(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-31
(45)【発行日】2024-08-08
(54)【発明の名称】金属溶湯濾過ユニット
(51)【国際特許分類】
C22B 9/02 20060101AFI20240801BHJP
B01D 29/11 20060101ALI20240801BHJP
B22D 43/00 20060101ALI20240801BHJP
C22B 21/06 20060101ALI20240801BHJP
【FI】
C22B9/02
B01D29/10 501C
B01D29/10 510C
B22D43/00 C
C22B21/06
(21)【出願番号】P 2024530002
(86)(22)【出願日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2023042943
【審査請求日】2024-05-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 健介
(72)【発明者】
【氏名】堤 英気
(72)【発明者】
【氏名】川口 一彦
(72)【発明者】
【氏名】高岡 稔
(72)【発明者】
【氏名】松永 真一
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021164(JP,A)
【文献】特開平05-287397(JP,A)
【文献】特開平06-337196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00-61/00
B01D 23/00-37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の側板と、
前記一対の側板の各々に対して略垂直に接続された略円筒状の濾過チューブと
を備えた金属溶湯濾過ユニットであって、
前記一対の側板は、
前記濾過チューブに接続した箇所に貫通孔を備えた第一側板と、
前記濾過チューブに接続した箇所が閉塞されている第二側板とを備え、
各側板は、側板の底面から垂設された少なくとも1つの脚部を備え、
前記脚部は各側板と一体に形成されており、
前記濾過チューブの長手方向を略水平とした場合、前記第二側板の脚部の鉛直方向の最低位は、前記第一側板の脚部の鉛直方向の最低位よりも低い、
前記金属溶湯濾過ユニット。
【請求項2】
前記濾過チューブの長手方向を略水平とした場合、前記第二側板の脚部の鉛直方向の長さに対する、前記第一側板の脚部の鉛直方向の長さの比が、0.20以上1.0未満である、
請求項1に記載の金属溶湯濾過ユニット。
【請求項3】
金属溶湯濾過ユニットにおける全ての脚部の接地面積の合計が、前記一対の側板の底面積の合計に対して、0.015以上0.075以下である、請求項1に記載の金属溶湯濾過ユニット。
【請求項4】
金属溶湯濾過ユニットにおける全ての脚部の接地面積の合計が、前記一対の側板の底面積の合計に対して、0.020以上0.060以下である、請求項3に記載の金属溶湯濾過ユニット。
【請求項5】
少なくとも、第一側板に脚部を2つ備え、第二側板に脚部を1つ備える、
請求項1に記載の金属溶湯濾過ユニット。
【請求項6】
少なくとも、第一側板の底面の長手方向の両端部近傍に2つの脚部を備え、第二側板の底面の長手方向の略中心部に1つの脚部を備える、
請求項5に記載の金属溶湯濾過ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム等の金属溶湯を濾過する金属溶湯濾過装置に配置される金属溶湯濾過ユニットに関する。より具体的には、金属溶湯濾過ユニットを金属溶湯濾過装置の濾過室に配置する際、濾過室の所定位置への配置を容易にする金属溶湯濾過ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
鋳物の製造に用いられるアルミニウム等の金属溶湯には、通常、不純物として水素や酸化物等の非金属の介在物が含まれる。例えば、金属溶湯中の溶存水素は鋳物中にポロシティーと呼ばれる鋳巣を形成し、また酸化物等は鋳物中の介在物となり得る。これらの鋳巣や介在物は、いずれも鋳物の破壊起点となり得るため好ましくない。そこで、金属溶湯を濾過し、当該金属溶湯に含まれる介在物等の不純物を除去するための濾過装置が開発されてきた。
【0003】
この目的を達するため、典型的には、金属溶湯から不純物を濾過するための複数のセラミックス製の濾過チューブを有する金属溶湯濾過ユニットが、入湯口及び出湯口が設けられた濾過室内に戴置された金属溶湯濾過装置が用いられている(特許文献1参照)。このような金属溶湯濾過装置においては、使用の前後において金属溶湯濾過ユニットを濾過室内から出し入れする必要がある。そのため、使用の前に金属溶湯ユニットを濾過室の所定の位置に配置するため移動させる必要がある。
