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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】アッパー及びこれを備えた靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20240801BHJP
   A43C 1/06 20060101ALI20240801BHJP
   A43C 7/02 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
A43B23/02 104
A43C1/06
A43C7/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022570867
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2020048286
(87)【国際公開番号】W WO2022137407
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 千早
(72)【発明者】
【氏名】上福元 史隆
(72)【発明者】
【氏名】大越 一輝
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-536207(JP,A)
【文献】特表2012-512698(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0037708(US,A1)
【文献】特表平09-509594(JP,A)
【文献】特表2016-516458(JP,A)
【文献】特表2016-536083(JP,A)
【文献】特許第3027183(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0059206(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03750435(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00- 23/30
A43C 1/00- 19/00
A43C 1/00-999/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の甲を覆うアッパー本体を備え、
前記アッパー本体
足の中足部を覆うアッパー中足部と、
前記アッパー中足部と連続して形成されて足底を覆うアッパー足底部と、
前記アッパー中足部の一部に設けられ、前記アッパー本体の外縁から離れた領域である部分領域と、
前記部分領域に形成され、前後方向に延びる開口と、
前記部分領域から前記外縁に向かって延びた後、前記部分領域に戻るように延びて、シューレースが通過可能な筒状の通路と、
前記開口の側縁部において前後方向に互いに離隔して設けられ、前記通路の内部と外部とを連通する複数の連通部と、を備え、
前記通路は、
前記複数の連通部のうちいずれか1つから前記アッパー足底部に向かって延びた後、他の前記連通部まで延びる中足側通路と、
前記中足側通路から前記アッパー足底部まで延びた後、前記アッパー足底部内で折り返されて前記中足側通路に戻るように延びる足底側通路と、を含む、アッパー。
【請求項2】
前記中足側通路は、前記開口を挟んで外足側に形成された外足側通路と、前記開口を挟んで内足側に形成された第足側通路とを含み、
前記足底側通路は、前記外足側通路から前記アッパー足底部まで延びた後、前記外足側通路に戻るように延びる、請求項に記載のアッパー。
【請求項3】
前記足底側通路は、前記アッパー足底部の中足部分に配置されている、請求項またはに記載のアッパー。
【請求項4】
前記アッパー本体は、前記アッパー中足部と連続して形成されて足の前足部を覆うアッパー前足部を備え、
前記通路は、前記中足側通路から前記アッパー前足部まで延びた後、前記中足側通路に戻るように延びる前足側通路を含む、請求項からのいずれか1項に記載のアッパー。
【請求項5】
前記アッパー本体は、前記アッパー中足部と連続して形成されて足の後足部を覆うアッパー後足部を備え、
前記通路は、前記中足側通路から前記アッパー後足部まで延びた後、前記中足側通路に戻るように延びる後足側通路を含む、請求項からのいずれか1項に記載のアッパー。
【請求項6】
前記アッパー本体は、単一材料で形成されている、請求項1からのいずれか1項に記載のアッパー。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載のアッパーと、前記アッパーの下方に位置するソールとを備えた、靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アッパー及びこれを備えた靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シューレースを緊張させることによりアッパーを足に密着させる靴が多数開発されて実用化に至っている。例えば、特許文献1には、着用者の足を挿入するための履き口と、履き口に連通して履き口から前方に延びる開口と、開口の左右の側縁部のそれぞれに設けられて前後方向に離隔する複数の孔とが形成されたアッパーにおいて、左右の孔に交互にシューレースを通す発明が開示されている。