(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】印刷インク層を有する装飾ガラス
(51)【国際特許分類】
C03C 17/22 20060101AFI20240801BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20240801BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240801BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240801BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240801BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20240801BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240801BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20240801BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240801BHJP
【FI】
C03C17/22 Z
G02F1/1333
G09F9/00 313
G09F9/30 365
G09F9/33
G09F9/35
H01L33/00 L
H05B33/02
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2021558632
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 US2020025223
(87)【国際公開番号】W WO2020205519
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-22
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ルジュフルール,アントワーヌ ダニエル エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】オウヤン,シュィ
(72)【発明者】
【氏名】スゥン,ヤーウェイ
【審査官】三村 潤一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/055458(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/212145(WO,A1)
【文献】特開2002-167238(JP,A)
【文献】特開2000-001339(JP,A)
【文献】特開2002-194248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 17/00 - 17/44
G02F 1/133 - 1/1347
G09F 9/00
H01L 33/00
H05B 33/00 - 33/28
H10K 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾ガラスにおいて、
第1の主面および該第1の主面と反対にある第2の主面を有する透明基板、および
表示領域において前記第2の主面上に配置された黒インク層であって、400nmから700nmの波長を有する入射光に関して、0.2と0.85の間の透過係数を有する黒インク層、
を備え、
ピクセルパワー偏差基準(PPDr)により前記第1の主面から
前記黒インク層を通して測定した場合、2%以下のスパークルを有
し、
前記黒インク層が、少なくとも0.05μmかつ50μm以下の厚さを有し、
前記黒インク層が、内部層を有しない、装飾ガラス。
【請求項2】
前記透明基板が、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、またはアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスの内の少なくとも1つから作られている、請求項1記載の装飾ガラス。
【請求項3】
前記黒インク層が、
30μm以下の厚さを有する、請求項1または2記載の装飾ガラス。
【請求項4】
前記黒インク層が、CMYK色モデルからのKインクまたはLKインク、CMYK色モデルによるCMYKコンポジットブラックインク、およびCMYKリッチブラックの内の少なくとも1つを含む、請求項1から3いずれか1項記載の装飾ガラス。
【請求項5】
前記黒インク層が、0.5から0.85の透過係数を有し、該黒インク層は、前記装飾ガラスが光源の上に置かれたときに、色合わせ効果を与える、請求項1から4いずれか1項記載の装飾ガラス。
【請求項6】
前記黒インク層が、0.2から0.7の透過係数を有し、該黒インク層は、前記装飾ガラスが光源の上に置かれたときに、デッドフロント効果を与える、請求項1から5いずれか1項記載の装飾ガラス。
【請求項7】
デバイスにおいて、
第1の側および該第1の側と反対にある第2の側を有する装飾ガラスであって、
第1の主面および該第1の主面と反対にある第2の主面を有する透明基板と、
少なくとも1つの表示領域において前記第2の主面上に配置され、400nmから700nmの波長を有する入射光に関して、0.2と0.85の間の透過係数を有する黒インク層と、
を含む装飾ガラス、および
前記装飾ガラスの第2の側上に配置された光源、
を備え、
ピクセルパワー偏差基準(PPDr)により、前記装飾ガラスの第1の側から
前記黒インク層を通して2%以下のスパークルが測定さ
れ、
前記黒インク層が、少なくとも0.05μmかつ50μm以下の厚さを有するとともに、内部層を有しない、デバイス。
【請求項8】
前記光源が、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、またはプラズマディスプレイの内の少なくとも1つである、請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
前記透明基板が、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、またはアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスの内の少なくとも1つから作られている、請求項7または8記載のデバイス。
【請求項10】
前記黒インク層が、
30μm以下の厚さを有する、請求項7から9いずれか1項記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2020年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/987563号および2019年4月4日に出願された米国仮特許第62/829347号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、装飾ガラスに関し、より詳しくは、低スパークルで、色合わせまたはデッドフロント機能を与えるためのインク層を有するガラスに関する。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様において、本開示の実施の形態は、装飾ガラスに関する。この装飾ガラスは、第1の主面および第2の主面を有する透明基板を備える。第2の主面は、第1の主面と反対にある。この装飾ガラスは、表示領域において第2の主面上に配置された黒インク層も備える。黒インク層は、400nmから700nmの波長を有する入射光に関して、0.2と0.85の間の透過係数を有する。この装飾ガラスは、ピクセルパワー偏差基準(pixel power deviation reference)(PPDr)により第1の主面から測定した場合、2%以下のスパークル(sparkle)を有する。
【0004】
別の態様において、本開示の実施の形態は、装飾ガラスを調製する方法に関する。この方法の1つ以上の実施の形態において、第1の主面およびこの第1の主面と反対にある第2の主面を有する透明基板が提供される。少なくとも1つの表示領域においてこの透明基板の第2の主面上にインク層が印刷されている。このインク層は、CIE L*a*b*色空間にしたがって、5以下のa*およびb*、並びに50以下のL*を有する。さらに、インク層は、400nmから700nmの波長を有する入射光に関して、0.2と0.85の間の透過係数を有し、このインク層は、ピクセルパワー偏差基準(PPDr)により測定した場合、2%以下のスパークルを有する。
【0005】
別の態様において、本開示の実施の形態は、デバイスに関する。このデバイスは、装飾ガラスおよび光源を備える。この装飾ガラスは、第1の側およびこの第1の側と反対にある第2の側を有する。さらに、この装飾ガラスは、第1の主面およびこの第1の主面と反対にある第2の主面を有する透明基板を備える。この装飾ガラスは、少なくとも1つの表示領域において第2の主面上に配置された黒インク層も備える。黒インク層は、400nmから700nmの波長を有する入射光に関して、0.2と0.85の間の透過係数を有する。光源が、装飾ガラスの第2の側上に配置されており、ピクセルパワー偏差基準(PPDr)により、装飾ガラスの第1の側から2%以下のスパークルが測定される。
【0006】
追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部は、その詳細な説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載されたような実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0007】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示に過ぎず、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を示しており、説明とともに、様々な実施の形態の原理および作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示の実施の形態による、電子機器の部分断面図
【
図2】例示の実施の形態による、装飾ガラスの複数の層の断面図
【
図3】例示の実施の形態による、層中の黒の様々な希釈に関する透過率のグラフ
【
図4】例示の実施の形態による、ピクセルパワー偏差基準(PPDr)を測定するための実験装置の説明図
【
図5】例示の実施の形態による、ディスプレイに使用するための湾曲デッドフロントの側面図
【
図6】例示の実施の形態による、曲面成形前の、
図5の装飾ガラスの正面斜視図
【
図7】例示の実施の形態による、湾曲ディスプレイフレームに合うように形成された湾曲装飾ガラスの説明図
【
図8】例示の実施の形態による、装飾ガラスを湾曲形状に冷間成形する過程の流れ図
【
図9】例示の実施の形態による、湾曲ガラス層を利用して、湾曲装飾ガラスを成形する過程の流れ図
【発明を実施するための形態】
【0009】
