(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/36 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
G06F11/36 192
(21)【出願番号】P 2022008833
(22)【出願日】2022-01-24
【審査請求日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2021031070
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 俊平
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】武田 広太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-33716(JP,A)
【文献】特開2018-160003(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111914238(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象のアプリケーションの画面の旧環境と新環境のスクリーンショットをファイル形式で格納する画像格納部と、
表示部に表示される設定画面上でのオペレータの操作に応じて、前記画像格納部のファイルを階層化し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的に設定する除外ポリシー設定手段と、
設定される除外ポリシーに従って、前記画像格納部の旧環境と新環境のスクリーンショットの画像の比較結果を出力する比較手段と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記比較手段は、前記画像の比較結果として、除外ポリシーによる差異と、除外ポリシー以外の差異を識別して表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記除外ポリシー設定手段は、階層化したファイルに対して除外ポリシーを一括設定可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記除外ポリシーは、画像比較をしない領域を指定した領域除外、画像の周囲を画像比較しない周囲除外、細かい色差を画像比較しない色差除外、及びキーキャレットを画像比較しないキーキャレット除外の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象のアプリケーションは、C/Sアプリケーション及びWebアプリケーションの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記スクリーンショットは、テストロボットで撮影されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
表示部に表示される設定画面上でのオペレータの操作に応じて、対象のアプリケーションの画面の旧環境と新環境のスクリーンショットをファイル形式で格納する画像格納部のファイルを階層化し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的に設定する除外ポリシー設定工程と、
設定される除外ポリシーに従って、前記画像格納部の旧環境と新環境のスクリーンショットの画像の比較結果を出力する比較工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
表示部に表示される設定画面上でのオペレータの操作に応じて、対象のアプリケーションの画面の旧環境と新環境のスクリーンショットをファイル形式で格納する画像格納部のファイルを階層化し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的に設定する除外ポリシー設定工程と、
設定される除外ポリシーに従って、前記画像格納部の旧環境と新環境のスクリーンショットの画像の比較結果を出力する比較工程と、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ロボットによって取得したテスト結果の画像をただ比較した場合、人が確認する必要のある差異とそうでない差異が出力される。これらを区別して不要な箇所を適切に除外する設定を行うのは非常に手間がかかっていた。また、C/Sアプリケーション・Webアプリケーションの固有の問題に対しても考慮する必要があり、プログラムの数が多いシステムでは比較する際の画像管理が煩雑になる。従来、画像比較を行うシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、アプリケーションの画像比較の除外ポリシーを階層的(段階的)に設定できるようにすることで、画像比較時の設定コストを低減することに関して何ら記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、アプリケーションの画像比較の除外ポリシーを階層的に設定できるようにすることで、画像比較時の設定コストを低減することが可能な情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、対象のアプリケーションの画面の旧環境と新環境のスクリーンショットをファイル形式で格納する画像格納部と、表示部に表示される設定画面上でのオペレータの操作に応じて、前記画像格納部のファイルを階層化し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的に設定する除外ポリシー設定手段と、設定される除外ポリシーに従って、前記画像格納部の旧環境と新環境のスクリーンショットの画像