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特許7530917切断される加工対象物を位置合わせするためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】切断される加工対象物を位置合わせするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 5/02 20060101AFI20240801BHJP
   C03B 33/037 20060101ALI20240801BHJP
   B28D 5/00 20060101ALI20240801BHJP
   B26F 3/00 20060101ALI20240801BHJP
   B27C 9/04 20060101ALI20240801BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20240801BHJP
【FI】
B26D5/02 Z
C03B33/037
B28D5/00 Z
B26F3/00 R
B27C9/04
B23K26/38 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021567826
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 US2020031552
(87)【国際公開番号】W WO2020231682
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】62/848,096
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シン-リン
(72)【発明者】
【氏名】リン,シー-ダー
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-132616(JP,A)
【文献】特開昭62-212089(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0083862(US,A1)
【文献】特開昭53-132878(JP,A)
【文献】特開平08-188433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 5/02
C03B 33/037
B28D 5/00
B26F 3/00
B27C 9/04
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形の加工対象物を切断する方法であって、
前記加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程であって、該切断アセンブリは、切断ヘッドを支持するキャリッジを含み、該キャリッジは、縦方向に移動可能であり、該切断ヘッドは、該キャリッジに沿って横方向に移動可能であ前記位置決め角度が、前記キャリッジと該キャリッジに最も近接している前記矩形の加工対象物の辺との間のなす角度である、工程と、
前記位置決め角度に基づいて前記加工対象物に沿った切断経路を決定する工程と、
前記切断ヘッドが前記縦方向および前記横方向に同時に運動するように、該切断ヘッドを前記キャリッジに沿って該横方向に移動させながら該キャリッジを該縦方向に移動させることで該切断ヘッドを該切断経路に沿って移動させる工程と、
を含む、加工対象物を切断する方法。
【請求項2】
前記加工対象物は、パネルであり、前記切断経路は、該加工対象物の少なくとも1つの副辺と平行であり、該切断経路が前記横方向および前記縦方向の両方に対して零度以外の角度を規定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリッジは、前記切断ヘッドが前記切断経路に沿って移動している間、前記縦方向には移動するが前記横方向には移動しない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記切断経路は、前記切断ヘッドが該切断経路に沿って移動することにより、前記加工対象物を個別の分離部分に切断するように、該加工対象物の第1の主辺から該加工対象物の反対側の第2の主辺まで延在する線セグメントである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記加工対象物は、ガラス、セラミックまたは金属を含むパネルであり、前記切断経路は、該加工対象物の前記第1の主辺および前記第2の主辺の両方に直交する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記切断経路は、縦軸に対する切断角度を規定し、該切断角度の大きさは、前記位置決め角度の大きさと等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記位置決め角度の三角関数に基づいて前記切断経路を決定する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記位置決め角度を決定する前に前記加工対象物を前記縦方向に切断する工程と、
前記加工対象物を該縦方向と直交する軸を中心に90°回転させる工程と、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
矩形の加工対象物を切断する方法であって、
前記加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程であって、該切断アセンブリは、切断ヘッドを支持するキャリッジを含み、該切断アセンブリは、該加工対象物と該キャリッジが縦方向に相対運動をするように構成され、該切断ヘッドは、該キャリッジに沿って横方向に移動可能であ前記位置決め角度が、前記キャリッジと該キャリッジに最も近接している前記矩形の加工対象物の辺との間のなす角度である、工程と、
前記位置決め角度に基づいて前記加工対象物に沿った切断経路を決定する工程と、
前記切断ヘッドを前記キャリッジに沿って前記横方向に移動させながら前記加工対象物と該キャリッジの前記縦方向の相対運動を起こして、該切断ヘッドを前記切断経路に沿って移動させる工程と、
