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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022014081
(22)【出願日】2022-02-01
(65)【公開番号】P2023112346
(43)【公開日】2023-08-14
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袴田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】神岡 弘之
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】八子 和己
【審査官】東 芳隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-046039(JP,A)
【文献】特開2018-134338(JP,A)
【文献】特開2016-073604(JP,A)
【文献】特開2016-096841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04,7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部材を有する可動装置を備えた遊技機において、
前記可動装置は、
前記可動部材を可動させるための駆動部と、
前記駆動部の駆動により回動するギヤと、
前記可動部材の位置を移動させるアームと、
前記アームと前記ギヤとを連結する回動連結部と、
前記アームに設けられ、前記可動部材の正面側に突出する突起と、
を有し、
前記駆動部により前記ギヤが回動されると前記回動連結部の位置が移動するとともに、前記回動連結部を介して前記アームが可動することにより前記可動部材の位置が移動し、
前記回動連結部は、前記駆動部により規制位置と解除位置とに亘って移動可能に構成され、
前記回動連結部が前記規制位置にあるときに、前記可動部材に所定の可動方向への力が作用しても、前記回動連結部が移動できずに前記可動部材の位置が保持され、
前記回動連結部が前記解除位置にあるときに、前記可動部材に所定の可動方向への力が作用しても、前記回動連結部前記解除位置から前記規制位置への移動が制限され、
前記突起は、前記回動連結部が前記規制位置にあるとき、前記可動部材に覆われることなく前記可動部材から離間されている
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駆動部(モータ、ソレノイド等)により可動可能な可動部材を備え、可動部材の可動態様により遊技の興趣の向上を図る遊技機が知られている。また、例えば特許文献1、2に示されるように、可動部材には、可動部材が第1の位置から第2の位置に変位したときに、第2の位置を保持するロック機構が設けられた遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-154728号公報
【文献】特開2011-130821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような可動部材を備えた遊技機では、駆動部により可動された可動部材の位置が、経年劣化、周辺部材等の接触、ギヤの歯飛び等により本来の位置から位置ずれが生じる場合がある。このため、可動部材の位置を本来の位置に修正させたり、掃除を行ったりするために点検作業を行う必要がある。
【0005】
したがって、可動部材を備えた遊技機では、可動部材が可動した位置を安定して保持できるロック機構を設けるとともに、点検作業の際にはロック機構による可動部材の保持(ロック)が容易に解除され、点検作業がしやすくなることが望まれていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、点検作業がしやすい可動部材のロック機構を設けた遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、可動部材を有する可動装置を備えた遊技機において、前記可動装置は、前記可動部材を可動させるための駆動部と、前記駆動部の駆動により回動するギヤと、前記可動部材の位置を移動させるアームと、前記アームと前記ギヤとを連結する回動連結部と、前記アームに設けられ、前記可動部材の正面側に突出する突起と、を有し、前記駆動部により前記ギヤが回動されると前記回動連結部の位置が移動するとともに、前記回動連結部を介して前記アームが可動することにより前記可動部材の位置が移動し、前記回動連結部は、前記駆動部により規制位置と解除位置とに亘って移動可能に構成され、前記回動連結部が前記規制位置にあるときに、前記可動部材に所定の可動方向への力が作用しても、前記回動連結部が移動できずに前記可動部材の位置が保持され、前記回動連結部が前記解除位置にあるときに、前記可動部材に所定の可動方向への力が作用しても、前記回動連結部前記解除位置から前記規制位置への移動が制限され、前記突起は、前記回動連結部が前記規制位置にあるとき、前記可動部材に覆われることなく前記可動部材から離間されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロック機構により可動部材の位置を安定して保持できるとともに、点検作業の際にはロック機構による可動部材の保持が容易に解除され、点検作業がしやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】扉が開放された状態を示す遊技機の斜視図である。
図2】遊技機の正面図である。
図3】遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。
図4】演出役物装置が待機位置にある状態の遊技盤のハウジングの正面図である。
図5】演出役物装置が可動位置にある状態の遊技盤のハウジングの正面図である。
図6】回動突起部が下方限界位置にある状態の上可動装置の背面図である。
図7】回動突起部が中間位置にある状態の上可動装置の背面図である。
図8】回動突起部が上方限界位置にある状態の上可動装置の背面図である。
図9】回動連結部が下方限界位置にある状態の下可動装置の正面図である。
図10】回動連結部が中間位置にある状態の下可動装置の正面図である。
図11】回動連結部が上方限界位置にある状態の下可動装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
また、本実施形態では、発明の理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、上、下、右、左、前、後など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものではない。これらの方向を示す用語は、特に明示しない限り、遊技機100に正対した遊技者から見た場合の方向を意味している。
