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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】硝子体切除プローブ接続コンポーネント
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/007 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A61F9/007 130F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021569432
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 IB2020054985
(87)【国際公開番号】W WO2020240418
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】62/853,880
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100165995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 寿人
(72)【発明者】
【氏名】ナサニエル レイズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン アール.アンダーウッド
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-129851(JP,A)
【文献】国際公開第2011/149748(WO,A1)
【文献】特表2018-503438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝子体切除プローブであって、
硝子体切除処置を支持するための可動コンポーネントを収容するためのコンポーネントハウジングと、
前記処置中のプローブ支持のための人間工学的シェルと、
前記シェル及び前記ハウジングのそれぞれを収容し、それらの間に位置決めされる固定接続部であって、前記可動コンポーネントから前記処置中に振動が前記シェルに到達することを軽減するための固定接続部と、を含む、硝子体切除プローブ。
【請求項2】
前記固定接続部は、前記振動の前記軽減のためのエラストマー構造のものである、請求項1に記載の硝子体切除プローブ。
【請求項3】
前記人間工学的シェルは、別々の係止延在部位置において前記ハウジングに物理的に結合され、前記固定接続部は、前記振動の前記軽減のための前記延在部位置の外側の前記シェルと前記ハウジングとの間の接触を実質的に排除する、請求項1に記載の硝子体切除プローブ。
【請求項4】
前記固定接続部は、周方向に約300°超にわたって前記シェルの前縁部と物理的に接続する、請求項3に記載の硝子体切除プローブ。
【請求項5】
前記別々の位置は、周方向に約75°未満を占める、請求項3に記載の硝子体切除プローブ。
【請求項6】
前記シェルは、前記位置にあける前記シェルの係止延在部の撓みによって取り外し可能である、請求項3に記載の硝子体切除プローブ。
【請求項7】
前記撓みを容易にする前記シェルの外面における押し下げ可能なタブを更に含む、請求項6に記載の硝子体切除プローブ。
【請求項8】
人間工学的支持のための前記シェルの外面における人間工学的隆起部を更に含む、請求項1に記載の硝子体切除プローブ。
【請求項9】
第1の側において人間工学的シェルを収容するための接続コンポーネントであって、前記シェルは、眼科手術中に外科医の手における硝子体切除プローブ支持を提供し、前記コンポーネントは、前記第1の側とは反対側のその第2の側において可動部分をその内部に有するハウジングを更に収容し、前記コンポーネントは、前記可動部分を前記第2の側に有する前記ハウジングから前記第1の側の前記シェルに到達する振動を最小限に抑えるよう調整されるエラストマー性ポリマーから構成される、接続コンポーネント。
【請求項10】
前記人間工学的シェルの前記収容は、その前縁部において周方向に行われ、前記シェルは、前記接続コンポーネントを中心とする前記縁部の圧縮可能な配置を可能にする細長いスリットを有する、請求項9に記載の接続コンポーネント。
【請求項11】
前記配置を固定するよう、前記スリットにCクリップ及びIウェッジのうちの1つを更に含む、請求項10に記載の接続コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
