IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7531176統合システム、統合システムの制御方法及びプログラム
<>
  • 特許-統合システム、統合システムの制御方法及びプログラム 図1
  • 特許-統合システム、統合システムの制御方法及びプログラム 図2
  • 特許-統合システム、統合システムの制御方法及びプログラム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】統合システム、統合システムの制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/40 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
H02B1/40 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020090005
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184679
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-072510(JP,A)
【文献】特開2017-221053(JP,A)
【文献】特開2016-031893(JP,A)
【文献】特開2015-232809(JP,A)
【文献】特開2018-207637(JP,A)
【文献】特開2008-131719(JP,A)
【文献】特開2018-160975(JP,A)
【文献】特開2020-072511(JP,A)
【文献】特開2016-185020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の分電盤システムと、
前記分電盤システムから情報を受け取るサーバーシステムと、
を有し、
前記分電盤システムは、
主幹ブレーカと、
少なくとも避雷器又は感震ブレーカのいずれかを含む複数の内部機器を有する分電盤と、
前記複数の内部機器の動作に関する情報であって、電力系統から前記主幹ブレーカへの電力供給の有無を示す停電情報と、前記避雷器の動作情報又は前記感震ブレーカの動作情報と、を含む機器動作情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得する前記機器動作情報を出力する出力部と、
を備え、
前記出力部は、前記分電盤が設置されている場所の位置情報とひも付けて前記機器動作情報を前記分電盤の外部に出力し、
前記サーバーシステムは、前記分電盤システムの前記出力部から出力される前記機器動作情報、及び前記機器動作情報にひも付けられた前記位置情報に基づいた解析を行って隠れ停電を発見する、
統合システム。
【請求項2】
前記出力部は、所定の周期又は前記内部機器が動作したときの少なくとも一方のタイミングで前記機器動作情報を出力する、
請求項1記載の統合システム
【請求項3】
前記位置情報は、前記分電盤が設置されている場所で取得可能な位置の情報である、
請求項1又は2記載の統合システム
【請求項4】
前記主幹ブレーカは、前記位置情報を取得する位置情報取得部を有する、
請求項1-3のいずれか1項に記載の統合システム
【請求項5】
前記出力部は、前記分電盤の外部の情報を更に出力する、
請求項1-4のいずれか1 項に記載の統合システム
【請求項6】
前記内部機器は、前記避雷器を含み、
前記機器動作情報は、前記避雷器の動作の有無及び前記避雷器の動作回数の少なくとも
いずれかの情報を含む、
請求項1-5のいずれか1項に記載の統合システム
【請求項7】
前記分電盤システムを複数有し、
前記サーバーシステムは、複数の前記分電盤システムのそれぞれの前記位置情報に基づき、複数の地域ごとに、当該地域に設置される複数の前記分電盤システムのそれぞれの前記機器動作情報を集約する、
請求項1-6のいずれか1項に記載の統合システム。
【請求項8】
複数の前記分電盤システムはそれぞれ、前記内部機器の一つとして前記避雷器を有し、
前記サーバーシステムは、前記複数の地域ごとに集約した前記機器動作情報に基づき、前記避雷器の交換時期を推定する、
請求項7記載の統合システム。
【請求項9】
