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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】裸眼立体画像表示システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/33 20200101AFI20240802BHJP
   G03B 21/60 20140101ALI20240802BHJP
   G03B 35/08 20210101ALI20240802BHJP
   G03B 35/20 20210101ALI20240802BHJP
   G03B 35/24 20210101ALI20240802BHJP
【FI】
G02B30/33
G03B21/60
G03B35/08
G03B35/20
G03B35/24
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020167782
(22)【出願日】2020-10-02
(65)【公開番号】P2022059898
(43)【公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】592254526
【氏名又は名称】学校法人五島育英会
(73)【特許権者】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】包 躍
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 侑樹
(72)【発明者】
【氏名】上野 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0083291(US,A1)
【文献】特開2011-197674(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0342813(US,A1)
【文献】特開平07-013105(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110989190(CN,A)
【文献】特表2014-511509(JP,A)
【文献】特開2011-095743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B30/20-30/37
G03B35/08-35/12,35/20,35/24
H04N13/302-13/322
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光装置からの投射光をスクリーンに投射して、裸眼で立体画像を視認させる裸眼立体画像表示システムであって、
前記投光装置は、上下方向及び左右方向のそれぞれに間隔を置いて配置された複数の組の、フォーカスフリーの左目用のプロジェクタと、前記左目用のプロジェクタに間隔をおいて配置されているフォーカスフリーの右目用のプロジェクタと
観察者を撮影したカメラ画像に基づいて、前記観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する位置・姿勢検知部と、
前記位置・姿勢検知部が検知した情報に基づいて、前記プロジェクタの中から前記左目用のプロジェクタと前記右目用のプロジェクタとを選択するプロジェクタ選択部と、を備え、
前記スクリーンは、前記投射光を再帰反射させる再帰反射手段と、前記再帰反射手段によって再帰反射した再帰反射光を、上下方向のみに拡散させる上下方向拡散手段と、を備え
前記投光装置は、少なくとも前記観察者の頭の前後方向の動きに合わせて移動可能に構成されている
ことを特徴とする、裸眼立体画像表示システム。
【請求項2】
前記プロジェクタは、レーザースキャン式プロジェクタである
ことを特徴とする、請求項1に記載の裸眼立体画像表示システム。
【請求項3】
前記スクリーンは、曲面で形成されている
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の裸眼立体画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光装置からの投射光をスクリーンに投射して、裸眼で立体画像を視認させる裸眼立体画像表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、専用の眼鏡等を使用しないで、立体画像を視認できるようにした裸眼立体画像表示システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
特許文献1には、複数のプロジェクタから画像を投影する画面として、画像を受け、画像を光拡散器層上に焦点合わせし、光拡散器層から拡散された反射画像を受けて拡散反射された画像を焦点合わせして表示窓を形成するレンチキュラー層と、レンチキュラー層の焦点面に位置し、レンチキュラー層から画像を受け二次元の再帰反射面から反射画像を受け、反射画像を拡散して拡散された反射画像を形成する光拡散器層と、光拡散器層から画像を受け、画像の少なくとも一部を光拡散器層に再帰反射して反射画像を形成する二次元の再帰反射面とを有する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-95743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的なプロジェクタは、像をレンズで拡大して、スクリーンに投影するものである。このようなレンズは、レンズ径が大きくなることが一般的である。そのため、視点位置への集光性能が低く、集光されていない像が左右の眼に入るため、視差画像の分解能が悪化する、という問題がある。