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特許7530953極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/08 20060101AFI20240801BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20240801BHJP
   B63B 79/10 20200101ALI20240801BHJP
   B63B 79/30 20200101ALI20240801BHJP
   B63B 43/20 20060101ALI20240801BHJP
   G08G 3/00 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
B63B35/08 Z
B63B49/00 Z
B63B79/10
B63B79/30
B63B43/20
G08G3/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022202851
(22)【出願日】2022-12-20
(65)【公開番号】P2024068046
(43)【公開日】2024-05-17
【審査請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】10-2022-0145975
(32)【優先日】2022-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513107735
【氏名又は名称】コリア インスティチュート オブ オーシャン サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ソンヨプ
(72)【発明者】
【氏名】オ ウンジン
(72)【発明者】
【氏名】ハ ジョンソク
(72)【発明者】
【氏名】チャン ジノ
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0316769(US,A1)
【文献】特開2021-187282(JP,A)
【文献】特開2010-269669(JP,A)
【文献】特開2013-116686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0225761(US,A1)
【文献】特開平8-175487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/08
B63B 49/00
B63B 79/10
B63B 79/30
B63B 43/20
G08G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の船首、船尾、左右舷の船側に設置され氷上環境を撮影する撮影部と、
前記撮影部によって撮影された映像に基づいて、船舶の運航情報と環境情報の統合状態をモニタリングするサーバと、を含む、極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムであって、
前記サーバは、
前記映像からイメージを分析することによって前記氷上環境を把握し、前記氷上環境の条件で、前記船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の資料から前記運航情報を取得するデータ収集部を含み、
前記データ収集部は、
前記船首及び船体の平行部と、船尾領域におけるフレームと船体内板に船体変形率を測定するための3軸ひずみゲージセンサと、
前記船体の重心部に運動特性が計測可能である角加速度センサと、を含み、
前記3軸ひずみゲージセンサと前記角加速度センサは、砕氷の際、前記船舶の船体変形率と運動特性を計測することを特徴とする、
極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【請求項2】
前記サーバは、
データフレーム化のため計測された資料を整形データ又は非整形データに分類するデータ分類部を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【請求項3】
前記サーバは、
データを分析することによって異常資料又は損失資料の探索を行うデータ分析部を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【請求項4】
前記サーバは、
資料の異常又は損失が発生する場合、計測された資料に対する時空間分析を行い、人工知能モデルによる学習を通じて、損失資料領域に対する補間を行うデータ学習部を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【請求項5】
前記サーバは、
補間された資料からデータベースを構築するデータベース部を含むことを特徴とする、
請求項1に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【請求項6】
前記サーバは、
データベースを用いて局所氷荷重、全船氷荷重又は氷性能を解釈して、前記船舶の性能を評価する性能評価部を含むことを特徴とする、
請求項に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【請求項7】
前記船体変形率を測定することによって前記局所氷荷重を計算することを特徴とする、
請求項に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【請求項8】
前記船舶の運動特性を計測することによって前記全船氷荷重を計算することを特徴とする、
