(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】空気調和機の室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0067 20190101AFI20240802BHJP
F24F 1/0007 20190101ALI20240802BHJP
F24F 13/30 20060101ALI20240802BHJP
F28D 1/04 20060101ALI20240802BHJP
F28F 9/22 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
F24F1/0067
F24F1/0007 321
F24F13/30
F28D1/04 Z
F28F9/22
(21)【出願番号】P 2019560800
(86)(22)【出願日】2018-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2018034346
(87)【国際公開番号】W WO2019123743
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】P 2017243400
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】酒井 浩一
(72)【発明者】
【氏名】舛谷 乙彦
(72)【発明者】
【氏名】野間 富之
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】竹下 和志
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-116139(JP,A)
【文献】特開平10-153341(JP,A)
【文献】特開2001-311530(JP,A)
【文献】特開2006-250366(JP,A)
【文献】特開2008-215694(JP,A)
【文献】特開2000-337652(JP,A)
【文献】特開2015-222058(JP,A)
【文献】特開2001-311531(JP,A)
【文献】特開平11-182882(JP,A)
【文献】国際公開第2013/094162(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/017483(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007 - 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体が室内の壁面に取り付けられ、前記本体の上面に吸込口が形成され、前記本体の下面に吹出口が形成される室内機であって、
前記吸込口と、
前記吸込口から空気を吸い込ませるファンと、
前記ファンの外方に配置されて、前記吸込口から吸い込まれた前記空気と熱交換する熱交換器と、
前記ファンにより吸い込まれた前記空気が流れる通風路と、
前記熱交換器により熱交換された前記空気が吹き出す前記吹出口と、
前記通風路の背面側を形成するリアガイダと、を備え、
前記吸込口から吸い込まれた前記空気は前記熱交換器で熱交換され、前記熱交換器で熱交換された前記空気は前記ファンを経由して前記吹出口から吹き出され、
前記吸込口と前記吹出口とを形成する前記本体には、前記ファンの回転によって、前記吸込口から前記吹出口に至る前記空気の本体内空気流れを生じ、
前記ファンの前記外方とは、前記ファンよりも前記本体内空気流れの上流の位置であり、
前記熱交換器は、
前記ファンに対して前記壁面と反対側を前面としたときに、前記ファンの前面側外方に配置された前面側熱交換部と、
前記ファンに対して前記壁面の側を背面としたときに、前記ファンの背面側外方に配置された背面側熱交換部と
から構成され、
前記リアガイダは、前記本体内空気流れの上流側に位置する上流側上端部を有し、
前記リアガイダの前記上流側上端部は、前記ファンと前記背面側熱交換部との間に位置し、
前記背面側熱交換部は、前記本体内空気流れの前記上流側であって前記背面側熱交換部に前記空気が流れ込む側を上流面とし、前記本体内空気流れの下流側であって前記背面側熱交換部から前記空気が流れ出す側を下流面とし、
前記背面側熱交換部の前記リアガイダに対向する前記下流面には形状変化部を有し、
前記形状変化部を、前記リアガイダの前記上流側上端部より、前記壁面の側となる背面側に位置させ、前記形状変化部より下部に位置する前記下流面を、前記ファンに近づく方向に湾曲または屈曲する曲面形状とするとともに、前記下流面に対向する前記上流面についても、前記ファンに近づく方向に湾曲または屈曲する曲面形状とし、
前記背面側熱交換部は、前記形状変化部より上部では所定の厚みThにて形成され、前記形状変化部より下部では前記所定の厚みThより薄い厚みTmにて形成され、前記背面側熱交換部の最下端に位置する部位では前記厚みTmよりも更に薄い厚みTlにて形成し、