長年にわたって、眼科手術の分野において多くの劇的な進歩が起こってきた。しかし、特定の処置に関わらず、処置の少なくとも一部には硝子体切除術が含まれることが一般的である。硝子体切除術は、患者の眼から硝子体液の一部又は全部を除去することである。濁った硝子体液の除去に限定された手術の場合、場合によっては、硝子体切除術が処置の大半を占める可能性がある。しかし、硝子体切除術は、白内障手術、網膜修復手術、黄斑ひだ形成症又は多くの他の問題に対処する手術を伴う可能性がある。
【0002】
硝子体液自体は透明なゲルであり、眼に予め配置されたカニューレを通して挿入される場合、細長いプローブによって除去されてもよい。より具体的には、プローブは、硝子体液を除去するための中央チャネルを含んでいる。更に、カニューレは、毛様体扁平部等の眼の前部のオフセットされた位置に戦略的に位置する構造的に支持となる導管を提供する。このようにして、プローブは、患者の水晶体又は角膜への損傷を回避するやり方で、眼の中に案内されるようにして挿入されてもよい。
【0003】
残念ながら、硝子体液の除去は、プローブのチャネルを通して単に真空を印加するよりも細心の注意を必要とする。これは、硝子体液がコラーゲン原線維の繊維性マトリックスを含むためである。従って、単にゲルに真空を印加するだけでは、周囲の眼の構造を危険に曝す。即ち、ゲルの繊維性質は、プローブ内へのゲルの真空引きが、網膜、視神経、又は他の繊細な眼構造の引きに変換される可能性があるようなものである。
【0004】
この問題に対処するために、硝子体切除プローブは、プローブのチャネル内に引き込まれる際に硝子体液を切断するよう構成されている。このようにして、ゲル状物質に対する連続的な繊維の引きが、繊細な眼の構造に対する引きに変換されない。代わりに、硝子体液は、極めて小さな切り刻まれたセグメントでプローブのチャネル内に引き込まれる。硝子体液のこのチッピング又は切断は、プローブのチャネル内部でのカッターの往復運動によって生じる。より具体的には、カッターは、硝子体液がチャネル内に引き込まれている際に物質を切断する方法で、硝子体液を取り入れるためのポートにおいて前後に往復運動する。硝子体液が除去される際に硝子体液によって眼が引っ張られないよう保護するために、おそらく毎分5,000~10,000回(又はそれ以上)の切断をこの方法で行ってもよい。
【0005】
無論、このようにカッターを往復運動させることは、硝子体切除中に、振動が硝子体切除プローブを通して自然に伝わることを意味する。従って、処置を手作業で行っている外科医は、狭い繊細な空間においてプローブを操作しながら、振動に関連する注意力低下の可能性に直面する。
【0006】
振動に関連する注意力低下に加えて、プローブは一般に、硝子体切除中に親指に近い外科医の人差し指の付け根にある第1指間腔(purlicue)において支持するように置かれる、延長ハンドル又はシェルを備える。これはおそらく、文字を書く間に鉛筆の延長した端部が置かれている状態に似ている。しかし、文字を書くこととは異なり、硝子体切除術の性質は、一部の外科医が処置中にシェルを用いることなくプローブを保持することを好むような、正確で繊細なものである。即ち、外科医は、長い鉛筆とは対照的に縫合ニードルを操作するのと同様、プローブをより細かく制御することを可能にするやり方で、プローブからシェルを取り外すことが知られている。先行技術のプローブは、シェルをプローブから引き離すために大きな力を必要とする、シェルとプローブとの間の緊密な干渉/摩擦嵌めを有している。先行技術のシェルの外側部分は、外側部分がプローブ外周の突出部分上を摺動するため、プローブから引き離されると外側に押し出される。誤って取り外してしまわないように、プローブの外周とシェルとの間の干渉する形状寸法により、シェルに十分な外側変形を生じさせてプローブから引き離されるよう、シェルをこじ開け、小刻みに動かし、及び/又は捩って外す必要があった。無論、眼科手術に先立って、端部を手術器具から力づくで取り外すことは問題である。器具を損傷させることなくシェルを取り外すことに慣れていると思われる外科医にとってさえ、ある程度のユーザフレンドリ性が欠如しているように見える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
硝子体切除プローブが開示されている。プローブは、硝子体切除処置を支持する可動コンポーネントを収容するためのコンポーネントハウジングを含む。人間工学的シェルは、別々の係止延在部位置においてハウジングに物理的に結合される。更に、シェルとハウジングとの間の固定接続部が設けられ、延在部位置の外側のシェルとハウジングとの間の接触を実質的に排除する。一実施形態において、係止延在部の撓みは、シェルを取り外すために利用されてもよい。別において、接続部は、処置中にハウジングからの振動を隔離するためのエラストマー構造である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、独自の接続コンポーネントを利用する硝子体切除プローブの一実施形態の斜視図である。