特許文献1に開示された発明では、左右の孔に通したシューレースを緊張させることによりアッパーを足に密着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-190351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シューレースを緊張させることによって生じるアッパーへの締め付け力は、アッパーのうちシューレースが通される部分に近いほど強いため、特許文献1に開示された発明のようにシューレースが左右の側縁部の孔に通される構造では、締め付け力が開口の左右の側縁部を中心に加わる。しかしながら、開口の左右の側縁部以外の部分にも締め付け力を加えてアッパーを締め付けたい場合もある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シューレースを通す部分の選択の自由度を高めることができると同時に、アッパーを足底側から引っ張り上げることができるアッパーを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るアッパーは、足の甲を覆うアッパー本体を備え、アッパー本体には、アッパー本体の外縁から離れた領域である部分領域と、部分領域から外縁に向かって延びた後、部分領域に戻るように延びて、シューレースが通過可能な筒状の通路が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るアッパーは、シューレースを通す部分の選択の自由度を高めることができると同時に、アッパーを足底側から引っ張り上げることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る靴の斜視図である。
図2図2は、実施の形態1に係るアッパーの展開図である。
図3図3は、実施の形態1に係るアッパーの上面図である。
図4図4は、実施の形態1に係るアッパーの外足側側面図である。
図5図5は、実施の形態1に係るアッパーの底面図である。
図6図6は、実施の形態1に係るアッパーの内足側側面図である。
図7図7は、実施の形態1に係るアッパーの後面図である。
図8図8は、図4に示されるVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図9は、実施の形態2に係るアッパーの展開図である。
図10図10は、実施の形態3に係るアッパーの展開図である。
図11図11は、実施の形態4に係るアッパーの展開図である。
図12図12は、実施の形態5に係るアッパーの展開図である。
図13図13は、実施の形態6に係るアッパーの展開図である。
図14図14は、実施の形態7に係るアッパーの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係るアッパー及びこれを備えた靴の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
以下において示す実施の形態においては、靴を平面視した状態において靴の中心を通る垂線であるシューズセンター軸が延在する方向を前後方向と称し、靴を平面視した状態において上記前後方向と直交する方向を左右方向と称する。
【0011】
また、前後方向のうち、アッパーの足の後足部を覆う部分が位置する側の末端から、アッパーの足の前足部を覆う部分が位置する側の末端を向く方向を前方と称し、前後方向のうち、アッパーの足の前足部を覆う部分が位置する側の末端から、アッパーの足の後足部を覆う部分が位置する側の末端を向く方向を後方と称する。
【0012】
また、足のうちの解剖学的正位における正中側を内足側と称し、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側を外足側と称する。すなわち、解剖学的正位における正中に近い側を内足側と称し、解剖学的正位における正中に遠い側を外足側と称する。
【0013】
また、アッパーの前端からアッパーの前後方向の寸法の30%に相当する位置を通る左右方向に沿った線を第1境界線とし、アッパーの前端からアッパーの前後方向の寸法の80%に相当する位置を通る左右方向に沿った線を第2境界線とした場合に、第1境界線よりも前方に位置する部分をアッパー前足部と称し、第1境界線と第2境界線との間に挟まれる部分をアッパー中足部と称し、第2境界線よりも後方に位置する部分をアッパー後足部と称する。
【0014】
アッパー前足部は、標準的な体型の着用者の足の前足部を覆う部分に該当し、アッパー中足部は、標準的な体型の着用者の足の中足部を覆う部分に該当し、アッパー後足部は、標準的な体型の着用者の足の後足部を覆う部分に該当する。すなわち、第1境界線は、標準的な体型の着用者のMP関節に概ね沿った線であり、第2境界線は、標準的な体型の着用者のショパール関節に概ね沿った線である。
【0015】
さらには、高さ方向とは、他に特段の記載がない限り、前後方向及び左右方向の両方向に直交する方向を意味し、厚さとは、他に特段の記載がない限り、高さ方向の寸法を意味する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る靴1の斜視図である。図1には、左足用の靴1のみを図示している。靴1は、左足用と右足用とで左右対称構造であるため、本実施の形態では左足用の靴1のみを説明し、右足用の靴1の説明を省略する。靴1は、例えば、ランニング用やウォーキング用、登山用の靴、テニスやバスケットボール等のスポーツ用の靴である。靴1は、アッパー2と、アッパー2の下方に位置するソール3とを備えている。アッパー2は、主として足の甲側の部分を覆う。ソール3は、足裏を覆う。