の比較結果を出力する比較手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記比較手段は、前記画像の比較結果として、除外ポリシーによる差異と、除外ポリシー以外の差異を識別して表示することにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記除外ポリシー設定手段は、階層化したファイルに対して除外ポリシーを一括設定可能であることにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記除外ポリシーは、画像比較をしない領域を指定した領域除外、画像の周囲を画像比較しない周囲除外、細かい色差を画像比較しない色差除外、及びキーキャレットを画像比較しないキーキャレット除外の少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記対象のアプリケーションは、C/Sアプリケーション及びWebアプリケーションの少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記スクリーンショットは、テストロボットで撮影されることにしてもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示部に表示される設定画面上でのオペレータの操作に応じて、対象のアプリケーションの画面の旧環境と新環境のスクリーンショットをファイル形式で格納する画像格納部のファイルを階層化し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的に設定する除外ポリシー設定工程と、設定される除外ポリシーに従って、前記画像格納部の旧環境と新環境のスクリーンショットの画像の比較結果を出力する比較工程と、を含むことにしてもよい。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、表示部に表示される設定画面上でのオペレータの操作に応じて、対象のアプリケーションの画面の旧環境と新環境のスクリーンショットをファイル形式で格納する画像格納部のファイルを階層化し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的に設定する除外ポリシー設定工程と、設定される除外ポリシーに従って、前記画像格納部の旧環境と新環境のスクリーンショットの画像の比較結果を出力する比較工程と、をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アプリケーションの画像比較の除外ポリシーを階層的に設定できるようにすることで、画像比較時の設定コストを低減することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図12】
図12は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図13】
図13は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【
図14】
図14は、本実施の形態に係る情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
本発明は、テストロボット・画像比較を活用した、アプリケーションのテスト漏れ及びデグレード防止の運用と仕組みに関する。より具体的には、本発明は、デザインパターン別アプリケーション群の特性を利用して、画像比較における比較アルゴリズムを段階的にポリシー適用できる仕組みを提案する。
【0018】
近時、業務アプリケーションの開発工数を削減することを目的としたツールの普及により、アプリケーションの開発スピードは劇的に短縮している。開発手法や技術、環境は進化を遂げているが、アプリケーションの品質問題は後を絶たない。手戻りによるコストを低減するために、より効率的に品質を確保していく必要がある。例えば、アプリケーションの自動テストを行う過程で画像比較することで以前との差を検知して、デグレードを検査している。
【0019】
しかしながら、テストロボットでスクリーンショットを撮る過程で、C/Sアプリケーション・Webアプリケーション固有の差をそれぞれ認識できていなかった。対象や目的によって、これらの差を除外するかどうかが異なるが、今まではすべて同一のルールで除外してしまっていた。
【0020】
本発明では、除外ポリシーを柔軟に付け替えできるようにした。より具体的には、画像単位で、異なる除外ポリシーの設定が必要になるものもあるため、結果を確認しながらポリシーの更新をできるようにした。
【0021】
アプリケーションの自動テストを行う過程で画像比較することで以前との差を検知する際に、その中で差として認識される箇所の中で人の目で判断しなくてもいいような部分を必要に応じて柔軟に除外することができるようになった。比較結果を確認しながら、除外ポリシーの調整も可能となった。
【0022】
これにより、C/Sアプリケーション・Webアプリケーション、デザインパターンなどにツリー形式でグルーピングして一括でポリシーを適用できるため、画像比較時の設定コストを大幅に削減できる。また、テスト結果に対して、人の目で判断しなければならない箇所のみに集中でき、レビュー時間を短縮することが可能となる。
【0023】
本発明の情報処理装置は、全業種で広く利用可能である。
【0024】
[2.構成]
本実施の形態に係る情報処理装置100の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報処理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