前記サーバーシステムは、前記機器動作情報及び前記位置情報に基づいた前記解析の結果を、前記分電盤システムが設置されている需要家に提示する、
請求項1-8のいずれか1項に記載の統合システム。
【請求項10】
主幹ブレーカ及び少なくとも避雷器または感震ブレーカのいずれかを含む複数の内部機器を有する分電盤を備えた1つ以上の分電盤システムと、
前記分電盤システムから情報を受け取るサーバーシステムとを有する統合システムの制御方法であって、
前記複数の内部機器の動作に関する情報であって、電力系統から前記主幹ブレーカへの電力供給の有無を示す停電情報と、前記避雷器の動作情報又は前記感震ブレーカの動作情報と、を含む機器動作情報を取得するステップと、
前記機器動作情報を、前記分電盤が設置されている場所の位置情報とひも付けて前記分電盤の外部に出力するステップと、
前記機器動作情報、及び前記機器動作情報にひも付けられた前記位置情報に基づいた解析を行って隠れ停電を発見するステップと、
を有する、
統合システムの制御方法
【請求項11】
請求項10に記載の統合システムの制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、合システム、統合システムの制御方法及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、分電盤が設置されている場所の位置情報を利用する合システム、統合システムの制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の分電盤を例示する。特許文献1記載の分電盤(以下、従来例という)は、主幹ブレーカと、複数の分岐ブレーカとを備えている。主幹ブレーカは、地震動の大きさを検出する振動検出部、振動検出部が検出する地震動の大きさに基づいて電路の遮断の要否を判定する判定部、判定部の判定結果に応じて主幹ブレーカの接点部を開極させる遮断部などを有している。
【0003】
上記従来例は、地震が発生したときに主幹ブレーカが遮断することにより、分電盤が設置されている建物の安全性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-207637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地震、落雷、暴風、洪水などの自然災害によって需要家の分電盤及び屋内配線などの電気設備に様々な異常が生じた場合、需要家の電気設備における異常発生の有無及び発生した異常の種類などを電力会社が把握することは非常に困難であった。
【0006】
本開示の目的は、内部機器の動作状態を外部で把握しやすくできる合システム、統合システムの制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る統合システムは、1つ以上の分電盤システムと、前記分電盤システムから情報を受け取るサーバーシステムと、を有する。前記分電盤システムは、主幹ブレーカと、少なくとも避雷器又は感震ブレーカのいずれかを含む複数の内部機器を有する分電盤と、前記複数の内部機器の動作に関する情報であって、電力系統から前記主幹ブレーカへの電力供給の有無を示す停電情報と、前記避雷器の動作情報又は前記感震ブレーカの動作情報と、を含む機器動作情報を取得する取得部とを備える。前記分電盤システムは、前記取得部が取得する前記機器動作情報を出力する出力部を更に備える。前記出力部は、前記分電盤が設置されている場所の位置情報とひも付けて前記機器動作情報を前記分電盤の外部に出力する。前記サーバーシステムは、前記分電盤システムの前記出力部から出力される前記機器動作情報、及び前記機器動作情報にひも付けられた前記位置情報に基づいた解析を行って隠れ停電を発見する。
【0009】
