(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】レーザー失透材除去システム及び方法
(51)【国際特許分類】
C03B 17/06 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
C03B17/06
(21)【出願番号】P 2022502853
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 US2020040968
(87)【国際公開番号】W WO2021015943
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-23
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ガイ,マイケル ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ルブラン,フィリップ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】リー,シンホア
(72)【発明者】
【氏名】ニシモト,マイケル ヨシヤ
(72)【発明者】
【氏名】ウェドン,ウイリアム アンソニー
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-513177(JP,A)
【文献】国際公開第2018/160443(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
レーザービームを生成するように動作可能なレーザー発生器と、
前記レーザー発生器からのレーザービームをガラス形成装置へ反射するように構成された反射装置と、
前記レーザー発生器及び前記反射装置に通信可能に結合された制御器と
を備え、前記制御器は
前記ガラス形成装置の一部を予め選択し、
前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成し、
前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を失透材抑制のために加熱するように前記レーザー発生器を作動させるように構成され
、
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分はエッジ誘導部材である、装置。
【請求項2】
熱画像装置を備え、
前記制御器は前記熱画像装置に動作可能に結合され、
前記熱画像装置から前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分の第1熱画像データを受信し、
前記第1熱画像データに基づいて前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分上の失透材料を検出し、
前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を加熱して前記検出された失透材料を除去するように前記レーザー発生器を作動させるように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記制御器は
前記熱画像装置から第2熱画像データを受信し、
前記第2熱画像データに基づいて前記検出された失透材料が除去されたと判断し、
前記レーザービームを使用不能にするために前記レーザー発生器を停止させるように構成されている、請求項2記載の装置。
【請求項4】
位置センサーを備え、
前記制御器は前記位置センサーに通信可能に結合され、
前記位置センサーから前記反射装置の位置を特定する位置データを受信するように構成され、
前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成することは、前記受信した位置データに基づいて前記反射装置の反射面を回転する又は傾けるのうち少なくともどちらかである、請求項1記載の装置。
【請求項5】
ガラス形成装置から失透材料を除去するための方法であって、
前記ガラス形成装置の一部を予め選択するステップと、
レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように反射装置を構成するステップと、
前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を加熱するように前記レーザー発生器を作動させるステップと
を含む方法。
【請求項6】
前記失透材料の種類に基づいて前記レーザービームのパワーレベルを決定するステップと、
前記決定されたパワーレベルのレーザービームを生成するように前記レーザー発生器を構成するステップと
を更に含む請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記失透材料の種類を特定するユーザ入力を受信するステップと、
前記失透材料の前記種類に基づいて前記レーザービームのパワーレベルを決定するステップと、
前記決定されたパワーレベルのレーザービームを生成するように前記レーザー発生器を構成するステップと
を更に含む請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分はエッジ誘導部材から成る、請求項5記載の方法。
【請求項9】
熱画像装置から第1熱画像データを受信するステップと、
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分上に前記失透材料が蓄積したと判断するステップと
を更に含む請求項5記載の方法。
【請求項10】
前記熱画像装置から第2熱画像データを受信するステップと、
前記第2熱画像データに基づいて前記失透材料が除去されたと判断するステップと、
前記レーザービームを使用不能にするために前記レーザー発生器を停止させるステップと
を更に含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分に前記レーザービームを照射するためにラスターパターンを決定するステップと、
前記決定されたラスターパターンに従って前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成するステップと
を更に含み、
前記レーザー発生器を作動させるステップは、前記決定されたラスターパターンに従って前記レーザー発生器を作動させることを含む、請求項5記載の方法。
【請求項12】
位置センサーから前記反射装置の位置を特定する位置データを受信するステップを更に含み、
前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成することは、前記受信した位置データに基づいて前記反射装置の反射面を回転する又は傾けるのうち少なくともどちらかから成る、請求項5記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年7月22日に出願された米国仮特許出願第62/877025号の米国特許法第119条の下の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示はガラスシートの製造に関し、特にガラスシート製造中に失透ガラスの蓄積を抑制するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラスシートは様々な用途で使用される。例えば、携帯装置、ラップトップ、タブレット、コンピュータモニター、テレビディスプレイなどのガラス表示パネルに使用されることがある。ガラスシートは、溶融ガラスをガラス形成装置を覆って引っ張りガラスシートを作製する融合下方ドロープロセスによって製造されうる。幾つかの例では、ガラス形成装置は形成されているガラスシートのエッジ部に向かって溶融ガラスを誘導するエッジ誘導部材を含む。しかし、しばしば溶融ガラスの失透がエッジ誘導部材上で起こりうる。本書で使用されるように、失透は元は非晶質のガラスの結晶化を指す。結晶化した材料は本書で失透材及び/又は失透材料と呼ばれる。例えば、