【0004】
金属溶湯ユニットを濾過室の所定の位置に配置するため移動させる手段として、油圧ジャッキ又はパンダグラフ式ジャッキ等により金属溶湯濾過ユニットを押圧する方法が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、金属溶湯濾過ユニットは、その重量のため、押圧等の手段で所定の位置に正確に移動させることは困難であった。また、金属溶湯濾過においては、金属溶湯濾過ユニットが濾過室の出湯口側に密着している必要があるが、金属溶湯濾過ユニットは、その重量のため、位置の微調整が困難であった。さらに、繰り返し使用された金属溶湯濾過装置においては、金属溶湯濾過ユニットとの摩擦や、金属溶湯の熱による膨張と収縮を繰り返すことによる金属溶湯濾過装置自体のひずみの影響により、金属溶湯濾過ユニットの位置の微調整がより一層困難であった。
【0007】
したがって、本発明が解決すべき課題は、上記不都合が解消された、すなわち、従来の金属溶湯濾過ユニットと比較して濾過室内での所定位置への配置が容易な金属溶湯濾過ユニットを提供することである。なお、本明細書の全体において「金属溶湯濾過ユニット」を単に「濾過ユニット」と称することもある。また、本明細書の全体において「金属溶湯濾過装置」を単に「濾過装置」と称することもある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究した結果、濾過ユニットを構成する側板の底面に備えられた脚部を改良することにより、上記課題が解決され得ることを見出した。すなわち、本発明者らは、各側板の脚部の長さを異なるものとすることで、濾過ユニット自体の重量により、すなわち、濾過ユニットの重量バランスの偏りにより、濾過室内で所望の位置への濾過ユニットの移動及び配置の微調整等の操作性が向上することを見出し、本発明を完成させた。なお、上記説明及び本明細書において、第一側板とは、濾過チューブに接続した箇所に貫通孔を備えた側板を指し、第二側板とは濾過チューブに接続した箇所が閉塞されている側板を指す。本明細書において、濾過ユニットの「重量バランスの偏り」という表現は、典型例として後述される濾過ユニットと比較するときに、全体的な構造における重量バランス、又は部分的な構造における重量バランスに偏りが存在することを意図している。
【0009】
このような本発明の典型的な一態様は、以下のとおりである。
一対の側板と、
前記一対の側板の各々に対して略垂直に接続された略円筒状の濾過チューブと
を備えた金属溶湯濾過ユニットであって、
前記一対の側板は、
前記濾過チューブに接続した箇所に貫通孔を備えた第一側板と、
前記濾過チューブに接続した箇所が閉塞されている第二側板とを備え、
各側板は、側板の底面から垂設された少なくとも1つの脚部を備え、
前記濾過チューブの長手方向を略水平とした場合、前記第二側板の脚部の鉛直方向の最低位は、前記第一側板の脚部の鉛直方向の最低位よりも低い、
前記金属溶湯濾過ユニット。
【発明の効果】
【0010】
本発明の濾過ユニットによれば、濾過チューブの長手方向を略水平とした場合、前記第二側板の脚部の鉛直方向の最低位は、前記第一側板の脚部の鉛直方向の最低位よりも低いものとすることで、濾過装置の濾過室内において、濾過ユニットの重量バランスの偏りにより、所望の位置への移動及び配置の微調整が容易になり、ひいては濾過装置の設営工程全体の効率化に資することができるという従来の濾過ユニットから予見することができない優れた利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、濾過ユニット及び濾過装置の典型例を示す。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る濾過ユニットの概略図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る濾過ユニットの第一側板の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の濾過ユニットは、濾過装置の濾過室内に配置して使用されるものである。本発明の濾過ユニットの特徴の理解を容易にするため、先ず、濾過ユニット及び濾過装置の典型例について
図1を参照して説明する。
【0013】
図1は、濾過装置101であり、濾過装置101には入湯口102、濾過室103、出湯室105、出湯口106及び110が備えられている。濾過ユニット104は、第一側板107及び第二側板108、並びに側板に対して略垂直に接続された略円筒状の濾過チューブ109を備える。なお、
図1中には図示しないが、第一側板107は濾過チューブ109に接続した箇所に貫通孔を備え、第二側板108は濾過チューブ109に接続した箇所が閉塞されている。