また、例えば、光拡散器層や、レンチキュラー層や、透明媒体を設けなければならないなど、複雑な構成となる問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、簡易な構成で、観察者の左目及び右目への集光性能を高くして、視差画像の分解能を向上させることができる裸眼立体画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の裸眼立体画像表示システムは、投光装置からの投射光をスクリーンに投射して、裸眼で立体画像を視認させる裸眼立体画像表示システムであって、前記投光装置は、少なくとも1組の、フォーカスフリーの左目用のプロジェクタと、前記左目用のプロジェクタに間隔をおいて配置されているフォーカスフリーの右目用のプロジェクタと、を備え、前記スクリーンは、前記投射光を再帰反射させる再帰反射手段と、前記再帰反射手段によって再帰反射した再帰反射光を、上下方向のみに拡散させる上下方向拡散手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、前記投光装置は、上下方向及び左右方向の少なくとも一方向に間隔を置いて配置された複数の前記プロジェクタによって構成され、観察者を撮影したカメラ画像に基づいて、観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する位置・姿勢検知部と、前記位置・姿勢検知部が検知した情報に基づいて、前記プロジェクタの中から前記左目用のプロジェクタと前記右目用のプロジェクタとを選択するプロジェクタ選択部と、を備えてもよい。
【0009】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、前記投光装置は、観察者の頭の前後方向及び左右方向の少なくとも一方の動きに合わせて移動可能に構成されていてもよい。
【0010】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、前記投光装置を移動可能な移動手段と、観察者を撮影したカメラ画像に基づいて、観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する位置・姿勢検知部と、前記位置・姿勢検知部が検知した情報に基づいて、前記移動手段を制御する移動手段制御部と、を備えていてもよい。
【0011】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、前記プロジェクタは、レーザースキャン式プロジェクタであってもよい。
【0012】
さらに、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、前記スクリーンは、曲面で形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成された本発明の裸眼立体画像表示システムでは、投光装置は、少なくとも1組の、フォーカスフリーの左目用のプロジェクタと、左目用のプロジェクタに間隔をおいて配置されているフォーカスフリーの右目用のプロジェクタと、を備え、スクリーンは、投射光を再帰反射させる再帰反射手段と、再帰反射手段によって再帰反射した再帰反射光を、上下方向のみに拡散させる上下方向拡散手段と、を備える。そのため、上下方向拡散手段で拡散した拡散光の左右方向の幅を小さくすることができる。その結果、観察者の左目及び右目への集光性能を高くして、視差画像の分解能を向上させることができる。また、光拡散器層や、レンチキュラー層や、透明媒体を設けないため、簡易な構成とすることができる。
【0014】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、投光装置は、上下方向及び左右方向に間隔を置いて配置された複数のプロジェクタによって構成され、観察者を撮影したカメラ画像に基づいて、観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する位置・姿勢検知部と、位置・姿勢検知部が検知した情報に基づいて、プロジェクタの中から左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタとを選択するプロジェクタ選択部と、を備える。そのため、観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方(例えば、目や頭)に基づいて、最適な左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタに選択することができる。その結果、観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した視差画像を立体画像として提供することができる。
【0015】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、投光装置は、観察者の頭の前後方向や左右方向の動きに合わせて移動可能に構成されているので、観察者の頭が前後方向や左右方向に移動したとしても、観察する目の位置と拡散光の集光位置の関係を一定にすることができる。そして、焦点調整をすることなく、観察者の目に見える立体画像の範囲を一定にすることができる。
【0016】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、投光装置を移動可能な移動手段と、観察者を撮影したカメラ画像に基づいて、観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する位置・姿勢検知部と、位置・姿勢検知部が検知した情報に基づいて、移動手段を制御する移動手段制御部と、を備える。そのため、観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方(例えば、目や頭)に基づいて、左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタの位置及び姿勢の少なくとも一方を変更することができる。その結果、観察者の位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した立体画像を提供することができる。
【0017】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、プロジェクタは、レーザースキャン式プロジェクタであるので、レーザースキャン式プロジェクタから出射したレーザの幅を、再帰反射手段によって再帰反射した再帰反射光の論理上の幅とすることができるので、視差幅を極小とすることができる。
【0018】
また、本発明の裸眼立体画像表示システムでは、スクリーンは、曲面で形成されているので、スクリーンの全面に焦点を合わせることができる。そのため、映像によって作り出された世界に入り込んでいるような感覚である没入感が得られる立体画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の裸眼立体画像表示システムの構成を示す概略図である。