【0013】
図1は、本実施形態の遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
【0014】
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
【0015】
図2は、遊技機100の正面図である。この図に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。この操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤108に設けられたレール114a、114b間を上昇して遊技領域116に導かれることとなる。
【0016】
遊技領域116は、遊技盤108と透過板110との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。遊技盤108には、多数の釘や風車が設けられており、遊技領域116に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
【0017】
遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bを備えている。第1遊技領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の左側に位置し、第2遊技領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の右側に位置している。レール114a、114bが遊技領域116の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域116aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域116bに進入することとなる。
【0018】
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122が設けられており、これら一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。このとき、第1始動口120に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口122に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。
【0019】
そして、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な大役遊技または小当たり遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
【0020】
第1始動口120は、遊技領域116の下部であって、第1遊技領域116aを流下する遊技球のみが入球可能であるか、もしくは、第1遊技領域116aに進入した遊技球の方が、第2遊技領域116bに進入した遊技球よりも進入しやすい位置に配置されている。
【0021】
また、第2始動口122は、第2遊技領域116bに位置しており、第2遊技領域116bを流下する遊技球のみが入球可能であるか、もしくは、第2遊技領域116bに進入した遊技球の方が、第1遊技領域116aに進入した遊技球よりも進入しやすい位置に配置されている。この第2始動口122は、可動片122bを有する可変始動口(始動可変入賞装置)によって構成されており、第2始動口122への遊技球の進入容易性が可変するようになっている。具体的には、第2始動口122は、可動片122bが開閉可能に設けられており、この可動片122bが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の進入が不可能もしくは困難となっている。
【0022】
これに対して、第2遊技領域116bに設けられたゲート124を遊技球が通過すると、第2始動口122が開放される補助遊技の実行有無が決定され、補助遊技の実行が決定された場合に、第2始動口122が開閉制御される補助遊技が実行される。より詳細には、ゲート124を遊技球が通過したことを条件として、普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片122bが所定時間、開状態に制御される。このように、可動片122bが開状態になると、当該可動片122bが遊技球を第2始動口122に導く受け皿として機能し、第2始動口122への遊技球の入球が容易となる。
【0023】
さらに、遊技領域116の下部には、第1大入賞口126および第2大入賞口128が設けられている。第1大入賞口126および第2大入賞口128は、少なくとも第2遊技領域116bを流下する遊技球が入球可能な位置に配置されている。第1大入賞口126には、開閉扉126bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉126bが第1大入賞口126を閉鎖して、第1大入賞口126への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の小当たり遊技が実行されると、開閉扉126bが開放されて、開閉扉126bが受け皿として機能し、第1大入賞口126への遊技球の入球が可能となる。そして、第1大入賞口126に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0024】
また、第2大入賞口128には、開閉扉128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが第2大入賞口128を閉鎖して、第2大入賞口128への遊技球の入球を不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉128bが開放されて、開閉扉128bが受け皿として機能し、第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、第2大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、第1大入賞口126および第2大入賞口128をまとめて単に大入賞口とも呼ぶ。
【0025】
なお、遊技領域116の最下部には、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、第1大入賞口126、第2大入賞口128のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出する排出口130が設けられている。
【0026】
そして、遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる音声出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出ボタン208、上可動装置400と下可動装置500とからなる演出役物装置300が設けられている。
