(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】乾き度計測システム
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
F25B49/02 510K
(21)【出願番号】P 2020040588
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】弁理士法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 淳
(72)【発明者】
【氏名】福田 充宏
(72)【発明者】
【氏名】本澤 政明
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健一
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-510787(JP,A)
【文献】特開2016-075460(JP,A)
【文献】実開昭52-036067(JP,U)
【文献】特開2003-075380(JP,A)
【文献】実開昭52-091140(JP,U)
【文献】特開平04-309768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気液二相流体を気相流体と液相流体に分離する気液分離部(24)と、
前記気相流体と前記液相流体が流入し、前記液相流体の液面を形成する液面形成部(25)と、
複数の孔部(29a)が形成され、前記複数の孔部を介して前記液面形成部から前記気相流体と前記液相流体を流出させる有孔壁部(29)と、
前記液面形成部にお
いて、前記気液二相流体の乾き度に応じて変動する前記液相流体の液面高さを検出する液面高さ検出部(28)と、
前記液面高さ検出部で検出した前記液相流体の液面高さに基づいて、前記気液二相流体の乾き度を算出する乾き度算出部(31)と、
前記気液二相流体の圧力を検出する圧力検出部(22)と、
を備え、
前記孔部は、前記有孔壁部における前記気相流体と前記液相流体に対応する部位に設けられており、かつ、前記気相流体と前記液相流体が通過する前後で差圧を発生させる絞りとして機能するオリフィス孔であり、
前記複数の孔部は、前記有孔壁部の壁面において単位面積当たりの数が均一になるように設けられており、
前記乾き度算出部は、前記圧力検出部で検出した前記気液二相流体の圧力に基づいて、前記気相流体の密度と前記液相流体の密度を算出し、さらに前記液面高さと、前記液面形成部における前記気相流体および前記液相流体を合計した全体高さと、前記気相流体の密度と、前記液相流体の密度とに基づいて、前記乾き度を算出する乾き度計測システム。
【請求項2】
前記有孔壁部は、前記複数の孔部が鉛直方向の全体に渡って均一に設けられている請求項
1に記載の乾き度計測システム。
【請求項3】
前記気液分離部および前記液面形成部は一体で構成されている請求項1
または2に記載の乾き度計測システム。
【請求項4】
前記気液分離部および前記液面形成部は別体で構成されている請求項1
または2に記載の乾き度計測システム。
【請求項5】
前記有孔壁部は板形状である請求項1ないし
4のいずれか1つに記載の乾き度計測システム。
【請求項6】
前記有孔壁部は筒形状である請求項1ないし
4のいずれか1つに記載の乾き度計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気液二相状態になっている流体の乾き度を計測する乾き度計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプシステムは、例えば車両用空調装置に用いられており、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの冷媒回路を切り替えることで、冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード等の様々な運転モードを実現している。電気自動車やプラグインハイブリッド自動車のような車両熱源が少ない車両では、単段のヒートポンプに比べ大能力が発揮できるガスインジェクションヒートポンプのようなシステムを好適に用いることができる。
【0003】
ガスインジェクションヒートポンプでは、圧縮機へ吸入される冷媒の状態だけでなく、放熱器出口の冷媒状態およびインジェクション通路の冷媒状態を最適な状態とし、高効率高能力なヒートポンプ運転が求められる。このためには、液冷媒の混入を検知するだけでなく、冷媒の比エンタルピーを把握することが求められ、気液二相冷媒の乾き度を計測する技術が必要となる。