情報処理装置100は、例えば、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、情報処理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
情報処理装置100は、
図1に示すように、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。情報処理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、情報処理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、情報処理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。なお、後述する記憶部106に格納されるデータは、サーバに格納されてもよい。
【0028】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。また、ユーザが出力装置(モニタ)114の画面(GUI等)に対して入力装置112で操作することを、単に「ユーザ操作」と記載する場合がある。
【0029】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0030】
記憶部106は、画像格納フォルダ(画像格納部)106a等を備えている。
【0031】
画像格納フォルダ106aは、テストロボット102aが撮影した対象の1又は複数のアプリケーションの画面の旧環境と新環境のスクリーンショットを所定のファイル形式(例えば、png等)で格納する。また、画像格納フォルダ106aは、画像比較ツール102bにより設定される除外ポリシーの情報を格納する。
【0032】
制御部102は、情報処理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0033】
制御部102は、記憶部106に格納されている画像格納フォルダ106aにアクセス可能に構成されている。なお、画像格納フォルダ106aは、他の場所(例えば、サーバ200)に設けられていてもよく、制御部102がアクセス可能な構成であればよい。
【0034】
制御部102は、機能概念的に、テストロボット(自動操作手段)102aと、画像比較ツール(除外ポリシー設定手段、比較手段)102bと、アプリケーション102cと、を備えている。
【0035】
テストロボット102aは、アプリケーション102cに対する一連の操作を規定した定義に従って、アプリケーション102cに対する自動操作を実行し、その画面のスクリーンショットを撮影して、画像格納フォルダ106aに所定のファイル形式(例えば、png形式等)で格納する。テストロボット102aは、例えば、RPA(Robotic Process Automation)で構成することができる。
【0036】
画像比較ツール102bは、除外ポリシー設定手段として機能し、例えば、モニタ114に除外ポリシー設定画面を表示し、除外ポリシー設定画面上でのオペレータの操作に応じて、画像格納フォルダ106aのファイルを階層化(グループ化)し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的(段階的)に設定して、設定した情報を画像格納フォルダ106aに格納する。
【0037】
画像比較ツール102bは、階層化したファイルに対して除外ポリシーを一括設定可能に構成してもよい。
【0038】
除外ポリシーは、画像比較をしない領域を指定した領域除外、画像の周囲を画像比較しない周囲除外、細かい色差を画像比較しない色差除外、及びキーキャレットを画像比較しないキーキャレット除外の少なくとも1つを含むことにしてもよい。
【0039】
また、画像比較ツール102bは、比較手段として機能し、設定した除外ポリシーに従って、画像格納フォルダ106aの旧環境と新環境のスクリーンショットのファイルの画像の比較結果を出力する。この場合、画像の比較結果として、除外ポリシーによる差異と、除外ポリシー以外の差異を識別して表示することにしてもよい。
【0040】
アプリケーション102cは、例えば、C/SアプリケーションやWebアプリケーション等を含む。本発明は、これ以外のアプリケーションにも適用可能である。アプリケーションは、記憶部106に格納されているが、制御部102が実行する、記憶部106に格納されているアプリケーションを、機能概念的に制御部102のアプリケーション102cと表現している。
【0041】
[3.処理の具体例]
図1~
図14を参照して、本実施の形態における情報処理装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。
図2~
図14は、本実施の形態における情報処理装置100の制御部102の処理の具体例を説明するための図である。
【0042】
(3-1.自動テストの流れ)
図2を参照して、情報処理装置100の自動テストの流れを説明する。
図2は、情報処理装置100の自動テストの流れを説明するための図である。
図2において、テストロボット102aは、アプリケーション102cを自動操作し、随所でスクリーンショットを撮影する。
【0043】
Step.1では、テストロボット102aは、アプリケーション102cの旧環境で正解画像のスクリーンショットを撮影して、画像格納フォルダ106aに格納する。Step.2では、テストロボット102aは、アプリケーション102cの新環境で比較画像のスクリーンショットを撮影して、画像格納フォルダ106aに格納する。
【0044】
Step.3では、画像比較ツール102bが設定される除外ポリシーを適用して、旧環境の正解画像と新環境の比較画像を比較して、その差を算出してその差異画像を出力する。差異画像でその差異を人の目で確認する。Step.4(次回)では、Step.2で撮った比較画像を正解画像とし、新環境で改めて比較画像をテストロボット102aで撮影する。除外ポリシーは、必要に応じて更新する。