図12はエッジ誘導部材104上の蓄積された失透材102を例示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エッジ誘導部材上の蓄積された失透材は、溶融ガラスをガラス形成装置の望まれない部分上に落ちさせることがある。また、エッジ誘導部材上の蓄積された失透材は中空のビーズを溶融ガラス中に生じさせることがあり、形成されたガラスに亀裂が生じることがある。蓄積された失透材はまた、ガラス形成プロセス中により狭いガラスリボンの引っ張りを生じさせることがある。これは多くの場合、望ましくない影響である。このように、ガラスシートの製造を改善する機会が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本書に開示された特徴はガラス形成装置、例えばエッジ誘導部材上の失透材の除去又は防止を可能にする。失透材は、例えばクリストバライト、ムライト、及び/又は鱗珪石結晶を含んでもよい。
【0006】
幾つかの例では、失透材抑制システムはレーザー(例えば、レーザービーム)を向けかなりの量の失透材をすでに蓄積したかし易いガラス形成装置の特定の領域を加熱しうる。失透材抑制システムは、決められた時間の間、レーザーを特定の位置へ向け決められた量のエネルギーを届けるように制御されうる鏡システムを備えてもよい。レーザーが提供するエネルギーは結晶が、例えばガラス液相温度(即ち、ガラスが完全に液体である最低温度)を越えて加熱されるのを可能にする。
【0007】
幾つかの例では、レーザー発生器(レーザー源又はレーザーとしても知られている)、例えばダイオードレーザー発生器、CO2レーザー発生器、又はファイバーレーザー発生器に結合された光ファイバーが、失透材が形成されるガラス形成装置の領域、例えばエッジ誘導部材を加熱するように制御されうる。レーザーは光ファイバーを通って光コリメータに達しコリメートされる。幾つかの例では、コリメータは制御情報をレーザービーム制御のための監視装置へ戻しうる。
【0008】
幾つかの例では、ビーム成形素子、例えば回折光学素子(DOE)又は空間光変調器(SLM)が失透材抑制システムによって使用されうる。ビーム成形素子は、蓄積された又は予期される失透材上に投影されたレーザービームパターンが所定のエネルギー分布を持つように入射レーザービームを整形(例えば、成形)する。失透材抑制システムはレーザーによって提供されるエネルギーの空間分布を用途の要求(例えば、蓄積された失透材を横切る均一なエネルギー、エッジ誘導部材の等高線及び温度特性などを反映する蓄積された失透材を横切るエネルギー勾配)を満たすように調整しうる。
【0009】
幾つかの例では、失透材抑制システムは1つ以上のきちんと焦点が合わされた高パワーレーザービームを制御して、蓄積された結晶を除去し(例えば、蒸発させ)大きな結晶成長をガラス形成装置の部分、例えばエッジ誘導部材から取り除くことができる。レーザービームからのエネルギーは失透材を加熱し、全体(又は大部分)が取り除かれるまでガラス形成装置から物理的に除去する。
【0010】
本開示は、1つの実施形態において、命令群を記憶するメモリデバイスと、少なくとも1つのプロセッサを備え前記命令群を実行するように構成された制御器とを備えた装置を説明する。前記命令群は実行されると、前記制御器にガラス形成装置の一部を予め選択させ、レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように反射装置を構成させ、前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を失透材抑制のために加熱するように前記レーザー発生器を作動させる。
【0011】
本開示は、別の実施形態において、レーザービームを生成するように動作可能なレーザー発生器と、前記レーザー発生器からのレーザービームをガラス形成装置へ反射するように構成された反射装置と、前記レーザー発生器及び前記反射装置に通信可能に結合された制御器とを備えた装置を説明する。前記制御器は、前記ガラス形成装置の一部を予め選択し、前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成し、前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を失透材抑制のために加熱するように前記レーザー発生器を作動させるように構成されてよい。
【0012】
本開示は、更に別の実施形態において、ガラス形成装置から失透材料を除去するための方法を説明する。その方法は、前記ガラス形成装置の一部を予め選択するステップと、レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように反射装置を構成するステップと、前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を加熱するように前記レーザー発生器を作動させるステップとを含む。
【0013】
本開示は、別の実施形態において、レーザービームを生成するように動作可能なレーザー発生器と、前記レーザー発生器からのレーザービームをガラス形成装置へ反射するように構成された反射装置と、前記レーザー発生器及び前記反射装置と通信可能に結合された制御器とを備える装置を説明する。前記制御器は、前記ガラス形成装置の一部を予め選択し、前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成し、前記レーザービームを生成するように前記レーザー発生器を作動させるように構成されてよい。失透材料が前記ガラス形成装置上に位置し、溶融ガラスが前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分と前記レーザー発生器の間に前記レーザービームの通路に沿って位置し、前記レーザービームは前記溶融ガラスを加熱する。
【0014】
本開示は、更に別の実施形態において、ガラス形成装置から失透材料を除去するための方法を説明する。その方法は、前記ガラス形成装置の一部を予め選択するステップと、レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように反射装置を構成するステップと、前記レーザービームを生成するように前記レーザー発生器を作動させるステップとを含む。失透材料が前記ガラス形成装置上に位置し、溶融ガラスが前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分と前記レーザー発生器の間に前記レーザービームの通路に沿って位置し、前記レーザービームは前記溶融ガラスを加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
上記概要及び例示の実施形態の下記の詳細な説明は添付図と共に読まれてもよい。図は本書に記載の実施形態の幾つかを示す。下記に更に説明するように、請求項は例示の実施形態に限定されない。明確さと読み易さのために、図は特徴の図示を省略する場合がある。
【
図1】幾つかの例に係る失透材抑制システムを有する代表的なガラス形成装置を概略的に示す。
【
図2】幾つかの例に係る
図1の代表的なガラス形成装置の部分を概略的に示す。
【
図3】幾つかの例に係る代表的な失透材抑制システムのブロック図である。
【
図4】幾つかの例に係る代表的な失透材抑制システムのブロック図である。
【
図5】幾つかの例に係る代表的な失透材抑制システムのブロック図である。
【
図6】幾つかの例に係る代表的な失透材抑制システムのブロック図である。
【
図7】幾つかの例に係るレーザーで加熱されたガラス層の熱的モデルを例示する。
【
図8A】幾つかの例に係る失透材抑制システムによってレーザーを向けるのに使用されうるクリストバライトの赤外透過スペクトルを例示する。
【