【0004】
これに対し、特許文献1では、冷媒の乾き度を計測する乾き度計測システムが提案されている。この乾き度計測システムでは、プラグ流となっている冷媒の気液比率を計測し、この気液比率に基づいて冷媒の乾き度を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の乾き度計測システムでは、気液二相の冷媒の流体様式をプラグ流にするための分岐装置が必要である。分岐装置は、複数本の分岐管からなる分岐管群、入口側ヘッダタンク、出口側ヘッダタンク等を備えており、乾き度計測システムが大型化してしまう。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、気液二相状態になっている流体の乾き度を計測することが可能な乾き度計測システムを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の乾き度計測システムは、気液分離部(24)と、液面形成部(25)と、有孔壁部(29)と、液面高さ検出部(28)と、乾き度算出部(31)と、圧力検出部(22)とを備える。気液分離部は、気液二相流体を気相流体と液相流体に分離する。液面形成部は、気相流体と液相流体が流入し、液相流体の液面を形成する。有孔壁部は、孔部(29a)が形成され、孔部を介して液面形成部から気相流体と液相流体を流出させる。液面高さ検出部は、液面形成部において、気液二相流体の乾き度に応じて変動する液相流体の液面高さを検出する。乾き度算出部は、液面高さ検出部で検出した液相流体の液面高さに基づいて、気液二相流体の乾き度を算出する。圧力検出部は、気液二相流体の圧力を検出する。孔部は、有孔壁部における気相流体と液相流体に対応する部位に設けられており、かつ、気相流体と液相流体が通過する前後で差圧を発生させる絞りとして機能するオリフィス孔である。複数の孔部は、有孔壁部の壁面において単位面積当たりの数が均一になるように設けられている。乾き度算出部は、圧力検出部で検出した気液二相流体の圧力に基づいて、気相流体の密度と液相流体の密度を算出する。さらに乾き度算出部は、液面高さと、液面形成部における気相流体および液相流体を合計した全体高さと、気相流体の密度と、液相流体の密度とに基づいて、乾き度を算出する。
【0009】
これにより、気液二相流体の液面高さを計測することで、気液二相流体の乾き度を容易に計測することができる。
【0010】
なお、上記各構成要素の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の冷凍サイクルの概念図である。
【
図2】第1実施形態の乾き度計測システムの概略構成図である。
【
図5】第2実施形態の乾き度計測システムの概略構成図である。
【
図8】第3実施形態の乾き度計測システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。本実施形態では、乾き度計測システム20を冷凍サイクル1に適用している。なお、
図2では、紙面上下方向が鉛直方向となっている。また、
図2では、冷凍サイクル1の冷媒を斜線で示している。
【0013】
図1に示すように、冷凍サイクル1は、圧縮機10と凝縮器11と膨張弁12と蒸発器13が冷媒配管14で接続された周知の構成を備えている。乾き度計測システム20は、冷媒配管14における蒸発器13と圧縮機10の間に設けられている。
【0014】
乾き度計測システム20は、計測対象である気液二相状態になっている流体の乾き度Xを計測する。本実施形態の乾き度計測システム20は、圧縮機10に吸入される冷媒の乾き度Xを計測する。乾き度Xとは、気液二相流体のうち気相部分が占める質量割合である。気液二相とは、気相流体と液相流体とが混合された状態である。
【0015】
図2に示すように、乾き度計測システム20は、気液二相流体を流入させる入口配管21が設けられている。入口配管21には、気液二相流体の圧力を検出する圧力検出部22が設けられている。
【0016】
入口配管21から流入した気液二相流体は、乾き度計測部23に供給される。乾き度計測部23は、所定量の流体を滞留させることが可能な1つの容器状に形成されている。乾き度計測部23は、気液分離部24、液面形成部25、流体流出部26を備えている。これらは、冷媒流れ方向の上流側から気液分離部24、液面形成部25、流体流出部26の順に設けられている。本実施形態の乾き度計測部23では、気液分離部24と液面形成部25が1つの容器内に隣接して設けられており、気液分離部24と液面形成部25が一体的に構成されている。
