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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】動作補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/00 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
A61H3/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020034322
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133186
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 功一
(72)【発明者】
【氏名】西條 繁生
(72)【発明者】
【氏名】林 誠
(72)【発明者】
【氏名】寺島 正之
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3004121(JP,U)
【文献】特開2014-233545(JP,A)
【文献】特開2016-030040(JP,A)
【文献】特開平10-314236(JP,A)
【文献】登録実用新案第3127402(JP,U)
【文献】特開平11-262504(JP,A)
【文献】特開2015-173753(JP,A)
【文献】特開平10-219957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースから上方に突出する支柱とを備え、
前記支柱は、
前記支柱の上端に位置する握り部を有し、
前記握り部は、
前記握り部の外周部の下面であって、手の指を掛ける指掛面と、
前記握り部の上面であって、前記手の平を置く手置面と、を有し
前記握り部は、上方から見て円形状に形成されているとともに、前記握り部の外周部は、前記握り部の周方向と直交する断面において、外側に向かって凸となる弧状に形成されており、
前記手置面は、上方に凸となる球面であり、
前記支柱から側方に突出する複数の手すりを更に備え、
前記手すりは、前記支柱を中心に回転可能である、
動作補助装置。
【請求項2】
前記支柱の周囲に配置され、前記支柱よりも柔らかい保護部材を更に備えた、
請求項1に記載の動作補助装置。
【請求項3】
前記支柱から側方に向かって突出する当て部材を更に備えた、
請求項1又は2に記載の動作補助装置。
【請求項4】
前記支柱は、上方から見て前記ベースの中心に設けられる、
請求項1~3のいずれか1項に記載の動作補助装置。
【請求項5】
置くだけで設置される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の動作補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、動作補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、床等に配置され、起き上がり及び歩行等の動作の補助として用いられる補助手すりが開示されている。この補助手すりは、ベースと、ベースに立設された支柱部と、支柱部に取付けられた把持部とを備えている。把持部は、手すりとして使用される2個の把持部材を含んでいる。各把持部材は、Uの字を横向きに倒した形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-173753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記補助手すりにおける支柱には、握りやすい部分が少なく、支柱を利用者の動作の補助に用いることが難しい。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、支柱を利用して動作することができる動作補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る動作補助装置は、以下に示す構成を有する。動作補助装置は、ベースと、前記ベースから上方に突出する支柱とを備える。前記支柱は、前記支柱の上端に位置する握り部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る動作補助装置は、支柱を利用して動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る動作補助装置の斜視図である。