請求項に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【請求項9】
撮影部によって、船舶の船首、船尾、左右舷の船側に設置されて氷上環境を撮影する第1段階と、
データ収集部によって、収集した映像からイメージを分析することによって前記氷上環境を把握し、前記氷上環境の条件で、前記船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の資料から運航情報を取得する第2段階と、
データ分類部によって、データフレーム化のため計測された資料を整形データ又は非整形データに分類する第3段階と、
データ分析部によって、異常資料又は損失資料の探索を行う第4段階と、
データ学習部によって、資料の異常又は損失が発生する場合、計測された資料に対する時空間分析を行い、人工知能モデルによる学習を通じて、損失資料領域に対する補間を行う第5段階と、
データベース部によって、補間された資料からデータベースを構築する第6段階と、
性能評価部によって、データベースを用いて局所氷荷重、全船氷荷重又は氷性能を解釈することで前記船舶の性能を評価する第7段階と、を含むことを特徴とする、
極地運航船舶の統合状態モニタリング方法。
【請求項10】
前記データ収集部は、
前記船首及び船体の平行部と、船尾領域におけるフレームと船体内板に船体変形率を測定するための3軸ひずみゲージセンサと、
前記船体の重心部に運動特性が計測可能である角加速度センサと、を含み、
前記3軸ひずみゲージセンサと前記角加速度センサは、砕氷の際、前記船舶の船体変形率と運動特性を計測することを特徴とする、
請求項に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリング方法。
【請求項11】
前記データ収集部は、
前記氷上環境の条件で、海氷の密接度を判別し、砕氷過程で、回転された氷片映像から海氷の厚さを分析した後、氷厚が30cm以上あるいは密接度が60%以上であると分析される場合、トリガ信号を送信して計測を行うことを特徴とする、
請求項1に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリング方法。
【請求項12】
前記データ収集部は、
トリガ信号が送信されると、前記船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)との連動によって、前記船舶の位置、速度、船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、推進器の角度情報を抽出することを特徴とする、
請求項1に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリング方法。
【請求項13】
前記性能評価部は、
砕氷過程で、船体に作用する船体変形率情報に基づいて影響係数法を活用して、船体の局所地域に作用する前記局所氷荷重を計算し、
砕氷の際、船舶の運動特性を計測した資料を活用して、運動を解釈することによって船舶に作用する前記全船氷荷重を算定することを特徴とする、
請求項1に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリング方法。
【請求項14】
前記性能評価部は、
前記船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の情報から取得した運航情報に基づいて、変動係数(CV)を分析することによって船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、又は推進器の角度のうち一つ以上から一定区間のデータを抽出した後、仕事エネルギー法則とニュートンの第2法則を活用して、砕氷の際、前記船舶に作用する氷抵抗を計算することを特徴とする、
請求項1に記載の極地運航船舶の統合状態モニタリング方法。
【請求項15】
請求項1~1のいずれか一項による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法によりモニタリングされる極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び方法に関し、特に、船舶が極地海域を運航する際、運航情報と環境情報を取得するため極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国立雪氷資料センター(National Snow and Ice Data Center)によれば、2018年8月15日基準、北極の海氷(Sea Ice)面積は、5.7百万平方km程であって、去る2012年よりは大きいものの、1981年から2010年までの平均海氷面積よりも1.58百万平方km減った状況であり、海氷面積が全般的に減ってきている。
【0003】
このように、北極の海氷面積の減少は、地球環境システムに少なくない影響を及ぼしているが、造船/海洋産業の側面では、夏期の北極航路の開放により、新規な氷海船舶又は極地海洋プラントの需要につながり得、新しい機会を提供している。
【0004】
特に、2017年1月より極地運航安全規定(Polar Code)が発効し、新規に建造するあらゆる船舶は、極地運航安全規定を適用されることになり、極地方を運航する船舶の安全に対する関心も高まっており、防寒技術(Winterization)も船舶の設計及び運用の観点で、非常に重要な事項とされている。
【0005】
通常、極地運航船舶(Arctic Vessel)、例えば、極地を通過して運航する大型貨物船や極地で遭難した船舶の曳航、あるいは極地探査を目的とする砕氷船(Ice Breaker)は、残酷な極地環境で運航されている。