【0017】
アッパー2は、アッパー本体20と、シュータン21と、シューレース22とを備えている。
【0018】
アッパー本体20は、主として足の甲側の部分を覆う。アッパー本体20の上部には、着用者の足を挿入するための履き口20aと、履き口20aに連通して履き口20aから前方に延びる開口20bとが形成されている。アッパー本体20のうち開口20bが形成される領域は、アッパー本体20の外縁20cから離れた領域である部分領域となる。アッパー本体20の外縁20cは、組み立てられた状態のアッパー本体20を平面視したときに最も外周に位置する縁である。アッパー本体20には、開口20bから外縁20cに向かって延びた後、開口20bに戻るように延びて、シューレース22が通過可能な筒状の通路4が形成されている。なお、通路4は、アッパー本体20の外部から視認可能に形成される場合とアッパー本体20の外部から視認不能に形成される場合とがあるが、各図では、理解の容易化のために通路4をドットハッチングで図示している。
【0019】
シュータン21は、着用者の足の甲を保護するための部材である。シュータン21は、アッパー本体20の内部において開口20bを覆っている。シュータン21は、アッパー本体20に縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによって固定されている。アッパー本体20及びシュータン21の材料には、例えば、織地、編地、合成皮革又は樹脂が用いられる。特に通気性及び軽量性が求められる靴1においては、アッパー本体20及びシュータン21の材料には、ポリエステル糸を編み込んだダブルラッセル経編地が用いられることが好ましい。なお、アッパー本体20及びシュータン21の材料は、例示した材料に限定されない。
【0020】
シューレース22は、アッパー本体20の通路4に通される紐状の部材であって、アッパー本体20に着脱可能に取り付けられている。なお、シューレース22には、アッパー本体20の外部から見える部分と見えない部分とがあるが、各図では、理解の容易化のためにシューレース22の全体を破線で図示している。
【0021】
ソール3は、アウトソール30と、ミッドソール31とを備えている。ソール3は、縫合、溶着、接着又はこれらの組み合わせによってアッパー2に固定される。アウトソール30の下面は、地面に設置する接地面30aとなる。ミッドソール31は、アウトソール30の上面に位置しており、クッション性を有している。なお、アウトソール30は、ミッドソール31と一体であってもよい。アウトソール30が一体化されたミッドソール31は、「ユニソール」とも称される。
【0022】
次に、図2から図7を参照して、アッパー本体20の構成についてさらに詳しく説明する。図2は、実施の形態1に係るアッパー2の展開図である。図3は、実施の形態1に係るアッパー2の上面図である。図4は、実施の形態1に係るアッパー2の外足側側面図である。図5は、実施の形態1に係るアッパー2の底面図である。図6は、実施の形態1に係るアッパー2の内足側側面図である。図7は、実施の形態1に係るアッパー2の後面図である。
【0023】
図2および図3に示すように、アッパー本体20は、標準的な体型の着用者の足の前足部を覆う部分であるアッパー前足部23と、標準的な体型の着用者の足の中足部を覆う部分であるアッパー中足部24と、標準的な体型の着用者の足の後足部を覆う部分であるアッパー後足部25と、標準的な体型の着用者の足底を覆う部分であるアッパー足底部26とを備えている。アッパー前足部23、アッパー中足部24及びアッパー後足部25は、この順番でアッパー本体20の前方から前後方向に連なっている。アッパー前足部23は、第1境界線S1よりも前方に位置している。アッパー中足部24は、第1境界線S1と第2境界線S2との間に挟まれる部分に位置している。アッパー後足部25は、第2境界線S2よりも後方に位置している。アッパー前足部23は、アッパー中足部24と連続して形成されている。アッパー後足部25は、アッパー中足部24と連続して形成されている。アッパー足底部26は、アッパー中足部24と連続して形成されている。アッパー足底部26は、アッパー中足部24の外足側の下縁に繋がっている。アッパー足底部26は、アッパー前足部23の下縁、アッパー中足部24の下縁及びアッパー後足部25の下縁に囲まれて形成される下側開口を覆う中底となる。アッパー足底部26は、図1に示されるミッドソール31の上面に接着又は溶着によって固定される。なお、靴1は、中敷きを備えていてもよい。靴1が中敷きを備える場合、中敷きは、アッパー2の内部でアッパー足底部26の上に設置される。
【0024】
図2に示すように、開口20bは、アッパー中足部24の一部に設けられている。開口20bは、アッパー中足部24の左右方向の中央部において前後方向に延びている。アッパー本体20には、通路4の内部と外部とを連通する複数の連通部27a-27mが形成されている。以下、複数の連通部27a-27mのそれぞれを区別せずに連通部27と呼ぶ場合もある。複数の連通部27は、開口20bの左右の側縁部において、前後方向に互いに離隔して設けられている。連通部27の数は、特に制限されないが、本実施の形態では開口20bの左右の側縁部に6つずつ設けられている。開口20bの外足側の側縁部には、前方から順番に連通部27a、連通部27b、連通部27c、連通部27d、連通部27e、連通部27fが配置されている。開口20bの内足側の側縁部には、前方から順番に連通部27g、連通部27h、連通部27i、連通部27j、連通部27k、連通部27mが配置されている。