前記背面側熱交換部の前記形状変化部から下部側の部位の厚みを徐々に薄くなるように形成し、
円弧形状の前記リアガイダの前記背面側と前記背面側熱交換部との間の空間が、前記リアガイダの前記上流側上端部に向かって、徐々に拡大しており、
前記背面側熱交換部の前記上流面は、前記背面側熱交換部の中で前記厚みTmから前記厚みTlにて形成されている部分において、
当該部分を閉塞することなく、通風抵抗を減少させて、前記空気を流れ易くする
ことを特徴とする空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記前面側熱交換部と前記背面側熱交換部とは、前記本体の前記上面に形成される前記吸込口に対向する位置である天面部にて連続していることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記背面側熱交換部の前記上流面には、さらに別の熱交換器が配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の空気調和機の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室内機の熱交換器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の従来の室内機に配置された熱交換器の構成について、以下、
図3、
図4に基づいて説明する。
【0003】
図3、
図4に示すように、室内機10は、横長の筐体であり、室内の壁11に設置される。筐体10の前面には、前部吸込みグリル12aを有する前部吸込み口部12を設け、筐体10の下面には、下部吸込みグリル13aを有する下部吸込み口部13を設けている。そして、筐体10の下面の前方部で、前部吸込み口部12と下部吸込み口部13との間には、筐体10の下方前方側に向かって開口部が位置している吹出し口部14を設けている。
【0004】
水平方向の回転軸をもつクロスフローファン15は、筐体10の内部略中央に設置されている。送風路18(ディフューザともいう)は、筐体10の前方へ向かって下降し、クロスフローファン15の回転により生じる風を吹出し口部14に案内する。送風路18は、スタビライザ16とリアガイダ17とで形成される。スタビライザ16は、峰部16aをクロスフローファン15に近接して対向させ、クロスフローファン15の風下側に位置する。
【0005】
第1熱交換器19、及び第2熱交換器20は、クロスフローファン15の風上側において、クロスフローファン15の前後に位置し、クロスフローファン15を挟むように筐体10内に、それぞれ設けられている。第1熱交換器19は、上部第1熱交換器19aと下部第1熱交換器19bとから成り、第2熱交換器20は、上部第2熱交換器20aと下部第2熱交換器20bとから成る。
【0006】
そして、第1熱交換器19は、上部第1熱交換器19aをクロスフローファン15側に傾斜させ、下部第1熱交換器19bを垂直にして、略逆く字状に配置されている。また、第2熱交換器20は、上部第2熱交換器20aを垂直にして、下部第2熱交換器20bを筐体10内の後側に傾斜させて、略く字状に配置されている。
【0007】
水受け皿21は、第1熱交換器19、及び第2熱交換器20からの結露水を受ける。水受け皿21の背面には断熱部材22を設けている。各熱交換器19、20に流入する空気は、フィルタ23によって浄化される。
【0008】
フィルタ23は、前部吸込み口部12、下部吸込み口部13を覆うように設けられている。樋24は第2熱交換器20からの結露水の落下を受ける。
【0009】
クロスフローファン15を
図4に示す矢印方向に回転すると、筐体10の前部吸込みグリル12aより流入した(矢印で示す)空気は、前部吸込み口部12より第1熱交換器19に吸い込まれ、また、筐体10の下部吸込みグリル13aより流入した(矢印で示す)空気は、下部吸込み口部13より第2熱交換器20に吸い込まれる。そして第1熱交換器19又は第2熱交換器20で熱交換された空気は、クロスフローファン15によって、送風路18を経て吹出し口部14より斜め下方(矢印方向)に吹き出される。このとき、第1熱交換器19、及び第2熱交換器20にて生じた結露水は、各々の水受け皿21に流れ落ちる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の構成では、天面で分離した第1熱交換器19と第2熱交換器20とが筐体10内に配置され、第1熱交換器19は上部第1熱交換器19aと下部第1熱交換器19bとから形成され、第2熱交換器20は上部第2熱交換器20aと下部第2熱交換器20bとから形成されているため、筐体10の横幅Bが広くなってしまうという課題を有していた。