図2】実施例1の裸眼立体画像表示システムの構成を示す概略図である。
図3】実施例1の投光装置の移動について説明する図であり、図3(a)は、投光装置が後方にある状態を示し、図3(b)は、投光装置が前方に移動した状態を示す。
図4】実施例1の裸眼立体画像表示システムのプロジェクタを説明する概略図である。
図5】実施例1の裸眼立体画像表示システムのスクリーンを説明する平面図である。
図6】実施例1の裸眼立体画像表示システムのスクリーンを説明する断面図である。
図7】実施例1の裸眼立体画像表示システムの機能構成を示すブロック図である。
図8】実施例1の裸眼立体画像表示システムの制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
図9】実施例1の裸眼立体画像表示システムの作用を説明する図である。
図10】実施例1の裸眼立体画像表示システムの作用を説明する図である。
図11】実施例2の裸眼立体画像表示システムの構成を示す概略図である。
図12】実施例2の裸眼立体画像表示システムの機能構成を示すブロック図である。
図13】実施例2の裸眼立体画像表示システムの制御部による処理の流れを示すフローチャートである。
図14】実施例3の裸眼立体画像表示システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明による裸眼立体画像表示システムを実現する実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
[裸眼立体画像表示システムの構成]
図1及び図2は、実施例1の裸眼立体画像表示システムの構成を示す概略図である。図3は、実施例1の投光装置の移動について説明する図であり、図3(a)は、投光装置が後方にある状態を示し、図3(b)は、投光装置が前方に移動した状態を示す。図4は、実施例1の裸眼立体画像表示システムのプロジェクタを説明する概略図である。図5は、実施例1の裸眼立体画像表示システムのスクリーンを説明する平面図である。図6は、実施例1の裸眼立体画像表示システムのスクリーンを説明する断面図である。以下、実施例1の裸眼立体画像表示システムの構成を説明する。
【0022】
図1に示すように、実施例1における裸眼立体画像表示システム10は、建設機械1を遠隔操作する場合に使用される。実施例1では、観察者Mは、投光装置20からの投射光をスクリーン30に投射して、裸眼で立体画像を視認させる裸眼立体画像表示システム10を使用して、建設機械1を遠隔操作する。
【0023】
なお、観察者Mから見て、左右方向を左右方向D1とし、前後方向を前後方向D2とし、上下方向を上下方向D3とする。
【0024】
<作業現場>
図1に示すように、作業現場S1には、建設機械1が配置されている。建設機械1は、例えば、バックホーとすることができる。建設機械1は、車体2と、旋回体3と、アーム4と、を備えている。
【0025】
車体2は、道路や作業現場S1を自走するための走行装置等を備えている。旋回体3は、車体2の上方に設けられ、車体2に対して、旋回可能となっている。
【0026】
アーム4は、起伏シリンダ(不図示)に支持されている。アーム4の先端には、バケット5が取り付けられている。起伏シリンダが伸縮することで、アーム4が起伏するようになっている。
【0027】
旋回体3には、現場カメラ40が設置されている。現場カメラ40は、図2に示すように、右目E2用の画像を撮影する第1現場カメラ41と、右目E2用の画像を撮影する第2現場カメラ42と、右目E2用の画像を撮影する第3現場カメラ43と、左目E1用の画像を撮影する第4現場カメラ44と、左目E1用の画像を撮影する第5現場カメラ45と、左目E1用の画像を撮影する第6現場カメラ46と、を備えている。
【0028】
旋回体3の前方を向いた姿勢で、第1現場カメラ41と第4現場カメラ44が最も右側に配置され、第3現場カメラ43と第6現場カメラ46が最も左側に配置されている。
【0029】
すなわち、旋回体3の前方を向いた姿勢において、第1現場カメラ41と第4現場カメラ44が最も右側の作業現場S1を撮影し、第3現場カメラ43と第6現場カメラ46が最も左側の作業現場S1を撮影するようになっている。第2現場カメラ42と第5現場カメラ45は、第1現場カメラ41と第4現場カメラ44が撮影する場所と、第3現場カメラ43と第6現場カメラ46が撮影する場所との間を撮影するようになっている。
【0030】
<遠隔地>
図1に示すように、遠隔地S2には、裸眼立体画像表示システム10が配置されている。裸眼立体画像表示システム10は、操縦席6に座った観察者Mの頭上に配置されている投光装置20と、スクリーン30と、観察者Mを撮影する観察者カメラ50と、を備える。
【0031】
(投光装置)
図2に示すように、投光装置20は、観察者Mの頭上に設置された載置台71に設置さえている。投光装置20は、プロジェクタとしての、右目E2用の第1プロジェクタ21と、右目E2用の第3プロジェクタ23と、右目E2用の第5プロジェクタ25と、左目E1用の第2プロジェクタ22と、左目E1用の第4プロジェクタ24と、左目E1用の第6プロジェクタ26と、を備えている。なお、図2では、現場カメラ40を概念的に示している。
【0032】
第1プロジェクタ21は、第1現場カメラ41に接続されている。第3プロジェクタ23は、第2現場カメラ42に接続されている。第5プロジェクタ25は、第3現場カメラ43に接続されている。第2プロジェクタ22は、第4現場カメラ44に接続されている。第4プロジェクタ24は、第5現場カメラ45に接続されている。第6プロジェクタ26は、第6現場カメラ46に接続されている。
【0033】
各プロジェクタは、フォーカスフリー(焦点調節不要)のプロジェクタとしてのレーザースキャン式プロジェクタとするこができる。各プロジェクタは、投射光をスクリーン30に向けて投射する投射口21a~26aを備えている。
【0034】
第1プロジェクタ21の上方には、第3プロジェクタ23が配置されている。第3プロジェクタ23の上方には、第5プロジェクタ25が配置されている。
【0035】
第3プロジェクタ23は、第1プロジェクタ21と左右方向D1に、間隔Dを有して配置されている。言い換えると、第1プロジェクタ21の投射口21aは、第3プロジェクタ23の投射口23aと、左右方向D1において、間隔Dを有して配置されている。