【0025】
連通部27は、通路4の内部と外部とを連通可能であればその構成は特に制限されないが、本実施の形態では通路4が開口20bまで延びることで形成されているか、または、アッパー本体20を上下方向に貫通するハトメ孔で形成されている。本実施の形態では、開口20bの左右の側縁部において最も後方に位置する連通部27f,27mがハトメ孔で形成されて、残りの連通部27は通路4が開口20bまで延びることで形成されている。
【0026】
通路4は、中足側通路41と、足底側通路42と、前足側通路43と、後足側通路44とを含んでいる。
【0027】
中足側通路41は、複数の連通部27のうちいずれか1つからアッパー足底部26に向かって延びた後、他の連通部27まで延びる通路である。中足側通路41は、概ねU字状に延びている。中足側通路41は、開口20bを挟んで外足側に形成された複数の外足側通路45と、開口20bを挟んで内足側に形成された複数の内足側通路46とを含んでいる。外足側通路45と内足側通路46とは、左右対称形状である。
【0028】
外足側通路45の数は、特に制限されないが、本実施の形態では3つである。3つの外足側通路45は、前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。以下、3つの外足側通路45を区別する場合には、前方から順番に外足側通路45A、外足側通路45B、外足側通路45Cと称する。外足側通路45のそれぞれは、1つの連通部27からアッパー足底部26に向かって延びる第1外足側通路45aと、第1外足側通路45aのアッパー足底部26を向く端部から後方に向かって延びる第2外足側通路45bと、第2外足側通路45bの後端部から開口20bに向かって他の連通部27まで延びる第3外足側通路45cとを含んでいる。第3外足側通路45cは、第1外足側通路45aと繋がる連通部27の1つ後ろの連通部27に繋がっている。すなわち、外足側通路45は、前後方向に隣り合う2つの連通部27を繋いでいる。
【0029】
内足側通路46の数は、特に制限されないが、本実施の形態では3つである。3つの内足側通路46は、前後方向に互いに間隔を空けて配置されている。以下、3つの内足側通路46を区別する場合には、前方から順番に内足側通路46A、内足側通路46B、内足側通路46Cと称する。内足側通路46のそれぞれは、1つの連通部27からアッパー足底部26に向かって延びる第1内足側通路46aと、第1内足側通路46aのアッパー足底部26を向く端部から後方に向かって延びる第2内足側通路46bと、第2内足側通路46bの後端部から開口20bに向かって他の連通部27まで延びる第3内足側通路46cとを含んでいる。第3内足側通路46cは、第1内足側通路46aと繋がる連通部27の1つ後ろの連通部27に繋がっている。すなわち、内足側通路46は、前後方向に隣り合う2つの連通部27を繋いでいる。
【0030】
足底側通路42は、中足側通路41の外足側通路45からアッパー足底部26まで延びた後、中足側通路41の外足側通路45に戻るように延びる通路である。足底側通路42は、概ねU字状に延びている。足底側通路42は、アッパー中足部24とアッパー足底部26とに跨って設けられている。足底側通路42は、本実施の形態では3つの外足側通路45のうち前後方向の中央に位置する外足側通路45に繋がっている。足底側通路42のうちアッパー足底部26に形成された部分は、アッパー足底部26の中足部分に配置されている。
【0031】
足底側通路42は、第1外足側通路45aからアッパー足底部26まで延びる第1足底側通路42aと、第1足底側通路42aのうちアッパー足底部26に位置する端部から後方に向かって延びる第2足底側通路42bと、第2足底側通路42bの後端部から第3外足側通路45cまで延びる第3足底側通路42cとを含んでいる。図4に示すように、第1足底側通路42aの一部および第3足底側通路42cの一部は、アッパー中足部24において上下方向に延びている。図5に示すように、第1足底側通路42aの残部および第3足底側通路42cの残部は、アッパー足底部26において左右方向に延びている。第2足底側通路42bは、アッパー足底部26において前後方向に延びている。
【0032】
図2に示すように、前足側通路43は、中足側通路41からアッパー前足部23まで延びた後、中足側通路41に戻るように延びる通路である。詳しくは、前足側通路43は、最も前方に位置する外足側通路45Aからアッパー前足部23まで延びた後、アッパー前足部23の爪先付近を通って最も前方に位置する内足側通路46Aまで延びている。前足側通路43は、2つの第1前足側通路43aと、2つの第2前足側通路43bとを含んでいる。
【0033】
2つの第1前足側通路43aは、シューズセンター軸Cを挟んで左右対称となる位置に設けられている。外足側に位置する第1前足側通路43aは、外足側通路45Aの第1外足側通路45aと第2外足側通路45bとの境界部から前方に向かうにつれて内足側に位置するように延びている。内足側に位置する第1前足側通路43aは、内足側通路46Aの第1内足側通路46aと第2内足側通路46bとの境界部から前方に向かうにつれて外足側に位置するように延びている。
【0034】