図2図2は、図1の硝子体切除プローブの分解斜視図であり、接続コンポーネントがプローブの関連する他のコンポーネントとどのように組み立てられるかを明らかにしている。
図3図3は、図1及び2の硝子体切除プローブが利用される硝子体切除処置中の、患者の眼の側面断面略図である。
図4A図4Aは、図1の硝子体切除プローブの側面断面図であり、内部コンポーネントを明らかにしている。
図4B図4Bは、別の視点から内部コンポーネントを明らかにするよう90°回転させた図4Aの硝子体切除プローブの上部断面図である。
図5図5は、硝子体切除プローブから取り外された、図1、2、4A、及び4Bのシェルの拡大平面図である。
図6図6は、硝子体切除処置中に硝子体切除プローブを利用する一実施形態を要約するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明において、多数の詳細を本開示の理解を提供するよう説明する。しかし、説明する実施形態は、これら特定の詳細がなくても実施されてもよいことは、当業者によって理解されるであろう。更に、具体的に説明するような実施形態によって意図されたままである多数の変形又は修正が採用されてもよい。
【0010】
実施形態を、ある特定の種類の硝子体切除プローブ外科手術を参照して説明する。特に、硝子体出血に対処するよう硝子体液を除去する処置を示している。しかし、本明細書中に詳述する器具及び技法は、様々な他の方法において採用されてもよい。例えば、本明細書中に詳述するような硝子体切除プローブの実施形態は、網膜剥離、黄斑ひだ形成症、黄斑円孔、硝子体浮遊物、糖尿病性網膜症、又は様々な他の眼の状態に対処するために利用されてもよい。いずれにせよ、硝子体切除プローブが、ハウジングとプローブのシェルとの間の接触を最小限に抑える接続コンポーネントの実施形態を組み込んでいる限り、相当の利益を実現する可能性がある。
【0011】
ここで図1を参照すると、独自の接続コンポーネント100を利用する硝子体切除プローブ101の実施形態の斜視図が示されている。このコンポーネント100は、コンポーネントハウジング150とシェル125との間に位置決めされている。シェル125がない場合、プローブ101の手持ち部分は、全長において略数インチ下回るハウジングを含んでいてもよい。従って、シェル125は、硝子体切除処置中に外科医のための人間工学的支持体の形態として提供される。
【0012】
しかし、以下に更に詳述するように、ユーザの好みの問題として、一部の外科医は、シェル125の支持なしでプローブ101を利用することを選択する。従って、図示する実施形態において、シェル125は、外科医に一体型でプローブ101を提供するのではなく、取り外し可能にしている。従って、シェル125の取り外しを望む外科医は、ユーザフレンドリなやり方で、且つ、外科医がプローブ101からシェル125を力づくで取り外そうとすることでプローブ101が潜在的な損傷を受けることのないやり方で、取り外しを行うことができる。このようにして、硝子体切除処置は、任意の他の干渉支持もなしに、外科医がただ単に第1指間腔でハウジング150を保持した状態で行われてもよい。
【0013】
無論、外科医が、第1指間腔での追加の支持のために、延長された鉛筆のようにシェル125を定位置に残すことを好むことの方がより多い可能性がある。従って、接続コンポーネント100は、手術中にハウジング150へのシェル125の固定を安定して収容すると同時に、必要に応じてシェル125のユーザフレンドリな取り外しを容易にすることも、どちらも行うように構成されている。
【0014】
手術中にシェル125を安定して収容することとは、シェル125が処置中にプローブ101全体に伝わる振動を受ける可能性があることを意味する。より具体的には、図3を更に参照すると、ニードル175は、硝子体液がポート177内に引き込まれる際にポートを横断する内部往復運動カッターを収容している。このようにして、硝子体液は、患者の眼350の繊細な部分に対する線維の引っ張りを回避するように、取り込まれるにつれて切断されてもよい。この目的のためにカッターを往復運動させることとは、ハウジング150内の可動コンポーネントにより、プローブ101全体がある程度の振動を受けることを意味する。
【0015】