本開示の一態様に係る統合システムの制御方法は、主幹ブレーカ及び少なくとも避雷器または感震ブレーカのいずれかを含む複数の内部機器を有する分電盤を備えた1つ以上の分電盤システムと、前記分電盤システムから情報を受け取るサーバーシステムとを有する統合システムの制御方法である。前記統合システムの制御方法は、前記複数の内部機器の動作に関する情報であって、電力系統から前記主幹ブレーカへの電力供給の有無を示す停電情報と、前記避雷器の動作情報又は前記感震ブレーカの動作情報と、を含む機器動作情報を取得するステップと、前記機器動作情報を、前記分電盤が設置されている場所の位置情報とひも付けて前記分電盤の外部に出力するステップと、前記機器動作情報、及び前記機器動作情報にひも付けられた前記位置情報に基づいた解析を行って隠れ停電を発見するステップとを有する。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記統合システムの制御方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の合システム、統合システムの制御方法及びプログラムは、内部機器の動作状態を外部で把握しやすくできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の実施形態に係る分電盤システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る統合システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、同上の分電盤システムの変形例における外部情報取得装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について説明する。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つにすぎない。また、下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0014】
(1)分電盤システムの概要
本開示の実施形態に係る分電盤システム1(以下、分電盤システム1と略す。)は、図1に示すように、少なくとも主幹ブレーカ20及び1つ以上の分岐ブレーカ21を含む複数の内部機器2を有する分電盤10を備える。また、分電盤システム1は、複数の内部機器2の動作に関する情報である動作情報を取得する取得部30、及び取得部30が取得する動作情報を出力する出力部31を更に備える。出力部31は、分電盤10が設置されている場所の位置情報とひも付け可能な態様で動作情報を出力する。
【0015】
しかして、分電盤システム1は、取得部30が取得する動作情報を、分電盤10の設置場所の位置情報とひも付け可能な態様で出力部31から出力させるので、内部機器2の動作状態を(分電盤システム1の)外部で把握しやすくできるという利点がある。
【0016】
(2)分電盤システムの詳細
分電盤システム1は、例えば、住宅及び小規模の事務所などに設置される分電盤10を備える。なお、分電盤10は、住宅用分電盤(住宅盤)を例示するが、キャビネット型分電盤などの住宅盤以外の分電盤であってもかまわない。
【0017】
(2-1)分電盤の詳細
分電盤10は、1つの主幹ブレーカ(主開閉器ともいう)20、及び複数の分岐ブレーカ(分岐開閉器ともいう)21を含む内部機器2と、計測ユニット3と、避雷器22と、感震ブレーカ23と、センサユニット4とを有する(図1参照)。なお、避雷器22及び感震ブレーカ23も内部機器2に含まれる。
【0018】
主幹ブレーカ20は、3極の漏電遮断器で構成されている。主幹ブレーカ20の入力側(電源側)の3つの端子(入力端子)には、単相3線の配電方式における、第1電圧線、第2電圧線及び中性線が一対一かつ電気的に接続される。また、主幹ブレーカ20の出力側(負荷側)の3つの端子(出力端子)には、3つの導電バー(母線)が一対一かつ電気的に接続される。
【0019】
複数の分岐ブレーカ21は、例えば、過電流引き外し装置を備えた回路遮断器で構成されている。各分岐ブレーカ21の2つの入力側(電源側)の端子(入力端子)は、第1電圧線と導通する第1導電バー及び第2電圧線と導通する第2導電バーのいずれか1つ、及び中性線と導通する第3導電バーと分岐線によって1つずつ電気的に接続される。ただし、1つ以上の分岐ブレーカ21の2つの入力端子が、第1導電バー及び第2導電バーと分岐線によって1つずつ電気的に接続されてもかまわない。しかして、前者の分岐ブレーカ21には実効値100Vの交流電圧が供給され、後者の分岐ブレーカ21には実効値200Vの交流電圧が供給される。
【0020】