2つの第2前足側通路43bは、開口20bの前方において左右方向に並んで設けられている。第2前足側通路43bは、概ねU字状に延びている。第2前足側通路43bのそれぞれは、第1前足側通路43aの先端部から前方に向かうにつれてシューズセンター軸Cから離れるように延びる第1部分通路43cと、第1部分通路43cの先端部から前方に向かうにつれてシューズセンター軸Cに近づくように延びる第2部分通路43dと、第2部分通路43dの先端部から後方に向かうにつれてシューズセンター軸Cに近づくように延びる第3部分通路43eとを含んでいる。2つの第2前足側通路43bの第3部分通路43eの先端部同士は、互いに繋がっている。
【0035】
図3に示すように、後足側通路44は、概ねU字状に延びている。後足側通路44は、中足側通路41からアッパー後足部25まで延びた後、中足側通路41に戻るように延びる通路である。詳しくは、後足側通路44は、最も後方に位置する外足側通路45Cからアッパー後足部25まで延びた後、アッパー後足部25の踵部分を通って最も後方に位置する内足側通路46Cまで延びている。後足側通路44の長さ方向に沿った一端部は、外足側通路45Cのうち後方から2つ目の連通部27と連通する部分付近に繋がっている。後足側通路44の長さ方向に沿った他端部は、内足側通路46Cのうち後方から1つ目の連通部27と連通する部分付近に繋がっている。図4図6および図7に示すように、後足側通路44は、アッパー後足部25の上下方向の中央よりも履き口20aに寄った位置に設けられている。
【0036】
図8は、図4に示されるVIII-VIII線に沿った断面図である。図8に示すように、アッパー本体20は、アッパー本体20の外部を向く第1層20dと、第1層20dと間隔を空けて配置されてアッパー本体20の内部を向く第2層20eと、第1層20dと第2層20eとを繋ぐ第3層20fとを有する。第1層20dと第2層20eと第3層20fとは、単一材料で一体に形成されている。アッパー本体20には、第3層20fが設けられている箇所と第3層20fが設けられていない箇所とが存在する。本実施の形態では、第3層20fが設けられていない箇所が通路4となる。つまり、通路4は、アッパー本体20の一部に第3層20fを設けないことで形成されている。
【0037】
図2に示すように、シューレース22は、全ての外足側通路45と全ての内足側通路46とに通されている。シューレース22は、外足側通路45と内足側通路46とに交互に通されている。シューレース22は、外足側通路45Aと内足側通路46Bと外足側通路45Cとに通される第1部分22aと、内足側通路46Aと外足側通路45Bと内足側通路46Cとに通される第2部分22bとを有する。
【0038】
第1部分22aの長さ方向に沿った一端部と第2部分22bの長さ方向に沿った一端部とは、2つの連通部27a,27gの間で互いに繋がっている。第1部分22aの一部および第2部分22bの一部は、開口20bを横切って左右方向に延びている。第1部分22aおよび第2部分22bのうち開口20bを横切る部分は、アッパー本体20の外部に露出している。第1部分22aの長さ方向に沿った他端部は、外足側において最も後方に位置する連通部27fからアッパー本体20の外部に露出している。第2部分22bの長さ方向に沿った他端部は、内足側において最も後方に位置する連通部27mからアッパー本体20の外部に露出している。図示は省略するが、第1部分22aの長さ方向に沿った他端部と第2部分22bの長さ方向に沿った他端部とは、蝶結び等で結束される。
【0039】
次に、本実施の形態に係るアッパー2の効果について説明する。
【0040】
本実施の形態では、図1に示すように、アッパー2は、足の甲を覆うアッパー本体20を備え、アッパー本体20には、アッパー本体20の外縁20cから離れた領域に設けられた開口20bと、開口20bから外縁20cに向かって延びた後、開口20bに戻るように延びてシューレース22が通過可能な筒状の通路4が形成されている。この構成により、アッパー本体20における通路4の位置の設計自由度が高まり、アッパー本体20においてシューレース22を通す部分の選択の自由度を高めることができる。また、アッパー本体20を足底側、すなわちアッパー2とソール3との接合部分近くである外縁20cから引っ張り上げることができる。
【0041】
本実施の形態では、アッパー前足部23、アッパー中足部24、アッパー後足部25およびアッパー足底部26に通路4が形成されることにより、シューレース22を通すルートのバリエーションが増えるため、アッパー本体20のうちシューレース22で締め付ける部分を変えることができる。
【0042】
本実施の形態では、図2に示すように、アッパー本体20には、通路4の内部と外部とを連通する連通部27が形成されていることにより、通路4へのシューレース22への出し入れを行うことができる。
【0043】
本実施の形態では、図2に示すように、アッパー本体20は、足の中足部を覆うアッパー中足部24と、アッパー中足部24と連続して形成されて足底を覆うアッパー足底部26とを備え、アッパー中足部24には、前後方向に延びる開口20bが形成されている。また、連通部27は、開口20bの左右の側縁部において前後方向に互いに離隔して複数設けられ、通路4は、複数の連通部27のうちいずれか1つからアッパー足底部26に向かって延びた後、他の連通部27まで延びる中足側通路41を含んでいる。このような構成において、中足側通路41にシューレース22を通して緊張させることにより、アッパー中足部24を下から持ち上げることができるため、着圧を分散させた心地よい締め具合を実現することができる。すなわち、シューレース22によってアッパー中足部24を下から持ち上げることで、シューレース22による締め付け力がアッパー中足部24のうちアッパー足底部26付近から開口20bに亘って均一に伝わりやすくなるため、着用者の足裏付近から足の甲に亘って適度な締め付け感を与えることができる。