図示の実施形態において、接続コンポーネント100は、シェル125に伝達される振動の程度を軽減するよう調整されてもよい。即ち、コンポーネント100は、可動コンポーネントを収容するハウジング150とシェル125との間に戦略的に位置している。従って、適切な構造及び材料選択により、ハウジング150内の可動コンポーネントからの振動の大部分は、シェル125に到達する前に、接続コンポーネント100によって減衰され得る。従って、繊細な眼科手術の間、外科医に対して潜在的に注意力を低下させる振動が回避され得る。
【0016】
引き続き図2を参照すると、図1の硝子体切除プローブ101の分解斜視図が示されている。この図において、接続コンポーネント100の独自のアーキテクチャがより明らかとなっている。具体的には、コンポーネント100は、シェル125の前縁部260と周方向に接続し、収容する形状をしている。2つの別々の位置にある係止延在部250のみが、接続コンポーネント100を越えてハウジング150の構造に達する。具体的には、図示するように、延在部250は、コンポーネントハウジング150の内部ハウジング200におけるキー付きオリフィス225により、シェル125をコンポーネントハウジング150に撓ませて固定させてもよい。
【0017】
オリフィス225における延在部250の結合は、シェル125とハウジング150、200との間の直接的な物理的相互作用をこれらの離散点に制限する。シェル125の前縁部260における他の全ての物理的接続は、接続コンポーネント100にあり、及びそれと共にある。以下で更に詳述するように、ハウジング150、200は、プローブ101の可動部分を収容する。従って、シェル125とハウジング150、200との間の接触を図示のように別々の位置に制限することは、ハウジング150、200からシェル125への振動の伝達を最小限に抑えることに役立つ。従って、眼科手術中の外科医に対する振動による注意力低下の上記の可能性もまた、最小限に抑えられ得る。実際に、これらの線に沿って、接続コンポーネント100は、振動を減衰するよう調整される従来のエラストマー性ポリマーから構成され得る。
【0018】
上で説明した接続コンポーネント100の特徴は、一実施形態において、手術中の硝子体切除プローブ101からの振動の大部分が、外科医によって所定位置に放置される場合にシェル125に到達しないようなものである。これは、プローブ101の内部コンポーネントが、上記及び以下で更に説明するように、1分間に5,000回を超える切断を支持するのに十分迅速に移動している場合でさえも当てはまる。無論、シェル125は、互いに反対側に押し下げ可能なタブ275も備える。従って、外科医は、プローブ101から完全にシェル125を取り外すために、タブ275を互いに向かってつまんで、オリフィス225から係止延在部250を撓ませることを選択し得る。このようにして、この技法を選択する外科医にとって、シェル125を介する振動による注意力低下は完全に排除され得る。
【0019】
特定の実施例として、一実施形態において、接続コンポーネント100は、シェル125の前縁部260の300°にわたって周方向に接触する。同時に、シェル125とハウジング150、200との間の直接的な接触は、オリフィス225における延在部250の別々の位置に限定され、これは約75°未満の同等物に言い換える。このようにして、接続コンポーネント100の構造及び材料構成は、外科手術中にプローブ101上に放置される場合に、振動がシェル125に到達する前に、ハウジング200、150から発出する振動の大部分を減衰させてもよい。
【0020】
ここで図3を参照すると、硝子体切除術中の患者の眼350の側面断面略図が示されている。この外科手術の間、図1及び2の硝子体切除プローブ101が利用される。具体的には、ニードル175は、予め配置されたカニューレ330を通して挿入され、硝子体液を除去するべき領域310に向けられる。具体的には、上で説明したように、吸引が適用され、ポート177は、硝子体液又は他の物質の取り込みのために用いられる。例えば、図示する処置において、血液が硝子体液と共にポート177に引き込まれるように、出血が領域310内で起こる可能性がある。
【0021】
また上で説明したように、カッターは、この繊細な処置の間、ニードル175内で往復運動する。以下で更に説明するように、これは、ダイヤフラム450が、おそらく1分間に10,000回を超えて、図2のハウジング150、200の内部構造に繰り返し衝突することを意味する(図4A及び4Bを参照されたい)。従って、繊細な眼科手術の間、顕著な量の振動がプローブ101を通って伝播する傾向がある。しかし、上で詳述する接続コンポーネント100により、この振動の大部分は、この重要な時間に外科医の手中のシェル125に到達しない可能性がある(図1及び2を参照されたい)。
【0022】