各分岐ブレーカ21の2つの出力側(負荷側)の端子(出力端子)は、屋内配線用の電線を介して配線器具11又は負荷12と電気的に接続される。配線器具11は、屋内の壁に埋め込み配設されたコンセント、及び屋内の天井に設けられた引掛シーリングボディなどを含む。洗濯機、冷蔵庫、テレビジョン受像機などの電気機器(負荷12)は、コンセント(配線器具11)を通じて分岐回路(分岐ブレーカ21及び電線を含む電気回路)と電気的に接続される。ただし、電磁調理器及び浴室乾燥機のような負荷12は、配線器具を介さずに分岐ブレーカ21の出力端子と直接接続されることもある。
【0021】
避雷器22は、ギャップレス避雷器で構成されている。ただし、避雷器22は、ギャップ付き避雷器で構成されてもかまわない。避雷器22の3つの入力端子が第1導電バー、第2導電バー及び第3導電バーのそれぞれと一対一かつ電気的に接続され、避雷器22の接地端子が接地線を介して接地される。
【0022】
感震ブレーカ23は、3軸の半導体加速度センサからなる感震センサと、感震センサの出力を信号処理する信号処理回路とを有している。信号処理回路は、感震センサが感知する振動(地震動)の大きさが上限値(例えば、震度5強の振動に相当する値)を超えると判定した場合、主幹ブレーカ20に擬似漏電電流を出力する。漏電遮断器で構成される主幹ブレーカ20は、感震ブレーカ23から出力される擬似漏電電流を検出し、主幹ブレーカ20の主回路を開極することによって各分岐回路への給電を遮断する。
【0023】
センサユニット4は、複数の電流センサ40を有している。各電流センサ40は、対応する分岐ブレーカ21に流れる電流、及び避雷器22に流れる電流をそれぞれ計測する。なお、各電流センサ40は、空芯コイルからなり、当該空心コイル内を通過する電流の大きさに応じた出力を生じるロゴスキコイルで構成されることが好ましい。ただし、避雷器22に流れる電流を計測する電流センサ40のターン数は、分岐ブレーカ21に流れる電流を計測する電流センサ40のターン数よりも十分に少ないことが好ましい。
【0024】
計測ユニット3は、取得部30、出力部31、通信部32及び制御部33を有する(図1参照)。
【0025】
取得部30は、複数の内部機器2の動作に関する情報(動作情報)を取得する。動作情報は、センサユニット4の複数の電流センサ40で計測される電流(分岐ブレーカ21から負荷12に流れる負荷電流及び避雷器22を通して大地に流れるサージ電流)の大きさ(電流値)を含む。また、動作情報は、主幹ブレーカ20の入力端子に印加される電圧(系統電圧)の大きさ(系統電圧の電圧値)を含む。さらに、動作情報は、感震ブレーカ23から主幹ブレーカ20に出力する擬似漏電電流の有無を含む。なお、動作情報は、主幹ブレーカ20の入力端子に流れ込む電流(入力電流)の大きさ(電流値)を含んでもよい。
【0026】
通信部32は、例えば、無線LANの規格(IEEE802.11b/g/nなど)に準拠したアンテナ内蔵型の無線LANモジュール(集積回路)を有する。通信部32は、無線LANによって通信端末5と無線通信を行うことができる。ただし、通信部32は、無線LAN以外の通信規格(ZigBee[登録商標]、近距離無線通信など)に準拠した無線通信又は赤外線通信などを行うように構成されてもかまわない。
【0027】
出力部31は、例えば、イーサネット(Ethernet)などの有線LANの規格に準拠したネットワークコントローラ(集積回路)を有している。出力部31は、LANケーブルを介してルーター(不図示)と電気的に接続される。出力部31は、ルーターを通してインターネットなどのネットワークNTに接続される。出力部31は、取得部30が取得する動作情報を、ネットワークNTを介してサーバーシステム6に出力(送信)する。ただし、出力部31は、有線LANの規格に準拠したネットワークコントローラに代えて、920MHz帯の特定小電力無線局に準拠した特定小電力無線モジュールを有してもかまわない。特定小電力無線モジュールを有する出力部31は、不図示のHEMS(Home Energy Management System)コントローラとの間で特定小電力無線通信を行う。HEMSコントローラは、LANケーブルを介してルーターと電気的に接続され、ルーターからネットワークNTを介してサーバーシステム6と通信する。
【0028】