【0036】
第5プロジェクタ25は、第3プロジェクタ23と左右方向D1に、間隔Dを有して配置されている。言い換えると、第3プロジェクタ23の投射口23aは、第5プロジェクタ25の投射口25aと、左右方向D1において、間隔Dを有して配置されている。
【0037】
すなわち、右目E2用の各プロジェクタは、左右方向D1に間隔Dの視差を有して配置されている。
【0038】
第2プロジェクタ22、第4プロジェクタ24及び第6プロジェクタ26は、それぞれ、第1プロジェクタ21、第3プロジェクタ23及び第5プロジェクタ25に対して、左右方向D1に並んで配置されている。
【0039】
第4プロジェクタ24は、第2プロジェクタ22と左右方向D1に、間隔Dを有して配置されている。言い換えると、第2プロジェクタ22の投射口22aは、第4プロジェクタ24の投射口24aと、左右方向D1において、間隔Dを有して配置されている。
【0040】
第6プロジェクタ26は、第4プロジェクタ24と左右方向D1に、間隔Dを有して配置されている。言い換えると、第4プロジェクタ24の投射口24aは、第6プロジェクタ26の投射口26aと、左右方向D1において、間隔Dを有して配置されている。
【0041】
すなわち、左目E1用の各プロジェクタは、左右方向D1に間隔Dの視差を有して配置されている。
【0042】
言い換えると、投光装置20は、上下方向D3及び左右方向D1に間隔を置いて配置された複数のプロジェクタ(第1プロジェクタ21~第6プロジェクタ26)によって構成されている。なお、投光装置20は、上下方向D3及び左右方向D1の少なくとも一方に間隔を置いて配置された複数のプロジェクタによって構成されてもよい。
【0043】
観察者Mが操縦席6に座った状態において、観察者Mの右目E2の真上に、第3プロジェクタ23の投射口23aが配置され、左目E1の真上に、第2プロジェクタ22の投射口22aが配置されている。
【0044】
図3(a)に示すように、載置台71には、前後方向D2に延在したレール72と、レール72に接続された駆動部73とが取り付けられている。駆動部73は、例えば、ステッピングモータとすることができる。駆動部73が駆動することで、例えばピニオンギアを介して、投光装置20がレール72に沿って前後方向D2に移動可能に構成されている。
【0045】
各プロジェクタは、図4に示すように、RGBそれぞれのレーザ光源20aと、MEMS(微小電子機械システム)20bとを備えている。レーザ光源20aからの光をほぼコリメートして、色合成したビームをMEMS20bに入射させ、2次元的に走査し、レーザ変調を同期させることで、目の残像を利用してスクリーン30に像を形成する。
【0046】
(スクリーン)
図5及び図6に示すように、スクリーン30は、投光装置20の投射光を再帰反射させる再帰反射手段31と、再帰反射手段31によって再帰反射した再帰反射光を、上下方向D3のみに拡散させる上下方向拡散手段32と、を備えている。上下方向拡散手段32は、再帰反射手段31の投光装置20側に積層されている。すなわち、上下方向拡散手段32は、再帰反射手段31の手前側(後側)に配置されている。
【0047】
再帰反射手段31は、例えば、入射した方向のみに光を反射するシート状の素子群とすることができる。再帰反射手段31は、コーナーキューブタイプやガラスビーズタイプのものにすることができるが、再帰反射率が高い前者が望ましい。
【0048】
上下方向拡散手段32は、例えば、レンチキュラーアレイとすることができる。上下方向拡散手段32は、上下方向D3のみに光を拡散させるレンズ群とすることができる。
【0049】
(観察者カメラ)
図1及び図2に示すように、観察者カメラ50は、操縦席6に座った観察者Mの頭部を撮影可能なように設置されている。観察者カメラ50としては、例えば、WEBカメラとすることができる。
【0050】
このように構成されたスクリーン30は、図6に示すように、投光装置20からの投射光L1が、上下方向拡散手段32を透過して、再帰反射手段31で再帰反射する。再帰反射手段31で再帰反射した再帰反射光は、上下方向拡散手段32で上下方向D3のみに拡散した拡散光L2となって、観察者Mの左目E1と右目E2に到達するようになっている。
【0051】
図1に示すように、操縦席6には、車体2の走行を制御するための操作部(例えば、左及び右の走行レバー)を有している。また、操縦席6には、旋回体3やアーム4等を操作する操作部を有している。操縦席6に座った観察者Mは、スクリーン30を見ながら、操作部を操作して、旋回体3を旋回させ、アーム4を起伏させて作業を行うことができる。
【0052】
[裸眼立体画像表示システムの機能構成]
図7は、実施例1の裸眼立体画像表示システム10の機能構成を示すブロック図である。以下、実施例1の裸眼立体画像表示システム10の機能構成を説明する。
【0053】
図7に示すように、裸眼立体画像表示システム10は、現場カメラ40が撮影したカメラ画像と観察者カメラ50が撮影したカメラ画像が、制御部60に入力され、制御部60で処理された処理情報が投光装置20に入力される。
【0054】
現場カメラ40は、第1現場カメラ41と、第2現場カメラ42と、第3現場カメラ43と、第4現場カメラ44と、第5現場カメラ45と、第6現場カメラ46と、を備えている。各現場カメラ(第1現場カメラ41~第6現場カメラ46)は、例えば、単眼カメラとすることができる。現場カメラ40が撮影したカメラ画像は、制御部60に入力される。
【0055】
観察者カメラ50は、例えば、WEBカメラとすることができる。観察者カメラ50が撮影したカメラ画像は、制御部60に入力される。なお、観察者カメラ50は、例えば、深度カメラとすることもできる。
【0056】
制御部60は、観察者カメラ画像取得部61と、位置・姿勢検知部62と、現場カメラ選択部63と、現場カメラ画像取得部64と、プロジェクタ選択部65と、駆動制御部66と、を備えている。
【0057】
観察者カメラ画像取得部61は、観察者カメラ50が撮影した観察者Mのカメラ画像を取得する。
【0058】
