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特許7530997走行路撮影システムおよび走行路撮影システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】走行路撮影システムおよび走行路撮影システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240801BHJP
   H04N 5/77 20060101ALI20240801BHJP
   B61L 25/06 20060101ALI20240801BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20240801BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240801BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N5/77
B61L25/06 A
B61L25/02 Z
G03B15/00 V
G03B15/00 R
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022572135
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 JP2021045476
(87)【国際公開番号】W WO2022138224
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2020215178
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蘆原 成
(72)【発明者】
【氏名】小池 潤
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-159955(JP,A)
【文献】特開2003-063459(JP,A)
【文献】特開2010-282278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 5/77
B61L 25/06
B61L 25/02
G03B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
走行路の近傍を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した走行路近傍画像を記録する記録装置と、
制御部と、
を備えた走行路撮影システムであって、
前記制御部は、
前記走行路近傍画像から開始指示識別標を識別し、前記開始指示識別標から取得した記録開始を指示する情報に基づいて前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を開始する、
走行路撮影システム。
【請求項3】
請求項2に記載の走行路撮影システムであって、
前記走行路撮影システムは、
移動体が走行した距離を算出する走行距離算出部に接続可能であり、
前記制御部は、
前記開始指示識別標に含まれる記録が必要とされる区間である記録必要区間の始端までの距離の情報と、前記走行距離算出部から取得した前記移動体の走行距離とに基づいて、前記開始指示識別標を識別した後、前記移動体が前記記録必要区間の始端までの距離を走行したかを判定し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を開始する、
走行路撮影システム。
【請求項4】
請求項2に記載の走行路撮影システムであって、
前記制御部は、
前記走行路近傍画像から終了指示識別標を識別し、前記終了指示識別標から取得した記録終了を指示する情報に基づいて前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システム。
【請求項5】
請求項4に記載の走行路撮影システムであって、
前記走行路撮影システムは、
移動体が走行した距離を算出する走行距離算出部に接続可能であり、
前記制御部は、
前記終了指示識別標に含まれる記録が必要とされる区間である記録必要区間の終端までの距離の情報と、前記走行距離算出部から取得した前記移動体の走行距離とに基づいて、前記終了指示識別標を識別した後、前記移動体が前記記録必要区間の終端までの距離を走行したかを判定し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システム。
【請求項6】
請求項2に記載の走行路撮影システムであって、
前記走行路撮影システムは、
移動体が走行した距離を算出する走行距離算出部に接続可能であり、
前記制御部は、
前記開始指示識別標に含まれる記録を行う区間長である記録区間長の情報と、前記走行距離算出部から取得した前記移動体の走行距離とに基づいて、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を開始した後、前記移動体が前記記録区間長を走行したかを判定し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システム。
【請求項7】