【0017】
気液分離部24は、気液二相流体を気相流体と液相流体に分離する。液面形成部25は、気液分離部24で分離された気相流体と液相流体が流入し、液相流体の液面を形成する。流体流出部26は、液面形成部25から気相流体と液相流体を流出させるための部位である。
【0018】
気液分離部24と液面形成部25との間には、気液分離板27が設けられている。気液分離板27の鉛直方向の上方と下方には、隙間が形成されている。気液分離部24で分離された気相流体は、気液分離板27の上方の隙間から液面形成部25に供給される。気液分離部24で分離された液相流体は、気液分離板27の下方の隙間から液面形成部25に供給される。
【0019】
液面形成部25の内部は、上方側が気相流体で満たされ、下方側が液相流体で満たされる。液面形成部25の内部には、液相流体の液面が形成される。液面形成部25は、鉛直方向に直交する断面積が一定になっている。
【0020】
図2では、液面形成部25における液相流体の液面高さをhとし、液面形成部25における気相流体と液相流体を合計した全体高さをh
0としている。液面高さhおよび全体高さh
0は、ともに鉛直方向における長さである。
【0021】
液面形成部25では、気液二相流体における気相流体と液相流体の割合に応じて液相流体の液面高さhが変動する。つまり、液面形成部25では、気液二相流体の乾き度に応じて液相流体の液面高さhが変動する。
【0022】
液面形成部25には、液相流体の液面高さhを検出する液面高さ検出部28が設けられている。本実施形態では、液面高さ検出部28として静電容量式の液面センサを用いている。静電容量式の液面センサは、気相流体と液相流体の静電容量の違いから液面高さhを計測することが可能となっている。
【0023】
液面形成部25と流体流出部26の間には、有孔壁部29が設けられている。有孔壁部29によって、冷媒流れ上流側の液面形成部25と冷媒流れ下流側の流体流出部26が仕切られている。本実施形態の有孔壁部29は板状になっている。
【0024】
図3に示すように、有孔壁部29は、複数の孔部29aを有している。孔部29aは、液面形成部25と流体流出部26を連通させている。液面形成部25の気相流体と液相流体は、孔部29aを通過して流体流出部26に移動する。孔部29aはオリフィス孔であり、上流側と下流側で差圧を生じさせる絞りである。
【0025】
有孔壁部29には、鉛直方向に沿って複数の孔部29aが形成されている。複数の孔部29aは、同一の開口面積を有している。複数の孔部29aは、鉛直方向に沿って等間隔に配置されている。孔部29aは、有孔壁部29の壁面において、鉛直方向の全体に渡って均一に設けられている。
【0026】
図4に示す例では、複数の孔部29aが一列に並んで配置されているが、孔部29aの配置パターンはこれに限定されるものではない。複数の孔部29aは、有孔壁部29の壁面において単位面積当たりの数が均一になるように設けられていればよい。
【0027】
孔部29aの数は任意に設定でき、孔部29aの数が多いほど乾き度Xの計測精度が高くなる。乾き度計測システム20による冷媒流れの抵抗増加を抑制するために、複数の孔部29aの開口面積の合計が入口配管21の流路断面積と同程度であることが望ましい。
【0028】
流体流出部26の気相流体と液相流体は、出口配管30から流出する。出口配管30から流出した流体は、圧縮機10に供給される。
【0029】
乾き度計測システム20は、制御装置31を備えている。制御装置31は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置31は、ROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器の作動を制御する。
【0030】
本実施形態の制御装置31は、圧力検出部22と液面高さ検出部28のセンサ信号が入力し、気液二相流体の乾き度Xを演算する。制御装置31は、乾き度算出部に相当している。
【0031】
次に、気液二相流体の乾き度Xの計測方法について説明する。上述のように、乾き度Xは気液二相の流体のうち気相流体が占める質量割合であり、数式(1)で求めることができる。
【0032】
X=Ggas/(Ggas+Gliq)・・・(1)
Ggas,Gliqは気相流体および液相流体の重量流量であり、それぞれ数式(2)で求めることができる。
【0033】
Ggas=ggas×N×(h0-h)/h0,Gliq=gliq×N×h/h0・・・(2)
