(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】バレル押出し機用の液体注入バレル要素
(51)【国際特許分類】
B29C 48/68 20190101AFI20240801BHJP
C08J 9/06 20060101ALI20240801BHJP
B29C 48/29 20190101ALI20240801BHJP
B29C 48/405 20190101ALI20240801BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20240801BHJP
B29C 48/82 20190101ALI20240801BHJP
B29C 48/625 20190101ALI20240801BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240801BHJP
B29C 44/56 20060101ALI20240801BHJP
B29C 44/28 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B29C48/68
C08J9/06 CES
B29C48/29
B29C48/405
B29C48/08
B29C48/82
B29C48/625
B29C44/00 E
B29C44/56
B29C44/28
B29C44/00 Z
(21)【出願番号】P 2021557943
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 US2020025484
(87)【国際公開番号】W WO2020205637
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511040425
【氏名又は名称】トーレ プラスティックス (アメリカ) インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ダート ダン
(72)【発明者】
【氏名】ボールドウィン ジェシー ジュード
(72)【発明者】
【氏名】ボック ケイトリン ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】シエラドツキ パヴェル
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503889(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0063939(US,A1)
【文献】特開平07-144354(JP,A)
【文献】特開2008-213270(JP,A)
【文献】特開2006-341478(JP,A)
【文献】特表2018-534178(JP,A)
【文献】米国特許第3480997(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バレル押出し機用のバレル要素であって、
本体を有し、前記本体は、
前記バレル押出し機の軸方向長さの方向における前記本体の幅を貫通して延びる内開口部を有し、
前記本体の前記幅は、20~60mmであり、前記本体は、
前記本体の第1の外側部から前記内開口部まで延びる少なくとも1つの注入ポートと、
前記本体の前記第1の外側部から前記内開口部に向かって延びる温度センサウェルと、
前記本体の前記第1の外側部の反対側の前記本体の第2の外側部から第1の方向に延びる冷却入口チャネルと、
前記本体の
第2の外側部から前記第1の方向に延びる冷却出口チャネルと、
第2の方向に延びる複数の連結用冷却チャネルとを有し、前記冷却入口チャネルと前記冷却出口チャネルは、前記複数の連結用冷却チャネルによって流体結合されている、バレル要素。
【請求項2】
前記少なくとも1つの注入ポートは、前記本体の前記第1の外側部と前記内開口部との間に流体結合されている、請求項1記載のバレル要素。
【請求項3】
前記少なくとも1つの注入ポートは、前記内開口部の外周の接線に垂直な方向に前記本体の前記第1の外側部から延びている、請求項1記載のバレル要素。
【請求項4】
前記本体は、前記本体の前記第1の外側部から前記内開口部まで延びる第2の注入ポートを有する、請求項1記載のバレル要素。
【請求項5】
前記第2の注入ポートは、前記本体の前記第1の外側部と前記内開口部との間に流体結合されている、請求項4記載のバレル要素。
【請求項6】
前記温度センサウェルの遠位端部は、閉鎖されている、請求項1記載のバレル要素。
【請求項7】
前記温度センサウェルの前記遠位端部は、前記少なくとも1つの注入ポートの出口に隣接して位置している、請求項6記載のバレル要素。
【請求項8】
前記冷却入口チャネルと前記冷却出口チャネルは、平行である、請求項1記載のバレル要素。
【請求項9】
前記冷却入口チャネルと前記冷却出口チャネルは、前記内開口部の互いに反対側に設けられている、請求項1記載のバレル要素。
【請求項10】
前記複数の連結用冷却チャネルは、前記冷却入口チャネルおよび/または前記冷却出口チャネルに垂直である、請求項1記載のバレル要素。
【請求項11】
前記冷却入口チャネルは、前記本体の前記第1の外側部に向かって延びている、請求項1記載のバレル要素。
【請求項12】
前記冷却出口チャネルは、前記本体の前記第1の外側部に向かって延びている、請求項1記載のバレル要素。
【請求項13】
前記複数の連結用冷却チャネルは、第1の群を成す連結用冷却チャネルおよび第2の群を成す連結用冷却チャネルを含む、請求項1記載のバレル要素。
【請求項14】
前記第1の群を成す連結用冷却チャネルと前記第2の群を成す連結用冷却チャネルは、前記内開口部の互いに反対側に設けられている、請求項
13記載のバレル要素。
【請求項15】
押出し構造体を製造する方法であって、
樹脂を押出し機のフィーダ中に導入するステップを含み、
前記フィーダの下流側の場所でバレル要素を通って液体架橋剤を前記押出し機中に導入するステップを含み、前記バレル要素は、
本体を有し、前記本体は、
前記押出し機の軸方向長さの方向における前記本体の幅を貫通して延びる内開口部を有し、
前記本体の前記幅は、20~60mmであり、前記本体は、
前記本体の第1の外側部から前記内開口部まで延びる少なくとも1つの注入ポートと、
前記本体の前記第1の外側部から前記内開口部に向かって延びる温度センサウェルと、
前記本体の前記第1の外側部の反対側の前記本体の第2の外側部から第1の方向に延びる冷却入口チャネルと、
前記本体の
第2の外側部から前記第1の方向に延びる冷却出口チャネルと、
第2の方向に延びる複数の連結用冷却チャネルとを有し、前記冷却入口チャネルと前記冷却出口チャネルは、前記複数の連結用冷却チャネルによって流体結合され、
前記液体架橋剤が前記押出し機に導入される前記場所の下流側に位置する場所で化学発泡剤を前記押出し機中に導入するステップを含み、
構造体を前記押出し機から押し出すステップを含む、方法。
【請求項16】
前記押出し構造体を照射して架橋押出し構造体を作るステップをさらに含む、請求項
15記載の方法。
【請求項17】
前記架橋押出し構造体を発泡させてフォーム構造体を作るステップをさらに含む、請求項
16記載の方法。
【請求項18】
前記化学発泡剤は、前記液体架橋剤が前記押出し機中に導入される場所の下流側に位置するラム押出し機を通って前記押出し機中に導入される、請求項
15記載の方法。
【請求項19】
前記フィーダ中に導入された前記樹脂は、非粉末形態のものである、請求項
15記載の方法。
【請求項20】
前記樹脂は、ペレット、粒、チップ、フレーク、ビーズ、円柱体、または筒体として形成されている、請求項
19記載の方法。
【請求項21】
前記樹脂は、ホモポリマーポリプロピレン、MAH‐g‐ポリプロピレン、耐衝撃性改質ポリプロピレン、ポリプロピレン‐エチレンコポリマー、MAH‐g‐ポリプロピレン‐エチレンコポリマー、メタロセンポリプロピレン、メタロセンポリプロピレン‐エチレンコポリマー、制御ブロック配列を含むメタロセンポリプロピレンオレフィンブロックコポリマー、ポリプロピレン系ポリオレフィンプラストマー、ポリプロピレン系ポリオレフィンエラスト‐プラストマ―、ポリプロピレン系ポリオレフィンエラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性ポリオレフィン配合物およびポリプロピレン系熱可塑性エラストマー配合物を含むポリプロピレン系ポリマーを含む、請求項
20記載の方法。
【請求項22】
前記押出し構造体は、シート状の輪郭形状を有しかつフィルム、ウェブまたはシートのうちの少なくとも1つである、請求項
15記載の方法。
【請求項23】
前記
押し出すステップは、同時回転式二軸スクリュー押出し機で実施される、請求項
15記載の方法。
【請求項24】
前記押出し機は、36:1~52:1の長さとスクリュー直径の比を有する、請求項
23記載の方法。
【請求項25】
前記押出し機は、スクリュー直径20個分の長さよりも大きな長さを有する、請求項
23記載の方法。
【請求項26】
前記フィーダは、最初のスクリュー直径4個分の長さの範囲内に配置され、前記液体架橋剤は、スクリュー直径4個分~8個分の長さの範囲内で前記バレル要素中に導入され、前記発泡剤は、スクリュー直径16個分~20個分の長さの範囲内で前記押出し機中に導入される、請求項
25記載の方法。
【請求項27】
各二軸スクリューは、27~135mmの直径を有する、請求項
24記載の方法。
【請求項28】
前記押出し機内の温度は、前記化学発泡剤の熱分解初期温度よりも少なくとも10℃低く維持される、請求項
15記載の方法。
【請求項29】
前記化学発泡剤は、各々が前記押出し構造体中において16μm未満のアール寸法のドメインを有する、請求項
15記載の方法。
【請求項30】
前記液体架橋剤は、ジビニルベンゼンである、請求項
15記載の方法。
【請求項31】
前記化学発泡剤は、アゾジカルボンアミドである、請求項
15記載の方法。
【請求項32】
押出し構造体を製造する方法であって、
樹脂を押出し機の第1のゾーンのところに導入するステップを含み、
液体架橋剤を
前記押出し機の前記第1のゾーンと第2のゾーンとの間でバレル要素のところに導入するステップを含み、前記第2のゾーンは、前記第1のゾーンの下流側に位置し、前記バレル要素は、
本体を有し、前記本体は、
前記押出し機の軸方向長さの方向における前記本体の幅を貫通して延びる内開口部を有し、
前記本体の前記幅は、20~60mmであり、前記本体は、
前記本体の第1の外側部から前記内開口部まで延びる少なくとも1つの注入ポートと、
前記本体の前記第1の外側部から前記内開口部に向かって延びる温度センサウェルと、
前記本体の前記第1の外側部の反対側の前記本体の第2の外側部から第1の方向に延びる冷却入口チャネルと、
前記本体の
第2の外側部から前記第1の方向に延びる冷却出口チャネルと、
第2の方向に延びる複数の連結用冷却チャネルとを有し、前記冷却入口チャネルと前記冷却出口チャネルは、前記複数の連結用冷却チャネルによって流体結合され、
化学発泡剤を前記押出し機の第3のゾーンのところに導入するステップを含み、
構造体を前記押出し機の第4のゾーンのところで押し出すステップを含む、方法。
【請求項33】
押出し構造体を製造する方法であって、前記方法は、
樹脂を押出し機のフィーダ中に導入するステップを含み、
前記フィーダの下流側の場所でバレル要素を通って液体架橋剤を前記押出し機中に導入するステップを含み、前記バレル要素は、
本体を有し、前記本体は、
前記押出し機の軸方向長さの方向における前記本体の幅を貫通して延びる内開口部を有し、
前記本体の前記幅は、20~60mmであり、前記本体は、
前記本体の第1の外側部から前記内開口部まで延びる少なくとも1つの注入ポートと、
前記本体の前記第1の外側部から前記内開口部に向かって延びる温度センサウェルと、
前記本体の前記第1の外側部の反対側の前記本体の第2の外側部から第1の方向に延びる冷却入口チャネルと、
前記本体の
第2の外側部から前記第1の方向に延びる冷却出口チャネルと、
第2の方向に延びる複数の連結用冷却チャネルとを有し、前記冷却入口チャネルと前記冷却出口チャネルは、前記複数の連結用冷却チャネルによって流体結合され、
化学発泡剤を前記押出し機中に導入するステップを含み、
構造体を前記押出し機から押し出すステップを含み、前記化学発泡剤は、各々が前記押出し構造体中において16μm未満のアール寸法のドメインを有する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バレル押出し機用の液体注入器に関する。特に、本発明は、押出し機バレル内に組み込まれていてかつ少なくとも1つの注入ポート、温度センサウェル、および冷却チャネルを有する液体注入バレル要素に関する。
【0002】
〔関連出願の参照〕
本願は、2019年3月29日に出願された米国特許非仮出願第16/370,223号明細書の優先権主張出願であり、本願を参照により引用し、その開示内容全体を本明細書の一部とする。
【背景技術】
【0003】