を含む、加工対象物を切断する方法。
【請求項10】
前記加工対象物は、パネルであり、前記切断経路は、該加工対象物の少なくとも1つの副辺と平行であり、該切断経路は、前記横方向および前記縦方向の両方に対して零度以外の角度を規定する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
加工対象物を切断する方法であって、
前記加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程であって、該切断アセンブリは、第1の切断ヘッドおよび第2の切断ヘッドを支持するキャリッジを含み、該キャリッジは、縦方向に移動可能であり、該第1の切断ヘッドおよび該第2の切断ヘッドは、該キャリッジに沿ってそれぞれ個別に横方向に移動可能である、工程と、
前記位置決め角度に基づいて前記加工対象物に沿った第1の切断経路および第2の切断経路を決定する工程と、
前記第1の切断ヘッドが前記縦方向および前記横方向に同時に運動するように、該第1の切断ヘッドを前記キャリッジに沿って該横方向に移動させながら該キャリッジを該縦方向に移動させることにより該第1の切断ヘッドを前記第1の切断経路に沿って移動させる工程と、
前記第2の切断ヘッドが前記縦方向および前記横方向に同時に運動するように、該第2の切断ヘッドを前記キャリッジに沿って該横方向に移動させながら該キャリッジを該縦方向に移動させることにより該第2の切断ヘッドを前記第2の切断経路に沿って移動させる工程と、
を含み、
前記第1の切断ヘッドは、前記第2の切断ヘッドが前記第2の切断経路に沿う移動を開始する前に前記第1の切断経路に沿う移動を開始し、該第2の切断ヘッドは、該第1の切断ヘッドが該第1の切断経路を完了する前に該第2の切断経路に沿う移動を開始し、該第1の切断ヘッドは、該第2の切断ヘッドが該第2の切断経路を完了する前に該第1の切断経路を完了する、加工対象物を切断する方法。
【請求項12】
前記第1の切断経路の長さおよび前記第2の切断経路の長さは等しい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の切断ヘッドが前記第1の切断経路を開始するときに、該第1の切断ヘッドを起動解除モードから起動モードに切り替え、該第1の切断ヘッドが該第1の切断経路を完了するときに、該第1の切断ヘッドを該起動モードから該起動解除モードに切り替える工程と、
前記第2の切断ヘッドが前記第2の切断経路を開始するときに、該第2の切断ヘッドを起動解除モードから起動モードに切り替え、該第2の切断ヘッドが該第2の切断経路を完了するときに、該第2の切断ヘッドを該起動モードから該起動解除モードに切り替える工程と、
を含み、
前記第1の切断ヘッドおよび前記第2の切断ヘッドは、前記起動モードが設定されている間は、前記加工対象物を切断可能であるが、前記起動解除モードが設定されている間は、該加工対象物を切断不可能であり、
前記第2の切断ヘッドが前記起動モードに切り替わる前に、前記第1の切断ヘッドは前記起動モードに切り替わり、
前記第1の切断ヘッドが前記起動解除モードに戻った後、前記第2の切断ヘッドは前記起動モードの設定を維持する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
矩形の加工対象物を切断するシステムにおいて、
切断ヘッドを支持するキャリッジを含む切断アセンブリであって、該キャリッジは縦方向に移動するように構成され、該切断ヘッドは該キャリッジに沿って横方向に移動するように構成される、切断アセンブリと、
1つ以上のプロセッサを含む処理システムであって、
前記加工対象物と前記切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定し、該位置決め角度が、前記キャリッジと該キャリッジに最も近接している前記矩形の加工対象物の辺との間のなす角度であり、
前記位置決め角度に基づいて前記加工対象物における切断経路を決定し、
前記切断ヘッドが前記縦方向および前記横方向に同時に運動するように、該切断ヘッドを前記キャリッジに沿って該横方向に移動させながら該キャリッジを該縦方向に移動させることにより該切断ヘッドを前記切断経路に沿って移動させる、
ように構成された1つ以上のプロセッサと、
を含む加工対象物を切断するシステム。
【請求項15】
前記加工対象物は、パネルであり、前記1つ以上のプロセッサは、
(i)前記切断経路が前記加工対象物の少なくとも1つの副辺と平行であり、(ii)該切断経路が該加工対象物の少なくとも1つの主辺に対して直交し、(iii)該切断経路が前記横方向および前記縦方向の両方に関して零度以外の角度を規定するように、該切断経路を決定する、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2019年5月15日に出願された米国仮出願第62/848096号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、とりわけ、ガラスまたは金属のシート等の加工対象物の切断に関する。
【背景技術】
【0003】
加工対象物の最終形状の精度が最重要である用途において、ガラスまたはその他の材料が製造されることがある。加工対象物は、異なる処理を行う複数の機械の間で移動、回転、または移送されることが頻繁にあり、その中には切断工程が含まれることがある。このような調整は、製造工程においてばらつきを発生させ、最終製品が低精度で望ましくない形状となる恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
形状精度を改善するための既存の一つの技術では、切断工程の前に加工対象物を切断装置と正確に位置合わせすることを確認している。しかしながら、再現性の達成は困難であり、加工対象物を正確に合った位置に移動させることは、時間がかかる工程であり、生産性を低下させる。予防保守を行うことで位置合わせの再現性を改善できるが、装置のダウンタイムの増加、および材料と人件費の追加を招くことになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示された特徴は、加工対象物を切断する前に、位置合わせのずれに起因する望ましくない影響を最小限にする、または除去することを可能にする。切断アセンブリは、加工対象物の位置合わせにおけるばらつきを補正することで、再現可能な切断工程および厳密な公差基準への準拠を実現できる。
【0006】
切断アセンブリは、切断ヘッドを支持するキャリッジを含むことができる。キャリッジは縦方向に移動可能であり、切断ヘッドはキャリッジに沿って横方向に移動可能である。加工対象物を切断する方法は、加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程と、位置決め角度に基づいて加工対象物に沿った切断経路を決定する工程と、切断ヘッドが縦方向および横方向に同時に運動するように、切断ヘッドをキャリッジに沿って横方向に移動させながらキャリッジを縦方向に移動させることにより切断ヘッドを切断経路に沿って移動させる工程とを含むことができる。
【0007】
切断アセンブリは、切断ヘッドを支持するキャリッジを含むことができる。切断アセンブリは、加工対象物とキャリッジが縦方向に相対運動をするように構成することが可能であり、切断ヘッドは、キャリッジに沿って横方向に移動可能である。加工対象物を切断する方法は、加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程と、位置決め角度に基づいて加工対象物に沿った切断経路を決定する工程と、切断ヘッドをキャリッジに沿って横方向に移動させながら加工対象物とキャリッジの縦方向の相対運動を起こすことによって、切断ヘッドを切断経路に沿って移動させる工程とを含むことができる。
【0008】
切断アセンブリは、第1の切断ヘッドおよび第2の切断ヘッドを支持するキャリッジを含むことができる。キャリッジは、縦方向に移動可能であり、第1の切断ヘッドおよび第2の切断ヘッドは、キャリッジに沿ってそれぞれ個別に横方向に移動可能である。加工対象物を切断する方法は、加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程と、位置決め角度に基づいて加工対象物に沿った第1の切断経路および第2の切断経路を決定する工程と、第1の切断ヘッドが縦方向および横方向に同時に運動するように、第1の切断ヘッドをキャリッジに沿って横方向に移動させながらキャリッジを縦方向に移動させることにより第1の切断ヘッドを第1の切断経路に沿って移動させる工程と、第2の切断ヘッドが縦方向および横方向に同時に運動するように、第2の切断ヘッドをキャリッジに沿って横方向に移動させながらキャリッジを縦方向に移動させることにより第2の切断ヘッドを第2の切断経路に沿って移動させる工程と、を含むことができる。第1の切断ヘッドは、第2の切断ヘッドが第2の切断経路に沿う移動を開始する前に第1の切断経路に沿う移動を開始し、第2の切断ヘッドは、第1の切断ヘッドが第1の切断経路を完了する前に第2の切断経路に沿う移動を開始し、第1の切断ヘッドは、第2の切断ヘッドが第2の切断経路を完了する前に第1の切断経路を完了する、ことができる。
【0009】
加工対象物を切断するシステムは、切断アセンブリと処理システムとを含むことができる。切断アセンブリは、切断ヘッドを支持するキャリッジを含むことができる。キャリッジは縦方向に移動するように構成され、切断ヘッドはキャリッジに沿って横方向に移動するように構成されることができる。処理システムは、1つ以上のプロセッサを含むことができ、1つ以上のプロセッサは、加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定し、位置決め角度に基づいて加工対象物に沿った切断経路を決定し、切断ヘッドが縦方向および横方向に同時に運動するように、切断ヘッドをキャリッジに沿って横方向に移動させながらキャリッジを縦方向に移動させることにより切断ヘッドを切断経路に沿って移動させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
上記の発明の概要および以下の例示的な実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて理解され得る。図面は、本明細書で議論される例示的な実施形態のうちのいくつかを示す。図面に示される相対的な寸法は、特許請求の範囲に係る特徴に対する基本的な裏付けとなり得る。以下にさらに記載されるように、特許請求の範囲は例示的な実施形態に限定されず、したがって、他に明示されない限り、図面に示されるいかなる寸法にも限定されない。明確性と読み易さのために、図面から特定の特徴を省略することもある。
図1A】加工対象物を切断する例示的な方法を概略的に示す図
図1B】加工対象物を切断する例示的な方法を概略的に示す図
図1C】加工対象物を切断する例示的な方法を概略的に示す図
図2】位置合わせでずれが生じた加工対象物における例示的な所望の切断経路および所望ではない切断経路を概略的に示す図
図3】位置合わせでずれが生じた加工対象物に関して例示的な切断アセンブリを概略的に示す図
図4】第1の切断ヘッドが第1の切断経路に沿った途中にある例示的な切断アセンブリを概略的に示す図
図5】第1の切断ヘッドおよび第2の切断ヘッドの両方がそれぞれの切断経路に沿った途中にある例示的な切断アセンブリを概略的に示す図
図6】第1の切断ヘッドが対応する切断経路を完了した例示的な切断アセンブリを概略的に示す図
図7】第1および第2の切断ヘッドが両方ともそれぞれの対応する切断経路を完了した例示的な切断アセンブリを概略的に示す図
図8】加工対象物を切断する例示的な方法のブロック図
図9図8の方法を実行するための例示的な処理システムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本出願は、例示的な(すなわち、例的な)実施形態を開示する。特許請求の範囲に係る発明は、例示的な実施形態に限定されない。したがって、特許請求の範囲に係る多くの実施は、例示的な実施形態とは異なることもある。本開示の精神および範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲に係る発明に様々な変更を加えることができる。特許請求の範囲は、そのような変更を伴う実施を包含することを意図している。