【0027】
演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなる演出表示部200aを備えている。演出表示部200aは、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置されている。この演出表示部200aには、種々の画像が表示されるが、特に、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球した場合には、演出図柄が変動表示され、これら各演出図柄の停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知されることになる。
【0028】
演出照明装置204は、演出役物装置300や遊技盤108等に設けられており、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。
【0029】
音声出力装置206は、前枠106の上部位置や外枠102の最下部位置に設けられ、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、遊技機100の正面側に向けてさまざまな音声を出力する。
【0030】
演出ボタン208は、遊技者の押下操作を受け付けるボタンで構成され、遊技機100の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板110よりも下方位置に設けられている。この演出ボタン208は、演出表示部200aに表示される画像等に合わせて有効化されるものであり、操作有効時間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、さまざまな演出が実行される。
【0031】
演出役物装置300としての上可動装置400および下可動装置500は、遊技盤108の遊技球が転動する盤面よりも背面側であって、演出表示部200aよりも前面側に設けられている。上可動装置400および下可動装置500は、演出図柄の変動表示中などに、演出表示部200aの表示領域の一部を覆うように移動して、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。上可動装置400および下可動装置500の可動態様や構造については、詳しくは後述する。
【0032】
なお、図中符号132は、遊技機100から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿であり、この上皿132が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿134に導かれることとなる。また、この下皿134の底面には、当該下皿134から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、球抜きつまみ134aを押し込ませることにより、当該球抜きつまみ134aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿134の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0033】
また、遊技盤108には、遊技領域116の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄を表示する第1特別図柄表示器160、第2特別図柄を表示する第2特別図柄表示器162、第1特別図柄の保留個数を表示する第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄の保留個数を表示する第2特別図柄保留表示器166、普通図柄を表示する普通図柄表示器168、普通図柄の保留個数を表示する普通図柄保留表示器170、発射操作を指示する右打ち報知表示器172が設けられている。これら各表示器560~572は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0034】
(制御手段の内部構成)
図3は、遊技の進行を制御する制御手段の内部構成を示すブロック図である。
【0035】
主制御基板700は遊技の基本動作を制御する。この主制御基板700は、メインCPU700a、メインROM700b、メインRAM700cを備えている。メインCPU700aは、各検出スイッチやタイマからの入力信号に基づいて、メインROM700bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、各装置や表示器を直接制御したり、あるいは演算処理の結果に応じて他の基板にコマンドを送信したりする。メインRAM700cは、メインCPU700aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0036】
遊技機100は、主に第1始動口120または第2始動口122への遊技球の入球によって開始される特別遊技と、ゲート124を遊技球が通過することによって開始される普通遊技とに大別される。そして、主制御基板700のメインROM700bには、特別遊技および普通遊技を進行するための種々のプログラムや、各種の遊技に必要なデータ、テーブルが記憶されている。
【0037】
上記主制御基板700には、一般入賞口118に遊技球が入球したことを検出する一般入賞口検出スイッチ118s、第1始動口120に遊技球が入球したことを検出する第1始動口検出スイッチ120s、第2始動口122に遊技球が入球したことを検出する第2始動口検出スイッチ122s、ゲート124を遊技球が通過したことを検出するゲート検出スイッチ124s、第1大入賞口126に遊技球が入球したことを検出する第1大入賞口検出スイッチ126s、第2大入賞口128に遊技球が入球したことを検出する第2大入賞口検出スイッチ128sが接続されており、これら各検出スイッチから主制御基板700に検出信号が入力されるようになっている。
【0038】
また、主制御基板700には、第2始動口122の可動片122bを作動する普通電動役物ソレノイド122cと、第1大入賞口126を開閉する開閉扉126bを作動する第1大入賞口ソレノイド126cと、第2大入賞口128を開閉する開閉扉128bを作動する第2大入賞口ソレノイド128cとが接続されており、主制御基板700によって、第2始動口122、第1大入賞口126、第2大入賞口128の開閉制御がなされるようになっている。
【0039】
さらに、主制御基板700には、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が接続されており、主制御基板700によって、これら各表示器の表示制御がなされるようになっている。
【0040】
また、主制御基板700には、払出制御基板710および副制御基板720が接続されている。