広く図面を参照すると、インク層を有する装飾ガラスの様々な実施の形態が提供されている。実施の形態において、この装飾ガラスは、ディスプレイのための色合わせまたはデッドフロント機能を提供するカバーガラスであることがある、または実施の形態において、装飾ガラスは、周囲光が入射する装飾ガラスの側から装飾ガラスを通じた光景をぼやかす窓、ドア、または他の建築用パネルであることがある。カバーガラスの実施の形態を参照すると、装飾ガラスは、ディスプレイがオフのときにディスプレイを隠すまたはその視認性を減少させるために、ディスプレイなどの光源の上に置かれることがある。色合わせ装飾カバーガラスは、ディスプレイがオフのときにディスプレイを完全には隠さないが、ディスプレイをそれほど目立たなくするようにディスプレイを目立たなくする。デッドフロント装飾カバーガラスは、ディスプレイがオフのときにディスプレイを完全に隠すように設計されている。色合わせ装飾カバーガラスおよびデッドフロント装飾カバーガラスの両方とも、ディスプレイがオンのときに、ディスプレイが見えるようにするように設計されている。一般に、色合わせ装飾カバーガラスとデッドフロント装飾カバーガラスとの間の違いは、装飾ガラス上の色合わせまたはデッドフロント層の透明度のレベルである。本開示において、色合わせまたはデッドフロント層は、装飾ガラス上に印刷されたインク層である。しかしながら、使用されるインクおよびそのインクがどのように施されるかに応じて、ディスプレイで反射した光がインク層を通して漏れるようにする、不規則な表面被覆率、表面張力の変動、粒子などがあることがある。本開示によれば、このインク層は、この光漏れにより生じるスパークルが、ピクセルパワー偏差基準(PPDr)により測定して、2%未満であるように施される。ここに述べられた装飾ガラスの実施の形態は、限定ではなく、例として与えられている。
【0010】
図1は、タッチインターフェース102を備えた電子機器100の部分断面図である。実施の形態において、電子機器100は、ラップトップコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、デジタル音楽プレーヤー、携帯型ゲーム機、テレビなどの独立型デバイスである。すなわち、「独立型電子機器」100は、主に、別の構造、デバイス、または装置に組み込まれていない表示画面またはインタラクティブパネルである。他の実施の形態において、電子機器100は、別の構造、デバイス、または装置に組み込まれている。例えば、電子機器100は、その構造、デバイス、または装置とのインタラクションを可能にする、例えば、車両内の、電化製品上の、エレベータ用などの、コントロールパネルであることがある。
【0011】
図1に示された実施の形態において、電子機器100は、タッチインターフェース102、筐体104、装飾ガラス106、光源(例えば、表示装置108)、および回路基板110を備える。筐体104は、タッチインターフェース102を少なくともある程度取り囲み、図示された実施の形態において、装飾ガラス106の着座面112を提供する。それゆえ、図示された実施の形態において、装飾ガラス106は、表示装置108のためのカバーガラスとして機能する。さらに、独立型デバイスにおいて、筐体104は、電子機器100の境界を提供することがあるのに対し、電子機器100が別の構造、デバイス、または装置に組み込まれている場合、そのより大きい構造、機器、または装置全体内の電子機器100のためのマウントを単に提供することがある。いずれの形態においても、装飾ガラス106は、タッチインターフェース102の少なくとも一部を覆い、実質的に平面の観察面114を提供するように、筐体104中に着座されることがある。回路基板110は、タッチインターフェース102および表示装置108に電力を供給し、タッチインターフェース102からの入力を処理して、表示装置108上に対応する応答を生じる。
【0012】
タッチインターフェース102は、使用者の指、スタイラスの配置などのために、1つ以上のタッチまたは容量性入力を検出するための1つ以上のタッチセンサ、または装飾ガラス106に近接したまたはその上の他の相互作用デバイスを含むことがある。タッチインターフェース102は、広く、使用者の入力に相関付けられることのある静電容量または他の電気的パラメータの変化を検出するように作られたどのタイプのインターフェースであってもよい。タッチインターフェース102は、回路基板110に作動可能に接続されていても、および/またはそれと通信していてもよい。タッチインターフェース102は、物体からの入力(例えば、使用者の指に基づく位置情報、または入力装置からのデータ)を受信するように作られている。表示装置108は、電子機器100のための1つ以上の出力画像、グラフィック、アイコン、および/またはビデオを表示するように作られている。表示装置108は、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイなど、実質的にどのタイプの表示機構であってもよい。
【0013】
先に述べたように、表示装置108は、表示装置108の構造に基づく内部反射率を有する。例えば、直接式バックライトLCD表示装置108は、装飾ガラスに入射する光のいくらかを内部反射する、偏光子、ガラス層、薄膜トランジスタ、液晶、カラーフィルタなどのいくつかの層を光源の前に備えることがある。また、先に述べたように、この光は、色合わせまたはデッドフロント層が欠陥を含む場合には、色合わせまたはデッドフロント装飾ガラス106を通って漏れることがある。
【0014】
すでに述べたように、他の実施の形態において、装飾ガラス106は、窓、ドア、もしくは他の建築用、構造用、または装飾用パネルであることがある。例えば、装飾ガラス106は、車両または建物の窓であることがある。そのような実施の形態において、装飾ガラス106は、周囲光源から装飾ガラス106の反対側に居る人または反対側にある物体のプライバシーまたは日よけを提供することがある。それに加え、装飾ガラス106は、ダッシュボードパネル、アームレスト、またはセンターコンソールパネルなど、車両内のパネルであり得る。そのような実施の形態において、装飾ガラス106は、例えば、車両のワイヤおよび構造用部品などを隠し、全体の装飾表面を提供することがある。
【0015】
例示の電子機器100の一般構造を記載してきたが、ここで装飾ガラス106の構造を記載する。
図2から分かるように、装飾ガラス106は、基板120、黒インク層122、および必要に応じて、不透明マスク層124(例えば、カバーガラスとして使用される場合)を備える。実施の形態において、基板120は、透明ガラスである。例えば、適切なガラス基板120は、数ある中でも、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、アルカリアルミノケイ酸塩、およびアルカリ土類アルミノケイ酸塩の少なくとも1つを含むことがある。そのようなガラスは、化学的または熱的に強化されることがあり、そのようなガラスの実施の形態が下記に与えられている。実施の形態において、基板120は、約2mm以下、約0.8mm以下、または約0.55mm以下の厚さ(すなわち、第1の主面126と第2の主面128との間の距離)を有する。
【0016】
実施の形態において、黒インク層122および不透明マスク層124は、表示領域130および非表示領域132を画成するようなやり方でガラス基板120に施されている。詳しくは、不透明マスク層124を含む装飾ガラス106の部分は非表示領域132を画成し、黒インク層122をだけを含む領域は表示領域130を画成する。黒インク層122は、表示領域130においてガラス基板120の第1の主面126に施されている。不透明マスク層124を含まない実施の形態において、装飾ガラス106全体が表示領域130である。非表示領域132において、不透明マスク層124は、第1の主面126に施されても、または黒インク層122の上に施されてもよい。例えば、黒インク層122は、第1の主面126の全てまたは相当な部分に亘り施されることがあり、不透明マスク層124は、非表示領域132を画成するために、黒インク層122の上に施されることがある。代わりの例において、不透明マスク層124は、最初に、第1の主面126に施されて、非表示領域132を画成し、黒インク層122は、表示領域130のみに(すなわち、不透明マスク層124がないところ)、または不透明マスク層124の全てまたは一部の上に施されることがある。
【0017】
色合わせまたはデッドフロント効果を提供するために、表示領域130における黒インク層122は、基板120の第2の主面128に入射する光について、0.2から0.85の透過係数を有する。すなわち、黒インク層122は、第2の主面128に入射する可視スペクトルの光(すなわち、400nmから700nmの波長を有する光)の20%と85%の間だけ透過させる。すなわち、黒インク層122は、0.2から0.85の透過係数を有する。他の実施の形態において、黒インク層122は、0.2から0.8の透過係数を有し、さらに他の実施の形態において、黒インク層122は、0.2から0.75の透過係数を有する。実施の形態において、黒インク層122は、透過係数が0.5から0.85である場合、色合わせ効果を提供する。実施の形態において、黒インク層122は、透過係数が0.2から0.7である場合、デッドフロント効果を提供する。図から分かるように、装飾ガラス106の背後にある物体の視認性は、物体の反射性など、物体の特定の特徴に依存するので、色合わせおよびデッドフロント機能の透過係数は重複している。それゆえ、あまり光を反射しない物体は、より高い透過係数でデッドフロント効果を達成することがあるのに対し、光をより反射する物体は、色合わせを達成するだけなら、より低い透過係数しか必要ないことがある。
【0018】
実施の形態において、黒インク層122は、第1の主面126(または不透明マスク層124)の上に印刷されている。実施の形態において、黒インク層122は、数ある中でも、インクジェット印刷、スロット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、またはグラビア印刷により印刷される。実施の形態において、黒インク層122は、50μm以下の厚さを有する。他の実施の形態において、黒インク層122は、30μm以下の厚さを有し、さらに他の実施の形態において、黒インク層122は、20μm以下の厚さを有する。実施の形態において、黒インク層122は、少なくとも0.05μmの厚さを有する。
【0019】
さらに、黒インク層122のインクは、黒インク層122が中性密度(すなわち、色がない)を有するようなやり方で選択され、印刷される。CIE L
*a
*b
*色空間に関して、a
*およびb
*は、黒インク層122について5以下である。実施の形態において、a
*およびb
*は、2以下であり、さらに他の実施の形態において、a
*およびb
*は、1以下である。特別な実施の形態において、a
*およびb
*は、0である。実施の形態において、L
*は、50未満である。他の実施の形態において、L
*は、30未満であり、さらに他の実施の形態において、L
*は、20未満である。実施の形態において、黒インク層122は、カーボンブラックなど、染料および/または顔料を含む。さらに、実施の形態において、黒インク層122は、CMYKコンポジットブラック(すなわち、シアン、マゼンタ、およびイエローインクの混合物)である。他の実施の形態において、黒インク層122は、CMYKリッチブラック(すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックインクの混合物)である。さらに他の実施の形態において、黒インク層122は、CMYKにしたがう、K(ブラック)インクまたはLK(ライトブラック)インクだけを使用して印刷される。実施の形態において、黒インク層122の透過率は、インクを溶媒で希釈することによって、制御される。詳しくは、より薄いインクは、それほど薄くないインクよりも、高い透過率を有する黒インク層122を生成する。
図3は、溶媒で2%、4%、6%、および8%(容量で)に希釈された4種類のインクに関する透過率のグラフを提供する。
図3から分かるように、2%に希釈されたインクは、可視スペクトルにおいて最低の透過率を有し、8%に希釈されたインクは、可視スペクトルにおいて最高の透過率を有する。それゆえ、例えば、2%に希釈されたインクは、デッドフロント効果を与えるために使用することができるのに対し、8%に希釈されたインクは、色合わせ効果を与えるために使用することができるであろう。