【0006】
最近は、航路を短縮するために北極航路の開発が現実化している状況であり、だんだん北極航路を運航する大型船舶の開発及び発注が増えることが予想される。
【0007】
従来の船舶統合状態モニタリングシステムは、海上における交通官制、船舶内危険状態の認識及び制御、燃料及び貨物のモニタリング、推進機関状態の把握、リモートコントロール等に関する技術を含んでいる。
【0008】
また、従来の船舶統合状態モニタリングシステムの場合、港湾における船舶の交通官制及び火事の監視、船舶の航海情報管理、船内各設備の監視、及び制御自動化機能等を含んでいる。
【0009】
しかし、氷海域を運航する船舶の氷上環境を分析する方法と、船体に作用する氷荷重算定方法と、氷性能評価手続きに関する事項などは含まれておらず、船舶の総合的な氷性能評価及び氷海域における船舶の安全運航支援とメンテナンスには活用し難しい問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
韓国登録特許公報第10-1880815号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した従来の問題点を解決するために本発明の目的は、船舶が極地海域を運航する際、運航情報と環境情報を取得するため極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムは、船舶の船首、船尾、左右舷の船側に設置されて氷上環境を撮影する撮影部;及び前記撮影部によって撮影された映像を基礎として、船舶の統合状態をモニタリングするサーバ;を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記サーバは、前記映像からイメージを分析することによって前記氷上環境を把握し、前記氷上環境の条件で、前記船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の資料から運航情報を取得するデータ収集部;を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記データ収集部は、前記船首及び前記船体の平行部と、前記船尾領域におけるフレームと前記船体内板に船体変形率を測定するための3軸ひずみゲージセンサ;及び前記船体の重心部に運動特性が計測可能である角加速度センサ;を含み、前記3軸ひずみゲージセンサと前記角加速度センサは、砕氷の際、前記船舶の船体変形率と運動特性を計測することを特徴とする。
【0015】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記サーバは、データフレーム化のため計測された資料を整形データ又は非整形データに分類するデータ分類部;を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記サーバは、データを分析することによって異常資料又は損失資料の探索を行うデータ分析部;を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記サーバは、資料の異常又は損失が発生する場合、計測された資料に対する時空間分析を行い、人工知能モデルによる学習を通じて、損失資料領域に対する補間を行うデータ学習部;を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記サーバは、補間された資料からデータベースを構築するデータベース部;を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記サーバは、データベースを用いて局所氷荷重、全船氷荷重又は氷性能を解釈して、前記船舶の性能を評価する性能評価部;を含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記船体変形率を測定することによって前記局所氷荷重を計算することを特徴とする。
【0021】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおいて、前記船舶の運動特性を計測することによって前記全船氷荷重を計算することを特徴とする。
【0022】
一方、上記目的を達成するために、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法は、撮影部によって、船舶の船首、船尾、左右舷の船側に設置されて氷上環境を撮影する第1段階;データ収集部によって、収集した映像からイメージを分析することによって前記氷上環境を把握し、前記氷上環境の条件で、前記船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の資料から運航情報を取得する第2段階;データ分類部によって、データフレーム化のため計測された資料を整形データ又は非整形データに分類する第3段階;データ分析部によって、異常資料又は損失資料の探索を行う第4段階;データ学習部によって、資料の異常又は損失が発生する場合、計測された資料に対する時空間分析を行い、人工知能モデルによる学習を通じて、損失資料領域に対する補間を行う第5段階;データベース部によって、補間された資料からデータベースを構築する第6段階;及び性能評価部によって、データベースを用いて局所氷荷重、全船氷荷重又は氷性能を解釈することで前記船舶の性能を評価する第7段階;を含むことを特徴とする。
【0023】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法において、前記データ収集部は、前記船首及び前記船体の平行部と、前記船尾領域におけるフレームと前記船体内板に船体変形率を測定するための3軸ひずみゲージセンサ;及び前記船体の重心部に運動特性が計測可能である角加速度センサ;を含み、前記3軸ひずみゲージセンサと前記角加速度センサは、砕氷の際、前記船舶の船体変形率と運動特性を計測することを特徴とする。