【0014】
またなお、
図1は、濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び第二側板が前記濾過チューブの右側に位置する方向から濾過装置全体を観察した概略図であるが、本明細書においては特に明示しない限り、同様の方向から濾過ユニット及び濾過装置を観察したものとして、濾過ユニットを説明する。
【0015】
金属溶湯濾過において、濾過室103内に濾過ユニット104を配置し、入湯口102にはアルミニウムやアルミニウム合金等の金属を溶解させた金属溶湯が供給される。入湯口102から供給された金属溶湯は、濾過室103内に配置された濾過ユニット104に備えられた濾過チューブ109を通過することで、金属溶湯に含まれる酸化物等の不純物が除去される。濾過された金属溶湯は、濾過チューブ109中から第一側板107に備えられた貫通孔を通じて、出湯口110から出湯室105に流れ込み、出湯室105を経由して出湯口106から排出される。排出された金属溶湯は、貯湯装置や金属溶湯を用いて加工する金属加工装置等(いずれも図示せず)に送られる。
【0016】
なお、濾過装置101は、一般に、SiC骨材をSi3N4で結合した耐火物から構成されたものを用いることができる。濾過装置101の大きさは、濾過室103内に濾過ユニット104を配置できれば特に制限はない。
【0017】
本発明の濾過ユニットは、各側板は、側板の底面から垂設された少なくとも1つの脚部を備え、前記濾過チューブの長手方向を略水平とした場合、前記第二側板の脚部の鉛直方向の最低位は、前記第一側板の脚部の鉛直方向の最低位よりも低い、濾過ユニットである。
【0018】
このような濾過ユニットとしては、例えば、濾過チューブの長手方向を略水平とした場合、第二脚部に備えられた脚部の鉛直方向の長さを第一側板に備えられた脚部の鉛直方向の長さよりも大きいものとすることが挙げられる。以下、特に明記しない限り、上記の各側板に備えられた脚部の鉛直方向の長さを単に「脚部の長さ」とも称する。
【0019】
本発明の濾過ユニットは、上記の構成により、濾過装置の濾過室内に配置した場合、濾過ユニットの重量バランスの偏りにより、所望の位置への移動及び配置の微調整が容易になる。より具体的には、本発明の濾過ユニットを略水平な濾過室内に配置すると、濾過ユニットは出湯口側壁面(すなわち、第一側板側)に傾倒するように押圧がかかる。その結果、第一側板と出湯口側壁面とを容易に密着させることができる。
【0020】
濾過室は、金属溶湯濾過を繰り返していくと高温の金属溶湯の熱により膨張と収縮を繰り返すこととなる。また、炉床のうち濾過ユニットと接するゲタ部分(「台座」とも称する)は、濾過ユニットの設置を繰り返すことで摩耗することとなる。その結果、濾過装置は経年劣化により炉床が略水平ではなくなるため、濾過ユニットを濾過室内へ配置することが難しくなる。しかし、本発明の濾過ユニットは、経年劣化した濾過室内への配置においても、出湯口側壁面に押圧がかかるため、第一側板と出湯口側壁面とを容易に密着させることができる。
【0021】
本発明の一態様において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とした場合、前記第二側板の脚部の鉛直方向の長さに対する、前記第一側板の脚部の鉛直方向の長さの比が、0.20以上1.0未満であってよい。当該長さの比は、好ましくは0.4以上0.8以下であってよく、より好ましくは0.5以上0.7以下であってよい。
【0022】
当該長さの比が、0.20以上であることで、濾過ユニットの重量バランスの偏りが過度になることがなく、未使用時の濾過ユニットの傾倒による事故を防ぐことができる。また、当該長さの比が、1.0未満であることで、第一側板の脚部の長さが第二側板の脚部の長さよりも短くなるため、濾過ユニットを濾過室内に配置した場合、濾過ユニットの重量バランスの偏りにより、所望の位置への移動及び配置の微調整が容易になる。
【0023】
本発明の濾過ユニットは、上記のように脚部に特徴を有するものであるが、脚部の形成方法は特に限定されない。例えば、金型又は鋳型を用いて側板とともに脚部を形成する場合、脚部が所望の長さとなる金型又は鋳型を調整してもよい。また、濾過ユニットを形成後、第一側板の脚部を研磨等により、第一側板の脚部の長さが第二側板の脚部の長さよりも短くなるようにしてもよい。
【0024】
本発明の一態様において、金属溶湯濾過ユニットにおける全ての脚部の接地面積の合計が、前記一対の側板の底面積の合計に対して、0.015以上0.075以下であってよい。当該面積の比は、好ましくは0.020以上0.060以下であってよく、より好ましくは0.025以上0.050以下であってよい。