【0020】
それに加え、より多いインク容量で(すなわち、それほど希釈されていない)印刷すると、装飾ガラス106の観察可能なスパークルが減少した。
図4は、PPDrにより装飾ガラス106のスパークルを測定するための実験装置を示す。この画像システムは、高解像度CCDカメラ、結像レンズL1およびL2、並びに絞りDを含む。結像レンズL1、L2は、ソース(すなわち、表示装置108)ピクセルに対するCCDカメラピクセルの所望の比を達成するように選択される。絞りDは、人の目の集束角、例えば、約12mradから18mradをシミュレーションするように設定されている。ピクセルパワー偏差基準(PPDr)は、黒インク層122がない基準透明基板について計算し、次いで、その上に印刷された黒インク層122を有する装飾ガラス106についてのPPDrに対する基準の機能を果たした。スパークル値を、
図3に示された装飾ガラス106の各々について計算した。最も希釈されていないものから最も希釈されているものに進むと、スパークル測定値は、1.06%、1.30%、2.07%、および1.96%であった。一般に、本出願人は、スパークル測定値は、最も希釈されていないインクが最低であることを見いだした。実施の形態において、インク層124を印刷するために使用されるインクは、溶媒で、10容量パーセント以下しか希釈されない。さらに、実施の形態において、装飾ガラス106のスパークルは、PPDrにより測定して、2%以下である。他の実施の形態において、装飾ガラス106のスパークルは、1.5%以下であり、さらに他の実施の形態において、装飾ガラス106のスパークルは、1.25%以下である。
【0021】
先に述べたように、装飾ガラス106は、特にカバーガラスとして使用される場合、不透明マスク層124も備えることがある。不透明マスク層124は、入射光の5%未満しか透過させない。特に、不透明マスク層124は、入射光の0.5%未満しか透過させない。このようにして、不透明マスク層124は、非表示領域132において、装飾ガラス106の下にあるどのような構成部材の視認性も遮断する。例えば、不透明マスク層124は、装飾ガラス106に下にある表示装置108への結線、表示装置108の境界、電気回路などの視認性を遮断するために使用されることがある。実施の形態において、不透明マスク層124は、少なくとも3の光学密度を有するように選択される。不透明マスク層124は、数ある中でも、スクリーン印刷、インクジェット印刷、回転塗布、および様々なリソグラフ技術を使用して施されることがある。実施の形態において、不透明マスク層124は、1μmから20μmの厚さを有する。実施の形態において、不透明マスク層124は、灰色または黒色であるように選択される;しかしながら、装飾ガラス106において任意の他の色に合わせる必要性に応じて、他の色も可能である。
【0022】
それに加え、
図1に示されるように、装飾ガラス106は、第1の主面126および第2の主面126の一方または両方の上に表面処理134を備え得る。表面処理134は、第1または第2の主面126、128への材料の付加またはそれからの材料の除去により設けることができる。例えば、表面処理134は、第1または第2の主面126、128を被覆することによって、設けることができる。別の例において、表面処理134は、エッチングなどにより、第1または第2の主面126、128からの材料の除去であり得る。例示の表面処理としては、耐指紋、反射防止、および防眩が挙げられる。1つの実施の形態において、防指紋および反射防止処理の一方または両方が第2の主面128に施され、防眩処理が第1の主面126に施される。
【0023】
ここに開示された装飾ガラス106の実施の形態は、いくつかの利点を提供する。例えば、色合わせまたはデッドフロント機能を与えるためにフイルムを利用する装飾ガラスと比べて、装飾ガラス106は、例えば、インクの希釈またはインク層の厚さを変えることによって、異なる透過率に容易に調整できる。それに加え、従来のフイルムと比べて、黒インク層122を有する装飾ガラス106は、スパークルに寄与するどのような内部反射率も示さない。実際に、従来のフイルムは、大抵、多数の層を含み、入射光は、これらの層で反射し、より高い全体のスパークルに寄与し得る。黒インク層122は、内部層を持たない。さらに、黒インク層122は、従来のフイルムよりも薄く、より薄い装飾ガラス106を提供する。
【0024】
さらに、印刷された黒インク層122を有する装飾ガラス106は、設計の融通性を与える。詳しくは、ディスプレイはシステムによって異なり、各ディスプレイは特定の内部反射率を有する。溶媒含有量を変えることによって、黒インク層122の透過率を変えられる容易さのために、内部反射率の変化は、所望のデッドフロントまたは色合わせ効果を提供するために、迅速かつ経済的に調整することができる。
【0025】
図5~9を参照すると、湾曲した装飾ガラスを形成する様々な過程と共に、装飾ガラス106に関する様々なサイズ、形状、曲率、ガラス材料などが、示され、記載されている。
図5~9は、説明を容易にするために、簡略化された湾曲装飾ガラス2000の文脈で記載されているが、装飾ガラス2000は、ここに述べられた装飾ガラスの実施の形態のいずれであってもよいことを理解すべきである。
【0026】
図5に示されるように、1つ以上の実施の形態において、装飾ガラス2000は、少なくとも第1の曲率半径R1を有する湾曲した外側ガラス層2010(例えば、基板120)を備え、様々な実施の形態において、湾曲した外側ガラス層2010は、少なくとも1つの追加の曲率半径を有するガラス材料の複雑に湾曲したシートである。様々な実施の形態において、R1は約60mmから約1500mmの範囲にある。
【0027】
湾曲装飾ガラス2000は、湾曲した外側ガラス層2010の内側の主面に沿って位置する高分子層2020を備える。湾曲装飾ガラス2000はフレーム2030(金属、プラスチック、ガラス、またはセラミック材料であってよい)も備える。さらにまた、湾曲装飾ガラス2000は、表面処理、不透明マスク層、および表示装置108(
図1に示されるような)を装飾ガラス2000に取り付けるための光学的に透明な接着剤など、上述した他の層のいずれを備えてもよい。それに加え、湾曲装飾ガラス2000は、そのような層を、例えば、ここに述べられたような電子機器に他の様式で関連するであろう、導光層、反射層、ディスプレイモジュール、ディスプレイスタック層、光源などとして備えてもよい。
【0028】
下記により詳しく述べられるように、様々な実施の形態において、ガラス層2010、高分子層2020、フレーム2030、および任意の他の随意的な層を備えた湾曲装飾ガラス2000は、
図5に示されるような、湾曲形状に共に冷間成形されることがある。他の実施の形態において、ガラス層2010は湾曲形状に成形することができ、次いで、湾曲成形後に、層2020および2030が施される。
【0029】
図6を参照すると、
図5に示された湾曲形状に成形される前の、外側ガラス層2010が示されている。一般に、本出願人は、ここに述べられた物品および過程は、以前に与えられていない、サイズ、形状、組成、強度などのガラスを使用した高品質の装飾ガラス構造を提供すると考えている。
【0030】
図6に示されるように、ガラス層2010は、第1の主面2050および第1の主面2050と反対にある第2の主面2060を有する。エッジ面または副面2070が、第1の主面2050および第2の主面2060を接続する。ガラス層2010は、実質的に一定であり、第1の主面2050と第2の主面2060との間の距離として定義される厚さ(t)を有する。いくつかの実施の形態において、ここに用いられているような厚さ(t)は、ガラス層2010の最大厚さを称する。ガラス層2010は、厚さ(t)に直角な第1または第2の主面の内の一方の第1の最大寸法と定義される幅(W)を有し、ガラス層2010は、厚さおよび幅の両方と直角な第1または第2の主面の内の一方の第2の最大寸法と定義される長さ(L)も有する。他の実施の形態において、ここに述べられた寸法は、平均寸法である。
【0031】
1つ以上の実施の形態において、ガラス層2010は、0.05mmから2mmの範囲にある厚さ(t)を有する。様々な実施の形態において、ガラス層2010は、約1.5mm以下の厚さ(t)を有する。例えば、その厚さは、約0.1mmから約1.5mm、約0.15mmから約1.5mm、約0.2mmから約1.5mm、約0.25mmから約1.5mm、約0.3mmから約1.5mm、約0.35mmから約1.5mm、約0.4mmから約1.5mm、約0.45mmから約1.5mm、約0.5mmから約1.5mm、約0.55mmから約1.5mm、約0.6mmから約1.5mm、約0.65mmから約1.5mm、約0.7mmから約1.5mm、約0.1mmから約1.4mm、約0.1mmから約1.3mm、約0.1mmから約1.2mm、約0.1mmから約1.1mm、約0.1mmから約1.05mm、約0.1mmから約1mm、約0.1mmから約0.95mm、約0.1mmから約0.9mm、約0.1mmから約0.85mm、約0.1mmから約0.8mm、約0.1mmから約0.75mm、約0.1mmから約0.7mm、約0.1mmから約0.65mm、約0.1mmから約0.6mm、約0.1mmから約0.55mm、約0.1mmから約0.5mm、約0.1mmから約0.4mm、または約0.3mmから約0.7mmの範囲にあることがある。
【0032】
1つ以上の実施の形態において、ガラス層2010は、5cmから250cm、約10cmから約250cm、約15cmから約250cm、約20cmから約250cm、約25cmから約250cm、約30cmから約250cm、約35cmから約250cm、約40cmから約250cm、約45cmから約250cm、約50cmから約250cm、約55cmから約250cm、約60cmから約250cm、約65cmから約250cm、約70cmから約250cm、約75cmから約250cm、約80cmから約250cm、約85cmから約250cm、約90cmから約250cm、約95cmから約250cm、約100cmから約250cm、約110cmから約250cm、約120cmから約250cm、約130cmから約250cm、約140cmから約250cm、約150cmから約250cm、約5cmから約240cm、約5cmから約230cm、約5cmから約220cm、約5cmから約210cm、約5cmから約200cm、約5cmから約190cm、約5cmから約180cm、約5cmから約170cm、約5cmから約160cm、約5cmから約150cm、約5cmから約140cm、約5cmから約130cm、約5cmから約120cm、約5cmから約110cm、約5cmから約100cm、約5cmから約90cm、約5cmから約80cm、または約5cmから約75cmの範囲にある幅(W)を有する。
【0033】
1つ以上の実施の形態において、ガラス層2010は、5cmから250cm、約10cmから約250cm、約15cmから約250cm、約20cmから約250cm、約25cmから約250cm、約30cmから約250cm、約35cmから約250cm、約40cmから約250cm、約45cmから約250cm、約50cmから約250cm、約55cmから約250cm、約60cmから約250cm、約65cmから約250cm、約70cmから約250cm、約75cmから約250cm、約80cmから約250cm、約85cmから約250cm、約90cmから約250cm、約95cmから約250cm、約100cmから約250cm、約110cmから約250cm、約120cmから約250cm、約130cmから約250cm、約140cmから約250cm、約150cmから約250cm、約5cmから約240cm、約5cmから約230cm、約5cmから約220cm、約5cmから約210cm、約5cmから約200cm、約5cmから約190cm、約5cmから約180cm、約5cmから約170cm、約5cmから約160cm、約5cmから約150cm、約5cmから約140cm、約5cmから約130cm、約5cmから約120cm、約5cmから約110cm、約5cmから約100cm、約5cmから約90cm、約5cmから約80cm、または約5cmから約75cmの範囲にある長さ(L)を有する。
【0034】
図5に示されるように、ガラス層2010は、R1として示された、少なくとも1つの曲率半径を有する湾曲形状に成形されている。様々な実施の形態において、ガラス層2010は、冷間成形および加熱成形を含む、どの適切な過程によって、湾曲形状に成形されてもよい。
【0035】
具体的な実施の形態において、ガラス層2010は、冷間成形過程により、単独で、または層2020および2030の取付け後のいずれかで、
図5に示された湾曲形状に成形される。ここに用いられているように、「冷間曲げされた」、「冷間曲げ」、「冷間成形された」または「冷間成形」という用語は、ガラス(ここに記載されたような)の軟化点より低い冷間成形温度で装飾ガラスを湾曲させることを称する。冷間成形されたガラス層の特徴は、第1の主面2050と第2の主面2060との間の非対称の表面圧縮である。いくつかの実施の形態において、冷間成形過程の前、すなわち冷間成形される前に、第1の主面2050および第2の主面2060のそれぞれの圧縮応力は、実質的に等しい。
【0036】
ガラス層2010が強化されていない、いくつかのそのような実施の形態において、第1の主面2050および第2の主面2060は、冷間成形前に、感知できる圧縮応力を示さない。ガラス層2010が強化されている(ここに記載されるように)、いくつかのそのような実施の形態において、第1の主面2050および第2の主面2060は、冷間成形前に、互いに関して実質的に等しい圧縮応力を示す。1つ以上の実施の形態において、冷間成形後、第2の主面2060(例えば、曲げ後の凹面)上の圧縮応力は増加する(すなわち、第2の主面2060上の圧縮応力は、冷間成形前よりも冷間成形後のほうが大きい)。
【0037】
理論で束縛するものではないが、冷間成形過程は、曲げおよび/または成形操作中に与えられる引張応力を相殺するように成形されているガラス物品の圧縮応力を増加させる。1つ以上の実施の形態において、冷間成形過程は、第2の主面2060に圧縮応力を経験させ、一方で、第1の主面2050(例えば、曲げ後の凸面)は引張応力を経験する。曲げ後に主面2050が経験する引張応力は、表面圧縮応力を正味に減少させ、よって、曲げ後の強化されたガラスシートの主面2050における圧縮応力は、ガラスシートが平らである場合の主面2050における圧縮応力よりも小さい。
【0038】
さらに、強化されたガラスシートをガラス層2010に利用する場合、第1の主面および第2の主面(2050、2060)はすでに圧縮応力下にあり、それゆえ、第1の主面2050は、破壊の虞なく、曲げ中により大きい引張応力を経験し得る。これにより、ガラス層2010の強化された実施の形態が、よりきつい曲面にしたがう(例えば、より小さいR1値を有するように成形される)。
【0039】
様々な実施の形態において、ガラス層2010の厚さは、ガラス層2010が所望の曲率半径を達成するためにより柔軟であるように適合されている。さらに、より薄いガラス層2010は、より容易に変形することができ、これにより、支持体またはフレーム(下記に記載されるような)の形状により生じることのある形状の不一致および間隙を潜在的に補うことができるであろう。1つ以上の実施の形態において、薄い強化されたガラス層2010は、特に冷間成形中に、より大きい可撓性を示す。ここに述べられたガラス物品のより大きい可撓性により、加熱せずに、一貫した曲げを形成することができるであろう。
【0040】
様々な実施の形態において、ガラス層2010(および結果的に装飾ガラス2000)は、主半径および交差曲率を含む複合曲線を有することがある。複雑に湾曲した冷間成形されたガラス層2010は、2つの独立した方向に別個の曲率半径を有することがある。1つ以上の実施の形態によれば、複雑に湾曲した冷間成形されたガラス層2010は、それゆえ、「交差曲率」を有すると特徴付けられることがあり、ここで、冷間成形されたガラス層2010は、既定の寸法に平行な軸(すなわち、第1の軸)に沿って湾曲しており、またその同じ寸法に垂直な軸(すなわち、第2の軸)に沿って湾曲している。その冷間成形されたガラス層2010の曲率は、有意な最小半径が有意な交差曲率、および/または曲げの深さと組み合わされたときに、より一層複雑になり得る。
【0041】
図7を参照すると、例示の実施の形態によるディスプレイアセンブリ2100が示されている。図示された実施の形態において、ディスプレイアセンブリ2100は、表示装置2120として示された光源、および装飾ガラス2000の両方を支持する(直接的または間接的のいずれかで)フレーム2110を備える。
図7に示されるように、装飾ガラス2000および表示装置2120はフレーム2110に結合されており、表示装置2120は、使用者が、装飾ガラス2000を通じて表示装置2120により生成された光、画像などを見ることができるように位置付けられている。様々な実施の形態において、フレーム2110は、プラスチック(PC/ABSなど)、金属(Al合金、Mg合金、Fe合金など)、ガラス、またはセラミックなどの様々な材料から形成されることがある。注型、機械加工、スタンピング、射出成形などの様々な過程を利用して、フレーム2110の湾曲形状を形成してよい。フレーム2110は、ディスプレイアセンブリに関連するフレームとして示されているが、フレーム2110は、乗物内装システムに関連するどの支持体またはフレーム構造であってもよい。
【0042】
様々な実施の形態において、ここに記載されたシステムおよび方法により、装飾ガラス2000を、フレーム2110が有するであろう多種多様な湾曲形状に合うように成形することができる。
図7に示されるように、フレーム2110は、湾曲形状を有する支持面2130を有し、装飾ガラス2000は、支持面2130の湾曲形状に一致するように成形されている。装飾ガラス2000は、ディスプレイアセンブリ2100の所望のフレーム形状に合うように多種多様な形状に成形されることがあり、次に、ディスプレイアセンブリ2100は、ここに述べられるような、乗物内装システムの一部の形状に適合するように形成されることがあるのが理解されよう。
【0043】
1つ以上の実施の形態において、装飾ガラス2000(および具体的にガラス層2010)は、約60mm以上の第1の曲率半径R1を有するように成形されている。例えば、R1は、約60mmから約1500mm、約70mmから約1500mm、約80mmから約1500mm、約90mmから約1500mm、約100mmから約1500mm、約120mmから約1500mm、約140mmから約1500mm、約150mmから約1500mm、約160mmから約1500mm、約180mmから約1500mm、約200mmから約1500mm、約220mmから約1500mm、約240mmから約1500mm、約250mmから約1500mm、約260mmから約1500mm、約270mmから約1500mm、約280mmから約1500mm、約290mmから約1500mm、約300mmから約1500mm、約350mmから約1500mm、約400mmから約1500mm、約450mmから約1500mm、約500mmから約1500mm、約550mmから約1500mm、約600mmから約1500mm、約650mmから約1500mm、約700mmから約1500mm、約750mmから約1500mm、約800mmから約1500mm、約900mmから約1500mm、約9500mmから約1500mm、約1000mmから約1500mm、約1250mmから約1500mm、約60mmから約1400mm、約60mmから約1300mm、約60mmから約1200mm、約60mmから約1100mm、約60mmから約1000mm、約60mmから約950mm、約60mmから約900mm、約60mmから約850mm、約60mmから約800mm、約60mmから約750mm、約60mmから約700mm、約60mmから約650mm、約60mmから約600mm、約60mmから約550mm、約60mmから約500mm、約60mmから約450mm、約60mmから約400mm、約60mmから約350mm、約60mmから約300mm、または約60mmから約250mmの範囲にあることがある。
【0044】
1つ以上の実施の形態において、支持面2130は、約60mm以上の第2の曲率半径を有する。例えば、支持面2130の第2の曲率半径は、約60mmから約1500mm、約70mmから約1500mm、約80mmから約1500mm、約90mmから約1500mm、約100mmから約1500mm、約120mmから約1500mm、約140mmから約1500mm、約150mmから約1500mm、約160mmから約1500mm、約180mmから約1500mm、約200mmから約1500mm、約220mmから約1500mm、約240mmから約1500mm、約250mmから約1500mm、約260mmから約1500mm、約270mmから約1500mm、約280mmから約1500mm、約290mmから約1500mm、約300mmから約1500mm、約350mmから約1500mm、約400mmから約1500mm、約450mmから約1500mm、約500mmから約1500mm、約550mmから約1500mm、約600mmから約1500mm、約650mmから約1500mm、約700mmから約1500mm、約750mmから約1500mm、約800mmから約1500mm、約900mmから約1500mm、約9500mmから約1500mm、約1000mmから約1500mm、約1250mmから約1500mm、約60mmから約1400mm、約60mmから約1300mm、約60mmから約1200mm、約60mmから約1100mm、約60mmから約1000mm、約60mmから約950mm、約60mmから約900mm、約60mmから約850mm、約60mmから約800mm、約60mmから約750mm、約60mmから約700mm、約60mmから約650mm、約60mmから約600mm、約60mmから約550mm、約60mmから約500mm、約60mmから約450mm、約60mmから約400mm、約60mmから約350mm、約60mmから約300mm、または約60mmから約250mmの範囲にあることがある。
【0045】
1つ以上の実施の形態において、装飾ガラス2000は、フレーム2110の支持面2130の第2の曲率半径の10%以内(例えば、約10%以下、約9%以下、約8%以下、約7%以下、約6%以下、または約5%以下)の第1の曲率半径R1を示すように冷間成形されている。例えば、フレーム2110の支持面2130は1000mmの曲率半径を示し、装飾ガラス2000は、約900mmから約1100mmの範囲の曲率半径を有するように冷間成形されている。
【0046】
1つ以上の実施の形態において、ガラス層2010の第1の主面2050および/または第2の主面2060は、表面処理または機能性コーティングを含む。その表面処理は、第1の主面2050および/または第2の主面2060の少なくとも一部を覆うことがある。例示の表面処理は、グレア低減コーティング、防眩コーティング、耐引掻性コーティング、反射防止コーティング、ハーフミラーコーティング、または洗浄し易いコーティングの少なくとも1つを含む。
【0047】
図8を参照すると、装飾ガラス2000などの冷間成形された装飾ガラス構造を備えたディスプレイアセンブリ2100(
図7に示されたような)を形成する方法2200が示されている。工程2210では、装飾ガラス2000などの装飾ガラス構造が、湾曲した支持体上に支持および/または配置される。一般に、湾曲した支持体は、車両用ディスプレイの周囲および湾曲形状を画成する、フレーム2110などのディスプレイのフレームであることがある。一般に、その湾曲したフレームは湾曲した支持面2130を含み、装飾ガラス2000の主面2050および2060の一方が、湾曲した支持面2130と接触するように配置される。
【0048】
工程2220では、装飾ガラス構造が支持体により支持されている間に、その装飾ガラス構造に力が印加され、支持体の湾曲形状に合うようにデッドフロント構造を曲げる。このようにして、概して平らな装飾ガラス構造から、
図5に示されるような、湾曲した装飾ガラス2000が形成される。この配置において、平らな装飾ガラスを湾曲させて、支持体に面する主面上に湾曲形状を形成しつつ、対応する(が相補的な)湾曲をフレームの反対の主面に形成する。本出願人は、直接、湾曲したフレーム上で装飾ガラス構造を曲げることにより、別個の湾曲したダイまたは金型(典型的に、他のガラス曲げ過程に必要とされる)の必要性がなくなると考えている。さらに、本出願人は、湾曲したフレームに装飾ガラスを直接成形することによって、複雑さの低い製造過程で、幅広い曲率半径が達成されるであろうと考えている。
【0049】
いくつかの実施の形態において、工程2220で印加される力は、真空設備により印加される空気圧であることがある。いくつかの他の実施の形態において、この空気圧差は、フレームと装飾ガラス構造を取り囲む気密外囲器を真空に引くことによって生じる。具体的な実施の形態において、その気密外囲器は、プラスチック袋またはパウチなどの軟質高分子シェルである。他の実施の形態において、空気圧差は、オートクレーブなどの過圧装置によって、装飾ガラス構造およびフレームの周りに増加した空気圧を生成することによって生じる。本出願人は、空気圧は、一貫した高度に均一な曲げ力(接触に基づく曲げ方法と比べて)を与え、さらに、このことにより、ロバストな製造方法がもたらされることを見出した。様々な実施の形態において、空気圧差は、0.5気圧(約51kPa)と1.5気圧(約152kPa)の間、特に、0.7気圧(約71kPa)と1.1気圧(約111kPa)の間、より詳しくは0.8から1気圧(約81から101kPa)である。
【0050】
工程2230では、装飾ガラス構造の温度は、曲げ中に外側ガラス層の材料のガラス転移温度より低く維持される。それゆえ、方法2200は、冷間成形または冷間曲げ過程である。特別な実施の形態において、装飾ガラス構造の温度は、500℃未満、400℃未満、300℃未満、200℃未満、または100℃未満に維持される。特別な実施の形態において、装飾ガラスは、曲げ中に室温に、またはそれより低く維持される。特別な実施の形態において、装飾ガラスは、ガラスを湾曲形状に高温成形する場合におけるように、曲げ中に、加熱素子、炉、オーブンなどによって能動的に加熱されない。
【0051】
先に述べたように、費用のかかるおよび/または遅い加熱工程をなくすことなど、加工上の利点を与えることに加え、ここに述べられた冷間成形過程は、加熱成形過程により達成できるものより優れていると考えられる様々な性質を有する湾曲した装飾ガラスを生成すると考えられる。例えば、本出願人は、少なくともいくつかのガラス材料について、高温成形過程中の加熱は、湾曲したガラスシートの光学的性質を低下させ、それゆえ、ここに述べられた冷間成形過程/システムを利用して形成された、湾曲した装飾ガラスは、高温成形過程で達成できると考えられない改善された光学的品質と共に、湾曲したガラス形状を与えると考えている。
【0052】
さらに、多くのガラス被覆材料(例えば、防眩コーティング、反射防止コーティングなど)は、湾曲面上に被覆するために典型的に適していない、スパッタリング過程などの堆積過程によって施される。それに加え、高分子層などの多くの被覆材料は、高温曲げ過程に関連する高温に耐えることもできない。それゆえ、ここに述べられた特別な実施の形態において、層2020は、冷間曲げの前にガラス層2010に施される。それゆえ、本出願人は、ここに述べられた過程およびシステムにより、典型的な高温成形過程とは対照的に、1種類以上の被覆材料がガラスに施された後に、ガラスを曲げることができると考えている。
【0053】
工程2240では、湾曲した装飾ガラスが、湾曲した支持体に取り付けられるまたはくっつけられる。様々な実施の形態において、湾曲した装飾ガラス構造と湾曲した支持体との間の取付けは、接着材料により行われることがある。そのような接着剤は、ディスプレイアセンブリ(例えば、ディスプレイのフレーム)に対して適所で装飾ガラス構造を結合するための、どのような適切な光学的に透明な接着剤を含んでもよい。一例において、接着剤は、商標名8215で3M Corporationから入手できる光学的に透明な接着剤を含むことがある。接着剤の厚さは、約200μmから約500μmの範囲にあることがある。
【0054】
接着材料は、様々な様式で施されることがある。1つの実施の形態において、接着剤は、アプリケータ・ガンを使用して施され、ローラまたはダウンドローダイを使用して均一にされる。様々な実施の形態において、ここに述べられた接着剤は、構造用接着剤である。特別な実施の形態において、構造用接着剤は、分類(a)強化エポキシ(Masterbond EP21TDCHT-LO、3M Scotch Weld Epoxy DP460 Off-white)、(b)軟質エポキシ(Masterbond EP21TDC-2LO、3M Scotch Weld Epoxy 2216 B/A Gray)、(c)アクリル(LORD AP 134プライマー、LORD Adhesive 852/LORD Accelerator 25GB、Loctite HF8000、Locitite AA4800を含む、LORD Adhesive 410/Accelerator 19)、(d)ウレタン(3M Scotch Weld Urethane DP640 Brown)、および(e)シリコーン(Dow Corning 995)の1つ以上から選択される接着剤を含む。ある場合には、シート形態で入手できる構造用接着剤(Bステージエポキシ接着剤など)が利用されることがある。さらに、3M VHBテープなどの粘着構造用接着剤が利用されることがある。そのような実施の形態において、粘着剤を利用すると、硬化工程を必要とせずに、湾曲した装飾ガラスをフレームに結合することができる。
【0055】
図9を参照すると、湾曲した装飾ガラス構造を利用してディスプレイを形成する別の方法2300が、示され、記載されている。いくつかの実施の形態において、装飾ガラスのガラス層(例えば、ガラス層2010)が、工程2310で湾曲形状に成形される。工程2310での成形は、冷間成形または加熱成形のいずれであってもよい。工程2320では、成形後のガラス層に、装飾ガラスインク/顔料層および他の随意的な層のいずれかが施される。次に、工程2330では、湾曲した装飾ガラスが、ディスプレイアセンブリ2100のフレーム2110、または乗物内装システムに関連することのある他のフレームなどのフレームに取り付けられる。
【0056】
ガラス材料
ガラス層2010などの、ここに記載された装飾ガラスの様々なガラス層は、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、およびアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスを含むどの適切なガラス組成物から形成されてもよい。
【0057】
特に明記のない限り、ここに開示されたガラス組成物は、酸化物基準で分析されたモルパーセント(モル%)で記載されている。
【0058】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約66モル%から約80モル%、約67モル%から約80モル%、約68モル%から約80モル%、約69モル%から約80モル%、約70モル%から約80モル%、約72モル%から約80モル%、約65モル%から約78モル%、約65モル%から約76モル%、約65モル%から約75モル%、約65モル%から約74モル%、約65モル%から約72モル%、または約65モル%から約70モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲の量でSiO2を含むことがある。
【0059】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約4モル%超、または約5モル%超の量でAl2O3を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約7モル%から約15モル%、約7モル%から約14モル%、約7モル%から約13モル%、約4モル%から約12モル%、約7モル%から約11モル%、約8モル%から約15モル%、約9モル%から約15モル%、約9モル%から約15モル%、約10モル%から約15モル%、約11モル%から約15モル%、または約12モル%から約15モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲でAl2O3を含む。1つ以上の実施の形態において、Al2O3の上限は、約14モル%、14.2モル%、14.4モル%、14.6モル%、または14.8モル%であることがある。
【0060】
1つ以上の実施の形態において、ここでのガラス層は、アルミノケイ酸塩ガラス物品として、またはアルミノケイ酸塩ガラス組成物を含むとして記載されている。そのような実施の形態において、そのガラス組成物またはそれから形成された物品は、SiO2とAl2O3を含み、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスではない。この点に関して、そのガラス組成物またはそれから形成された物品は、約2モル%以上、2.25モル%以上、2.5モル%以上、約2.75モル%以上、約3モル%以上の量でAl2O3を含む。
【0061】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物はB2O3(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0モル%から約5モル%、約0モル%から約4モル%、約0モル%から約3モル%、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1モル%、約0モル%から約0.5モル%、約0.1モル%から約5モル%、約0.1モル%から約4モル%、約0.1モル%から約3モル%、約0.1モル%から約2モル%、約0.1モル%から約1モル%、約0.1モル%から約0.5モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲の量でB2O3を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、B2O3を実質的に含まない。
【0062】
ここに用いられているように、組成物の成分に関する「実質的に含まない」という句は、その成分は、最初のバッチ配合中にその組成物に能動的にまたは意図的に加えられないが、約0.001モル%未満の量で不純物として存在することがあることを意味する。
【0063】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、必要に応じて、P2O5(例えば、約0.01モル%以上)を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、2モル%、1.5モル%、1モル%、または0.5モル%を含む、それまでの非ゼロの量のP2O5を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、P2O5を実質的に含まない。
【0064】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約8モル%以上、約10モル%以上、または約12モル%以上の総量のR2O(Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、およびCs2Oなどのアルカリ金属酸化物の総量である)を含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、約8モル%から約20モル%、約8モル%から約18モル%、約8モル%から約16モル%、約8モル%から約14モル%、約8モル%から約12モル%、約9モル%から約20モル%、約10モル%から約20モル%、約11モル%から約20モル%、約12モル%から約20モル%、約13モル%から約20モル%、約10モル%から約14モル%、または約11モル%から約13モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲の総量のR2Oを含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、Rb2O、Cs2O、またはRb2OとCs2Oの両方を実質的に含まないことがある。1つ以上の実施の形態において、R2Oは、Li2O、Na2OおよびK2Oのみの総量を含むことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、Li2O、Na2OおよびK2Oから選択される少なくとも1種類のアルカリ金属酸化物を含むことがあり、そのアルカリ金属酸化物は約8モル%以上の量で存在する。
【0065】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約8モル%以上、約10モル%以上、または約12モル%以上の量でNa2Oを含む。1つ以上の実施の形態において、その組成物は、約8モル%から約20モル%、約8モル%から約18モル%、約8モル%から約16モル%、約8モル%から約14モル%、約8モル%から約12モル%、約9モル%から約20モル%、約10モル%から約20モル%、約11モル%から約20モル%、約12モル%から約20モル%、約13モル%から約20モル%、約10モル%から約14モル%、または11モル%から約16モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲のNa2Oを含む。
【0066】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約4モル%未満のK2O、約3モル%未満のK2O、または約1モル%未満のK2Oを含む。ある場合には、そのガラス組成物は、約0モル%から約4モル%、約0モル%から約3.5モル%、約0モル%から約3モル%、約0モル%から約2.5モル%、約0モル%から約2モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1モル%、約0モル%から約0.5モル%、約0モル%から約0.2モル%、約0モル%から約0.1モル%、約0.5モル%から約4モル%、約0.5モル%から約3.5モル%、約0.5モル%から約3モル%、約0.5モル%から約2.5モル%、約0.5モル%から約2モル%、約0.5モル%から約1.5モル%、または約0.5モル%から約1モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲の量のK2Oを含むことがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、K2Oを実質的に含まないことがある。
【0067】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、Li2Oを実質的に含まない。
【0068】
1つ以上の実施の形態において、前記組成物中のNa2Oの量は、Li2Oの量より多いことがある。ある場合には、Na2Oの量は、Li2OとK2Oの総量より多いことがある。1つ以上の代わりの実施の形態において、その組成物中のLi2Oの量は、Na2Oの量、またはNa2OとK2Oの総量より多いことがある。
【0069】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0モル%から約2モル%の範囲の総量(CaO、MgO、BaO、ZnOおよびSrOなどのアルカリ土類金属酸化物の総量である)のROを含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、約2モル%までの非ゼロの量のROを含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0モル%から約1.8モル%、約0モル%から約1.6モル%、約0モル%から約1.5モル%、約0モル%から約1.4モル%、約0モル%から約1.2モル%、約0モル%から約1モル%、約0モル%から0.8約モル%、約0モル%から約0.5モル%、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲の量のROを含む。
【0070】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約1モル%未満、約0.8モル%未満、または約0.5モル%未満の量のCaOを含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、CaOを実質的に含まない。いくつかの実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0モル%から約7モル%、約0モル%から約6モル%、約0モル%から約5モル%、約0モル%から約4モル%、約0.1モル%から約7モル%、約0.1モル%から約6モル%、約0.1モル%から約5モル%、約0.1モル%から約4モル%、約1モル%から約7モル%、約2モル%から約6モル%、または約3モル%から約6モル%、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲の量のMgOを含む。
【0071】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のZrO2を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0.01モル%から約0.2モル%、約0.01モル%から約0.18モル%、約0.01モル%から約0.16モル%、約0.01モル%から約0.15モル%、約0.01モル%から約0.14モル%、約0.01モル%から約0.12モル%、または約0.01モル%から約0.10モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲のZrO2を含む。
【0072】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量のSnO2を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0.01モル%から約0.2モル%、約0.01モル%から約0.18モル%、約0.01モル%から約0.16モル%、約0.01モル%から約0.15モル%、約0.01モル%から約0.14モル%、約0.01モル%から約0.12モル%、または約0.01モル%から約0.10モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲のSnO2を含む。
【0073】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、前記ガラス物品に色または色合いを与える酸化物を含むことがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、ガラス物品が紫外線に暴露されたときに、そのガラス物品の変色を防ぐ酸化物を含む、そのような酸化物の例としては、制限なく、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、およびMoの酸化物が挙げられる。
【0074】
1つ以上の実施の形態において、前記ガラス組成物は、Fe2O3として表されるFeを含み、ここで、Feは、約1モル%(含む)までの量で存在する。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、Feを実質的に含まない。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0.2モル%以下、約0.18モル%未満、約0.16モル%未満、約0.15モル%未満、約0.14モル%未満、約0.12モル%未満の量でFe2O3を含む。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、約0.01モル%から約0.2モル%、約0.01モル%から約0.18モル%、約0.01モル%から約0.16モル%、約0.01モル%から約0.15モル%、約0.01モル%から約0.14モル%、約0.01モル%から約0.12モル%、または約0.01モル%から約0.10モル%の範囲、並びにそれらの間の全ての範囲および部分的な範囲のFe2O3を含む。
【0075】
前記ガラス組成物がTiO2を含む場合、TiO2は、約5モル%以下、約2.5モル%以下、約2モル%以下、または約1モル%以下の量で存在することがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス組成物は、TiO2を実質的に含まないことがある。
【0076】
例示のガラス組成物は、約65モル%から約75モル%の範囲の量のSiO2、約8モル%から約14モル%の範囲の量のAl2O3、約12モル%から約17モル%の範囲の量のNa2O、約0モル%から約0.2モル%の範囲の量のK2O、および約1.5モル%から約6モル%の範囲の量のMgOを含む。必要に応じて、SnO2が、ここで他に開示された量で含まれることがある。先のガラス組成物に関する段落は近似範囲を表しているが、他の実施の形態において、ガラス基板134は、先に述べられた正確な数値範囲の内のいずれか1つに入るどのようなガラス組成物から製造されてもよいことを理解すべきである。
【0077】
強化ガラスの性質
1つ以上の実施の形態において、ここに述べられた装飾ガラスの実施の形態のいずれかのガラス層2010または他のガラス層は、強化ガラスシートまたは物品から形成されることがある。1つ以上の実施の形態において、ここに述べられた装飾ガラス構造の層を形成するために使用されるガラス物品は、表面から圧縮深さ(DOC)まで延在する圧縮応力を含むように強化されることがある。その圧縮応力領域は、引張応力を示す中央部分により釣り合わされている。DOCで、応力が正(圧縮)応力から負(引張)応力に交差する。
【0078】
1つ以上の実施の形態において、ここに述べられた装飾ガラス構造の層を形成するために使用されるガラス物品は、圧縮応力領域および引張応力を示す中央領域を作るために、ガラスの複数の部分間の熱膨張係数の不一致を利用することによって、機械的に強化されることがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス物品は、ガラスを、ガラス転移点より高い温度に加熱し、次いで、急冷することによって、熱的に強化されることがある。
【0079】
1つ以上の実施の形態において、ここに述べられた装飾ガラス構造の層を形成するために使用されるガラス物品は、イオン交換によって化学的に強化されることがある。イオン交換過程において、ガラス物品の表面またはその近くにあるイオンが、同じ価数または酸化状態を有するより大きいイオンにより置換される-すなわち、交換される。ガラス物品がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスから作られている実施の形態において、その物品の表面層中のイオンおよびより大きいイオンは、Li+、Na+、K+、Rb+、およびCs+などの一価のアルカリ金属陽イオンである。あるいは、表面層中の一価陽イオンは、Ag+などの、アルカリ金属陽イオン以外の一価陽イオンにより置換されてもよい。そのような実施の形態において、ガラス物品中へと交換される一価イオン(または陽イオン)により、応力が生じる。
【0080】
イオン交換過程は、一般に、ガラス物品中のより小さいイオンにより交換されるべきより大きいイオンを含有する溶融塩浴(または2つ以上の溶融塩浴)中にガラス物品を浸漬することによって行われる。水性塩浴を利用してもよいことに留意すべきである。その上、その浴の組成は、複数のタイプのより大きいイオン(例えば、Na+およびK+)または1種類のより大きいイオンを含んでもよい。以下に限られないが、浴の組成と温度、浸漬時間、1種類の塩浴(複数の塩浴)中のガラス物品の浸漬回数、多数の塩浴の使用、徐冷、洗浄などの追加の工程を含む、イオン交換過程のパラメータが、装飾ガラス構造のガラス層(物品の構造および存在するいずれの結晶相も含む)の組成、および強化により生じる装飾ガラス構造の所望のDOCとCSによって一般に決まることが当業者に認識されるであろう。
【0081】
例示の溶融浴の組成は、より大きいアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、および塩化物を含むことがある。典型的な硝酸塩としては、KNO3、NaNO3、LiNO3、NaSO4およびその組合せが挙げられる。溶融塩浴の温度は、一般に、約380℃から約450℃までの範囲にあり、一方で、浸漬時間は、ガラスの厚さ、浴の温度およびガラス(または一価イオン)の拡散性に応じて、約15分から約100時間に及ぶ。しかしながら、先に記載されたものと異なる温度および浸漬時間も使用してよい。
【0082】
1つ以上の実施の形態において、装飾ガラスの層を形成するために使用されるガラス物品は、約370℃から約480℃の温度を有する、100%のNaNO3、100%のKNO3、またはNaNO3とKNO3の組合せの溶融塩浴中に浸漬されることがある。いくつかの実施の形態において、装飾ガラスのガラス層は、約5%から約90%のKNO3および約10%から約95%のNaNO3を含む溶融混合塩浴中に浸漬されることがある。1つ以上の実施の形態において、そのガラス物品は、第1の浴中に浸漬された後、第2の浴中に浸漬されることがある。その第1と第2の浴は、互いに異なる組成および/または温度を有することがある。第1と第2の浴中の浸漬時間は様々であってよい。例えば、第1の浴中の浸漬は、第2の浴中に浸漬より長いことがある。
【0083】
1つ以上の実施の形態において、装飾ガラス構造の層を形成するために使用されるガラス物品は、約5時間未満、またさらには約4時間以下に亘り、約420℃未満の温度(例えば、約400℃または約380℃)を有する、NaNO3とKNO3(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融混合塩浴中に浸漬されることがある。
【0084】
イオン交換条件は、装飾ガラス構造の結果として得られるガラス層の表面またはその近くの応力プロファイルの勾配を増加させるために、または「スパイク」を与えるために、調整することができる。そのスパイクにより、より大きい表面CS値が得られるであろう。このスパイクは、1つの浴または複数の浴により達成することができ、その浴は、ここに記載された装飾ガラス構造のガラス層に使用されるガラス組成物の特異的性質のために、1つの組成または混合組成を有する。
【0085】
装飾ガラス構造の層を形成するために使用されるガラス物品中に複数の一価イオンが交換される、1つ以上の実施の形態において、異なる一価イオンが、ガラス層内の異なる深さまで交換され(異なる深さでガラス物品内に異なる大きさの応力が生じ)ることがある。その応力生成イオンの結果として生じる相対的な深さは、決定することができ、それにより、応力プロファイルの異なる特徴が生じる。
【0086】
CSは、有限会社折原製作所(日本国)により製造されているFSM-6000などの市販の計器を使用して、表面応力計(FSM)などにより、当該技術分野で公知の手段を用いて測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する、応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。次に、SOCは、その内容がここに全て引用される、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM基準C770-98(2013年)に両方とも記載されている、ファイバおよび4点曲げ法、並びにバルクシリンダ法などの、当該技術分野で公知の方法によって測定される。ここに用いられているように、CSは、圧縮応力層内で測定される最高の圧縮応力値である、「最大圧縮応力」であることがある。いくつかの実施の形態において、その最大圧縮応力は、ガラス物品の表面に位置している。他の実施の形態において、最大圧縮応力は、表面より下の深さに生じることがあり、その圧縮プロファイルに「埋め込まれたピーク」の見掛けが与えられる。
【0087】
DOCは、強化方法および条件に応じて、FSMにより、または散乱光偏光器(SCALP)(エストニア国、タリン所在のGlasstress Ltd.から入手できるSCALP-04散乱光偏光器など)により測定することができる。ガラス物品がイオン交換処理によって化学強化されている場合、ガラス物品中にどのイオンが交換されているかに応じて、FSMまたはSCALPが使用されることがある。ガラス物品中の応力が、ガラス物品中へのカリウムイオンの交換により生じている場合、DOCを測定するために、FSMが使用される。応力が、ガラス物品中へのナトリウムイオンの交換により生じている場合、DOCを測定するために、SCALPが使用される。ガラス物品中の応力が、ガラス中にカリウムイオンとナトリウムイオンの両方を交換することによって生じる場合、DOCはSCALPにより測定される。何故ならば、ナトリウムイオンの交換深さはDOCを表し、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさの変化(圧縮から引張への応力の変化ではない)を表すと考えられるからである;そのようなガラス物品におけるカリウムイオンの交換深さは、FSMにより測定される。中央張力またはCTは、最大引張応力であり、SCALPにより測定される。
【0088】
1つ以上の実施の形態において、装飾ガラス構造の層を形成するために使用されるガラス物品は、ガラス物品の厚さt(ここに記載されているような)の一部として記載されるDOCを示すように強化されることがある。例えば、1つ以上の実施の形態において、DOCは、約0.05t以上、約0.1t以上、約0.11t以上、約0.12t以上、約0.13t以上、約0.14t以上、約0.15t以上、約0.16t以上、約0.17t以上、約0.18t以上、約0.19t以上、約0.2t以上、約0.21t以上であることがある。いくつかの実施の形態において、DOCは、約0.08tから約0.25t、約0.09tから約0.25t、約0.18tから約0.25t、約0.11tから約0.25t、約0.12tから約0.25t、約0.13tから約0.25t、約0.14tから約0.25t、約0.15tから約0.25t、約0.08tから約0.24t、約0.08tから約0.23t、約0.08tから約0.22t、約0.08tから約0.21t、約0.08tから約0.2t、約0.08tから約0.19t、約0.08tから約0.18t、約0.08tから約0.17t、約0.08tから約0.16t、または約0.08tから約0.15tの範囲にあることがある。ある場合には、DOCは約20μm以下であることがある。1つ以上の実施の形態において、DOCは、約40μm以上(例えば、約40μmから約300μm、約50μmから約300μm、約60μmから約300μm、約70μmから約300μm、約80μmから約300μm、約90μmから約300μm、約100μmから約300μm、約110μmから約300μm、約120μmから約300μm、約140μmから約300μm、約150μmから約300μm、約40μmから約290μm、約40μmから約280μm、約40μmから約260μm、約40μmから約250μm、約40μmから約240μm、約40μmから約230μm、約40μmから約220μm、約40μmから約210μm、約40μmから約200μm、約40μmから約180μm、約40μmから約160μm、約40μmから約150μm、約40μmから約140μm、約40μmから約130μm、約40μmから約120μm、約40μmから約110μm、または約40μmから約100μm)であることがある。
【0089】
1つ以上の実施の形態において、装飾ガラス構造の層を形成するために使用されるガラス物品は、約200MPa以上、300MPa以上、400MPa以上、約500MPa以上、約600MPa以上、約700MPa以上、約800MPa以上、約900MPa以上、約930MPa以上、約1000MPa以上、または約1050MPa以上のCS(ガラス物品の表面またはその中の深さに見られるであろう)を有することがある。
【0090】
1つ以上の実施の形態において、装飾ガラス構造の層を形成するために使用されるガラス物品は、約20MPa以上、約30MPa以上、約40MPa以上、約45MPa以上、約50MPa以上、約60MPa以上、約70MPa以上、約75MPa以上、約80MPa以上、または約85MPa以上の最大引張応力または中央張力(CT)を有することがある。いくつかの実施の形態において、最大引張応力または中央張力(CT)は、約40MPaから約100MPaの範囲内にあることがある。
【0091】
他に明記のない限り、ここに述べられたどの方法も、その工程が特定の順序で行われることを必要とすると解釈されることは決して意図されていない。したがって、方法の請求項が、その工程がしたがうべき順序を実際に列挙していない場合、またはその工程が特定の順序に限定されるべきであることが、請求項または説明において他に具体的に述べられていない場合、どの特定の順序も暗示されることは決して意図されていない。それに加え、ここに用いられているように、名詞は、1つまたは複数の構成部材または要素を含むことが意図され、ただ1つの対象を意味するものと解釈される意図はない。
【0092】
開示された実施の形態の精神または範囲から逸脱せずに、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。開示の実施の形態の精神および実体を含む、その実施の形態の改変、組合せ、下位の組合せおよび変更が当業者に想起されるであろうから、開示された実施の形態は、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲に全てを含むと解釈されるべきである。
【0093】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0094】
実施形態1
装飾ガラスにおいて、
第1の主面および該第1の主面と反対にある第2の主面を有する透明基板、および
