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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】センサ装置及び測定機器
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20240801BHJP
   C12M 1/38 20060101ALI20240801BHJP
   G01N 27/30 20060101ALI20240801BHJP
   G01N 27/414 20060101ALI20240801BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12M1/38 Z
G01N27/30 Z
G01N27/414 301A
G01N27/414 301U
G01N27/414 301X
G01N27/414 301R
G01N27/416 300Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023126793
(22)【出願日】2023-08-03
(62)【分割の表示】P 2019548098の分割
【原出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2023153938
(43)【公開日】2023-10-18
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2017197537
(32)【優先日】2017-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神宮 素子
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-059929(JP,A)
【文献】特表2015-521030(JP,A)
【文献】特開2008-261832(JP,A)
【文献】特表2005-534938(JP,A)
【文献】特開2016-041074(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122338(WO,A1)
【文献】特開2009-287934(JP,A)
【文献】特表2004-506868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/00
G01N 27/00-27/92
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
センシング領域に対して露出される前記基板の一主面の層に設けられた電極アレイと、
前記電極アレイと同一層に設けられた複数の配線層と、
前記複数の配線層の電気抵抗に基づいて、前記センシング領域の温度を判断する温度判断部と、
前記温度判断部にて判断された前記センシング領域の温度に基づいて、前記センシング領域の温度を制御する温度制御部と、
を備え、
前記各配線層は、前記基板の上方から見たときに、前記電極アレイの全ての電極と離隔されるように設けられており、
前記複数の配線層は、互いに、離隔され、且つ、異なる長さで延伸する線状形状にて設けられ、前記電極アレイの周囲を取り囲むように配置されている、
センサ装置。
【請求項2】
前記温度制御部は、前記センシング領域の温度が所定の温度範囲内に収まるように前記センシング領域の温度を制御する、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記温度制御部は、冷却機構を含む、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記基板は、半導体基板であり、
前記電極アレイ及び前記複数の配線層は、前記半導体基板の主面に設けられる、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記半導体基板には、前記電極アレイからの信号を信号処理する信号処理回路が設けられる、請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記センシング領域は、前記半導体基板を含む底部と、前記底部の周囲に設けられた側壁とによって囲まれた凹構造の内部領域である、請求項4に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記複数の配線層は、保護膜によって前記センシング領域と隔てられている、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記複数の配線層と、前記電極アレイとは、同一材料にて形成される、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記複数の配線層は、貴金属にて形成される、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記電極アレイは、前記センシング領域の各々の位置の電位を検出する複数の検出電極と、参照電位を検出する参照電極と、を含む、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項11】
センサ装置、及び前記センサ装置からの出力を情報処理する情報処理装置を備え、
前記センサ装置は、
基板と、
センシング領域に対して露出される前記基板の一主面の層に設けられた電極アレイと、
前記電極アレイと同一層に設けられた複数の配線層と、
少なくとも1つの前記配線層の電気抵抗に基づいて、前記センシング領域の温度を判断する温度判断部と、
前記温度判断部にて判断された前記センシング領域の温度に基づいて、前記センシング領域の温度を制御する温度制御部と、
を有し、
前記各配線層は、前記基板の上方から見たときに、前記電極アレイの全ての電極と離隔されるように設けられており、
前記複数の配線層は、互いに、離隔され、且つ、異なる長さで延伸する線状形状にて設けられ、前記電極アレイの周囲を取り囲むように配置されている、
計測機器。
【請求項12】
前記複数の配線層は、保護膜によって前記センシング領域と隔てられている、請求項11に記載の計測機器。
【請求項13】
前記複数の配線層と、前記電極アレイとは、同一材料にて形成される、請求項11に記載の計測機器。
【請求項14】
前記複数の配線層は、貴金属にて形成される、請求項11に記載の計測機器。
【請求項15】
前記電極アレイは、前記センシング領域の各々の位置の電位を検出する複数の検出電極と、参照電位を検出する参照電極と、を含む、請求項11に記載の計測機器。
【請求項16】
前記各配線層は、前記温度判断部と直接電気的に接続されている、請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項17】
前記各配線層は、前記温度判断部と直接電気的に接続されている、請求項11に記載の計測機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ装置及び測定機器に関する。
【背景技術】
【0002】
微小な電極をアレイ状に配置し、該電極上の領域で発生する電位を電気化学的に測定する電位測定装置が知られている。このようなセンサ電位測定装置は、例えば、アレイ状に配置された電極上の領域を培養液で満たすことによって、該培養液で培養される生体細胞が発する活動電位を測定するために用いられる。
【0003】
下記の特許文献1には、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)集積回路技術を用いて、電極、増幅器及びA/D(Analog/Didital)変換器などを1つの基板に集積することで、多点にて同時に電位を測定することが可能な電位測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/061171号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1に開示された電位測定装置では、測定の進行に伴い、電位を測定する領域の温度が変動してしまう。これは、特許文献1に開示された電位測定装置では、電極、増幅器及びA/D変換器などの熱源となり得る多数の素子が1つの基板に集積されているため、測定の進行に伴って多量の熱が発生してしまうためである。
【0006】
ここで、電極上の溶液の化学反応の反応速度は、温度に依存して変動し得る。また、該電位測定装置において、生体細胞の活動電位を測定する場合、生体細胞の活動の頻度は、温度に依存して大きく変化する。
【0007】
そのため、微小な電極をアレイ状に配置し、該電極上の電位を電気化学的に測定するセンサ装置において、電位を測定するセンシング領域の温度を簡易に検出し、センシング領域の温度を適切に制御することが求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、基板と、センシング領域に対して露出される前記基板の一主面の層に設けられた電極アレイと、前記電極アレイと同一層に少なくとも1つ以上設けられた配線層であって、前記配線層の数は、前記電極アレイの電極の数に比べて少なく、前記各配線層は、前記電極アレイの全ての前記電極と電気的に分離されている、前記配線層と、少なくとも1つの前記配線層の電気抵抗に基づいて、前記センシング領域の温度を判断する温度判断部と、前記温度判断部にて判断された前記センシング領域の温度に基づいて、前記センシング領域の温度を制御する温度制御部と、を備える、センサ装置が提供される。
【0009】
また、本開示によれば、センサ装置、及び前記センサ装置からの出力を情報処理する情報処理装置を備え、前記センサ装置は、基板と、センシング領域に対して露出される前記基板の一主面の層に設けられた電極アレイと、前記電極アレイと同一層に少なくとも1つ以上設けられた配線層であって、前記配線層の数は、前記電極アレイの電極の数に比べて少なく、前記各配線層は、前記電極アレイの全ての前記電極と電気的に分離されている、前記配線層と、少なくとも1つの前記配線層の電気抵抗に基づいて、前記センシング領域の温度を判断する温度判断部と、前記温度判断部にて判断された前記センシング領域の温度に基づいて、前記センシング領域の温度を制御する温度制御部と、を有する、計測機器が提供される。
【0010】
本開示によれば、電極アレイと同一層に設けられた配線層の電気抵抗からセンシング領域の温度を判断し、判断した温度に基づいて、温度制御部にてセンシング領域を適切に加熱又は冷却することが可能である。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本開示によれば、電位を測定するセンシング領域の温度を適切に制御することが可能である。
【0012】
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の第1の実施形態に係るセンサ装置の構成を模式的に示す断面図である。
図2】同実施形態に係るセンサ装置の構成を模式的に示す上面図である。
図3】同実施形態に係るセンサ装置の具体的な制御構成を示すブロック図である。
図4】所定の大きさの白金配線の電気抵抗の温度依存性の一例を示すグラフ図である。
図5A】配線層の平面配置の一例を模式的に示す上面図である。
図5B】配線層の平面配置の他の例を模式的に示す上面図である。
図5C】配線層の平面配置のさらに他の例を模式的に示す上面図である。
図5D】配線層の平面配置のさらに他の例を模式的に示す上面図である。
図6】同実施形態の変形例に係るセンサ装置の半導体基板の構成を模式的に示す断面図である。
図7】本開示の第2の実施形態に係る測定機器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0015】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.センサ装置
1.1.センサ装置の構成
1.2.センサ装置の制御
1.3.配線層の平面配置のバリエーション
1.4.センサ装置の変形例
1.5.センサ装置のまとめ
2.測定機器
【0016】
<1.センサ装置>
(1.1.センサ装置の構成)
まず、図1及び図2を参照して、本開示の第1の実施形態に係るセンサ装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るセンサ装置の構成を模式的に示す断面図であり、図2は、本実施形態に係るセンサ装置の構成を模式的に示す上面図である。
【0017】
図1に示すように、センサ装置100は、電極アレイ111と、配線層113と、半導体基板110と、構造部材125と、側壁121と、温度判断部133と、温度制御部131と、を備える。センサ装置100は、構造部材125及び側壁121にて形成される凹構造内のセンシング領域140の各位置の電位を測定する電位測定装置である。なお、センシング領域140には、例えば、培養液等の溶液141が投入される。
【0018】
電極アレイ111は、アレイ状に配置された複数の検出電極と、参照電極とを含み、センシング領域140に対して露出される半導体基板110の一主面に、これら検出電極及び参照電極が配置されることで設けられる。
【0019】
複数の検出電極は、センシング領域140の各位置にて、測定対象が発生させる電位をそれぞれ検出する。検出電極は、例えば、センシング領域140のうち測定対象が配置され得る平面領域に、縦横に周期的な間隔を置いて(いわゆる、マトリクス状に配列されて)配置される。なお、検出電極が配置される平面領域は、アレイ領域とも称する。参照電極は、検出電極にて検出される電位変化を検出するための基準となる参照電位を取得する。参照電極は、例えば、測定対象が発生させる電位の影響を受けないように、アレイ領域から離れた位置に配置される。これにより、参照電極は、検出電極にて検出される電位に対して変動せず、基準となり得る参照電位を取得することができる。
【0020】
ただし、上述した検出電極及び参照電極の平面配置は、あくまで一例である。検出電極及び参照電極は、半導体基板110の一主面に任意の配列で設けられてもよいことは言うまでもない。
【0021】
センサ装置100の測定対象は、例えば、生体細胞であり、より具体的には、活動電位を発生させる心筋細胞又は神経細胞などである。これらの生体細胞は、細胞活動によってイオンの取り込み及び放出を行っている。そのため、センシング領域140を満たす溶液141を介して、検出電極にてイオンの変化量を読み出すことで、センサ装置100は、測定対象である生体細胞の活動電位を測定することができる。具体的には、センサ装置100では、生体細胞にて局所的に発生したイオン量の変化を、抵抗体である溶液141を介して検出電極の電荷量(すなわち、参照電極との電位差)に変換することで、生体細胞等の活動電位を読み出すことができる。
【0022】
配線層113は、半導体基板110内の電極アレイ111と同一層に設けられる。配線層113は、電極アレイ111と同様にセンシング領域140に対して露出されていてもよく、センシング領域140に対して露出されていなくともよい。配線層113は、導電性材料で形成され、常時又は所定のタイミングで通電される。物質の電気抵抗は、温度に依存して変化するため、センサ装置100は、配線層113の電気抵抗を検出することで、配線層113、及び該配線層113に近接するセンシング領域140の温度を判断することができる。これにより、センサ装置100は、簡易な構造にてセンシング領域140の温度を判断することができる。したがって、センサ装置100は、センシング領域140の温度が所定の範囲内に収まるように温度制御を行うことで、センシング領域140の温度を安定させることができる。
【0023】
配線層113は、温度による電気抵抗の変化が大きな導電性材料で形成されてもよい。例えば、配線層113は、温度による電気抵抗の変化が比較的線形な金属材料にて形成されてもよい。これによれば、センサ装置100は、配線層113の電気抵抗から、配線層113及びセンシング領域140の温度をより高い精度で判断することができる。
【0024】
より具体的には、配線層113は、貴金属で形成されてもよい。配線層113は、貴金属である金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)若しくはオスミウム(Os)、又はこれら貴金属の合金にて形成されてもよい。これらの貴金属は、イオン化傾向が水素よりも小さく、溶液141中に溶出しにくい。そのため、センサ装置100は、配線層113をこれらの貴金属で形成することで、測定対象である生体細胞等に対する配線層113からの為害性を抑制することができる。
【0025】
例えば、配線層113は、電極アレイ111と同一材料にて形成されてもよい。配線層113は、半導体基板110内で電極アレイ111と同一層に設けられるため、配線層113及び電極アレイ111が同一材料にて形成される場合、センサ装置100の製造工程において配線層113及び電極アレイ111を同時に形成することができる。これによれば、センサ装置100の製造工程をより簡略化することができる。
【0026】
ここで、図2を参照して、電極アレイ111及び配線層113の平面配置について説明する。
【0027】
図2に示すように、電極アレイ111は、例えば、半導体基板110の上に、複数の微小な検出電極の各々が縦横に周期的な間隔を置いてマトリクス状に配列されることで設けられる。すなわち、電極アレイ111を配置させた平面領域が電位を測定可能な領域(アレイ領域111Aとも称する)となる。なお、アレイ領域111Aの周縁部に設けられた電極の一部は、参照電位を取得するための参照電極として機能してもよい。
【0028】
配線層113は、例えば、アレイ領域111Aの周縁部に少なくとも1つ以上設けられる。配線層113をアレイ領域111A内に設けることで、センサ装置100は、センシング領域140のうち測定対象が存在する領域の温度をより正確に判断することができる。配線層113は、温度に依存して変動する電気抵抗が通電によって検出できればよいため、配線層113の面積及び平面形状は、任意の面積及び平面形状であってもよい。ただし、配線層113は、電極アレイ111の微小な検出電極の1つと同じ平面形状であってもよい。これによれば、電極アレイ111と同じ製造条件にて配線層113を形成することができるため、製造工程を簡略化することができる。
【0029】
半導体基板110は、一主面に電極アレイ111及び配線層113が設けられる基板であり、半導体材料にて設けられる。半導体基板110は、CMOSイメージセンサ等の半導体装置の製造に用いられる微細加工プロセスを用いて加工することができるため、電極アレイ111及び配線層113の微細化を容易に行うことができる。また、半導体基板110には、電極アレイ111にて検出した電位をそれぞれ転送、増幅及びA/D変換する信号処理回路がさらに設けられる。上述したように、これらの信号処理回路(トランジスタ等を含む回路)は、CMOSイメージセンサ等の半導体装置の製造に用いられる細加工プロセスを適用することで、半導体基板110に容易に形成することが可能である。
【0030】
半導体基板110は、例えば、シリコン等の半導体材料で形成された基板であってもよい。ただし、半導体基板110は、ゲルマニウム(Ge)基板、ガリウムヒ素(GaAs)基板、窒化ガリウム(GaN)基板又はシリコンカーバイド(SiC)基板等の他の半導体材料で形成された基板であってもよいことはいうまでもない。
【0031】
構造部材125は、センサ装置100を構成する構造体であり、半導体基板110を保持する。また、構造部材125は、温度判断部133を備え、構造部材125の半導体基板110を保持する面と対向する面には温度制御部131を備える。構造部材125は、側壁121と凹構造を形成することで、凹構造の内部にセンシング領域140を形成する。構造部材125は、ある程度の強度を有する各種ガラス又は各種樹脂によって形成されてもよい。例えば、構造部材125は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、テフロン(登録商標)などのフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂又はABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂などの各種樹脂で形成されてもよい。
【0032】
側壁121は、構造部材125の一主面から、構造部材125の一主面に垂直方向に突出して、構造部材125の周縁全周に亘って設けられる。側壁121及び構造部材125は、内部に溶液141を蓄えることが可能な凹構造を形成する。これにより、センサ装置100では、センシング領域140に載置された測定対象の電位変化を、溶液141を介して電極アレイ111にて検出することが可能である。また、測定対象が生体細胞である場合、凹構造の内部に溶液141として培養液を蓄えることにより、センサ装置100は、生体細胞を培養しながら、生きたまま生体細胞の活動電位を測定することが可能である。側壁121は、例えば、構造部材125と同様に、ある程度の強度を有する各種ガラス又は各種樹脂によって形成されてもよい。例えば、側壁121は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、テフロン(登録商標)などのフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂又はABS樹脂などの各種樹脂で形成されてもよい。
【0033】
センシング領域140は、構造部材125及び側壁121によって形成された凹構造内の領域である。センシング領域140には、電解液である溶液141が満たされており、センシング領域140内のアレイ領域111Aの上に測定対象が載置されることで、電極アレイ111による電位測定が行われる。例えば、測定対象が神経細胞又は心筋細胞などの生体細胞である場合、センシング領域140には、該生体細胞の培養液が溶液141として満たされ、生体細胞は、電極アレイ111が設けられたアレイ領域111Aの上に載置される。これにより、センサ装置100では、生体細胞の活動電位を測定することが可能となる。
【0034】
溶液141は、電解液である。センサ装置100は、溶液141のイオンの変化量を電位変化として電極アレイ111で検出するため、溶液141は、陽イオン又は陰イオンを含む電解液が用いられる。溶液141は、測定対象に合わせて適切なものを選択することが可能である。例えば、測定対象が生体細胞である場合、溶液141は、該生体細胞の培養液であってもよい。
【0035】
温度判断部133は、配線層113の電気抵抗に基づいて、センシング領域140の温度を判断する。具体的には、まず、配線層113に定電流又は定電圧にて電流を流すことで、配線層113の電気抵抗を検出する。一般的に、物質の電気抵抗は、温度に依存して変化するため、温度判断部133は、あらかじめ配線層113の温度と電気抵抗との関係式を記憶しておくことで、配線層113の電気抵抗に基づいて配線層113の温度を判断することができる。加えて、配線層113は、センシング領域140に近接又は露出しているため、配線層113の温度は、センシング領域140と同じであるとみなすことができる。したがって、温度判断部133は、配線層113の電気抵抗に基づいて、配線層113の温度を判断し、さらにセンシング領域140の温度を判断することができる。特に、配線層113が金属で形成されている場合、配線層113の電気抵抗は、温度上昇に伴ってほぼ線形に増加するため、温度判断部133は、より簡易な演算によって、配線層113の温度を判断することができる。
【0036】
温度制御部131は、センシング領域140の温度を制御する。具体的には、温度制御部131は、温度制御機構を含み、温度判断部133が判断したセンシング領域140の温度に基づいて、温度制御機構によるセンシング領域140の加熱又は冷却を制御する。温度制御部131は、温度制御機構として、例えば、ヒータなどの加熱機構、及びペルチェ素子などの冷却機構の両方を備えてもよく、加熱機構又は冷却機構のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0037】
センサ装置100では、温度による影響を受ける電気化学的な作用機序によって測定対象の電位変化を検出する。したがって、センサ装置100の測定中にセンシング領域140の温度が変動した場合、測定結果が変動する可能性がある。そのため、温度制御部131は、センシング領域140の温度が一定に保たれるようにセンシング領域140の温度を制御してもよい。例えば、温度制御部131は、センシング領域140の温度が所定の狭い温度範囲に収まるようにセンシング領域140の温度を制御してもよい。
【0038】
また、検出対象が生体細胞である場合、センシング領域140の温度が変動することで、生体細胞の生育性及び活動性は、大きく影響を受ける。そこで、温度制御部131は、センシング領域140の温度を該生体細胞の生育に適切な温度範囲に制御してもよい。例えば、温度制御部131は、センシング領域140の温度を該生体細胞の宿主の体温と同様の温度範囲(例えば、ヒト及び哺乳類であれば、36℃~37℃)に制御してもよい。
【0039】
なお、温度制御部131は、温度制御機構として、空冷ファン又はペルチェ素子などの冷却機構のみを備えていてもよい。これは、センサ装置100では、微小な複数の電極を含む電極アレイ111と、該電極アレイ111に対応する増幅器及びA/D変換器を含む信号処理回路とが半導体基板110に集積されている場合、半導体基板110における発熱量が極めて大きくなるためである。このような場合、温度制御部131は、温度制御のために加熱機構を別途用意しなくとも、半導体基板110からの発熱によって十分な熱量を得ることが可能である。例えば、電位測定の際のセンサ装置100では、電極アレイ111からの電位を検出信号に変換する増幅器及びA/D変換器から大きな熱量が発生する。そのため、温度制御部131は、冷却機構による冷却のみによって、センシング領域140の温度が変動しないように温度制御を行うことができる。
【0040】
(1.2.センサ装置の制御)
続いて、図3を参照して、本実施形態に係るセンサ装置100の具体的な制御構成について説明する。図3は、本実施形態に係るセンサ装置100の具体的な制御構成を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、センサ装置100では、配線層113からの出力に基づいて、温度判断部133にてセンシング領域140の温度を判断する。その後、温度判断部133にて判断した温度に基づいて、温度制御部131内の冷却制御部1311は、冷却部1312の駆動を制御する。なお、温度判断部133及び冷却制御部1311は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラなどのハードウェアにて構成されてもよい。
【0042】
配線層113は、上述したように、半導体基板110内の電極アレイ111と同一層に導電性材料にて設けられ、常時又は所定のタイミングで通電されることで、配線層113の電気抵抗が測定される。
【0043】
温度判断部133は、配線層113の電気抵抗に基づいて、センシング領域140の温度を判断する。具体的には、まず、温度判断部133は、配線層113の通電時の電流又は電圧を取得することで、配線層113の電気抵抗を判断する。次に、温度判断部133は、配線層113の電気抵抗に基づいて、配線層113の温度を判断する。例えば、図4に白金配線の電気抵抗の温度依存性の一例を示すグラフ図を示す。図4に示すように、白金等の導体の電気抵抗は、温度に依存して変動する。そのため、温度判断部133は、あらかじめ測定した配線層113の温度と電気抵抗との関係を示すグラフ等を参照することで、配線層113の電気抵抗から配線層113の温度を判断することができる。その後、温度判断部133は、配線層113に近接する又は露出するセンシング領域140の温度は配線層113の温度とほぼ同じであるとみなすことで、センシング領域140の温度を判断する。
【0044】
冷却制御部1311は、温度判断部133によって判断されたセンシング領域140の温度に基づいて、冷却部1312の駆動を制御する。具体的には、冷却制御部1311は、センシング領域140の温度が所定の温度範囲内に収まるように冷却部1312の駆動を制御する。測定中のセンシング領域140の温度は、半導体基板110内の電極アレイ111、配線層113、及び電極アレイ111にて検出された電位変化を信号処理する信号処理回路からの発熱によって上昇する傾向にある。そのため、冷却制御部1311は、センシング領域140の温度上昇に応じて冷却部1312の駆動量を増加させることで、センシング領域140の温度が所定の温度範囲内に収まるように冷却部1312を制御してもよい。
【0045】
冷却部1312は、冷却制御部1311の制御に基づいて、センサ装置100(すなわち、センシング領域140)を冷却する冷却機構である。例えば、冷却部1312は、構造部材125を冷却するペルチェ素子、又は構造部材125に風を送り込む空冷ファンなどであってもよい。ただし、冷却部1312は、冷却制御部1311の制御に基づいて、センサ装置100を冷却することができれば、どのような冷却機構であってもよく、例えば、冷却材循環器又はコンプレッサ等であってもよい。
【0046】
(1.3.配線層の平面配置のバリエーション)
次に、図5A図5Dを参照して、本実施形態に係るセンサ装置100の配線層113の平面配置のバリエーションについて説明する。図5A図5Dは、配線層113の平面配置の一例を模式的に示す上面図である。
【0047】
図5A及び図5Bに示すように、配線層113は、互いに離隔されて複数設けられてもよい。具体的には、配線層113は、アレイ領域111Aの内部又は外部の上下左右に設けられてもよい。センシング領域140の温度は、半導体基板110内の信号処理回路等の熱源の位置によっては、面内で不均一となっている可能性がある。そのため、配線層113を互いに離隔して複数設け、それぞれの配線層113の電気抵抗を測定することで、センサ装置100は、センシング領域140の温度を高い面内均一性にて制御することが可能になる。このような場合、センサ装置100は、互いに離隔されて設けられた複数の配線層113ごとに電気抵抗及び温度を判断することで、複数の配線層113が存在する領域ごとにセンシング領域140の温度を制御してもよい。または、センサ装置100は、互いに離隔されて設けられた複数の配線層113の電気抵抗及び温度の平均値を算出することで、センシング領域140全体の温度を一律に制御してもよい。
【0048】
なお、図5A及び図5Bに示すように、配線層113は、電極アレイ111が設けられたアレイ領域111Aの内部に設けられてもよく、アレイ領域111Aの外部に設けられてもよい。測定対象が載置されるアレイ領域111Aの温度をより正確に判断するためには、配線層113は、アレイ領域111Aの内部に設けられることが好ましい。ただし、アレイ領域111Aの内部に配線層113が設けられた場合、測定対象の電位変化を検出する検出電極を設けるためのアレイ領域111Aの面積が減少してしまう。したがって、電極アレイ111内の検出電極の数又は面積を増加させるためには、配線層113は、アレイ領域111Aの外部に設けられることが好ましい。
【0049】
図5Cに示すように、配線層113は、電極アレイ111が設けられたアレイ領域111Aの周縁を囲むような線状形状にて設けられてもよい。具体的には、配線層113は、アレイ領域111Aの周縁の三方向に折れ曲がりながら延伸する線状形状にて設けられてもよい。上述したように、センシング領域140の温度は、面内で不均一となっている可能性がある。そのため、線状形状にて広い範囲に配線層113を設けることで、より広い範囲のセンシング領域140の温度を配線層113の電気抵抗に反映させることができる。これによれば、センサ装置100は、センシング領域140の温度をより高い精度で判断することができるため、温度制御部131にてセンシング領域140の温度をより高い精度で制御することが可能である。
【0050】
図5Dに示すように、配線層113は、少なくとも2種以上の異なる平面形状で複数設けられてもよい。具体的には、配線層113は、互いに異なる長さで延伸する複数の線状形状にて設けられてもよい。このような場合、温度判断部133は、配線層113のそれぞれの電気抵抗の比を取ることで、配線層113の電気抵抗をより高い精度で測定することが可能である。これによれば、センサ装置100は、センシング領域140の温度をより高い精度で判断することができるため、温度制御部131にてセンシング領域140の温度を高精度で制御することが可能である。なお、このとき、複数の配線層113は、同一領域の温度を測定するために、センシング領域140の互いに近い場所に設けられてもよい。
【0051】
なお、上記の図5A図5Dで示した配線層113の平面配置のバリエーションは、互いに組み合わせることも可能である。例えば、少なくとも2種以上の異なる平面形状を有する複数の配線層113がアレイ領域111Aの周囲を囲むように設けられてもよい。
【0052】
(1.4.センサ装置の変形例)
さらに、図6を参照して、本実施形態に係るセンサ装置100の変形例について説明する。図6は、本変形例に係るセンサ装置100の半導体基板110の構成を模式的に示す断面図である。
【0053】
図6に示すように、本変形例に係るセンサ装置100では、配線層113の上に保護膜150が設けられ得る。
【0054】
保護膜150は、配線層113をセンシング領域140から離隔し、センシング領域140に配線層113を露出させないように保護する。保護膜150は、耐水性又は防水性を有する材料であれば、いかなる材料で形成することも可能である。例えば、保護膜150は、酸化シリコン若しくは窒化シリコンなどの無機絶縁材料、各種樹脂、又は各種ゴムなどで形成されてもよい。
【0055】
配線層113は、センシング領域140と温度がほぼ同じであればよいため、センシング領域140に近接していればよい。すなわち、配線層113は、センシング領域140に露出されていなくともよく、保護膜150によってセンシング領域140から隔てられていてもよい。このような場合、配線層113は、センシング領域140に露出されないため、溶液141中に配線層113の材料が溶出することを防止することができる。したがって、本変形例に係るセンサ装置100では、生体細胞等の測定対象への影響を与える可能性がある金属等を用いて配線層113を形成することも可能となる。したがって、本変形例に係るセンサ装置100では、配線層113の材料選択の自由度を向上させることができる。
【0056】
(1.5.センサ装置のまとめ)
以上にて説明した本実施形態に係るセンサ装置100によれば、電極アレイ111と同一層に設けられた配線層113の電気抵抗に基づいて、センシング領域140の温度を判断することができる。したがって、センサ装置100は、簡易な構造にてセンシング領域140の温度を判断することができるため、センシング領域140の温度をより適切に制御することが可能である。
【0057】
本実施形態に係るセンサ装置100は、例えば、半導体基板110からの発熱量が多い場合(例えば、電極アレイ111の検出電極が数多く集積されている場合、又は半導体基板110にて様々な信号処理が行われる場合)に、センシング領域140の温度をより好適に制御することが可能である。また、本実施形態に係るセンサ装置100は、例えば、センシング領域140にて厳密な温度管理が求められる生体細胞の活動電位を測定する場合に、より好適に用いることが可能である。
【0058】
<2.測定機器>
次に、図7を参照して、本開示の第2の実施形態に係る測定機器の構成について説明する。図7は、本実施形態に係る測定機器の構成を示すブロック図である。
【0059】
図7に示すように、本実施形態に係る測定機器10は、第1の実施形態に係るセンサ装置100を含む測定機器である。測定機器10は、例えば、第1の実施形態に係るセンサ装置100と、測定機器10全体の動作を制御する制御部200と、センサ装置100にて測定された結果を外部に出力する出力部300と、を備える。
【0060】
センサ装置100は、上述したように、測定対象の電位変化を検出する電位測定装置である。センサ装置100は、簡易な構造にてセンシング領域140の温度を判断することができるため、センシング領域140の温度を適切に制御しながら、測定対象の電位変化を測定することが可能である。例えば、センサ装置100は、センシング領域140の温度を一定に管理しながら、心筋細胞又は神経細胞等の生体細胞の活動電位を測定する電位測定装置であってもよい。
【0061】
制御部200は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などのハードウェアによって構成され、測定機器10全体の動作を制御する。具体的には、CPUは、演算処理装置として機能し、ROM等に記憶されたプログラムに従って、測定機器10の動作全般を制御する。ROMは、CPUが使用するプログラム及び演算パラメータを記憶し、RAMは、CPUの実行において使用するプログラム及び、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。例えば、制御部200は、センサ装置100からの測定結果を受け取り、受け取った測定結果を外部に出力可能な形態又はフォーマットに変換してもよい。
【0062】
出力部300は、センサ装置100の測定結果を制御部200から受け取り、受け取った測定結果を外部に出力する。例えば、出力部300は、センサ装置100の測定結果を紙面に印刷する印刷装置であってもよく、センサ装置100の測定結果を表示部に表示する表示装置であってもよい。または、出力部300は、センサ装置100の測定結果を外部機器に出力するための接続インタフェース又は通信装置であってもよい。例えば、出力部300は、USBポート又は光オーディオ端子等のような接続インタフェースであってもよく、有線若しくは無線LAN対応通信装置又はケーブル通信装置であってもよい。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0065】
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
センシング領域に露出された電極アレイと、
前記電極アレイと同一層に少なくとも1つ以上設けられた配線層と、
前記配線層の電気抵抗に基づいて、前記センシング領域の温度を判断する温度判断部と、
前記温度判断部にて判断された前記センシング領域の温度に基づいて、前記センシング領域の温度を制御する温度制御部と、
を備える、センサ装置。
(2)
前記温度制御部は、前記センシング領域の温度が所定の温度範囲内に収まるように前記センシング領域の温度を制御する、前記(1)に記載のセンサ装置。
(3)
前記温度制御部は、冷却機構を備える、前記(1)又は(2)に記載のセンサ装置。
(4)
前記電極アレイ及び前記配線層は、半導体基板の一方の主面に設けられる、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載のセンサ装置。
(5)
前記半導体基板には、前記電極アレイからの信号を信号処理する信号処理回路が設けられる、前記(4)に記載のセンサ装置。
(6)
前記センシング領域は、前記半導体基板を含む底部と、前記底部の周囲に設けられた側壁とによって囲まれた凹構造の内部領域である、前記(4)又は(5)に記載のセンサ装置。
(7)
前記配線層は、前記電極アレイが設けられたアレイ領域の内側に設けられる、前記(1)~(6)のいずれか一項に記載のセンサ装置。
(8)
前記配線層は、互いに離隔された平面形状にて複数設けられる、前記(1)~(7)のいずれか一項に記載のセンサ装置。
(9)
複数の前記配線層は、少なくとも2種以上の異なる平面形状で設けられる、前記(8)に記載のセンサ装置。
(10)
前記配線層は、保護膜によって前記センシング領域と隔てられている、前記(1)~(9)のいずれか一項に記載のセンサ装置。
(11)
前記配線層と、前記電極アレイとは、同一材料にて形成される、前記(1)~(10)のいずれか一項に記載のセンサ装置。
(12)
前記配線層は、貴金属にて形成される、前記(1)~(11)のいずれか一項に記載のセンサ装置。
(13)
前記電極アレイは、前記センシング領域の各々の位置の電位を検出する複数の検出電極と、参照電位を検出する参照電極と、を含む、前記(1)~(12)のいずれか一項に記載のセンサ装置。
(14)
センサ装置、及び前記センサ装置からの出力を情報処理する情報処理装置を備え、
前記センサ装置は、
センシング領域に露出された電極アレイと、
前記電極アレイと同一層に少なくとも1つ以上設けられた配線層と、
前記配線層の電気抵抗に基づいて、前記センシング領域の温度を判断する温度判断部と、
前記温度判断部にて判断された前記センシング領域の温度に基づいて、前記センシング領域の温度を制御する温度制御部と、
を備える、測定機器。
【符号の説明】
【0066】
10 測定機器
100 センサ装置
110 半導体基板
111 電極アレイ
111A アレイ領域
113 配線層
121 側壁
125 構造部材
131 温度制御部
133 温度判断部
140 センシング領域
141 溶液
150 保護膜
200 制御部
300 出力部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7