図2図2は、同上の動作補助装置の平面図である。
図3図3は、同上の動作補助装置の縦断面図である。
図4図4は、同上の動作補助装置の設置例を示した斜視図である。
図5図5は、同上の動作補助装置の他の設置例を示した斜視図である。
図6図6は、同上の動作補助装置の更に他の設置例を示した斜視図である。
図7図7は、変形例の保護部材を示した斜視図である。
図8図8は、変形例の当て部材を示した斜視図である。
図9図9は、同上の当て部材が有する接触部の向きを変更した状態を示した斜視図である。
図10図10は、他の変形例の当て部材を示した斜視図である。
図11図11は、更に他の変形例の当て部材の先端部を示した斜視図である。
図12図12は、更に他の変形例の当て部材を示した斜視図である。
図13図13は、更に他の変形例の当て部材を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態
図1図3に本実施形態の動作補助装置1を示す。本実施形態の動作補助装置1は、手すり4を備えた手すりユニットである。動作補助装置1は、例えば、浴室、脱衣所、洗面所、便所又は台所等の水回りにおいて用いられる。なお、動作補助装置1が用いられる箇所は、水回りに限定されず、居間又は寝室等であってもよい。また、動作補助装置1が用いられる箇所は、屋内に限定されず、屋外に設置されてもよい。
【0010】
動作補助装置1は、利用者の動作を補助する。動作補助装置1によって補助される利用者の動作としては、例えば、歩行、立ち上がり、座り込み及び跨ぎ等が挙げられる。動作補助装置1の利用者は、主に、高齢者、障害者、要支援者及び要介護者であるが、特に限定されない。
【0011】
図4では、動作補助装置1が、浴槽91に沿った状態で、浴室の洗い場90に設置されている。この場合、利用者は、動作補助装置1の手すり4又は握り部31を掴むことで、浴槽91を跨いで浴槽91に出入りする動作を容易に行うことができる。
【0012】
図5では、動作補助装置1が、浴室の壁92に設けられたカウンタ93に沿って洗い場90に設置されている。この場合、利用者は、動作補助装置1の手すり4又は握り部31を掴むことで、立ち上がる動作及び座り込む動作を容易に行うことができる。
【0013】
図6では、動作補助装置1が、浴室の壁92に沿って浴室の洗い場90に設置されている。この場合、利用者は、動作補助装置1の手すり4又は握り部31を掴むことで、洗い場90を歩行する動作を容易に行うことができる。
【0014】
以下、動作補助装置1について詳述する。なお、本開示で用いる「上下」、「水平」及び「鉛直」等の方向を示す記載は、各動作補助装置1が、水平な面に設置されたときにおける方向である。
【0015】
図1に示すように、動作補助装置1は、ベース2、支柱3及び複数の手すり4を備えている。ベース2は、洗い場の床又は脱衣所の床等の設置面上に設置される。支柱3は、ベース2から上方に向かって突出している。各手すり4は、支柱3に取り付けられている。各手すり4は、支柱3から側方に突出している。なお、動作補助装置1が備える手すり4の数は限定されず、動作補助装置1は、三つ以上の手すり4を備えてもよいし、手すり4を一つだけ備えてもよい。また、動作補助装置1は、手すり4を備えなくてもよい。
【0016】
ベース2は、動作補助装置1の土台として機能する。動作補助装置1は、ベース2が、設置面に置かれて設置される。ベース2は、設置面に対しては固着具等で固定されない。すなわち、動作補助装置1は、設置面に置くだけで設置される。
【0017】
ベース2は、水平面に沿った板状に形成されている。図2に示すように、ベース2は、上方から見て長方形状(詳しくは正方形状)に形成されている。ベース2は、互いに平行な一対の辺をそれぞれ構成する一対の端縁と、互いに平行な他の一対の辺を構成する他の一対の端縁とを有している。一対の端縁間の距離は、他の一対の端縁間の距離と同じである。
【0018】
以下、ベース2の一辺と平行な水平方向を前後方向とし、前後方向と直交する水平方向を左右方向として、動作補助装置1について説明する。
【0019】
ベース2は、上方から見て、四隅の各々が湾曲している。このようにベース2の各隅が湾曲した形状も、本開示では、「長方形状」及び「正方形状」に含まれる。なお、ベース2の各隅は、直角の角であってもよい。また、ベース2を上方から見たときの形状は、円形状又は楕円形状等の長方形以外の形状であってもよい。
【0020】
図3に示すように、ベース2は、プレート20を有している。プレート20は、ベース2の主体を構成している。プレート20は、設置面に沿う板状で、かつ、上方から見て長方形状(詳しくは、正方形状)に形成されている。プレート20は、支柱3の下端部が取付けられる部分である。