図8B】幾つかの例に係る失透材抑制システムによってレーザーを向けるのに使用されうる鱗珪石の赤外透過スペクトルを例示する。
【
図9】幾つかの例に係る失透材抑制システムによってレーザーを向けるのに使用されうる様々な失透材料の透過グラフを例示する。
【
図10】幾つかの例に係るセンサーフィードバックを含む失透材抑制システムを示す。
【
図11】幾つかの例に係る失透材抑制システムによって実行されうる代表的な方法を示す。
【
図12】従来のガラス形成装置上に蓄積された失透材を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本出願は例示の実施形態を開示する。本開示はそれら例示の実施形態に限定されない。従って、請求項の多くの実施形態はそれら例示の実施形態と異なるであろう。様々な部分変更が本開示の要旨及び範囲から逸脱することなく請求項に成されうる。請求項はそのような部分変更された実施形態を含むように意図されている。
【0017】
時には、本開示は方向の用語(例えば前、後、上、底、左、右など)を、図を見る時に読み手に脈絡を与えるために使用する。しかし、請求項は図に示された向きに限定されない。どんな絶対用語(例えば、高い、低いなど)も対応する相対用語(例えば、より高い、より低いなど)を開示していると理解されうる。
【0018】
本開示はエッジ誘導部材の失透材が蓄積される領域をレーザーで加熱し蓄積された物質を除去(例えば、溶融)することでエッジ誘導部材上の失透材蓄積を取り除く装置及び方法を提示する。幾つかの例では、装置及び方法は、エッジ誘導部材の下方で溶融ガラスが適切に融合しなかった結果として生じうる中空のビーズを閉じるのに使用されうる。当分野で知られているように、「ビーズ」は特に融合ドロー方法による製造中に形成されるガラスリボンの縁領域を指す。
【0019】
幾つかの例では、レーザー波長は失透材に向けられるレーザー用に決定されることで、失透材の効果的な除去を可能にする。幾つかの例では、レーザー波長(又は幾つかの波長)はレーザーがエッジ誘導部材を覆って流れる溶融ガラスに進入し失透材料によってかなり吸収されて失透材の温度を溶融点(又は幾つかの例では、少なくとも軟化点)まで上げるように選択されうる。溶融ガラス流れは失透材をエッジ誘導部材から流し去りうる。
【0020】
幾つかの例では、溶融ガラスはレーザーで直接加熱され、レーザーは伝導と放熱効果により蓄積された失透材を加熱しうる。幾つかの例では、溶融ガラスを(例えば、形成装置を傾けることで)エッジ誘導部材から離れて別ルートで流して失透材を曝すことができ、エッジ誘導部材から離れて溜まるまで失透材をレーザーで直接加熱できる。更に他の例では、失透材の代わりに白金エッジ誘導部材がレーザーを使って加熱されうる。白金エッジ誘導部材は失透材がエッジ誘導部材と接触する領域に熱を伝導しうる。温度の十分な上昇により、白金と失透材の界面で失透材が溶け白金エッジ誘導部材への付着から解放される。
【0021】
幾つかの例では、向けられたレーザーエネルギーはエッジ誘導部材上の失透材結晶成長を除去する(例えば、溶かす又は気化させる)のに使用されうる。レーザーのパルスエネルギー、ビーム幅、パワーレベル、及び/又は波長は失透材結晶の材料吸収及び気化特性に合致するように調整されうる。これらの例はかなりの結晶除去を必要とする用途に有用である(例えば、失透材結晶を薄い層が残るまで少しずつ削り、この時上記例の1つが残る物質をエッジ誘導部材から熱により除去するのに使用されうる)。
【0022】
幾つかの例では、制御システムはレーザービームを着目する位置、例えば蓄積された失透材を持つエッジ誘導部材へ反射するように鏡を配置するのに使用されうる。制御システムは1次元又は2次元ガルバノメーター駆動鏡セット、回転する多角形、音響光学変調器、ボイスコイル駆動鏡セット、サーボもしくはステッパーモーターセット、又はこれらの組み合わせを鏡を配置するために含む。幾つかの例では、2次元ガルバノメーター駆動鏡セットはレーザービームを失透材を横切って走査するのに使用されその間、熱画像カメラをフィードバックとしてレーザーエネルギーの送達を正確に制御するのに使用しうる。位置及びエネルギーは、形成装置もエッジ誘導部材も誤って過熱され部品をひび割れ又は変形させうる熱機械応力を引き起こすことがないように制御されうる。幾つかの例では、画像カメラはまた、動作時、鏡位置フィードバックを提供するのに使用されてもよい。
【0023】
幾つかの例では、レーザーは維持モードでエッジ誘導部材を横切って(例えば、0.001Hzと10000Hzの間の速度で)ラスター走査され、定期的に予め設定されたパターンでエッジ誘導部材を清浄にしうる。幾つかの例では、失透材の形成はエッジ誘導部材を定期的に、例えば月に一度、週に一度、又は任意の他の間隔で加熱することで防止されうる。制御システムはレーザービームを1つ以上のエッジ誘導部材を決まったパターンで横切るよう方向を変えるように鏡を構成してもよい。幾つかの例では、失透材は熱画像カメラによって提供された失透材の熱画像に基づいて均一に加熱されうる。制御システムはまた、レーザーを所定のエネルギーをエッジ誘導部材に送達して蓄積された失透材を取り除くか又は防ぐようにプログラムしうる。
【0024】
図1を参照すると、ガラス形成装置20は壁25及び26で縦側が画定された開チャネル24を有する成形ウェッジ22を含む。壁25及び26は上部が両側の縦に延びる越流堰27及び28でそれぞれ終端する。越流堰27及び28は一対の両側の概ね垂直な成形表面30と一体であり、両成形表面30は一対の両側の下方傾斜集束成形表面32と一体である。一対の下方傾斜集束表面32は概ね水平な下部頂点で終端し、その頂点は成形ウェッジ22の根元34を成す。各下方傾斜集束表面32は一対のエッジ誘導部材50を含んでよい。1つの下方傾斜集束表面32及び対応する一対のエッジ誘導部材だけが
図1に示されている。
【0025】
溶融ガラスは開チャネル24と流体連通する送出通路38を介して開チャネル24内に届けられる。一対のダム40が開チャネル24の端に隣接して越流堰27及び28の上方に設けられ、溶融ガラスの自由表面42の越流堰27及び28を越える溢れを溶融ガラスの別々の流れとして導く。送出通路38に隣接した開チャネル24の端に位置する一対のダム40だけが
図1に示されている。溶融ガラスの別々の流れは一対の両側の概ね垂直な成形表面30及び一対の両側の下方傾斜集束成形表面32を覆って根元34へ流れ下り、そこで
図1に破線で示す溶融ガラスの別々の流れは集束しガラスリボン44を形成する。各対のエッジ誘導部材50は溶融ガラスが根元34に達するまで溶融ガラスを下方傾斜集束成形表面32に沿って保つ。
【0026】
引っ張りロール46が成形ウェッジ22の根元34の下流に配置され、ガラスリボン44の両側の側縁48と係合し張力をガラスリボン44に印加する。引っ張りロール46は、ガラスリボン44の厚みが実質的にその位置で決定されるよう根元34の十分下方に配置されてもよい。ガラスリボンが根元34で形成されながら、引っ張りロール46はガラスリボンの厚みを確立する所定の割合でガラスリボン44を下方へ引っ張りうる。
【0027】
図1はまた、レーザービーム13を発生させ放出するように構成されたレーザー発生器12を含みうる代表的な失透材抑制システム10を例示する。1つの実施形態では、レーザービーム13は失透材が存在する箇所を覆って流れる溶融ガラスの温度を上昇させ、溶融ガラスの上昇した温度がその失透材の温度を失透材の融点に、の近くに、又はそれより上に上げ、そのため溶融ガラスの粘性の流れが失透材を形成装置20及び/又はエッジ誘導部材50から外しうる。
図1に示すように、レーザービーム13は一対のエッジ誘導部材50のどちらにもレーザー発生器12によって、例えば反射装置14を介して方向付けられうる。
【0028】
1つの実施形態では、反射装置14は、レーザー発生器12が発生させ放出したレーザービーム13を受けてエッジ誘導部材50の少なくとも所定の領域へ反射するように構成された反射面15を含みうる。反射装置14は、例えばレーザー発生器12からのレーザービームの方向を変えるように構成された鏡であってもよい。従って、反射装置14はビーム操舵及び/又は走査装置として機能してもよい。