位置・姿勢検知部62は、観察者Mを撮影した観察者カメラ50のカメラ画像に基づいて、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する。具体的には、位置・姿勢検知部62は、例えば、顔の一部(例えば、目や鼻や口)のテンプレート画像を走査して、画像全体から顔を検出するテンプレートマッチングによって、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する。観察者Mの位置や姿勢には、観察者Mの頭の位置や、顔の向きや、頭の傾きや、視線の向き等が含まれるものとする。
【0059】
なお、位置・姿勢検知部62は、特徴量を用いて顔の一部を探して顔を検出することもできる。特徴量としては、Haar-like特徴量や、LBP特徴量や、LIH特徴量や、HOG特徴量等を用いることができる。
【0060】
Haar-like特徴量を用いた方法では、位置・姿勢検知部62は、明暗差に基づいて、顔の一部であるか否かを判定する。
【0061】
LBP特徴量を用いた方法では、位置・姿勢検知部62は、輝度の分布(ヒストグラム)に基づいて、顔の一部であるか否かを判定する。
【0062】
LIH特徴量を用いた方法では、位置・姿勢検知部62は、局所領域内の輝度ヒストグラムに基づいて、顔の一部であるか否かを判定する。
【0063】
HOG特徴量を用いた方法では、位置・姿勢検知部62は、画像勾配の強度を表現した方向別ヒストグラムに基づいて、顔の一部であるか否かを判定する。
【0064】
また、位置・姿勢検知部62は、左目E1又は右目E2の画像から、白目と黒目を判別し、検出した黒目の動きをトラッキングすることで、視点位置や視線を検出するようにしてもよい。また、位置・姿勢検知部62では、OpenPoseなどの深層学習を使用して、複数の観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知できるようにすることもできる。また、位置・姿勢検知部62は、dlibやNuitrackやFaceSDK等を利用して、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知してもよい。
【0065】
さらに、観察者カメラ50として、深度カメラを使用した場合、位置・姿勢検知部62は、特徴点検と深度情報を組み合わせて、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知することもできる。
【0066】
現場カメラ選択部63は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、第1現場カメラ41~第6現場カメラ46の中から、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した左目用の現場カメラ40と右目用の現場カメラ40とを選択する。
【0067】
現場カメラ画像取得部64は、現場カメラ選択部63が選択した左目用の現場カメラ40と右目用の現場カメラ40のカメラ画像を取得する。
【0068】
プロジェクタ選択部65は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、第1プロジェクタ21~第6プロジェクタ26の中から、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタとを選択する。プロジェクタ選択部65が選択した選択情報が投光装置20に出力されて、プロジェクタ選択部65によって選択されたプロジェクタが稼働するようになっている。
【0069】
駆動制御部66は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、投光装置20が観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した位置に移動するように、駆動部73を制御する。すなわち、図3(b)に示すように、例えば、観察者Mの頭が前方に移動した場合、駆動制御部66は、駆動部73を駆動して、投光装置20を前方に移動する。観察者Mの頭が後方に移動した場合、図3(a)に示すように、駆動制御部66は、駆動部73を駆動して、投光装置20を後方に移動する。
【0070】
投光装置20は、第1プロジェクタ21~第6プロジェクタ26を備えている。投光装置20は、プロジェクタ選択部65の指示に基づいて、選択したプロジェクタが稼働するようになっている。
【0071】
駆動部73は、駆動制御部66の指示に基づいて駆動し、投光装置20を前後方向D2に移動するようになっている。すなわち、投光装置20は、観察者Mの頭の前後方向D2の動きに合わせて移動するようになっている。なお、投光装置20は、観察者Mの頭の前後方向D2及び左右方向D1の少なくとも一方の動きに合わせて移動するように構成されてもよい。
【0072】
[裸眼立体画像表示システムの制御部による処理の流れ]
図8は、実施例1の裸眼立体画像表示システム10の制御部60による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例1の裸眼立体画像表示システム10の制御部60による処理の流れを説明する。
【0073】
図8に示すように、観察者カメラ画像取得部61は、観察者カメラ50が撮影した観察者Mのカメラ画像を取得する(ステップS101)。次いで、位置・姿勢検知部62は、観察者カメラ50が撮影した観察者Mのカメラ画像に基づいて、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する(ステップS102)。
【0074】
次いで、現場カメラ選択部63は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、第1現場カメラ41~第6現場カメラ46の中から、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した左目用の現場カメラ40と右目用の現場カメラ40とを選択する(ステップS103)。
【0075】
次いで、現場カメラ画像取得部64は、現場カメラ選択部63が選択した左目用の現場カメラ40と右目用の現場カメラ40のカメラ画像を取得する(ステップS104)。
【0076】
次いで、駆動制御部66は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、投光装置20が観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した位置に移動するように、駆動部73を制御する(ステップS105)。
【0077】