【0044】
本実施の形態では、図2に示すように、中足側通路41は、開口20bを挟んで外足側に形成された外足側通路45と、開口20bを挟んで内足側に形成された内足側通路46とを含んでいる。このような構成により、シューレース22によってアッパー中足部24の左右両側の部分を下から持ち上げることができるため、着圧を分散させた心地よい締め具合を左右バランス良く実現することができる。
【0045】
本実施の形態では、アッパー本体20は、単一材料で形成されているため、通路4を備えたアッパー2を容易に製造することができる。
【0046】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係るアッパー2Aの展開図である。実施の形態2に係るアッパー2Aは、連通部27の構成が実施の形態1に係るアッパー2と相違する。なお、実施の形態2では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
外足側通路45の長さ方向に沿った両端部は、開口20bまで延びておらず、開口20bから離れている。内足側通路46の長さ方向に沿った両端部は、開口20bまで延びておらず、開口20bから離れている。外足側通路45の長さ方向に沿った両端部と重なる位置および内足側通路46の長さ方向に沿った両端部と重なる位置には、連通部27が設けられている。連通部27は、本実施の形態ではアッパー本体20を上下方向に貫通するハトメ孔のみで形成されている。本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0048】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3に係るアッパー2Bの展開図である。実施の形態3に係るアッパー2Bは、シューレース22を通すルートが実施の形態2に係るアッパー2Aと相違する。なお、実施の形態3では、前記した実施の形態1,2と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
シューレース22は、本実施の形態では外足側通路45と内足側通路46と足底側通路42とに通されている。シューレース22は、外足側通路45Aと内足側通路46Bと外足側通路45Cとに通される第1部分22cと、内足側通路46Aと外足側通路45Bと足底側通路42と内足側通路46Cとに通される第2部分22dとを有する。第2部分22dは、外足側通路45Bの第1外足側通路45a、足底側通路42、外足側通路45Bの第3外足側通路45cの順に通されており、第2外足側通路45bに通されていない。
【0050】
第1部分22cの長さ方向に沿った一端部と第2部分22dの長さ方向に沿った一端部とは、2つの連通部27a,27gの間で互いに繋がっている。第1部分22cの一部および第2部分22dの一部は、開口20bを横切って左右方向に延びている。第1部分22cおよび第2部分22dのうち開口20bを横切る部分は、アッパー本体20の外部に露出している。第1部分22cの長さ方向に沿った他端部は、外足側において最も後方に位置する連通部27fからアッパー本体20の外部に露出している。第2部分22dの長さ方向に沿った他端部は、内足側において最も後方に位置する連通部27mからアッパー本体20の外部に露出している。図示は省略するが、第1部分22cの長さ方向に沿った他端部と第2部分22dの長さ方向に沿った他端部とは、蝶結び等で結束される。
【0051】
本実施の形態では、前記した実施の形態1,2と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、通路4は、中足側通路41からアッパー足底部26まで延びた後、中足側通路41に戻るように延びる足底側通路42を含み、足底側通路42にもシューレース22が通されることにより、シューレース22によってアッパー足底部26を下から引き上げることができるため、着用者の足裏にも締め付け感を与えることができる。また、本実施の形態では、足底側通路42は、アッパー足底部26の中足部分に配置されていることにより、着用者の内側縦アーチの落ち込みを抑制することができる。
【0052】
(実施の形態4)
図11は、実施の形態4に係るアッパー2Cの展開図である。実施の形態4に係るアッパー2Cは、シューレース22を通すルートが実施の形態2に係るアッパー2Aと相違する。なお、実施の形態4では、前記した実施の形態1,2と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0053】
シューレース22は、本実施の形態では一部の外足側通路45と一部の内足側通路46と足底側通路42と後足側通路44とに通されている。シューレース22は、外足側通路45Aと内足側通路46Bと後足側通路44とに通される第1部分22eと、内足側通路46Aと外足側通路45Bと足底側通路42とに通される第2部分22fとを有する。
【0054】
