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  • 特許-ステッピングモータ異常検知装置 図1
  • 特許-ステッピングモータ異常検知装置 図2
  • 特許-ステッピングモータ異常検知装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ステッピングモータ異常検知装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 8/36 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
H02P8/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020144112
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039203
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 純平
(72)【発明者】
【氏名】堀池 良雄
(72)【発明者】
【氏名】豊田 興一
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-125569(JP,A)
【文献】特開平07-322692(JP,A)
【文献】特開2000-228899(JP,A)
【文献】特開2018-050412(JP,A)
【文献】特開2007-322221(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 8/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルを有するステッピングモータと、前記複数のコイルにそれぞれ電流を供給する複数の駆動パルスを出力するステッピングモータ駆動部と、
前記ステッピングモータ駆動部から前記複数の駆動パルスが出力し前記ステッピングモータの前記複数の前記コイルに電流が流れることにより、当該ステッピングモータが駆動しているときに、複数の前記コイルに印加される前記複数の駆動パルスの周波数を変更させるとともにパルス幅を変更させる周波数変更指示部と、
前記ステッピングモータ駆動部に電源を供給する電源部と、
前記電源部と前記ステッピングモータ駆動部との間に介在して、前記電源部からの電圧の印加により、前記ステッピングモータ駆動部に流れる電流のレベルを検出する電流レベル検出部と、
前記周波数変更指示部からの周波数変更指示前のタイミングであって、前記駆動パルスの立ち下がりエッジから所定時間だけ前のタイミングである、第1のタイミングで前記電流レベル検出部で検出された第1電流レベルを記憶する第1記憶部と、
前記周波数変更指示部からの周波数変更指示後のタイミングであって、前記駆動パルスの立ち下がりエッジから所定時間だけ前のタイミングである、第2のタイミングで前記電流レベル検出部で検出された第2電流レベルを記憶する第2記憶部と、
前記第1電流レベルと前記第2電流レベルとの差が所定値以下の場合に前記ステッピングモータの動作異常と判定する判定部と、
を備えたことを特徴とするステッピングモータ異常検知装置。
【請求項2】
前記電流レベル検出部は、瞬時電流を積分する積分回路を備えたことを特徴とする、請求項1記載のステッピングモータ異常検知装置。
【請求項3】
前記電源部と前記ステッピングモータ駆動部との間に抵抗を挿入し、前記積分回路は、前記抵抗と前記ステッピングモータ駆動部の接続点の電圧を、抵抗を介してコンデンサで積分し、前記電流レベル検出部は、この積分した電圧を検出する構成とした、請求項2記載のステッピングモータ異常検知装置。
【請求項4】
前記判定部は、所定のタイミングで検出された電流レベルが、所定の範囲を外れている場合にも前記ステッピングモータの動作異常と判定することを特徴とした請求項1から3のいずれか1項に記載のステッピングモータ異常検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモータの駆動に対して異常を検知する装置に関する。特にガスメータに用いられるガスの流れを開閉する双方向弁に用いるステッピングモータの異常を検知する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ステッピングモータがストール状態または脱調状態を判定する遮断弁装置を開示する。
【0003】
この遮断弁装置は、ステッピングモータの駆動制御を行う駆動制御回路部と、ステッピングモータがストール状態または脱調状態にあるものと判定する弁動異常回路部を備える。これにより、ステッピングモータから検出される駆動電圧波形における極大値または当該極大値の波高を予め定められたしきい値と比較して、ストール状態または脱調状態を判定することができる。
【0004】
特許文献2は、ステッピングモータの脱調検出方法を開示する。この脱調検出方法は、ステッピングモータを駆動するステッピングモータドライバにおけるモータの電流波形を矩形波に、その矩形波を電圧信号に変換し、得られた電圧値に基づいて基準電圧と比較することにより脱調状態の有無を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-118642号公報