次いで、プロジェクタ選択部65は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、第1プロジェクタ21~第6プロジェクタ26の中から、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタとを選択し(ステップS106)、選択されたプロジェクタが稼働してスクリーン30に投射光L1を投射し、処理を終了する。
【0078】
[裸眼立体画像表示システムの作用]
図9及び図10は、実施例1の裸眼立体画像表示システム10の作用を説明する図である。以下、実施例1の裸眼立体画像表示システム10の作用を説明する。
【0079】
実施例1の裸眼立体画像表示システム10は、投光装置20からの投射光をスクリーン30に投射して、裸眼で立体画像を視認させる。この裸眼立体画像表示システム10において、投光装置20は、フォーカスフリーの左目用のプロジェクタ(第2プロジェクタ22,第4プロジェクタ24,第6プロジェクタ26)と、左目用のプロジェクタ(第2プロジェクタ22,第4プロジェクタ24,第6プロジェクタ26)に間隔をおいて配置されているフォーカスフリーの右目用のプロジェクタ(第1プロジェクタ21,第3プロジェクタ23,第5プロジェクタ25)と、を備え、スクリーン30は、投射光を再帰反射させる再帰反射手段31と、再帰反射手段31によって再帰反射した再帰反射光を、上下方向D3のみに拡散させる上下方向拡散手段32と、を備える(図2)。
【0080】
これにより、左目用のプロジェクタからの投射光L1を、再帰反射手段31によって再帰反射光にして、この再帰反射光を上下方向D3に拡散した拡散光L2として、観察者Mの左目E1に集光することができる。また、右目用のプロジェクタからの投射光L1を、再帰反射手段31によって再帰反射光にして、この再帰反射光を上下方向D3に拡散した拡散光L2として、観察者Mの右目E2に集光することができる。すなわち、拡散光L2は上下方向D3に拡散して、左右方向には略拡散しないため、拡散光L2の左右方向D1の幅を小さくすることができる。
【0081】
その結果、観察者Mの左目E1及び右目E2への集光性能を高くして、視差画像の分解能を向上させることができる。そのため、鮮明な立体画像を、目の疲れを軽減して、裸眼で見えるようにすることができる。さらに、観察者Mがスクリーン30から離れた場所にいても、鮮明な立体画像を、目の疲れを軽減して、裸眼で見えるようにすることができる。
【0082】
ところで、従来のスクリーンでは、光を再帰反射する再帰反射器と、再帰反射器で再帰反射された光を拡散する光拡散器と、再帰反射器と光拡散器との間に設けられた透明媒体と、拡散された光の焦点合わせをするためのレンチキュラー層と、を必要としていた。そのため、スクリーンが厚く重くなるといった問題がある。
【0083】
実施例1では、上下方向拡散手段32と再帰反射手段31とで、スクリーン30を形成することができる。すなわち、実施例1では、光拡散器層、レンチキュラー層、及び透明媒体を設けないため、簡易な構成とし、スクリーン30の厚さを薄くし、軽量化することができる。
【0084】
また、上下方向D3に拡散した拡散光L2を、左目用のプロジェクタ及び右目用のプロジェクタとは異なる位置(例えば、投光装置20の下方又は上方)にいる観察者Mの左目E1及び右目E2に到達するようにすることができる。そのため、プロジェクタとは異なる位置にいる観察者Mに、鮮明な立体画像を裸眼で見えるようにすることができる。
【0085】
実施例1の裸眼立体画像表示システム10において、投光装置20は、上下方向D3及び左右方向D1の少なくとも一方に間隔を置いて配置された複数のプロジェクタによって構成され、観察者Mを撮影したカメラ画像に基づいて、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する位置・姿勢検知部62と、位置・姿勢検知部62が検知した情報に基づいて、プロジェクタの中から左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタとを選択するプロジェクタ選択部65と、を備える(図7)。
【0086】
これにより、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方(例えば、目や頭)に基づいて、最適な左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタを選択することができる。そのため、例えば、図9に示すように、観察者Mが顔を左方向に移動した場合は、移動した位置に対応した左目用の第4プロジェクタ24と右目用の第5プロジェクタ25を選択することができる。また、例えば、図10に示すように、顔を反時計回りに傾けた場合、傾けた位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した左目用の第2プロジェクタ22と右目用の第5プロジェクタ25を選択することができる。そのため、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した視差画像を立体画像として提供することができる。
【0087】
なお、この際、上下方向D3については、左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタからの投射光が上下方向拡散手段32によって上下方向D3のみに拡散した拡散光L2となっているので、左目用のプロジェクタと右目用のプロジェクタとが上下方向D3で異なる位置に設置されていても、その影響を受けないようにすることができる。
【0088】
また、拡散光L2の左右方向D1の幅を小さくすることができ、さらに投射式プロジェクタより径の小さい出射レンズを使用することができるので、狭い間隔でプロジェクタを複数配置することができる。そのため、視差画像の数を増やすことができる。その結果、連続的な立体画像を表示することができる。また、複数の観察者Mがいる場合にも、連続的な立体画像を表示することができる。
【0089】
実施例1の裸眼立体画像表示システム10において、投光装置20は、観察者Mの頭の前後方向D2及び左右方向D1の少なくとも一方の動きに合わせて移動可能に構成されている(図3)。
【0090】
これにより、観察者Mの頭が前後方向D2や左右方向D1に移動したとしても、観察する目の位置と拡散光L2の集光位置の関係を一定にすることができる。そのため、観察者Mの目に見える立体画像の範囲を一定にすることができる。