【0021】
プレート20は、金属製であり、例えば、ステンレス製である。なお、プレート20は、スレンレス以外の金属から形成されてもよいし、樹脂等の金属以外の材料から形成されてもよい。
【0022】
本実施形態のベース2は、縁部材21を更に有している。縁部材21は、プレート20の周縁部に取り付けられている。縁部材21は、上方から見て、プレート20を囲む環状に形成されており、プレート20の周縁部の全長にわたっている。縁部材21は、プレート20の周縁部を覆っている。
【0023】
ベース2は、例えば、縁部材21が設置面に接触した状態で、設置面上に設置される。このとき、プレート20は設置面から僅かに上方に離れて位置する。縁部材21は、例えば、熱可塑性エラストマー製であって弾力性を有しており、プレート20よりも柔らかい。このため、ベース2は、がたつき難く、かつ、滑り難い状態で、設置面に設置される。なお、縁部材21は、エラストマー製に限定されず、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム等のゴム又は樹脂等から形成されてもよい。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のベース2は、マット22を更に有している。マット22は、例えば、ゴム製又はエラストマー製であり、プレート20よりも柔らかい。マット22は、プレート20の上面に置かれている。マット22は、プレート20の上面において、支柱3及び縁部材21によって覆われない部分を覆う。マット22は、接着剤又は両面テープ等によってプレート20に固定されてもよい。マット22の表面には、滑り止めとなる複数の突起が形成されてもよい。
【0025】
ベース2には、支柱3が立てられた状態で設けられている。支柱3は、上下方向に延びた棒状に形成されている。支柱3は、ベース2に取り付けられた支柱本体30と、支柱本体30の上端部に取り付けられた握り部31とを有している。
【0026】
支柱本体30は、例えば、金属製である。支柱本体30は、上下方向に伸縮可能である。図3に示すように、支柱本体30は、ベース2に固定された固定部材32と、固定部材32に対して上下方向に移動可能な可動部材33とを有している。
【0027】
固定部材32及び可動部材33の各々は、金属製であり、詳しくは、ステンレス製である。なお、固定部材32及び可動部材33の各々は、ステンレス以外の金属から形成されてもよいし、樹脂等、金属以外の材料から形成されてもよい。
【0028】
固定部材32は、例えば、複数の固定具によってベース2のプレート20に取り付けられる。複数の固定具の各々は、例えば、ねじである。なお、固定具は、ねじに限定されない。固定部材32は、ベース2から上方に向かって突出している。固定部材32は、軸方向が上下方向と平行な円筒状の内筒部320を有している。
【0029】
可動部材33は、軸方向が上下方向と平行な円筒状の外筒部330を有している。外筒部330には、複数の手すり4が取り付けられている。外筒部330の内側には、内筒部320が嵌まっている。外筒部330は、内筒部320に対して、上下方向に移動可能である。外筒部330は、内筒部320の外周面に沿ってスライドすることで、内筒部320に対して、上下方向に移動する。
【0030】
外筒部330は、内筒部320に対して固定されている。外筒部330が内筒部320に固定される上下方向の位置は、変更可能である。このように外筒部330の内筒部320に対する固定位置が変わることで、支柱3が上下方向に伸縮し、外筒部330に取り付けられた複数の手すり4の高さが変わる。
【0031】
支柱3は、複数の固定具34を更に有している。複数の固定具34は、外筒部330を内筒部320に対して上下方向の任意の位置で固定する。本実施形態の支柱3は、二つの固定具34を有している。
【0032】
外筒部330には、上下方向に間隔をあけて並んだ複数の挿通孔332が形成されている。挿通孔332は、固定具34と同数形成されている。すなわち、外筒部330には、二つの挿通孔332が形成されている。複数の挿通孔332は、複数の固定具34と一対一で対応している。各挿通孔332は、外筒部330の周壁部を外筒部330の軸方向と直交する方向に貫通している。
【0033】
内筒部320には、上下方向に間隔をあけて並んだ複数の差込孔322が形成されている。差込孔322の数は、固定具34の数(挿通孔332の数)よりも多い。すなわち、内筒部320には、三つ以上の差込孔322が形成されている。各差込孔322は、内筒部320の周壁部を内筒部320の軸方向と直交する方向に貫通している。