【0012】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、熱交換器を搭載した室内機の本体の横幅を狭くすることで、設置性や美観性に優れた空気調和機の室内機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本発明の空気調和機の室内機は、本体が室内の壁面に取り付けられ、前記本体の上面に吸込口が形成され、前記本体の下面に吹出口が形成される室内機であって、前記吸込口と、前記吸込口から空気を吸い込ませるファンと、前記ファンの外方に配置されて、前記吸込口から吸い込まれた前記空気と熱交換する熱交換器と、前記ファンにより吸い込まれた前記空気が流れる通風路と、前記熱交換器により熱交換された前記空気が吹き出す前記吹出口と、前記通風路の背面側を形成するリアガイダと、を備え、前記吸込口から吸い込まれた前記空気は前記熱交換器で熱交換され、前記熱交換器で熱交換された前記空気は前記ファンを経由して前記吹出口から吹き出され、前記吸込口と前記吹出口とを形成する前記本体には、前記ファンの回転によって、前記吸込口から前記吹出口に至る前記空気の本体内空気流れを生じ、前記ファンの前記外方とは、前記ファンよりも前記本体内空気流れの上流の位置であり、前記熱交換器は、前記ファンに対して前記壁面と反対側を前面としたときに、前記ファンの前面側外方に配置された前面側熱交換部と、前記ファンに対して前記壁面の側を背面としたときに、前記ファンの背面側外方に配置された背面側熱交換部とから構成され、前記リアガイダは、前記本体内空気流れの上流側に位置する上流側上端部を有し、前記リアガイダの前記上流側上端部は、前記ファンと前記背面側熱交換部との間に位置し、前記背面側熱交換部は、前記本体内空気流れの前記上流側であって前記背面側熱交換部に前記空気が流れ込む側を上流面とし、前記本体内空気流れの下流側であって前記背面側熱交換部から前記空気が流れ出す側を下流面とし、前記背面側熱交換部の前記リアガイダに対向する前記下流面には形状変化部を有し、前記形状変化部を、前記リアガイダの前記上流側上端部より、前記壁面の側となる背面側に位置させ、前記形状変化部より下部に位置する前記下流面を、前記ファンに近づく方向に湾曲または屈曲する曲面形状とするとともに、前記下流面に対向する前記上流面についても、前記ファンに近づく方向に湾曲または屈曲する曲面形状とし、前記背面側熱交換部は、前記形状変化部より上部では所定の厚みThにて形成され、前記形状変化部より下部では前記所定の厚みThより薄い厚みTmにて形成され、前記背面側熱交換部の最下端に位置する部位では前記厚みTmよりも更に薄い厚みTlにて形成し、前記背面側熱交換部の前記形状変化部から下部側の部位の厚みを徐々に薄くなるように形成し、円弧形状の前記リアガイダの前記背面側と前記背面側熱交換部との間の空間が、前記リアガイダの前記上流側上端部に向かって、徐々に拡大しており、前記背面側熱交換部の前記上流面は、前記背面側熱交換部の中で前記厚みTmから前記厚みTlにて形成されている部分において、当該部分を閉塞することなく、通風抵抗を減少させて、前記空気を流れ易くすることを特徴とするものである。
【0014】
これにより、室内機の本体の横幅を狭くすることができ、設置性や美観性に優れた空気調和機の室内機を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、熱交換器を搭載した室内機の本体の横幅を狭くすることができ、設置性や美観性に優れた空気調和機の室内機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態1における空気調和機の室内機の運転停止時の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、本体が室内の壁面に取り付けられ、前記本体の上面に吸込口が形成され、前記本体の下面に吹出口が形成される室内機であって、前記吸込口と、前記吸込口から空気を吸い込ませるファンと、前記ファンの外方に配置されて、前記吸込口から吸い込まれた前記空気と熱交換する熱交換器と、前記ファンにより吸い込まれた前記空気が流れる通風路と、前記熱交換器により熱交換された前記空気が吹き出す前記吹出口と、前記通風路の背面側を形成するリアガイダと、を備え、前記吸込口から吸い込まれた前記空気は前記熱交換器で熱交換され、前記熱交換器で熱交換された前記空気は前記ファンを経由して前記吹出口から吹き出され、前記吸込口と前記吹出口とを形成する前記本体には、前記ファンの回転によって、前記吸込口から前記吹出口に至る前記空気の本体内空気流れを生じ、前記ファンの前記外方とは、前記ファンよりも前記本体内空気流れの上流の位置であり、前記熱交換器は、前記ファンに対して前記壁面と反対側を前面としたときに、前記ファンの前面側外方に配置された前面側熱交換部と、前記ファンに対して前記壁面の側を背面としたときに、前記ファンの背面側外方に配置された背面側熱交換部とから構成され、前記リアガイダは、前記本体内空気流れの上流側に位置する上流側上端部を有し、前記リアガイダの前記上流側上端部は、前記ファンと前記背面側熱交換部との間に位置し、前記背面側熱交換部は、前記本体内空気流れの前記上流側であって前記背面側熱交換部に前記空気が流れ込む側を上流面とし、前記本体内空気流れの下流側であって前記背面側熱交換部から前記空気が流れ出す側を下流面とし、