Nは有孔壁部29における孔部29aの数であり、hは液相流体の液面高さであり、h0は液面形成部25の全体高さである。ggas,gliqは孔部29aの1個当たりの気相流体および液相流体の重量流量であり、それぞれ数式(3)で求めることができる。
【0034】
ggas=ρgas×qgas,gliq=ρliq×qliq・・・(3)
ρgas,ρliqは液相流体および気相流体の密度である。qgas,qliqは孔部29aの1個当たりの気相流体および液相流体の体積流量であり、それぞれ数式(4)で求めることができる。
【0035】
qgas=Cgas×A×vgas,qliq=Cliq×A×vliq・・・(4)
Cgas,Cliqは孔部29aの気相流体および液相流体の流量係数であり、Aは孔部29aの面積であり、vgas,vliqは気相流体および液相流体の流速である。孔部29aの前後差圧ΔPが充分小さく、かつ、気相流体および液相流体が非圧縮流体と仮定すれば、vgas,vliqはベルヌーイの式よりそれぞれ数式(5)で求めることができる。
【0036】
vgas=(2ΔP/ρgas)0.5,vliq=(2ΔP/ρliq)0.5・・・(5)
数式(2)~(5)を数式(1)に代入すると、数式(6)を得ることができる。
【0037】
X=(ρgas/ρliq)×(Cgas/Cliq)×(h0/h-h)・・・(6)
ここで、気相流体の流量係数Cgasおよび液相流体の流量係数CliqをCgas≒Cliqとすると、数式(6)から数式(7)を得ることができる。
【0038】
X=(ρgas/ρliq)×(h0/h-h)・・・(7)
数式(7)によれば、液相流体および気相流体の密度ρgas,ρliqと、液面形成部25の全体高さh0と、液相流体の液面高さhとに基づいて、気液二相流体の乾き度Xを計測することができる。
【0039】
液面形成部25の全体高さh0は既知の値である。液相流体および気相流体の密度ρgas,ρliqは気液二相流体の圧力に基づいて取得できる。このため、圧力検出部22で気液二相流体の圧力を検出し、液面高さ検出部28で液相流体の液面高さhを検出することで、気液二相流体の乾き度Xを算出することができる。
【0040】
以上説明した本実施形態では、気液分離部24と、液面形成部25と、有孔壁部29を設けた乾き度計測システム20において、気液二相流体の液面高さhを検出し、さらに気液二相流体の圧力を検出することで、気液二相流体の乾き度Xを容易に計測することができる。これにより、簡易な構成で気液二相流体の乾き度Xを計測することが可能となり、乾き度計測システム20の小型化を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態の乾き度計測システム20では、有孔壁部29における孔部29aの数を増やすという簡易な方法で、乾き度Xの計測精度を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態では、気液分離部24と液面形成部25を一体的に構成している。これにより、乾き度計測システム20の構成を簡素化することができ、より一層小型化することができる。
【0043】
また、本実施形態では、板状の有孔壁部29を用いている。これにより、乾き度計測システム20の構成を簡素化することができ、乾き度計測システム20を製造する際の工数を低減することができる。
【0044】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下、上記第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
図5に示すように、本第2実施形態の乾き度計測システム20では、気液分離部24と液面形成部25が分離されており、これらは別体として構成されている。気液分離部24と液面形成部25は、気相流体用配管32と液相流体用配管33で接続されている。気液分離部24で分離された気相流体は気相流体用配管32を介して液面形成部25に上方から供給される。気液分離部24で分離された液相流体は液相流体用配管33を介して液面形成部25の下方から供給される。
【0046】
図5、
図6に示すように、液面形成部25と流体流出部26は、円筒状容器によって構成されている。液面形成部25と流体流出部26を構成する円筒状容器は二重配管となっており、液面形成部25と流体流出部26との間に有孔壁部29が設けられている。
【0047】
有孔壁部29の外周側に液面形成部25が位置し、有孔壁部29の内周側に流体流出部26が位置している。このため、気相流体および液相流体は、有孔壁部29の外周側から内周側に向かって移動する。流体流出部26の下方には出口配管30が接続されている。
【0048】