【0025】
当該面積の比が、0.015以上であることで、濾過ユニットを脚部により安定して載置できる。当該面積の比が、0.075以下であることで、脚部による濾過ユニットと炉床との接地面積が小さくなるため、濾過ユニットと炉床の固着を防ぐことができる。
【0026】
脚部の接地面積は、脚部底面の寸法から面積を算出してもよい。また、脚部の接地面積は、脚部にインクを塗布して、インク跡から測定してもよいし、濾過ユニットを感圧紙上に配置して、残った跡から測定してもよい。側板の底面積は、側板の底面の寸法から算出することができる。
【0027】
本発明の濾過ユニットは、前述のとおり、各側板が側板の底面から垂設された少なくとも1つの脚部を備えるものである。脚部の形状、側板における位置及び数は、特に制限されない。
【0028】
本発明の一態様において、濾過ユニットは、少なくとも、第一側板に脚部を2つ備え、第二側板に脚部を1つ備えていてもよい。このように脚部を備えることで、濾過ユニットを経年劣化した濾過室内に配置しても、少なくとも3点で濾過ユニットを支えることができるため濾過ユニットを安定して配置することができる。
【0029】
また、本態様において、好ましくは、濾過ユニットは、少なくとも、第一側板の底面の長手方向の両端部近傍に2つの脚部を備え、第二側板の底面の長手方向の略中心部に1つの脚部を備えていてもよい。このように脚部を備えることで、より安定して濾過ユニットを配置することができる。
【0030】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は、図面の実施形態に限定されるものではない。
【0031】
図2は、本発明の一実施態様の濾過ユニットを示す。ただし、
図2は本発明の説明のため、実際の寸法の比率や濾過チューブの本数とは異なる場合がある。本発明の濾過ユニット104は、第一側板107の底面部に脚部201を備え、第二側板108の底面部に脚部202を備える。
図2は、濾過ユニットは濾過チューブの長手方向を略水平とした場合を図示している。この場合、脚部201の鉛直方向の長さH1と脚部202の鉛直方向の長さH2は異なっており、脚部202の長さH2は脚部201の長さH1よりも大きくなる。そのため、脚部202の最低位は脚部201の最低位よりも低い。なお、
図2において、脚部201及び202は、第一側板側(
図2の左側)が傾斜する形状を示しているが、脚部の形状は特に限定されない。
【0032】
したがって、本発明の濾過ユニットは、略水平な炉床に配置した場合、第一側板107側に傾く。その結果、出湯口側壁面に傾倒するように押圧がかかるため、出湯口側壁面と密着しやすくなる。また、本発明の濾過ユニットは、第一側板107にセラミックファイバー製のパッキン203を備えていてもよい。出湯口側壁面への押圧によりパッキン203が壁面に密着するため、金属溶湯の漏出を防ぐことができる。
【0033】
図3は、第一側板107側から観察した濾過ユニット104を示す。本発明の濾過ユニットは、所望の位置への移動及び配置の微調整が容易であり、出湯口側壁面に密着させることができる。すなわち、濾過ユニット104を濾過室内に配置した際、パッキン203の四隅(
図3における点a、b、c、及びd)に均等に圧力がかかるよう配置することができるため、金属溶湯の漏出を防ぐことができる。なお、パッキン203に均等に圧力がかかっているかの判断は、濾過ユニット104を濾過室内に配置した際のパッキン203の4点a、b、c、及びdにおけるパッキンの圧縮後の厚みを測定することで判断できる。圧力が強くかかるほどパッキンは大きく縮む。そのため、パッキン203に均等に圧力がかかっている場合、4点a、b、c、及びdにおけるパッキンの圧縮後の厚みが同程度となる。本発明においては、4点a、b、c、及びdのうちパッキンの圧縮後の厚みが最大の点と最小の点の差から、パッキンにかかる圧力が均等か否かを判断し得る。
【0034】
ここまで、本発明に係る金属溶湯濾過ユニットを特定の実施形態によって説明したが、これらの実施形態に限定されることを意図していない。特に、本発明の金属溶湯濾過ユニットは、少なくとも一対の側板の底部に垂設された脚部に特徴を有するものであれば、いかなる金属溶湯濾過ユニットに対しても適用され得ることに留意されたい。例えば、本発明の濾過ユニットは、濾過チューブの形状、長さ、本数等により限定されない。本発明の濾過ユニットは、上述の特定の実施形態に例説された濾過ユニットに限定されない。本発明に包含され得る主題の範囲は、添付の請求の範囲によって定められるべきである。
【0035】
<濾過チューブの構造に関する追加の実施形態>
本発明に係る金属溶湯濾過ユニットが備える濾過チューブの構造は、添付の特許請求の範囲にて規定される以外は特に限定されない。濾過チューブは、以下の項目[1]又は[2]に例示されるとおりの創意工夫された形状又は寸法に関する特定の関係を満たすものであってよい。