請求項6に記載の走行路撮影システムであって、
前記開始指示識別標に前記記録区間長の情報が含まれていない場合は、
前記制御部は、
記録終了を指示する前記識別標である終了指示識別標を識別し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システム。
【請求項9】
走行路の近傍を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した走行路近傍画像を記録する記録装置と、
制御部と、
を備えた走行路撮影システムの制御方法であって、
前記制御部が、前記走行路近傍画像から開始指示識別標を識別するステップと、
前記制御部が、前記開始指示識別標から取得した記録開始を指示する情報に基づいて前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録開始を制御するステップと、
を有する走行路撮影システムの制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の走行路撮影システムの制御方法であって、
前記走行路撮影システムは、移動体が走行した距離を算出する走行距離算出部に接続可能であり、
前記制御するステップは、前記制御部が、前記開始指示識別標に含まれる記録が必要とされる区間である記録必要区間の始端までの距離の情報と、前記走行距離算出部から取得した前記移動体の走行距離とに基づいて、前記開始指示識別標を識別した後、前記移動体が前記記録必要区間の始端までの距離を走行したかを判定し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を開始する、
走行路撮影システムの制御方法。
【請求項11】
請求項9に記載の走行路撮影システムの制御方法であって、
前記識別するステップは、前記制御部が、前記走行路近傍画像から終了指示識別標を識別し、
前記制御するステップは、前記制御部が、前記終了指示識別標から取得した記録終了を指示する情報に基づいて前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システムの制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の走行路撮影システムの制御方法であって、
前記走行路撮影システムは、移動体が走行した距離を算出する走行距離算出部に接続可能であり、
前記制御するステップは、前記制御部が、前記終了指示識別標に含まれる記録が必要とされる区間である記録必要区間の終端までの距離の情報と、前記走行距離算出部から取得した前記移動体の走行距離とに基づいて、前記終了指示識別標を識別した後、前記移動体が前記記録必要区間の終端までの距離を走行したかを判定し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システムの制御方法。
【請求項13】
請求項9に記載の走行路撮影システムの制御方法であって、
前記走行路撮影システムは、移動体が走行した距離を算出する走行距離算出部に接続可能であり、
前記制御するステップは、前記制御部が、前記開始指示識別標に含まれる記録を行う区間長である記録区間長の情報と、前記走行距離算出部から取得した前記移動体の走行距離とに基づいて、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を開始した後、前記移動体が前記記録区間長を走行したかを判定し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システムの制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の走行路撮影システムの制御方法であって、
前記開始指示識別標に前記記録区間長の情報が含まれていない場合は、
前記識別するステップは、前記制御部が、記録終了を指示する前記識別標である終了指示識別標を識別し、
前記制御するステップは、前記制御部が、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システムの制御方法。
【請求項15】
走行路の近傍を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した走行路近傍画像を記録する記録装置と、
制御部と、
を備えた走行路撮影システムであって、
前記制御部は、
前記走行路近傍画像から終了指示識別標を識別し、前記終了指示識別標から取得した記録終了を指示する情報に基づいて前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システム。
【請求項16】
請求項15に記載の走行路撮影システムであって、
前記走行路撮影システムは、
移動体が走行した距離を算出する走行距離算出部に接続可能であり、
前記制御部は、
前記終了指示識別標に含まれる記録が必要とされる区間である記録必要区間の終端までの距離の情報と、前記走行距離算出部から取得した前記移動体の走行距離とに基づいて、前記終了指示識別標を識別した後、前記移動体が前記記録必要区間の終端までの距離を走行したかを判定し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システム。
【請求項17】
走行路の近傍を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置が撮影した走行路近傍画像を記録する記録装置と、
制御部と、
を備えた走行路撮影システムの制御方法であって、
前記制御部が、前記走行路近傍画像から終了指示識別標を識別するステップと、
前記制御部が、前記終了指示識別標から取得した記録終了を指示する情報に基づいて前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録終了を制御するステップと、
を有する走行路撮影システムの制御方法。
【請求項18】
請求項17に記載の走行路撮影システムの制御方法であって、
前記走行路撮影システムは、移動体が走行した距離を算出する走行距離算出部に接続可能であり、
前記制御するステップは、前記制御部が、前記終了指示識別標に含まれる記録が必要とされる区間である記録必要区間の終端までの距離の情報と、前記走行距離算出部から取得した前記移動体の走行距離とに基づいて、前記終了指示識別標を識別した後、前記移動体が前記記録必要区間の終端までの距離を走行したかを判定し、前記走行路近傍画像の前記記録装置への記録を終了する、
走行路撮影システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行路撮影システムおよび走行路撮影システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道線路や道路等の保守は、車両がこれらを安全に走行するために必要な作業である。そして、作業の必要な個所を探索したり、作業の完了を確認したりするためには、現場を視認する必要がある。しかし、鉄道線路や道路等は長大な構造物であるため、これらを現地で視認するには多大な労力を要する。
【0003】
そこで、鉄道線路や道路等を移動する車両から撮影した走行路近傍の画像を、走行路沿線の保守に利用する技術が検討されている。特許文献1では、鉄道車両の先頭にテレビカメラを設置し、線路を撮影するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-274391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、車両の走行中に撮影した画像を全て記録装置に記録した場合、記録装置の容量が逼迫することが懸念される。しかし、特許文献1では、記録装置の容量逼迫を抑制することについては検討されていない。
【0006】
そこで、本発明では、記録装置の容量逼迫を抑制する走行路撮影システムおよび走行路撮影システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、代表的な本発明の走行路撮影システムの一つは、走行路の近傍を撮影する撮影装置と、撮影装置が撮影した走行路近傍画像を記録する記録装置と、制御部とを備えている。そして、制御部は、走行路近傍画像から識別標を識別し、識別標から取得した情報に基づいて走行路近傍画像の記録装置への記録を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録装置の容量逼迫を抑制する走行路撮影システムおよび走行路撮影システムの制御方法を提供することができる。
【0009】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1に係る走行路撮影システムの構成を示す図である。
図2】実施例1に係る制御部の処理を示すフローチャートである。
図3】実施例2に係る走行路撮影システムの構成を示す図である。
図4】実施例2に係る制御部の処理を示すフローチャートである。
図5A】実施例3に係る制御部の処理を示すフローチャートである。
図5B】実施例3に係る制御部の処理を示すフローチャートである。
図6A】実施例4に係る制御部の処理を示すフローチャートである。
図6B】実施例4に係る制御部の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【実施例1】
【0012】
図1を参照して、走行路撮影システムを鉄道線路近傍の撮影に適用した場合の構成について説明する。図1は、実施例1に係る走行路撮影システムの構成を示す図である。図1において、鉄道車両2は図面上の右から左に向けて走行し、撮影装置21は、車両の進行に応じて識別標1A、1Bを撮影可能に設置されていることを示している。
【0013】
識別標1A、1Bは、付与された情報を光学的に読み取り可能な形で表示するものであり、付与された情報を、例えば、バーコード、二次元コード等で表示する。また、識別標1A、1Bは、撮影装置21が撮影する画像の記録に関する指示情報を含む。実施例1の場合、識別標1Aは記録開始を指示する情報を含み、識別標1Bは、記録終了を指示する情報を含む。また、識別標1A、1Bは、線路3の近傍に設置される。識別標1Aは、鉄道車両2の進行方向に対して、記録が必要とされる区間(以下、「記録必要区間」という)の始端に設置される。また、識別標1Bは、鉄道車両2の進行方向に対して、記録必要区間の終端に設置される。
【0014】
線路3を走行する鉄道車両2は、撮影装置21、制御部22、記録装置23が構成する走行路撮影システムを搭載可能である。なお、本開示において、「搭載」には、備え付けることのほかに持ち込むことも含まれる。
【0015】
本実施例においては、撮影装置21は、鉄道車両2の前方で鉄道線路の延長方向とその近傍を撮影できる位置に設置してあり、前方を撮影し、撮影画像を出力することができる。
【0016】
制御部22は、撮影装置21から撮影画像を受け取り、画像内の識別標1A、1Bを認識し、情報を読み取ることができる。また、識別標1A、1Bから読み取った情報に基づいて、画像を記録装置23へ出力し、記録することができる。制御部22の例としては、パソコンやタブレット端末等が挙げられるが、専用装置でもよい。
【0017】
記録装置23は、制御部22に接続されており、制御部22から受け取った画像を記録することができる。記録装置23としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等を用いることができるが、着脱可能なUSBフラッシュドライブ等を用いて、記録した画像データの持ち出しを容易に行えるようにしてもよい。
【0018】
図2を参照して、実施例1に係る制御部22の処理について説明する。図2は、実施例1に係る制御部22の処理を示すフローチャートである。
【0019】
まず、ステップ101では、撮影装置21から撮影画像(走行路近傍画像)を取得し、画像内に記録開始を指示する識別標1Aがあるか否かを判定する。識別標1Aがない場合には、ステップ101へ戻り、識別標1Aがあった場合には、ステップ102に進む。
【0020】
次に、ステップ102では、撮影装置21から出力される画像を記録装置23へ送信し、撮影画像の記録を開始する。その後、本処理はステップ103に進む。
【0021】
次に、ステップ103では、撮影装置21から撮影画像を取得し、画像内に記録終了を指示する識別標1Bがあるか否かを判定する。識別標1Bがない場合には、ステップ103へ戻り、識別標1Bがあった場合には、ステップ104に進む。
【0022】
次に、ステップ104では、記録装置23への画像出力を終了し、撮影画像の記録を終了する。
【0023】
このように、制御部22が撮影装置21で撮影した画像に記録開始を指示する識別標1Aが含まれるかをチェックし、含まれる場合には、撮影画像の記録装置23への記録を開始し、記録開始後、撮影画像に記録終了を指示する識別標1Bが含まれるかをチェックし、含まれる場合には、撮影画像の記録装置23への記録を終了する。これにより、記録必要区間の撮影画像のみを記録し、記録装置23の容量逼迫の抑制を図れる。
【0024】
制御部22は、走行路近傍に設置された識別標1A、1Bの指示により、撮影画像の記録を行う。これにより、例えば走行路の保守を担当する作業員が記録を指示する場合、識別標1Aを記録必要区間の始端に設置し、識別標1Bを記録必要区間の終端に設置すれば、作業員は鉄道車両上の装置を操作することなく、記録必要区間を指示することができる。
【0025】
(変形例)
実施例1では、識別標1Aに記録開始指示を示す情報を持たせ、また識別標1Bに記録終了指示を示す情報を持たせたが、識別標1A、識別標1Bに同じ指示情報を持たせ、識別標1A、識別標1Bを同一の表示を持つ識別標としてもよい。その場合、制御部22は、1度目に指示情報を持つ識別標を識別した場合、撮影画像の記録装置23への記録を開始し、2度目に指示情報を持つ識別標を識別した場合、撮影画像の記録装置23への記録を終了する。これにより、識別標を1種類にすることができる。また、記録開始を指示する識別標と記録終了を指示する識別標とを取り違えて設置してしまう恐れがない。
【実施例2】
【0026】
実施例1では、記録開始指示を示す識別標と記録終了指示を示す識別標を用いて記録開始と記録終了を指示した。しかし、実施例2では、記録開始指示を示す識別標に記録を行う区間長(以下、「記録区間長」という)の情報を持たせ、制御部が記録開始指示を示す識別標から記録区間長の情報を取得し、鉄道車両が記録区間長を走行後、撮影画像の記録を終了することとしている。
【0027】
図3を参照して、実施例2に係る走行路撮影システムの構成について、実施例1から変更がある構成のみ説明する。図3は、実施例2に係る走行路撮影システムの構成を示す図である。
【0028】
識別標1Cは、撮影装置21が撮影する画像の記録開始を指示する情報、および記録区間長の情報を含む。
【0029】
走行距離算出部24は、例えば、車輪軸に設置された速度発電機25から、車輪軸の回転速度に対応する速度信号を取得し、鉄道車両2の基準位置からの走行距離を算出し、出力する。実施例2では、速度発電機25の速度信号を使用するが、走行距離の算出方法を限定するものではなく、例えば、衛星測位システムによって得られる座標値等を用いてもよいし、線路に設置された地上子からの情報に基づいて走行距離を求めてもよい。
【0030】
識別標1A、1Bを識別標1Cに変更する点と、走行距離算出部24、速度発電機25を追加する点以外は、実施例1の構成と同様である。撮影装置21、制御部22、記録装置23が構成する走行路撮影システムは、走行距離算出部24に接続可能である。
【0031】
図4は、実施例2に係る制御部22の処理を示すフローチャートである。以下、図4を参照して、実施例2に係る制御部22の処理について、実施例1から変更があるステップを中心に説明する。
【0032】
ステップ101では、撮影装置21から撮影画像(走行路近傍画像)を取得し、画像内に記録開始を指示する識別標1Aがあるか否かを判定する。識別標1Aがない場合には、ステップ101へ戻り、識別標1Aがあった場合には、ステップ105に進む。
【0033】
ステップ105では、撮影装置21から出力される画像を記録装置23へ送信し、撮影画像の記録を開始する。また、記録開始を指示する識別標1Cに付与された記録区間長の情報を取得する。その後、本処理はステップ106に進む。
【0034】
ステップ106では、ステップ105を実行後、鉄道車両2が走行した距離を、走行距離算出部24が出力する走行距離から取得する。走行距離取得の方法としては、例えば、1回目にステップ106を実行する際に走行距離算出部24が出力する走行距離と、それ以降にステップ106を実行する際に走行距離算出部24が出力する走行距離の差分を用いる方法等がある。ステップ105を実行する際に走行距離算出部24が出力する走行距離を零にして、走行距離算出部24がステップ105を実行後、鉄道車両2が走行した距離を出力するようにしてもよい。その後、本処理はステップ107に進む。
【0035】
ステップ107では、ステップ106で取得した走行距離が、識別標1Cに付与された記録区間長以上であるか否かを判定する。走行距離が記録区間長未満である場合は、ステップ106へ戻り、走行距離が記録区間長以上である場合は、ステップ104に進む。
【0036】
ステップ104についは実施例1の場合と同様である。
【0037】
このように変更することで、識別標を記録必要区間の始端に設置するのみで、記録必要区間の撮影画像のみを記録できるため、識別標設置の作業を減らすことができる。
【0038】
また、記録必要区間の終端が、識別標の設置が困難な場所であっても、実施例2を採用することによって、所望の記録必要区間を容易に指定することが可能となる。
【実施例3】
【0039】
実施例3は、識別標として、実施例1に示したような、記録開始指示を示す識別標および記録終了指示を示す識別標と、実施例2に示したような、記録開始指示を示す識別標に記録区間長の情報を持たせた識別標を併用する場合に適用することができるものである。
【0040】
実施例3では、記録開始指示を示す識別標に記録区間長の情報が含まれているか否かを判別するステップを設けることによって、実施例1の識別標と実施例2の識別標を併用する場合に対応することができる。
【0041】
走行路撮影システムの構成は実施例2と同様であるが、識別標に関しては、記録開始指示を示す識別標1Aと記録終了指示を示す識別標1Bでもよいし、記録区間長の情報を含む識別標1Cでもよい。
【0042】
図5A図5Bは、実施例3に係る制御部22の処理を示すフローチャートである。以下、図5A図5Bを参照して、実施例3に係る制御部22の処理について、実施例1および実施例2から変更があるステップを中心に説明する。
【0043】
ステップ101では、撮影装置21から撮影画像(走行路近傍画像)を取得し、画像内に記録開始を指示する識別標1Aがあるか否かを判定する。識別標1Aがない場合には、ステップ101へ戻り、識別標1Aがあった場合には、ステップ108に進む。
【0044】
ステップ108では、ステップ101で識別した記録開始を指示する識別標が記録区間長の情報を含むか否かを判定することで、識別標が記録区間長の情報を含まない識別標1Aであるか、もしくは記録区間長の情報を含む識別標1Cであるかを判別する。識別標が記録区間長の情報を含む場合は、ステップ105に進み、識別標が記録区間長の情報を含まない場合は、ステップ102に進む。
【0045】
ステップ102ないしステップ104についは実施例1の場合と同様である。ステップ105ないしステップ107についは実施例2の場合と同様である。
【0046】
このように変更することで、制御部22の処理を変更することなく、実施例1のように記録開始を指示する識別標1Aと記録終了を指示する識別標1Bを用いる場合と、実施例2のように記録区間長の情報が付与された記録開始を指示する識別標1Cを用いる場合の双方に対応することができる。
【実施例4】
【0047】
実施例1ないし実施例3では、記録開始指示を示す識別標を記録必要区間の始端に設置し、記録終了指示を示す識別標を記録必要区間の終端に設置した。これに対し、実施例4では、記録開始指示を示す識別標に記録必要区間の始端までの距離の情報を持たせて、記録必要区間の始端の手前に設置する。そして、制御部が記録開始指示を示す識別標から、記録必要区間の始端までの距離の情報を取得し、鉄道車両が記録必要区間の始端までの距離を走行後、撮影画像の記録を開始することとしている。
【0048】
または、記録終了指示を示す識別標に記録必要区間の終端までの距離の情報を持たせて、記録必要区間の終端の手前に設置する。そして、制御部が記録終了指示を示す識別標から、記録必要区間の終端までの距離の情報を取得し、鉄道車両が記録必要区間の終端までの距離を走行後、撮影画像の記録を終了することとしている。
【0049】
走行路撮影システムの構成は実施例2と同様であるが、識別標に関しては、記録必要区間の始端または終端までの距離の情報を持たせた識別標を、記録必要区間の始端または終端の手前に設置する。
【0050】
図6A図6Bは、実施例4に係る制御部22の処理を示すフローチャートである。以下、図6A図6Bを参照して、実施例4に係る制御部22の処理について、実施例1ないし実施例3から変更があるステップを中心に説明する。
【0051】
ステップ101では、撮影装置21から撮影画像(走行路近傍画像)を取得し、画像内に記録開始を指示する識別標1Aがあるか否かを判定する。識別標1Aがない場合には、ステップ101へ戻り、識別標1Aがあった場合には、ステップ109に進む。
【0052】
ステップ109では、記録開始を指示する識別標1Aに付与された記録必要区間の始端までの距離の情報を取得する。その後、本処理はステップ106Aに進む。
【0053】
ステップ106Aでは、ステップ109を実行後、鉄道車両2が走行した距離を、走行距離算出部24が出力する走行距離から取得する。走行距離取得の方法については実施例2のステップ106の場合と同様である。その後、本処理はステップ110に進む。
【0054】
ステップ110では、ステップ106Aで取得した走行距離が、識別標1Aに付与された記録必要区間の始端までの距離以上であるか否かを判定する。走行距離が記録必要区間の始端までの距離未満である場合は、ステップ106Aへ戻り、走行距離が記録必要区間の始端までの距離以上である場合は、ステップ102に進む。
【0055】
ステップ102については実施例1の場合と同様である。
【0056】
ステップ103では、撮影装置21から撮影画像を取得し、画像内に、記録終了を指示する識別標1Bがあるか否かを判定する。識別標1Bがない場合には、ステップ103へ戻り、識別標1Bがあった場合には、ステップ111に進む。
【0057】
ステップ111では、記録終了を指示する識別標1Bに付与された記録必要区間の終端までの距離の情報を取得する。その後、本処理はステップ106Bに進む。
【0058】
ステップ106Bでは、ステップ111を実行後、鉄道車両2が走行した距離を、走行距離算出部24が出力する走行距離から取得する。走行距離取得の方法については実施例2のステップ106の場合と同様である。その後、本処理はステップ112に進む。
【0059】
ステップ112では、ステップ106Bで取得した走行距離が、識別標1Bに付与された記録必要区間の終端までの距離以上であるか否かを判定する。走行距離が記録必要区間の終端までの距離未満である場合は、ステップ106Bへ戻り、走行距離が記録必要区間の終端までの距離以上である場合は、ステップ104に進む。
【0060】
ステップ104については実施例1の場合と同様である。
【0061】
このように変更することで、記録必要区間の始端または終端が、識別標の設置が困難な場所であっても、実施例4を採用することによって、所望の記録必要区間を容易に指定することが可能となる。
【0062】
(変形例)
実施例1ないし実施例4では、撮影装置を1台設置したが、撮影装置を複数台設置し、軌道、架線、走行路側方、後方等を撮影してもよい。さらに、それら全ての撮影装置の画像の記録について、そのうち1台の撮影装置が撮影した識別標を基に制御してもよい。これにより、鉄道車両の前方画像以外の記録も制御可能である。
【0063】
本発明の他の実施形態において、識別標に記録指示、記録区間長、記録必要区間の始端または終端までの距離以外の情報を付与してもよい。例えば、記録を指示した作業員の氏名や所属、撮影場所の情報を付与し、制御部で情報を識別してもよい。これにより、記録装置に画像を記録するとともに、記録を指示した作業員や撮影場所を紐づけて記録することができる。また、撮影装置を複数台設置する場合、撮影装置を選択する情報を付与し、制御部で情報を識別してもよい。これにより、画像の記録を制御する撮影装置を選択することができる。
【0064】
上記した実施例は、鉄道車両に搭載される走行路撮影システムを一例として説明したが、本発明は、鉄道車両に搭載される走行路撮影システムに限定されるものではなく、モノレールや自動車、バス等に搭載される走行路撮影システムにも適用することができる。
【0065】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0066】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。例えば、撮影装置21、制御部22、記録装置23の一部、または全部が一体の専用装置でもよい。また、撮影装置21、制御部22、記録装置23の一部、または全部として、撮影と記録が可能なパソコンやタブレット端末を用いてもよい。また、各機能を実現するプログラム等の情報は、メモリやHDD、SSDなどの記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0067】
1A…識別標、1B…識別標、1C…識別標、2…鉄道車両、21…撮影装置、22…制御部、23…記録装置、24…走行距離算出部、25…速度発電機、3…線路
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B