【0024】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法において、前記データ収集部は、前記氷上環境の条件で、海氷の密接度を判別し、砕氷過程で、回転された氷片映像から海氷の厚さを分析した後、氷厚が30cm以上あるいは密接度が60%以上であると分析される場合、トリガ信号を送信して計測を行うことを特徴とする。
【0025】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法において、前記データ収集部は、トリガ信号が送信されると、前記船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)との連動によって、前記船舶の位置、速度、船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、推進器の角度情報を抽出することを特徴とする。
【0026】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法において、前記性能評価部は、砕氷過程で、船体に作用する船体変形率情報に基づいて影響係数法を活用して、船体の局所地域に作用する前記局所氷荷重を計算し、砕氷の際、船舶の運動特性を計測した資料を活用して、運動を解釈することによって船舶に作用する前記全船氷荷重を算定することを特徴とする。
【0027】
また、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法において、前記性能評価部は、前記船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の情報から取得した運航情報に基づいて、変動係数(CV)を分析することによって船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、又は推進器の角度のうち一つ以上から一定区間のデータを抽出した後、仕事エネルギー法則とニュートンの第2法則を活用して、砕氷の際、前記船舶に作用する氷抵抗を計算することを特徴とする。
【0028】
一方、上記目的を達成するために、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムは、極地運航船舶の統合状態モニタリング方法によりモニタリングされる。
【0029】
その他実施形態の具体的な事項は、「発明を実施するための形態」及び添付の「図面」に含まれている。
【0030】
本発明の利点及び/又は特徴、そして、それらを達成する方法は、添付の図面と共に詳細に後述されている種々の実施形態を参照すれば明確になる。
【0031】
しかしながら、本発明は、以下で開示する各実施形態の構成のみに限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具現することもできる。ただし、本明細書で開示の各々の実施形態は、本発明の開示を完全にして、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求範囲の各請求項の範疇によって定義されるだけであると理解しなければならない。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び方法によって船舶が極地海域を運航する際、運航情報と環境情報を取得することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び方法の概念を示す概念図。
図2】本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムの全体構成を示すブロック図。
図3】本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおけるサーバの構成を示すブロック図。
図4】本発明による氷性能解釈方法の全体流れを示すフローチャート。
図5】本発明による氷性能解釈方法において、局所氷荷重の計算過程を示す図面。
図6】本発明による氷性能解釈方法において、全船氷荷重の計算過程を示す図面。
図7】本発明による氷性能解釈方法において、船舶の氷抵抗推定方法を示す図面。
図8】本発明による氷性能解釈方法において、船舶の氷性能結果の推定方法を示す図面。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明を詳説する前に、本明細書で使われた用語や単語は、必ずしも通常的又は辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、本発明の発明者が、自己の発明を最も最善な方法で説明するために、各種用語の概念を適宜定義して使うことができ、さらには、これらの用語や単語は、本発明の技術思想に符合する意味と概念に解釈すべきである。
【0035】
すなわち、本明細書で使われた用語は、本発明の好ましい実施形態を説明するために使われるだけであり、本発明の内容を具体的に限定しようとする意図で使われたものではなく、これらの用語は、本発明の様々な可能性を考慮して定義された用語であると理解しなければならない。
【0036】
また、本明細書において、単数の表現は、文脈上明確に他の意味に示さない限り、複数の表現を含んでいてもよく、これと同様、複数で表現されていても、単数の意味を含むものと理解しなければならない。
【0037】