【0036】
[1].金属溶湯濾過ユニットの濾過チューブの追加実施形態1
金属溶湯濾過ユニットの追加の一例として、以下のとおり特定される濾過チューブを備えるものが挙げられる。
金属溶湯濾過ユニットであって、
略平行に配置された、外面および内面において長手方向に垂直な断面形状がそれぞれ略円形である円筒状の複数のセラミックス製濾過チューブ、および、前記複数のセラミックス製濾過チューブの長手方向の両端に配設された一対の側板を含み、
前記複数のセラミックス製濾過チューブは、金属溶湯が出湯する側の第1の端部、および他方の第2の端部を有し、
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部は、
濾過チューブ外面の金属溶湯に露出される部分の長手方向長さをL1とし、濾過チューブの外径をD1とし、濾過チューブ内面の金属溶湯に露出される部分の長手方向長さをL2とし、濾過チューブの内径をD2とするとき、以下の2つの関係式:
(1)L1/D1≧8.5
(2)L2/D2≦21
のいずれも満たす、金属溶湯濾過ユニット。
【0037】
この追加の実施形態に係る金属溶湯濾過ユニットは、更に以下の非限定的な構成を備えるものであってよい。
(i)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部において、前記第1の端部での内径が、前記第2の端部での内径よりも大きい。
(ii)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部において、前記第1の端部での内径が、前記第2の端部での内径の100.5%以上120%以下である。
(iii)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部において、前記第1の端部の開口形状が、長手方向視にて、前記一対の側板のうちの出湯側の側板に設けられた略円形の貫通孔の濾過チューブ配設側端部の開口形状を包含している。
(iv)
上記(iii)において、前記出湯側の側板の貫通孔において、その出湯側の端部の内径が濾過チューブ配設側の端部の内径よりも小さい。
(v)
上記(iv)において、前記出湯側の側板の貫通孔において、前記の出湯側端部の内径が、前記の濾過チューブ配設側端部の内径の80%以上99.5%以下である。
(vi)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部は、その長手方向の各端部において、前記側板に穿設された凹部に対して、この凹部に適合した形状を有するパッキンを介して嵌合され、固定されている。
(vii)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部が、25%以上50%以下の気孔率を有する多孔性物質で形成されている。
【0038】
[2].金属溶湯濾過ユニットの濾過チューブの追加実施形態2
金属溶湯濾過ユニットの追加の一例として、以下のとおり特定される濾過チューブを備えるものが挙げられる。
金属溶湯濾過ユニットであって、
略平行に配置された、外面および内面において長手方向に垂直な断面形状がそれぞれ略円形である円筒状の複数のセラミックス製濾過チューブ、および、前記複数のセラミックス製濾過チューブの長手方向の両端に配設された一対の側板を含み、
前記複数のセラミックス製濾過チューブは、金属溶湯が出湯する側の第1の端部、および他方の第2の端部を有し、
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部は、
濾過チューブ外面の金属溶湯に露出される部分の長手方向長さをL1とし、濾過チューブの外径をD1とし、濾過チューブ内面の金属溶湯に露出される部分の長手方向長さをL2とし、濾過チューブの内径をD2とするとき、以下の2つの関係式:
(1)L1/D1≧8.5
(2)L2/D2≧22
のいずれも満たす、金属溶湯濾過ユニット。
【0039】
この追加の実施形態に係る金属溶湯濾過ユニットは、更に以下の非限定的な構成を備えるものであってよい。
(i)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部において、前記第1の端部での内径が、前記第2の端部での内径よりも大きい。
(ii)
上記(i)において、前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部において、前記第1の端部での内径が、前記第2の端部での内径の100.5%以上150%以下である。