【0012】
時には、本出願は、図を参照する読者に状況を説明するために、様々な方向に関する用語(例えば、前、後、上、下、左、右、縦、横、垂直等)を使用することがある。特許請求の範囲に係る発明は、図に示された方向に限定されない。絶対的な用語(例えば、高い、低い等)は、対応する相対的な用語(例えば、より高い、より低い等)を開示するものとして理解され得る。図面の参照においては、X軸に沿う深さは「縦方向」、Y軸に沿う深さは「横方向」、Z軸に沿う深さ(図示されていないが、X-Y平面に直交)は「垂直」と理解され得る。いくつかの実施形態においては、X、Y、およびZ軸は、複数の図面に渡り一貫して使用される。
【0013】
図1A図1Cは、加工対象物100(基板、パネル、プレート等とも呼ばれる)が、より大きな第1の形状100Aから中間の第2の形状100Bへ、次いで、中間の第2の形状100Bからより小さな第3の形状100Cへと切断されることを概略的に示す。以下にさらに記載されるように、本出願に開示された技術は、加工対象物100が切断アセンブリに対する位置合わせでずれがある場合でも、正確に切断されることを可能にする。
【0014】
図1Aに示されるように、加工対象物100は、より大きな第1の形状100Aから加工を開始することができる。加工対象物100のサイズの縮小または形状の改善のために、切断アセンブリ300(図3に示す)は、平行な第1および第2の切断経路102、104に沿って切断できる。
【0015】
図1Bに示されるように、加工対象物100は、中間の第2の形状100Bとなる(図1AについてX-Y平面で時計回りに90°回転されている)。第1の切断経路102により第1の辺112が形成される。第2の切断経路104により第2の辺114が形成される。さらに、同一または類似の切断アセンブリ300により、第2の形状100Bに存在する平行な第3および第4の切断経路106、108に沿って切断できる。
【0016】
図1Cに示されるように、加工対象物100は、より小さな第3の形状100Cとなる。第3の切断経路106により第3の辺116が形成される。第4の切断経路108により第4の辺118が形成される。
【0017】
加工対象物100は、切断される前に(例えば、前述の切断経路のいずれかに沿って切断される前に)、Y軸に対する位置合わせでずれが起こっている可能性がある。図2および図3に示されるように、加工対象物100は、Y軸に対して位置決め角度202が規定されることがある。この状態で切断アセンブリ300が横断的に設置され、補正が行われない場合、切断アセンブリ300は、所望ではない(例えば、90°ではない)コーナー216(図2において示されている)を規定する所望ではない第1および第2の切断経路212、214に沿って切断することになる。
【0018】
本開示の実施形態は、加工対象物100がY軸に対する位置決め角度202を規定する場合であっても、切断アセンブリ300が、所望の(例えば、90°)コーナー218を規定する所望の第1および第2の切断経路222、224に沿って移動することを可能にする。所望の第1および第2の切断経路222、224は、それぞれ、位置決め角度202の大きさに基づいて、X軸またはY軸に対する第1および第2の切断角度222A、224Aをそれぞれ規定することができる。図に示される実施形態では、第1および第2の切断角度222A、224Aは、それぞれ、位置決め角度202と等しい大きさとすることができる。
【0019】
図3に示されるように、切断アセンブリ300は、キャリッジ302と、それに搭載された第1および第2の切断ヘッド312、314とを含むことができる。いくつかの実施態様においては、キャリッジ302は、X軸に沿ってのみ(すなわち、縦方向に)移動するように構成される一方、第1および第2の切断ヘッド312、314は、キャリッジ302に沿ってそれぞれ個別に横方向に移動することができる。キャリッジ302をX軸に沿って縦方向に移動させると同時に、第1および第2の切断ヘッド312、314をキャリッジ302に沿って横方向に(したがって、Y軸に沿って)移動させることによって、切断ヘッド312、314がそれぞれ第1および第2の切断経路222、224に沿って移動することにより、そうでなければ位置決め角度202により引き起こされ得る切断エラー(例えば、所望ではない第1および第2の切断経路212、214)を補正することができる。
【0020】
図3に示される加工対象物100は、金属、ガラス、木材、プラスチック、セラミック、または複合材料を含むパネルとすることができる。図に示されるように、加工対象物100は、X-Y平面内に長方形の形状を有する箱状の3次元形状となり得る。他の実施形態(図示せず)では、加工対象物100はどの形状(例えば、球形の形状、ピラミッド形の形状等)を有しても差し支えない。同様に、所望の第1および第2の切断経路222、224は、90°のコーナー218を規定する平行セグメントとして示されているが、所望の第1および第2の切断経路222、224は、どの所望の形状を有しても差し支えない(例えば、それぞれが、X-Y平面内に「S字」形状を規定できる)。図3に示される加工対象物100は、製造工程中のどの段階(例えば、第1の形状100A、第2の形状100B、または第3の形状100C)にあっても差し支えない。
【0021】
以下にさらに記載されるように、1つ以上のプロセッサ901を含む処理システム900は、例えば、その中に配置されたモータ(すなわち、電子アクチュエータ)に電子的命令を出すことによって、切断アセンブリ300を制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、処理システム900は、切断アセンブリ300の電子制御機能を含むことができる。処理システム900は、本出願において開示されるすべての機能が自動的に、かつ人の介入なしに実行され得るように、本明細書において開示される任意の方法または動作を実行する(例えば、作動させる)ように構成することができる。処理システム900は、図9を参照して以下でさらに説明される。
【0022】