図1では、レーザービーム13は反射装置14によって反射レーザービーム17としてエッジ誘導部材50の複数の予め選択された部分へ進行させられるとして示されている。
【0029】
一例における反射面15は金被覆された鏡から成りうるが、他の例では他の種類の鏡を使用してもよい。金被覆された鏡は、例えば赤外レーザーに関して不変で優れた反射率を提供するのにある用途では望ましいことがある。また、金被覆された鏡の反射率はレーザービーム13の入射角に実質的に依存せず、従って金被覆された鏡は走査又はレーザービーム操舵装置として特に有用である。
【0030】
図1に示した実施形態の反射装置14はまた、レーザービーム13の受光とエッジ誘導部材50の予め選択された部分の位置とに関して反射装置14の反射面15の姿勢を調整するように構成された調整機構16を含んでもよい。例えば、反射装置14は反射面15を回転又は傾斜させレーザービーム13を反射レーザービーム17としてエッジ誘導部材50の予め選択された部分へ向けうる。
【0031】
一例によれば、調整機構16は反射面15と動作上関連するガルバノメーターを備えうり、反射面15はガルバノメーターによって軸の周りをガラスリボン44に対して回転させられうる。例えば、反射面15はガルバノメーターモーターによって駆動され軸18aの周りを両方向矢印19で示されるように回転させられる回転シャフト18に装着されうる。
【0032】
図2はレーザー発生器12からのレーザービーム13をエッジ誘導部材50へ向ける反射装置14の別の図を示す。反射装置14はレーザービーム13を1つのエッジ誘導部材50だけに向けると示されているが、反射装置14はレーザービーム13を他方のエッジ誘導部材50に向けるように反射面15を動かしうる。幾つかの例では、反射装置14はレーザービーム13を1つのエッジ誘導部材50の部分と他方のエッジ誘導部材50の部分とに交互に向けてもよい。
【0033】
幾つかの例では、失透材抑制システム10はレーザービーム13をエッジ誘導部材50に向けエネルギーをエッジ誘導部材50上に形成された失透材に加えることでエッジ誘導部材50上の失透材を少なくとも失透材の液相温度まで熱しうる。その結果、エッジ誘導部材50上に形成された失透材はエッジ誘導部材50から溶け落ちる又ははがれ落ちうる。幾つかの例では、失透材抑制システム10は失透材がエッジ誘導部材50上に形成されているか否かに拘らず日常的に(例えば、定期的に又は時々)レーザービーム13をエッジ誘導部材50に向ける。このように、レーザービーム13からのエネルギーは、失透材がエッジ誘導部材50上に形成されない又は形成されそうにないようにエッジ誘導部材50に最小温度を維持させる。
【0034】
幾つかの例では、失透材抑制システム10は連続的に作動されうる。幾つかの例では、失透材抑制システム10はスケジュールされた保守期間に作動されうる。
【0035】
幾つかの例では、レーザービーム13のパルスエネルギー、ビーム幅、パワーレベル、及び/又は波長は、レーザービーム13からのエネルギーが誤って失透材抑制システム10の他の部品を過熱することなく蓄積された失透材を十分に加熱するように選択されうる。例えば、レーザー発生器12はダイオードレーザー(例えば、0.976μmの波長のレーザービームを放出するダイオードレーザー)を使用してもよい。幾つかの例では、レーザー発生器12はCO2レーザーを使用する。
【0036】
幾つかの例では、レーザービーム13のパワーレベルは、レーザービーム13からのエネルギーが形成装置20、エッジ誘導部材50、形成装置20及び/又はエッジ誘導部材50上及び/又はに近接する溶融ガラス、及び形成装置20及び/又はエッジ誘導部材50上及び/又はに近接する失透材又は溶融ガラス内もしくは周りの失透材のうち少なくとも1つを加熱するように選択されうる。
【0037】
図3は代表的な失透材抑制システム10の部分を示し、矢印付き実線はレーザービーム(例えば、レーザービーム13、反射レーザービーム17)を表し、破線は電気制御信号を表す。この例では、失透材抑制システム10はレーザーパワー制御部55及び制御コンピュータ52を含みうる。レーザーパワー制御部55及び制御コンピュータ52のそれぞれは1つ以上のプロセッサ、1つ以上のフィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上の状態マシン、デジタル回路、又は任意の他の適切な回路を含みうる。幾つかの実施形態では、レーザーパワー制御部55及び制御コンピュータ52の1つ以上は任意の適切なハードウェア又はハードウェア及びソフトウェア(例えば、メモリに記憶された命令群を実行する1つ以上のプロセッサ)で実現されてよい。例えば、持続性コンピュータ読取可能媒体、例えば読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、取り外し可能ディスク、CD-ROM、任意の不揮発性メモリ、又は任意の他の適切なメモリが、レーザーパワー制御部55及び制御コンピュータ52の任意の1つ以上のプロセッサによって取得され実行されて本書に記載の機能の1つ以上を実行しうる命令群を記憶してよい。
【0038】
レーザーパワー制御部55は、レーザー発生器12が発生するレーザービーム13のパルスエネルギー、ビーム幅、パワーレベル、及び/又は波長が予め選択された値を取るようにレーザー発生器12の動作を制御できる。また、レーザーパワー制御部55はレーザー発生器12がレーザービーム13を発生する期間を制御しうる。制御コンピュータ52はレーザーパワー制御部55の動作を制御するために設けられ、レーザーパワー制御部55はレーザー発生器12に予め選択された波長及びパワー特性のレーザービーム13を予め選択された期間発生させうる。同時に、制御コンピュータ52は反射装置14と動作上関連し調整機構16の機能と、ガルバノメーターを使用する例では、ガルバノメーターのモーターとを制御してもよい。従って、制御コンピュータ52は、失透材の除去又は防止のために反射面15によるレーザービーム13の受光とエッジ誘導部材50の予め選択された部分の位置に関して反射面15の姿勢及び位置を調整できうる。
【0039】
例えば、制御コンピュータ52は予め選択された期間、レーザービーム13の受光と反射装置14の反射面15におけるレーザービームの反射に関して反射装置14の反射面15を複数の異なる姿勢に調整する(例えば、傾斜又は回転させる)ように調整機構16を構成してよい。結果として、例えば、
図1の反射レーザービーム17によって示されるように、レーザービーム13はエッジ誘導部材50の複数の予め選択された部分にそれぞれの予め選択された期間に向けられうり、それによりエッジ誘導部材50上の失透材の蓄積を抑制する。
【0040】
図4は
図1の失透材抑制システム10の代わり又はと共に使用されうる一例の失透材抑制システム400のブロック図を示す。当業者は
図4及び下記の説明が失透材抑制システムの可能な実施形態を表しまた、失透材抑制システムの本書に提示した教示に合致する他の構成が可能であり本開示によって予測されることを容易に理解するであろう。この例では、失透材抑制システム400はレーザー発生器12(不図示)からのレーザービーム13などのレーザービームを形成装置のエッジ誘導部材50へ反射するように構成された動く鏡402を有する失透材除去装置401を備えうる。幾つかの例では、失透材除去装置401はレーザービームの発生のためのレーザー発生器を備える。
【0041】