本明細書の全体にわたりある構成要素が他の構成要素を「含む」と記載する場合、特に逆の意味に記載しない限り、任意の他の構成要素を除くものではなく、任意の他の構成要素をさらに含んでいてもよいことを意味し得る。
【0038】
さらに、ある構成要素が他の構成要素の「内部に存在するか、連結して設置される」と記載した場合は、この構成要素が他の構成要素と直接に連結されているか、接触して設置されていてもよく、一定距離を空けて離隔して設置されていてもよく、一定距離を空けて離隔して設置されている場合については、該構成要素を他の構成要素に固定乃至連結するため第3の構成要素又は手段が存在し得、この第3の構成要素又は手段に関する説明は、省略し得る。
【0039】
他方、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結」されているか、あるいは「直接接続」されていると記載する場合は、第3の構成要素又は手段は存在しないと理解しなければならない。
【0040】
同様、各構成要素間の関係を説明する他の表現、つまり「~間に」と「すぐ~間に」、あるいは「~に隣り合う」と「~に直接隣り合う」等も、同様の趣旨を有するものと解釈すべきである。
【0041】
また、本明細書における「一面」、「他面」、「一側」、「他側」、「第1」、「第2」等の用語は、使われるのであれば、一構成要素に対して、この一構成要素が他の構成要素から明確に区別できるようにするために使われ、これらの用語によって、該構成要素の意味が制限的に使われるものではないと理解しなければならない。
【0042】
また、本明細書における「上」、「下」、「左」、「右」等の位置に関する用語は、使われるのであれば、該構成要素に対して、該図面における相対的な位置を示していると理解しなければならず、これら位置について絶対的な位置を特定しない限りは、これら位置に関する用語が絶対的な位置を言及するものであると理解してはならない。
【0043】
また、本明細書では、各図面の各構成要素についてその図面符号を付するにあたって、同じ構成要素に対しては、この構成要素がたとえ他の図面に示されていても、同じ図面符号を有するように、つまり全明細書にわたり同じ参照符号は、同じ構成要素を示している。
【0044】
本明細書で添付の図面において、本発明を構成する各構成要素の大きさ、位置、結合関係等は、本発明の思想を十分かつ明確に伝達できるようにするために、あるいは説明の便宜のため一部を誇張又は縮小するか、省略して記述されていてもよく、よって、その比例や縮尺は、厳密でなくてもよい。
【0045】
また、以下では、本発明を説明するにあたって、本発明の要旨を曖昧にすると判断される構成、例えば、従来技術を含む公知の技術に関する詳説は省略し得る。
【0046】
以下、本発明の実施形態について関連する図面を参照して詳説することとする。
【0047】
図1は、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び方法の概念を示す概念図であり、図2は、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムの全体構成を示すブロック図である。
【0048】
図1及び図2を参照すると、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム1000は、撮影部100とサーバ200を含む。
【0049】
撮影部100は、船舶の船首、船尾、左右舷の船側に設置されて氷上環境を撮影する。
【0050】
サーバ200は、撮影部100によって撮影された映像を基礎として、船舶の統合状態をモニタリングする。
【0051】
これについては、図3図8を参照してより詳説することとする。
【0052】
図3は、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムにおけるサーバの構成を示すブロック図である。
【0053】
図3を参照すると、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム1000において、サーバ200は、データ収集部210と、データ分類部220と、データ分析部230と、データ学習部240と、データベース部250と、性能評価部260と、を含む。
【0054】
データ収集部210は、撮影部100によって撮影された映像からイメージを分析することによって氷上環境を把握し、氷上環境の条件で、船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の資料から運航情報を取得する。
【0055】
かかるデータ収集部210は、3軸ひずみゲージセンサと角加速度センサを含む。
【0056】
3軸ひずみゲージセンサは、船舶の船首及び船体の平行部と、船尾領域におけるフレームと船体内板に取り付けられて船体変形率を測定する。
【0057】
角加速度センサは、船体の重心部に取り付けられて運動特性が計測可能である。
【0058】
よって、データ収集部210の3軸ひずみゲージセンサと角加速度センサは、砕氷の際、船舶の船体変形率と運動特性を計測する。
【0059】
データ分類部220は、データフレーム化のため計測された資料を整形データ又は非整形データに分類する。
【0060】
データ分析部230は、データを分析することによって異常資料又は損失資料の探索を行う。
【0061】
データ学習部240は、資料の異常又は損失が発生する場合、計測された資料に対する時空間分析を行い、人工知能モデルによる学習を通じて、損失資料領域に対する補間を行う。
【0062】
より詳説すれば、計測資料における異常又は損失が発生する場合、時系列クラスタリングのうち階層クラスタリング(Hierarchical Clustering)技法を適用して、デンドログラム(Dendrogram)によって計測資料の間のクラスタリング結果を視覚化し、欠測センサとデータ分布とが類似するセンサから構成された代替群によって平均代替法(Mean Imputation)を用いて欠測値を代替する。