制御部33は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータで構成されている。制御部33は、メモリに格納されているプログラムをCPUに実行させることにより、取得部30、出力部31及び通信部32のそれぞれに所定の処理(後述する)を行わせる。なお、CPUが実行するプログラムは、マイクロコンピュータのメモリにあらかじめ記録されている。ただし、CPUが実行するプログラムは、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。なお、計測ユニット3は、主幹ブレーカ20の出力端子に出力される実効値100Vの交流電圧から電源電圧(例えば、直流12V~3Vの直流電圧)を作成して動作する。
【0029】
通信部32と無線通信を行う通信端末5は、例えば、無線LANの通信機能と、GPS(Global Positioning System)を利用した測位機能とを有するスマートフォン又はタブレット端末(tablet computer)である。スマートフォンである通信端末5は、通常、無線LANだけでなく、LTE(Long Term Evolution)などの通信事業者(いわゆるキャリア)が提供する移動体通信サービスによってもインターネットに接続可能である。
【0030】
(2-2)分電盤システムの動作
分電盤システム1は、運用開始の前に、分電盤10が設置されている場所の位置情報を取得する。例えば、計測ユニット3の制御部33が、位置情報を要求するコマンドを含んだ無線信号を通信部32から通信端末5に送信させる。通信端末5は、アプリケーションソフト(application software)をインストールして実行することにより、測位機能(GPS)を用いて測位した位置情報を、通信機能(無線LAN)によって通信部32に送信することができる。例えば、通信端末5は、位置情報を要求するコマンドを含んだ無線信号を受信すると、測位機能(GPS)を用いて自らの位置を測位し、測位した位置情報(経度と緯度)を含む無線信号を計測ユニット3の通信部32に返信する。計測ユニット3の通信部32は、通信端末5から送信される無線信号を受信し、当該無線信号に含まれる位置情報を制御部33に渡す。制御部33は、通信部32から受け取った位置情報をマイクロコンピュータのメモリに格納する。ここで、無線LANの通信範囲を考慮すると、通信端末5が計測ユニット3の通信部32と無線通信可能な範囲は、分電盤10が設置されている住宅内に限られる。したがって、通信端末5で測位された位置情報は、分電盤10の設置場所の位置情報とみなすことができる。ただし、スマートフォンのように無線LANを搭載した機器では、周囲の無線LAN機器のMACアドレス情報及び電波強度を含む情報を取得し、当該情報と既知の位置を関連付けるデータベースを構築することで、無線LANの電波を利用した測位が可能である。したがって、通信端末5は、GPS衛星からのGPS信号が受信できない場合等においては、無線LANの電波を利用して測位した位置情報を計測ユニット3に送信してもかまわない。
【0031】
分電盤システム1の運用開始後、計測ユニット3の取得部30は、センサユニット4の各電流センサ40で計測される電流値、及び主幹ブレーカ20の入力端子に入力される系統電圧の電圧値、をそれぞれ取得する。ただし、取得部30は、センサユニット4から出力されるアナログの電流値をサンプリングし、かつ、量子化することでディジタルの電流値(電流値データ)に変換する。同様に、取得部30は、主幹ブレーカ20の入力端子に印加されるアナログの電圧値をサンプリングし、かつ、量子化することでディジタルの電圧値(電圧値データ)に変換する。これらの電流値データ及び電圧値データはそれぞれ、取得部30から制御部33に渡されて制御部33のメモリに格納される。
【0032】
制御部33は、メモリに格納された各分岐ブレーカ21の電流値データに対して、各分岐ブレーカ21の動作状態(オン・オフの状態)を判定する処理を行う。ここで、各分岐ブレーカ21は、通常、20Aを超える電流(過負荷電流)が継続して所定時間(例えば、数十秒~数分)以上流れたときに引き外し装置が動作してオフする。また、分岐ブレーカ21は、短絡電流が流れたときは直ちに引き外し装置が動作してオフする。したがって、制御部33は、各分岐ブレーカ21の時系列の電流値データについて、第1しきい値以上となる電流値データの個数が所定数に達した後に電流値データがゼロとなった場合、当該分岐ブレーカ21が過負荷電流によってオフしたと判定する。また、制御部33は、各分岐ブレーカ21の電流値データが第2しきい値(第1しきい値の数十倍の値)以上となった後に電流値データがゼロとなった場合、当該分岐ブレーカ21が短絡電流によってオフしたと判定する。制御部33は、分岐ブレーカ21の動作状態の判定結果(分岐ブレーカ21の動作情報)を、判定を行った日時とともにメモリに格納する。