図7に示すように、本第2実施形態の有孔壁部29は、円筒状に形成されている。有孔壁部29の外周面に液面形成部25の気相流体と液相流体が接触する。有孔壁部29には、孔部29aが壁面の全体に渡って形成されている。
図7に示す例では、孔部29aが有孔壁部29の壁面に螺旋状に形成されている。
【0049】
以上説明した本第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様、液面高さ検出部28で検出した気液二相流体の液面高さhを検出し、さらに気液二相流体の圧力を検出することで、気液二相流体の乾き度Xを容易に計測することができる。これにより、簡易な構成で気液二相流体の乾き度Xを計測することが可能となり、乾き度計測システム20の小型化を図ることができる。
【0050】
また、本第2実施形態では、有孔壁部29を筒状にすることで、液面形成部25の気相流体および液相流体と、有孔壁部29との接触面積を大きくすることができる。この結果、有孔壁部29の孔部29aの数を多くすることができ、乾き度Xの計測精度を向上させることができる。
【0051】
さらに、液面形成部25の気相流体および液相流体と、有孔壁部29との接触面積を大きくすることができることから、液面形成部25の体積を小さくでき、液面形成部25での流体の滞留量を少なくすることができる。
【0052】
また、本第2実施形態では、気液分離部24と液面形成部25を別体とし、これらを配管32、33で接続している。これにより、気液分離部24と液面形成部25を分離して配置することでき、気液分離部24と液面形成部25のレイアウトの自由度を大きくすることができる。
【0053】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本第3実施形態では、上記第2実施形態に対し、液面形成部25および流体流出部26の構成が異なっている。以下、上記各実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0054】
図8に示すように、本第3実施形態では、有孔壁部29の内周側に液面形成部25が位置し、有孔壁部29の外周側に流体流出部26が位置している。このため、気相流体および液相流体は、有孔壁部29の内周側から外周側に向かって移動する。
【0055】
以上説明した本第3実施形態によっても、上記第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0057】
例えば、上記各実施形態では、乾き度計測システム20で冷凍サイクル1の冷媒の乾き度を計測する例について説明したが、乾き度計測システム20で冷媒以外の流体の乾き度Xを計測してもよい。乾き度計測システム20は構成が簡素で小型化できることから携帯も容易になり、例えば配管途中で液体がガス化して気液二相化しているプラント配管や燃料タンク車など、これまで計測が困難だった用途にも展開可能となる。
【0058】
また、上記各実施形態では、気液二相流体の圧力に基づいて気相流体および液相流体の密度ρgas,ρliqを取得したが、密度が圧力に依存しない流体の乾き度Xを計測する場合であれば、気液二相流体の圧力を測定する必要はない。この場合には、液面形成部25の液相高さhのみを検出することで、乾き度Xを算出することができる。
【0059】
また、上記各実施形態では、液面高さ検出部28として静電容量式の液面センサを用いたが、液面高さ検出部28として液面に浮かぶフロートを用いて液面高さを検出するギャップセンサや超音波の反射を用いて液面高さを計測する超音波センサ等を用いてもよい。
液面高さ検出部はフロート式等でもよい。
【0060】
また、上記第2、第3実施形態では、有孔壁部29を円筒状に構成したが、有孔壁部29は円筒状以外の筒状でもよい。
【0061】
また、上記各実施形態の構成において、有孔壁部29の孔部29aの上流側と下流側で冷媒圧力を検出する圧力検出部を設け、孔部29aの前後差圧ΔPを検出するようにしてもよい。検出した孔部29aの前後差圧ΔPを用い、上述した数式(3)~(5)から、孔部29aの1個当たりの気相流体および液相流体の重量流量ggas,gliqを算出することが可能となる。このように、孔部29aの前後差圧ΔPを用いて気相流体および液相流体の重量流量ggas,gliqを算出する構成では、孔部29aの数を増加させるだけで流量測定範囲を拡大することができる。
【符号の説明】
【0062】
20 乾き度計測システム
24 気液分離部
25 液面形成部
28 液面高さ検出部
29 有孔壁部
29a 孔部
31 制御装置(乾き度算出部)