図3に示されるように、切断アセンブリ300は、(図示されていない1つ以上のモータを介して)縦方向に(すなわち、X軸に沿って)並進するように構成された、横方向に延在しているキャリッジ302(すなわち、Y軸に沿って延在しているキャリッジ)を含むことができる。第1の切断ヘッド312および第2の切断ヘッド314を含む1つ以上の切断ヘッドを、キャリッジ302に移動可能に搭載することができる。切断ヘッド312、314は、キャリッジ302に沿って横方向にスライドするように構成することができる。キャリッジ302を縦方向に作動させ、キャリッジ302に沿って切断ヘッド312、314を横方向に作動させることによって、処理システム900は、X軸およびY軸の両方に対して傾斜した方向に(例えば、所望の第1および第2の切断経路222、224に沿って)切断ヘッド312、314を移動させる累積的な効果を生み出すことができる。加工対象物100に貫通するように、切断ヘッド312、314は、1つ以上のレーザ、1つ以上のウォータジェット、1つ以上のドリルビット、1つ以上のスクライブホイール等を含むことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、処理システム900は、加工対象物100に貫通できる(例えば、それぞれのレーザがオンである)アクティブモード(起動モードとも称される)と、加工対象物100に貫通できないパッシブモード(起動解除モードまたは安全モードとも称される)とを、それぞれの切断ヘッド312、314ごとに切り替えることができる。第2の切断ヘッド314がパッシブモードに設定されている間、第1の切断ヘッド312をアクティブモードに設定することができ、その逆も同様である。
【0024】
図8は、切断アセンブリ300を使用して加工対象物100を所望の第1および第2の切断経路222、224に沿って切断する方法を示す。前述の理由により、処理システム900は、図8の方法のすべての各機能を自動的に実行する(例えば、作動させる)ように構成することができる。ブロック802において、加工対象物100は、図3の位置にクランプまたはその他の方法で固定され、横軸(すなわち、Y軸)に対して零度以外の位置決め角度202が規定される。
【0025】
ブロック804において、処理システム900は、加工対象物100の所望の最終形状(すなわち、切断後の形状)(例えば、加工対象物100の局所座標系に関する所望の第1および第2の切断経路222、224の寸法)を受け取ることができる。図3に示される実施形態では、処理システム900は、加工対象物100の全長に渡り2つの平行な切断を実行する命令を受け取り、個々の切断は、横断的に延在する加工対象物の辺362から任意の寸法352(例えば、10mm)だけオフセットされている(辺362は図3の全体座標系においては傾斜しているが、辺362は加工対象物100の局所座標系においては横断的に延在している)。
【0026】
ブロック806において、処理システム900は、加工対象物100の寸法を取り込む(すなわち、測定する)ことができる。ブロック806は、例えば、処理システム900の1つ以上のカメラ(図示せず)を用いて加工対象物100の1つ以上の画像を撮影することを含む。ブロック808において、処理システム900は、加工対象物100の測定済み寸法に基づいて、位置決め角度202を決定することができる(例えば、撮影された画像を分析することにより)。いくつかの実施形態では、処理システム900は、特徴抽出プログラムを適用して、加工対象物100の辺でキャリッジ302と最も近接している辺(例えば、図3の加工対象物の辺364)を認識し、認識された辺と横軸(すなわち、Y軸)との間の角度を位置決め角度202として計算することができる。
【0027】
ブロック810において、処理システム900は、ブロック804で受け取った加工対象物100の所望の最終形状(例えば、加工対象物100の局所座標系における所望の切断寸法)と位置決め角度202に基づいて、所望の第1および第2の切断経路222、224を決定する(例えば、計算する、参照する等)ことができる。ブロック812において、処理システム900は、切断アセンブリ300に、図3に示す位置をとらせることができ、切断ヘッドのうちの1つ(例えば、第1の切断ヘッド312)が対応する所望の切断経路(例えば、所望の第1の切断経路222)の開始点の垂直の直上に配置される。ブロック814において、処理システム900は、前述のように、第1の切断ヘッド312をパッシブモードからアクティブモードに切り替えることができる。
【0028】
ブロック816において、処理システム900は、第1の切断ヘッド312をキャリッジ302の横軸に沿って横方向に並進させながらキャリッジ302を縦方向に並進させることによって、第1の切断ヘッド312を所望の第1の切断経路222に沿って移動させることができる。
【0029】
図4に示されるように、処理システム900は、位置決め角度202、および第1の切断ヘッド312の現在の位置とブロック812における第1の切断ヘッドの開始点での縦方向位置との間に設定される縦方向距離402の三角関数として、第1の切断ヘッド312をキャリッジ302の軸に沿って横方向に並進させることができる。したがって、処理システム900は、第1の切断ヘッド312の現在位置とブロック812における第1の切断ヘッドの開始点での横方向位置との間に設定される横方向距離404を、次の三角関数の式に基づいて、計算することができる:[横方向距離404]=[縦方向距離402]×[tan(位置決め角度202)]。言い換えると、処理システム900は、第1の切断ヘッド312を、次の三角関数の式に従った(すなわち、に基づいた)速度で横方向に作動させることができる:[キャリッジ302の横軸に沿った第1の切断ヘッド312の横方向速度]=[キャリッジ302の縦方向速度]×[tan(位置決め角度202)]。したがって、第1の切断ヘッド312の現在の横方向速度は、キャリッジ302の現在の縦方向速度と位置決め角度202の関数となり得る。
【0030】
ブロック818において、図4に示されるように、処理システム900は、第2の切断ヘッド314を、所望の第2の切断経路224の開始点の垂直の直上に配置することができる。ブロック820において、処理システム900は、第2の切断ヘッド314をパッシブモードからアクティブモードに切り替えて、加工対象物100の所望の第2の切断経路224に沿った切断を開始することができる。ブロック818と820は同時に実行することが可能である。ブロック818と820を、キャリッジ302が、図3に示す時点から図7に示す時点まで継続的移動を維持するように、ブロック816と並行して実行することができる。