(iii)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部において、前記第1の端部の開口形状が、長手方向視にて、前記一対の側板のうちの出湯側の側板に設けられた略円形の貫通孔の濾過チューブ配設側端部の開口形状を包含している。
(iv)
上記(iii)において、前記出湯側の側板の貫通孔において、その出湯側の端部の内径が濾過チューブ配設側の端部の内径よりも小さい。
(v)
上記(iv)において、前記出湯側の側板の貫通孔において、前記の出湯側端部の内径が、前記の濾過チューブ配設側端部の内径の70%以上99.5%以下である。
(vi)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部は、その長手方向の各端部において、前記側板に穿設された凹部に対して、この凹部に適合した形状を有するパッキンを介して嵌合され、固定されている。
(vii)
前記複数のセラミックス製濾過チューブの少なくとも一部が、25%以上50%以下の気孔率を有する多孔性物質で形成されている。
【0040】
<側板の構造に関する追加の実施形態>
本発明に係る金属溶湯濾過ユニットが備える一対の側板自体の構造は、添付の特許請求の範囲にて規定される以外は特に限定されない。これら2つの側板は、各側板が略直方体の板状である実質的に同一の外形を有する形態に加えて、以下の項目[1]又は[2]に例示されるとおりの創意工夫された形状又は寸法に関する特定の関係を満たすものであってよい。
【0041】
[1].金属溶湯濾過ユニットの側板の追加実施形態1
金属溶湯濾過ユニットの追加の一例として、以下のとおり特定される一対の側板を備えるものが挙げられる。
一対の側板と
前記一対の側板に対して略垂直に接続された略円筒状の濾過チューブと
を備えた金属溶湯濾過ユニットであって、
前記一対の側板は、
前記濾過チューブに接続した箇所に貫通孔を備えた第一側板と、
前記濾過チューブに接続した箇所が閉塞されている第二側板と、を備え、
前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記一対の側板の少なくとも一方は、左側底辺又は右側底辺のいずれか一方が他方の底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された底部を備える、
前記金属溶湯濾過ユニット。
【0042】
この追加の実施形態に係る金属溶湯濾過ユニットは、更に以下の非限定的な構成を備えるものであってよい。
(i)
前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記第一側板が、左側底辺又は右側底辺のいずれか一方が他方の底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された底部を備え、
前記第一側板が、左側底辺が右側底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された底部を備える場合、前記第二側板は、左側底辺が右側底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された底部を備え、又は
前記第一側板が、右側底辺が左側底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された底部を備える場合、前記第二側板は、右側底辺が左側底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された底部を備える。
(ii)
前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記一対の側板の少なくとも一方が、左側底辺又は右側底辺のいずれか一方が他方の底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された段差部を備える。
(iii)
上記(ii)において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記一対の側板が、左側底辺が右側底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された段差部を備える。
(iv)
上記(ii)において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記段差部が、最低部である第一底部及び第一底部よりも鉛直方向に高く位置するように形成された第二底部からなり、
前記第一底部の水平方向の長さW1と、前記第二底部の水平方向の長さW2との比(W1/W2)が、0.1以上6.0以下である、但し、W1及びW2は前記濾過チューブの長手方向に平行な方向の長さである。
(v)