【0033】
また、制御部33は、メモリに格納された避雷器22の電流値データに対して、避雷器22の動作状態(サージ電流が流れたか否か)を判定する処理を行う。避雷器22は、定格電圧(実効値100V又は200Vの交流電圧)が印加されているときは動作せず、サージ電圧が印加されたときに動作して接地線にサージ電流を流す。したがって、制御部33は、避雷器22に対応した電流値データが第3しきい値(例えば、数十mA~数百mAの値)以上となった場合、避雷器22が動作してサージ電流が流れたと判定する。制御部33は、避雷器22の動作状態の判定結果(避雷器22の動作情報)を、判定を行った日時とともにメモリに格納する。
【0034】
ここで、取得部30は、感震ブレーカ23から出力される擬似漏電電流を検出している。制御部33は、取得部30が所定の大きさを超える擬似漏電電流を検出した場合、感震ブレーカ23が動作して主幹ブレーカ20がオフしたと判定する。制御部33は、感震ブレーカ23の動作状態の判定結果(感震ブレーカ23の動作情報)を、判定を行った日時とともにメモリに格納する。なお、主幹ブレーカ20がオフすると、計測ユニット3に対する交流電圧の供給も停止してしまう。そのため、分電盤10は、バックアップ電源を備えることが好ましい。バックアップ電源は、例えば、アルカリイオン畜電池などの蓄電池でもよいし、電気二重層コンデンサ(EDLC:electric double-layer capacitor)でもよい。計測ユニット3は、主幹ブレーカ20の出力端子からの電源供給が停止した場合、バックアップ電源から供給される電力で動作する。
【0035】
さらに、制御部33は、メモリに格納された主幹ブレーカ20の入力端子の電圧値データを第4しきい値と比較し、第4しきい値以下となる電圧値データの個数が所定数に達した場合、電力系統から主幹ブレーカ20への給電が停止(停電)していると判定する。なお、第4しきい値は、例えば、実効値80Vに相当する値である。制御部33は、主幹ブレーカ20への給電停止(停電)の判定結果(停電情報)を、判定を行った日時とともにメモリに格納する。
【0036】
制御部33は、メモリに格納した内部機器2の動作情報を、メモリに格納した位置情報とともに、所定の周期(例えば、30分ごと、1~数時間ごと、又は1日~数日ごと)に出力部31からサーバーシステム6へ出力(送信)させる。ただし、制御部33は、内部機器2が動作したとき(例えば、感震ブレーカ23によって主幹ブレーカ20がオフしたとき、避雷器22が動作したとき)、当該動作状態を出力部31からサーバーシステム6へ出力させることが好ましい。
【0037】
例えば、地震、台風及び落雷などの自然災害によって電力会社から各需要家への電力供給が停止(停電)した場合、電力会社は高圧線(配電線)の停電については把握できる。しかしながら、電力会社は、電力量計の代わりにスマートメータが設置されている場合を除いて、低圧線(柱上変圧器から住宅への引込線など)から先(需要家側)の停電(いわゆる「隠れ停電」)については把握できない。そのため、電力会社は、特にスマートメータが普及していない地域について、各需要家における停電の発生状況を把握するために多大な時間を要することがある。
【0038】
これに対して分電盤システム1では、取得部30が取得する内部機器2の動作情報を、分電盤10が設置されている場所の位置情報とひも付け可能な態様で出力部31が出力する。そして、出力部31から出力される動作情報は、例えば、電力会社が管理するサーバーシステム6に集められる。ゆえに、電力会社は、分電盤10の位置情報とひも付いた内部機器2の動作状態に基づき、比較的に短い時間で需要家における停電の発生状況を把握することができる。特に、分電盤システム1は、停電情報(主幹ブレーカ20への給電の有無)及び避雷器22の動作情報を位置情報とひも付けるので、電力会社が隠れ停電を発見しやすいという利点がある。
【0039】
(3)統合システムの概要