失透材除去装置401は熱画像カメラ鏡422によって反射された熱画像を取り込みうる熱画像カメラ420を更に備えてよい。例えば、各熱画像カメラ鏡422は対応するエッジ誘導部材50(及び、例えば隣接領域)の画像を対応する熱画像カメラ420へ反射するように構成(例えば、配置)されてよい。幾つかの例では、各熱画像カメラは冷却される熱画像カメラ、例えば水冷熱画像カメラであってもよく、空気パージシステムを更に備えてもよい。例えば、失透材除去装置401は、例えば光学系404を通って空気パージを行うために空気の失透材除去装置401への導入を可能にしうる空気パージ入口411を備えてもよい。光学系404は発生したレーザービームが動く鏡402に到達するのを許しうる。空気パージ入口411から失透材除去装置401に入るパージ用空気はまた、失透材除去装置401内の部品の温度を下げ/制御し、失透材除去装置401内の陽圧を維持して外部環境(例えば、浮遊微小粒子、ガス(例えば、ガラス溶融炉からの)など)からの汚染を防ぐか又は最小にし、及び/又は光学部品、例えば部品402、404上の凝結を防ぐか又は最小にしうる。
【0042】
失透材除去装置401はまた、隣接する窓枠410間に位置する透明な窓408を備えてよい。窓枠410は水冷窓枠であり、空気パージを失透材除去装置401の鏡面402などの他の部分(例えば、前部)に供給してもよい。このパージ用空気は、ガラス製造プロセスの間放出されるガスなどのガスが窓及び/又は鏡面に凝結するのを防ぐか又は最小にし、また窓及び/又は鏡を冷却するように働きうり、例えば低い耐熱性の材料がこれらの部品に使用されてもよい。動く鏡402は反射レーザービーム、例えば反射レーザービーム17を透明な窓408を通して形成装置20及び/又はエッジ誘導部材50のうち1つ以上に向けうる。失透材除去装置401は繊維板、ステンレス鋼、繊維板及びステンレス鋼の組み合わせ、又は他の適切な材料から成るスペーサー414を更に備えてもよい。各スペーサー414は炉壁412に結合される。炉壁412は失透材除去装置401の外部環境からの熱、例えばガラス炉によって生成された熱を低減又は無くしうる。
【0043】
幾つかの例では、制御器406はエッジ誘導部材50の画像を対応する熱画像カメラ420へ反射するように鏡422を構成しうる。制御器406はまた、エッジ誘導部材50(及び、例えば隣接領域)の熱画像を取り込みその画像を制御器に提供するように各熱画像カメラ420を構成してもよい。熱画像に基づいて、制御器406は失透材がエッジ誘導部材上に存在すると判断してよい。例えば、制御器406はエッジ誘導部材50の熱勾配がエッジ誘導部材が失透材を蓄積したことを示すと判断してよい。1つの実施形態では、エッジ誘導部材は失透材より低い温度であり、結晶化され液相温度未満の失透材はガラスリボンより低い温度である。制御器406は形成装置又はエッジ誘導部材、失透材、及びガラスリボン間のこれらの温度差を検出するように構成される。非限定の例として、制御器406は温度不連続を検出し不連続が失透材の存在を示すと判断してもよい。加えて、熱画像機能はまた、形成装置、エッジ誘導部材、ガラスリボン、及び/又はそれぞれと関連する失透材へのレーザービームの照射位置を狙う及び/又は制御するのに使用されてもよい。別の非限定の例として、制御器406はレーザービームの所望の目標領域とこれらに限定されないが形成装置、エッジ誘導部材、ガラスリボン、及び/又はそれぞれと関連する失透材へのレーザービームの実際の照射位置(所望の目標領域と離れていることがある)の間の温度不連続を検出してもよい。このように、レーザービームの安全機能が実現される。
【0044】
幾つかの例では、制御器406はエッジ誘導部材が失透材を蓄積したと判断すると、制御器406はレーザー発生器にレーザービーム、例えばレーザービーム13を発生させてよい。1つの実施形態では、レーザー発生器は制御器406ブロック内に位置する。制御器406はまた、発生したレーザービームをエッジ誘導部材の1つ以上の部分へ反射する(例えば、反射レーザービーム17)ように動く鏡402を置いてもよい。例えば、制御器406は発生したレーザーからのエネルギーを鏡402によってエッジ誘導部材50を水平及び垂直に横切るように反射されるように向けてもよい。幾つかの例では、レーザービームはエッジ誘導部材50の高さを含む垂直範囲に亘って向けられてもよい。幾つかの例では、レーザービームは各エッジ誘導部材50の下部(例えば、失透材が最も蓄積され易い部分)を含む垂直範囲に亘って向けられてもよい。幾つかの例では、レーザービームは各エッジ誘導部材50の幅を含む水平範囲に亘って向けられてもよい。幾つかの例では、レーザービームは各エッジ誘導部材50の幅の一部を含む水平範囲に亘って向けられてもよい。
【0045】
他の実施形態では、当業者は理解するであろうように、失透材除去装置401内に示された部品の他の構成が可能である。非限定の例として、光学系404及び動く鏡402は結合されてもよい。別の非限定の例として、光学系404、動く鏡402、及び制御器406はレーザー走査/パターン形成モジュールに結合されてもよい。
【0046】
図5は
図1のレーザー発生器12などのレーザー発生器であってもよいレーザー源502を含む一例の失透材抑制システム500のブロック図を示し、レーザー源502は光ファイバーケーブル503及びアダプター506を通ってコリメータ508に達するレーザーを発生させる。コリメータ508はレーザーをセラミック管であってよい管510を通ってエッジ誘導部材50上に蓄積した失透材102へ向ける。管510は基部511の台座基部512に取り付けられた玉継手520に(又はに通され)装着されうる。
図5は玉継手520の動きによって様々な位置にある部品506、508、及び510を示す。台座基部512は、例えばジンバル台座であってもよい。基部511はレーザー源502が発生させたレーザービームをエッジ誘導部材50上に蓄積した失透材102に向けるように構成されてよい。例えば、台座基部512は管510から出射するレーザービームをエッジ誘導部材50の所定の部分に向けるように配置されてもよい。幾つかの例では、失透材抑制システム500は管510を清浄にする空気パージシステムを含みうる。幾つかの例では、基部511はレーザービームを向けるように機械的に配置されうる。幾つかの例では、基部511はレーザービームを向けるように、例えば制御コンピュータ52によって配置されうる。
【0047】
失透材抑制システム500はまた、レーザー源502によって生成されたレーザーを受光するエッジ誘導部材50の部分を視覚的に確認するのに使用されてよい目標レーザー源504を備えてもよい。例えば、目標レーザー源504(当分野で「追跡レーザー」としても知られている)は管510を通って出射する緑色レーザービーム(当分野で「追跡ビーム」としても知られている)を生成してもよい。緑色レーザービームは、緑色レーザービーム及び次にレーザー源502が生成するレーザービームがエッジ誘導部材50又はその一部に位置合わせされるように台座基部512の配置を視覚的に決めるのに使用されてもよい。例えば、制御器は目標レーザー源504を作動させ、ユーザが、緑色レーザービームがエッジ誘導部材50上に蓄積した失透材の少なくとも一部上に見えるまで台座基部512を調整してもよい。制御器は次に(例えば、ユーザ入力を受け取ると)ダイオードレーザー又はCO2レーザーなどのレーザー源502を作動させレーザーエネルギーをエッジ誘導部材50上に蓄積した失透材102へ向けてよい。
【0048】
図6は
図5の失透材抑制システム500に類似しているがコリメータ508を備えていない一例の失透材抑制システム600のブロック図を示す。代わりに、失透材抑制システム600はレーザー源502が生成したレーザービームを、管604を通るサファイア光ファイバーなどの光ファイバー605を通して向ける光結合器602を備えうる。また、レーザーは管604内の光ファイバー605を通って導かれるので、失透材抑制システム600は空気パージシステムを必要としないことがある。図に示すように、失透材抑制システム600はまた、放出されるレーザーの目標、この例ではエッジ誘導部材50上に蓄積した失透材102を視覚的に位置合わせするために目標レーザー源504を含んでもよい。
【0049】