【0034】
各固定具34は、外筒部330の挿通孔332を通って、内筒部320の差込孔322に挿入されている。各固定具34は、外筒部330に対しては対応する挿通孔332に通されるが、内筒部320に対しては、複数の差込孔322の中から選択された任意の差込孔332に挿入される。これにより、外筒部330は、内筒部320に対して、上方方向における任意の位置で固定される。なお、外筒部330は、各固定具34が差込孔322に嵌め込まれるだけで、内筒部320に対する上下方向の位置が固定されてもよい。また、例えば、差込孔322が雌ねじで構成され、かつ、各固定具34が差込孔322にねじ込まれるねじで構成されてもよい。
【0035】
支柱3は、支柱3の上端に位置する握り部31を更に有している。握り部31は、利用者が手で握る部分である。握り部31は、内筒部320の上方に位置し、内筒部320の上端部に取り付けられている。握り部31は、例えば、支柱本体30よりも柔らかい材料から形成されている。具体的に握り部31は、熱可塑性エラストマーから形成されており、弾性を有している。なお、握り部31は、エラストマーに限定されず、ゴム等であってもよい。また、握り部31の表面には、凹凸等の構造上の滑り止めが形成されてもよい。
【0036】
握り部31は、上方から見て、外筒部330の外径よりも大きな直径を有する円形状に形成されている。握り部31は、上下方向の寸法が水平方向の寸法よりも小さい扁平状に形成されている。つまり、握り部31は、扁球状に形成されている。
【0037】
握り部31の外周部は、上方から見て、外筒部330の外周面よりも外側に突出している。握り部31の外周面(外周部の外面)は、握り部31の周方向と直交する断面において、外側に向かって凸となる弧状に形成されている。
【0038】
握り部31は、手置面310及び指掛面311を有している。手置面310は、握り部31の上面であって、利用者の手の平を置くための面である。手置面310は、上方から見て円形であり、上方に凸となる球面である。なお、手置面310の形状は、限定されず、例えば、水平な面であってもよい。
【0039】
指掛面311は、握り部31の外周部の下面であり、握り部31を握った手の指を掛ける面である。指掛面311は、上下方向に見て円環状に形成されている。利用者は、手置面310に手の平を置き、五指の指先を指掛面311に掛けることで、握り部31を周囲から五指で包み込んでしっかりと握ることができる。なお、指掛面311は、下方向成分を含む面であればよく、平面であってもよいし、曲面であってもよい。握り部31の高さは、支柱3を上下方向に伸縮させることで、変更することができる。
【0040】
支柱3がベース2に固定される位置は、変更可能である。図2に示すように、本実施形態のベース2は、支柱3を固定可能な固定部23を複数有しており、支柱3は、複数の固定部23から選択された固定部23に固定されることで、ベース2に対して任意の固定位置で固定される。支柱3の各固定部23への固定は、例えば、前述したように、支柱3の固定部材32を複数の固定具を用いてプレート20に取り付けることで行われる。
【0041】
複数の固定部23は、左右方向においてベース2の中心に位置し、前後方向に間隔をあけて配されている。本実施形態のベース2には、上方から見て、ベース2の中心部及びベース2の前後方向の両端部の各々に、固定部23が形成されている。このため、作業者は、複数の固定部23のうちの選択された任意の固定部23に支柱本体30を固定することで、支柱3を、図1に示すようにベース2の中心に設けたり、図4及び図6に示すように、ベース2における前後方向の端部に設けたりすることができる。
【0042】
支柱3がベース2の中心に設けられた場合、例えば、図5に示すように、浴室の壁92から突出したカウンタ93等の設置物が、支柱3と同じ高さに存在していたとしても、設置物の下方にベース2の一部を位置させた状態で、動作補助装置1を設置できる。また、支柱3がベース2の前後方向の端部に設けられた場合、例えば、図4に示すように、手すり4を浴槽91に近づけたり、図6に示すように、手すり4を壁92に近づけた状態で、動作補助装置1を設置できる。したがって、動作補助装置1を利用者にとって利用しやすい位置に設置することができる。
【0043】