【0063】
ここで、計測的クラスター分析を行う際、パイソンを活用して、デンドログラムによってクラスタリング結果を視覚化する。
【0064】
データベース部250は、補間された資料からデータベースを構築する。
【0065】
性能評価部260は、データベースを用いて局所氷荷重、全船氷荷重又は氷性能を解釈して、船舶の性能を評価する。
【0066】
言い替えれば、船舶が氷海域区間に進入するとき、船舶の船首、船尾、左右舷の船側に設置された撮影部100によって撮影された映像を基礎として、イメージ分析技術を活用して、氷上環境(例えば、氷厚、密接度等)を把握し、これら氷上環境の条件で、データ収集部210は、船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の資料から運航情報を取得又は計測する。
【0067】
ここで、撮影部100は、例えば、ネットワークカメラ等を含むことができる。
【0068】
また、イメージ分析技術を活用して抽出される船舶周辺の氷上環境としては、氷厚(Ice Thickness)、氷の密接度(Ice Concentration)等を含むことができる。
【0069】
また、取得又は計測される船舶運航情報は、船舶の位置、速度、船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、推進器の角度情報等を含むことができる。
【0070】
その後、取得又は計測された資料のデータフレーム化のため、データ分類部220は、取得又は計測された資料を整形データ又は非整形データに分類する。
【0071】
データ分析部230は、分類されたデータに対する分析を行い、データ学習部240は、上記分析によって資料の異常又は損失が発生する場合、計測された資料に対する時空間分析を行い、人工知能モデルによる学習を通じて、損失資料領域に対する補間を行う。
【0072】
補間が行われたデータは、データベース部250を介してデータベースとして構築される。
【0073】
このように構築されたデータベースを活用して性能評価部260は、局所氷荷重、全船氷荷重、氷性能を解釈することによってより正確な船舶の性能評価を行い、氷上環境と運航環境による性能評価の結果に基づいて、船級規定に提供する設計氷荷重計算式の有効性を検討し、構造設計のため実測資料を確保し、氷海域を運航する際、船舶の安全性及びメンテナンス機能を向上させることができる。
【0074】
一方、極地海域を運航する船舶の極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム1000を構築するために、船首及び船体の平行部と、船尾領域におけるフレームと船体内板に船体変形率を測定するための3軸ひずみゲージセンサを付着し、船体の重心部に運動特性が計測可能である角加速度センサを設置して、砕氷の際、船舶の運動特性を計測する。
【0075】
また、船体変形率及び角加速度データ取得システムを船内通信網と結合して、船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)における情報の抽出が可能であるようにインターフェースを構成し、計測資料は、ASCII形態に貯蔵する。
【0076】
船舶の船首、船尾、左右舷の船側に4K級ネットワークカメラシステムを設置して、船舶を運航する際、周辺の氷上環境に対する映像情報を取得し、イメージ分析に用いる映像は、FHD画質にスケールダウンしてバックアップさせる。
【0077】
また、計測資料と映像資料は、UTCを基準に同期化して、計測フォルダに貯蔵可能であるようにデータプラットフォームを構築する。
【0078】
一方、性能評価部260は、船体変形率を測定することによって局所氷荷重を計算する。
【0079】
また、性能評価部260は、船舶の運動特性を計測することによって全船氷荷重を計算する。
【0080】
これについは、追ってより詳細に後述することとする。
【0081】
一方、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリングシステムは、極地運航船舶の統合状態モニタリング方法によりモニタリングされる。
【0082】
図4は、本発明による氷性能解釈方法の全体流れを示すフローチャートである。
【0083】
図4を参照すると、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法は、7つの段階を含む。
【0084】
特に、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法は、氷性能解釈技法にその特徴がある。
【0085】
第1段階(S100)では、撮影部100によって、船舶の船首、船尾、左右舷の船側に設置されて氷上環境を撮影する。
【0086】
第2段階(S200)では、データ収集部210によって、収集した映像からイメージを分析することにによって前記氷上環境を把握し、氷上環境の条件で、船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の資料から運航情報を取得する。
【0087】
第3段階(S300)では、データ分類部220によって、データフレーム化のため計測された資料を整形データ又は非整形データに分類する。
【0088】
第4段階(S400)では、データ分析部230によって、異常資料又は損失資料の探索を行う。
【0089】