【0045】
以下、画像比較ツール102bの機能を段階的に説明する。画像比較ツール102bは、除外ポリシー設定手段として機能し、モニタ114に除外ポリシー設定画面を表示し、除外ポリシー設定画面上でのオペレータの操作に応じて、画像格納フォルダ106aのファイルを階層化(グループ化)し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的に設定して、設定した情報を画像格納フォルダ106aに格納する。また、画像比較ツール102bは、比較手段として機能し、設定した除外ポリシーに従って、画像格納フォルダ106aの旧環境と新環境のスクリーンショットのファイルの画像の比較結果を表示出力する。
【0046】
(3-2.画像比較ツールの出力結果の表示例)
図3を参照して、画像比較ツール102bの出力結果の表示例を説明する。
図3は、画像比較ツール102bの出力結果の表示例を説明するための図である。
図3は、部門マスタメンテ画面のスクリーンショットの例を示しており、
図3(A)は、旧環境のスクリーンショットの例を示す図、
図3(B)は、新環境のスクリーンショットの例を示す図、
図3(C)は、比較結果画像の例を示す図である。
【0047】
図3において、
図3(C)に示す比較結果画像では、差がある箇所をハイライトして表示する。ハイライトされた箇所から、以下の内容が推測できる。(1)現在日時を表示している(ロボットを実行した日時)。(2)プログラムの改修によってデータの並び替えに変更が入った。そこで、差異があった画像のみを人の目で確認し、意図しない変更が含まれていないかどうかをチェックする。
【0048】
(3-3.プログラムのデザインパターンと特徴の例)
図4を参照して、プログラムのデザインパターンと特徴の例を説明する。
図4は、プログラムのデザインパターンと特徴の例を説明するための図である。
図4(A)は、C/Sアプリケーションの画面の例、
図4(B)は、Webアプリケーションの画面の例(遷移前)、
図4(C)は、Webアプリケーションの画面の例(遷移後)の例を示している。
【0049】
図4において、対象のアプリケーションや種類によって、比較する際にあらかじめ除外が必要な領域が存在する。除外が必要な箇所は、例えば、
図4(A)に示すように、C/Sアプリケーションでは、ステータスバー(右下)の実行日時の表示箇所である。
図4(B)、(C)に示すように、Webアプリケーションでは、タイトルバー(右上)の実行日時やパターンによっては基準日の箇所である。
【0050】
(3-4.画像比較ツールにおける画像管理(グルーピング))
図5及び
図6を参照して、画像比較ツール102bにおける画像管理(グルーピング)を説明する。ここでは、除外ポリシーの設定前までのファイルのグループ化とグループ化したファイルの画像の比較結果の出力について説明する。
【0051】
図5は、テストロボット102aによって取得したスクリーンショット(画像ファイル一覧)の例を示す図である。
図5に示すような旧環境のスクリーンショット群と、新環境のスクリーンショット群が画像格納フォルダ106aに格納される。旧環境のスクリーンショット群と、新環境のスクリーンショット群は、同じファイル名で格納される。
【0052】
図5に示す例では、(C/S)部門マスタメンテ_起動時.png、(C/S)部門マスタメンテ_データ表示時.png、(C/S)部門マスタメンテ_新規行追加.png、(C/S)部門マスタメンテ_登録.png、(Web)部門マスタメンテ(一覧)_起動時.png、(Web)部門マスタメンテ(一覧)_データ表示時.png、(Web)部門マスタメンテ_遷移時.png、(Web)部門マスタメンテ_登録.pngのファイルが格納されている。
【0053】
図6は、画像比較ツール102bにおける比較結果の出力例(表示例)を示す図である。
図6において、画像比較ツール102bで比較する際は、同一のファイル名同士で行う。
図6に示すように、画像格納フォルダ106aのファイルをグルーピングして管理することができ、各比較結果を確認できる。
図6において、太字はグループ化した仮想的なフォルダのようなものであり、任意の名前を付けて管理することができる(
図11参照)。
図6に示す比較結果の出力例では、グループ化した各ファイルについて、比較結果が出力される。ファイルを選択することで、個別に比較結果の画像を確認することができる。差異部分がハイライト表示される。
【0054】
(3-5.除外ポリシーの適用)
図7~
図9を参照して、除外ポリシーの適用を説明する。
図7は、除外ポリシーを適用する箇所の例を示す図である。
図7において、(3-3.プログラムのデザインパターンと特徴の例)で説明したように、比較する際に常に除外したい領域が存在する。本実施の形態では、この問題に対して、除外ポリシーを割り当てることで解決する。
図7(A)、(B)に示すように、例えば、C/Sアプリケーションの場合に、ステータスバーの現在日時を表示している箇所範囲を指定し、この範囲内は画像比較しないルール(除外ポリシー)を設定する。
【0055】
図8及び
図9は、除外ポリシーの設定例を示す図である。
図8において、ファイルをグループ化した範囲に対して、除外ポリシーを一括で適用(設定)できる(
図11~
図13参照)。
図8に示す例では、C/Sアプリケーションのマスタメンテ、入力、帳票に対して、除外ポリシー(ステータスバーの日時)を一括で設定している。また、Webアプリケーションのマスタメンテ、入力、帳票に対して、除外ポリシー(タイトルバーの日時)を一括で設定している。
【0056】
除外ポリシーを適用し、画像の再比較を行うと、「差異あり」→「除外ポリシーによる差異」という結果に変化する。「除外ポリシーによる差異」は、差異はあるが、すべて除外ポリシーによる差異を示しており、人による確認は不要である。「差異あり」は、除外ポリシーによる差異以外の差異が存在することを示しており、人による確認が必要である。除外ポリシーを設定することで、人による確認は、「差異あり」だけで済む。
