストが生成され細胞群をはっきり見ることができる。照明源の像は開口絞りと共役である。
【0027】
図示のように、照明源10及び検出器80は細胞培養容器30の第1表面50の同じ側に位置するように構成される。この構成はシステム100が明視野モードで動作するのを可能にし、撮像される細胞を背後から照らす。明視野モードでは、照明源からの光が撮像対物レンズ組立体に直接入り、観察対象が吸収し透過光の一部の位相を変えるか又は方向を変えるので明るい背景の中に試料が暗く見える。明視野モードで動作する時、システム100は細胞培養状態の様々な項目を明視野画像の画像分析により特定するのを可能にする。項目はこれらに限定されないが細胞数、細胞密集度、細胞密度、及び細胞移動追跡を含む。
【0028】
図2は本開示の実施形態に係る、多層細胞培養容器31又は積み重なった細胞培養容器の内の細胞を撮像するための光学撮像システム100の例を示す。光学撮像システム100の部品は図1の同様の符号の部品と同じである。多層細胞培養容器31は第1表面50a及び第1表面50aと反対側の第2表面40aを有する第1細胞培養容器90aを含む。多層細胞培養容器31は第1表面50b及び第1表面50bと反対側の第2表面40bを有する第2細胞培養容器90bを更に含む。小型光学撮像システム100は図1に示した単層細胞培養容器を参照して上記で説明したのと同様に動作する。しかし、多層細胞培養容器31では、光学撮像システム100は、照明源10からの光ビームが第2細胞培養容器90bの第2表面40bから検出システムに向かって方向が変えられうるように配置されうる。
【0029】
本開示の実施形態によれば、例えば図2に示すような多層細胞培養容器内の撮像対象の細胞は、撮像されている細胞を収容する細胞培養容器以外の細胞培養容器の表面から方向が変えられる照明を使用して撮像されうる。図2の多層細胞培養容器31は2つだけの細胞培養容器90a、90bを示すが、小型光学撮像システムの実施形態は様々な数の層又は細胞培養容器を有する多層細胞培養容器で使用されうることは熟慮されている。従って、光学システムの照明源からの光ビームは、撮像される細胞を収容する細胞培養容器のすぐ上の細胞培養容器の表面により方向が変えられうるか、又は光ビームは、撮像される細胞を収容する細胞培養容器の2層以上上の細胞培養容器により方向が変えられうる。また、照明源からの光ビームの方向を変えるのに使用される表面は細胞培養容器の底面(例えば、第1表面50b)であっても又は細胞培養容器の上面(例えば、第2表面40b)であってもよい。
【0030】
幾つかの実施形態では、各細胞培養容器は細胞培養物が載る底面を有しうる。このような場合、積み重ねたうちの次に高いトレイの底面はそのすぐ下の容器の上面として働き、光の方向を細胞培養物の方へ変えるのに使用されてもよい。或いは、各細胞培養容器は、細胞培養物内へ光の方向を変える表面として働くカバーを有してもよい。各細胞培養容器(即ち、積み重ね内の各層)は1つだけの細胞培養物を収容することは熟慮されている。
【0031】
図3は本発明の実施形態に係る監視プレート300の実例を示す。示された監視プレート300は1~5のラベルが付けられた5つの光学撮像システムを備える。図3に示す5つの開口302のそれぞれは、1つの光学撮像システム100のために働き、光源から培養物への通過と画像の収集の両方の開口として働く。図3の実例は5つの光学撮像システム100を示すが、任意の数の光学撮像システム100を使用でき、それらの光学撮像システム100を細胞培養容器の全体又は少なくとも大部分を撮像できるようにどんな仕方でも配置しうることを当業者は理解するであろう。
【0032】
図4は上部が取り除かれた図3の監視プレート300を示し、監視プレート300の内側に対して各光学撮像システム100の相対的サイズ及び配置を示す。再び、図4に示した光学撮像システムの配置と数は本質的に典型的である。
【0033】
複数の光学撮像システム100に加えて、監視プレート300は図5Aに示すように追加の部品を含んでもよい。複数の光学撮像システム100に加えて、監視プレート300は監視プレート300内の他の部品の全体動作を制御するためのコントローラ304を含んでもよい。監視プレート300は複数の光学撮像システム100が収集した画像を処理のために外部へ送信する通信インターフェース306を備えてもよい。通信インターフェースは有線接続でも又は無線接続、例えばWi-Fi又はBluetooth(登録商標)でもよい。コントローラ304は通信インターフェース306を介してコマンドを受信し、細胞培養物の撮像を開始してもよい。監視プレート300はコントローラ304、通信インターフェース306、及び 複数の光学撮像システム100に電力供給するために電源も必要とする。