【文献】特開1999-187697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1、特許文献2は、共に正常時と脱調時における電流・電圧波形の違いに着目している。これは安定した脱調状態であれば前記波形の違いを検出することができるが、実際はステッピングモータが若干回転したり戻ったり、不安定な動作を繰り返すことが多い。その場合、波形の違いが不明確になり、正常時と脱調時の判別が難しくなるという課題があった。
【0007】
本発明は、不安定な状態で検出した波形を補正し、安定してステッピングモータの異常を検知することに有効なステッピングモータ異常検知装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明におけるステッピングモータ異常検知装置は、ステッピングモータを駆動する駆動パルスを出力するステッピングモータ駆動部と、前記駆動パルスの周波数を変更させる周波数変更指示部と、前記ステッピングモータ駆動部に電源を供給する電源部と、前記ステッピングモータ駆動部に流れる電流のレベルを検出する電流レベル検出部と、前記周波数変更指示部からの周波数変更指示前の第1のタイミングで前記電流レベル検出部で検出された第1電流レベルを記憶する第1記憶部と、前記周波数変更指示部からの周波数変更指示後の第2のタイミングで前記電流レベル検出部で検出された第2電流レベルを記憶する第2記憶部と、前記第1電流レベルと前記第2電流レベル差が所定値以下の場合に前記ステッピングモータの動作異常と判定する判定部と、を備えた構成としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明における異常検知装置は、不安定な動作環境下での断線や固着によるステッピングモータの異常を検知することに有効である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1におけるステッピングモータ異常検知装置の構成を示すブロック図
図2】実施の形態1におけるアナログ・デジタル変換部の出力値の信号図
図3】実施の形態1における駆動パルス及び各部の信号波形図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、ステッピングモータを駆動する駆動パルスを出力するステッピングモータ駆動部と、前記駆動パルスの周波数を変更させる周波数変更指示部と、前記ステッピングモータ駆動部に電源を供給する電源部と、前記ステッピングモータ駆動部に流れる電流のレベルを検出する電流レベル検出部と、前記周波数変更指示部からの周波数変更指示前の第1のタイミングで前記電流レベル検出部で検出された第1電流レベルを記憶する第1記憶部と、前記周波数変更指示部からの周波数変更指示後の第2のタイミングで前記電流レベル検出部で検出された第2電流レベルを記憶する第2記憶部と、前記第1電流レベルと前記第2電流レベル差が所定値以下の場合に前記ステッピングモータの動作異常と判定する判定部と、を備えたステッピングモータ異常検知装置である。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記電流レベル検出部は、瞬時電流を積分する積分回路を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
第3の発明は、第2の発明において、前記電源部と前記ステッピングモータ駆動部との間に抵抗を挿入し、前記積分回路は、前記抵抗と前記ステッピングモータ駆動部の接続点の電圧を、抵抗を介してコンデンサで積分し、前記電流レベル検出部は、この積分した電圧を検出する構成としたものである。
【0014】
第4の発明は、第1~3の何れか1つの発明において、前記判定部は、所定のタイミングで検出された電流レベルが、所定の範囲を外れている場合にも前記ステッピングモータの動作異常と判定することを特徴としたものである。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態におけるステッピングモータ異常検知装置の構成の一例を示すブロック図、図2及び図3は、実施の形態1におけるステッピングモータの異常検知の動作を説明するための信号図である。
【0018】
[1.構成]
実施の形態1の構成について図1を参照しながら説明する。電源部1の出力電圧(電圧a)は、電流レベル検出部2を介してステッピングモータ駆動部3に印加される。ステッピングモータ駆動部3の出力は、ステッピングモータ4に接続され、ステッピングモータ
4の回転により双方向弁10が開閉動作をするように構成されている。周波数変更指示部5は、ステッピングモータ駆動部3に接続され、ステッピングモータ駆動部3からステッピングモータ4に出力される駆動パルスの周波数の変更を指示する。
【0019】
電流レベル検出部2は、抵抗21の両端の電圧a及び電圧bの電位差が抵抗21に流れる電流に比例することを利用し、上記電位差はアナログ・デジタル変換部24でデジタル信号に変換されAD値として出力される。積分回路25は、抵抗22とコンデンサ23で構成され、電圧bの変化を滑らかにする。そして、積分回路25の出力は、電圧cとしてアナログ・デジタル変換部24に入力される。
【0020】
アナログ・デジタル変換部24の出力(AD値)は、第1記憶部6及び第2記憶部7及び第3記憶部8に入力され、あるタイミングにおけるAD値が記憶される。そして、判定部9は、第1記憶部6の記憶値と第2記憶部7及び第3記憶部8の記憶値を比較判定することで、ステッピングモータ4の異常の有無を判定する。