【0091】
ところで、投射式プロジェクタを使用する場合、像をスクリーンに投射させるにあたり焦点調節を行う必要がある。例えば、観察者Mが頭を前後に動かした場合、立体画像を提供するためには、プロジェクタを前後に移動させると共に、連続的にリアルタイムで焦点調整を行わなければ、鮮明な立体画像を提供することができない、という問題がある。
【0092】
実施例1では、フォーカスフリーのプロジェクタを観察者Mの頭の動きに合わせて移動可能としているので、焦点調整をすることなく、鮮明な立体画像を提供することができる。
【0093】
実施例1の裸眼立体画像表示システム10において、プロジェクタは、レーザースキャン式プロジェクタである(図4)。
【0094】
これにより、レーザースキャン式プロジェクタから出射したレーザを走査して立体画像の表示を行うことができる。そして、レーザースキャン式プロジェクタから出射したレーザの幅を、再帰反射手段31によって再帰反射した再帰反射光の論理上の幅とすることができるので、視差幅を極小とすることができる。
【実施例2】
【0095】
実施例2の裸眼立体画像表示システムは、投光装置の構成が異なる点で、実施例1の裸眼立体画像表示システムと相違する。
【0096】
[裸眼立体画像表示システムの構成]
図11は、実施例2の裸眼立体画像表示システムの構成を示す概略図である。以下、実施例2の裸眼立体画像表示システムの構成を説明する。なお、上記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一の用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0097】
図11に示すように、実施例2の投光装置120は、プロジェクタとしての、右目E2用の第1プロジェクタ21と、左目E1用の第2プロジェクタ22と、を備えている。
【0098】
第1プロジェクタ21は、第1現場カメラ41、第2現場カメラ42又は第3現場カメラ43に接続されている。第2プロジェクタ22は、第4現場カメラ44、第5現場カメラ45又は第6現場カメラ46に接続されている。
【0099】
第1プロジェクタ21と第2プロジェクタ22は、左右方向D1に並べて配置されている。投光装置120は、移動手段80によって、前後方向D2と、左右方向D1とに移動可能に構成されている。また、投光装置120は、移動手段80によって、上下方向D3を軸として回転可能に構成されている。
【0100】
移動手段80は、載置部81と、載置部81を支持する支持部82と、支持部82に取り付けられている駆動源83と、載置部81に取り付けられている前後レール84と左右レール85とを備えている。
【0101】
載置部81は、板状に形成されている。載置部81には、投光装置120が設置されている。
【0102】
支持部82は、載置台71に設置されている。駆動源83は、例えば、ステッピングモータとすることができる。駆動源83が駆動することで、ピニオンギアを介して、載置部81が前後レール84又は左右レール85に沿って移動可能に構成されている。
【0103】
また、駆動源83が駆動することで、載置部81が上下方向D3を軸として回転可能に構成されている。
【0104】
なお、投光装置120は、移動手段80によって、上下方向D3に移動可能に構成されていてもよい。
【0105】
[裸眼立体画像表示システムの機能構成]
図12は、実施例2の裸眼立体画像表示システムの機能構成を示すブロック図である。以下、実施例2の裸眼立体画像表示システムの機能構成を説明する。
【0106】
図12に示すように、裸眼立体画像表示システム10は、現場カメラ40が撮影したカメラ画像と観察者カメラ50が撮影したカメラ画像が、制御部60に入力され、制御部60で処理された処理情報が移動手段80に入力される。
【0107】
制御部60は、観察者カメラ画像取得部61と、位置・姿勢検知部62と、現場カメラ選択部63と、移動手段制御部67と、を備えている。
【0108】
移動手段制御部67は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、投光装置120が観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した位置に移動するように、移動手段80を制御する。
【0109】
例えば、観察者Mが左右方向D1に移動した場合、移動手段制御部67は、駆動源83を駆動して、載置部81を左右レール85に沿って移動させる。観察者Mが前後方向D2に移動した場合、移動手段制御部67は、駆動源83を駆動して、載置部81を左右レール85に沿って移動させる。観察者Mが頭を旋回した場合、移動手段制御部67は、駆動源83を駆動して、載置部81を、上下方向D3を回転軸として回転させる。
【0110】
移動手段80は、移動手段制御部67の制御情報に基づいて、投光装置120を移動する。
【0111】
[裸眼立体画像表示システムの制御部による処理の流れ]
図13は、実施例2の裸眼立体画像表示システムの制御部による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例2の裸眼立体画像表示システムの制御部による処理の流れを説明する。
【0112】
図12に示すように、観察者カメラ画像取得部61は、観察者カメラ50が撮影した観察者Mのカメラ画像を取得する(ステップS201)。
【0113】
次いで、位置・姿勢検知部62は、観察者カメラ50が撮影した観察者Mのカメラ画像に基づいて、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する(ステップS202)。
【0114】
次いで、現場カメラ選択部63は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、第1現場カメラ41~第6現場カメラ46の中から、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した左目用の現場カメラ40と右目用の現場カメラ40とを選択する(ステップS203)。
【0115】
次いで、現場カメラ画像取得部64は、現場カメラ選択部63が選択した左目用の現場カメラ40と右目用の現場カメラ40のカメラ画像を取得する(ステップS204)。