なお、ベース2の固定部23の数及び各固定部23の位置は、限定されない。例えば、ベース2は、図2に示す固定部23に加えて、ベース2の前後方向の中心におけるベース2の左右方向の両端部にそれぞれ位置する固定部と、ベース2の隅部に位置する固定部を備えてもよい。また、支柱3のベース2に対する固定位置は、変更不能であってもよい。この場合、ベース2は、例えば、ベース2の中心に取り付けられてもよいし、ベース2の前後方向の端部に取り付けられてもよい。
【0044】
図1に示すように、本実施形態の動作補助装置1は、支柱3の外筒部330から側方に突出した二つの手すり4を備えている。二つの手すり4は、形状及び大きさが同じであり、同じ高さに位置している。なお、複数の手すり4は、形状及び大きさが異なっていてもよいし、異なる高さに位置してもよい。
【0045】
各手すり4は、U字状に曲がった棒状に形成されており、長さ方向の両端部が、外筒部330の上下方向に離れた2箇所にそれぞれ接続されている。各手すり4は、例えば、図3に示すように、金属製の芯部43と、芯部43の外周面を覆う熱可塑性エラストマー製の被覆部44とを有し、被覆部44によって表面が形成される。各手すり4は、手すり4の長さ方向と直交する断面において円周状に形成された外周面を有している。なお、各手すり4の表面には、凹凸等の構造上の滑り止めが形成されてもよい。
【0046】
図1に示すように、各手すり4は、上下一対の棒状部40,41と、連結部42とを有している。上下一対の棒状部40は、外筒部330の上下方向に離れた2箇所から上下方向と交差する方向にそれぞれ突出している。上下一対の棒状部40は平行であり、各棒状部40は、水平方向に延びている。
【0047】
連結部42は、外筒部330から突出した上下一対の棒状部40,41の先端部同士を連結している。連結部42は、支柱3とは反対側に向かって凸となるように弧状に湾曲している。連結部42の長さ方向の両端部は、上下一対の棒状部40,41の先端部にそれぞれ接続されている。連結部42の外周面と、各棒状部40,41の外周面とは、面一である。
【0048】
各手すり4は、支柱3に対して、支柱3に沿った回転軸A1を中心に回転可能に取り付けられている。各手すり4の回転軸A1は、支柱3の中心軸と一致している。各手すり4は、支柱3に対して任意の回転位置で固定できるように構成されている。手すり4の支柱3に対する回転位置を固定する構造としては、例えば、凹凸嵌合又はラチェット機構等の周知の構造が用いられる。
【0049】
本実施形態の各手すり4は、支柱3に対する回転位置が、上方から見て、手すり4とベース2の一辺とが平行になる位置を基準として所定角度毎に変更できるように構成されている。本実施形態の前記所定角度は、30度である。なお、前記所定角度は、30度に限定されず、例えば、90度、45度、15度等であってもよい。また、手すり4は、支柱3に対して、全ての回転位置において固定可能であってもよい。
【0050】
利用者は、各手すり4を支柱3に対して回転することで、図1に示すように、各手すり4を上方から見てベース2の一辺と平行にし、支柱3から二つの手すり4を逆向きに突出させることができる。
【0051】
利用者は、各手すり4を支柱3に対して回転することで、図4に示すように、一方の手すり4を前後方向と平行にし、かつ他方の手すり4を左右方向と平行にすることができる。
【0052】
図2に示すように、支柱3から側方に突出した各手すり4の突出長さは、支柱3がいずれの固定部23に固定された場合にも、上方から見て、手すり4の先端をベース2の端縁と一致させることができる長さに設定されている。このため、例えば、図6に示すように、複数の動作補助装置1を並べて設置するときには、隣り合う動作補助装置1の手すり4の先端部同士を近づけて配置することができる。この場合、利用者は、複数の動作補助装置1の手すり4を連続的に利用して、歩行等の動作を容易に行うことができる。
【0053】
また、各手すり4は、上方から見て、ベース2よりも外側にはみ出さないように位置させることができる。このため、動作補助装置1は、動作補助装置1の近傍に壁92等が位置する場合にも設置することができる。
【0054】
例えば、図4に示すように、支柱3がベース2の前後方向の端部に設けられ、支柱3がベース2の中心からずれている場合、各手すり4の支柱3に対する回転可能な範囲は、全ての回転位置において、上方から見て手すり4がベース2よりも外側にはみ出さないように制限されることが好ましい。この場合、各手すり4は、動作補助装置1の周囲に位置する壁92等に接触し難くなる。なお、各手すり4の支柱3に対する回転可能な範囲は、制限されなくてもよい。
【0055】