【0021】
本実施の形態におけるステッピングモータ異常検知装置は、ガスメータに組み込まれ、双方向弁10はガスの流れを遮断したり開放したりする遮断弁として用いられる。なお、ガスメータに組み込まれる場合、電源部1としては、ガスメータの電源であるリチウム電池が用いられる。
【0022】
また、ステッピングモータ4は、複数のコイルを有し、各コイルに印加するパルスの状態によりモータの回転方向が決まる。そして、モータの回転方向により双方向弁が開動作するのか閉動作するのか決まる構成である。図1には図示していないが、以下に説明する全体動作を制御する制御部を有している。
【0023】
[2.動作]
上記のように構成された本発明の実施の形態の動作について、図2を参照しながら説明する。
【0024】
図2は、本実施の形態のステッピングモータ異常検知装置の双方向弁10をガスメータの遮断弁に用いた場合の遮断動作時のアナログ・デジタル変換部24の出力であるAD値の変化をグラフで表したものである。図2において、実線は正常時、点線はステッピングモータ4のコイルの断線時、一点鎖線は双方向弁10の固着時のAD値を示している。
【0025】
アナログ・デジタル変換部24は、電源部1の出力(電圧a)を基準電圧として積分回路25の出力(電圧c)をデジタル信号に変換している。具体的な動作としては、電圧cを電圧aで割った値に1024をかけた整数値がAD値として出力される。図2において縦軸はAD値、横軸は時間を示している。
【0026】
ステッピングモータ駆動部3からステッピングモータ4に入力する駆動パルスは、タイミングBにおいて周波数変更指示部5からの指示によりパルス周波数が切り替わる。例えば、パルス周波数60Hzから30Hzに切り替えることで、駆動トルクを大きくする。そして、前記駆動パルスは、タイミングDで再び周波数変更指示部5からの指示によりパルス周波数が切り替わる(例えば、30Hzから50Hzに切り替わる)。そして、タイミングGでステッピングモータ駆動部3から出力される駆動パルスはOFFとなりステッピングモータ4に流れる電流が零となる。
【0027】
電源部1は、リチウム電池を用いており内部抵抗を有している。従って、ステッピングモータ4に流れる電流が零になった瞬間、電圧aは上昇する。一方、積分回路25の出力である電圧cはステッピングモータ4に流れる電流が零になる前の電圧値を保持している
ため、図2に示すように前記駆動パルスがOFFになった直後のタイミングHではAD値が急激に小さくなる。その後、積分回路25の放電に伴いAD値は徐々に上昇し、電流零時の値(1024)となる。
【0028】
次に、ステッピングモータ4を駆動する駆動パルスの波形と抵抗21の出力(電圧b)及び積分回路25の出力(電圧c)の関係について図3を参照しながら説明する。
【0029】
図3において、縦軸は電圧レベル、横軸は時間を示している。そして、図3は、正常にステッピングモータ4が回転し双方向弁10が動いている状態において図2に示すタイミングB前後でパルス周波数が60Hzから30Hzに切り替わった時の波形を示すものである。
【0030】
ステッピングモータ4は、2つのコイル(第1のコイルと第2のコイル)を有しており、図3(1)及び(2)に示す波形がステッピングモータ4の2つのコイルに印加する駆動パルスA及び駆動パルスBの波形で、何れの駆動パルスも、パルス幅T1が60Hzのパルス幅、パルス幅T2が30Hzのパルス幅である。また、図3(3)の実線が電圧bの波形を示し、図3(3)の一点鎖線が電圧cの波形を示している。
【0031】
駆動パルスAはステッピングモータ4の第1のコイルを駆動させ、駆動パルスBはステッピングモータ4の第2のコイルを駆動させる。第1のコイルの駆動パルスAに対して第2のコイルの駆動パルスBは90度位相が遅れている。そして、第1のコイルの駆動パルスAに対して第2のコイルの駆動パルスBの位相が90度遅れているか進んでいるかによりステッピングモータ4の回転方向が決まる。
【0032】
図3(3)に示す電圧bは、ステッピングモータ4に流れる電流波形に対応している。そして、ステッピングモータ4はコイル負荷であり、コイルはインダクタ成分と抵抗成分を有している。従って、インダクタ成分によりコイルに流れる電流波形は電圧bに示すような微分波形になる。コイルを駆動するパルスの周期が長くなる、すなわち、駆動パルスの周波数が低くなるとインダクタ成分によるコイルのインピーダンスへの影響は小さくなる。
【0033】
したがって、ステッピングモータ4に流れる平均電流はパルス幅がT2と広いタイミングB後のほうが大きいので抵抗21の出力である電圧bはタイミングB前より小さくなり、積分回路25で積分した電圧cは、タイミングB後のほうが小さくなる。すなわち、ステッピングモータ4の動作としては周波数が低いほどパルス幅が広くなり流れる平均電流は大きくなる。その結果としてステッピングモータ4の駆動トルクが大きくなる。
【0034】
次に、固着などにより双方向弁10が動かず、よってステッピングモータ4が回転しない場合にはステッピングモータ4のコイルのインダクタンス成分により電磁エネルギーとして蓄えられたエネルギーもステッピングモータ4を回転させようとするエネルギーとして消費されるため、電圧bの波高値が小さくなり、コイルのインピーダンスは抵抗成分に近づく。以降、固着などにより双方向弁10が動かない状態を固着時と略す。したがって、正常時に比べ固着時は、パルス周波数の変化によってステッピングモータ4のコイルに流れる電流の変化が小さくなる。