【0057】
図9において、プログラムの種類によっては、個別に除外したい内容(上記の例であれば、部門マスタメンテ(一覧)の基準日)があり、その場合は必要に応じて除外ポリシーを柔軟に設定することができる。例えば、
図9に示すように、「基準日表示ありプログラム(フォルダ)」で(Web)部門マスタメンテ(一覧)_起動時.pngと(Web)部門マスタメンテ(一覧)_データ表示時.pngを新しくグループ化し、「除外ポリシー(基準日除外)」を新しく追加することができる。この除外ポリシーに従った画像比較の結果は、
図9に示すようになり、例えば、(Web)部門マスタメンテ(一覧)_起動時.pngは、除外ポリシーによる差異(タイトルバー、基準日)となり、また、(Web)部門マスタメンテ(一覧)_データ表示時.pngは、差異ありとなっている。(Web)部門マスタメンテ(一覧)_データ表示時.pngの比較結果の画像では、除外ポリシーによる差異(タイトルバー、基準日)と、確認が必要な差異が識別表示される。
【0058】
除外ポリシーを適用したうえで、「差異あり」の箇所があった場合、プログラムにその修正が行われたかを確認し、意図している変更かどうかをチェックすることができる。テスト対象の画像が増えた際も、適切にグループ化した場所に除外ポリシーを配置し、除外ポリシーを適用することで素早く結果を確認できる。
【0059】
例えば、同一のデザインパターンのプログラムが多いERPにおいて、バージョンアップした際もこういった比較は非常に効果的であり、本来確認が必要な差異だけに集中でき、より効率的に影響範囲をチェックできる。
【0060】
また、OSやSQLServerなどの外部システムのバージョンアップに伴う変更については、通常プログラム変更を何も行っていない状態で比較するため、「差異あり」の結果の有無だけ見ればよい。
【0061】
(3-6.除外ポリシーの拡張性)
図10を参照して、除外ポリシーの拡張性を説明する。
図10は、除外ポリシーの拡張性を説明するための図である。
図10において、除外ポリシーは、上述の除外範囲指定以外にも、以下のようなものがあり、比較結果に対して無視しても問題ないものは除外ポリシー自体を作成し、追加できる。
【0062】
図10(A)は、C/Sアプリケーションのアクティブウインドウのスクリーンショットを示している。周囲の数ピクセル余計に撮影されてしまっており、意図しない領域が含まれている。この周囲の数ピクセル余計に撮影されてしまった部分を除外する除外ポリシーをC/Sアプリケーション全体に適用してもよい。
【0063】
図10(B)は、Webアプリケーションのバーのスクリーンショットを示している。画像比較ツール102bでは、左右の画像は実際には差があると判定される。人の目で判断できない些細な色の違いの差(グラデーションの色味などの色差)を除外する除外ポリシーをWebアプリケーション全体に適用してもよい。
【0064】
図10(C)は、キーボードのキャレットのスクリーンショットを示している。キャレットは点滅しているため差異が発生することがある。スクリーンショットを撮影するタイミングによって差ができてしまう箇所を除外する除外ポリシーを全体(C/Sアプリケーション、Webアプリケーション)に適用してもよい。
【0065】
(3-7.オペレーションとデータ構造)
図11~
図14を参照して、オペレーションとデータ構造を説明する。
図11~
図13において、左側は除外ポリシー設定画面の画面イメージの例、右側は、左の画面イメージに対応したデータ構造の例を示している。除外ポリシー設定画面でオペレータは、簡単かつ視覚性良く除外ポリシーを設定することができる。除外ポリシー設定画面で不図示の登録ボタンを押すと、画面の内容に応じた情報が画像格納フォルダ106aに登録される。
【0066】
図11(A)は、除外ポリシー設定画面の初期画面を示している。初期画面では、画像格納フォルダ106aから読み出されたファイルの一覧が表示される。初期状態は設定データなしとなっており、画像格納フォルダ106aのフォルダの画像がそのまま表示される。
図11に示す例では、ファイル名として、(C/S)部門マスタメンテ_起動時.png、(C/S)部門マスタメンテ_データ表示時.png、(C/S)部門マスタメンテ_新規行追加.png、(C/S)部門マスタメンテ_登録.pngが表示されている。
【0067】
何も選択していない状態で右クリックすると表示されるメニュー画面(フォルダ作成等を含むメニュー画面)からフォルダ作成を右クリックして、フォルダを作成後、名前を付ける。
図11(B)は、フォルダ作成後の画面の例を示しており、画像を選択して、フォルダにドラッグ&ドロップ(画像をフォルダーに含める操作)することで、作成したフォルダのグループを作成することができる。
図11(B)に示す例では、フォルダ「マスタメンテ」が作成され、フォルダ「マスタメンテ」に、(C/S)部門マスタメンテ_データ表示時.png、(C/S)部門マスタメンテ_新規行追加.pngが、ドラッグ&ドロップされると、
図11(C)に示すように、(C/S)部門マスタメンテ_データ表示時.png、(C/S)部門マスタメンテ_新規行追加.pngが、フォルダ「マスタメンテ」にグループ化される。グループ化したものは、階層構造(ツリー構造)で表示する。なお、図示を省略するが、アプリケーション名のフォルダ(例えば、C/Sアプリケーション)を作成して、フォルダ「マスタメンテ」をドラッグ&ドロップすると、フォルダ「マスタメンテ」をアプリケーションのグループとすることができ、さらに、上位のフォルダを作成してもよい(
図6参照)。
【0068】