図5及び6の例では、1μm又は約1μm波長で動作するダイオードレーザーを使用できる。幾つかの例では、ファイバー結合レーザーが使用されてよい。当分野で既知のように、ファイバー結合レーザーはレーザー源を含み、レーザー源の出力が、利得媒体として使用されうるファイバーに結合される。ファイバー結合レーザーはレーザービームを経路設定及び/又は位置合わせするために便利である。ファイバー結合レーザーは他のレーザー構成より良いモード品質を有することがあり、そのレーザービームは、例えば単一モードファイバーを使って届けられうる。
【0050】
或いは、
図5及び6の例では失透材を加熱するためのレーザーが使用されるが、他の例では、抵抗加熱(例えば、加熱ランプ又は閃光灯)、赤外発光ダイオード(LED)、マグネトロン、又はレーザー誘起ガス放電ランプが、エッジ誘導部材50に向けられるエネルギーを発生させるのに使用されてよい。幾つかの例では、大気プラズマジェットが失透材を加熱するのに使用されうる。この手法は比較的極高温ガスジェットを発生させることができ、レーザーパワーが失透材溶融を引き起こすのに不十分である場合に使用されうる。
【0051】
図7は、本書で説明したように失透材抑制システムによって使用されるCO
2レーザー(例えば、10.6μmCO
2レーザー)などのレーザーで加熱された時に形成装置表面(例えば、下方傾斜集束成形表面32)からの距離に基づいて下方傾斜集束成形表面32に沿って根元34まで溶融ガラスなどの流れるガラスの表面温度を上げることを示す熱的モデル700を例示する。図示のように、位置702が2つのレーザーのそれぞれの目標である。具体的には、チャートは、第1の例で20ワット電力で出射し約8mmのビーム直径を持つCO
2レーザーの場合のガラス表面温度を上げることを示す。チャートはまた、第2の例で50ワット電力で出射し約10mmのビーム直径を持つCO
2レーザーの場合のガラス表面温度を上げることを示す。
【0052】
各レーザーに対して、形成装置表面に近い溶融ガラスに加えて形成装置表面自体は、レーザーが照射された時、形成装置表面からより遠い(例えば、約0.8インチ(約2.03cm)以上の距離にある)溶融ガラスの表面の温度上昇と比べて、大きな温度上昇(ほぼ0度セ氏温度上昇)を経験しない。熱的モデルはまた、形成装置表面から同じ距離で測って20ワットで出射するCO2レーザーは溶融ガラスの温度を50ワットで出射するCO2レーザーより上げることを示す。幾つかの例では、失透材層下の部品が高温又は温度変動から守られる必要がある場合、本書に記載の失透材抑制システムはこれらのレーザーの1つを使用してもよい。
【0053】
図8A及び8Bはそれぞれ異なる失透材結晶、即ち、クリストバライト及び鱗珪石の赤外透過スペクトルグラフを示す。各グラフはX軸に波数(cm
-1)を、Y軸にレーザーエネルギーの透過割合を示す。
図8Aに示すように、クリストバライトは波数1100cm
-1付近で最大量のレーザーエネルギー(即ち、本書に記載のレーザーが提供する)を吸収することがあり、レーザーエネルギーの約90%超が吸収される(及びレーザーエネルギーの約10%未満がクリストバライトを透過する)。
図8Bは、鱗珪石は1100cm
-1より僅かに小さい波数で最大量のレーザーエネルギーを吸収することがあり、レーザーエネルギーの約60%超が吸収される(及びレーザーエネルギーの約40%未満が鱗珪石を透過する)ことを示す。
【0054】
幾つかの例では、本書に記載の失透材抑制システム、例えば失透材抑制システム10、失透材抑制システム400、失透材抑制システム500、又は失透材抑制システム600は1つ以上の失透材結晶について透過吸収率を示す表を備えてもよい。その表は、例えばメモリデバイスに記憶されてもよい。失透材抑制システムはその表に基づいてレーザーの波長を決定してもよい。例えば、失透材抑制システムはレーザー発生器、例えばレーザー発生器12を、失透材に最大量又はほぼ最大量のレーザーエネルギーを吸収させる波長に対応する波長のレーザーを生成するように構成してもよい。
【0055】
幾つかの例では、失透材抑制システムは失透材の種類(例えば、失透材を成す結晶の種類)を特定するデータを受信し、失透材の種類に基づいてレーザー波長を決定しうる。幾つかの例では、2つ以上の種類の失透材が特定されてもよい。失透材抑制システムはレーザー発生器を各失透材種類に対して決定された波長のレーザービームを生成するようにプログラムしてもよく、レーザー発生器は定期的に及び/又は時々及び/又は入力信号に基づいてレーザー発生器から出力されるレーザービームの波長を1つの決定された波長から別の波長へ変えてもよい(例えば、レーザー発生器は2つ以上のレーザー源を含み、失透材抑制システムは1つのレーザー源から別のレーザー源に切り替えてよい)。他の実施形態では、失透材抑制システムは2つ以上のレーザー及び/又は2つ以上の波長を使用してもよい。複数のレーザー及び/又は複数の波長が、存在する可能性のある複数の種類の失透材を除去及び/又は抑制するために同時に使用されてもよい。
【0056】
図9は異なる失透材結晶、即ち、イットリア、尖晶石、サファイア、アロン、及びムライトの透過割合を示すグラフを示す。グラフは底部X軸及び上部X軸にそれぞれ波数及び対応する波長を、Y軸にレーザーエネルギーの透過割合を示す。
図8に関して上述したように、本書に記載の失透材抑制システムは様々な失透材結晶についてのグラフで特定された透過割合に基づいてレーザーの波長を決定してもよい。
【0057】
図10は、入力1002と複数のセンサー1010からエラー/センサー信号1011とを受け取る制御器1004を備える失透材抑制システム1000の簡略化したブロック図を示す。入力1002とエラー/センサー信号1011とは結合器1012で結合され制御器入力信号1013を生成する。制御器1004は1つ以上のプロセッサ、例えばGPU(図形処理ユニット)、CPU(中央処理ユニット)、又は任意の他の適切な処理装置を含んでよい。入力1002は、例えばレーザーの現在の波長及び/又は電力と現在の失透材位置(例えば、エッジ誘導部材50上の失透材の位置)を含んでよい。複数のセンサー1010は、例えば温度カメラ、視覚カメラ、レーザーパワーセンサー、及び位置センサー(例えば、ガルバノメーター位置センサー)のうち1つ以上を含んでもよい。制御器1004は制御器入力信号1013に基づいて調整データ1005を生成してもよい。調整データ1005は、例えばレーザーの現在のパルスエネルギー、ビーム幅、パワーレベル、及び/又は波長、レーザーの方向/目標位置、レーザーをオンにするかオフにするか、失透材の位置(例えば、エッジ誘導部材上の異なる位置)、又はセンサー1010(例えば、温度カメラの向き又は位置センサーの変更)への調整を特定し表してよい。走査レシピ1006は調整データ1005を受信し出力1008を生成して調整データ1005によって特定された変更を、例えばレーザー鏡配置のためのガルバノメーター、レーザーパワーのためのレーザー発生器、センサー1010など対応する機器を制御することで、実行する。出力1008は、例えば複数のセンサー1010のいずれかの変更、レーザー波長、パワー、又は向きの変更、レーザーを使用可能又は不能にする変更、又は任意の他の適切な変更を含んでよい。
【0058】
例えば、入力1002及び複数のセンサー1010に基づいて制御器1004は、レーザーを不能にし、レーザーの反射ビームを向ける鏡を傾ける及び/又は回転させ、及び/又はレーザーを使用可能にする調整データ1005を生成してもよい。幾つかの例では、制御器1004は、エッジ誘導部材上の蓄積した失透材の熱画像を特定し表す熱画像データをセンサー1010から受信しうる。熱画像データに基づいて制御器1004は、鏡を傾ける及び/又は回転させて反射レーザービームをレーザー発生器から蓄積した失透材へ向ける調整データ1005を生成しうる。制御器1004は次にレーザーをオンにする調整データ1005を生成してよい。制御器1004は、センサー1010から受信した熱画像データに基づいて制御器1004が失透材の温度が少なくとも液相温度に達したと判断するまでレーザーを使用可能のままにしてよい。制御器1004は次にレーザーをオフにし鏡の配置を変えて反射レーザービームをレーザー発生器から別のエッジ誘導部材50に向ける調整データ1005を生成してもよい。