【0035】
次に、ステッピングモータ4を構成する2つのうちのどちらか1つのコイルが断線した場合には、ステッピングモータ4を流れる電流は半分になるので、パルス周波数の変化によってステッピングモータ4に流れる電流の変化も半分になる。以降、コイルが断線した状態を断線時と略す。
【0036】
以上説明した動作により、図2に示す如く、パルス周波数が低いほうに変化するタイミングBの前後で、正常時は大きく変化するが、固着時の変化は正常時に比べ小さい。また、断線時の変化は正常時の変化のほぼ半分である。
【0037】
同様の動作により、パルス周波数が高いほうに変化するタイミングDの前後で、正常時は大きく変化するが、固着時の変化は正常時に比べ小さい。また、断線時の変化は正常時の変化のほぼ半分である。
【0038】
タイミングFではパルス周波数の変化はないが、双方向弁10によりガス流路の開閉が終了したためステッピングモータ4の回転が止まった状態となり、固着時と同等のAD値に漸近していく。
【0039】
次に、判定部9におけるステッピングモータの異常判定方法を説明する。なお、固着は、ステッピングモータそのものの異常ではないが、ステッピングモータに流れる電流で判定できることから、ここでは、ステッピングモータの異常に含むものとする。
【0040】
まず、第1記憶部6では、パルス周波数が60Hzである区間のAD値として図2に示すタイミングAにおけるAD値をAD1として記憶する。そして、第2記憶部7では、パルス周波数が30Hzである区間のAD値として図2に示すタイミングCにおけるAD値をAD2として記憶する。同様に、第3記憶部8では、パルス周波数が50Hzでかつ双方向弁10の開閉動作が終了していない区間のAD値として図2に示すタイミングEにおけるAD値をAD3として記憶する。
【0041】
そして、判定部9は、パルス周波数の変更時の前後において、ステッピングモータの10の異常時(固着時、断線時)におけるAD値の変化は、正常時に比べが小さいことを利用して、((AD1-AD2)+(AD3-AD2))<所定値Xであれば、断線あるいは固着が生じているためステッピングモータ4の動作異常と判定する。
【0042】
なお、AD1とAD2とAD3の3つのAD値を用いずに、タイミングAのAD1とタイミングCのAD2の2つのAD値だけを用いて、(AD1-AD2)< 所定値Yで異常と判定してもよいし、AD2とAD3の2つのAD値だけを用いて、(AD3-AD2)<所定値Zで異常と判定してもよい。また、(AD1-AD2)< 所定値Yと(AD3-AD2)<所定値Zが共に成立する場合に、異常と判定してもよい。ここで、所定値X、所定値Y、所定値Zは、予め設定された値であり、AD値を記憶するタイミングA,C,Eは、パルス周波数の変更タイミングや双方向弁10の閉止タイミングに応じて適切に設定される。
【0043】
更に、AD1とAD3の2つのAD値を用いることもできる。要するにステッピングモータ4を駆動するパルス周波数の異なるタイミングの電流レベルであるAD値を用いることでステッピングモータ4の動作異常を判定できる。
【0044】
抵抗22とコンデンサ23で構成される積分回路を用いずに直接電圧bをアナログ・デジタル変換部24に入力させ電圧bをAD値に変換する場合、アナログ・デジタル変換部24においてサンプリングタイミングを駆動パルスのどの位置にするかによりAD値が大きく異なってくる。
【0045】
よって、積分回路25を用いない場合は、サンプリングタイミングを駆動パルスに対して一定のタイミングにすることが重要である。例えば、図3で示す駆動パルスBの立ち下がりエッジから時間τだけ前のタイミングをアナログ・デジタル変換部24のAD変換タイミングとする。なお、積分回路25を介した電圧cをAD変換することにより、上記A
D変換タイミングによるAD値への影響を小さくできるという利点がある。
【0046】
なお、図2に示すグラフは、図3で説明したAD変換タイミングで取得したAD値を時系列的に並べてグラフ化したものである。
【0047】
なお、判定部9での判定において、所定のタイミング(例えば、タイミングE)でのAD値が所定の大きさ(図2に示すADX)以上であれば断線、所定の大きさ(図2に示すADY)以下であれば固着などによる双方向弁の動作停止という判定を追加することにより、より正確にステッピングモータの異常を検知できることとなる。
【0048】
なお、ADX,ADYは、正常時のAD値に対して、適切な値を予め設定することができる。
[3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、断線や固着などによりステッピングモータ4の動作が不安定な状況になっても正確にステッピングモータの異常を検知できる。
【0049】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、特にガスメータ等に内蔵する双方向弁を駆動するステッピングモータに適用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 電源部
2 電流レベル検出部
3 ステッピングモータ駆動部
4 ステッピングモータ
5 周波数変更指示部
6 第1記憶部
7 第2記憶部
8 第3記憶部
9 判定部
10 双方向弁
21 抵抗
22 抵抗
23 コンデンサ
24 アナログ・デジタル変換部
25 積分回路
図1
図2
図3