【0041】
払出制御基板710は、遊技球を発射させるための制御、および、賞球を払い出すための制御を行う。この払出制御基板710も、CPU、ROM、RAMを備えており、主制御基板700に対して双方向に通信可能に接続されている。
【0042】
具体的には、払出制御基板710は、主制御基板700から送信された払出個数指定コマンドに基づいて、貯留部に貯留された遊技球を賞球として遊技者に払い出すための不図示の払出モータを制御して所定の賞球を遊技者に払い出すように制御する。
【0043】
また、払出制御基板710には、発射制御回路711が双方向に通信可能に接続されている。この発射制御回路711は、操作ハンドル112に遊技者が触れたことを検出すると、操作ハンドル112の操作角度に応じて、遊技球発射装置に設けられた不図示の発射用ソレノイドを通電して遊技球を発射させる制御を行う。
【0044】
副制御基板720は、主に遊技中や待機中等の各演出を制御する。この副制御基板720は、サブCPU720a、サブROM720b、サブRAM720c、RTC720dを備えており、主制御基板700に対して、当該主制御基板700から副制御基板720への一方向に通信可能に接続されている。サブCPU720aは、主制御基板700から送信されたコマンドやタイマからの入力信号等に基づいて、サブROM720bに格納されたプログラムを読み出して演算処理を行うとともに、演出を実行制御する。このとき、サブRAM720cは、サブCPU720aの演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能する。
【0045】
具体的には、副制御基板720は、演出表示部200aに画像を表示させる画像表示制御を行う。サブROM720bには、演出表示部200aに表示される種々の画像データが多数格納されており、サブCPU720aが、画像データをサブROM720bから不図示のVRAMに読み出して、演出表示部200aの画像表示を制御する。
【0046】
また、副制御基板720は、演出照明装置204を点灯制御したり音声出力装置206から音声を出力させる音声出力制御したりするとともに、演出役物装置300を可動させる制御を行う。さらには、演出ボタン208が押下操作されたことを検出する演出ボタン検出スイッチ208sから操作検出信号が入力された際に、所定の処理を行う。
【0047】
演出役物装置300は、上述したように上可動装置400および下可動装置500で構成されており、上可動装置400は、後述する第1基台430を昇降させる昇降モータ410と、後述する第1可動部材440を可動させるための上進退モータ420とを有している。また、下可動装置500は、後述する第2可動部材540を可動させるための下進退モータ510を有している。副制御基板720が、昇降モータ410、上進退モータ420および下進退モータ510のそれぞれを駆動制御させることにより、演出役物装置300としての上可動装置400および下可動装置500のそれぞれが可動することになる。
【0048】
なお、各基板には、不図示の電源基板が接続されており、電源基板を介して商用電源から各基板に電力供給がなされている。また、電源基板にはコンデンサからなるバックアップ電源が設けられている。副制御基板720に設けられたRTC720dは、このバックアップ電源から電源供給を受けて現在時刻を計時する。
【0049】
(演出役物装置の可動態様)
次に、演出役物装置300としての上可動装置400および下可動装置500の可動態様について説明する。図4は、演出役物装置300が待機位置にある状態の遊技盤108のハウジング109の正面図であり、図5は、演出役物装置300が可動位置にある状態の遊技盤108のハウジング109の正面図である。
【0050】
ハウジング109は、前面側に多数の釘や風車等が設けられた遊技板が取り付けられ、背面側に演出表示装置200等が取り付けられるように構成されている。なお、図4および図5に示すハウジング109は、遊技板や演出表示装置200等を取り外した状態を図示している。
【0051】
図4および図5に示すように、上可動装置400は、第1の装飾が施された第1基台430と、複数のランプが配置され特定の装飾が施された第1可動部材440(図5参照)と、第1基台430を昇降させる昇降モータ410(図3参照)と、第1基台430に対して第1可動部材440を所定の進退方向(上下方向)に移動させるための上進退モータ420(図3参照)とを備えている。
【0052】
第1基台430は、第1可動部材440を支持するとともに、両端側がハウジング109の上下方向に延設された一対の螺旋状の螺旋軸450に対して上下移動可能に螺着されている。
【0053】
下可動装置500は、第2基台530と、第1可動部材440における特定の装飾と一部が共通する第2の装飾が施された第2可動部材540と、第2基台530に対して第2可動部材540を所定の進退方向(上下方向)に移動させるための下進退モータ510とを備えている。
【0054】
第2基台530は、第2可動部材540を支持するとともに、ハウジング109の下部に固着されている。
【0055】
図4に示すように、上可動装置400が待機位置にあるときには、上可動装置400はハウジング109の上部に位置している。
【0056】
上可動装置400が待機位置にあるときに、昇降モータ410を正回転方向に駆動させると、第1基台430が下方向に移動する。このとき、第1基台430に支持されている第1可動部材440もあわせて下方向に移動することになる。
【0057】
図5に示すように、第1基台430が下方向に移動した後、上進退モータ420を正回転方向に駆動させると、第1基台430に対して第1可動部材440が所定の進出方向(上方向)に移動し、上可動装置400が演出表示部200aを覆うように演出表示部200aの中央側に位置する。
【0058】
その後、上可動装置400が演出表示部200aの中央側に位置しているときに、上進退モータ420を逆回転方向に駆動させると、第1基台430に対して第1可動部材440が所定の後退方向(下方向)に移動する。さらに、昇降モータ410を逆回転方向に駆動させると、第1基台430が上方向に移動することにより、上可動装置400を待機位置に戻すことができる。
【0059】
また、図4に示すように、下可動装置500が待機位置にあるときには、下可動装置500はハウジング109の下部に位置している。
【0060】
下可動装置500が待機位置にあるときに下進退モータ510を正回転方向に駆動させると、図5に示すように、第2基台530に対して第2可動部材540が所定の進出方向(上方向)に移動し、下可動装置500が演出表示部200aを覆うように演出表示部200aの中央側に位置する。
【0061】
その後、下可動装置500が演出表示部200aの中央側に位置しているときに、下進退モータ510を逆回転方向に駆動させると、第2基台530に対して第2可動部材540が所定の後退方向(下方向)に移動することにより、下可動装置500を待機位置に戻すことができる。