上記(ii)において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記段差部が、最低部である第一底部及び第一底部よりも鉛直方向に高く位置するように形成された第二底部からなり、
前記第一底部の水平方向の長さW1と、前記第一底部から前記第二底部までの鉛直方向の長さHとの比(W1/H)が、0.1以上11以下である、但し、W1は前記濾過チューブの長手方向に平行な方向の長さである。
(vi)
前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記一対の側板の少なくとも一方が、左側底辺又は右側底辺のいずれか一方が他方の底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成され、最低部である第一底部及び前記第一底部から鉛直方向に高く位置する底辺までをつなぐ傾斜部を有する底部を備える。
(vii)
上記(vi)において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記第一底部の水平方向の長さW1’と、前記傾斜部の水平方向の長さW2’との比(W1’/W2’)が、0以上6.0以下である、但し、W1’及びW2’は前記濾過チューブの長手方向に平行な方向の長さである。
(viii)
上記(vi)において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記第一底部の水平方向の長さW1’と、前記傾斜部の前記第一底部と接する端部から前記傾斜部の他方の端部までの鉛直方向の長さH’との比(W1’/H’)が、0以上320以下である、但し、W1’は前記濾過チューブの長手方向に平行な方向の長さである。
(ix)
上記(viii)において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記傾斜部と鉛直方向のなす角θ1が60°以上89°以下である。
(x)
上記(vi)において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記一対の側板が、左側底辺が右側底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成され、最低部である第一底部及び前記第一底部から左側底辺までをつなぐ傾斜部を有する底部を備える。
(xi)
上記(vi)において、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、
前記一対の側板が、右側底辺が左側底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成され、最低部である第一底部及び前記第一底部から右側底辺までをつなぐ傾斜部を有する底部を備える。
(xii)
金属溶湯の出湯口を備える金属溶湯濾過装置であって、
前記一対の側板が、前記濾過チューブの長手方向を略水平とし、かつ前記第一側板が前記濾過チューブの左側に位置し、及び前記第二側板が前記濾過チューブの右側に位置した場合、右側底辺が左側底辺よりも鉛直方向に高く位置するように形成された傾斜部を備える、上記(ix)に記載の金属溶湯濾過ユニットが、前記第一側板が前記出湯口と接するように配置され、
前記濾過装置は、炉床に前記金属溶湯濾過ユニットと接する面と水平面とのなす角θ2を有する、くさび形の突起部を備え、θ2はθ1とθ2の和が61°以上114°以下を満たす、
前記濾過装置。
【0043】
[2].金属溶湯濾過ユニットの側板の追加実施形態2
金属溶湯濾過ユニットの追加の一例として、以下のとおり特定される一対の側板を備えるものが挙げられる。
一対の側板と、
前記一対の側板の各々に対して略垂直に接続された略円筒状の濾過チューブと
を備えた金属溶湯濾過ユニットであって、
前記一対の側板は、
前記濾過チューブに接続した箇所に貫通孔を備えた第一側板と、
前記濾過チューブに接続した箇所が閉塞されている第二側板とを備え、
各側板は、側板底面から垂設された脚部を備え、
第一側板に備えられた脚部の数が、第二側板に備えられた脚部の数より、少なくとも1つ多い、
前記金属溶湯濾過ユニット。
【0044】
この追加の実施形態に係る金属溶湯濾過ユニットは、更に以下の非限定的な構成を備えるものであってよい。
(i)
第一側板に脚部を2つ備え、第二側板に脚部を1つ備える。
(ii)
第一側板の底面の長手方向の両端部近傍に2つの脚部を備え、第二側板の底面の長手方向の略中心部に1つの脚部を備える。
(iii)
金属溶湯濾過ユニットを水平面に載置したときに鉛直上方から観察した場合における、濾過チューブの長手方向における金属溶湯濾過ユニットの長さ及び側板の長手方向長さの積で表される金属溶湯濾過ユニット面積をS1’とし、
金属溶湯濾過ユニットの全ての脚部の接地面積の合計面積をS2’とし、