図11(C)において、ファイルやフォルダを選択して右クリックすると、除外ポリシーのメニュー画面((1)周囲除外、(2)細かい色差を除外、(3)キーキャレットの除外)が表示され、このメニューから除外ポリシーを選択して、ファイルやフォルダに選択した除外ポリシーを設定することができる。領域指定を伴わない(1)周囲除外、(2)細かい色差を除外、(3)キーキャレットの除外を「汎用除外ポリシー」と称する。汎用除外ポリシーは、ファイルやフォルダを選択して、メニュー画面から簡単に設定することができる。
【0069】
図12は、除外ポリシーの領域除外を設定する場合の画面の表示例を示す図である。ファイルを選択(例えば、ダブルクリック)して当該ファイルの比較画像(比較結果の画像)を表示し、比較画像を見ながら除外領域をマウスドラッグで選択して設定することができる。同図に示す例では、(C/S)部門マスタメンテ_データ表示時.pngに除外ポリシー(領域除外)を設定した例を示している。この除外ポリシーでは、領域除外の座標データが保持される。また、フォルダを選択してフォルダのグループ内の上位(一番上)のファイルの比較画像を表示し、当該比較画像で除外領域をマウスドラッグで選択することで、フォルダに領域除外の除外ポリシーを一括して設定することができる。
【0070】
図13は、他のポリシー(ポリシー個別の設定はないもの)をファイルやフォルダに設定する場合の画面の表示例を示す図である。
図13において、ファイルやフォルダを選択して、右クリックすると、
図11(C)で示した領域除外ポリシーのメニュー画面((1)周囲除外、(2)細かい色差を除外、(3)キーキャレットの除外)が表示され、このメニューから除外ポリシーを選択して、ファイルやフォルダに選択した除外ポリシーを設定することができる。
【0071】
図13に示す例では、フォルダ「マスタメンテ」を選択して、メニュー画面で(1)周囲除外を設定し、(C/S)部門マスタメンテ_起動時.pngを選択して、メニュー画面で(3)キーキャレットの除外を設定した場合を示している。
【0072】
図14は、除外ポリシーの選択メニュー画面のメニューの追加を説明するための図である。除外ポリシーは、それぞれ対応するプログラムが存在し、新しく個別のポリシープログラムを組み込むことで、選択メニュー画面で選択可能な除外ポリシーを追加することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態によれば、対象のアプリケーションの画面の旧環境と新環境のスクリーンショットをファイル形式で格納する画像格納フォルダ106aと、
モニタ114に表示される設定画面上でのオペレータの操作に応じて、画像格納フォルダ106aのファイルを階層化し、階層化したファイルに対して画像比較の際の除外ポリシーを階層的に設定し、設定される除外ポリシーに従って、画像格納フォルダ106aの旧環境と新環境のスクリーンショットの画像の比較結果を出力する画像比較ツール102bと、を備えているので、アプリケーションの画像比較の除外ポリシーを階層的に設定できるようにすることで、画像比較時の設定コストを低減することが可能になる。
【0074】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0076】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0077】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0078】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0079】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0080】
また、情報処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0081】
例えば、情報処理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて情報処理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部106などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。
【0082】
また、このコンピュータプログラムは、情報処理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0083】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0084】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0085】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0086】
また、情報処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、情報処理装置100は、当該情報処理装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0087】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能付加に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0088】
100 情報処理装置
102 制御部
102a テストロボット
102b 画像比較ツール
102c アプリケーション
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 画像格納フォルダ
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク