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  • 特許-回転式化粧用塗布具システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】回転式化粧用塗布具システム
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/04 20060101AFI20240801BHJP
【FI】
A45D34/04 515Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023521352
(86)(22)【出願日】2021-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 US2021057480
(87)【国際公開番号】W WO2022094361
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】63/108,634
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガリソン、チャド
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0311698(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0055997(US,A1)
【文献】実開昭60-143510(JP,U)
【文献】特開2002-112832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式化粧用塗布具システムであって、
ハンドルと、
前記ハンドルから長手方向に垂下するステムと、
螺旋ロッドであって、
正方形断面の螺旋セクション及び遠位端を備え、
前記螺旋セクションの各面は、幅Wを有し、
前記螺旋ロッドは、前記螺旋ロッドが前記ステムに対して自由に回転する一方で、前記ステムに対するいかなる長手方向の移動も防止されるように、前記ステムに接続されている、螺旋ロッドと、
塗布具ヘッドであって、前記螺旋ロッドと塗布具ヘッドとの間に相対運動がないように、前記螺旋ロッドの前記遠位端に取り付けられている、塗布具ヘッドと、
正方形の下部オリフィスを有する中空本体を備えるワイパーであって、
前記正方形の下部オリフィスの各辺は、
S/√2<W<Sであるように、長さSを有する、ワイパーと、を備える、回転式化粧用塗布具システム。
【請求項2】
前記ハンドルは、1以上の側壁、内部表面、及び内部空間を横切って延在する横壁を有
前記ステムは、前記ハンドルの前記横壁から長手方向に垂下し、円形断面の内部表面によって境界付けられた中空空間を備え、前記内部表面は、環状溝を有し、
前記螺旋ロッドは、前記ステムの前記中空空間内に位置する円筒近位部分を更に備え、前記円筒近位部分は、前記ステムの前記環状溝内に着座する隆起した環状リングを有する、請求項1に記載の回転式化粧用塗布具システム。
【請求項3】
前記ステムは、安定化ピンを備え、
前記螺旋ロッドの前記円筒近位部分には、前記安定化ピンを受容するためのスロットが提供されている、請求項2に記載の回転式化粧用塗布具システム。
【請求項4】
前記螺旋セクションは、その長さにわたって0.5~5回の巻回を含み、
螺旋のピッチは、前記螺旋セクションの長さにわたって一定である、請求項2に記載の回転式化粧用塗布具システム。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記内部表面にねじ山を有し、
前記塗布具ヘッドは、コアと、前記コアから延在する一体成形された毛と、を備える、成形塗布具ヘッドである、請求項2に記載の回転式化粧用塗布具システム。
【請求項6】
前記ワイパーは、上部部分及び下部部分を備え、前記下部部分は、前記上部部分よりもより剛性である、請求項2に記載の回転式化粧用塗布具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用塗布具、具体的には、製品リザーバに挿入される際及び製品リザーバから取り外される際に回転する塗布具の分野にある。
【背景技術】
【0002】
塗布中に回転する化粧用ブラシが既知である。回転は、塗布具ロッドの長手方向軸の周りで生じる。米国特許第4,056,111号は、モータ駆動の回転可能なマスカラブラシについて説明している。モータは、巻き戻し可能な渦巻ばね(すなわち、時計仕掛けモータ)を備え得るか、又は電池式モータが使用され得る。米国特許第6,565,276号は、マスカラブラシヘッドを回転させる電池式モータを開示している。いずれの場合も、ブラシを、いずれかの方向に回転させて、いずれかの目に対する左手及び右手による操作に適応するようにすることができる。記述された利点は、好都合であり、使用者によって必要とされる動きが少ない。米国特許第4,397,326号は、非電動式マスカラブラシについて説明しており、そのヘッドは、自由に回転し、塗布中にブラシヘッドが睫毛に接触するときに回転するが、塗布具が製品リザーバに挿入されているとき及び製品リザーバから取り外されているときには回転しない。回転を引き起こすのは、ブラッシングの行為である。ブラシヘッドの回転により、そうでない場合よりも多くのマスカラを1回の塗布で睫毛に付着させることが可能になると主張されている。米国特許第4,632,136号は、周囲温度で1,500~25,000ポアズの粘度範囲を有するマスカラ用の回転式ブラシ塗布具について説明している。塗布具のハンドル内に収容されたモータがブラシを回転させるが、ブラシがリザーバから取り外されるまで、ブラシは回転させられないことが明示的に開示されている。回転式ブラシの目的は、製品をそぎ取ることではなく、睫毛を分離して梳くことであるため、リザーバ内での製品のそぎ取りは起こらない。出願公開第2005-095531号は、ブラシヘッドを一定速度で回転させるギアを動作させる電気モータを開示している。回転は、塗布具ロッドの長軸の周りで生じる。これらの参考文献のいずれも、製品リザーバに挿入されるとき及び製品リザーバから取り外されるときにのみ回転する単純な設計のマスカラブラシを開示していない。
【0003】
本発明は、マスカラ用の塗布具及びワイパーに関して説明されているが、本発明は、これに限定されない。本明細書に説明される構造及び原理は、クリーム及びゲルなどの様々な相対的に粘性の製品に適用可能である。
【0004】
マスカラ塗布具は、ローディング及びグルーミングと呼ぶ、2つの広範な機能を実行しなければならない。ローディングとは、塗布具が、睫毛に付着させるための1回分の製品をすくい上げることを意味する。睫毛をグルーミングする行為には、製品を付着させることと、睫毛上で製品を均一に滑らかにすることと、個々の睫毛を分離及び/又はカールさせることと、が含まれる。単一の塗布具が、両方の機能を実行しなければならない。しかしながら、マスカラは、重く、粘性で、粘着性の製品であり、製造、充填、又は塗布において容易に流れない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の回転式化粧用塗布具システムは、化粧用塗布具(10)と、カスタムワイパー(11)と、を備える。塗布具(10)は、ハンドル(1)と、ハンドルに固定して取り付けられたステム(2)と、近位端がステムに回転可能に取り付けられたロッド(3)と、ロッドの遠位端に固定して取り付けられた塗布具ヘッド(4)と、を備える。ロッドは、螺旋として形成され、正方形の断面を有する。ロッド及び塗布具ヘッドは、製品リザーバに挿入されるとき及び製品リザーバから取り外されるときに回転することが可能にされるが、それ以外のときには回転することができない。ワイパーは、正方形のオリフィスを備える。塗布具ヘッドの回転は、従来のマスカラシステムよりも塗布具ヘッド上への製品のより均一なローディングをもたらす。ブラシ上の製品のより均一なローディングは、使用者のより一様かつ一貫した塗布経験を支持する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明による、化粧用塗布具の一実施形態を描写する。
図2】螺旋ロッドのステムへの接続部を示す。
図3】螺旋ロッドのステムへの接続部を示す断面図である。
図4】正方形のオリフィスを有するワイパーを描写する。
図5】正方形のオリフィスを有するワイパーを描写する。
図6】正方形のオリフィスを有するワイパーを描写する。
図7】化粧用容器内に位置するワイパーを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の回転式化粧用塗布具システムは、化粧用塗布具(10)と、カスタムワイパー(11)と、を備える。図1を参照すると、本発明による化粧用塗布具(10)は、ハンドル(1)と、ステム(2)と、螺旋ロッド(3)と、塗布具ヘッド(4)と、を備える。塗布具は、本明細書で説明されるように、カスタムワイパー(11)とともに使用されることが意図されている。方向に関する参照のために、長手方向軸Aは、ハンドルから塗布具ヘッドまで塗布具の中心を通って延在する。
【0008】
ハンドル
図1図3を参照すると、ハンドル(1)は、内部空間を画定する1以上の側壁(1a)と、近位端(1b)と、遠位端(1c)と、内部表面(1d)と、内部空間を横切って延在する横壁(1e)と、を備える。この文脈において、横とは、長手方向軸Aに対して垂直であることを意味する。ハンドルは、使用者が塗布具を把持して操作することを可能にする。一般的であるように、ハンドルは、化粧品の容器の閉鎖部としても機能する。このため、ハンドルは、ねじ山付き容器(12)に嵌合するためのねじ山(1f)を内部表面(1d)上に有し得る。
【0009】
ステム
ステム(2)は、ハンドル(1)の横壁(1e)から長手方向に垂下する短い延長部である。ステムは、壁(2a)を備え、その近位端(2b)は、ハンドルとステムとの間に相対移動が存在し得ないように、横壁に固定して接続される。ステムは、その遠位端(2c)までの距離にわたって長手方向に延在する。壁の高さは、塗布具が容器(12)に装着されたときに、壁の遠位端がワイパー(11、以下参照)の下部の(正方形の)オリフィス(11c)の中に延在しないような高さである。ステムは、内部表面(2d)によって境界付けられた円形断面の中空空間(2g)を備え、内部表面は、特徴的な直径を有する。ステム壁の遠位端(2c)は、螺旋状ロッド(3)を受容するように開いている。螺旋ロッドへのステムの取り付けは、螺旋ロッドがステムに対して回転することを可能にしなければならない。これを達成するための様々な手段が可能であり得る。例えば、ステムには、その内部表面(2d)に環状溝(2f)が提供され得る。任意選択的に、ステムはまた、安定化ピン(2e)を備え得る。安定化ピンは、更に遠くに延在し得、次いで、ステムの壁(2a)。その目的は、以下に説明される。
【0010】
螺旋ロッド
螺旋ロッド(3)は、円筒近位部分(3b)と、遠位端(3c)と、を備える。近位部分と遠位端との間には、螺旋セクション(3a)があり、ここにおいて、ロッドは、正方形断面の螺旋形状にねじられている。螺旋ロッドは、ロッドがステムに対して自由に回転する一方で、ステムに対するいかなる長手方向の移動も防止されるように、ステムに接続される。
【0011】
円筒近位部分(3b)は、ステム(2)に接続され、ステム(2)から垂下する。具体的には、螺旋ロッド(3)の近位部分は、ステムの開いた遠位端(2c)を通過し、中空空間(2g)内に位置し。上で説明されるように、ステムに環状溝(2f)が提供されている場合、螺旋ロッドの円筒近位部分(3b)には、隆起した環状リング(3f)が提供され、その直径は、中空空間の直径よりも大きいが、それが着座する環状溝の直径よりも小さい(図3参照)。組み立て中、隆起した環状リングは、環状溝(2f)内となるまでステムの中空空間の中に押し込まれる。その後、螺旋ロッドは、塗布具(10)の通常の使用中にステムから外れることはない。当然ながら、ステムには、隆起した環状リングが提供され得る一方で、環状溝は、螺旋ロッドの円筒近位部分上に位置する。また、ロッドとステムとの関節接合は、他の手段によって達成され得、本質的な特徴は、螺旋ロッドがステムに対して自由に回転する一方で、いかなる長手方向の移動も防止されることである。しかしながら、使用中、より短いステム(2)から延在する比較的長いロッドは、ある程度のぐらつきを経験する場合がある。したがって、ステムには、上で説明されるように、安定化ピン(2e)が提供され得る。その場合、螺旋ロッドの円筒近位部分(3b)には、安定化ピンを受容するためのスロット(3e)が提供される。一般に、安定化ピンが長いほど、螺旋ロッドはより安定する。したがって、安定化ピン及びスロットは、ステムの壁(2a)よりも更に遠くに延在し得る。ステム、螺旋ロッド、及び安定化ピンは同心である。理想的には、螺旋ロッドの円筒部分(3b)の直径は、ステムの中空空間(2g)の直径よりもわずかに小さいだけである。同様に、安定化ピン(2e)の直径は、螺旋ロッドのスロットの直径よりもわずかに小さいだけである。この文脈における「わずかに小さい」とは、1mm以下、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.4mm以下であることを意味する。これは、螺旋ロッドがステムに対して回転することを可能にする一方で、ロッドに最大の横方向安定性を与える。
【0012】
螺旋ロッド(3)の円筒近位部分(3b)は、正方形断面の螺旋セクション(3a)に移行する。この移行(3g)は、ステム(2)の外側で起こる。螺旋の特性は、公知である。螺旋は、中心長手方向軸を有する3次元曲線である。螺旋上のいずれの点においても、接線と軸との間の角度は、一定である。螺旋のピッチは、螺旋の軸に平行に測定された1つの完全な螺旋巻回の高さである。螺旋セクションは、その長さにわたっていくつかの巻回を備える。例えば、巻回数は0.5~5回であり得る。好ましくは、螺旋セクションの長さにわたって0.5~3回の巻回、より好ましくは1~2回の巻回である。螺旋のピッチは、螺旋セクションの長さ及び巻回数によって決定される。好ましくは、ピッチは、螺旋セクションの長さにわたって一定である。好ましくは、螺旋ロッドは、成形プラスチックである。
【0013】
螺旋ロッド(3)のこの螺旋セクション(3a)は、螺旋ロッドの正方形断面を構成する4つのねじれ面(3w、3x、3y、3z)を備える。これらの面は、長手方向軸Aに対してほぼ垂直に測定される最短幅Wを有する。好ましくは、これらの面は、長手方向軸Aに対して垂直に沿って移動するとき、平坦であるか、又はほぼ平坦である。つまり、これらの面は、内側又は外側に曲がらない。
【0014】
塗布具ヘッド
図1を参照すると、塗布具ヘッド(4)は、螺旋ロッド(3)の遠位端に固定して取り付けられている。ロッドと塗布具ヘッドとの間に相対運動はなく、これは、塗布具ヘッドが螺旋ロッドとともに回転することを意味する。最も一般的なマスカラ塗布ヘッドは毛ブラシであるが、他のタイプも有用であり得る。典型的なマスカラブラシヘッドは、コアと、コアから延在する毛と、を備える。塗布具ヘッドは、プラスチック成形構成要素又は非成形構成要素として実装され得る。
【0015】
非成形塗布具ヘッドは、典型的には、多数の繊維毛を所定の配列で支持するねじれワイヤコアを備える。典型的には、ワイヤコアは、0.5~1mmの直径を有するステンレス鋼から形作られ得る。毛は、ナイロン、中空又は中実であってよく、典型的には0.1~0.5mmである。繊維毛の数は変化し得るが、典型的には250~500である。ワイヤコアの近位部分は、毛を有さず、螺旋ロッド(3)の遠位端に取り付けるために使用される。例えば、ワイヤコアの近位部分は、螺旋ロッドの内側で長手方向に延在するチャネルの中に挿入され、摩擦及び/又は接着剤によってそこに保持され得る。
【0016】
プラスチック成形塗布具ヘッドは、コアと、コアから延在する一体成形された毛と、を備える。成形コアの近位部分は、螺旋ロッドの遠位端に取り付けるように形作られる。例えば、近位部分は、螺旋ロッドの内側で長手方向に延在するチャネルの中に挿入され、摩擦及び/又は接着剤によってそこに保持される円筒ロッドとして実装され得る。代替的に、成形コアの近位部分は、螺旋ロッドの遠位端上に嵌め込まれ、摩擦及び/又は接着剤によってそこに保持されるスリーブとして形作られ得る。この場合、螺旋ロッドの遠位部分が円筒形状に移行して、成形塗布具ヘッドのスリーブの中により容易に摺動することが好ましいが、必須ではない。成形塗布具ヘッドを作成するために本発明で使用され得る例示の材料には、シリコーンエラストマー、熱可塑性エラストマー(例えば、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロックコポリマー(styrene-ethylene-butylene-styrene、SEBS)など)、ビニルエラストマー(EVA)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(Dupont de NemoursからのHytrel(登録商標))、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(Dow PlasticからのPellethane(登録商標))、ニトリル、及びEPDMが挙げられるが、これらに限定されない。選択した材料の硬度は、好ましくは、約35MPa(Dupont de Nemoursからの35ショアD Hytrel(登録商標))~約1180MPa(82ショアD Hytrel(登録商標))の範囲である。一般に、濃いマスカラ製品を広げて塊を崩し、睫毛を分離して長くすることが意図されている成形ブラシ部分(14)には、より硬く、柔軟性の低い材料がより好適である。
【0017】
ワイパー
本発明による回転式塗布具は、マスカラなどの化粧品のための容器(12)のネック(12a)内に位置することが意図されたカスタムワイパー(11)とともに動作する。ワイパーは、従来のワイパーの全ての機能を実行する。例えば、塗布具が容器から引き出される際に、ワイパーがロッドを拭き取り、ブラシから余分なマスカラを除去し、睫毛に塗布する前にブラシ上のマスカラを滑らかにする。しかしながら、これらに加えて、本発明のカスタムワイパーは、螺旋ロッド(3)がワイパーを通して持ち上げられる又は下げられるときはいつでも、塗布具ヘッドを回転させる。
【0018】
