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▶ ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】自動車用の電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/20 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
H02K1/20 C
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023012625
(22)【出願日】2023-01-31
(65)【公開番号】P2023130304
(43)【公開日】2023-09-20
【審査請求日】2023-01-31
(31)【優先権主張番号】22020094.3
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダーヴィト バウアー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ ドフスキー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス エンゲルハルト
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/143377(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/061529(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01873887(EP,A2)
【文献】独国特許出願公開第102018112347(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015212127(DE,A1)
【文献】特開2011-097660(JP,A)
【文献】特開2014-236577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0220361(US,A1)
【文献】特開2021-048674(JP,A)
【文献】中国実用新案第213879402(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/12
H02K 9/19
H02K 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
p=3の極対数(p)を含む自動車用の電動機(100)であって、ステータ本体(102)を含むステータ(101)を有し、前記ステータ本体(102)が、交互のステータ歯(112)および中に導体素子(116)が配設されたステータスロット(114)を備え、半径方向に延在するヨーク高さ(120)を有するヨーク部分(118)が、前記ステータスロット(114)の半径方向に外側で前記ステータ本体(102)に形成され、前記ステータ本体(102)が、ステータ外半径(122)を含み、前記ヨーク高さ(120)と前記ステータ外半径(122)の比率(v)が、0.18~0.26であり、さらに冷却装置が提供され、前記冷却装置が複数の冷却チャネル(115)を備え、それぞれが入口(119)から前記電動機(100)の軸方向(105)に沿って前記ステータ本体(102)を通って出口(121)に延在し、前記冷却チャネル(115)が、冷却媒体として機能する誘電体(131)でそれぞれ充填され、前記冷却チャネル(115)がそれぞれ、前記ステータスロット(114)のうちの一つに配設され、前記導体素子(116)が、前記冷却媒体として機能する前記誘電体(131)によって前記ステータ本体(102)の軸長全体にわたって冷却され、前記誘電体は前記導体素子の周囲を外側から取り囲んで流れることを特徴とする、電動機。
【請求項2】
前記ステータ本体(102)が、ステータ内半径(124)を含み、ステータ内半径(124)と前記ステータ外半径(122)の比率(v)が0.61~0.69であることを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【請求項3】
前記ステータ外半径(122)が105 mm~142.5 mmであることを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【請求項4】