【0116】
次いで、移動手段制御部67は、位置・姿勢検知部62が検知した観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に基づいて、投光装置120が観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した位置に移動するように、移動手段80を制御し(ステップS105)、移動した状態で投光装置120が稼働してスクリーン30に投射光L1を投射し、処理を終了する。
【0117】
[裸眼立体画像表示システムの作用]
次に、実施例2の裸眼立体画像表示システム10の作用を説明する。実施例2の裸眼立体画像表示システム10は、投光装置120を移動可能な移動手段80と、観察者Mを撮影したカメラ画像に基づいて、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方を検知する位置・姿勢検知部62と、位置・姿勢検知部62が検知した情報に基づいて、移動手段80を制御する移動手段制御部67と、を備える(図12)。
【0118】
これにより、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方(例えば、目や頭)に基づいて、左目用の第2プロジェクタ22と右目用の第1プロジェクタ21の位置及び姿勢の少なくとも一方を変更することができる。例えば、観察者Mが顔を旋回した場合は、移動した位置に対応した位置に左目用の第2プロジェクタ22と右目用の第1プロジェクタ21を移動することができる。例えば、観察者Mが顔を傾けた場合、傾けた位置に対応した位置に左目用の第2プロジェクタ22と右目用の第1プロジェクタ21を移動することができる。そのため、観察者Mの位置及び姿勢の少なくとも一方に対応した立体画像を提供することができる。
【0119】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0120】
実施例3の裸眼立体画像表示システムは、スクリーンの構成が異なる点で、上記実施例の裸眼立体画像表示システムと相違する。
【0121】
[裸眼立体画像表示システムの構成]
図14は、実施例3の裸眼立体画像表示システムの構成を示す概略図である。以下、実施例3の裸眼立体画像表示システムの構成を説明する。なお、上記実施例で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一の用語又は同一の符号を用いて説明する。
【0122】
図14に示すように、実施例3のスクリーン30は、例えば、上下方向D3を軸方向とする半円筒状の曲面で形成されている。なお、スクリーン30の曲面は、凹面であればよく、球面状であっても、半筒状であってもよい。
【0123】
[裸眼立体画像表示システムの作用]
次に、実施例3の裸眼立体画像表示システム10の作用を説明する。実施例3の裸眼立体画像表示システム10において、スクリーン30は、曲面で形成されている(図14)。
【0124】
ところで、一般的な投射式プロジェクタを使用して、平面ではないスクリーンに投射する場合、焦点合わせを行った箇所以外の部分は、焦点を合わせることができない。そのため、鮮明な立体画像を提供することが出来ない。
【0125】
実施例3では、フォーカスフリーのプロジェクタを使用しているので、曲面で形成されたスクリーン30の全面に焦点を合わせることができる。そのため、映像によって作り出された世界に入り込んでいるような感覚である没入感が得られる立体画像を提供することができる。
【0126】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0127】
以上、本発明の裸眼立体画像表示システムを実施例1~実施例3に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、各実施例の組み合わせ、設計の変更や追加等は許容される。
【0128】
実施例1では、プロジェクタを6つ備え、実施例2では、プロジェクタを2つ備える例を示した。しかし、プロジェクタの設置数は、これらの態様に限定されるものでなく、右目用のプロジェクタと左目用のプロジェクタが少なくとも1組あればよい。すなわち、投光装置は、少なくとも1組の、フォーカスフリーの左目用のプロジェクタと、左目用のプロジェクタに間隔をおいて配置されているフォーカスフリーの右目用のプロジェクタと、を備えていればよい。
【0129】
実施例1~実施例3では、上下方向拡散手段32をレンチキュラーアレイとする例を示した。しかし、上下方向拡散手段としては、光を上下方向にのみ拡散できるものであればよい。
【0130】
実施例1~実施例3では、プロジェクタをレーザースキャン式プロジェクタとする例を示した。しかし、プロジェクタとしては、出射レンズ径の小さいフォーカスフリーのレーザ光源プロジェクタ等にすることもできる。
【0131】
実施例1~実施例3では、現場カメラ40を第1現場カメラ41~第6現場カメラ46の6つとする例を示した。しかし、現場カメラは、5つ以下であってもよいし、7つ以上であってもよい。また、現場カメラを移動可能に構成してもよい。
【0132】
実施例1~実施例3では、本発明の裸眼立体画像表示システム10を1人の観察者Mが観察する場合に適用する例を示した。しかし、本発明の裸眼立体画像表示システムは、複数の観察者Mが観察する場合にも適用することができる。
【0133】
実施例1~実施例3では、本発明の裸眼立体画像表示システム10を、建設機械1を遠隔操作する場合に適用する例を示した。しかし、本発明の裸眼立体画像表示システムは、通常のプロジェクタの用途に使用することもできる。
【符号の説明】
【0134】
10 裸眼立体画像表示システム
20 投光装置
21 第1プロジェクタ(右目用のプロジェクタの一例)
22 第2プロジェクタ(左目用のプロジェクタの一例)
23 第3プロジェクタ(右目用のプロジェクタの一例)
24 第4プロジェクタ(左目用のプロジェクタの一例)
25 第5プロジェクタ(右目用のプロジェクタの一例)
26 第6プロジェクタ(左目用のプロジェクタの一例)
30 スクリーン
31 再帰反射手段
32 上下方向拡散手段
62 位置・姿勢検知部
65 プロジェクタ選択部
67 移動手段制御部
80 移動手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14