【0062】
このように、上可動装置400は、昇降モータ410により上可動装置400全体を上下方向に移動させることができるとともに、上進退モータ420により上可動装置400(第1基台430)に対して第1可動部材440を所定の進退方向に移動させることができ、二段階式の可動を行うことができる。
【0063】
また、下可動装置500も、下進退モータ510により第2基台530に対して第2可動部材540を所定の進退方向に移動させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、上可動装置400と下可動装置500とを対向させてハウジング109に配置させ、上可動装置400が下可動装置500に向かう方向に移動可能であるとともに、下可動装置500も上可動装置400に向かう方向に移動可能であるから、上可動装置400と下可動装置500とを近接した位置に移動させることができる。これにより、上可動装置400と下可動装置500とを一体化させた(合体させた)ような可動演出を行うことができ、より遊技の興趣を向上させることができる。さらに、第1可動部材440と第2可動部材540との装飾の一部が共通することからも、上可動装置400と下可動装置500とを一体化させた可動演出を行うことができる。
【0065】
(上可動装置の構成)
次に、図6図8を参照して、上可動装置400の具体的な構成について説明する。図6は、回動突起部425が下方限界位置にある状態の上可動装置400の背面図であり、図7は、回動突起部425が中間位置にある状態の上可動装置400の背面図であり、図8は、回動突起部425が上方限界位置にある状態の上可動装置400の背面図である。また、図6(a)、図7(a)および図8(a)は、カバー470を取り付けた状態の背面図であり、図6(b)、図7(b)および図8(b)は、カバー470を取り外した状態の背面図である。
【0066】
また、図6図8において、第1可動部材440が演出表示部200aの中央側から上方に移動する方向を第1進出方向F1といい、第1進出方向F1と反対方向を第1後退方向R1という。本実施形態においては、第1進出方向F1は上方向に相当し、第1後退方向R1は下方向に相当するが、具体的な進行方向は限定されず、例えば、第1進出方向F1が左方向で、第1後退方向R1が右方向であってもよい。
【0067】
図6図8に示すように、上可動装置400は、第1基台430と、第1可動部材440と、上進退モータ420と、上進退モータ420の駆動により回動する複数のギヤ421~424と、第1可動部材440を支持するとともに、第1可動部材440および第1のギヤ421を可動自在に連結する上アーム460とを備えている。
【0068】
複数のギヤ421~424は、第1基台430に軸支されるとともに、第1のギヤ421、第2のギヤ422、第3のギヤ423および第4のギヤ424から構成されている。
【0069】
第1のギヤ421は、第1のギヤ421の中心から径方向に向けて離間され、上アーム460側に突出した回動突起部425が形成されている。
【0070】
また、第1のギヤ421の外周は、第2のギヤ422に噛合されている。同様に、第2のギヤ422の外周は、第1のギヤ421および第3のギヤ423に噛合され、第3のギヤ423の外周は、第2のギヤ422および第4のギヤ424に噛合されている。そして、第4のギヤ424は、外周が第3のギヤ423に噛合されるとともに、上進退モータ420の回転軸に軸着されている。これにより、上進退モータ420の回転軸が回動することにより、上進退モータ420の駆動力が複数のギヤ421~424に伝達され、第1のギヤ423、第2のギヤ422、第3のギヤ423および第4のギヤ424のそれぞれが回転することになる。
【0071】
上アーム460は、一端側が第1軸支部461により第1基台430に軸支され、他端側が第2軸支部462により第1可動部材440に軸支されている。また、上アーム460には、回動突起部425が貫入される第1長孔465と、第2軸支部462が貫入される第2長孔466とが形成されている。第1長孔465に第1のギヤ421の回動突起部425が貫入されることにより、第1のギヤ421の回動力が上アーム460に伝達され、上アーム460を可動させて、第1可動部材440を移動させることができる。
【0072】
また、第1長孔465は、上可動装置400の背面視において、回動突起部425が第1のギヤ421の軸支部421aを中心として略C字状の移動軌跡を通過可能になるように形成されている。このため、回動突起部425は、略C字状の移動軌跡として、最下端位置を通過した少し上方の限界点にある下方限界位置から、最上端位置を通過した少し下方の限界点にある上方限界位置に亘って移動可能である。
【0073】
第2長孔466は、上可動装置400の背面視において、第2軸支部462が第1進出方向F1と平行な移動軌跡を通過可能になるように形成されている。これにより、上アーム460が可動すると、第1可動部材440が第1進出方向F1または第1後退方向R1に移動することになる。
【0074】
図6(a)、図7(a)および図8(a)に示すように、カバー470は、第1基台430に取り付けられ、少なくとも複数のギヤ421~424と回動突起部425とを上可動装置400の背面側から被覆している。
【0075】
また、カバー470には、第3のギヤ423の一部の領域に対向して開口部471が形成されている。より具体的には、開口部471は、第3のギヤ423が第2のギヤ423および第4のギヤ424と噛合する噛合歯423aの一部と対向する領域のカバー470に形成されている。
【0076】
開口部471は、長手方向が幅Zからなる略矩形状に形成されている。この幅Zは、例えばピンなどの治具を挿入して幅Z分の第3のギヤ423を回動させると、回動突起部425が下方限界位置から後述するように第1可動部材440の保持が解除される最下端位置、または上方限界位置から第1可動部材440の保持が解除される最上端位置まで移動させることができる長さ(以下「解除可能距離の長さ」ともいう)に構成されている。
【0077】
なお、本実施形態においては、開口部471は、第3のギヤ423の噛合歯423aの一部と対向する領域のカバー470に形成したが、第1のギヤ421、第2のギヤ422および第4のギヤ424のいずれかのギヤの噛合歯の一部と対向する領域のカバー470に形成してもよい。さらには、第1のギヤ421、第2のギヤ422、第3のギヤ423および第4のギヤ424のいずれかのギヤの本体部と対向する領域のカバー470に形成してもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、開口部471の幅Zは、上記解除可能距離の長さに構成したが、開口部471の大きさによりカバー470の強度が落ちるなどの不具合がある場合には、開口部471の幅Zを上記解除可能距離以下の長さ(例えば、上記解除可能距離の1/2の長さ)などで構成してもよい。少なくとも第1のギヤ421、第2のギヤ422、第3のギヤ423および第4のギヤ424のいずれかのギヤに対向して開口を設けることで、上進退モータ420によるモータの駆動を伴わずに、ピンなどの治具を使い手動にて、第1可動部材440の保持の解除を行うことができる。これにより開発時や点検時に電源をつながなくても上可動装置400の構造を確認することができる。