1極1ストランドあたり2つまたは3つのステータスロット(114)が前記ステータ本体(102)に提供されることを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【請求項5】
1極1ストランドあたり2つのステータスロット(114)を有する場合、ステータ歯幅(126)とステータスロット幅(128)の比率(v)が0.50~0.75であるか、または、1極1ストランドあたり3つのステータスロット(114)を有する場合、ステータ歯幅(126)とステータスロット幅(128)の比率(v)が1.05~1.50であることを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【請求項6】
前記ステータ歯(112)のそれぞれ半径方向に内側の端部で、それぞれの歯頭部(130)が、前記ステータ歯(112)に対してそれぞれ拡大された断面で形成されることを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【請求項7】
前記ステータ本体(102)に当接する管状仕切り(107)が半径方向に内側に配設され、前記管状仕切り(107)が、前記半径方向に見た時に前記ステータスロット(114)を覆うことを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【請求項8】
前記ステータ本体(102)が、複数のステータ鋼板プレートが前記電動機(100)の軸方向に沿って前後して配設される積層体から形成され、前記ステータ鋼板プレートがそれぞれ0.25mm以下の鋼板厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【請求項9】
前記誘電体(131)が、15°Cで最大密度0.75kg/l、および/または40°Cで最大粘度6mm/s、および/または80°Cで2.3kJ/(kg・K)の最小熱容量、および/または80°Cで0.12W/(m/K)の最小熱伝導率、および/または25°Cで1000nS/mの最大電気伝導率を有することを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【請求項10】
前記電動機(100)が、永久励磁式同期機として、または個別励磁式同期機として構成されることを特徴とする、請求項1に記載の電動機(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用の電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第9755463号明細書は、電磁素子を有する第一のキャリアおよび電磁素子を有する第二のキャリアを有する電動機を開示し、第二のキャリアは、第一のキャリアに対して移動することができる。電動機は、高い電流密度を有するが、複雑な構造を有する。
【0003】
独国特許出願公開第102018112347号明細書は、ステータおよび薄い鋼板を積層したステータ積層体を有する電動機を開示し、導体素子は、ステータ積層体内に配設され、冷却剤チャネルによって冷却される。これは高い電流密度を好むが、最適化の可能性も存在する。
【0004】
本発明によって対処される問題は、改善された電動機を提供することである。建設的に単純な手段により、電流密度が比較的高く、効率が向上した電動機を提供することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第9755463号明細書
【文献】独国特許出願公開第102018112347号明細書
【発明の概要】
【0006】
この問題は、請求項1に記載する電動機によって解決される。
【0007】
電動機は、自動車用である。電動機は、ステータ本体(ステータ積層体)を含むステータを含み、ステータ本体は(円周方向に沿って)、ステータ歯およびステータスロットを交互に含み、一つ以上の導体素子がそれぞれステータスロットに配設される。ステータ本体上で、半径方向に延在するヨーク高さを有するヨーク部分が、ステータスロットおよびステータ歯の外側に半径方向に形成される。ステータ本体は、ステータ外半径を有する。ヨーク高さとステータ外半径との比率vは、0.18~0.26(0.18≦比率v≦0.26)である。
【0008】
比較的大きなヨーク高さは電動機の高い効率を好み、これは、ステータの鋼板率の増加、およびしたがって比較的高い電流密度によって達成される。これにより、鉄損が減少し、電動機の効率が向上する。
【0009】
特に、ヨーク高さとステータ外半径の比率vは、0.20~0.24(0.20≦比率v≦0.24)、さらに好ましくは0.21~0.23(0.21≦比率v≦0.23)とすることができる。具体的な例では、ヨーク高さとステータ外半径の比率vは、0.22(比率v=0.22)とすることができる。これらの比率でステータ本体を設計することによって、機械の効率をさらに最適化することができる。
【0010】
特に、電動機は、自動車用の走行用モータである。電動機は、好ましくは単独で、自動車を運転するように構成され、かつ/または運転することが意図される(トラクション駆動)。自動車は、特に半電気自動車または完全電気自動車(電気自動車)、特にスポーツカーなどの乗用車である。導体素子は、特にステータ巻線である。
【0011】
ヨーク部分は、円周方向に沿って閉じたステータ本体のリング部分を形成する。ステータ本体は、軸方向に沿って延在する。ステータ歯およびステータスロットはまた、軸方向に沿って、または軸方向に平行に、延在する。
【0012】
好ましくは、ステータ本体は、ステータ内半径を有することができ、ステータ内半径とステータ外半径の比率vは、0.61~0.69(0.61≦比率v≦0.69)である。したがって、比較的小さい内側ステータ半径が結果として生じる。これにより、ステータの鋼板率が上昇し、効率を向上させる。内側ステータ半径が小さいため、ロータ外半径を小さく維持することができ、摩擦損失の低減および効率向上につながる。ステータ外半径も比較的小さく維持することができる。
【0013】
特に、ステータ内半径とステータ外半径との比率vは、0.63~0.67(0.63≦比率v≦0.67)、さらに好ましくは0.64~0.66(0.64≦比率v≦0.66)とすることができる。具体的な例では、ステータ内半径とステータ外半径との比率vは、0.65(比率v=0.65)とすることができる。効率は、これらの比率を有するステータ本体の構成によってさらに最適化することができる。
【0014】
ステータ外半径は105mm~142.5mm(ミリメートル)であることが好ましい。これは、比較的低い摩擦損失および効率向上に寄与する。特に、ステータ外半径は、115mm~132.5mm、さらに好ましくは120mm~127.5mmとすることができる。一つの具体的な例では、ステータ外半径は122.5mmとすることができる。
【0015】
ステータ本体に、2つのステータスロットまたは3つのステータスロットを1極1ストランド(一つのステータ巻線)あたり提供できることが、好ましい。複数の導体素子は、ストランド(一つのステータ巻線)を形成し得る。言い換えれば、穴の数(1極1ストランドあたりのステータスロットの数)は、q=2またはq=3である。これにより、効率上の利点とコンパクトな設計空間がもたらされる。
【0016】
好ましくは、ステータ歯幅とステータスロット幅との比率vは、特に、1極1ストランドあたり2つのステータスロットを有する場合、0.50~0.75(0.50≦比率v≦0.75)とすることができる。特に、比率vは、特に1極1ストランドあたり2つのステータスロットを有する場合、0.55~0.70(0.55≦比率v≦0.70)、さらに好ましくは0.60~0.65(0.60≦比率v≦0.65)とすることができる。
【0017】
別の方法として、ステータ歯幅とステータスロット幅との比率vは、特に、1極1ストランドあたり3つのステータスロットを有する場合、1.05~1.50(1.05≦比率v≦1.50)とすることができる。特に、比率vは、特に、1極1ストランドあたり3つのステータスロットを有する場合、1.15~1.40(1.15≦比率v≦1.40)、さらに好ましくは1.20~1.35(1.20≦比率v≦1.35)、さらに好ましくは1.25~1.30(1.25≦比率v≦1.30)とすることができる。具体的な例では、比率vは=1.27とすることができる。規定の比率vでは、大きなステータ歯幅を達成できるが、ステータスロット幅は比較的小さい。したがって、鋼板率の増加を達成することができ、それによって鉄損が低減される。これは、高い電流密度を伴う。
【0018】
電動機は、例えば、比率vを微調整することによって、40A/mm(アンペア/平方ミリメートル)超の最大電流密度、好ましくは45A/mm超、さらに好ましくは45A/mm~60A/mm、特に50A/mm~60A/mmの最大電流密度を達成するように構成することができる。
【0019】
好ましくは、電動機は、p=3(3つの極対、すなわち、合計6つの極)の極対数pを有し得る。したがって、十分に多数の極対を比較的コンパクトな設計空間で達成することができる。
【0020】
p=3の極対数の比較的低い周波数は、特に上述した幾何学的比率に関連して、効率上の利点を提供する。
【0021】
好ましくは、ステータ歯の各半径方向に内側の端部で、それぞれの歯頭部は、それぞれステータ歯(または歯頭部の外側のステータ歯断面)に対して拡大された断面で形成され得る。これは、より高い効率および高い電流密度を定期的に好む。歯頭部はそれぞれ、画定された歯頭部の高さに沿って半径方向に延在し得る。
【0022】
好ましくは、管状仕切りをステータ本体に当接する半径方向に内側に配設することができ、管状仕切りは、半径方向に、すなわち半径方向に内向きに見た時に、ステータスロットを覆うことができる。結果として、ロータ空間に対するステータ空間の封止が提供され得る。ステータスロットは、半径方向に内向きに開き、管状仕切りによって覆われるように形成され得る。例えば、管状仕切りは、ステータ歯またはその歯頭部に当接し得る。管状仕切りは、例えば、好ましくは繊維強化プラスチック管として製造される。しかし、ステータ本体に取り付けられた弾性材料および/または可撓性材料からも作製することができる。例えば、管状仕切りは、ステータの半径方向に内側のライナーとして構成することができる。
【0023】
電動機は、ステータと電磁的に協働する、特に乾式のロータを含む。ロータは、半径方向に配向された空隙高さ(空隙)分、ステータ内半径よりも小さいロータ外半径を有する。管状仕切りはまた、空隙内に配設することができる。特に、クリアランス嵌合は、管状仕切りと、ステータ内で半径方向に電磁的に駆動可能なロータとの間に構成され得る。
【0024】
ロータがステータに存在するいかなる冷却媒体によって濡れないように、管状仕切りはステータに対してロータを封止することができる。冷却媒体との液体摩擦は、特に乾式のロータによって回避することができる。ステータに対して回転可能なロータが管状仕切りに対して摩擦しないように、管状仕切りとロータとの間に空隙が形成され得る。ロータは特に、自動車のドライブトレインに接続可能であり、その結果、自動車は電動機の助けを借りて純粋に電気駆動することができる。
【0025】
好ましくは、ステータ本体は、複数のステータ鋼板プレートが軸方向に沿って前後して配設される積層体から形成されてもよく、ステータ鋼板プレートはそれぞれ0.25mm以下の鋼板厚さを有する。これにより、電動機を大きな電力で効率的に動作することができる。特に、ステータ鋼板プレートは、0.10mm~0.25mmの鋼板厚さを有し得る。
【0026】
具体的には、ステータ本体は、特にパンチングによって金属鋼板から生成される複数のステータ鋼板プレートが軸方向に前後して配設され、好ましくは液密に一緒に押し付けられた積層体から作製され得る。特に、ステータ本体は、パンチ包装によって安価に製造することができる。
【0027】
好ましくは、電動機は冷却装置を備えてもよく、冷却装置は、入口(冷却チャネル入口)から軸方向に、またはステータ本体を通って軸方向に沿って出口(冷却チャネル出口)へとそれぞれ延在する複数の冷却チャネルを備え、冷却チャネルは、冷却媒体として機能する誘電体でそれぞれ充填されるか、または冷却媒体として機能する誘電体を誘導する。結果として、ステータ上の電動機の動作中に生成される熱が、確実に放散され得る。
【0028】
電動機は、第一のサブハウジングおよび第二のサブハウジングを含むことができるハウジングを任意に備えてもよい。
【0029】
第一のサブハウジングは、ステータの第一の軸端部に配設されてもよく、また、管状仕切りおよびステータの前面と共に、例えば、環状空間として構成され得る第一の端部体積を画定することができる。第一の端部体積は、ステータ内の冷却チャネル(冷却チャネル入口)に流体接続され、冷却媒体として機能する誘電体で充填される。導体素子に構成された巻線ヘッドは、第一の端部体積内に配設され得る。前述にもかかわらず、冷却媒体を供給するための入口は、第一のサブハウジングに構成することができる。
【0030】
第二のサブハウジングは、第二の端部に、特にステータの他方の軸端部に配設されてもよく、また、管状仕切りおよびステータの端面と共に、例えば、環状空間として構成され得る第二の端部体積を画定することができる。第二の端部体積は、ステータ内の冷却チャネル(冷却チャネル出口)に流体接続され、冷却媒体として機能する誘電体で充填される。必要な場合、導体素子に構成された巻線ヘッドは、第二の端部体積内に配設され得る。前述にもかかわらず、冷却媒体の放散のための出口は、第二のサブハウジングに形成され得る。
【0031】
第二のサブハウジング上の出口は、第一のサブハウジング上の入口に流体接続され得る。この流体接続では、冷却媒体を搬送するための流体ポンプ、冷却媒体を冷却するための一つ以上の熱交換器、および/または冷却媒体貯蔵部を組み込むことができる。
【0032】
ステータ本体に提供される冷却チャネルは、ステータスロットとは別個に形成され得る。したがって、冷却チャネル内の冷却媒体は「自由に流れる」ことができ、導体素子を通過したり、または導体素子の周りを流れなくてもよい(流れ妨害)ため、流れ抵抗を低く保つことができる。冷却チャネルはそれぞれ、ステータ本体を通って軸方向に、または軸方向に沿って延在することができる。冷却チャネルの中央長手方向軸は、それぞれ、ステータスロットの中央長手方向軸に平行に配設され得る。
【0033】
別の方法として、冷却チャネルはそれぞれ、導体素子が、特に(導体素子に対して)冷却媒体を通って「外側から」、ステータ本体の軸長全体にわたって冷却媒体として機能する誘電体で冷却されるように、ステータスロットのうちの一つに配設することができる。言い換えれば、冷却チャネルはそれぞれ、ステータスロット(ステータスロットは同時に冷却チャネルでもある)と同じである。それぞれに絶縁層が提供されているステータスロット内に配設された導体素子は、それによって、冷却媒体によって直接冷却され得る(冷却媒体または誘電体の導体素子との直接の接触)。比較的高い電流密度であっても、そのため十分な冷却が可能である。冷却媒体の流れの方向は、特に、導体素子の中央長手方向軸に沿ってまたは平行に配向される。
【0034】
冷却媒体、特に油を有する冷却媒体による導体素子の周りの流れは、したがって、ステータスロットの内側でも発生する可能性があるが、第一のサブハウジング(第一の端部体積)および/または第二のサブハウジング(第二の端部体積)が、巻線ヘッド(ステータ本体から軸方向に突出する導体素子の部分)に存在することを条件とする。
【0035】
好ましくは、誘電体は、15°Cで0.75kg/lの最大密度、および/または40°Cで6mm/sの最大粘度、および/または80°Cで2.3kJ/(kg・K)の最小熱容量(最小比熱)、および/または80°Cで0.12W/(m/K)の最小熱伝導率、および/または25°Cで1000nS/mの最大電気伝導率を有し得る。これにより、有利な冷却特性を達成することができる。
【0036】
好ましくは、電動機は、永久励磁式同期機または個別励磁式同期機として構成することができる。
【0037】
本発明のさらなる有利な構成は、以下の説明および図面から明らかになる。図面は、以下を示す。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】電動機の概略断面図を示す。
図2図1に示す断面軸A-Aに沿った図1(セグメント)の電動機の部分的断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、電動機100の概略断面図を示す。
【0040】
電動機100は、ステータ本体102を有するステータ101、ならびに永久磁石104’を有するロータ104を備える。軸方向には、参照番号105が付される。ステータ本体102は、ロータ104を半径方向に外向きに取り囲み、ステータ本体102とロータ104は、空隙106によって互いから分離されている。管状仕切り107は空隙106内に配設され、ロータ104が配設される空間(ロータ空間)を、ステータ101が配設される空間(ステータ空間)から分離する。実施例では、複数の磁石108がロータ104内に配設され、磁石は任意にエアポケット110を備える(図2参照)。
【0041】
以下でその設計がさらに詳細に説明されるステータ本体102は、その中に配設された導体素子116と共に、円周方向に沿ってステータ歯112およびステータスロット114を交互に含む(図2参照)。導体素子116はそれぞれ、ステータ本体102から軸方向に突出する部分を含み、これが、巻線ヘッド117を形成する(図1参照)。
【0042】
電動機100は、それぞれが入口119からステータ本体102を通って出口121に延在する複数の冷却チャネル115を有する冷却装置を備える。冷却チャネル115はそれぞれ、冷却媒体として機能する誘電体131で充填される(図2参照)。実施例では、冷却チャネル115は、それぞれのステータスロット114と一致する。したがって、冷却媒体すなわち誘電体は、導体素子116に沿って直接誘導され、実施例では、その導体素子の周囲を「外側から」取り囲んで流れる。誘電体131は、上述の特性を有し得る。
【0043】
電動機100は、第一のサブハウジング123’および第二のサブハウジング123’’を含むハウジング123を備える(図1参照)。第一のサブハウジング123’は、ステータ本体102の第一の軸端部に配設され、ステータ本体102の管状仕切り107および端面103’と共に、実施例では環状空間として構成される第一の端部体積125’を画定する。第一の端部体積125’は、ステータ本体102内の冷却チャネル115(冷却通路入口)に流体接続され、冷却媒体として機能する誘電体131で充填される。第一の端部体積125’に、導体素子116に形成された巻線ヘッド117が配設される。第一のサブハウジング123’には、冷却媒体を供給する入口127が形成されている。
【0044】
第二のサブハウジング123''は、ステータ本体102の他方の軸端部に配設され、ステータ本体102の管状仕切り107および端面103''と共に、実施例では環状空間として構成される第二の端部体積125''を画定する。第二の端部体積125''は、ステータ本体102の冷却チャネル115(冷却通路出口)に流路接続され、冷却媒体として機能する誘電体131で充填される。第二の端部体積125''に、導体素子116に形成された巻線ヘッド117が配設される。冷却媒体を放散するための出口129が、第二のサブハウジング123''に構成される。出口129は、上述のように入口127に流路接続され得る。
【0045】
図2は、電動機100を通るセグメントSまたは部分的断面(断面)を、図1の断面軸A-Aに従って概略的に示す。上述のように、ステータ本体102は、その中に配設される導体素子116と共に、円周方向に沿ってステータ歯112およびステータスロット114を交互に含む。ステータ本体102上で、半径方向に延在するヨーク高さ120を有するヨーク部分118は、ステータスロット114およびステータ歯112の外側に半径方向に形成され、ステータ本体102は、ステータ外半径122を含む。実施例では、ヨーク高さ120とステータ外半径122との比率vは、0.18~0.26(0.18≦v≦0.26)である。
【0046】
ステータ本体102は、ステータ内半径124を有する。実施例では、ステータ内半径124とステータ外半径122との比率vは、0.61~0.69(0.61≦v≦0.69)である。実施例では、ステータ外半径122は、105mm~142.5mmである。
【0047】
実施例では、電動機100は、p=3の極対数p(合計6極)を有する。実施例では、1極あたり3つのステータスロット114がステータ本体102に提供され、導体素子116がストランドまたは導体巻線を形成する(図2で、3つのステータスロット114が同様に示され、一つのストランドに対応する)。言い換えれば、穴の数(1極1ストランドあたりのステータスロット114の数)はq=3である。
【0048】
ステータ歯112はそれぞれ、ステータ歯幅126を有する。ステータスロット114はそれぞれ、ステータスロット幅128を有する。実施例では、ステータ歯幅126とステータスロット幅128との比率vは、1.05~1.50(1.05≦v≦1.50)である。
【0049】
ステータ歯112の半径方向に内側の端部で、それぞれの歯頭部130は、ステータ歯112に対して拡大された断面で形成される。歯頭部130はそれぞれ、画定された歯頭部の高さ132に沿って延在する。
【0050】
ロータ104はロータ外半径134を有し、ロータ外半径134は、空隙106の半径方向に配向された高さ136(空隙高さ136)分、ステータ内半径124よりも小さい。管状仕切り107はまた、空隙106内に配設される。
【0051】
上述のように、導体素子116は直接冷却される。この目的のために、実施例では、冷却チャネル115は、各ステータスロット114(ステータスロット114および冷却チャネル115は同じ)に提供され、導体素子116は、冷却媒体として機能する誘電体131によって、ステータ本体102の軸長全体にわたって冷却され、その冷却媒体として機能する誘電体131は、導体素子の周囲を外側から取り囲むように流れる(図2の拡大された部分を参照)。
【0052】
ステータスロット114は、半径方向に内向きに開き、管状仕切り107によって覆われるか、または閉じられる。管状仕切り107は、ステータ歯112の歯頭部130に当接する。
【0053】
既に上述したように、ステータ本体102は、複数のステータ鋼板プレートが軸方向105に沿って前後して配設される積層体から形成され、ステータ鋼板プレートはそれぞれ0.25mm以下の鋼板厚さを有する(図1参照)。
【0054】
図1および2に示す電動機100は、自動車の純粋な電気駆動に使用することができる。この目的のために、電動機100は、ステータ101内で磁界を電気的に発生させるために、導体素子116に接続された自動車バッテリーから給電されてもよく、これは特に乾式のロータ104の永久磁石104'と協働することができる。
図1
図2