特殊フォームが材料の粉砕、材料の配合、押出し、照射、および発泡を含むプロセスを用いて製造される場合がある。このプロセスは、照射架橋ポリプロピレンフォームを作ることができ、このフォームは、例えば自動車内装品用途に使用できる。
【0004】
図1は、放射線架橋ポリプロピレンフォームを製造するために従来型プロセスで用いられた補助コンポーネントを示している。
図1に示されたプロセスは、材料の粉砕、材料の混合、押出し、照射および発泡のためのコンポーネントを含む。これらステップのうちの任意の組み合わせを単一の場所で実施することができるが、これらステップはまた、コストを最小限に抑えるために互いに異なる場所で実施できる。例えば、材料成分が混合されて押し出される同一の生産現場でフォームを製造することは、次にどこか別の場所で発泡を行うための押出し構造体を単に輸送するよりもコスト高である場合が多い。押出し構造体は、発泡を例えば自動車製造業者によって実施できる別の現場への搬送のためにコンパクトである。
【0005】
図1のステップ100では、樹脂を当初、生産現場に搬送し、そしてグラインダに供給し、グラインダは、樹脂を粉末形態に微粉砕する。樹脂は、ペレット、粒、チップ、フレーク、ビーズ、円柱体、筒体などとして形成され、次に、粉末形態に微粉砕される。ステップ102では、粉末状の樹脂を他の材料成分と一緒に原料サイロ内に貯蔵する。ステップ104では、粉末状樹脂および他の材料成分を例えばヘンシェル型ミキサを用いることによって互いに配合する。他の材料成分は、酸化防止剤パッケージ、架橋剤、発泡性の薬剤(すなわち、発泡剤)などを含むのが良い。ステップ106では、並列二軸スクリュー押出し機に設けられているダイを用いることによって配合材料混合物を構造体の状態に押し出し、この並列二軸スクリュー押出し機は、剪断および滞留時間を最小限に抑える小さい長さと直径(L/D)の比を有する。ステップ108では、電子ビームを用いて放射線架橋構造を作る。ステップ110の発泡プロセスでは、放射線架橋構造を予熱し、次に塩浴を熱伝導媒体として用いて放射線架橋構造中の発泡剤を活性化してフォームを作る。ステップ112では、フォームを冷却し、洗浄し、そして巻く。
【0006】
架橋フォームを製造する他の従来方法は、放射線の代わりに化学的架橋を利用して放射線架橋ポリプロピレンまたはポリエチレンフォームを作る。しかしながら、化学架橋は、自動車内装品用途にはもちいることができないフォームを生じ、と言うのは、このフォームは、滑らかではないからである。典型的には、滑らかな表面が自動車内装品に用いられ、と言うのは、これら用途は、フォームの2層ラミネートおよびTPOまたはPVCの積層箔を含むからである。その結果、化学架橋は、これら形式の用途では使用が制限されており、と言うのは、化学架橋は、一様なフォームセルを生じさせないからである。他の既知の方法としては、反応性押出しが挙げられ、この反応性押出しでは、化学反応または架橋が押出しプロセス中に起こる。
【0007】
押出しプロセス中、添加剤が通常、押出し機バレル中への液体の注入により導入される。これら注入は、押出し機バレルに沿う種々の場所でかつ様々な注入圧力レベルで実施される場合がある。幾つかの場合、押出しプロセスは、高温環境内で行われる場合がありまたは高温環境を生じさせる場合がある。したがって、押出し環境の温度は、注入されるべき液体添加剤の沸点よりも高い場合があることが考えられる。これにより、注入液体内に高い熱関連反応、例えばとりわけ、時期尚早な沸騰、分解、および重合を生じさせる場合がある。
【0008】
加うるに、押出し機バレル中に注入された幾分かの液体は、引火性である場合がある。押出し環境の温度が高すぎる場合、これら引火性液体は、極めて高い安全上の危険性を生じさせる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、押出し機バレル中に注入されている液体の温度が高すぎる場合に生じることがある多くの問題が存在する。したがって、注入中の液体の温度をある特定の温度(例えば、その沸点)未満に維持することが重要であると言える。押出し機バレル中に注入中の液体の温度を制御するとともに/あるいは維持することは、注入液体内の高い熱関連反応、例えば時期尚早な沸騰、分解、および/または重合を阻止することができる。加うるに、注入液体の温度を制御することはまた、液体の流れ特性を維持/制御することができ、それにより液体の体積流量に対する良好な管理を可能にする。さらに、液体が引火性液体である場合、温度を制御することにより、押出しプロセスの安全性を高めることができ、と言うのは、それにより、隣接の押出し機バレルからの高い熱が存在している状態で引火性ヒュームが作られる恐れを最小限に抑えることができるからである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願人は、押出し機バレルシステムに組み込むことができる液体注入バレル要素を開発し、このバレル要素内にバレル要素温度を制御するための冷却チャネルが設けられる。これら冷却チャネルは、バレル要素を通ってバレル中に注入されている液体をある特定の温度(好ましくは、液体の沸点未満)に維持することができる。この液体注入バレル要素は、液体が注入されるポートの近くのバレル要素の温度を測定するために温度センサウェルをさらに有するのが良い。温度センサウェルからの温度の読みに基づいて、冷却チャネルを通る冷却流体の流量を調節することができ、その結果、バレル要素の温度は、所与の注入液体について液体注入に適するようになる。
【0011】
幾つかの実施形態では、バレル押出し機用のバレル要素が本体を有し、本体は、本体の幅を貫通して延びる内開口部を有し、本体は、本体の第1の外側部から内開口部まで延びる少なくとも1つの注入ポートと、本体の第1の外側部から内開口部に向かって延びる温度センサウェルと、本体の第2の外側部から第1の方向に延びる冷却入口チャネルと、本体の第3の外側部から第1の方向に延びる冷却出口チャネルと、第2の方向に延びる複数の連結用冷却チャネルとを有し、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルは、複数の連結用冷却チャネルによって流体結合されている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの注入ポートは、本体の第1の外側部と内開口部との間に流体結合されている。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの注入ポートは、内開口部の外周の接線に垂直な方向に本体の第1の外側部から延びている。幾つかの実施形態では、本体は、本体の第1の外側部から内開口部まで延びる第2の注入ポートを有する。幾つかの実施形態では、第2の注入ポートは、本体の第1の外側部と内開口部との間に流体結合されている。幾つかの実施形態では、温度センサウェルの遠位端部は、閉鎖されている。幾つかの実施形態では、温度センサウェルの遠位端部は、少なくとも1つの注入ポートの出口に隣接して位置している。幾つかの実施形態では、本体の第2の外側部と本体の第3の外側部は、同一である。幾つかの実施形態では、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルは、平行である。幾つかの実施形態では、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルは、内開口部の互いに反対側の側部に設けられている。幾つかの実施形態では、複数の連結用冷却用チャネルは、冷却入口チャネルおよび/または冷却出口チャネルに垂直である。幾つかの実施形態では、冷却入口チャネルは、本体の第1の外側部に向かって延びている。幾つかの実施形態では、冷却出口チャネルは、本体の第1の外側部に向かって延びている。幾つかの実施形態では、複数の連結用冷却チャネルは、第1の群を成す連結用冷却チャネルおよび第2の群を成す連結用冷却チャネルを含む。幾つかの実施形態では、第1の群を成す連結用冷却チャネルと第2の群を成す連結用冷却チャネルは、内開口部の互いに反対側の側部に設けられている。幾つかの実施形態では、本体の幅は、20~60mmである。
【0012】
幾つかの実施形態では、押出し構造体を製造する方法が樹脂を押出し機のフィーダ中に導入するステップと、フィーダの下流側の場所でバレル要素を通って液体架橋剤を押出し機中に導入するステップとを含み、バレル要素は、本体を有し、本体は、本体の幅を貫通して延びる内開口部を有し、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルは、複数の連結用冷却チャネルによって流体結合されており、本体は、本体の第1の外側部から内開口部まで延びる少なくとも1つの注入ポートと、本体の第1の外側部から内開口部に向かって延びる温度センサウェルと、本体の第2の外側部から第1の方向に延びる冷却入口チャネルと、本体の第3の外側部から第1の方向に延びる冷却出口チャネルと、第2の方向に延びる複数の連結用冷却チャネルとを有し、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルは、複数の連結用冷却チャネルによって流体結合されており、本方法は、液体架橋剤が押出し機に導入される場所の下流側に位置する場所で化学発泡剤を押出し機中に導入するステップと、構造体を押出し機から押し出すステップとをさらに含む。幾つかの実施形態では、本方法は、押出し構造体を照射して架橋押出し構造体を作るステップをさらに含む。幾つかの実施形態では、本方法は、架橋押出し構造体を発泡させてフォーム構造体を作るステップをさらに含む。幾つかの実施形態では、発泡ステップは、架橋押出し構造体を予熱するステップを含む。幾つかの実施形態では、発泡ステップは、熱源として塩浴を用いて架橋押出し構造体中の化学発泡剤を活性化するステップを含む。幾つかの実施形態では、発泡ステップは、放射ヒータ、熱風炉、またはマイクロ波エネルギーのうちの少なくとも1つを熱源として用いて架橋押出し構造体中の化学発泡剤を活性化させるステップを含む。幾つかの実施形態では、化学発泡剤は、液体架橋剤が押出し機中に導入される場所の下流側に位置する側部ラム押出し機を通って押出し機中に導入される。幾つかの実施形態では、フィーダ中に導入された樹脂は、非粉末形態のものである。幾つかの実施形態では、樹脂は、ペレット、粒、チップ、フレーク、ビーズ、円柱体、または筒体として形成されている。幾つかの実施形態では、樹脂は、ホモポリマーポリプロピレン、MAH‐g‐ポリプロピレン、耐衝撃性改質ポリプロピレン、ポリプロピレン‐エチレンコポリマー、MAH‐g‐ポリプロピレン‐エチレンコポリマー、メタロセンポリプロピレン、メタロセンポリプロピレン‐エチレンコポリマー、制御ブロック配列を含むメタロセンポリプロピレンオレフィンブロックコポリマー、ポリプロピレン系ポリオレフィンプラストマー、ポリプロピレン系ポリオレフィンエラスト‐プラストマ―、ポリプロピレン系ポリオレフィンエラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性ポリオレフィン配合物およびポリプロピレン系熱可塑性エラストマー配合物を含むポリプロピレン系ポリマーを含む。幾つかの実施形態では、押出し構造体は、シート状の輪郭形状を有しかつフィルム、ウェブまたはシートのうちの少なくとも1つである。幾つかの実施形態では、押出しステップは、同時回転式二軸スクリュー押出し機で実施される。幾つかの実施形態では、押出し機は、36:1~52:1の長さとスクリュー直径の比を有する。幾つかの実施形態では、押出し機は、20個分のスクリュー直径よりも大きな長さを有する。幾つかの実施形態では、フィーダは、最初の4個分のスクリュー直径内に配置され、液体架橋剤は、4個分~8個分のスクリュー直径4個分~8個分の長さの範囲内でバレル要素中に導入され、発泡剤は、スクリュー直径16個分~20個分の長さの範囲内で押出し機中に導入される。幾つかの実施形態では、各二軸スクリューは、27~135mmの直径を有する。幾つかの実施形態では、押出し機内の温度は、化学発泡剤の熱分解初期温度よりも少なくとも10℃低く維持される。幾つかの実施形態では、化学発泡剤は、各々が押出し構造体中において16μm未満のアール寸法のドメインを有する。幾つかの実施形態では、液体架橋剤は、ジビニルベンゼンである。幾つかの実施形態では、化学発泡剤は、アゾジカルボンアミドである。幾つかの実施形態では、フォームは、20~250kg/m3の密度を有する。
【0013】