引き続き図3を参照すると、図示する手術は、強膜370においてオフセットして位置決めされるカニューレ315、330を通して眼350の中に到達する、プローブ101及び照明器具325を含む。このようにして、より繊細な角膜390及び水晶体380を回避することができる。同様に、視神経360及び網膜375も極めて繊細である。従って、ニードル175が眼350の奥にあるこれらの繊細な特徴に到達することができとすると、本明細書中に説明するような外科医に対する潜在的な注意力を低下させる振動を最小限にすることは、実質的に有益である可能性がある。
【0023】
ここで図4A及び4Bを参照すると、図1の硝子体切除プローブ101の断面図が示され、内部コンポーネントを明らかにしている。具体的には、図4Aは平面図を明らかにするものとして参照され得ることに対して、図4Bは内部コンポーネントの別の見え方を明らかにするよう、平面図から約90°回転されている。
【0024】
特に、内部ハウジング200は、チャネルを通る空気の流入によって往復運動するダイヤフラム450を収容している。これは、往復運動が行われるように、空気がダイヤフラム450の両側に交互に印加されることによって生じる。このようにして、カッターを収容する延長チューブ400は、上で説明したように硝子体液の切断のために往復運動していてもよい。
【0025】
説明したようなダイヤフラム450の往復運動は、ダイヤフラムが一方向又は他方向へのストロークを完了する度に、ダイヤフラムが内部ハウジング200の構造に連続的に衝突することを意味する。これが指摘した振動の主な理由である。しかし、上述したように、接続コンポーネント100は、外科手術中に所定位置に放置された場合であっても、これらの振動の大部分がシェル125に到達しないようなアーキテクチャ及び材料構造のものである。
【0026】
引き続き図4A及び4Bを参照すると、係止延在部250が示されている。これらの別々の位置において、内部ハウジング200とシェル125との間の接触が生じる(図4Aを参照されたい)。シェル125の残りの部分は、接続コンポーネント100によって、このハウジング200と直接接続しないようにされている(図4Bを参照されたい)。
【0027】
特に図4Bを参照すると、延在部250の1つのための押し下げ可能なタブ275が見えている。従って、図4Aを同時に参照すると、この選択肢を選択する外科医にとって、かかる延在部250をどのように内側に押し下げると、延在部250が内部ハウジング200との係合から解放される結果になるかが明らかである。
【0028】
ここで図5を参照すると、図1、2、4A、及び4Bのシェル125の拡大平面図が示されている。この図において、押し下げ可能なタブ275が、上で説明したような下にある係止延在部250と共に明らかである。更に、人間工学的な隆起部500がシェル125の表面に示されている。これらの隆起部500は、硝子体切除処置中に、外科医の手においてシェル125のある程度の静止又は不動を促進し得る。
【0029】
ここで図6を参照すると、硝子体切除処置中に硝子体切除プローブを利用する一実施形態を要約するフロー図が示されている。即ち、組み立てられた硝子体切除プローブは、610で示すように提供される。外科医は、次いで、必要に応じてユーザフレンドリな方法でシェルを取り外し得る(650を参照されたい)。代替として、外科医は、630において述べるように、プローブ上にシェルを保持し、それが手の第1指間腔において静止することを可能にし得る。いずれの場合においても、硝子体切除は、670で示すように、注意力を低下させるシェルの振動を完全に又は実質的に排除した状態で実施され得る。いずれにしても、プローブの独自の接続コンポーネントがこの利益を可能にしている。最終的に、外科医は、あまり注意力を低下させずに眼科手術を完了し、690に示すようにプローブを廃棄し得る。
【0030】
上に説明した実施形態は、外科医の視点から潜在的に注意力を低下させる振動を減衰させる接続コンポーネントを有する硝子体切除プローブを含む。もう一度、選択する外科医にとって、シェルは、外科医がプローブを力づくで取り外す必要なく、ユーザフレンドリなやり方で完全に取り外し得る。
【0031】