【0059】
図11は制御コンピュータ52などの1つ以上の計算装置によって実行されうる代表的な方法を示す。ステップ1102から始まり、ガラス形成装置20のエッジ誘導部材50の位置が特定されうる。例えば、エッジ誘導部材50の位置はガラス形成装置20に向けられたカメラからの画像データに基づいて決定されうる。ステップ1104では、特定された位置にあるエッジ誘導部材50の第1熱画像を温度カメラ420などの温度カメラから取得する。例えば、制御コンピュータ52は特定された位置を含む位置から熱画像を得るために温度カメラを向け、熱画像を特定し表す熱画像データを受信してもよい。
【0060】
ステップ1106に進み、エッジ誘導部材50上の失透材の存在が第1熱画像に基づいて判断されうる。例えば、制御コンピュータ52は、熱画像データによって特定されたエッジ誘導部材50を横切る熱不整合に基づいて失透材がエッジ誘導部材50上に蓄積されたと判断してよい。ステップ1108では、鏡が、見つけた失透材にレーザービームを向けるように配置されうる。例えば、制御コンピュータ52は反射装置14を制御して反射面15の配置を変えてレーザービーム13をエッジ誘導部材50上の見つけた失透材へ向けてよい。ステップ1110では、レーザー源はレーザービームを鏡に向けるように制御されうる。例えば、制御コンピュータ52は、レーザー発生器12が反射装置14の反射面15に向かうレーザービームを生成するのを可能にしてよい。次にレーザービームは失透材に上述したように向けられうる。
【0061】
ステップ1112に進み、見つけた位置におけるエッジ誘導部材50の第2熱画像を温度カメラから取得しうる。ステップ1114では、見つけた失透材が溶けた及び/又は除去されたか否かが判断されうる。例えば、制御コンピュータ52は第2熱画像に基づいて蓄積された失透材が少なくとも液相温度に達したか否かを判断してよい。失透材が溶けていないと判断すると、この方法はステップ1108に戻り、鏡がレーザービームを見つけた失透材の同じ又は異なる部分へ向けるように制御されうる。そうでなく、失透材が溶けたと判断すると、この方法はステップ1116に進んでよい。ステップ1116では、鏡及びレーザー源はレーザービームをエッジ誘導部材50に亘って向け(例えば、垂直及び/又は水平に)エッジ誘導部材において最小温度を維持するように制御されうる。或いは、レーザーは停止されてもよい。最小温度は、例えばエッジ誘導部材50上の失透材の蓄積を防ぐと特定された温度であってもよい。制御コンピュータ52は、例えば温度カメラからの熱画像データに基づいてエッジ誘導部材の温度が少なくとも最小温度であるかを判断してもよい。
【0062】
上述した方法は例示したフローチャートを参照するが、この方法に関連する動作を実行する多くの他のやり方を使用できることは理解されるであろう。例えば、幾つかの動作の順番は変更されてもよく、記述された動作の幾つかは省略可能でありうる。
【0063】
加えて、本書に記載された方法及びシステムはコンピュータ実行プロセス及びプロセスを実行する装置の形態で少なくとも部分的に具現化されうる。本開示の方法はまた、コンピュータプログラムコードが記憶された実体的持続性機械読取可能記憶媒体の形態で少なくとも部分的に具現化されてよい。例えば、方法のステップはハードウェア、プロセッサによって実行される実行可能命令群(例えば、ソフトウェア)、又はその2つの組み合わせで具現化されうる。媒体は、例えばRAM、ROM、CD‐ROM、DVD‐ROM、BD‐ROM、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、又は任意の他の持続性機械読取可能記憶媒体を含んでもよい。コンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされ実行されると、そのコンピュータは本方法を実行するための装置になる。本方法はまた、コンピュータプログラムコードがロードされ実行され本方法を実行するための専用コンピュータになるコンピュータの形態で少なくとも部分的に具現化されてよい。汎用プロセッサ上で実行される場合、コンピュータプログラムコードセグメントはそのプロセッサを特定論理回路を生成するように構成する。或いは、本方法は、本方法を実行するための特定用途向け集積回路で少なくとも部分的に具現化されてもよい。
【0064】
本開示の実施形態を例示、説明、及び記述する目的のために上記説明が提供される。これらの実施形態への部分変更及び改変は当業者には明白であろうし、本開示の範囲と要旨から逸脱することなく成されることがある。
【0065】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0066】
実施形態1
装置であって、
命令群を記憶するメモリデバイスと、
少なくとも1つのプロセッサを備え前記命令群を実行するように構成された制御器と
を備え、前記命令群は前記制御器に
ガラス形成装置の一部を予め選択させ、
レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように反射装置を構成させ、
前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を失透材抑制のために加熱するように前記レーザー発生器を作動させる、装置。
【0067】
実施形態2
前記制御器は
センサーデータを少なくとも1つのセンサーから受信し、
前記レーザービームのパワーレベルを決定し、
前記決定されたパワーレベルのレーザービームを生成するように前記レーザー発生器を構成するように構成されている、実施形態1記載の装置。
【0068】
実施形態3
前記制御器は
失透材抑制のために失透材料の種類を特定するユーザ入力を受信し、
前記失透材料の前記種類に基づいて前記レーザービームのパワーレベルを決定し、
前記決定されたパワーレベルのレーザービームを生成するように前記レーザー発生器を構成するように構成されている、実施形態1記載の装置。
【0069】
実施形態4
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分はエッジ誘導部材から成る、実施形態1記載の装置。
【0070】
実施形態5
前記制御器は
熱画像装置から第1熱画像データを受信し、
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分上に失透材料が蓄積したと判断し、
前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を加熱して前記判断された失透材料を除去するように前記レーザー発生器を作動させるように構成されている、実施形態1記載の装置。
【0071】
実施形態6
前記制御器は
前記熱画像装置から第2熱画像データを受信し、
前記第2熱画像データに基づいて前記失透材料が除去されたと判断し、
前記レーザービームを使用不能にするために前記レーザー発生器を停止させるように構成されている、実施形態5記載の装置。
【0072】
実施形態7
前記制御器は
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分に前記レーザービームを照射するためにラスターパターンを決定し、
前記決定されたラスターパターンに従って前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成し、
前記レーザービームを生成し前記決定されたラスターパターンに従って前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を加熱するように前記レーザー発生器を作動させるように構成されている、実施形態1記載の装置。
【0073】
実施形態8
装置であって、