本発明による(11)ワイパーは、その近位端に上部オリフィス(11b)を有するほぼ円筒形の中空本体(11a)と、その遠位端に下部オリフィス(11c)で終端するテーパセクション(11e)と、を備える。ワイパーが容器ネック(12a)内に完全に着座したときにフランジがネックの上部上となるように、フランジ(11d)は、上部オリフィスを取り囲む。これまで説明してきたように、ワイパーは、既知のワイパーと同様である。しかしながら、本発明によるワイパーでは、下部オリフィスは円形ではなく、正方形である。正方形オリフィスの各辺が長さSを有する場合、本発明は、次の条件が満たされることを必要とする。
S/√2<W<S
式中、Wは、螺旋ロッドの各面の幅である。この条件が満たされると、螺旋ロッドがワイパーオリフィスを通って持ち上げられる又は下げられる際に、ワイパーオリフィスの4つの辺が螺旋ロッドの4つの面(3w、3x、3y、3z)に力を及ぼす。その結果、ワイパーに対する螺旋ロッド(3)のねじれ又は回転運動が生じる。塗布具ヘッド(4)は螺旋ロッドに堅固に取り付けられているので、塗布具ヘッド(4)も回転する。塗布具ヘッドは、使用者がワイパーを通して塗布具を挿入するときに一方向に回転し、使用者がワイパーを通して塗布具を取り外すときに反対方向に回転する。その結果、従来のマスカラシステムよりも塗布具ヘッド上への製品のローディングがより均一になる。ブラシ上の製品のより均一なローディングは、使用者のより一様で一貫した塗布経験を支持する。
【0019】
螺旋ロッド(3)はまた、それが持ち上げられる及び下げられる際に、ワイパー(11)に反対の力を及ぼすが、ワイパーは、ワイパーと容器ネックとの間の摩擦によって容器(12)のネック(12a)内に静止して保持される。任意選択的に、ワイパーは、保持ビーズ(11f)を伴って形成され得る。ワイパーが容器上に完全に着座したとき、ビーズは、容器ネックの内壁に位置する相補的な溝(12b)の中に収まる。ビーズ及び溝は、塗布具が容器に挿入される際及び塗布具が容器から引き出される際に、ワイパーに伝達されるねじり力などのワイパーのいかなる移動にも対抗することによって、ワイパーを容器ネック内で安定化させる。
【0020】
容器(12)は、いかようにも特殊である必要はない。本明細書で説明される塗布具及びワイパーは、典型的にはワイパーを採用する任意の容器内で使用され得る回転式化粧用塗布具システムを形成する。
【0021】
ワイパー(11)の下部オリフィス(11c)の周りの領域は、螺旋ロッド(3)によってそれに加えられる圧力下で変形に抵抗するように十分に剛性でなければならない。この部分は、必要な程度の剛性を有するべきである。一般に、熱可塑性エラストマーは、下側オリフィスの周りの領域に好適な材料ではない場合がある。むしろ、LDPE及び/又はHytrel(登録商標)が、より好適であろう。ワイパー全体は、1つの材料で形作られ得るか、又は容器ネック(12a)内での封止のためにあまり剛性ではなく、より可撓性の上部部分と、螺旋ロッドが及ぼす力に耐えるためにより剛性のある下部部分と、を提供するように、組み合わせが使用され得る。
【0022】
上で述べられるように、螺旋ロッド(3)の螺旋セクション(3a)の4つの面(3w、3x、3y、3z)は、長手方向軸Aに対して垂直に移動するときに平坦であることが好ましい。つまり、これらの面は、内側又は外側に曲がらない。これは、螺旋ロッドの各面がワイパー(11)の正方形オリフィス(11c)の1つの辺によって拭き取られるので重要である。平坦面は、螺旋ロッドの面がワイパーオリフィスの辺に対して上方に摺動することができるので、より効果的な拭き取りを可能にする。
【0023】
マスカラ製品によっては、塗布具を持ち上げる及び下げるのに過剰な力が必要となるように、螺旋ロッドとワイパーオリフィスとの間の関節接合が製品で過度に詰まらないようにすることが必要な場合がある。この詰まりは、螺旋ロッドの各面のW、幅を減少させることによって回避することができるが、その場合、ワイパーは、螺旋ロッドを拭き取るのにあまり効果的でない可能性がある。別の解決策は、螺旋ロッドの各面とワイパーオリフィスとの間の著しい干渉(つまり、W≒S)を維持するが、螺旋ロッド(3)の角部(すなわち、2つの面が交わる場所)及び/又はワイパーオリフィスの角部を丸めることである。
【0024】
塗布具ヘッド(4)がワイパー(11)を通して製品リザーバから取り外されると、塗布具ヘッドには、製品が全周にわたって均一にローディングされる。使用者は通常の方法で製品を塗布し、睫毛によって塗布具に加えられる力が塗布具ヘッドを著しく回転させるのに十分ではないため、塗布具はハンドル(1)に対して著しく回転しない。
【0025】
前述の本発明は、マスカラ用の塗布具及びワイパーに関して説明されているが、本発明はこれに限定されない。本明細書に説明される構造及び原理は、クリーム及びゲルなどの比較的粘性のある製品に適用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7