第5段階(S500)では、データ学習部240によって、資料の異常又は損失が発生する場合、計測された資料に対する時空間分析を行い、人工知能モデルによる学習を通じて、損失資料領域に対する補間を行う。
【0090】
第6段階(S600)では、データベース部250によって、補間された資料でデータベースを構築する。
【0091】
第7段階(S700)では、性能評価部260によって、データベースを用いて局所氷荷重、全船氷荷重又は氷性能を解釈することで船舶の性能を評価する。
【0092】
上述と同様、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法において、データ収集部210は、船首及び船体の平行部と、船尾領域におけるフレームと船体内板に船体変形率を測定するための3軸ひずみゲージセンサが付着し、船体の重心部に運動特性が計測可能である角加速度センサが付着する。
【0093】
これら3軸ひずみゲージセンサと角加速度センサは、砕氷の際、船体変形率と船舶の運動特性を計測する。
【0094】
特に、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法において、データ収集部210は、氷上環境の条件で、海氷の密接度を判別し、砕氷過程で、回転された氷片映像から海氷の厚さを分析した後、氷厚が30cm以上あるいは密接度が60%以上であると分析される場合、トリガ信号を送信して計測を行う。
【0095】
また、データ収集部210は、トリガ信号が送信されると、船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)との連動によって船舶の位置、速度、船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、推進器の角度情報を抽出する。
【0096】
一方、本発明による極地運航船舶の統合状態モニタリング方法において、性能評価部260は、砕氷過程で、船体に作用する船体変形率情報に基づいて影響係数法を活用して、船体の局所地域に作用する局所氷荷重を計算し、砕氷の際、船舶の運動特性を計測した資料を活用して、運動を解釈することにによって船舶に作用する全船氷荷重を算定する。
【0097】
また、性能評価部260は、船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)の情報から取得した運航情報に基づいて、変動係数(CV)を分析することによって船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、又は推進器の角度のうち一つ以上から一定区間のデータを抽出した後、仕事エネルギー法則とニュートンの第2法則を活用して、砕氷の際、前記船舶に作用する氷抵抗を計算する。
【0098】
言い換えれば、船舶の船橋、船首、船尾、左右舷の船側に設置されたネットワークカメラによって獲得した映像資料に基づいてイメージ分析技術を活用して、二進化過程によって海氷の密接度を判別し、砕氷過程で、回転された氷片映像から海氷の厚さを分析した後、氷厚が30cm以上あるいは密接度が60%以上であると分析されると、トリガ信号を計測システムに送信して計測を開始する。
【0099】
ここで、計測システムは、3軸ひずみゲージセンサと角加速度センサ等を含むデータ収集部210であってもよい。
【0100】
特に、海氷の密接度と厚さは、計測システムが終了する瞬間まで撮影された映像資料を活用し、計測時間の間に抽出された資料を活用して、度数分布表を作成し、これから平均氷厚と密接度を算定する。
【0101】
ここで、トリガ信号が計測システムに送信されると、船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)との連動によって船舶の位置、速度、船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、推進器の角度情報等を抽出し、これは先に計算された氷上情報との資料同期化によって単一ファイル形態に貯蔵される。
【0102】
単一ファイル形態に貯蔵された後、映像資料は、非整形データに区分して、別途動画フォルダに貯蔵され、氷上情報と運航情報は、整形データに分類して、データベース部250におけるデータベースとして構築される。
【0103】
データベース部250にデータベースが構築されると、データ分析過程によって、計測資料の異常及び資料の損失有無を判断し、資料の損失が発生する場合、計測された資料に対する時空間分析を行い、人工知能モデルによる学習を通じて、損失資料領域に対する補間作業を行って、データベースを再び構築する。
【0104】
その後、データベースが完成されると、ビックデータ技術を活用して、計測資料に対する資料の視覚化及び資料索引機能を活性化し、関心領域の資料を抽出して性能解釈を行う。
【0105】
性能解釈過程では、砕氷過程で、船体に作用する船体変形率情報に基づいて影響係数法を活用して、船体の局所地域に作用する氷荷重を計算し、砕氷の際、船舶の運動特性を計測した資料を活用して、運動を解釈することにによって船舶に作用する全船氷荷重を算定する。
【0106】
また、船舶の航海記録貯蔵装置(VDR)及びアラームモニタリングシステム(AMS)から取得した運航情報に基づいて、変動係数(CV)を分析することによって船首方向角、吃水の条件、エンジンの出力、プロペラ回転数、推進器の角度等が一定した区間のデータを抽出した後、これに基づいて、仕事エネルギー法則とニュートンの第2法則を活用して、砕氷の際、船舶に作用する氷抵抗を計算する。
【0107】
図5は、本発明による氷性能解釈方法において、局所氷荷重の計算過程を示す図面である。
【0108】
図5を参照すると、船体変形率を測定することによる局所氷荷重(Local Ice Load)の計算方法は、次のとおりである。