【0079】
さらに、本実施形態においては、開口部471を略矩形状に形成したが、幅Z分の第3のギヤ423を回動させると、回動突起部425が下方限界位置から最下端位置、または上方限界位置から最上端位置まで移動させることができる長さに幅Zが構成されていれば、開口部471の形状は、楕円形状であっても、円形状であっても、菱形状であってよい。すなわち、幅Zが回動突起部425のロックを解除できる長さであれば、開口部471の形状は限定されない。
【0080】
図6は、回動突起部425が下方限界位置にある状態を図示している。仮想線S1は、軸支部421aの中心を通過する鉛直方向の仮想線である。また、仮想線L1は、回動突起部425が最下端位置にあるとき(第1可動部材440の最下端可動位置にあるとき)に、第1可動部材440の第1進出方向F1の頂点と接する水平方向の仮想線である。また、回動方向K1は、上進退モータ420が正回転方向に駆動したときの第1のギヤ421の回動方向であり、回動突起部425の回動方向でもある。第1のギヤ421が回動方向K1に回動すると、第1可動部材440が第1進出方向F1に移動し、第1のギヤ421が回動方向K1と反対方向に回動すると、第1可動部材440が第1後退方向R1に移動することになる。
【0081】
図6に示すように、回動突起部425の下方限界位置は、回動突起部425の最下端位置を通過した少し上方の限界点にあり、仮想線S1よりも、回動方向K1が仮想線S1と下方で交差するときの進行方向とは反対方向側に位置している。本実施形態においては、回動突起部425の下方限界位置は、仮想線S1よりも正面視から左側(背面視から右側)に少しずれて位置している。
【0082】
回動突起部425が下方限界位置にあるときには、外部から第1進出方向F1への力が第1可動部材440に作用しても、回動突起部425の第1進出方向F1への移動が規制(ロック)されており、第1可動部材440の位置が構造的に保持されている。
【0083】
回動突起部425が下方限界位置にあるときに、上進退モータ420の駆動により第1のギヤ421が回動方向K1に回動すると、回動突起部425が下方限界位置から最下端位置に移動する。このとき、第1可動部材440は、最初に第1後退方向R1に移動し、回動突起部425が最下端位置に到達すると(回動突起部425が仮想線S1と交差する最下端の交差点に到達すると)、第1可動部材440は最下端可動位置に到達する。
【0084】
また、回動突起部425が下方限界位置から最下端位置に到達すると、回動突起部425の第1進出方向F1への移動の規制(ロック)が解除される。
【0085】
図7に示すように、第1のギヤ421が回動方向K1に回動し、回動突起部425が最下端位置から最上端位置に移動しているときには、第1可動部材440は第1進出方向F1に移動する。
【0086】
そして、回動突起部425が最上端位置に到達すると(回動突起部425が仮想線S1と交差する最上端の交差点に到達すると)、第1可動部材440は最上端可動位置に到達する。
【0087】
回動突起部425が最下端位置から最上端位置に亘る移動軌跡上では、回動突起部425の第1進出方向F1および第1後退方向R1への移動の規制(ロック)が解除されており、外部から第1進出方向F1または第1後退方向R1への力が第1可動部材440に作用すると、第1可動部材440は第1進出方向F1または第1後退方向R1に移動可能となっている。
【0088】
図8は、回動突起部425が上方限界位置にある状態を図示している。また、仮想線H1は、回動突起部425が最上端位置にあるとき(第1可動部材440の最上端可動位置にあるとき)に、第1可動部材440の第1進出方向F1の頂点と接する水平方向の仮想線である。
【0089】
図8に示すように、回動突起部425の上方限界位置は、回動突起部425の最上端位置を通過した少し下方の限界点にあり、仮想線S1よりも、回動方向K1が仮想線S1と上方で交差するときの進行方向側に位置している。本実施形態においては、回動突起部425の上方限界位置は、仮想線S1よりも正面視から左側(背面視から右側)に少しずれて位置している。
【0090】
回動突起部425が上方限界位置にあるときには、第1可動部材440による自重や、外部から第1後退方向R1への力が第1可動部材440に作用しても、回動突起部425の第1後退方向R1への移動が規制(ロック)されており、第1可動部材440の位置が構造的に保持されていることになる。
【0091】
回動突起部425が上方限界位置にあるときに、上進退モータ420の駆動により第1のギヤ421が回動方向K1と反対方向に回動すると、回動突起部425が上方限界位置から最上端位置する。このとき、第1可動部材440は、最初に第1進出方向F1に移動し、回動突起部425が最上端位置に到達すると、第1可動部材440は最上端可動位置に到達する。
【0092】
また、回動突起部425が上方限界位置から最上端位置に到達すると、回動突起部425の第1後退方向R1の移動の規制(ロック)が解除される。
【0093】
図7に示すように、第1のギヤ421が回動方向K1と反対方向に回動し、回動突起部425が最上端位置から最下端位置に移動しているときには、第1可動部材440は第1後退方向R1に移動する。
【0094】
そして、回動突起部425が最下端位置に到達すると(回動突起部425が仮想線S1と交差する最下端の交差点に到達すると)、第1可動部材440は最下端可動位置に到達する。
【0095】
さらに、第1のギヤ421が回動方向K1と反対方向に回動し、回動突起部425が下方限界位置に到達すると、回動突起部425の第1進出方向F1への移動が規制(ロック)され、第1可動部材440の位置が再び保持されることになる。
【0096】
このように、本実施形態の上可動装置400によれば、回動突起部425が上方限界位置または下方限界位置にあるときには、回動突起部425の第1後退方向R1または第1進出方向F1への移動が規制(ロック)されており、第1可動部材440を安定して保持することができる。
【0097】
また、カバー470に形成された開口部471に、例えばピンなどの治具を挿入して第3のギヤ423を回動させると、手動により回動突起部425の規制(ロック)を容易に解除させることができ、点検作業がしやすくなる。
【0098】
また、本実施形態の上可動装置400によれば、回動突起部425による「最下端位置と下方限界位置の間の移動」と「最上端位置と上方限界位置の間の移動」は、上進退モータ420によるモータの駆動もしくは開口部471へのピンなどの治具の挿入等により、複数のギヤ421~424のいずれかのギヤか上アーム460自体に力を作用させなければ実行できない動作であり、第1可動部材440自体に外力を作用させた場合には、回動突起部425による「最下端位置と下方限界位置の間の移動」と「最上端位置と上方限界位置の間の移動」はできない構成になっている。