【0031】
ブロック822において、処理システム900は、第2の切断ヘッド314をキャリッジ302の横軸に沿って横方向に並進させながらキャリッジ302を縦方向に並進させることによって、第2の切断ヘッド314を所望の第2の切断経路224に沿って移動させることができる。
【0032】
図5に示されるように、処理システム900は、位置決め角度202、および第2の切断ヘッド314の現在の位置とブロック818における第2の切断ヘッドの開始点での縦方向位置との間に設定される縦方向距離502の三角関数として、第2の切断ヘッド314をキャリッジ302の軸に沿って横方向に並進させることができる。したがって、処理システム900は、第2の切断ヘッド314の現在位置とブロック818における第2の切断ヘッドの開始点での横方向位置との間に設定される横方向距離504を、次の三角関数の式に基づいて、計算することができる:[横方向距離504]=[縦方向距離502]×[tan(位置決め角度202)]。言い換えると、処理システム900は、第2の切断ヘッド314を、次の三角関数の式に従った(すなわち、に基づいた)速度で横方向に作動させることができる:[キャリッジ302の横軸に沿った第2の切断ヘッド314の横方向速度]=[キャリッジ302の縦方向速度]×[tan(位置決め角度202)]。したがって、第2の切断ヘッド314の現在の横方向速度は、キャリッジ302の現在の縦方向速度と位置決め角度202の関数となり得る。
【0033】
ブロック824において、処理システム900は、第1の切断ヘッド312が所望の第1の切断経路222の終点(図6に示される)に到達したことを検出(すなわち、決定)する。よって、第1の材料片602を加工対象物100から完全に切断できる。ブロック826において、処理システム900は、この検出に基づいて、第1の切断ヘッド312をアクティブモードからパッシブモードに切り替えることができる。処理システム900は、ブロック824と826を同時に実行することができる。
【0034】
ブロック828において、処理システム900は、第2の切断ヘッド314が所望の第2の切断経路224の終点(図7に示される)に到達したことを検出(すなわち、決定)する。よって、第2の材料片604を加工対象物100から完全に切断できる。ブロック830において、処理システム900は、この検出に基づいて、第2の切断ヘッド314をアクティブモードからパッシブモードに切り替えることができる。処理システム900は、ブロック828と830を同時に実行することができる。処理システム900は、少なくともブロック812からブロック830にかけてキャリッジ302の縦方向の継続的移動を維持できる(例えば、一定の縦方向速度100cm/秒で移動する)。
【0035】
当業者であれば、位置決め角度202の大きさに応じて、第1の切断ヘッドに関係する特定のステップ(例えば、図8のステップ812)から第2の切断ヘッドに関係する同様のステップ(例えば、図8のステップ818)までの時間が最小限および/または感知できないレベルであり得ることを理解できるであろう。したがって、本開示の例示的な実施形態は、位置決め角度202の大きさにかかわらず適用可能である。
【0036】
図9に示されるように、処理システム900は、1つ以上のプロセッサ901、メモリ902、1つ以上の入出力装置903、1つ以上のセンサ904、1つ以上のユーザインターフェース905、および1つ以上のアクチュエータ906を含むことができる。処理システム900は、切断アセンブリ300の筐体内に配置された構成部品を含むことができる。処理システム900は分散されてもよい。たとえば、処理システム900のいくつかの要素を切断アセンブリ300の筐体内に配置し、処理システム900の他の要素は別の場所(例えば、リモートサーバ、モバイルデバイス等)に配置してもよい。
【0037】
プロセッサ901は、各々が1つ以上のコアを有する1つ以上の個別のプロセッサを含むことができる。個別のプロセッサは、それぞれ同じ構造または異なる構造とすることができる。プロセッサ901は、1つ以上の中央演算処理装置(CPU)、1つ以上のグラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、回路(例えば、特定用途向け集積回路(ASIC))、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)等を含むことができる。プロセッサ901は、共通の基板または異なる基板に実装されてもよい。
【0038】
プロセッサ901は、少なくとも、1つ以上の個別のプロセッサのうちの1つが、特定の機能、方法、または動作を具現化する、メモリ902に記憶されたコードを実行することが可能であるときに、その特定の機能、方法、または動作を実行するように構成される。プロセッサ901は、人の介入なしに、本明細書に開示された任意およびすべての機能、方法、および動作を実行するように構成することができる。したがって、本明細書に開示された任意の1つまたはすべての機能、方法、および動作は、自動的に実行することができる。
【0039】
例えば、本開示に、処理システム900がタスク「X」を実行する/実行可能である、と記載されている場合、そのような記載は、処理システム900がタスク「X」を実行するように構成され得ることを意味する。同様に、本開示に、タスク「X」が実行される、と記載されている場合、そのような記載は、それぞれの処理システム900がタスク「X」を実行するように構成され得ることを意味する。処理システム900は、少なくとも、プロセッサ901が機能、方法、または動作を実行するように構成されているときに、その機能、方法、または動作を行い得るように構成される。
【0040】