電源308は電池、充電式電池、又は電源インターフェースを介してアクセス可能な外部電源から成ってもよい。監視プレート300はまた、複数の光学撮像システム100が収集した画像を処理する画像処理部310を任意選択で含んでもよい。この場合、通信インターフェース306は、実際の画像を外部に送信する代わりに又は加えて画像処理結果を外部へ通信する。画像処理部310は、細胞培養物の画像に基づいて細胞密集度を求めるように訓練された1つ以上の機械学習モデル、又は画像から細胞密集度を求める他の手段を含んでもよい。図5B図5Aに示した部品の監視プレート300の内側における可能な配置を示す。
【0034】
図6は単一の光学撮像システム100の撮像部分の配置の実施形態を示す。細胞は細胞平面602にあるトレイの表面上に存在し、細胞からの光がレンズ604により結像される。画像はセンサーが存在するカメラ平面606において形成される。テレセントリック開口絞りはレンズの後方焦点に配置され、像に亘る光の角度分布が像間で同じであることを保証する。折返しミラー608は光学撮像システム100が監視プレート300内で開口302からずれ開口302に直交するのを許す。
【0035】
図7は照明部品702及び撮像部品704を収容するためのハードウェア構成の可能な実施形態を示す。積み重ねたトレイ内に追加の空間があれば、照明部品702は撮像チャンネル704の上方に配置されうる。しかし、図8は照明部品702及び撮像部品704を同じ平面内に保つのを許す実施形態を示す。図8では、照明部品702と撮像部品704をそれぞれ収容する管が、照明光が細胞トレイを通過し別のトレイ表面に斜めに当たるように回転される。この光はトレイ表面で反射し細胞を背後から照明する。細胞が載っている平面は撮像システムの光軸に対して斜めの角度である。照明部品702及び撮像部品704は図4に示されているように、単一の光学撮像システム100として収容されてよい。照明部品702及び撮像部品704両方が監視プレート300に形成された開口302を共有することは熟慮されている。
【0036】
図9は斜め照明を提供するための別の実施形態を示す。図9に示すように、LED光源902は照明光学部品904の軸からずれている。ずれ量は照明角度を設定する。
【0037】
図10は監視プレート300の幾つかの図を示し、その中に配置された複数の光学撮像システム100の1つを示す。図10Aは照明部品702及び撮像部品704により共有される1つの開口302を示す破断斜視図である。図10Bは監視プレート300の側面図であり、上記光学部品の配置が監視プレート300の薄いアスペクト比を可能にすることを示す。図10Bはまた、監視プレート300の上面から突出する柱1002を示す。柱1002は細胞培養容器、例えば図11Aに示す細胞培養容器1102の監視プレート300、即ち、複数の光学撮像システム100とのアライメントを可能にする。図10Cは監視プレート300に形成され照明部品702及び撮像部品704両方により共有される単一の開口302を示す。
【0038】
図11A及び11Bは幾つかの市販の細胞培養容器1102の実例であり、積み重ねられて監視プレート300と共に使用するのに適したスタック1104を成している。図12は、接続特徴1202を提供することでトレイ1102が互いに整列されうる方法の実施形態を示す。なお、図12に示す接続特徴1202は代表的であるだけで、細胞培養容器1102を積み重ね整列させるどんな手段も本発明の範囲内であることが熟慮されている。図13は監視プレート300上に置かれようとしている細胞培養容器の積み重ね1104を示す。
【0039】
本開示の1つの実施形態では、積み重ね1104の底の細胞培養容器1102だけが撮像されることが熟慮されている。この場合、各光学撮像システム100の光学パラメータ、例えば撮像部品704の焦点距離が積み重ね1104の最下層だけに焦点を合わせるように予め設定されてよい。その後、積み重ね1104の上の層は最下層の培養物に類似した特性を有する培養物を収容している仮定してもよい。この場合、積み重ね1104の上の層の結果は最下層の測定値に基づいて内挿されてもよい。
【0040】
別の実施形態では、光学撮像システム100は積み重ね1104の上の層に焦点を合わせるように焦点を変えられることが熟慮されている。この場合、積み重ね1104内の特定の層に焦点を合わせるために撮像部品704の焦点距離を含む光学パラメータを調整する必要がある場合がある。撮像部品704及び照明部品702を含む部品は機械的手段、例えばサーボ又はMEMS部品により移動させられる場合がある。別の実施形態では、部品はそれらの特性を非機械的やり方で変えるように動的に構成可能であってよい。また、積み重ね1104内の複数の層を撮像するために、照明部品が特定の層を照明できる、即ち、照明源が撮像している層の下の1つ以上の培養物層を通してその層を照明できることが必要である。この場合、照明源が、例えばレーザー光源、赤外線光源、又は高強度の広帯域光源であってもよいことが熟慮されている。