【0109】
構造部材、つまり船体の変形が弾性であると仮定すると、氷海域における砕氷船舶が氷を割って運航する間に計測された変形率(Hull Strain:ε)データを、船体に発生する応力(Hull Stress:σ)に変換することができる。
【0110】
このように計算された船体応力を、影響係数法を用いて船体に作用する局所氷圧力(Local Ice Pressure:P)に換算することができ、影響係数行列(Influence Matrix:C)は、有限要素法を用いた構造解釈過程で獲得される。
【0111】
よって、外板に付着したゲージ変形率データから影響係数法を用いて、各ゲージの付着した領域に作用する等価応力によって船首部外板に作用した局所氷荷重を算定する。
【0112】
参考までに、3軸ロゼットゲージの場合、ひずみゲージから獲得した三方向の変形度
【数1】
(船体前後方向のx軸、船体深さ方向のy軸、45゜方向のz軸)を用いて、主変形度
【数2】
を計算することになり、平面応力状態を仮定すると、これを主応力とvon Mises等価応力に変換することができる。
【0113】
ここで、
【数3】
であり、
【数4】
である。
【0114】
【数5】
であり、
【数6】
であり、
【数7】
である。
【0115】
図6は、本発明による氷性能解釈方法において、全船氷荷重の計算過程を示す図面である。
【0116】
図6を参照すると、船舶の運動特性を計測することによる全船氷荷重(Global Ice Load)の計算方法は、次のとおりである。
【0117】
角加速度センサを用いて砕氷過程で、x、y、z方向に対する船舶の加速度(Surge、Sway、Heave)と角速度(Pitch、Roll、Yaw)成分に対する計測を行い、この情報に基づいて、船舶の6自由度に関する運動方程式を計算して、船舶に作用するx、y、z方向に対する力とモーメントを計算する。
【0118】
これに基づいて、船舶中心(Ship’s Origin)又は衝突(Point Of Impact)観点で、船舶に作用する全船氷荷重を算定する。
【0119】
参考までに、船舶中心(Ship’s Origin)観点で、船舶の6自由度の運動方程式を計算すると、x、y、z方向に対する力とモーメント成分を計算することができ、これに基づいて、船舶に作用する全船氷荷重を計算することができる。
【0120】
すなわち、
【数8】
であり、ここで、F、F、Fは、 各方向に作用する外力を意味する。
【0121】
船舶衝突(Point Of Impact)観点の場合、角加速度センサが船舶の重力中心近く設置されているため、その地点におけるX軸上での直線運動であるスウエイ(Sway)と、Y軸上での直線運動であるヒーブ(Heave)運動は、船首部に衝撃が発生する位置におけるスウエイとヒーブ運動よりは、はっきりした傾向が見られないことがある。
【0122】
よって、船舶に側面と垂直な方向に作用する力の成分は、ピッチ(Pitch)とヨー(Yaw)モーメント値を用いて計算することもできるが、このとき、角加速度センサが設置された位置から衝撃が発生する地点までの位置把握が可能であれば、より正確な氷荷重が計算可能である。
【0123】
よって、船舶に作用する全船氷荷重は、次のような形態に変えて表現することができる。
【0124】
すなわち、
【数9】
であり、ここで、Xabは、角加速度センサの設置位置から衝撃が発生する地点までの距離を示す。
【0125】
図7は、本発明による氷性能解釈方法において、船舶の氷抵抗推定方法を示す図面であり、図8は、本発明による氷性能解釈方法において、船舶の氷性能結果の推定方法を示す図面である。
【0126】
図7及び図8を参照すると、今後船舶の推進力減少係数(t)と最大連続出力条件での推進力(Tmcr)、船舶の本数として抵抗(Row)を用いて船舶の有効推進力(Available Net Thrust,Tant)を計算し、氷厚(h1、h2、h3)による船舶の速度別氷抵抗(R)との関係によって、船舶の運航可能速度を導出(h-v curve)して、氷上環境による船舶の氷性能結果を導出する。
【0127】
次に、船舶の局所氷荷重、全船氷荷重、船速-氷抵抗、所要馬力-氷抵抗関係を総合して、新しいデータベースを構築し、これは今後船舶の性能の解釈及び安全運航とメンテナンスのための基礎資料として活用することができる。
【0128】
このように本発明によれば、極地運航船舶の統合状態モニタリングシステム及び氷性能解釈方法によって船舶が極地海域を運航する際、運航情報と環境情報を取得することができる効果がある。
【0129】
以上、一部の例を挙げて、本発明の好ましい様々な実施形態について説明したが、本「発明を実施するための形態」の項目に記載の様々な実施形態に関する説明は、例示的なものに過ぎないし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、以上の説明から本発明を様々に変形して実施するか、本発明と均等な実施を行うことができる点を理解することができる。
【0130】
また、本発明は、他の様々な形態に具現することができるため、上述した説明によって限定されるものではなく、以上の説明は、本発明で開示の内容を完全にするためのものであって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求範囲の各請求項によって定義されるだけである。
【符号の説明】
【0131】
100 撮影部
200 サーバ
210 データ収集部
220 データ分類部
230 データ分析部
240 データ学習部
250 データベース部
260 性能評価部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8