前述の説明は、現在の好ましい実施形態を参照して提示されている。しかし、開示されているが上で詳述されていない他の実施形態及び/又は実施形態の特徴が採用されてもよい。例えば、シェルは、2つの別々の係止延在部位置を介して内部ハウジングに固定されるものとして説明されている。しかし、他の実施形態において、2つを超えるかかる位置が提供されてもよい。代替として、他の実施形態において、シェルは、前縁部から反対側までシェル本体の長さにわたって通るスリット等の単一の位置に開口してもよく、ここでスリットは、Cクリップ、Iウェッジによってか、又は開口させるためにこじ開ける力を必要とする自然の力によっても、共に保持される。いずれにせよ、かかる実施形態のために、シェルの前縁部は、内部ハウジングとの任意の物理的接触を必要とすることなく、そこで安定的に保持するために十分な力で、接続コンポーネントに対して周方向に十分に押し潰されてもよい。更に、これらの実施形態が属する技術の当業者は、説明された構造及び動作方法における更に他の改変及び変更が、これらの実施形態の原理及び適用範囲から有意に逸脱することなく実施されてもよいことを正しく理解するであろう。加えて、前述の説明は、説明し、添付の図面に示す正確な構造にのみ属するものとして読み取るべきではなく、むしろ、それらの最大限且つ最も公平な適用範囲を有することになる以下の特許請求の範囲と一致し、それらを支持するものとして読み取るべきである。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
硝子体切除プローブであって、
硝子体切除処置を支持するための可動コンポーネントを収容するためのコンポーネントハウジングと、
前記処置中のプローブ支持のための人間工学的シェルと、
前記シェル及び前記ハウジングのそれぞれを収容し、それらの間に位置決めされる固定接続部であって、前記可動コンポーネントから前記処置中に振動が前記シェルに到達することを軽減するための接続部と、を含む、硝子体切除プローブである。
第2の態様は、
前記固定接続部は、前記振動の前記軽減のためのエラストマー構造のものである、第1の態様における硝子体切除プローブである。
第3の態様は、
前記人間工学的シェルは、別々の係止延在部位置において前記ハウジングに物理的に結合され、前記固定接続部は、前記振動の前記軽減のための前記延在部位置の外側の前記シェルと前記ハウジングとの間の接触を実質的に排除する、第1の態様における硝子体切除プローブである。
第4の態様は、
前記接続コンポーネントは、周方向に約300°超にわたって前記シェルの前縁部と物理的に接続する、第3の態様における硝子体切除プローブである。
第5の態様は、
前記別々の位置は、周方向に約75°未満を占める、第3の態様における硝子体切除プローブである。
第6の態様は、
前記シェルは、前記位置にあける前記シェルの係止延在部の撓みによって取り外し可能である、第3の態様における硝子体切除プローブである。
第7の態様は、
前記撓みを容易にする前記シェルの外面における押し下げ可能なタブを更に含む、第6の態様における硝子体切除プローブである。
第8の態様は、
人間工学的支持のための前記シェルの外面における人間工学的隆起部を更に含む、第1の態様における硝子体切除プローブである。
第9の態様は、
第1の側において人間工学的シェルを収容するための接続コンポーネントであって、前記シェルは、眼科手術中に外科医の手における硝子体切除プローブ支持を提供し、前記コンポーネントは、前記第1の側とは反対側のその第2の側において可動部分をその内部に有するハウジングを更に収容し、前記コンポーネントは、前記可動部分を前記第2の側に有する前記ハウジングから前記第1の側の前記シェルに到達する振動を最小限に抑えるよう調整されるエラストマー性ポリマーから構成される、接続コンポーネントである。
第10の態様は、
前記人間工学的シェルの前記収容は、その前縁部において周方向に行われ、前記シェルは、前記接続コンポーネントを中心とする前記縁部の圧縮可能な配置を可能にする細長いスリットを有する、第9の態様における接続コンポーネントである。
第11の態様は、
前記配置を固定するよう、前記スリットにCクリップ及びIウェッジのうちの1つを更に含む、第10の態様における接続コンポーネントである。
第12の態様は、
硝子体切除プローブを用いる方法であって、そのハウジング内に可動部分を有する前記硝子体切除プローブのカッターを往復運動させることと、前記ハウジングに結合される接続コンポーネントにより、前記可動部分からの振動を減衰させることと、
前記硝子体切除プローブにより眼科手術を行うことと、を含む、
方法である。
第13の態様は、
前記接続コンポーネントは、前記減衰のために調整されるエラストマー性ポリマーから構成される、第12の態様における方法である。
第14の態様は、
前記手術中に外科医の手において前記プローブのシェルを静止させることを更に含み、前記減衰させることは前記外科医への振動による注意力低下を最小限にする、第13の態様における方法である。
第15の態様は、
前記眼科手術を行うことの前に、前記プローブから人間工学的シェルを取り外すことを更に含み、前記眼科手術を行うことは、前記眼科手術を行う外科医の手の第1指間腔において人間工学的支持のない状態で行われる、第12の態様における方法である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6