第1部分22eは、外足側通路45A、内足側通路46B、連通部27e、後足側通路44、連通部27mの順に通されている。第2部分22fは、内足側通路46A、外足側通路45Bの第1外足側通路45a、足底側通路42、外足側通路45Bの第3外足側通路45c、連通部27k,27fの順に通されている。
【0055】
第1部分22eの長さ方向に沿った一端部と第2部分22fの長さ方向に沿った一端部とは、2つの連通部27a,27gの間で互いに繋がっている。第1部分22eの一部および第2部分22fの一部は、開口20bを横切って左右方向に延びている。第1部分22eおよび第2部分22fのうち開口20bを横切る部分は、アッパー本体20の外部に露出している。第1部分22eの長さ方向に沿った他端部は、内足側において最も後方に位置する連通部27mからアッパー本体20の外部に露出している。第2部分22fの長さ方向に沿った他端部は、外足側において最も後方に位置する連通部27fからアッパー本体20の外部に露出している。図示は省略するが、第1部分22eの長さ方向に沿った他端部と第2部分22fの長さ方向に沿った他端部とは、蝶結び等で結束される。
【0056】
本実施の形態では、前記した実施の形態1から3と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、通路4は、中足側通路41からアッパー後足部25まで延びた後、中足側通路41に戻るように延びる後足側通路44を含み、後足側通路44にもシューレース22が通されることにより、シューレース22によってアッパー後足部25を締め付けることができるため、着用者の後足部にも締め付け感を与えることができる。
【0057】
(実施の形態5)
図12は、実施の形態5に係るアッパー2Dの展開図である。実施の形態5に係るアッパー2Dは、シューレース22を通すルートが実施の形態2に係るアッパー2Aと相違する。なお、実施の形態5では、前記した実施の形態1,2と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0058】
シューレース22は、本実施の形態では前足側通路43と一部の外足側通路45と一部の内足側通路46と足底側通路42と後足側通路44とに通されている。シューレース22は、前足側通路43と外足側通路45Aと内足側通路46Aとに通される第1部分22gと、外足側通路45Bと足底側通路42とに通される第2部分22hと、内足側通路46Bと後足側通路44とに通される第3部分22iとを有する。
【0059】
第1部分22gは、前足側通路43と外足側通路45Aの第1外足側通路45aと内足側通路46Aの第1内足側通路46aとに通されている。
【0060】
第2部分22hは、連通部27a,27h,27c、外足側通路45Bの第1外足側通路45a、足底側通路42、外足側通路45Bの第3外足側通路45c、連通部27d,27k,27fの順に通されている。
【0061】
第3部分22iは、連通部27g,27b,27i、内足側通路46B、連通部27j,27e、後足側通路44、連通部27mの順に通されている。
【0062】
第2部分22hの長さ方向に沿った一端部と第3部分22iの長さ方向に沿った一端部とは、第1部分22gに繋がっている。第2部分22hの一部および第3部分22iの一部は、開口20bを横切って左右方向に延びている。第2部分22hおよび第3部分22iのうち開口20bを横切る部分は、アッパー本体20の外部に露出している。第2部分22hの長さ方向に沿った他端部は、外足側において最も後方に位置する連通部27fからアッパー本体20の外部に露出している。第3部分22iの長さ方向に沿った他端部は、内足側において最も後方に位置する連通部27mからアッパー本体20の外部に露出している。図示は省略するが、第2部分22hの長さ方向に沿った他端部と第3部分22iの長さ方向に沿った他端部とは、蝶結び等で結束される。
【0063】
本実施の形態では、前記した実施の形態1から4と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、通路4は、中足側通路41からアッパー前足部23まで延びた後、中足側通路41に戻るように延びる前足側通路43を含み、前足側通路43にもシューレース22が通されることにより、シューレース22によってアッパー前足部23を締め付けることができるため、着用者の前足部にも締め付け感を与えることができる。
【0064】
(実施の形態6)
図13は、実施の形態6に係るアッパー2Eの展開図である。実施の形態6に係るアッパー2Eは、通路4Aの数が1つである点が実施の形態1に係るアッパー2と相違する。通路は、前記した実施の形態1から5のように複数でもよいし、本実施の形態のように単数でもよい。図13では、シューレース22の図示を省略している。なお、実施の形態6では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
通路4Aは、開口20bの外足側に形成されている。通路4Aは、複数の連通部27のうちいずれか1つからアッパー足底部26に向かって延びた後、他の連通部27まで延びる通路である。通路4Aは、概ねU字状に延びている。通路4Aは、1つの連通部27からアッパー足底部26まで延びる第1通路47と、第1通路47のうちアッパー足底部26に位置する端部から後方に向かって延びる第2通路48と、第2通路48の後端部から開口20bに向かって他の連通部27まで延びる第3通路49とを含んでいる。