メモリ902は、データを記憶することが可能な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および任意の他の媒体を含むことができる。揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および任意の他のタイプのメモリのそれぞれは、複数の異なる位置に配置され、それぞれが異なる構造を有する複数の異なるメモリデバイスを含むことができる。メモリ902の例に、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EEPROM等の非一時的なコンピュータ可読媒体、DVD、Blu-Ray(登録商標)ディスク等の光ディスク記憶媒体、磁気記憶媒体、ホログラフィック記憶媒体、HDD、SSD、命令またはデータ構造の形式でプログラムコードを記憶するために使用され得る任意の種類の媒体等がある。本出願に記載される任意およびすべての方法、機能、および操作は、メモリ902に保存される具体的(tangible)および/または非一時的な機械可読コードの形式で有意に具現化され得る。
【0041】
入出力装置903は、ポート、アンテナ(すなわち、トランシーバ)、印刷導電路等のデータの送受信をするための任意の構成要素を含むことができる。入出力装置903は、USB(登録商標)、DisplayPort(登録商標)、HDMI(登録商標)、イーサネット(登録商標)等を介して有線通信が可能となる。入出力装置903は、適切なメモリ902との電子的、光学的、磁気的、およびホログラフィック的な通信を可能にすることができる。入出力装置903は、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、セルラー(例えば、LTE(登録商標)、CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、WiMAX(登録商標)、NFC(登録商標))、Gprocessing system等を介して無線通信が可能となる。入出力装置903は、有線および/または無線通信経路を含むことができる。
【0042】
センサ904は、環境中の物理的な測定値を取り込んでプロセッサ901に伝達することができる。センサ904の例としては、位置決め角度202を測定する(すなわち、決定する)ために使用されるカメラが挙げられる。ユーザインターフェース905は、ディスプレイ(例えば、LEDタッチスクリーン(例えば、OLEDタッチスクリーン)、物理的ボタン、スピーカ、マイクロフォン、キーボード等を含むことができる。アクチュエータ906は、プロセッサ901が機械力を制御することを可能にさせる。例えば、アクチュエータは、電子的に制御可能なモータ(例えば、第1および第2の切断ヘッド312、314を移動させるためのモータ、キャリッジ302を縦方向に並進させるためのモータ等)であってもよい。
【0043】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0044】
実施形態1
加工対象物を切断する方法であって、
前記加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程であって、該切断アセンブリは、切断ヘッドを支持するキャリッジを含み、該キャリッジは、縦方向に移動可能であり、該切断ヘッドは、該キャリッジに沿って横方向に移動可能である、工程と、
前記位置決め角度に基づいて前記加工対象物に沿った切断経路を決定する工程と、
前記切断ヘッドが前記縦方向および前記横方向に同時に運動するように、該切断ヘッドを前記キャリッジに沿って該横方向に移動させながら該キャリッジを該縦方向に移動させることで該切断ヘッドを該切断経路に沿って移動させる工程と、
を含む、加工対象物を切断する方法。
【0045】
実施形態2
前記加工対象物は、長方形のパネルであり、前記切断経路は、該加工対象物の少なくとも1つの副辺と平行であり、該切断経路が前記横方向および前記縦方向の両方に対して零度以外の角度を規定する、実施形態1に記載の方法。
【0046】
実施形態3
前記キャリッジは、前記切断ヘッドが前記切断経路に沿って移動している間、前記縦方向には移動するが前記横方向には移動しない、実施形態1に記載の方法。
【0047】
実施形態4
前記切断経路は、前記切断ヘッドが該切断経路に沿って移動することにより、前記加工対象物を個別の分離部分に切断するように、該加工対象物の第1の主辺から該加工対象物の反対側の第2の主辺まで延在する線セグメントである、実施形態3に記載の方法。
【0048】
実施形態5
前記加工対象物は、ガラス、セラミックまたは金属を含む長方形のパネルであり、前記切断経路は、該加工対象物の前記第1の主辺および前記第2の主辺の両方に直交する、実施形態4に記載の方法。
【0049】
実施形態6
前記切断経路は、縦軸に対する切断角度を規定し、該切断角度の大きさは、前記位置決め角度の大きさと等しい、実施形態1に記載の方法。
【0050】
実施形態7
前記位置決め角度の三角関数に基づいて前記切断経路を決定する工程を含む、実施形態1に記載の方法。
【0051】
実施形態8
前記位置決め角度を決定する前に前記加工対象物を前記縦方向に切断する工程と、
前記加工対象物を該縦方向と直交する軸を中心に90°回転させる工程と、
をさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0052】
実施形態9
加工対象物を切断する方法であって、
前記加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程であって、該切断アセンブリは、切断ヘッドを支持するキャリッジを含み、該切断アセンブリは、該加工対象物と該キャリッジが縦方向に相対運動をするように構成され、該切断ヘッドは、該キャリッジに沿って横方向に移動可能である、工程と、
前記位置決め角度に基づいて前記加工対象物に沿った切断経路を決定する工程と、
前記切断ヘッドを前記キャリッジに沿って前記横方向に移動させながら前記加工対象物と該キャリッジの前記縦方向の相対運動を起こして、該切断ヘッドを前記切断経路に沿って移動させる工程と、
を含む、加工対象物を切断する方法。
【0053】
実施形態10
前記加工対象物は、長方形のパネルであり、前記切断経路は、該加工対象物の少なくとも1つの副辺と平行であり、該切断経路は、前記横方向および前記縦方向の両方に対して零度以外の角度を規定する、実施形態9に記載の方法。