【0041】
本発明の非限定の例として、光学撮像システム100は、照明部品702により放出された光ビームの方向が、監視プレート300上方に位置する細胞培養層1102の細胞培養容器に細胞培養層1102の表面に斜めの角度で入るように図1又は図2に示すように構成されてもよい。同様に、光学撮像システム100の撮像部品704は、細胞培養層1102から光学センサーが受光している光ビームの方向に対して斜めの角度で位置する。光ビームの方向はまた、細胞培養層1102の撮像されている細胞が位置する領域を通過する時、細胞培養層1102の表面に斜めの角度である。光は細胞培養容器の表面を斜めの角度で通過するので、光ビームもその表面に付着した細胞に対して斜めの角度である。これにより、画像センサーが光ビームに垂直であれば視野を横切る焦点シフトが発生する。従って、シャインプルーフの原理によれば、細胞を視野に亘って合焦で撮像できるために画像センサーは光ビームに対して斜めの角度で配置されうる。光学撮像システム100の動作時、光ビームは監視プレート300内に配置された照明部品702から監視プレート300上方に配置された細胞培養層1102に向かって放出され、細胞培養層1102の第1表面は撮像対象の生きた細胞を収容している。光ビームは細胞培養層1102内に入り通過して、撮像されている細胞培養層1102の真上に位置する細胞培養層1102の底面に当たり、監視プレート300内に位置する画像センサーに向かって斜めに方向を変える。方向を変えた後、光は細胞培養層1102の第1表面上の細胞を通過し画像センサーに集束する。
【0042】
複数の撮像システム100から得た画像は細胞培養層1102内に収容された細胞培養物の密集度を求めるために処理されてよい。図14は細胞密集度を算定するためのシステムを示す。細胞培養物の複数の積み重ね1104から複数の画像をシステム1402が受信する。分析構成要素1402は、積み重ね1104内の各層1102が示す細胞密集度の値を近似するために画像を分析機1404を使用して分析してよい。分析機1404は、例えば密集度を近似するように訓練された1つ以上の機械学習データベースを含んでもよい。別の実施形態では、他の形態の分析機を使用してもよい。分析機1404は画像分析を支援するデータベース1406を利用してもよい。データベース1406は、例えば画像を分析するのに使用される機械学習モデルを含んでもよい。分析機1404の分析結果は、様々な異なるやり方で結果を提示する1つ以上の指標表示クライアント1408に出力されてよい。
【0043】
分析構成要素1402は、不揮発性コンピュータ読取可能媒体からの命令群を実行するプロセッサを含むハードウェアとして実現されてもよい。本システム及び装置を支援する使用に適した計算機アーキテクチャが図15に示されている。図15は上記様々な実施形態を実施するのに適した代表的な計算機アーキテクチャ1500の実施形態を示す。1つの実施形態では、計算機アーキテクチャ1500は全体又は一部が電子装置、例えばコンピュータ、スマートフォン、又はタブレット型計算装置1550の一部を含むか又は一部として実現されてもよい。実施形態はこの文脈において限定されない。
【0044】
本出願で使用するように、用語「システム」及び「構成要素」は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかのコンピュータ関連物を指すように意図され、その例は、代表的な計算機アーキテクチャ1500によって提供される。例えば、構成要素は、これらに限定されないが、プロセッサ上で動作しているプロセス、プロセッサ、ハードディスクドライブ、(光学及び/又は磁気記憶媒体の)複数の記憶ドライブ、オブジェクト、実行ファイル、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータでありうる。実例として、サーバ上で動作しているアプリケーション及びサーバ両方が、構成要素でありうる。1つ以上の構成要素が、プロセス及び/又は実行スレッド内に存在することができ、構成要素は、1つのコンピュータ上に局所化されるか、及び/又は2つ以上のコンピュータに分散されうる。また、構成要素は、様々な種類の通信媒体によって互いに通信可能に結合され、動作を連係させうる。この連係は、情報の一方向又は双方向の交換を伴いうる。例えば、構成要素は、通信媒体を通じて通信される信号の形態で情報を通信してもよい。情報は、様々な信号線に割り当てられた信号として実現することができる。そのような割り当てでは、各メッセージは信号である。しかし、別の実施形態は、代わりにデータメッセージを使用してもよい。このようなデータメッセージは、様々な接続を通って送信されてもよい。代表的な接続は、並列インターフェース、直列インターフェース、及びバスインターフェースを含む。
【0045】
計算機アーキテクチャ1500は、1つ以上のプロセッサ、マルチコアプロセッサ、コプロセッサ、メモリユニット、チップセット、コントローラ、周辺機器、インターフェース、発振器、タイミングデバイス、ビデオカード、オーディオカード、マルチメディア入力/出力(I/O)部品、電源など様々な通常の計算機要素を含み、これらは全て適切な接続を使って適宜通信できる。しかし、実施形態は、計算機アーキテクチャ1500による実施に限定されない。
【0046】
図15に示すように、計算機アーキテクチャ1500はプロセッサ1502及びシステムメモリ1504を備えるコンピュータを含む。プロセッサ1502は様々な市販のプロセッサのどれであってもよい。デュアルマイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、及び他のマルチプロセッサアーキテクチャもプロセッサ1502として使用してもよい。
【0047】
インターフェースはこれらに限定されないがシステムメモリ1504及び処理ユニット1502を含むシステム構成要素に提供される。インターフェースは、メモリバス(メモリコントローラが有る又は無い)、周辺バス、及び様々な市販のバスアーキテクチャのいずれかを使用する局所バスに更に相互接続してもよい幾つかの種類のバス構造のどれであってもよい。インターフェースアダプタは、スロットアーキテクチャを介してシステムバス1206に接続してもよい。スロットアーキテクチャの例は、限定されないが、Accelerated Graphics Port(AGP)、カードバス、(拡張)業界標準アーキテクチャ((E)ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)、NuBus、周辺コンポーネント相互接続(拡張)(PCI(X))、PCIエクスプレス、Personal Computer Memory Card International Association(PCMCIA)などを含んでもよい。
【0048】
計算機アーキテクチャ1500は、不揮発性コンピュータ読取可能記録媒体、例えばロジックを記憶するハードディスクドライブ(HDD)又は半導体ドライブを含んでもよい。コンピュータ読取可能記録媒体の例は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリ、取外し可能又は非取外し可能メモリ、消去可能又は非消去可能メモリ、書き込み可能又は書き換え可能メモリなどを含む、電子データを記憶可能な任意の有形媒体を含んでもよい。ロジックの例は、ソースコード、コンパイルされたコード、解釈コード、実行可能コード、スタティックコード、ダイナミックコード、オブジェクト指向コード、視覚コードなどの任意の適切な種類のコードを使って実現される実行可能なコンピュータ・プログラム命令群を含んでよい。実施形態はまた、持続性コンピュータ読取可能媒体に格納された命令群として少なくとも部分的に実現されることがあり、命令群は1つ以上のプロセッサによって読み出されて実行され、本明細書に記載された動作の実行を可能にしうる。
【0049】
システムメモリ1504は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ
(RAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、同期DRAM(SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能なプログラマブルROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、強誘電性ポリマーメモリなどのポリマーメモリ、オーボニックメモリ、相変化又は強誘電性メモリ、シリコン-酸化物-窒化物-酸化物-シリコン(SONOS)メモリ、磁気又は光カード、独立ディスクの冗長アレイ(RAID)ドライブなどのデバイスアレイ、固体メモリデバイス(例えば、USBメモリ、半導体ドライブ(SSD)、及び情報を記憶するのに適した任意の他の種類の記録媒体などの様々な種類のコンピュータ読取可能記録媒体を1つ以上の高速メモリユニットの形態で含んでもよい。基本入出力システム(BIOS)はシステムメモリ1504の不揮発性部分に記憶されうる。
【0050】
ドライブ及び関連するコンピュータ読取可能媒体は、オペレーティングシステム1520、アプリケーション1522、及び関係するデータ及びデータ構造1524の揮発性及び/又は不揮発性記憶を提供する。アプリケーション1522はコンピュータ実行可能命令群を含むソフトウェアの形態であってもよい。1つの実施形態では、1つ以上のアプリケーション1522及びデータ1524は、例えば1つ以上の監視プレート300から受信した画像を分析するのに使用される上述した分析構成要素1402を含んでもよい。
【0051】
ユーザは、1つ以上の有線/無線入力装置、例えばキーボード1510、及びマウス1512などのポインティングデバイスを介してコンピュータ1550にコマンド及び情報を入力できる。他の装置1514は、例えば監視プレート300又はスマート培養器を含んでもよい。他の種類のユーザ入力装置1514は、例えばマイクロフォン、赤外線(IR)遠隔制御器、無線周波数(RF)遠隔制御器、ゲームパッド、電子ペンシル、カードリーダ、ドングル、指紋リーダ、グローブ、グラフィックスタブレット、ジョイスティック、キーボード、網膜リーダ、タッチスクリーン(例えば、容量型、抵抗型など)、トラックボール、トラックパッド、センサー、プロジェクター、レーザスキャナーなどを含んでよい。これら及び他の入力及び出力デバイスは、しばしばコンピュータ850にシリアルポート、USB接続、有線ネットワーク接続、Wi-Fi接続、Bluetooth接続などを含む様々な手段を介して接続される。
【0052】
モニター1508又は他の種類の表示装置を映像出力222をユーザに提供するために使用してもよい。モニター1508はコンピュータ1550に内蔵でも外付けでもよい。モニター1508は、スマートフォン及びタブレット型計算装置が通常有するタッチスクリーン表示器の場合のように表示装置及び入力装置の両方として働いてもよい。モニター1508に加えて、コンピュータは音声出力224を提供するために使用されてよいスピーカ、プリンタなど他の周辺出力装置を通常含む。
【0053】
コンピュータ1550は、監視プレート300など1つ以上の遠隔ネットワークコンピュータへの有線及び/又は無線通信を介する論理接続を使用するネットワーク環境で動作してもよい。ネットワークコンピュータはワークステーション、サーバーコンピュータ、ルータ、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、マイクロプロセッサを使った娯楽機器、ピア装置、又は他の通常のネットワークノードであってよく、通常、コンピュータ1550について記載される要素の多く又は全てを備える。描かれた論理接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)110への接続を含む。このようなLAN及びWANネットワーク環境は、事務所及び会社において一般的であり、イントラネットなど企業内コンピュータ・ネットワークを可能にする。これはグローバル通信ネットワーク、例えばインターネットに接続されることがある。コンピュータ1550はLAN/WAN110に有線又は無線通信ネットワークインターフェース又はアダプター1516を介して接続されてよい。ネットワークアダプター1516はLAN/WAN110への有線又は無線通信を可能にしうる。LAN/WAN110はネットワークアダプター1516の無線機能と通信するための無線アクセスポイントも備えてよい。
【0054】
細胞培養容器1102の1つ以上の層を撮像するための複数の一体化された光学撮像システム100を有する監視プレート300を本書で説明した。加えて、1つ以上の監視プレート300から受信した画像を分析し細胞培養容器1102の1つ以上の層に収容された細胞培養物の細胞密集度を推定するための分析構成要素1402と、分析構成要素1402を支援するのに十分な計算機アーキテクチャ1500とを本書で説明した。代表的な物理的部品及び論理的部品及び部品配置を監視プレート300及び分析構成要素1402の説明で使用したが、当業者が理解するであろうように、物理的部品及び論理的部品の多くの異なる配置又は置き換えを本発明の意図された範囲から外れることなく使用しうる。例えば、照明部品702及び撮像部品704の異なる構成は本発明の範囲内である。
【0055】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0056】
実施形態1
平らな上面を有するハウジングと、
前記平らな上面に設けられた1つ以上の開口と、
前記ハウジング内に配置され前記ハウジングの前記平らな上面上に置かれた細胞培養容器内の培養物を撮像するように構成された1つ以上の光学撮像システムと
を備える装置。
【0057】
実施形態2
前記1つ以上の光学撮像システムはそれぞれ
撮像部品と
照明部品と
を備える、実施形態1記載の装置。
【0058】
実施形態3
前記照明部品は、光が前記細胞培養容器内の前記培養物の上方の表面から反射され前記培養物を前記撮像部品と反対の側から照明するように、光を前記表面に斜めの角度で向けるように構成される、実施形態2記載の装置。
【0059】
実施形態4
光を反射する前記表面は、前記ハウジングの前記平らな上面上に置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた細胞培養容器の底面である、実施形態3記載の装置。
【0060】
実施形態5
前記撮像部品は前記ハウジングの前記上面の前記開口のうち1つからずれて前記ハウジング内に配置され、
該1つの開口の真下に配置され前記培養物からの光を前記撮像部品に向けるように角度付けられたミラーを更に備える実施形態2記載の装置。
【0061】
実施形態6
前記撮像部品は前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器内の培養物を撮像するように固定された焦点距離を有する、実施形態5記載の装置。
【0062】
実施形態7
前記撮像部品は前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた細胞培養容器内の培養物を撮像するように調整されうる可動の焦点距離を有する、実施形態5記載の装置。
【0063】
実施形態8
前記照明部品は前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた細胞培養容器内の培養物を照明するように前記斜めの角度を変えるように構成される、実施形態3記載の装置。
【0064】
実施形態9
通信インターフェースと、
コントローラと、
前記通信インターフェース、コントローラ、及び前記1つ以上の光学撮像システムに電力供給するための電源と
を更に備える実施形態2記載の装置。
【0065】
実施形態10
前記コントローラは前記通信インターフェースを介してコマンドを受信し、前記ハウジングの前記上面上に積み重ねられた1つ以上の細胞培養容器内の培養物を撮像する、実施形態9記載の装置。
【0066】
実施形態11
前記コントローラは前記1つ以上の光学撮像システムからの画像を前記通信インターフェースを介して送信する、実施形態10記載の装置。
【0067】
実施形態12
前記1つ以上の光学撮像システムから収集した画像を処理するための画像処理部を更に備える実施形態9記載の装置。
【0068】
実施形態13
前記画像処理部は前記1つ以上の光学撮像システムから収集した画像を分析して前記ハウジングの前記上面上に積み重ねられた1つ以上の細胞培養容器内の細胞培養物の密集度を求める、実施形態12記載の装置。
【0069】
実施形態14
前記画像処理部は画像から細胞密集度を求めるように訓練された1つ以上の機械学習モデルを備える、実施形態13記載の装置。
【0070】
実施形態15
前記画像処理部は前記画像分析の結果を前記通信インターフェースを介して送信するように構成される、実施形態13記載の装置。
【0071】
実施形態16
細胞培養物の細胞密集度を求めるための方法であって、
撮像部品及び照明部品を備える1つ以上の光学撮像システムを前記細胞培養物の下方に設けるステップと、
前記照明部品からの光を前記細胞培養物の上方の反射する表面に斜めの角度で向けて前記撮像部品と反対の側から前記細胞培養物を照明するステップと、
照明された前記細胞培養物の画像を前記撮像部品で取り込むステップと
を含む方法。
【0072】
実施形態17
前記光学撮像システムのうち1つ以上から細胞培養物の画像を収集するステップを更に含む実施形態16記載の方法。
【0073】
実施形態18
通信インターフェースを介して前記収集した画像を送信するステップを更に含む実施形態17記載の方法。
【0074】
実施形態19
前記細胞培養物の細胞密集度を検出すように構成された画像処理部を使用して前記収集した画像を分析するステップを更に含む実施形態17記載の方法。
【0075】
実施形態20
前記画像分析の結果を前記通信インターフェースを介して送信するステップを更に含む実施形態19記載の方法。
【0076】
実施形態21
上面と底面を有する細胞培養容器と
平らな上面を有するハウジングであって、前記平らな上面上に前記細胞培養容器の底面が載せられる、ハウジングと、
前記平らな上面に設けられた1つ以上の開口と、
前記ハウジング内に配置され前記ハウジングの前記平らな上面上に置かれた前記細胞培養容器内の培養物を撮像するように構成された1つ以上の光学撮像システムと
を備える装置。
【0077】
実施形態22
前記1つ以上の光学撮像システムはそれぞれ
撮像部品と
照明部品と
を備える、実施形態21記載の装置。
【0078】
実施形態23
前記照明部品は、光が前記細胞培養容器の前記上面から反射され前記培養物を前記撮像部品と反対の側から照明するように、光を前記培養容器の前記上面に斜めの角度で向けるように構成される、実施形態22記載の装置。
【0079】
実施形態24
第2の底面と第2の上面を有する第2の細胞培養容器を更に備え、前記第2の細胞培養容器の前記第2の底面は前記細胞培養容器の前記上面に隣接して置かれる、実施形態22記載の装置。
【0080】
実施形態25
前記照明部品は、光が前記第2の細胞培養容器の前記第2の底面から反射され前記細胞培養容器内の前記培養物を前記撮像部品と反対の側から照明するように、光を前記細胞培養容器に斜めの角度で向けるように構成される、実施形態24記載の装置。
【0081】
実施形態26
前記撮像部品は前記ハウジングの前記上面の前記開口のうち1つからずれて前記ハウジング内に配置され、
該1つの開口の真下に配置され前記培養物からの光を前記撮像部品に向けるように角度付けられたミラーを更に備える実施形態22記載の装置。
【0082】
実施形態27
前記撮像部品は前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器内の培養物を撮像するように固定された焦点距離を有する、実施形態26記載の装置。
【0083】
実施形態28
前記撮像部品は前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた第2の細胞培養容器内の培養物を撮像するように調整されうる可動の焦点距離を有する、実施形態26記載の装置。
【0084】
実施形態29
前記照明部品は前記ハウジングの前記上面上に直接置かれた前記細胞培養容器の上に積み重ねられた第2の細胞培養容器内の培養物を照明するように前記斜めの角度を変えるように構成される、実施形態23記載の装置。
【0085】
実施形態30
通信インターフェースと、
コントローラと、
前記通信インターフェース、コントローラ、及び前記1つ以上の光学撮像システムに電力供給するための電源と
を更に備える実施形態22記載の装置。
【0086】
実施形態31
前記コントローラは前記通信インターフェースを介してコマンドを受信し、前記ハウジングの前記上面上に積み重ねられた1つ以上の細胞培養容器内の培養物を撮像する、実施形態30記載の装置。
【0087】
実施形態32
前記コントローラは前記1つ以上の光学撮像システムからの画像を前記通信インターフェースを介して送信する、実施形態31記載の装置。
【0088】
実施形態33
前記1つ以上の光学撮像システムから収集した画像を処理するための画像処理部を更に備える実施形態30記載の装置。
【0089】
実施形態34
前記画像処理部は前記1つ以上の光学撮像システムから収集した画像を分析して前記ハウジングの前記上面上に積み重ねられた1つ以上の細胞培養容器内の細胞培養物の密集度を求める、実施形態33記載の装置。
【0090】
実施形態35
前記画像処理部は画像から細胞密集度を求めるように訓練された1つ以上の機械学習モデルを備える、実施形態34記載の装置。
【0091】
実施形態36
前記画像処理部は前記画像分析の結果を前記通信インターフェースを介して送信するように構成される、実施形態34記載の装置。
【符号の説明】
【0092】
10 照明源
20 コリメーターレンズ
30 細胞培養容器
40、40a、40b 第2表面
50、50a、50b 第1表面
60 レンズ
70 開口絞り
80 検出器
90 細胞培養容器
90a 第1細胞培養容器
90b 第2細胞培養容器
100 光学撮像システム
300 監視プレート
302 開口
304 コントローラ
306 通信インターフェース
308 電源
310 画像処理部
602 細胞平面
604 レンズ
606 カメラ平面
608 折返しミラー
702 照明部品
704 撮像部品
1102 細胞培養容器
1104 積み重ね(スタック)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10A-10C】
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15