レーザービームを生成するように動作可能なレーザー発生器と、
前記レーザー発生器からのレーザービームをガラス形成装置へ反射するように構成された反射装置と、
前記レーザー発生器及び前記反射装置に通信可能に結合された制御器と
を備え、前記制御器は
前記ガラス形成装置の一部を予め選択し、
前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成し、
前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を失透材抑制のために加熱するように前記レーザー発生器を作動させるように構成されている、装置。
【0074】
実施形態9
熱画像装置を備え、
前記制御器は前記熱画像装置に動作可能に結合され、
前記熱画像装置から前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分の第1熱画像データを受信し、
前記第1熱画像データに基づいて前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分上の失透材料を検出し、
前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を加熱して前記検出された失透材料を除去するように前記レーザー発生器を作動させるように構成されている、実施形態8記載の装置。
【0075】
実施形態10
前記制御器は
前記熱画像装置から第2熱画像データを受信し、
前記第2熱画像データに基づいて前記検出された失透材料が除去されたと判断し、
前記レーザービームを使用不能にするために前記レーザー発生器を停止させるように構成されている、実施形態9記載の装置。
【0076】
実施形態11
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分はエッジ誘導部材である、実施形態8記載の装置。
【0077】
実施形態12
位置センサーを備え、
前記制御器は前記位置センサーに通信可能に結合され、
前記位置センサーから前記反射装置の位置を特定する位置データを受信するように構成され、
前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成することは、前記受信した位置データに基づいて前記反射装置の反射面を回転する又は傾けるのうち少なくともどちらかである、実施形態8記載の装置。
【0078】
実施形態13
ガラス形成装置から失透材料を除去するための方法であって、
前記ガラス形成装置の一部を予め選択するステップと、
レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように反射装置を構成するステップと、
前記レーザービームを生成し前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分を加熱するように前記レーザー発生器を作動させるステップと
を含む方法。
【0079】
実施形態14
前記失透材料の種類に基づいて前記レーザービームのパワーレベルを決定するステップと、
前記決定されたパワーレベルのレーザービームを生成するように前記レーザー発生器を構成するステップと
を更に含む実施形態13記載の方法。
【0080】
実施形態15
前記失透材料の種類を特定するユーザ入力を受信するステップと、
前記失透材料の前記種類に基づいて前記レーザービームのパワーレベルを決定するステップと、
前記決定されたパワーレベルのレーザービームを生成するように前記レーザー発生器を構成するステップと
を更に含む実施形態13記載の方法。
【0081】
実施形態16
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分はエッジ誘導部材から成る、実施形態13記載の方法。
【0082】
実施形態17
熱画像装置から第1熱画像データを受信するステップと、
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分上に前記失透材料が蓄積したと判断するステップと
を更に含む実施形態13記載の方法。
【0083】
実施形態18
前記熱画像装置から第2熱画像データを受信するステップと、
前記第2熱画像データに基づいて前記失透材料が除去されたと判断するステップと、
前記レーザービームを使用不能にするために前記レーザー発生器を停止させるステップと
を更に含む実施形態17記載の方法。
【0084】
実施形態19
前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分に前記レーザービームを照射するためにラスターパターンを決定するステップと、
前記決定されたラスターパターンに従って前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成するステップと
を更に含み、
前記レーザー発生器を作動させるステップは、前記決定されたラスターパターンに従って前記レーザー発生器を作動させることを含む、実施形態13記載の方法。
【0085】
実施形態20
位置センサーから前記反射装置の位置を特定する位置データを受信するステップを更に含み、
前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成することは、前記受信した位置データに基づいて前記反射装置の反射面を回転する又は傾けるのうち少なくともどちらかから成る、実施形態13記載の方法。
【0086】
実施形態21
レーザービームを生成するように動作可能なレーザー発生器と、
前記レーザー発生器からのレーザービームをガラス形成装置へ反射するように構成された反射装置と、
前記レーザー発生器及び前記反射装置と通信可能に結合された制御器であって、
前記ガラス形成装置の一部を予め選択し、
前記レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように前記反射装置を構成し、
前記レーザービームを生成するように前記レーザー発生器を作動させるように構成された制御器と
を備え、
失透材料が前記ガラス形成装置上に位置し、溶融ガラスが前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分と前記レーザー発生器の間に前記レーザービームの通路に沿って位置し、
前記レーザービームは前記溶融ガラスを加熱する、装置。
【0087】
実施形態22
ガラス形成装置から失透材料を除去するための方法であって、
前記ガラス形成装置の一部を予め選択するステップと、
レーザー発生器からのレーザービームを前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分へ反射するように反射装置を構成するステップと、
前記レーザービームを生成するように前記レーザー発生器を作動させるステップと
を含み、
失透材料が前記ガラス形成装置上に位置し、溶融ガラスが前記ガラス形成装置の前記予め選択された部分と前記レーザー発生器の間に前記レーザービームの通路に沿って位置し、
前記レーザービームは前記溶融ガラスを加熱する、方法。
【符号の説明】
【0088】
10 失透材抑制システム
12 レーザー発生器
13 レーザービーム
14 反射装置
15 反射面
16 調整機構
17 反射レーザービーム
18 回転シャフト
20 ガラス形成装置
22 成形ウェッジ
24 開チャネル
25、26 壁
27、28 越流堰
30 成形表面
32 下方傾斜集束成形表面
34 根元
38 送出通路
40 ダム
42 自由表面
44 ガラスリボン
46 引っ張りロール
48 側縁
50 エッジ誘導部材
52 制御コンピュータ
55 レーザーパワー制御部
102 失透材
104 エッジ誘導部材
401 失透材除去装置
402 動く鏡
404 光学系
406 制御器
408 窓
410 窓枠
411 空気パージ入口
412 炉壁
414 スペーサー
420 熱画像カメラ
422 鏡