表示領域において前記第2の主面上に配置された黒インク層であって、400nmから700nmの波長を有する入射光に関して、0.2と0.85の間の透過係数を有する黒インク層、
を備え、
ピクセルパワー偏差基準(PPDr)により前記第1の主面から測定した場合、2%以下のスパークルを有する、装飾ガラス。
【0095】
実施形態2
前記透明基板が、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、またはアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスの内の少なくとも1つから作られている、実施形態1に記載の装飾ガラス。
【0096】
実施形態3
前記黒インク層が、50μm以下の厚さを有する、実施形態1または実施形態2に記載の装飾ガラス。
【0097】
実施形態4
前記黒インク層が、少なくとも0.05μmの厚さを有する、実施形態1から3のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0098】
実施形態5
前記黒インク層が、CMYK色モデルからのKインクまたはLKインクを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0099】
実施形態6
前記黒インク層が、CMYK色モデルによるCMYKコンポジットブラックインクを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0100】
実施形態7
前記黒インク層が、CMYKリッチブラックを含む、実施形態1から4のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0101】
実施形態8
不透明マスク層をさらに備え、該不透明マスク層は、前記装飾ガラスが入射光の多くとも5%しか透過させない非表示領域を少なくとも1つ画成する、実施形態1から7のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0102】
実施形態9
前記不透明マスク層が、前記第2の主面と前記黒インク層との間に配置されている、実施形態8に記載の装飾ガラス。
【0103】
実施形態10
前記黒インク層が、前記第2の主面と前記不透明マスク層との間に配置されている、実施形態8に記載の装飾ガラス。
【0104】
実施形態11
前記黒インク層が、無機染料を含む、実施形態1から10のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0105】
実施形態12
表面処理をさらに備え、該表面処理は、前記第1または第2の主面への材料の付加、または該第1または第2の主面からの材料の除去の一方である、実施形態1から11のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0106】
実施形態13
前記表面処理が、防眩、反射防止、または防指紋の内の少なくとも1つである、実施形態12に記載の装飾ガラス。
【0107】
実施形態14
前記透明基板が、前記第1の主面と前記第2の主面との間で2mm以下の厚さを有する、実施形態1から13のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0108】
実施形態15
前記黒インク層が、0.5から0.85の透過係数を有し、該黒インク層は、前記装飾ガラスが光源の上に置かれたときに、色合わせ効果を与える、実施形態1から14のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0109】
実施形態16
前記黒インク層が、0.2から0.7の透過係数を有し、該黒インク層は、前記装飾ガラスが光源の上に置かれたときに、デッドフロント効果を与える、実施形態1から14のいずれか1つに記載の装飾ガラス。
【0110】
実施形態17
装飾ガラスを調製する方法において、
第1の主面および該第1の主面と反対にある第2の主面を有する透明基板を提供する工程、および
少なくとも1つの表示領域において前記透明基板の第2の主面上にインク層を印刷する工程、
を有してなり、
前記インク層は、CIE L*a*b*色空間にしたがって、5以下のa*およびb*、並びに50以下のL*を有し、
前記インク層は、400nmから700nmの波長を有する入射光に関して、0.2と0.85の間の透過係数を有し、
前記インク層は、ピクセルパワー偏差基準(PPDr)により測定した場合、2%以下のスパークルを有する、方法。
【0111】
実施形態18
前記印刷する工程が、インクジェット印刷、スロット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、またはグラビア印刷の内の少なくとも1つを含む、実施形態17に記載の方法。
【0112】
実施形態19
前記インク層が、0.05μmから50μmの厚さを有する、実施形態17または実施形態18に記載の方法。
【0113】
実施形態20
前記印刷する工程の前に、不透明マスク層を施す工程をさらに含み、
前記不透明マスク層は、前記装飾ガラスが入射光の多くとも5%しか透過させない非表示領域を少なくとも1つ画成する、実施形態17から19のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
実施形態21
前記印刷する工程の後に、不透明マスク層を施す工程をさらに含み、
前記不透明マスク層は、前記装飾ガラスが入射光の多くとも5%しか透過させない非表示領域を少なくとも1つ画成する、実施形態17から19のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
実施形態22
前記インク層が、CMYK色モデルからのKインクまたはLKインクを含む、実施形態17から21のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
実施形態23
前記インク層が、CMYK色モデルによるCMYKコンポジットブラックインクを含む、実施形態17から21のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
実施形態24
前記インク層が、CMYK色モデルによるCMYKリッチブラックインクを含む、実施形態17から21のいずれか1つに記載の方法。
【0118】
実施形態25
前記インク層が、無機染料を含む、実施形態17から24のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
実施形態26
前記第1または第2の主面に材料を付加して、またはそれから材料を除去して、表面処理を作る工程をさらに含む、実施形態17から25のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
実施形態27
前記表面処理が、防眩、反射防止、または防指紋の内の少なくとも1つである、実施形態26に記載の方法。
【0121】
実施形態28
光学的に透明な接着剤で、前記インク層、前記不透明マスク層、またはその両方に表示装置を取り付ける工程をさらに含む、実施形態17から27のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
実施形態29
前記インク層の透過係数が0.2から0.7である、実施形態28に記載の方法にしたがって製造されたデッドフロント装飾ガラス。
【0123】
実施形態30
前記インク層の透過係数が0.5から0.85である、実施形態28に記載の方法にしたがって製造された色合わせ装飾ガラス。
【0124】
実施形態31
デバイスにおいて、
第1の側および該第1の側と反対にある第2の側を有する装飾ガラスであって、
第1の主面および該第1の主面と反対にある第2の主面を有する透明基板と、
少なくとも1つの表示領域において前記第2の主面上に配置され、400nmから700nmの波長を有する入射光に関して、0.2と0.85の間の透過係数を有する黒インク層と、
を含む装飾ガラス、および
前記装飾ガラスの第2の側上に配置された光源、
を備え、
ピクセルパワー偏差基準(PPDr)により、前記装飾ガラスの第1の側から2%以下のスパークルが測定される、デバイス。
【0125】
実施形態32
前記光源が、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機LED(OLED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、またはプラズマディスプレイの内の少なくとも1つである、実施形態31に記載のデバイス。
【0126】
実施形態33
前記透明基板が、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸ガラス、またはアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスの内の少なくとも1つから作られている、実施形態31または実施形態32に記載のデバイス。
【0127】
実施形態34
前記黒インク層が、50μm以下の厚さを有する、実施形態31から33のいずれか1つに記載のデバイス。
【0128】
実施形態35
前記黒インク層が、少なくとも0.05μmの厚さを有する、実施形態31から34のいずれか1つに記載のデバイス。
【0129】
実施形態36
前記黒インク層が、CMYK色モデルからのKインクを含む、実施形態31から35のいずれか1つに記載のデバイス。
【0130】
実施形態37
前記黒インク層が、CMYK色モデルによるCMYKコンポジットブラックインクを含む、実施形態31から35のいずれか1つに記載のデバイス。
【0131】
実施形態38
前記黒インク層が、CMYK色モデルによるCMYKリッチブラックを含む、実施形態31から35のいずれか1つにデバイス。
【0132】
実施形態39
不透明マスク層をさらに備え、該不透明マスク層は、前記装飾ガラスが入射光の多くとも5%しか透過させない非表示領域を少なくとも1つ画成する、実施形態31から38のいずれか1つに記載のデバイス。
【0133】
実施形態40
前記不透明マスク層が、前記第2の主面と前記黒インク層との間に配置されている、実施形態39に記載のデバイス。
【0134】
実施形態41
前記黒インク層が、前記第2の主面と前記不透明マスク層との間に配置されている、実施形態39に記載のデバイス。
【0135】
実施形態42
前記黒インク層が、無機染料を含む、実施形態31から41のいずれか1つに記載のデバイス。
【0136】
実施形態43
表面処理をさらに備え、該表面処理は、前記第1または第2の主面への材料の付加、または該第1または第2の主面からの材料の除去の一方である、実施形態31から42のいずれか1つに記載のデバイス。
【0137】
実施形態44
前記表面処理が、防眩、反射防止、または防指紋の内の少なくとも1つである、実施形態43に記載のデバイス。
【0138】
実施形態45
前記透明基板が、前記第1の主面と前記第2の主面との間で2mm以下の厚さを有する、実施形態31から44のいずれか1つに記載のデバイス。
【符号の説明】
【0139】
100 電子機器
102 タッチインターフェース
104 筐体
106 装飾ガラス
108 表示装置
110 センターコンソールベース、回路基板
112 着座面
114 観察面
120 基板
122 黒インク層
124 不透明マスク層
126 第1の主面
128 第2の主面
130 表示領域
132 非表示領域
2000 湾曲装飾ガラス
2010 ガラス層
2020 高分子層
2030、2110 フレーム
2050 ガラス層の第1の主面
2060 ガラス層の第2の主面
2070 ガラス層の副面
2100 ディスプレイアセンブリ
2120 表示装置
2130 支持面