面積比S2’/S1’が、0.0020以上0.015以下である。
【実施例】
【0045】
本発明の実施形態について以下の実施例を参照して具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0046】
表1に示す寸法で実施例1~6及び比較例の濾過ユニットを作成した。なお、濾過ユニットの側板の底面は長辺720mm、短辺60mm(したがって、一対の側板の底面積の合計は86400mm
2)とした。表中、脚高H1及びH2については、
図2に示すように、「脚高H1」は、第一側板側の底面部に備えられた脚部の鉛直方向の長さを指し、「脚高H2」は、第二側板の底面部に備えられた脚部の鉛直方向の長さを指す。
濾過装置は、濾過室内の容積が1.39m
3であった。濾過装置の濾過室の炉床には、濾過ユニットの台座が備えられており、濾過ユニットを配置した際、濾過チューブが略水平となるようにした。濾過装置は、SiC骨材をSi
3N
4で結合した耐火物から構成されたものを用いた。
【0047】
濾過ユニットによる金属溶湯濾過作業
以下の工程(a)~(e)を、1回の濾過作業として、実施例1~6及び比較例の濾過ユニットを用いて、金属溶湯の濾過を行った。
(a)濾過ユニットの設置
濾過ユニットの脚部が濾過室内の台座上に乗るように、濾過ユニットを濾過室内に配置した。濾過ユニットの第一側板が出湯口側壁面に密着するように、押圧用のジャッキを用いて、濾過ユニットを押圧した。第二側板と濾過装置の壁面との間にくさびを打ち込むことで、濾過ユニットを固定した。
(b)濾過装置の予熱
濾過室内に設けられた温度制御ヒーターを用いて、80℃/時で濾過装置を加熱した。温度制御ヒーターの制御温度が800℃に達した後、制御温度が800℃を維持するように、温度制御ヒーターによる加熱を続けた。温度制御ヒーターによる加熱は、150時間継続した。
(c)金属溶湯の濾過
680℃~750℃の金属溶湯1000tを、濾過装置に投入し、14日間かけて、濾過した。
(d)濾過装置の降温
濾過装置を、濾過ユニットが室温になるまで、放置した。
(e)濾過ユニットの取り出し
第二側板と濾過装置の壁面との間のくさびを取り外し、濾過ユニットを濾過装置から取り外した。
【0048】
濾過ユニットの配置容易性の評価
6人の作業員によって、上記濾過作業の工程(a)のように、濾過ユニットの第一側板が濾過室の出湯口側壁面に密着するように濾過ユニットを濾過室内に固定した。濾過ユニットの固定後、
図3におけるパッキンの4点a、b、c、及びdのパッキンの厚みを測定した。測定した厚みのうち最大値と最小値の差を記録し、6人の平均値を算出した。平均値により以下のとおり評価した。
A:1.0mm以下
B:1.0mmより大きく1.5mm以下
C:1.5mmより大きく2.0mm以下
D:2.0mmより大きい
【0049】
濾過ユニットの配置容易性の評価は、初めて濾過ユニットを濾過室内に設置した後(すなわち、1回目の濾過作業の工程(a)の後)、及び15回目の金属溶湯濾過作業を行った後(すなわち、16回目の濾過作業における工程(a)の後)に、同じ6人の作業員によって行った。
【0050】
濾過ユニットの寸法及び評価結果を表1に示す。
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の濾過ユニットによれば、濾過ユニットを構成する側板の底部に設けられた脚部により、濾過室内の所定の位置に配置するため移動が容易である。したがって、本発明の濾過ユニットは、金属溶湯濾過の準備を容易にすることができ、アルミニウム等の金属溶湯から不純物を濾過する場合の作業効率を向上させるものであり、そのような濾過作業が要求される金属工業や鋼鉄業等の様々な産業において利用可能である。
【符号の説明】
【0052】
101:濾過装置
102:入湯口
103:濾過室
104:濾過ユニット
105:出湯室
106、110:出湯口
107:第一側板
108:第二側板
109:濾過チューブ
201:第一側板の脚部
202:第二側板の脚部
203:パッキン
【要約】
従来の金属溶湯濾過ユニットと比較して濾過室内での所定位置への配置が容易な金属溶湯濾過ユニットを提供することを課題とする。一対の側板と、前記一対の側板の各々に対して略垂直に接続された略円筒状の濾過チューブとを備えた金属溶湯濾過ユニットであって、前記一対の側板は、前記濾過チューブに接続した箇所に貫通孔を備えた第一側板と、前記濾過チューブに接続した箇所が閉塞されている第二側板とを備え、各側板は、側板の底面から垂設された少なくとも1つの脚部を備え、前記濾過チューブの長手方向を略水平とした場合、前記第二側板の脚部の鉛直方向の最低位は、前記第一側板の脚部の鉛直方向の最低位よりも低い、前記金属溶湯濾過ユニットによって解決される。