本実施形態の動作補助装置1は、図1に示す保護部材5を更に備えている。保護部材5は、支柱3の可動部材33及び固定部材32よりも柔らかい材料から形成されている。保護部材5は、例えば、熱可塑性エラストマー製であって、弾力性を有している。なお、保護部材5は、エラストマー製に限定されず、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム等のゴム等から形成されてもよい。
【0056】
保護部材5は、軸方向が上下方向と平行な筒状に形成されている。保護部材5は、支柱3の周囲に配置され、支柱3を囲んでいる。保護部材5は、その内側に形成された孔に支柱3の可動部材33が嵌め込まれることにより、支柱3に対して着脱可能に取り付けられる。保護部材5の支柱3に対する取付位置は、上下方向に変更可能である。
【0057】
支柱3に取り付けられた保護部材5の一部は、例えば図5に示すように、動作補助装置1がカウンタ93等の構造物の近くに設置された場合に、支柱3と構造物との間に位置する。このため、支柱3が何らかの理由で動く等したとしても、この支柱3が構造物に直接接触することが抑制される。したがって、支柱3によって構造物が傷付くことが抑制される。
【0058】
動作補助装置1は、例えば、図5に示すように、支柱3に取り付けられた保護部材5の外周面の一部が、カウンタ93等の構造物に接触した状態で設置することができる。この場合、構造物により、支柱3が保護部材5を介して支持される。このため、例えば、利用者が手すり4又は握り部31を掴む等したときに、支柱3がぐらついたり、倒れたりすることが抑制される。
【0059】
なお、保護部材5の形状、大きさ及び材質等は限定されない。例えば、図1に示す保護部材5は、上下方向の長さが外径よりも長い筒状に形成されているが、図7に示す保護部材5のように、上下方向の長さが外径よりも短い環状に形成されてもよい。
【0060】
本実施形態の動作補助装置1は、図8に示す当て部材6を更に備えている。当て部材6は、例えば、図4及び図6に示すように、支柱3から側方に突出するように、支柱3に対して着脱可能に取り付けられ、支柱3の近傍に位置する浴槽91又は壁92等の構造物に当てられる。なお、当て部材6は、保護部材5が取り外された支柱3に取り付けられてもよいし、保護部材5が取り付けられた支柱3に取り付けられてもよい。
【0061】
図8に示すように、当て部材6は、支柱3に取り付けられる取付部60と、取付部60に対して上下方向と直交する所定方向Dに移動可能に取り付けられた可動部61とを有している。取付部60には、貫通孔600と隙間601とが形成されている。貫通孔600は、支柱3を貫通させる孔であり、取付部60を上下方向に貫通している。
【0062】
隙間601は、貫通孔600から所定方向Dに延びて取付部60の側端に至っている。取付部60は、隙間601を挟んで位置する二つの部分602,603を有している。取付部60は、例えば、二つの部分602,603がねじで連結され、このねじの締付力により、貫通孔600に通された支柱3が取付部60によって締め付けられることで、支柱3に固定される。
【0063】
取付部60の二つの部分602,603には、貫通孔600とは反対側に向かって開口する凹部606が形成されている。凹部606には、可動部61の一部が嵌め込まれており、可動部61において取付部60とは反対側の部分は、取付部60から突出している。
【0064】
可動部61は、可動部本体610と、可動部本体610に取り付けられた接触部613とを有している。可動部本体610は、取付部60の凹部606に、所定方向Dにスライド可能に嵌め込まれている。可動部本体610を取付部60に対して所定方向Dにスライドすることで、取付部60から突出した可動部本体610の突出量を変更することができる。可動部本体610は、例えば、取付部60の二つの部分602,603によって挟まれることで、取付部60に対して所定方向Dにおける任意の位置で固定される。
【0065】
可動部本体610において取付部60とは反対側の端部には、接触部613が着脱可能に取り付けられている。取付部60から突出した可動部本体610の突出量が変わることで、接触部613の所定方向Dにおける位置が変わる。
【0066】
接触部613は、断面L字状で、所定方向Dと直交する水平方向に延びた部材である。接触部613は、平板状の第1片部611と、第1片部611に対して垂直な平板状の第2片部612とを有している。
【0067】
第1片部611及び第2片部612の各々は、複数のねじによって可動部本体610に着脱可能に取付けることができる。接触部613を可動部本体610に取り付けるときの姿勢は、図8に示す第1姿勢と、図9に示す第2姿勢とに変更可能である。
【0068】