【0099】
一方、回動突起部425による最下端位置と最上端位置の間に亘る移動軌跡上では、回動突起部425の規制(ロック)が解除されている。このため、回動突起部425のロックが解除された後は、外部から第1進出方向F1または第1後退方向R1への力を第1可動部材440に作用させたとしても、回動突起部425が上方限界位置または下方限界位置に到達せずに回動突起部425もロックされないので、点検作業がしやすくなる。すなわち、回動突起部425のロックが解除された後は、第1可動部材440を手で掴んで手動により、第1可動部材440を最上端可動位置と最下端可動位置とに亘って移動させても、回動突起部425がロックされることはなく、点検作業がしやすくなる。
【0100】
(下可動装置の構成)
次に、図9図11を参照して、下可動装置500の具体的な構成について説明する。図9は、回動連結部525が下方限界位置にある状態の下可動装置500の正面図であり、図10は、回動連結部525が中間位置にある状態の下可動装置500の正面図であり、図11は、回動連結部525が上方限界位置にある状態の下可動装置500の正面図である。
【0101】
また、図9図11において、第2可動部材540が演出表示部200aの中央側に移動する方向を第2進出方向F2といい、第2進出方向F2と反対方向を第2後退方向R2という。本実施形態においては、第2進出方向F2は上方向に相当し、第2後退方向R2は下方向に相当するが、具体的な進行方向は限定されず、例えば、第2進出方向F2が右方向で、第2後退方向R2が左方向であってもよい。
【0102】
図9図11に示すように、下可動装置500は、第2基台530と、第2可動部材540と、下進退モータ510と、下進退モータ510の駆動により回動するアームギヤ521と、第2可動部材540を支持するとともに、第2可動部材540およびアームギヤ521を可動自在に連結する下アーム560とを備えている。
【0103】
アームギヤ521は、第2基台530に軸支されている。図示は省略するが、下進退モータ510の回転軸にはモータギヤが軸着されており、モータギヤは中間ギヤに噛合され、中間ギヤはアームギヤ521に噛合されている。これにより、下進退モータ510の回転軸が回動することにより、下進退モータ510の駆動力が複数のギヤを介して伝達され、アームギヤ521が回転することになる。
【0104】
また、アームギヤ521には、アームギヤ521の中心から径方向に向けて離間されるとともに、下アーム560側に突出し、下アーム560に連結される回動連結部525が形成されている。
【0105】
下アーム560は、下可動装置500の正面視において略C字状に形成されており、一端側が回動連結部525によりアームギヤ521に連結され、他端側がアーム軸支部562により第2可動部材540に連結されている(図11参照)。これにより、下進退モータ510の駆動力が下アーム560に伝達され、下アーム560を可動させて、第2可動部材540を移動させることができる。
【0106】
また、下アーム560は、下可動装置500の正面側に突出した突起563が形成されている。この突起563を掴むことにより、下アーム560を手動により可動させることもできる。
【0107】
回動連結部525は、アームギヤ521の軸支部521aを中心として略C字状の移動軌跡を移動可能になるように構成されている。このため、回動連結部525は、略C字状の移動軌跡として、最下端位置を通過した少し上方の限界点にある下方限界位置から、最上端位置を通過した少し下方の限界点にある上方限界位置に亘って移動可能である。
【0108】
図9は、回動連結部525が下方限界位置にある状態を図示している。仮想線S2は、軸支部521aの中心を通過する鉛直方向の仮想線である。また、仮想線L2は、回動連結部525が最下端位置にあるとき(第2可動部材540の最下端可動位置にあるとき)に、第2可動部材540の第2進出方向F2の頂点と接する水平方向の仮想線である。また、回動方向K2は、下進退モータ510が正回転方向に駆動したときのアームギヤ521の回動方向であり、回動連結部525の回動方向でもある。アームギヤ521が回動方向K2に回動すると、第2可動部材540が第2進出方向F2に移動し、アームギヤ521が回動方向K2と反対方向に回動すると、第2可動部材540が第2後退方向R2に移動することになる。
【0109】
図9に示すように、回動連結部525の下方限界位置は、回動連結部525の最下端位置を通過した少し上方の限界点にあり、仮想線S1よりも、回動方向K2が仮想線S2と下方で交差するときの進行方向とは反対方向側に位置している。本実施形態においては、回動連結部525の下方限界位置は、仮想線S2よりも正面視から右側に少しずれて位置している。
【0110】
回動連結部525が下方限界位置にあるときには、外部から第2進出方向F2への力が第2可動部材540に作用しても、回動連結部525の第2進出方向F2の移動が規制(ロック)されており、第2可動部材540の位置が構造的に保持されている。
【0111】
回動連結部525が下方限界位置にあるときに、下進退モータ510の駆動によりアームギヤ521が回動方向K2に回動すると、回動連結部525が下方限界位置から最下端位置に移動する。このとき、第2可動部材540は、最初に第2後退方向R2に移動し、回動連結部525が最下端位置に到達すると(回動連結部525が仮想線S2と交差する最下端の交差点に到達すると)、第2可動部材540は最下端可動位置に到達する。
【0112】
また、回動連結部525が下方限界位置から最下端位置に到達すると、回動連結部525の第2進出方向F2の移動の規制(ロック)が解除される。
【0113】
図10に示すように、アームギヤ521が回動方向K2に回動し、回動連結部525が最下端位置から最上端位置に移動しているときには、第2可動部材540は第2進出方向F2に移動する。
【0114】
そして、回動連結部525が最上端位置に到達すると(回動連結部525が仮想線S2と交差する最上端の交差点に到達すると)、第2可動部材540は最上端可動位置に到達する。
【0115】
回動連結部525が最下端位置から最上端位置に亘る移動軌跡上では、回動連結部525の第2進出方向F2および第2後退方向R2への移動の規制(ロック)が解除されており、外部から第2進出方向F2または第2後退方向R2への力が第2可動部材540に作用すると、第2可動部材540は第2進出方向F2または第2後退方向R2に移動可能となっている。
【0116】
図11は、回動連結部525が上方限界位置にある状態を図示している。また、仮想線H2は、回動連結部525が最上端位置にあるとき(第2可動部材540の最上端可動位置にあるとき)に、第2可動部材540の第2進出方向F2の頂点と接する水平方向の仮想線である。