幾つかの実施形態では、押出し構造体を製造する方法が樹脂を押出し機の第1のゾーンのところに導入するステップと、液体架橋剤を押出し機の第1のゾーンと第2のゾーンとの間でバレル要素のところに導入するステップとを含み、第2のゾーンは、第1のゾーンの下流側に位置し、バレル要素は、本体を有し、本体は、本体の幅を貫通して延びる内開口部を有し、本体は、本体の第1の外側部から内開口部まで延びる少なくとも1つの注入ポートと、本体の第1の外側部から内開口部に向かって延びる温度センサウェルと、本体の第2の外側部から第1の方向に延びる冷却入口チャネルと、本体の第3の外側部から第1の方向に延びる冷却出口チャネルと、第2の方向に延びる複数の連結用冷却チャネルとを有し、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルは、複数の連結用冷却チャネルによって流体結合されており、本方法は、化学発泡剤を押出し機の第3のゾーンのところに導入するステップと、構造体を押出し機の第4のゾーンのところで押し出すステップとをさらに含む。幾つかの実施形態では、本方法は、押出し構造体を照射して押出し構造体の樹脂を架橋するステップをさらに含む。幾つかの実施形態では、本方法は、照射済み架橋構造を発泡させてフォーム構造体を作るステップをさらに含む。幾つかの実施形態では、幾つかの実施形態では、第3のゾーンは、第2のゾーンの下流側に位置する。幾つかの実施形態では、押出し構造体は、30~80%のポリプロピレンを含む。幾つかの実施形態では、架橋組成物は、20~75%の架橋度を有する。幾つかの実施形態では、押出しステップは、20個分のスクリュー直径よりも大きな長さを有する同時回転式二軸スクリュー押出し機で実施され、第1のゾーンは、最初のスクリュー直径4個分の長さの範囲内に位置し、第2のゾーンは、スクリュー直径4個分~8個分の長さの範囲内に位置し、第3のゾーンは、スクリュー直径16個分~20個分の長さの範囲内に位置する。
【0014】
幾つかの実施形態では、一方法によって作られた押出し構造体であって、この方法は、樹脂を押出し機のフィーダ中に導入するステップと、フィーダの下流側の場所でバレル要素を通って液体架橋剤を押出し機中に導入するステップとを含み、バレル要素は、本体を有し、本体は、本体の幅を貫通して延びる内開口部を有し、本体は、本体の第1の外側部から内開口部まで延びる少なくとも1つの注入ポートと、本体の第1の外側部から内開口部に向かって延びる温度センサウェルと、本体の第2の外側部から第1の方向に延びる冷却入口チャネルと、本体の第3の外側部から第1の方向に延びる冷却出口チャネルと、第2の方向に延びる複数の連結用冷却チャネルとを有し、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルは、複数の連結用冷却チャネルによって流体結合されており、この方法は、化学発泡剤を押出し機中に導入するステップと、構造体を押出し機から押し出すステップとをさらに含み、化学発泡剤は、各々が押出し構造体中において16μm未満のアール寸法のドメインを有する。
【0015】
原文明細書で用いられる単数形“a”、“an”、および“the”は、別段の明示の指定がなければ、複数形をも含むことが意図されている。また、理解されるべきこととして、本明細書で用いられる「および/または」という用語は、関連の列挙されたアイテムのうちの1つ以上の任意の組み合わせおよび考えられる全ての組み合わせを意味するとともにこれらを含む。さらに理解されるべきこととして、“includes”(訳文では「~を含む」としている場合が多い)、“including”、“comprises”(訳文では「~を有する」としている場合が多い)、および/または“comprising”は、英文明細書で用いられる場合、記載された特徴、整数、ステップ、作用、要素、コンポーネント、および/またはユニットの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、作用、要素、コンポーネント、ユニット、および/またはこれらの群の存在または追加を排除することはない。
【0016】
次に、本発明の例示の実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】放射線架橋ポリプロピレンフォームを製造するために従来プロセスで用いられる補助コンポーネントを示す図である。
【
図2】放射線架橋ポリプロピレンフォームを製造するための従来方法を示す流れ図である。
【
図3】本発明の諸実施形態に従って従来プロセスで用いられる微粉砕および配合ステップなしで、放射線架橋ポリプロピレンフォームを製造するプロセスを示す流れ図である。
【
図4】本発明の諸実施形態に従って直接配合押出しプロセスに用いられる同時回転式押出し機の略図である。
【
図5】本発明の諸実施形態に従って配合済み押出し構造体を作るためにプロセスで用いられる補助コンポーネントを示す図である。
【
図6】本発明の諸実施形態に従って同時回転式押出し機の内部部品を示す図である。
【
図7】本発明の諸実施形態に従ってバレル要素に対する押出し機内の区分およびゾーンの配置場所を示す図である。
【
図8】本発明の諸実施形態に従って押出し機のバレルセグメントの加熱および冷却特徴を示す図である。
【
図9】本発明の諸実施形態に従って架橋剤を押出し機中に注入するために用いられる注入器を示す図である。
【
図10】本発明の諸実施形態に従って架橋剤をバレル要素中に注入するために用いられる注入器を示す図である。
【
図11】本発明の諸実施形態に従って液体ダイヤフラムポンプの一実施例を示す図である。
【
図12】本発明の諸実施形態に従って押出し機バレル内の注入場所に応じてDVBの貧弱な混合および良好な混合具合の写真図である。
【
図13】本発明の諸実施形態に従って100Xの倍率で検査されたシート構造体の断面の写真図である。
【
図14】押出し機の2つのバレル区分相互間のスペーサとして採用するバレル要素の一実施形態を示す図である。
【
図15】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の正面の写真図である。
【
図16A】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の内部コンポーネントを示す正面図である。
【
図16B】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の内部コンポーネントを示す側面図である。
【
図17A】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の内部コンポーネントを示す正面図である。
【
図17B】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の内部コンポーネントを示す平面図である。
【
図17C】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の内部コンポーネントを示す側面図である。
【
図18】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の内部コンポーネントを示す正面図である。
【
図19】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の正面の写真図である。
【
図20】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の平面図の写真図である。
【
図21】本明細書において開示されるバレル要素の一実施形態の側面図の写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図中、同一の参照符号は、別段の指定がなければ、同一のコンポーネントに対応している。
【0019】
本明細書において放射線架橋ポリプロピレンフォームを製造する方法およびプロセスが記載される。幾つかの実施形態では、これは、放射線架橋ポリプロピレンフォームの生産のための押出し構造体を製造するための全ての材料成分の押出しを含み、かかる材料成分としては、液体架橋剤が挙げられる。加うるに、この液体架橋剤は、押出し機バレルシステム中に組み込まれるのが良い液体注入バレル要素を介して押出しプロセスに添加されるのが良い。このバレル要素は、バレル要素の温度を制御するための冷却チャネルならびにバレル要素の温度を測定するための温度センサウェルを含む。
【0020】
押出し構造体は、1つの場所で作られ、別の場所で照射され、そしてさらに別の場所で発泡するよう変換されるのが良い。本明細書において用いられる押出し構造体は、シート状の輪郭形状を有し、これはフィルム、ウェブ、シートなどであって良い。押出しシート構造体を作るプロセスは、シーティング(sheeting)とも呼ばれる場合がある。したがって、この開示は、照射および発泡とは別のプロセスとして押出し構造体の製造を記載し、ただし、照射および発泡は、全て、幾つかの実施形態では同一のプロセスの一部であるのが良い。
【0021】
放射線架橋ポリプロピレンフォームを作るための従来方法は、全ての材料成分を微粉砕し、全ての材料成分をヘンシェル型ミキサ内で一緒に配合し、長さと直径の比(L/D)が小さい逆回転式押出し機を用いて配合材料を押し出し、電子ビームを用いて押出し構造体を架橋させ、次に熱伝導媒体を用いて化学発泡剤を活性化させて架橋構造を発泡させる別々のステップを含む。
【0022】
従来方法では、樹脂ペレットは、粉末状樹脂を他の材料成分と一緒に混合する前に粉末の状態に微粉砕される。樹脂の粉末形態は、液体架橋剤、例えばジビニルベンゼン(DVB)の混合物中への吸着を容易にする。吸着は、液体が、この場合粉末樹脂である吸着材の表面にくっつくプロセスである。非粉末状樹脂を用いることにより、液体架橋剤を混合物によって吸着するのを阻止することができ、と言うのは、非粉末状樹脂は、ミキサまたは貯蔵容器の底部に沈殿するからである。また、樹脂を粉末にすることにより、混合物中における材料成分の均一配合物の生成が容易になり、と言うのは、多くの添加剤もまた、微粉として形成されるからである。例えば、化学発泡剤であるアゾジカルボンアミド(ADCA)は、サイズが18~30ミクロンである。
【0023】
図2は、放射線架橋ポリプロピレンフォームを製造する従来プロセスを示す流れ図である。ステップ200では、樹脂をペレットから粉末形態に微粉砕する。ステップ202では、粉末状樹脂および他の材料成分を配合して混合物の状態にする。ステップ204では、押出し機を用いて押出し構造体、例えばシートを作る。ステップ206では、電子ビームを用いて放射線架橋構造を作る。ステップ208では、放射線架橋構造をフォーム製品に変換する。
【0024】
従来方法とは異なり、説明する方法およびプロセスは、樹脂、架橋剤、および化学発泡剤を含む材料成分の混合物からの押出し構造体の製造を可能にし、樹脂、架橋剤、および化学発泡剤は全て、押出し機中に直接投入される。これは、これにより樹脂を微粉砕する必要性がなくなり、しかも別個のミキサが微粉砕樹脂と他の材料成分を配合する必要性がなくなるので有利である。これはまた、他の材料との配合物中に粉末状樹脂を作るための追加のステップ、労力、および資本を必要としないで押出し構造体を作ることができるので有利である。樹脂を微粉砕する必要性をなくすことにより軟質のオレフィン材料を微粉砕するための極低温液体窒素の必要性がなくなるので、さらに経常費が減少する。
【0025】
図3は、
図2に示されているプロセスにおいて従来の微粉砕および配合ステップなしで放射線架橋ポリプロピレンフォームを製造するプロセスを示す流れ図である。ステップ300では、直接配合が全ての材料成分を押出し機中に直接導入して押出し構造体を形成することによってシート押出し物について用いられる。ステップ302では、電子ビームが押出し構造体を架橋するために用いられる。ステップ304では、発泡プロセスが放射線架橋構造をポリプロピレンフォームに変換する。
【0026】
微粉砕および配合
供給業者は、通常、樹脂をペレットの形態で提供している。ペレットは、寸法が2mmから10mmまでの範囲にあるのが良い。樹脂ペレットは、全体的製造プロセスの一部として微粉砕されても良くまたは押出しおよびシーティング前に遠隔の場所で微粉砕されても良い。極低温粉砕機は、熱発生および凝集を生じさせないで軟質オレフィン材料の粉砕を容易にするために液体窒素を用いる。液体窒素を用いることによって粉砕が容易になるが、必ずしも、粉末状樹脂を生じさせる必要はない。樹脂を重合反応器の結果として直接生じるフレークまたは粉末形態で得ることも可能である。反応器のフレークまたは粉末は、ASTM D5644に準拠して測定された以下の表1に示されている粒径分布を有するのが良い。幾つかの場合、サイズの小さな樹脂は、微粉砕する必要なく、しかもいつでも配合の際に使用可能である。
表1
【0027】
ペレットの微粉砕後、樹脂は一般に、表2に示された粒径分布を有する。かくして、樹脂のサイズを約2mm未満まで減少させることができる。オレフィン材料、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンの場合、微粉最後のバルク密度は、一般に、ASTM D1895に準拠して測定して25~55g/100ccである。
表2
【0028】
微粉砕樹脂を他の成分および添加剤と混ぜ合わせてミキサ中に投入し、それにより全ての材料成分を一緒に配合するのが良い。ミキサは、例えば、ヘンシェル型ミキサであるのが良い。材料成分としては、例えば、微粉砕樹脂または反応器フレーク、液体架橋剤、化学発泡剤、酸化防止剤パッケージ、および任意他の種類の添加剤が挙げられる。材料成分を正確なステップシーケンスにおいて重量測定法によりミキサに合わせてスケール変更し、その結果、凝集が材料成分のバッチの配合の際に生じないようにする。この材料バッチをある期間にわたって低速で、次に高速で混合する。一般に、混合時間は、配合物バッチ1つ当たり全体で約9~10分である。