接触部613は、図8に示すように、第1片部611が可動部本体610に取り付けられたときに第1姿勢になる。接触部613が第1姿勢で可動部本体610に取り付けられたとき、第1片部611は鉛直になり、第2片部612は第1片部611から可動部本体610側に向かって突出する。このとき、第1片部611において可動部本体610とは反対側に臨む面は、鉛直になり、当て部材6の先端に位置する。
【0069】
接触部613は、図9に示すように、第2片部612が可動部本体610に取り付けられたときに第2姿勢になる。接触部613が第2姿勢で可動部本体610に取り付けられたとき、第2片部612は鉛直になり、第1片部611は第2片部612から可動部本体610とは反対側に向かって突出する。このとき、第1片部611の下面は、水平になり、第2片部612における可動部本体610とは反対側に臨む面は、鉛直になる。
【0070】
図6に示す各動作補助装置1は、接触部613が図8に示す第1姿勢で取り付けられた当て部材6を備えており、第1片部611において可動部本体610とは反対側に臨む面が、壁92に当たっている。この場合、壁92により、支柱3が当て部材6を介して支持される。このため、例えば、利用者が手すり4又は握り部31を掴む等したときに、支柱3がぐらついたり、倒れたりすることが抑制される。
【0071】
図4に示す動作補助装置1は、接触部613が図9に示す第2姿勢で取り付けられた当て部材6を備えており、第1片部611の下面が浴槽91の上面に当たり、かつ、第2片部612における可動部本体610とは反対側に臨む面が、浴槽91の側面に当たっている。この場合、浴槽91の上面及び側面により、支柱3が当て部材6を介して支持される。この場合も、支柱3がぐらついたり、倒れたりすることが抑制される。
【0072】
なお、当て部材6は、図8及び図9に示すものに限定されない。例えば、図10及び図11に示す当て部材6は、可動部本体610よりも柔らかい接触部613を有している。この接触部613は、例えば、熱可塑性エラストマー製であって弾力性を有する。なお、接触部613の材料は限定されず、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム等のゴム等から形成されてもよい。
【0073】
図10では、可動部本体610の先端部が鉛直な板状に形成されており、この先端部における取付部60とは反対側の面に、接触部613が取り付けられている。図11では、可動部本体610の先端部が鉛直な板状に形成されており、この先端部の全体を包むように接触部613が可動部本体610に取り付けられている。接触部613が、可動部本体610よりも柔らかい部材であると、当て部材6が構造物に接触して構造物が傷付くことが抑制される。
【0074】
また、図12及び図13に示すように、接触部613は、壁92又は浴槽91等の構造物に対して吸着する吸盤62であってもよい。この場合、吸盤62により、当て部材6を壁92等の構造物に対して固定することができ、支柱3がぐらついたり、倒れたりすることが一層抑制される。
【0075】
図12に示す当て部材6の吸盤62は、取付部60に対して移動可能な可動部本体610に固定されている。図13に示す当て部材6は、可動部61を有さず、吸盤62は、ねじ63により取付部60に対して所定方向Dに移動可能に取り付けられている。なお、図13に示す吸盤62は、ねじ63により可動部本体610に対して所定方向Dに移動可能に取り付けられてもよい。
【0076】
なお、上記実施形態の動作補助装置1の各要素の形状、大きさ、位置、数及び材質等は、適宜変更可能である。
【0077】
(2)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、第1の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。動作補助装置(1)は、ベース(2)と、ベース(2)から上方に突出する支柱(3)とを備える。支柱(3)は、支柱(3)の上端に位置する握り部(31)を有する。
【0078】
この態様によれば、利用者は、支柱(3)の上端に位置する握り部(31)を握ることで、動作を容易に行うことができる。
【0079】
第2の態様の動作補助装置(1)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。握り部(31)は、握り部(31)の外周部の下面であって、手の指を掛ける指掛面(311)を有する。
【0080】
この態様によれば、利用者は、指掛面(311)に手の指を掛けて、握り部(31)をしっかりと握ることができる。