【0054】
実施形態11
加工対象物を切断する方法であって、
前記加工対象物と切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定する工程であって、該切断アセンブリは、第1の切断ヘッドおよび第2の切断ヘッドを支持するキャリッジを含み、該キャリッジは、縦方向に移動可能であり、該第1の切断ヘッドおよび該第2の切断ヘッドは、該キャリッジに沿ってそれぞれ個別に横方向に移動可能である、工程と、
前記位置決め角度に基づいて前記加工対象物に沿った第1の切断経路および第2の切断経路を決定する工程と、
前記第1の切断ヘッドが前記縦方向および前記横方向に同時に運動するように、該第1の切断ヘッドを前記キャリッジに沿って該横方向に移動させながら該キャリッジを該縦方向に移動させることにより該第1の切断ヘッドを前記第1の切断経路に沿って移動させる工程と、
前記第2の切断ヘッドが前記縦方向および前記横方向に同時に運動するように、該第2の切断ヘッドを前記キャリッジに沿って該横方向に移動させながら該キャリッジを該縦方向に移動させることにより該第2の切断ヘッドを前記第2の切断経路に沿って移動させる工程と、
を含み、
前記第1の切断ヘッドは、前記第2の切断ヘッドが前記第2の切断経路に沿う移動を開始する前に前記第1の切断経路に沿う移動を開始し、該第2の切断ヘッドは、該第1の切断ヘッドが該第1の切断経路を完了する前に該第2の切断経路に沿う移動を開始し、該第1の切断ヘッドは、該第2の切断ヘッドが該第2の切断経路を完了する前に該第1の切断経路を完了する、加工対象物を切断する方法。
【0055】
実施形態12
前記第1の切断経路の長さおよび前記第2の切断経路の長さは等しい、実施形態11に記載の方法。
【0056】
実施形態13
前記第1の切断ヘッドが前記第1の切断経路を開始するときに、該第1の切断ヘッドを起動解除モードから起動モードに切り替え、該第1の切断ヘッドが該第1の切断経路を完了するときに、該第1の切断ヘッドを該起動モードから該起動解除モードに切り替える工程と、
前記第2の切断ヘッドが前記第2の切断経路を開始するときに、該第2の切断ヘッドを起動解除モードから起動モードに切り替え、該第2の切断ヘッドが該第2の切断経路を完了するときに、該第2の切断ヘッドを該起動モードから該起動解除モードに切り替える工程と、
を含み、
前記第1の切断ヘッドおよび前記第2の切断ヘッドは、前記起動モードが設定されている間は、前記加工対象物を切断可能であるが、前記起動解除モードが設定されている間は、該加工対象物を切断不可能であり、
前記第2の切断ヘッドが前記起動モードに切り替わる前に、前記第1の切断ヘッドは前記起動モードに切り替わり、
前記第1の切断ヘッドが前記起動解除モードに戻った後、前記第2の切断ヘッドは前記起動モードの設定を維持する、実施形態11に記載の方法。
【0057】
実施形態14
加工対象物を切断するシステムにおいて、
切断ヘッドを支持するキャリッジを含む切断アセンブリであって、該キャリッジは縦方向に移動するように構成され、該切断ヘッドは該キャリッジに沿って横方向に移動するように構成される、切断アセンブリと、
1つ以上のプロセッサを含む処理システムであって、
前記加工対象物と前記切断アセンブリとの間に規定される位置決め角度を決定し、
前記位置決め角度に基づいて前記加工対象物に沿った切断経路を決定し、
前記切断ヘッドが前記縦方向および前記横方向に同時に運動するように、該切断ヘッドを前記キャリッジに沿って該横方向に移動させながら該キャリッジを該縦方向に移動させることにより該切断ヘッドを前記切断経路に沿って移動させる、
ように構成された1つ以上のプロセッサと、
を含む加工対象物を切断するシステム。
【0058】
実施形態15
前記加工対象物は、長方形のパネルであり、前記1つ以上のプロセッサは、
(i)前記切断経路が前記加工対象物の少なくとも1つの副辺と平行であり、(ii)該切断経路が該加工対象物の少なくとも1つの主辺に対して直交し、(iii)該切断経路が前記横方向および前記縦方向の両方に関して零度以外の角度を規定するように、該切断経路を決定する、実施形態14に記載のシステム。
【0059】
実施形態16
前記1つ以上のプロセッサは、
前記切断ヘッドが前記切断経路に沿って移動している間、前記キャリッジを前記縦方向には移動させるが前記横方向には移動させない、実施形態14に記載のシステム。
【0060】
実施形態17
前記処理システムは、さらに、
前記加工対象物のある辺の長さを決定し、
決定された前記長さおよび決定された前記位置決め角度に基づいて距離Dを決定し、
前記切断ヘッドを前記切断経路に沿って移動させる際に、該切断ヘッドを前記キャリッジに沿って前記距離D、前記横方向に移動させる、実施形態14に記載のシステム。
【0061】
実施形態18
前記1つ以上のプロセッサは、
前記切断経路が前記加工対象物の第1の辺から該加工対象物の反対側の第2の辺まで延在する線セグメントとなるように該切断経路を決定し、前記切断ヘッドを該切断経路に沿って移動させることにより該加工対象物を個別の分離部分に切断する、実施形態14に記載のシステム。
【0062】
実施形態19
前記1つ以上のプロセッサは、
前記切断経路が縦軸に対して切断角度を規定し、該切断角度の大きさが前記位置決め角度の大きさと等しくなるように、該切断経路を決定する、実施形態14に記載のシステム。
【0063】
実施形態20
前記1つ以上のプロセッサは、
前記位置決め角度の三角関数に基づいて前記切断経路を決定する、実施形態14に記載のシステム。
【符号の説明】
【0064】
100 加工対象物
202 位置決め角度
222 第1の切断経路
222A 第1の切断角度
224 第2の切断経路
224A 第2の切断角度
300 切断アセンブリ
302 キャリッジ
312 第1の切断ヘッド
314 第2の切断ヘッド
602 第1の材料片
604 第2の材料片
900 処理システム
901 プロセッサ
902 メモリ
903 入出力装置(I/О)
904 センサ
905 ユーザインターフェース(UI)
906 アクチュエータ
図1A-1C】
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9