【0117】
図11に示すように、回動連結部525の上方限界位置は、回動連結部525の最上端位置を通過した少し下方の限界点にあり、仮想線S2よりも、回動方向K2が仮想線S2と上方で交差するときの進行方向側に位置している。本実施形態においては、回動連結部525の上方限界位置は、仮想線S2よりも正面視から右側に少しずれて位置している。
【0118】
回動連結部525が上方限界位置にあるときには、第2可動部材540による自重や、外部から第2後退方向R2への力が第2可動部材540に作用しても、回動連結部525の第2後退方向R2への移動が規制(ロック)されており、第2可動部材540の位置が構造的に保持されていることになる。
【0119】
回動連結部525が上方限界位置にあるときに、下進退モータ510の駆動によりアームギヤ521が回動方向K2と反対方向に回動すると、回動連結部525が上方限界位置から最上端位置する。このとき、第2可動部材540は、最初に第2進出方向F2に移動し、回動連結部525が最上端位置に到達すると、第2可動部材540は最上端可動位置に到達する。
【0120】
また、回動連結部525が上方限界位置から最上端位置に到達すると、回動突起部425の第2後退方向R2の移動の規制(ロック)が解除される。
【0121】
図10に示すように、アームギヤ521が回動方向K2と反対方向に回動し、回動連結部525が最上端位置から最下端位置に移動しているときには、第2可動部材540は第2後退方向R2に移動する。
【0122】
そして、回動連結部525が最下端位置に到達すると(回動連結部525が仮想線S2と交差する最下端の交差点に到達すると)、第2可動部材540は最下端可動位置に到達する。
【0123】
さらに、アームギヤ521が回動方向K2と反対方向に回動し、回動連結部525が下方限界位置に到達すると、回動連結部525の第2進出方向F2への移動が規制(ロック)され、第2可動部材440の位置が再び保持されることになる。
【0124】
ここで、図9に示すように、第2可動部材540が最下端可動位置に到達したときであっても、回動連結部525および突起563は、第2可動部材540の下部541に覆われることなく、第2可動部材540から所定の距離が離間されている。これにより、第2可動部材540が回動連結部525および突起563に衝突し難くなり、下可動装置500の破損や故障を防止することができる。さらに、突起563は、第2可動部材540に覆われることがないので、突起563を掴みやすくなり、点検作業もしやすくなる。
【0125】
さらに、回動連結部525および突起563は、第2可動部材540が最下端可動位置を超えて意図しない位置まで押し出され、第2可動部材540の下部541に覆われるようになった場合であっても、第2可動部材540の下部541とは接触しない高さに形成されている。これにより、第2可動部材540が回動連結部525および突起563に衝突せずに、下可動装置500の破損や故障を防止することができる。
【0126】
このように、本実施形態の下可動装置500によれば、回動連結部525が上方限界位置または下方限界位置にあるときには、回動連結部525の第2進出方向F2または第2後退方向R2への移動が規制(ロック)されており、第2可動部材540を安定して保持することができる。
【0127】
また、回動連結部525および突起563は、第2可動部材540に覆われることがないので、回動連結部525または突起563を掴んでアームギヤ521を回動させると、手動により回動連結部525の規制を容易に解除させることができ、点検作業がしやすくなる。
【0128】
また、本実施形態の下可動装置500によれば、回動連結部525による「最下端位置と下方限界位置の間の移動」と「最上端位置と上方限界位置の間の移動」は、下進退モータ510によるモータの駆動、回動連結部525および突起563を掴んだ操作等により、アームギヤ521か下アーム560自体に力を作用させなければ実行できない動作であり、第2可動部材540自体に外力を作用させた場合には、回動連結部525による「最下端位置と下方限界位置の間の移動」と「最上端位置と上方限界位置の間の移動」はできない構成になっている。
【0129】
一方、回動連結部525による最下端位置と最上端位置の間に亘る移動軌跡上では、回動連結部525の規制(ロック)が解除されている。このため、回動連結部525のロックが解除された後は、外部から第2進出方向F2または第2後退方向R2への力を第2可動部材540に作用させたとしても、回動連結部525が上方限界位置または下方限界位置に到達せずに回動突起部425もロックされないので、点検作業がしやすくなる。すなわち、回動連結部525のロックが解除された後は、第2可動部材540を手で掴んで手動により、第2可動部材540を最上端可動位置と最下端可動位置とに亘って移動させても、回動突起部425がロックされることはなく、点検作業がしやすくなる。
【0130】
なお、本実施形態では、上可動装置400および下可動装置500について、パチンコ遊技機に適用した実施形態について説明したが、上可動装置400および下可動装置500をスロットマシン(回胴式遊技機)に適用してもよい。スロットマシンに適用する場合には、リールの視認性を阻害しないように、リールの上方または下方に上可動装置400および下可動装置500を設ければよい。
【0131】
なお、本実施形態における第2可動部材540が本発明の「可動部材」に相当し、本実施形態における下可動装置500が本発明の「可動装置」に相当する。
また、本実施形態における下進退モータ510が本発明の「駆動部」に相当し、本実施形態におけるアームギヤ521が本発明の「ギヤ」に相当し、本実施形態における下アーム560が本発明の「アーム」に相当し、本実施形態における回動連結部525が本発明の「回動連結部」に相当する。
また、本実施形態における回動連結部525の上方限界位置及び下方限界位置が本発明の「規制位置」に相当する。
また、本実施形態における回動連結部525の最下端位置と最上端位置の間に亘る移動軌跡上の位置が本発明の「解除位置」に相当する。
また、本実施形態における第2進出方向F2及び第2後退方向R2が本発明の「所定の可動方向」に相当する。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0133】
100 遊技機
400 上可動装置
410 昇降モータ
420 上進退モータ
421 第1のギヤ
422 第2のギヤ
423 第3のギヤ
424 第4のギヤ
425 回動突起部
430 第1基台
440 第1可動部材
460 上アーム
465 第1長孔
470 カバー
471 開口部
500 下可動装置
510 下進退モータ
521 アームギヤ
525 回動連結部
530 第2基台
540 第2可動部材
560 下アーム
563 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11