【0081】
第3の態様の動作補助装置(1)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。握り部(31)は、握り部(31)の上面であって、手の平を置く手置面(310)を有する。
【0082】
この態様によれば、利用者は、手置面(310)に手の平を置いて、動作を安定させることができる。
【0083】
第4の態様の動作補助装置(1)は、第1~第3のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。握り部(31)は、上方から見て円形状に形成される。
【0084】
この態様によれば、利用者は、握り部(31)を周囲から五指で包み込んでしっかりと握ることができる。
【0085】
第5の態様の動作補助装置(1)は、第1~第4のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。握り部(31)は、扁平形状である。
【0086】
この態様によれば、握り部(31)を握りやすくすることができる。
【0087】
第6の態様の動作補助装置(1)は、第1~第5のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。動作補助装置(1)は、保護部材(5)を更に備える。保護部材(5)は、支柱(3)の周囲に配置され、支柱(3)よりも柔らかい。
【0088】
この態様によれば、支柱(3)が構造物に直接当たって傷付くことが抑制される。
【0089】
第7の態様の動作補助装置(1)は、第1~第6のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。動作補助装置(1)は、支柱(3)から側方に向かって突出する当て部材(6)を更に備える。
【0090】
この態様によれば、当て部材(6)を周囲の構造物等に当てることにより、構造物等によって支柱(3)を支持することができる。このため、例えば、利用者が握り部(31)を掴む等したときに、支柱(3)がぐらついたり、倒れたりすることが抑制される。
【0091】
第8の態様の動作補助装置(1)は、第1~第7のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第8の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。動作補助装置(1)は、支柱(3)から側方に突出する手すり(4)を更に備える。
【0092】
この態様によれば、利用者は、握り部(31)と手すり(4)を利用して、動作を行うことができる。
【0093】
第9の態様の動作補助装置(1)は、第8の態様との組み合わせにより実現され得る。第9の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。手すり(4)は、支柱(3)を中心に回転可能である。
【0094】
この態様によれば、支柱(3)を中心に手すり(4)を回転することで、手すり(4)を利用者の動作又は設置場所等に応じて適切な位置に配置することができる。
【0095】
第10の態様の動作補助装置(1)は、第8又は第9の態様との組み合わせにより実現され得る。第10の態様の動作補助装置(1)は、複数の手すり(4)を備える。
【0096】
この態様によれば、利用者は、複数の手すり(4)を利用することができる。
【0097】
第11の態様の動作補助装置(1)は、第1~第10のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第11の態様の動作補助装置(1)は、以下に示す構成を有する。支柱(3)は、上方から見てベース(2)の中心に設けられる。
【0098】
この態様によれば、握り部(31)から支柱(3)に加わった荷重を、ベース(2)でしっかりと受けることができ、支柱(3)が傾いたり、倒れたりすることが抑制される。
【0099】
第12の態様の動作補助装置(1)は、第1~第11のいずれか一つの態様との組み合わせにより実現され得る。第12の態様の動作補助装置(1)は、置くだけで設置される。
【0100】
この態様によれば、動作補助装置(1)を容易に設置することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 動作補助装置
2 ベース
3 支柱
31 握り部
310 手置面
311 指掛面
4 手すり
5 保護部材
6 当て部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13