【0029】
押出し
押出しは、一定の断面輪郭形状を有する構造体を形成するために用いられるプロセスである。押出し機は、押出し構造体を作るために用いられる。本明細書において説明する方法およびプロセスは、樹脂を微粉砕するステップおよび材料成分をあらかじめ配合するステップをなくすことができ、と言うのは、全ての材料成分を押出し機中に直接供給することができるからである。材料成分は、押出し機の単一のポートを通って供給されても良く、あるいは、各成分が別々のポートを通って押出し機に個々に供給されても良く、あるいはこれらの組み合わせであっても良い。フォーム組成物の成分を予備配合することは、これら成分の分散を容易にするために実施されるのが良く、ただし、このことが必要であるわけではない。ヘンシェル型ミキサは、かかる予備配合のために使用できる。
【0030】
液体架橋剤を押出し構造体、例えばフォームシートまたはフィルムの製造のために押出し機中に直接注入するステップを含む押出しプロセスが本明細書において記載される。本説明の大部分は、液体架橋剤に関するが、他の種々の液体添加物は、本明細書において説明する液体注入バレル要素の使用により注入できる。幾つかの実施形態では、これら種類の配合シートは、材料を粉砕せず、しかも押出し機中への配合物の導入前に材料の混合物を配合しないで作られる。かくして、押出しプロセスは、材料を予備粉砕せずまたは予備配合しないで、放射線架橋ポリプロピレン配合フォームシート生成物を作るために使用できる。
【0031】
図4は、直接配合押出しプロセスのために用いられる同時回転式押出し機の略図である。幾つかの実施形態では、原料の互いに異なる組み合わせが
図4に示されている同時回転式押出し機400の互いに異なるポートに供給される。作られるべきフォーム生成物に応じて、互いに異なる原料を同時回転式押出し機に直接供給して特定の標的厚さ、密度、および架橋値を持つ放射線架橋ポリプロピレンフォーム製造のために用いられる配合済み押出し構造体を達成することができる。かくして、種々の要因が押出しプロセスに影響を及ぼし、かかる要因としては、標的厚さ、密度、フォーム形式などが挙げられる。
【0032】
図4の互いに異なるポートは、樹脂のためのフィーダ402、注入液体404(例えば、架橋剤、例えばDVB注入器)のためのポート、化学発泡剤408(例えば、ADCA側部ラム押出し機)のためのポート、および真空ポート410を含む。押出し機400は、大気ベント406をさらに有するのが良い。
【0033】
押出し機400は、多数のバレル区分またはゾーンを有する。各バレル区分は、例えば押出し機直径4個分(4D)の軸方向長さを呈する。特に、押出し機400は、供給区分および供給区分の下流側に位置した10個の他の区分を示している。バレルの個数は、互いに異なる実施形態に従って様々であって良いが、押出し機全長は、一様な分散および分配特性を備えた配合物を生じさせるよう材料成分を混合するのに十分であるべきである。幾つかの実施形態では、押出し機400は、バレル要素5を有する。バレル要素それ自体については後で詳細に説明する。しかしながら、バレル要素は、注入液体404のためのポートを有するのが良い。加うるに、バレル要素は、押出し機の任意の2つの隣り合うバレル区分またはゾーン相互間に位置するのが良い。したがって、バレル要素は、隣り合うバレル区分またはゾーン相互間のスペーサとしての役目を果たすことができる。例えば、
図14に示されているように、バレル要素5は、押出し機の2つの隣り合うバレル区分またはゾーン相互間のスペーサである。幾つかの実施形態では、バレル要素は、
図4に示されているように、供給バレル区分と第1のバレル区分またはゾーンとの間に位置するのが良い。幾つかの実施形態では、バレル要素の軸方向長さは、例えば、押出し機の0.1個分の直径(0.1D)、0.25個分の直径(0.25D)、0.5個分の直径(0.5D)、0.75個分の直径(0.75D)、1個分の直径(1D)、2個分の直径(2D)、3個分の直径(3D)、または4個分の直径(4D)であるのが良い。幾つかの実施形態では、押出し機のバレル要素の軸方向長さは、直径約4個分未満、直径約3個分未満、直径約2個分未満、直径約1個分未満、直径約0.5個分未満であるのが良い。幾つかの実施形態では、押出し機の軸方向長さの方向におけるバレル要素の幅は、少なくとも約20mm、少なくとも約25mm、少なくとも約30mm、少なくとも約35mm、少なくとも約40mm、少なくとも約45mm、少なくとも約50mm、または少なくとも約60mmであるのが良い。幾つかの実施形態では、押出し機の軸方向長さの方向におけるバレル要素の幅は、多くても約60mm、多くても約55mm、多くても約50mm、多くても約45mm、多くても約40mm、多くても約35mm、または多くても約30mmであるのが良い。幾つかの実施形態では、押出し機の軸方向長さの方向おけるバレル要素の幅は、約20~60mmまたは約25~50mmであるのが良い。
【0034】
図5は、配合済み押出し構造体を作るための全体的プロセスで用いられる補助コンポーネントを示している。全体的プロセスは、押出し構造体を製造するための配合レベルおよびシーティングレベルを含む。
図5に示されている押出し機500は、
図4に示されている別の実施形態としての押出し機400に対応しているが、
図5は、製造プロセスの一部でもある追加の補助コンポーネントを示している。
図4および
図5に示されている追加の補助コンポーネントのうちの多くは、市販されている。
【0035】
シーティングレベルプロセスは、高速高エネルギー入力同時回転式二軸スクリュー押出し機500を含む。材料成分がロス・イン・ウェイト・フィーダまたは重量測定(検出)方式連続定量供給フィーダ(gravimetric loss-in-weight feeders)502を用いることによって押出し機500に供給される。化学発泡剤(例えば、ADCA)が押出し機500の側部ラム押出し機504を通って供給される。側部ラム押出し機504は、特定の押出し機のために寸法決めされた標準型であるのが良い。真空ポート506がポリマーメルト中の揮発物または空気捕捉物を除去するために押出し機500に利用される。これら不純物を除去することは、発泡中に欠陥となって現れる気泡またはボイドが押出し構造体中に生じるのを阻止するのを助ける。代表的な真空圧力は、絶対真空でいえば18~25トルであるのが良い。真空ポンプは、ドライ型の者であっても良く、あるいは、封止状態を維持するために冷却プロセス水を用いる液体リング型ポンプであっても良い。
【0036】
メルトをブレーカープレート508に通して濾過し、ブレーカープレート508は、押出し機500の下流側端部のところにフィルタ510を有する。代表的なフィルタは、20メッシュという粗さでありまたは250メッシュという細かさであるのが良く、これらフィルタは、プラスチック押出しプロセス用の業界標準スクリーンである。メルト濾過後、歯車ポンプ512(すなわち、メルトポンプ)を用いて押出しダイ514に対する一様な出力を加圧するとともに維持する。幾つかの実施形態では、押出しダイ514は、一様厚さおよび一様幅のシート輪郭形状物を作る洋服掛け設計のものであり、このシート輪郭形状物は次に、チルロールスタック状に注型される。液体架橋剤は、注入器を通って押出し機500の上流側端部中に注入されるのが良い。幾つかの実施形態では、注入器は、バレル要素の液体注入ポートに流体結合されているのが良い。液体架橋剤を低圧または高圧液体ポンプから注入器に送り出すのが良く、この液体ポンプは、特定の液体、粘度、および注入器向きに指定されたピストンまたはダイヤフラム型ポンプであるのが良い。
【0037】
押出し構造体、例えばシートは、ポリプロピレンまたは他の樹脂のペレットを押出し機500に直接供給することによって、粉砕および配合ステップなしで作られる。化学発泡剤が押出し機500中に導入され、液体架橋剤が押出し機500中に直接注入される。この押出しプロセスは、適切には、材料成分を互いに混合するとともに配合して発泡剤と十分に混ぜ合わされた均一配合物(ブレンド)を生じさせる。発泡剤は、ポリマーマトリックス全体を通じて効果的に分散させるとともに分配される。押出しプロセス中、ポリマーの溶融(融解)温度は、時期尚早な発泡を阻止するために発泡剤の活性化または分解温度よりも低く保たれる。
【0038】
本明細書において説明するプロセスおよび方法は、従来方法に用いられる押出し機よりも長さと直径(L/D)の比が大きな同時回転式二軸スクリュー押出し機を用いるのが良い。すなわち、微粉砕、配合、および混合に必要な機器は、これら特定の作用を実行できる押出し機500中の追加のセグメントまたはゾーンで置き換えられる。例えば、微粉砕樹脂および予備配合材料を用いる場合、L/Dは、通常、20:1~24:1L/Dである。従来プロセスとは異なり、押出しシートの直接配合向きの押出し機長さは、36:1~52:1、例えば44:1のL/D比を有するのが良い。かくして、ペレット樹脂は、押出し機500ののど部に供給され、化学発泡剤は、側部ラム押出し機により押出し機500中に投入され、液体架橋剤は、押出し機500中に直接注入される。
【0039】
押出し機の長さを定量化する通常のやり方は、バレル長さとスクリュー直径(L/D)の比である。例えば、押出し機が100mmの内部スクリュー直径を有するとともに2000mmの長さを有する場合、この押出し機のL/D比は、20:1L/Dである。押出し機の軸方向長さもまた、軸線に沿う場所を加えて直径で表されるとともに記録されるのが良い。例えば、20:1L/Dの100mm径押出し機の供給ポートから400mmのところの場所は、4個分のスクリュー直径の長さ、すなわち4D(4×100mm)と表わされる場合がある。これは、押出し機に沿うある特定の場所を参照する上での一般的かつ従来のやり方であり、と言うのは、多くの押出し機は、4個分の直径の長さで構成される多数のモジュール化バレルを用いているからである。
【0040】
化学発泡剤を不用意に活性化することによって時期尚早な発泡を生じさせないように剪断および熱を最小限に抑えるための発泡剤を含む配合物を処理する従来方法では、逆回転式押出し機が用いられる場合がある。これは、発泡剤の時期尚早な分解に対応している。例えば、シート状の輪郭形状物の押出し溶融温度は、化学発泡剤の熱分解初期温度よりも少なくとも10℃低いのが良い。
【0041】
図6は、典型的な同時回転式押出し機の内側部品を示しており、この同時回転式押出し機は、この実施例では、36:1(L/D)を有する。
図7は、注入スペーサとして指摘されたバレル要素に対する場所および区分またはゾーンに関する詳細を示している。
【0042】
押出し機の直径またはサイズは、例えば、約27mmから100mmまでの範囲にあるのが良い。小さい押出し機直径、例えば27mmは、商業生産に十分な出力を生じさせることができない。他方、大きすぎる直径(例えば、100mmよりも非常に大きな直径)は、混合を損ねる場合があり、と言うのは、処理される材料の1キログラム当たりのメルト分割の数が同一のRPMでは減少するからであり、と言うのは、より多量の材料が押出し機500を通過しているからである。したがって、幾つかの実施形態では、押出し機の直径は、押出し構造体の商業生産については約27~235mm、約40~100mm、約40~80mm、または約60~100mmである。幾つかの実施形態では、押出し機の直径は、約40mm、約50mm、または約87mmである。
【0043】
L/D比が小さすぎるまたは大きすぎる押出し機を用いると、欠陥のあるフォームが生産される場合がある。例えば、L/D比が20:1であると、材料をポンプ送りするために計量要素と関連して十分な混合要素が得られない。この結果、シート製品は、添加剤がシート製品中に一様に分散されなかったことによりサイズの減少した非溶融材料および/またはシート製品を含む場合がある。これらの欠陥のあるシート製品は、最終の発泡プロセス中に他の欠陥として現れる場合がある。他方、例えば、60:1の押出し機L/D比は、大きすぎると言える。押出し機長さが大きすぎると、その結果として、押出し機中のポリマーの滞留時間が長すぎることになる。滞留時間の増加により、化学発泡剤の劣化および時期尚早な活性化が生じる場合がある。
【0044】
押出し機は、
図7に示されているように、ポリマー成分を十分に溶融させるスクリュー設計を有するのが良い。押出し機は、非溶融部分、大きな粒子などがない状態の均一配合物を得るために一様な分散および分布特性を備えた一貫した混合を達成する。これらの欠陥を混合物から除去することは、もしそのようになっていなければ発泡プロセス中に現れる欠陥をなくすのを助ける。
【0045】
図13は、100Xの倍率下で検査されたシート構造体の断面の画像を含む。左側の画像は、押出し中の「良好な混合」の一例である。各粉末発泡剤ドメインのアールサイズは、直径が約16μmまたは32μm以下である。右側の画像は、押出し中の「貧弱な混合」の一例である。この場合、化学発泡剤のドメインは、アールが非常に大きく、すなわち、46μmという大きさである。発泡剤のこれらの大きなドメインにより、シートがその後に発泡されたときに欠陥が生じる。
【0046】
押出しプロセスは、制御できる互いに異なるパラメータを含む。これらパラメータとしては、供給量、レシピ材料成分の割合、押出し機スクリューRPM、バレルゾーン温度、および頭部圧力が挙げられる。本明細書で言及される頭部圧力は、押出し機500の排出部のところの圧力である。
図8は、例えばバレル温度を制御するために使用できる押出し機500のバレルセグメントの加熱および冷却特徴を示している。
【0047】
諸成分が押出し機中にどのように供給されるかとは無関係に、押出し機内の剪断力および混合作用は、シート状の輪郭形状物を有する均質押出し構造体を作るのに十分でなければならない。シート状の輪郭形状物は、フィルム、ウェブ、またはシートであるのが良い。幾つかの実施形態では、同時回転式二軸スクリュー押出し機は、一様な特性を備えたシートを押し出すのに十分な剪断力および混合作用を押出し機中に提供する。
【0048】
シート状の輪郭形状物の押出し温度は、化学発泡剤の熱分解初期温度よりも少なくとも10℃低いのが良い。押出し温度が化学発泡剤の熱分解温度よりも大きい場合、発泡剤は、分解することになり、その結果、望ましくない時期尚早な発泡が生じる。
【0049】
樹脂
押出し機500に供給される樹脂は、ポリプロピレン、またはポリプロピレンと他の適合性材料の配合物から成るのが良い。ポリプロピレンは、配合物が望ましい場合に一般的に用いられる。幾つかの実施形態では、これら2種類の材料は、いずれか一方の原樹脂のいずれもがそれ自体では達成することができない所望の物理的性質を達成するよう互いに配合される。組成物は、2種類以上の材料を互いに配合することによって相乗効果を生じさせることができる。幾つかの実施形態では、数種類のポリプロピレンを多数のポリエチレン系材料と一緒に配合するのが良い。
【0050】
幾つかの実施形態では、押出し構造体は、230℃で10分当たり約0.1~25グラムのメルトフローインデックス(melt flow index :MFI)を有する少なくとも1つのポリプロピレン系ポリマーおよび/または190℃で10分当たり約0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する少なくとも1つのポリエチレン系ポリマーの重量を基準として約25~95部を有する。幾つかの実施形態では、樹脂は、30~80%のポリプロピレンを含み、残りは、ポリエチレンである。
【0051】
特に、剪断応力は、剪断速度粘度に比例する。メルトフローインデックスが大きすぎると、樹脂の粘度が低すぎることになり、その結果、押出しプロセス中に成分を分散させるための剪断応力が小さくなり、また、最終的には、発泡中に欠陥が生じる。他方、メルトフローインデックスが小さすぎると、その結果として、粘度が大きすぎることになり、それにより、剪断による加熱が生じるとともに高い押出し圧力が生じる。これにより、発泡剤の時期尚早な活性化が生じるとともに貧弱な押出し出力が生じる場合がある。したがって、ポリプロピレンおよびポリエチレンのメルトフローインデックスが10分当たり0.5~8グラム、またはより好ましくは10分当たり0.5~3.5グラムであることが好ましい。
【0052】
押出し機500に供給される樹脂は、ペレットの形態をしていても良く、と言うのは、粉砕が不要だからである。代表的なペレットサイズは、平均寸法((長さ+幅)/2)が約2mmから約10mmまで様々であり、一般的なペレットサイズは、約4mmである。ペレットサイズはまた、1グラム当たりのペレット本数で表される場合があり、オレフィンについては、所与のサイズが2mm~10mmの場合、それぞれ、200個から10個まで様々であって良い。これよりも小さなペレットサイズを用いると、ペレット化の費用が増大する場合がある。他方、大径のペレットを用いると、押出しプロセス中、材料を破砕して十分に溶融させるとともに均質化するのに大きな分散エネルギーが必要である。
【0053】
樹脂は、
図5に示されているように、4Dの長さ内で主供給ポート502を通って押出し機500に供給され、または押出し機500の第1のバレルセグメントに供給される。したがって、フィーダおよび/または供給ポートは、押出し機の最初の4個分のスクリュー直径内に配置されるのが良い。樹脂を押出し機500のさらに下流側に供給することにより、押出し構造体中に未溶融樹脂が生じる場合があり、と言うのは、樹脂は、押出し機500の供給スクリューの可塑化(すなわち、溶融および混合)区分をバイパスするからである。したがって、未溶融樹脂の結果として、シートが生じ、これにより、フォーム中に欠陥が生じる。
【0054】
本明細書で言及されるポリプロピレンは、ホモポリマーポリプロピレン、MAH‐g‐ポリプロピレン、耐衝撃性改質ポリプロピレン、ポリプロピレン‐エチレンコポリマー、MAH‐g‐ポリプロピレン‐エチレンコポリマー、メタロセンポリプロピレン、メタロセンポリプロピレン‐エチレンコポリマー、制御ブロック配列を含むメタロセンポリプロピレンオレフィンブロックコポリマー、ポリプロピレン系ポリオレフィンプラストマー、ポリプロピレン系ポリオレフィンエラスト‐プラストマ―、ポリプロピレン系ポリオレフィンエラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性ポリオレフィン配合物およびポリプロピレン系熱可塑性エラストマー配合物を含むポリプロピレン系ポリマーを含む。ポリプロピレンのもう1つの例は、アイソタクティックホモポリプロピレンである。
【0055】
本明細書で用いられるポリプロピレンは、LDPE、MAH‐g‐LDPE、LLDPE、MAH‐g‐LLDPE、VLDPE、VLLDPE、HDPE、MAH‐g‐HDPE、ポリエチレン‐プロピレンコポリマー、MAH‐g‐ポリエチレン‐プロピレンコポリマー、メタロセンポリエチレン、MAH‐g‐メタロセンポリエチレン、メタロセンエチレン‐プロピレンコポリマー、MAH‐g‐メタロセンエチレン‐プロピレンコポリマー、メタロセンポリエチレンオレフィンブロックコポリマー(制御ブロック配列を含む)、EVOH、EVA、MAH‐g‐EVA、EMA、MAH‐g‐EMA、EGMA、MAH‐g‐EGMA、EBA、MAH‐g‐EBA、EEA、MAH‐g‐EEA、EAA、and MAH‐g‐EAAを含むポリマー系樹脂である。
【0056】
耐衝撃性改質ポリプロピレンは、ホモポリプロピレンまたはエチレン‐プロピレンコポリマーゴムとのポリプロピレン‐エチレン‐コポリマー(ランダムPPコポリマー)である。ゴムは、非晶質であっても良く、あるいは半結晶質であっても良いが、材料を任意のプラストマーまたはエラストマー特性にするのに十分な量を有していない。市販の耐衝撃性改質ポリプロピレンの例としては、ブラスケム(Braskem)社製のTI4003F、TI4015F、およびPRISMA(R)6910、およびリヨンデルベーセル(LyondellBasell)社製のPRO-FAX(登録商標)8623およびPRO-FAX(登録商標)SB786が挙げられるが、これらには限定されない。
【0057】
ポリプロピレン‐エチレンコポリマーは、ランダムエチレンユニットを含むポリプロピレンである。市販のポリプロピレン‐エチレンコポリマーの例としては、トータル・ペトロケミカルズ(Total Petrochemicals)社製の6232FL、7250FL、およびZ9421、ブラスケム(Braskem)社製の6D20およびDS6D81、およびリヨンデルベーセル(LyondellBasell)社製のPRO-FAX(登録商標)RP311HおよびADSYL(商標)7415XCPが挙げられるが、これらには限定されない。
【0058】
架橋剤およびバレル要素
架橋剤を用いてポリプロピレンおよびポリエチレンとの配合物を電子ビーム照射下において架橋するのが良く、と言うのは、ポリプロピレン樹脂は、これら自体では架橋しないからである。これとは対照的に、ある特定の種類のポリエチレン、例えばLDPE、VLDPE、および他のコポリマーは、架橋剤を用いなくても架橋することができる。幾つかの実施形態では、ポリプロピレン系フォームとしては、架橋され、また、ポリエチレン、EVAなどとの配合物を含む場合のあるPP樹脂のある部分を含むオレフィンフォームが挙げ得られる。
【0059】
幾つかの実施形態では、液体架橋剤を押出し機の供給バレル区分またはゾーンの直後にバレル要素のところで押出し機中に注入する。したがって、液体架橋剤を押出し機の供給バレル区分と第1のゾーンとの間のバレル要素を通って押出し機中に注入するのが良い。
図15、
図19、
図20、および
図21は、液体を押出し機中に注入するために用いられるバレル要素の画像である。
【0060】
図16は、内部チャネルおよびポートをさらに有するとともにこれらを示しているバレル要素の一実施形態の正面図(
図16A)および側面図(
図16B)である。バレル要素5は、内開口部7を備えた本体6を有するのが良い。内開口部は、バレル要素の第1のフェース8から第2のフェース9までバレル要素の幅を貫通して(すなわち、バレル要素の軸方向長さにわたって)延びるのが良い。内開口部は、押出し機の種々のバレル区分のバレル開口部と同一のサイズのものであるのが良く、その結果、押出し機スクリューは、この開口部中に嵌まることができるようになっている。
【0061】
加うるに、バレル要素は、連結ボア10を有するのが良い。これら連結ボアは、バレル要素の第1のフェースから第2のフェースまでバレル要素の幅を貫通して(すなわち、バレル要素の軸方向長さにわたって)延びるのが良い。これら連結ボアは、押出し機のバレル区分をバレル要素の両側部に取り付けるのに使用できる。例えば、1つのバレル区分(例えば、供給ゾーン)は、押出し機の第1のフェースに取り付けられるのが良く、第2のバレル区分(例えば、第1のゾーン)は、押出し機の第2のフェースに取り付けられるのが良い。これらバレル区分は、ねじを含む多くの手段によってバレル要素に取り付け可能である。
【0062】
バレル要素は、少なくとも1つの注入ポート11をさらに有するのが良い。
図16、
図17、および
図18では、少なくとも1つの注入ポートが、この注入ポートがバレル要素の本体の内側のチャネルであることを指示する点線として示されている。少なくとも1つの注入ポートは、バレル要素の外側の第1の側部12から内開口部7に向かって延びるのが良い。加うるに、少なくとも1つの注入ポートは、バレル要素の外側の第1の側部のところに入口13を有するとともにバレル要素の内開口部に開口した出口14を有するのが良い。したがって、少なくとも1つの注入ポートを本体の第1の外側部と内開口部との間に流体結合することができる。したがって、少なくとも1つの注入ポートを用いると、液体、例えば液体架橋剤を押出し機中に導入することができる。
【0063】
図17および
図18に示されているように、バレル要素は、第2の注入ポート11Aをさらに有するのが良い。注入ポート11と同様、第2の注入ポート11Aは、バレル要素の外側の第1の側部12から内開口部7に向かって延びるのが良い。加うるに、第2の注入ポートは、バレル要素の外側の第1の側部のところに入口13Aを有するとともに、バレル要素の内開口部に開校した出口14Aを有するのが良い。したがって、第2の注入ポートを本体の第1の外側部と内開口部との間に流体結合することができる。したがって、第2の注入ポートを用いると、液体、例えば液体架橋剤を押出し機中に導入することができる。これら注入ポートは、バレル要素の本体中への穴あけによって形成できる。バレル要素が多数の注入ポートを有する場合、注入ポートのうちの少なくとも1つを施栓するのが良い。したがって、施栓されている少なくとも1つの注入ポートは、その特定の押出しプロセス中は使用できない。
【0064】
幾つかの実施形態では、注入ポートのうちの少なくとも1つは、
図16Aおよび
図17Aに示されているように本体の外側の第1の側部に垂直な方向において内開口部に向かって延びるのが良い。他の実施形態では、注入ポートのうちの少なくとも1つは、
図17Aおよび
図18に示されているように本体の外側の第1の側部から角度を成した方向に内開口部に向かって延びるのが良い。幾つかの実施形態では、全ての注入ポートが
図18に示されているように本体の外側の第1の側部から角度を成した方向に内開口部に向かって延びるのが良い。幾つかの実施形態では、注入ポートのうちの少なくとも1つは、図の注入ポート11,11Aによって示されているように内開口部の外周部(18)の接線に垂直な方向において本体の外側部から延びている。
【0065】
架橋剤の例としては、ジビニルベンゼン(DVB)または同様な性質を持つ他の組成物が挙げられる。幾つかの実施形態では、液体架橋剤、例えばジビニルベンゼン(DVB)は、押出し機の4D~8D、4D~7D、4D~6D、4D~5D、または4D~4.5Dの軸方向場所相互間で押出し機のバレル要素中に注入される。DVBは、様々な純度で使用できかつ種々の商用供給業者、例えばダウ(Dow)またはニッポン(Nippon)にから入手できる。市販のDVBは、通常、ある割合のDVBを含み、残りは、主として、エチルビニルベンゼン(EVB)である。80%純度(すなわち、80重量%がジビニルベンゼンおよび20%がエチルビニルベンゼンである)を含むDVB液体を用いてポリプロピレンフォームを作る場合、注入量は、通常、2~4phr(100部の樹脂当たりの部)。この量は、所望の架橋レベルに応じてさまざまである。幾つかの実施形態では、DVBは、材料成分の重量を基準として2~3%である。
【0066】
幾つかの実施形態では、DVBは、注入器を通って押出し機中に添加される。
図9は、スペシャリティ・エクストルージョン・ソリューションズ(Specialty Extrusion Solutions)社製の種々の形式の市販の注入器の例を示している。これら注入器としては、ばね押し弁注入器、手動弁注入器、および空気圧弁注入器が挙げられる。ばね押し弁は、圧力作動注入により開く。標準型ばね押し弁は、50~1500psigの圧力範囲にわたって機能し、設定された圧力で開く。手動弁を完全開放状態から閉鎖状態に調節することができ、それにより注入されるDVBの圧力および流量を調節することができる。空気圧弁は、空気圧を用いて弁の位置を制御し、かくして必要に応じて種々の圧力および流量を実現することができる。
【0067】
幾つかの実施形態では、DVBは、液体DVBを低圧(≦50psig)または高圧(>50psig)下で押出し機中にポンプ送りするのに十分な指定された穴を有する注入器を通って押出し機中に添加される。
図10は、低圧注入器である。注入器の形式および意図した注入圧力とは無関係に、注入器は、押出し機中への架橋剤の添加を許容するようバレル要素の注入ポート中に挿入される。
【0068】
幾つかの実施形態では、ダイヤフラムポンプを用いて液体架橋剤を押出し機中にポンプ送りすることができる。ダイヤフラムポンプの内部コンポーネントおよびシールは、化学薬品、例えばDVBに対する耐性を有するのが良い。ダイヤフラムポンプ、例えばレーバ・エルディーシー(Lewa LDC)社製のダイヤフラムポンプが市販されている。
図11は、液体ダイヤフラムポンプの一例を示している。
【0069】
液体DVBの不十分な分散がスクリューの可塑化区分後に、例えば16Dの後で液体DVBを注入した場合に起こることがある。この結果、押出し構造体中に液体DVBの局所化濃度が生じる場合があり、これは、照射中に一貫性のない架橋レベルおよび発泡中の欠陥、例えば気泡またはブリスタとなって現れる。
【0070】
図12は、押出しバレルの注入場所に応じて、DVBの貧弱な混合および良好な混合の画像を示している。上側の2つの写真図は、混合の貧弱なDVBを示している。これらの例では、黒色染料で着色し、そして発泡剤が全く存在していない状態で16Dの後ろで注入した。その結果得られた配合シートを、次に、400Xの倍率で顕微鏡下で検査してDVBが基本高分子(ベースポリマー)内にどのように良好に混合されたか(すなわち、分散されたか)を定量的に確かめた。16Dの後の注入の結果として、DVBの大きなドメインは、基本高分子内に極めて良好には分散されておらず、あるいは混合されていなかったことが明らかである。
【0071】
加うるに、液体を圧力下で押出し機の一区分中に注入する場合、ポンプは、注入器がポリマーで詰まりまたは施栓状態になるのを阻止するためにこのメルト圧力に打ち勝たなければならない。DVBが4Dと12Dとの間に注入される場合、DVBの良好な混合および分散が達成される。
図12の下の画像は、4Dと12Dとの間における注入の結果としてDVBの良好な混合状態を示している。この例では、着色済みDVBの大きなドメインが見られない。
【0072】
DVBを0と4Dとの間で供給部中に直接添加する場合、良好な分散を達成することができるが、DVBは、供給領域を湿潤させる場合があり、それによりポリマーと他の材料がくっついて塊の状態に千切れる。加うるに、DVBは、バレルの底部のところにたまって堆積する傾向を呈する場合がある。したがって、幾つかの実施形態では、液体DVBを4D~12D、4D~8D、4D~7D、4D~6D、4D~5D、または4D~4.5Dの間で押出し機中に注入することにより、ポリマーにスクリューの高い剪断可塑化区分を作用させて液体が供給領域内にたまることができないようにすることによって、ポリマー内における液体の適正な分散を可能にする。
【0073】
他の適当な架橋モノマーとしては、市販の二官能性モノマー、三官能性モノマー、四官能性モノマー、五官能性モノマーおよび六以上の官能性モノマーが挙げられる。かかる架橋モノマーは、液体、固体、ペレット、および粉末形態で入手できる。例としては、アクリレートまたはメタクリレート、例えば1,6‐ヘキサンジオールジアクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチルオールプロパントリメタクリレート、テトラメチルオールメタントリアクリレート、1,9‐ノナンジオールジメタクリレート、および1,10‐デカンジオールジメタクリレート、カルボン酸のアリルエステル(例えば、トリメリット酸トリアリルエステル、ピロメリット酸トリアリルエステル、およびシュウ酸ジアリルエステル)、シアヌル酸またはイソシアヌル酸、例えば、トリアリルシアヌレートおよびトリアリルイソシアヌレートのアリルエステル、マレイミド化合物、例えばN‐フェニルマレイミドおよびN,N’‐m‐フェニレンビスマレイミド、少なくとも2つの三重結合を有する化合物、例えばフタル酸ジプロパジルおよびマレイン酸ジプロパジル、およびジビニルベンゼンが挙げられるが、これらには限定されない。これら架橋モノマーを単独でまたはこれらの組み合わせの状態で使用することができる。
【0074】
特にDVB以外の架橋剤を用いる場合に種々の方法を用いて構造体を配合して押し出すことができる。例えば、架橋剤は、液体ではなく、材料成分の混合物に添加することができない固体であっても良い。固体架橋剤を混合物に添加する場合、樹脂を微粉砕して樹脂と粉末発泡材との間の均質の配合物を得ることが依然として望ましい。しかしながら、DVB液体を架橋剤として用いると、固体架橋剤を用いる場合と比べて、より一様かつ制御された架橋が実現できる。
【0075】
バレル要素は、冷却チャネルをさらに有するのが良い。冷却チャネルは、冷却流体がバレル要素に入って、そして、バレル要素中にたまっている場合のある熱を除去した状態でバレル要素を出るよう構成されている。注入ポートに類似して、内部冷却チャネルが
図16、
図17、および
図18に点線で示されている。例えば、冷却入口チャネル15が本体の第2の外側部16から第1の方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、冷却入口チャネルは、本体の第2の外側部から本体の第1の外側部に向かって延びるのが良い。加うるに、バレル要素は、本体の第3の外側部から延びる冷却出口チャネル17を有するのが良い。幾つかの実施形態では、本体の第2の外側部と本体の第3の外側部は、同一である。幾つかの実施形態では、冷却出口チャネルは、第1の方向に(すなわち、冷却入口チャネルと同一の方向に)延びるのが良い。他の実施形態では、冷却出口チャネルは、第1の方向とは異なる方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、冷却入口チャネルおよび/または冷却出口チャネルは、バレル要素の一方の側から反対の側に向かう方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、冷却入口チャネルおよび/または冷却出口チャネルは、バレル要素の高さXの方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、冷却入口チャネルは、冷却出口チャネルが延びる方向に平行な方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルは、内開口部の互いに反対側に位置する。
【0076】
図16Aはまた、連結用冷却チャネル19,20を示している。これら連結用冷却チャネルは、入口冷却チャネルおよび出口冷却チャネルに流体結合されるのが良く、その結果、冷却流体は、入口冷却チャネルを通り、連結用冷却チャネルを通り、そして次に冷却出口チャネルを通って流れて装置を出ることができるようになっている。したがって、連結用冷却チャネルは、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルとの間に流体結合されている。連結用冷却チャネル19,20は、バレル要素の長さYの方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネルは、本体の第3の外側部から内方に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネル19および連結用冷却チャネル20は、バレル要素の一方の側部から反対側の側部に向かう方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネル19と連結用冷却チャネル20は、互いに平行な方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネル19および連結用冷却チャネル20は、冷却入口チャネルおよび/または冷却出口チャネルに垂直な方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネル19と連結用冷却チャネル20は、内開口部の互いに反対側に位置する。
【0077】
内開口部の互いに反対側の側部に設けられた単一の連結用冷却チャネル19,20を示す
図16Aとは異なり、
図17Aおよび
図18は、2つの群を成す複数の連結用冷却チャネル19A,20Aを示している。
図17Aは、3つの連結用冷却チャネルを含む第1の群19Aおよび3つの連結用冷却チャネルを含む第2の群20Aを示している。
図18は、4つの連結用冷却チャネルを含む第1の群19Aおよび4つの連結用冷却チャネルを含む第2の群20Aを示している。各群は、任意の数の連結用冷却チャネルを有することができる。加うるに、各群の複数の連結用冷却チャネルは、入口冷却チャネルおよび出口冷却チャネルに流体結合されるのが良く、その結果、冷却流体は、入口冷却チャネルを通り、複数の連結用冷却チャネルの各々を通り、そして次に冷却出口チャネルを通って流れて装置を出ることができるようになっている。したがって、複数の連結用冷却チャネルの各群は、冷却入口チャネルと冷却出口チャネルとの間に流体結合されている。複数の連結用冷却チャネルの群がバレル要素の長さYの方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、複数の連結用冷却チャネルの群は、本体の第3の外側部から内方に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネルの群は、バレル要素の一方の側から反対側に向かう方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネルからなる一群は、連結用冷却チャネルから成る別の群に平行な方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネルからなる一群は、冷却入口チャネルおよび/または冷却出口チャネルに垂直な方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、連結用冷却チャネルの2つの群は、内開口部の互いに反対側に位置するのが良い。
【0078】
複数の冷却チャネルの上述の群は、バレル要素が温度をより容易に維持して制御するのを許容できる。バレル要素の温度が高すぎる場合、注入液は、重合する場合があり、それにより、少なくとも1つの注入ポートが詰まる。したがって、温度を少なくとも1つの注入ポート中に注入されるべき液体の沸点未満に制御するとともに維持することが重要な場合がある。
【0079】
バレル要素の本体を穴あけすることによって冷却チャネル(例えば、入口、出口、連結用)を形成することができる。したがって、冷却チャネルのうちの幾つかは、
栓21を有するのが良い。これら栓は、冷却流体が冷却チャネル出口以外のどこかの場所で装置を出ることがないようにするために用いられる。
【0080】
バレル要素の温度が液体の注入にとって適正に維持されているかどうかを判定するため、バレル要素は、温度センサウェル22を有するのが良い。冷却チャネルおよび注入ポートと同様に、温度センサウェルは、このウェルがバレル要素の本体内に位置していることを指示する点線として示されるのが良い。温度センサウェルは、注入部位の近くのバレル要素の温度を測定するために温度測定装置、例えば温度プローブを受け入れるよう構成されているのが良い。温度センサウェルは、バレル要素の外側部から内開口部に向かって延びるのが良い。幾つかの実施形態では、バレル要素の外側部は、第1の側部12であるのが良い。内開口部に向かって延びることに加えて、温度センサウェルはまた、少なくとも1つの注入ポートの出口に向かって延びるのが良い。かくして、温度センサウェルの遠位端部23は、少なくとも1つの注入ポートの出口に密接してまたはこれに隣接して位置するのが良い。この遠位端部は、閉鎖されるのが良い(すなわち、遠位端部は、内開口部への出入り口を備えていない)。幾つかの実施形態では、温度センサウェルは、バレル要素の高さ方向Xに延びている。幾つかの実施形態では、温度センサウェルは、入口冷却チャネル、出口冷却チャネル、および/または少なくとも1つの注入ポートに平行な方向に延びるのが良い。幾つかの実施形態では、温度センサウェルは、内開口部の外周部(18)の接線に垂直な方向に本体の外側部から延びるのが良い。
【0081】
温度センサウェルの遠位端部が少なくとも1つの注入ポートの出口に近ければ近いほど、その場所は、液体注入点のより正確な温度の読みを一層良好に提供する。幾つかの実施形態では、温度センサウェルは、第1の注入ポートと第2の注入ポートの間に配置されるのが良い。幾つかの実施形態では、バレル要素は、多数の温度センサウェルを有するのが良い。例えば、バレル要素が多数の注入ポートを有する場合、各注入ポートは、これに向かって延びる対応の温度センサウェルを有するのが良い。
【0082】
図16B、
図17B、および
図17Cに示されているように、注入ポートと、冷却チャネル(冷却流体が装置を通って流れることができるようにするために種々の冷却チャネルのうちの少なくとも幾つかは相互に交差部が設けられている)と、温度センサウェルとは、互いに交差しない。したがって、ポートを通って移動する任意の流体または装置(例えば、温度測定装置)は、冷却チャネルまたは温度センサウェルに接触せず、冷却チャネルを通って移動する任意の流体または装置は、ポートまたは温度センサウェルに接触せず、温度センサウェル内を移動する任意の流体または装置は、ポートまたは冷却チャネルに接触しない。
【0083】
発泡剤
化学発泡剤(すなわち、発泡性の薬剤)は、側部ラム押出し機(サイドスタッファ)504を通って第5のバレルセグメントのところで、すなわち、軸方向長さに沿う16Dと20Dとの間で押出し機500に供給される。特に、化学発泡剤を重量測定(検出)方式連続定量供給フィーダによって上から供給することができる。幾つかの実施形態では、側部ラム押出し機は、化学発泡剤を押出し機ののど部または供給区分に導入することによってバイパスでき、こののど部または供給区分は、0と4Dとの間の第1のバレルセグメントに対応している。しかしながら、側部ラム押出し機をバイパスすることによって、可塑化(溶融および混合)区分内において発泡剤を時期尚早に活性化させる恐れが高まる。押出し機500の可塑化区分は、分散剪断力を生じさせてポリマーをバレル区分2および3内で溶融させ、そして粘性による熱の発生を生じさせる強力混練ディスクを提供する。スクリューの混合要素が熱発生を減少させるよう設計変更された場合、樹脂の不適当な溶融が
図13に示されているように発泡剤に対する「貧弱な混合」条件を生じさせることに加えて、高い融点および高い粘性の樹脂について生じる場合がある。したがって、化学発泡剤を供給区分(例えば、第1のバレル区分)内に添加することは、好ましくない。
【0084】
他方、化学発泡剤を24D,32D間(例えば、7番目または8番目のセグメント)のようなかなり下流側に添加すると、発泡剤の適正な分配混合を行うことができず、その結果、発泡プロセス中に欠陥として現れる大きな濃縮部または塊が生じる。したがって、化学発泡剤を側部ラム押出し機により押し出すことは、時期尚早な活性化または分解を生じさせないで「良好な混合」およびポリマーメルト中への適正な混ぜ込みを達成する上で、16Dと26Dの間、またはより好ましくは16Dと20Dの間が好ましい。発泡剤を押出し機のこれらのゾーン中に導入することにより、
図13に示された「良好な混合」、および「貧弱な混合」を回避するために時期尚早な活性または分解を行わない混ぜ込みが容易になる。
【0085】
任意種類の化学発泡剤を本明細書において開示する押出しプロセスに用いることができる。化学発泡剤の例としては、アゾ化合物、ヒドラジン化合物、カルバジド、テトラゾール、ニトロソ化合物およびカーボネートが挙げられる。化学発泡剤を単独でまたは任意の組み合わせで使用できる。化学発泡剤の他の例としては、粉末状発熱性アゾジカルボンアミド(ADCA)、吸熱性酸性炭酸塩系、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0086】
幾つかの実施形態では、アゾジカルボンアミド(ADCA)は、化学発泡剤として用いられる。ADCAの熱分解は、典型的には、190~230℃で起こる。したがって、押出し温度は、ADCAが押出し機内で熱分解するのを阻止するために190℃以下に維持される。ADCAの粒径は、通常、等級に応じて9~50ミクロンである。
【0087】
ADCAは、高いガス発生量に起因して酸性炭酸塩系よりも好ましい発泡剤である。その結果、吸熱性酸性炭酸塩系と比較して、膨張が同一である場合には必要とされる発泡剤が少量である。幾つかの実施形態では、用いられる発泡剤の割合は、放射線架橋ポリプロピレンフォームの生産に関し、100部樹脂あたり1~30部(phr)である。一実施形態では、ADCAの量は、材料成分の重量を基準として3~20%部である。
【0088】
押出しのための温度下限は、最も高い融点を有するポリマーの温度下限である。押出し温度が最も高い融点を持つポリマーの融点を下回った場合、望ましくない「アンメルト」がシート状の輪郭形状物中に現れる。発泡の際、この温度下限未満で押し出された押出しシート状の輪郭形状物は、不均一な厚さ、非一様な気泡構造、気泡の潰れによるポケット、および他の望ましくない属性を呈することになる。
【0089】
熱分解性発泡剤の分解温度と最も高い融点を持つポリマーの融点の差が大きい場合、発泡剤分解用の触媒を用いるのが良い。例示の触媒としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリン、および尿素が挙げられるが、これらには限定されない。
【0090】
照射
照射ステップでは、押出し構造体は、組成物を架橋するために所与の暴露でイオン化放射線による照射を受け、それにより、架橋シートが得られる。
【0091】
架橋は、ポリマー鎖を互いに結合するプロセスである。多種多様な技術を用いて架橋結合を作ることができ、そして互いに異なるポリマー分子相互間の分子間、および単一のポリマー分子の諸部分の分子間との両方に形成することができる。かかる技術では、ポリマー鎖とは別の架橋用モノマーを用意するとともに、架橋結合を形成することができまたは架橋結合を形成するよう活性化できる官能基を有する架橋用モノマーを含むポリマー鎖を用意する。
【0092】
組成物を架橋するために所与の暴露でイオン化放射線による照射を押出し構造体に対して施し、それにより架橋押出し構造体が得られる。イオン化放射線は、優れた表面外観および均一の気泡を備えた押出し構造体を生じさせる。架橋用モノマーを架橋結合の促進のために添加するのが良く、と言うのは、イオン化放射線だけではポリプロピレン、ポリプロピレン系材料、あるポリエチレン、およびあるポリエチレン系材料に対する十分な架橋度を生じさせることができないからである。
【0093】
イオン化放射線の例としては、アルファ線、ベータ線(電子ビーム)、X線、ガンマ線、および中性子線が挙げられるが、これらには限定されない。これらのうちで、一様なエネルギーを有する電子ビームが好ましくは照射押出し構造体を調製するのに使用される。電子ビームによる照射の際の暴露時間、照射頻度、および加速電圧は、意図した架橋度に応じて大幅に様々であって良い。しかしながら、一般的に言って、約10kGyから500kGyの範囲、好ましくは約20kGyから300kGyまでの範囲、より好ましくは約20kGyから200kGyまでの範囲にあるべきである。
【0094】
放射線への暴露が低すぎる場合、気泡安定性は、発泡時には維持されない。暴露が高すぎる場合、結果として生じるフォームシートの成型適性が貧弱である場合がある。本明細書において言及する成型適性は、フォームシートが熱成型用途で用いられる場合の望ましい特性である。ポリマー成分もまた、過度のポリマー鎖分断に起因して劣化することになる。また、押出し構造体としての輪郭形状物は、電子ビーム放射線への暴露時における発熱性の熱放出によって軟化される場合があり、その結果、この構造体は、過度の暴露で変形する場合がある。
【0095】
照射頻度は、好ましくは4回以下、より好ましくは2回以下、さらにより好ましくはちょうど1回である。照射頻度が約4回以上である場合、ポリマー成分は、劣化を生じる場合があり、その結果、発泡時、例えば、均一の気泡が結果として生じるフォーム組成物中に作られないことになる。
【0096】
シート状の輪郭形状物の厚さが約4mm以上である場合、の輪郭形状物の各主要表面をイオン化放射線で照射することが主要表面および内側層の架橋度をより均一にするうえで好ましい。
【0097】
電子ビームによる照射により、電子の加速電圧を制御することによって、種々の厚さを持つシート状の輪郭形状物を効果的に架橋することができるという利点を提供する。加速電圧は、一般に200kVから3000kVまでの範囲、好ましくは約400kVから1200kVまでの範囲、より好ましくは600kVから1000kVまでの範囲にある。
【0098】
加速電圧が約200kV未満である場合、放射線は、シート状の輪郭形状物の内側部分に達することができない。その結果、内側部分中の気泡は、発泡時に粗くかつ不均一になる場合がある。加うるに、所与の厚さの輪郭形状物について低すぎる加速電圧は、アーク発生を生じさせることになり、その結果、発泡シート中に「ピンホール」または「トンネル」が生じる。他方、加速電圧が約1500kVを超える場合、ポリマーが劣化する場合があり、そして断面積の関数としての適正な線量を達成することができない。
【0099】
選択されるイオン化放射線の種類とは無関係に、架橋が実施され、その結果、組成物は、「トーレ・ゲル・フラクション法(Toray Gel Fraction Method)」により測定して20~75%、より好ましくは30~60%架橋され、これについては以下の項目において詳細に説明する。
【0100】
発泡
発泡を実施するには、架橋構造を溶融塩、輻射ヒータ、竪形熱風炉、横形熱風炉、マイクロ波エネルギー、またはこれらの任意の組み合わせで加熱して、押出し構造体中の発泡性の薬剤(すなわち、化学発泡剤)を活性化させてこの構造体のポリマーを膨張させるのが良い。幾つかの実施形態では、発泡は、例えばオートクレーブ中の窒素を用いて含侵プロセスで、次に溶融塩、輻射ヒータ、竪形熱風炉、横形熱風炉、マイクロ波エネルギー、またはこれらの任意の組み合わせによる自由発泡によって実施するのが良い。
【0101】
幾つかの実施形態では、溶融塩と輻射ヒータの組み合わせが架橋シート状の輪郭形状物を加熱するために用いられる。幾つかの実施形態では、架橋シート状の輪郭形状物を発泡前の予熱によって軟化させるのが良い。予熱は、発泡時におけるシート状材料の膨張を安定化するのに役立つ。
【0102】
発泡は、架橋押出し構造体を熱分解可能な発泡剤の分解温度よりも高い温度まで加熱することによって実施される。熱分解性発泡剤ADCAに関し、発泡は、約200~260℃または好ましくは約220~240℃の温度において連続プロセスで実施される。連続発泡プロセスは、連続フォームシートの生産のためのバッチプロセスとよりも好ましい。
【0103】
本明細書において説明する方法およびプロセスを用いて作られるフォームは、JIS K6767によって測定して、約20kg/m3~250g/m3または約30kg/m3~125kg/m3の断面または全体的密度を有するのが良い。断面密度は、発泡剤の量および押出し構造体の輪郭形状物の厚さによって制御できる。シートの密度が約20kg/m3以下である場合、シートは、所望の密度を達成するのに必要な多量の化学発泡剤に起因して効果的には発泡しない。その結果、膨張を制御し、一様な断面密度および厚さを制御し、そして気泡の潰れを阻止することは、ますます困難になる。
【0104】
フォーム組成物は、250kg/m3の断面密度に制限されない。350kg/m3、450kg/m3、または550kg/m3のフォーム組成物もまた作ることができる。しかしながら、密度が250kg/m3未満のフォーム組成物が好ましく、その理由は、大きな密度は、同一の用途に使用できる他の材料と比較した場合に桁違いに費用がかかることにある。
【0105】
本明細書において説明するフォーム組成物は、独立気泡を有する。好ましくは、気泡のうちの少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも98%超が未損傷の気泡壁を有する。平均気泡サイズは、好ましくは、0.05~1.0mm、最も好ましくは0.1~0.7mmである。平均気泡サイズが0.05mm未満である場合、フォーム密度は、代表的には、250kg/m3超である。平均気泡サイズが1mmを超える場合、フォームは、でこぼこの表面を有することになる。また、フォームが引き延ばされ、またはその幾つかの部分が二次プロセスを受ける場合にフォーム中の気泡の個数が好ましい平均気泡サイズを有していないとすれば、フォーム組成物が望ましくないことに裂ける恐れがある。幾つかの実施形態では、フォーム組成物中の気泡サイズは、比較的丸いフォーム組成物のコア中の気泡の個数、および比較的平らであり、薄く、かつ/または長円形であるフォーム組成物の表面の近くに位置するスキン中の気泡の個数を表す2峰性分布を有するのが良い。
【0106】
幾つかの実施形態では、フォーム組成物の厚さは、約0.2mm~50mm、好ましくは約0.4mm~40mm、より好ましくは0.6mm~30mm、さらにより好ましくは0.8mm~20mmであるのが良い。厚さが0.2mm未満の場合、発泡は、一次表面からの相当多量のガス損失に起因して効率的ではない。厚さが約50mm以上の場合、膨張を制御して均一の断面密度および厚さを有する構造を生じさせることは、ますます困難である。
【0107】
幾つかの実施形態では、押出し構造体は、二次プロセスを受けるのが良く、かかる二次プロセスとしては、エンボス加工、コロナまたはプラズマ処理、粗面処理、表面平滑化、孔開けまたは微小孔開け、スプライシング、スライシング、スカイビング(skiving)、層状化、結合、穴開けなどが挙げられるがこれらには限定されない。押出し構造体、例えばシートの所望の厚さを得るには、スライシング、スカイビング、または結合を実施することによって0.1mm~約100mmの厚さを生じさせるのが良い。
【0108】
フォーム組成物は、他の適合性添加剤をさらに含むのが良い。通常の添加剤としては、有機過酸化物、酸化防止剤、潤滑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、核形成剤、可塑剤、抗菌剤、抗真菌剤、光安定剤、UV吸収剤、ブロッキング防止剤、フィラー、脱臭剤、増粘剤、気泡サイズ安定剤、金属不活性剤、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらには限定されない。
【0109】
測定
本明細書において説明した材料の特性は、以下に従って測定される。
「トーレ・ゲル・フラクション法」を用いることによって架橋を計測する。この方法によれば、テトライン溶剤が非架橋材料を溶解させ、架橋度は、架橋材料の重量百分率で表される。
【0110】
ポリマー架橋の百分率を求めるために用いられる装置は、0.0045インチ(0.1143mm)ワイヤ直径の100メッシュと、タイプ304ステンレス鋼袋と、番号が付与されたワイヤおよびクリップと、ミヤモト(Miyamoto)社製サーモスタット油浴装置と、化学天秤と、フュームフードまたはドラフトチャンバと、ガスバーナーと、高温オーブンと、帯電防止ガンと、蓋つきの3つの3.5リットルの広口ステンレス鋼容器とを有する。架橋百分率を求めるために用いる試薬および物質としては、テトラリン高分子量の溶剤、アセトン、およびシリコーン油が挙げられる。
【0111】
特に、空のワイヤメッシュ袋の重量を測定して記録する。各サンプルについて、約100ミリグラム±約5ミリグラムのサンプルを秤量してワイヤメッシュ袋に移す。ワイヤメッシュ袋および代表的にはフォーム切粉の形態をしたサンプルの重量を記録する。各袋を対応の番号のワイヤおよびクリップに取り付ける。溶剤温度が130℃に達すると、袋とサンプルの組み合わせを溶剤中に浸漬させる。サンプルを約5回または6回上下に振盪させて気泡があればこれらをばらばらにしてサンプルを十分に湿潤させる。サンプルを攪拌機に取り付けて溶剤がフォームを溶解させるために3時間にわたって拡販する。次に、サンプルをフュームフードまたはドラフトチャンバ内で冷却させる。
【0112】
一次アセトンの容器内で約7回または8回上下に振盪させることによってサンプルを洗浄する。サンプルを第2のアセトンウォッシュ内で2度目として洗浄する。洗浄後のサンプルをもう一度、新鮮なアセトン入りの第3の容器内で洗浄する。次にサンプルを約1分間~約5分間にわたってフュームフードまたはドラフトチャンバ内に吊り下げてアセトンを蒸発させる。次に、サンプルを乾燥オーブン内で約1時間にわたって120℃で乾燥させる。サンプルを最低約15分間かけて冷却させる。ワイヤメッシュ袋を化学天秤で秤量し、重量を記録する。
【0113】
次に、式100×(C-A)/(B-A)を用いて計算し、ここで、Aは、空のワイヤメッシュ袋の重量であり、Bは、ワイヤ袋重量にテトラリン中での浸漬前におけるサンプルを加えた量であり、Cは、ワイヤ袋重量にテトラリン中での浸漬後における溶解サンプルを加えた量である。
【0114】
2.16kgプランジャを10分間用いて、ポリマーに関するメルトフローインデックス(melt flow index:MFI)値をASTM D1238に従ってポリプロピレンおよびポリプロピレン系材料については230℃で、ポリエチレンおよびポリエチレン系材料については190℃で特定して記録する。比較的高いメルトフロー樹脂については試験時間を短縮させることができる。
【0115】
MFIは、ポリマーの流れ特性の尺度をもたらし、かつポリマー材料の分子量およびプロセス可能性の指標である。MFI値が高すぎてこれが低粘度に対応している場合、本発明による押出しを満足のいく程度には実施することができない。高すぎるMFI値と関連した問題としては、押出し中における低圧、シート厚さ輪郭形状を設定する問題、低いメルト粘度に起因した不均一な冷却輪郭形状物、貧弱なメルト強度および/または機械上の問題が挙げられる。低すぎるMFI値と関連した問題としては、メルト処理中、カレンダリング中における高い圧力、シート品質および輪郭形状に関する問題、および発泡剤が分解して活性化する恐れを生じさせる高い押出し温度が挙げられる。
【0116】
MFIは、発泡に関する良好な測定値であり、と言うのは、このMFIは、材料の粘性を反映し、粘度は、発泡に対する作用効果を有するからである。特定のMFI値を達成することにより、有効なフォーム組成物が提供される。MFIの小さな材料は、物理的性質を向上させることができ、と言うのは、分子鎖長さが大きく、それにより、応力が加えられたときに鎖が流動するのに必要な多くのエネルギーが生じるからである。さらに、長い分子鎖(MW)は、分子間タイにより高い強度をもたらすよう結晶化することができる多量の成分を含む。しかしながら、低すぎるMFIにより、粘度は、高くなりすぎることになる。
【0117】
大きなMFI値を有するポリマーは、短い鎖を有する。その結果、MFI値の大きなある体積の材料は、MFIの小さなポリマーに対して多くの鎖端を有し、それにより、回転することができ、そしてかかる回転に必要な空間に起因して自由体積を生じさせることができる。例えば、回転は、ポリマーのTgまたはガラス転移温度を超える温度で起こる。これにより、自由体積が増大し、応力下において容易な流れが実現できる。本発明に関し、MFIは、これら特性相互間の適当な妥協策を提供するよう記載された範囲内にあるべきである。
【0118】
粒径分布をASTM D5644に従って測定する。特に、材料をふるい分けし、特定のメッシュサイズ(例えば、10、16、30、50、80、および100メッシュ)で捕捉された量および底部パンで捕捉される量は、百分率で記録される。
【0119】
比エネルギーは、押出し機500で処理中の材料にキロワットで加えられ、1キログラムについて標準化されたエネルギーであると定義される。本質的には、比エネルギーは、押出し中にどれほど多くの仕事が加えられているかおよび押出しプロセスの強度についての指標である。加えられたエネルギーおよび比エネルギーは、次のようにして計算される。
【数1】
【0120】
押出し構造体、例えばシートの密度をJIS K6767に従ってコア密度ではなく断面密度または全体的密度を用いて特定して測定する。
【0121】
実施例
以下の「実施例:レシピ」とラベル表示された表に示されている原料レシピを用いて押出しシートを44:1L/D同時回転式二軸スクリュー押出し機で直接配合し、原料レシピを照射するとともに発泡させて密度が67kg/m
3、厚さが2.5mm、架橋値が40%のフォームを作る。用いられる押出し機のサイズに比例した量で重量測定(検出)方式連続定量供給フィーダを用いてポリプロピレン、ポリエチレン、酸化防止剤マスターバッチ、および添加剤を供給区分(すなわち、第1のバレルセグメントまたは場所0~4D)中に供給する。側部ラム押出し機を用いてADCAを16Dと20Dの間に供給し、本発明の開示したバレル要素中に挿入された
図10に示されているインジェクタを用いてDVBを20psig未満の圧力で4Dのところでバレル中に注入する。
【0122】
実施例1において、シートを押し出す条件は、「実施例:押出しパラメータ」とラベル表示されている以下の表に示されている。70畳織り(dutch weave)(14×88)ステンレス鋼ワイヤメッシュフィルタをこの実施例で用い、1.400mmダイ隙間開口部を通ってメルトを押し出して厚さが1.325mmの配合シートを作った。各バレルゾーン、メルトアダプタ、歯車ポンプ、およびダイの温度もまた、以下の表に示されている。歯車ポンプの入口圧力は、550psiの圧力を維持するよう設定されている。押出し機PRMを値84に設定して十分な数のメルト分割を達成するとともに十分な分散および分布混合を達成し、その結果、欠陥が発泡中に生じないようにする。これら動作条件下において、押出し中における樹脂のメルト温度は、フィルタパックの後ろでかつ歯車ポンプの前で測定して、約350゜F(177℃)であり、駆動装置に加わる負荷は、58%である。この実施例においてポリマー配合物に与えられる比エネルギーは、0.149kW/(kg/hr)である。
実施例:レシピ
実施例:押出しパラメータ
【0123】
他の用途
本明細書において開示したフォーム組成物は、種々の追加の用途に使用できる。軟質かつ柔軟性フォーム組成物は、二重窓、手持ち型電子機器、および家庭電化製品を封止するためのテープまたはガスケットとして使用できる。硬質かつ剛性のフォームは、例えば自動車エアダクトのような用途に合わせて熱成型可能である。
【0124】
幾つかの実施形態では、フォーム組成物を種々の層、例えばフィルムおよび/または箔層と組み合わせることができる。フォームは、これら材料と共に片側または両側上に積層でき、多数の層を構成することができる。層を化学結合、機械的手段、電磁電荷、疎水性または親水性の引付力、またはこれらの組み合わせによって互いに接合できる。フォーム組成物およびラミネート組成物は、自動車内装品、例えばドアパネル、アームレスト、センターコンソール、シートなどに使用できる。
【0125】
幾つかの実施形態では、フォーム組成物は、家具、部屋の間仕切り、ケーシング、フローリングなどにも使用できる。
【0126】
幾つかの実施形態では、感圧接着剤、例えばアクリルポリマー、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、ブロックコポリマー、ポリオレフィン、シリコーン、ゴムを基剤とする接着剤、エチルヘキシルアクリレートおよびアクリル酸のコポリマー、イソオクチルアクリレートおよびアクリル酸のコポリマー、アクリル系接着剤の配合物、ゴムを基剤とする接着剤、およびこれらの組み合わせをフォーム表面のうちの少なくとも1つに塗布して物体へのフォームの取り付けを容易にする。
【0127】
幾つかの実施形態では、フォームは、有用な物品、例えばガスケットの状態に大カットされるのが良い。
【0128】
原文明細書で用いられる場合の“consist essentially of”(訳文では、「本質的に~から成る」とする)は、組成物がほぼ全てが指定された成分から成ることを意味し、ただし、本発明の基本的かつ新規な特徴に影響を及ぼさない追加の未指定の成分物質が存在しても良い。例えば、配合混合物は、この混合物の固有の性能を損なわない量で必要に応じて安定剤、着色剤、酸化防止剤および他の添加物を含むことができる。
【0129】
本願は、本文および図において幾つかの数値範囲を開示している。開示した数値範囲は、正確な範囲の限定が本明細書において逐語的に記載されていない場合であっても、端点を含む開示した数値範囲内の任意の範囲または値を本来的に裏付けており、と言うのは、本発明は、開示した数値範囲全体にわたって実施できるからである。
【0130】
上記説明は、当業者が本発明を構成するとともに使用することができるよう提供されており、特定の用途およびその要件との関連で提供されている。好ましい実施形態に対する種々の改造は、当業者には容易に明らかであり、本明細書において規定された一般的な原理は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用できる。かくして、本発明は、図示した実施形態に限定されるものではなく、本明細書において開示した原理および特徴と一致する最も広い範囲が付与されるべきである。最後に、本願において言及されている特許文献および非特許文献を参照により引用し、これらの開示内容全体を本明細書の一部とする。