前記背面側熱交換部の前記リアガイダに対向する前記下流面には形状変化部を有し、前記形状変化部を、前記リアガイダの前記上流側上端部より、前記壁面の側となる背面側に位置させ、前記形状変化部より下部に位置する前記下流面を、前記ファンに近づく方向に湾曲または屈曲する曲面形状とするとともに、前記下流面に対向する前記上流面についても、前記ファンに近づく方向に湾曲または屈曲する曲面形状とし、前記背面側熱交換部は、前記形状変化部より上部では所定の厚みThにて形成され、前記形状変化部より下部では前記所定の厚みThより薄い厚みTmにて形成され、前記背面側熱交換部の最下端に位置する部位では前記厚みTmよりも更に薄い厚みTlにて形成し、前記背面側熱交換部の前記形状変化部から下部側の部位の厚みを徐々に薄くなるように形成し、円弧形状の前記リアガイダの前記背面側と前記背面側熱交換部との間の空間が、前記リアガイダの前記上流側上端部に向かって、徐々に拡大しており、前記背面側熱交換部の前記上流面は、前記背面側熱交換部の中で前記厚みTmから前記厚みTlにて形成されている部分において、当該部分を閉塞することなく、通風抵抗を減少させて、前記空気を流れ易くすることを特徴とする空気調和機の室内機である。
【0018】
これにより、熱交換器を搭載した室内機の本体の横幅を狭くすることができ、設置性や美観性に優れた空気調和機の室内機を提供できる。また、略円弧形状のリアガイダの背面側と背面側熱交換部との間の空間が、リアガイダの上流側上端部に向かって、徐々に拡大することで、円滑な流れ場が形成されて送風性能が向上し、省エネ、低騒音化を実現した空気調和機の室内機を提供できる。
【0019】
第2の発明は、特に、第1の発明において、前記前面側熱交換部と前記背面側熱交換部とは、前記本体の前記上面に形成される前記吸込口に対向する位置である天面部にて連続していることを特徴とするものである。
【0020】
これにより、吸込口から吸い込まれた空気が、熱交換器に対して略均一に流入されるため、吸込口から吸い込まれた空気の熱交換器における熱交換器効率が向上する。
【0021】
また、吸込口から吸い込まれた空気が、ファンに対しても、略均一に流入されるため、吹出口から吹き出される空気の風量をQ、ファンを駆動させるモータへの入力をWとしたとき、Q/Wであるファン効率の向上するため、室内機の省エネも実現できる。
【0022】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明において、前記背面側熱交換部の前記上流面には、さらに別の熱交換器が配置されていることを特徴とするものである。
【0023】
これにより、暖房運転、冷房運転、除湿運転等の室内機の空調運転時の高能力化を実現できる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における空気調和機の室内機の運転停止時の縦断面図である。また、
図2は、本発明の第1の実施の形態における空気調和機の室内機の運転時の縦断面図である。
【0026】
本発明の第1の実施の形態における空気調和機は、室内機と室外機とから構成される。室内機と室外機とは冷媒配管及び制御配線により接続され、室内機と室外機とによりヒートポンプが構成される。室外機にはコンプレッサが設けられている。室内機は、室内の壁面に取り付けられる。
【0027】
以下、本発明の第1の実施の形態における空気調和機の室内機の構成について、
図1、
図2に基づいて説明する。
【0028】
本発明の第1の実施の形態における空気調和機の室内機は、吸込口2と吹出口3とを形成する本体1からなる。
【0029】
吸込口2は、本体1の上面に形成され、吹出口3は本体1の下面に形成される。本体1の後面は壁面に取り付けられる。
【0030】
本体1の内部には、吸込口2から空気を吸い込ませるファン6と、吸込口2から吸い込まれた空気と熱交換する熱交換器5とを設けている。
【0031】
熱交換器5は、ファン6の前面側外方に配置された前面側熱交換部5aとファン6の背面側外方に配置された背面側熱交換部5bとから構成され、前面側熱交換部5aと背面側熱交換部5bとは、天面部にて連続している。また、前面側熱交換部5aの上流面5ayには、前面側副熱交換部5cが設けられている。そして、背面側熱交換部5bの上流面5byには、背面側副熱交換部5dが設けられている。
【0032】
ファン6には、貫流ファン(クロスフローファン)が適している。ファン6は、左右両端のいずれかの回転軸に、モータを連結している(図示せず)。また、吸込口2とファン6との間、又は吸込口2と熱交換器5との間には、フィルタ4が配置されている。
【0033】
ファン6の下流から吹出口3の上流に至る通風路7は、ファン6の下流に配置されて空気の流れを案内し、通風路7の背面側を形成する略円弧形状のリアガイダ7aと、このリアガイダ7aに対向して配置されたスタビライザ7bと、本体1の両側壁(図示せず)とで形成されている。なお、リアガイダ7aの上流側上端部7wは、ファン6と背面側熱交換部5bとの間に位置し、リアガイダ7aの一部は、ファン6と背面側熱交換部5bとの間に位置している。