【0066】
第3通路49は、第1通路47と繋がる連通部27の1つ後ろの連通部27に繋がっている。すなわち、通路4Aは、前後方向に隣り合う2つの連通部27を繋いでいる。第1通路47の一部および第3通路49の一部は、アッパー中足部24において上下方向に延びている。第1通路47の残部および第3通路49の残部は、アッパー足底部26において左右方向に延びている。第2通路48は、アッパー足底部26において前後方向に延びている。通路4Aのうちアッパー足底部26に形成された部分は、アッパー足底部26の中足部分に配置されている。アッパー本体20において開口20bの左右の側縁部には、複数のハトメ孔20gが前後方向に間隔を空けて形成されている。左側の側縁部に形成されたハトメ孔20gは、通路4Aを挟んで前後に設けられている。
【0067】
本実施の形態では、前記した実施の形態1と同様の効果を奏することができる。なお、連通部27は、本実施の形態では通路4Aが開口20bまで延びることで形成されているが、通路4Aの長さ方向に沿った両端部と重なる位置に設けられたハトメ孔であってもよい。
【0068】
(実施の形態7)
図14は、実施の形態7に係るアッパー2Fの展開図である。実施の形態7に係るアッパー2Fは、開口20bがない点が実施の形態1に係るアッパー2と相違する。なお、実施の形態7では、前記した実施の形態1と重複する部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0069】
本実施の形態では、開口20bがない状態のアッパー2を市場に流通させて、流通過程で部分領域28の裁断を行って開口20bを形成する場合を想定している。図14では、理解の容易化のため、部分領域28の外縁を破線で図示している。裁断を行う前の通路4にはシューレース22が通されないため、図14では、シューレース22を図示していない。アッパー本体20には、アッパー本体20の外縁20cから離れた領域である部分領域28と、部分領域28から外縁20cに向かって延びた後、部分領域28に戻るように延びてシューレース22が通過可能な筒状の通路4が形成されている。部分領域28は、アッパー中足部24の一部に設けられている。部分領域28は、アッパー中足部24の左右方向の中央部において、前後方向に延びている。
【0070】
部分領域28を裁断することによって、図2に示される開口20bを形成することができる。これにより、第3層20fが無い通路4の一部が開口20bに連通して、アッパー本体20に連通部27が形成されるため、連通部27を通じて通路4へのシューレース22の出し入れが可能になる。
【0071】
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。前記した実施の形態1から5にかかる通路4にシューレース22を通すルートは、図示した例に限定されない。例えば、シューレース22が前足側通路43と外足側通路45と内足側通路46のみに通されてもよいし、シューレース22が外足側通路45と内足側通路46と後足側通路44のみに通されてもよい。
【0072】
前記した実施の形態1から5,7にかかる通路4のうち足底側通路42、前足側通路43および後足側通路44のうちいずれか1つ以上を省略してもよい。足底側通路42を省略する場合には、アッパー足底部26を省略してもよい。また、通路4の位置や形状は、図示した例に限定されず、アッパー本体20のうちシューレース22で締め付けたい部分に合わせて適宜変更してよい。また、前記した実施の形態1から7では、アッパー本体20が単一材料で形成されているが、アッパー本体20が複数材料を組み合わせて形成されてもよい。また、前記した実施の形態1から7では、アッパー本体20が第1層20dと第2層20eと第3層20fとを有する3層構造である場合を例示したが、アッパー本体20が単層構造、3層以外の複数構造でもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 靴、2,2A,2B,2C,2D,2E,2F アッパー、3 ソール、4,4A 通路、20 アッパー本体、20a 履き口、20b 開口、20c 外縁、20d 第1層、20e 第2層、20f 第3層、20g ハトメ孔、21 シュータン、22 シューレース、22a,22c,22e,22g 第1部分、22b,22d,22f,22h 第2部分、22i 第3部分、23 アッパー前足部、24 アッパー中足部、25 アッパー後足部、26 アッパー足底部、27,27a,27b,27c,27d,27e,27f,27g,27h,27i,27j,27k,27m 連通部、28 部分領域、30 アウトソール、30a 接地面、31 ミッドソール、41 中足側通路、42 足底側通路、42a 第1足底側通路、42b 第2足底側通路、42c 第3足底側通路、43 前足側通路、43a 第1前足側通路、43b 第2前足側通路、43c 第1部分通路、43d 第2部分通路、43e 第3部分通路、44 後足側通路、45,45A,45B,45C 外足側通路、45a 第1外足側通路、45b 第2外足側通路、45c 第3外足側通路、46,46A,46B,46C 内足側通路、46a 第1内足側通路、46b 第2内足側通路、46c 第3内足側通路、47 第1通路、48 第2通路、49 第3通路、C シューズセンター軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14