【0034】
吹出口3には、上下風向変更羽根8と左右風向変更羽根9とを設けている。左右風向変更羽根9は上下風向変更羽根8より上流側に配置している。上下風向変更羽根8は、吹出口3を開閉し、空気の吹き出しを上下方向に変更する。左右風向変更羽根9は、空気の吹き出しを左右方向に変更する。
【0035】
すなわち、空気調和機の暖房運転時や冷房運転時や除湿運転時等の室内機の空調運転時においては、ファン6の駆動により、吸込口2から吸い込まれた空気が、熱交換器5を流れる冷媒と熱交換される。室内機の空調運転時には、
図1に示す上下風向変更羽根8が吹出口3を覆っている状態から、
図2に示す吹出口3を開口させる状態へと回動し、熱交換器5を流れる冷媒と熱交換した後の空気が、吹出口3から吹き出す。
【0036】
さらに、本発明の第1の実施の形態における空気調和機の室内機は、少なくとも背面側熱交換部5bのリアガイダ7aに対向する下流面5bxには形状変化部5wを有し、形状変化部5wを、リアガイダ7aの上流側上端部7wより背面側に位置させている。背面側熱交換部5bは、形状変化部5wより下部に位置する下流面5bxを、ファン6に近づく方向に湾曲または屈曲する曲面形状としている。また、下流面5bxに対向する上流面5byについても、ファン6に近づく方向に湾曲または屈曲する曲面形状としている。
【0037】
そして、背面側熱交換部5bは、少なくとも最も背面側に位置する部位5bzの厚みを、形状変化部5wより上方側の部位の厚みよりも薄く形成している。
【0038】
すなわち、
図2に示すように、背面側熱交換部5bは、形状変化部5wより上部では所定の厚みThにて形成され、形状変化部5wより下部では所定の厚みThより薄い厚みTmにて形成され、最下端に位置する部位5bzでは厚みTmよりも更に薄い厚みTlにて形成されている。このように、背面側熱交換部5bの形状変化部5wから下部側の部位の厚みは、徐々に薄くなるように形成されている。すなわち、背面側熱交換部5bの形状変化部5wより上方側の厚みをTh、背面側熱交換部5bの形状変化部5wより下方側、かつ、最も背面側に位置する部位の厚みをTm、背面側熱交換部5bの形状変化部5wより下方側、かつ、最下端部の厚みをTlとすると、Tl<Tm<Thの関係にある。
【0039】
これにより、背面側熱交換部5b及びそれを搭載した室内機の本体1の横幅Bを狭くすることができ、設置性や美観性に優れた空気調和機の室内機を提供できる。
【0040】
また、略円弧形状のリアガイダ7aの背面側と背面側熱交換部5bとの間の空間が、リアガイダ7aの上流側上端部7wに向かって、徐々に拡大することで、円滑な流れ場が形成されて送風性能が向上し、省エネ、低騒音化を実現した空気調和機の室内機を提供できる。
【0041】
さらに、背面側熱交換部5bの厚みを薄くした部位の通風抵抗を減少させて、空気を流れ易くできるため、背面側熱交換部5bの熱交換能力を向上させることができる。
【0042】
また、
図1、
図2に示すように、前面側熱交換部5aと背面側熱交換部5bとは別部品であり、前面側熱交換部5aと背面側熱交換部5bとは、天面部にて接合されている。その結果、前面側熱交換部5aと背面側熱交換部5bとは、天面部にて連続している形状となっている。
【0043】
これにより、吸込口2から吸い込まれた空気が、熱交換器5に対して略均一に流入されるため、吸込口2から吸い込まれた空気の熱交換器5における熱交換器効率が向上する。
【0044】
また、吸込口2から吸い込まれた空気は、ファン6に対しても、略均一に流入されるため、吹出口3から吹き出される空気の風量をQ、ファン6を駆動させるモータ(図示せず)への入力をWとしたとき、Q/Wであるファン効率の向上するため、室内機の省エネも実現できる。
【0045】
また、
図1、
図2に示すように、前面側熱交換部5aの上流面5ay、背面側熱交換部5bの上流面5byには、さらに別の熱交換器である前面側副熱交換部5c、背面側副熱交換部5dがそれぞれ配置されている。
【0046】
これにより、暖房運転、冷房運転、除湿運転等の室内機の空調運転時の高能力化を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように本発明にかかる空気調和機の室内機は、熱交換器を搭載した室内機の本体の横幅を狭くすることができ、設置性や美観性に優れた空気調和の室内機を提供できるので、家庭用のみならず業務用のエアコン等にも適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 本体
2 吸込口
3 吹出口
4 フィルタ
5 熱交換器
5a 前面側熱交換部
5ay 上流面
5b 背面側熱交換部
5by 上流面
5bx 下流面
5bz 部位
5c 前面側副熱交換部
5d 背面側副熱交換部
5w 形状変化部
6 ファン
7 通風路
7a リアガイダ
7b スタビライザ
7w 上流側上端部
8 上下風向変更羽根
9 左右風向変更羽根
B 横幅
Th、Tl、Tm 厚み