本開示の実施形態に係る統合システム7(以下、統合システム7と略す。)は、分電盤システム1と、分電盤システム1の出力部31から出力される動作情報を受け取るサーバーシステム6とを有する。サーバーシステム6は、動作情報、及び動作情報にひも付けられた位置情報に基づいた解析を行う。
【0040】
統合システム7は、分電盤10の内部機器2の動作状態を外部で把握しやすくできるという利点がある。
【0041】
(3-1)統合システムの詳細
統合システム7は、例えば、電力会社が管理するサーバーシステム6と、サーバーシステム6と通信可能な1つ以上の分電盤システム1とを有している(図2参照)。なお、図2においては、統合システム7に含まれる分電盤システム1として5つの分電盤システム1を図示しているが、分電盤システム1の数は4つ以下又は6つ以上であってもかまわない。なお、以下の説明において、5つの分電盤システム1を区別する際に「1A」、「1B」、「1C」、「1D」及び「1E」の符号を付ける場合がある。
【0042】
(3-2)サーバーシステムの詳細
サーバーシステム6は、例えば、電力会社によって管理されたコンピュータシステムで実現される。サーバーシステム6は、ネットワークNTを介して各分電盤システム1と通信する通信装置60、通信装置60によって各分電盤システム1から集めた内部機器2の動作情報を解析する解析装置61を有している(図2参照)。ただし、サーバーシステム6を管理する主体は、電力会社に限定されず、例えば、分電盤システム1の製造者又は電力会社及び製造者以外のサービス提供会社などであってもかまわない。
【0043】
通信装置60は、例えば、光回線(光ファイバケーブル)によってインターネット(ネットワークNT)と接続され、光回線を介して各分電盤システム1と通信するように構成されている。ただし、通信装置60は、光回線以外の通信回線によってネットワークNTと接続されてもかまわない。
【0044】
解析装置61は、例えば、CPU、メモリ、SSD(Solid State Drive)及びHDD(Hard Disk Drive)などの外部記憶装置を主構成とするコンピュータシステムで構成されている。解析装置61は、メモリ又は外部記憶装置のいずれかに格納されているプログラムをCPUに実行させることにより、以下に説明する解析処理を行っている。なお、CPUが実行するプログラムは、コンピュータシステムのメモリ及び外部記憶装置のいずれかにあらかじめ記録されている。ただし、CPUが実行するプログラムは、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよいし、ネットワークNTを通じて提供されてもよい。
【0045】
解析装置61は、通信装置60が受信した各分電盤システム1A~1Eの動作情報及び位置情報を、各分電盤システム1A~1Eに割り当てられた固有のIDと対応付けて外部記憶装置に格納する。なお、各分電盤システム1A~1Eの出力部31は、運用開始前に位置情報をサーバーシステム6に出力し、運用開始後はサーバーシステム6から割り当てられるIDを、位置情報の代わりに動作情報とひも付けて出力(送信)してもかまわない。この場合、サーバーシステム6(の解析装置61)は、分電盤システム1A~1Eから受け取る動作情報を、動作情報を出力した分電盤システム1A~1Eの位置情報と、IDを介してひも付けることができる。
【0046】
(3-2)統合システムの動作
サーバーシステム6の解析装置61は、複数の分電盤システム1A~1Eのそれぞれの位置情報に基づき、複数の地域ごとに、当該地域に設置される複数の分電盤システム1A~1Eのそれぞれの動作情報を集約することが好ましい。例えば、解析装置61は、複数の分電盤システム1A~1Eを、位置情報に基づいて同一の市、同一の区(特別区及び行政区)又は同一の町(以下、「地域」と称する。)ごとに組み分けする。そして、解析装置61は、それぞれの組(地域)に属する1つ以上の分電盤システム1A~1Eの動作情報をひとまとめにして、各組(地域)ごとに自然災害による停電の発生状況などを解析する。例えば、解析装置61は、ある地域における避雷器22の動作頻度が他の地域における避雷器22の動作頻度よりも高いことが判明した場合、動作頻度が高い地域の需要家に対して避雷器22の点検及び交換を行うように提案することが好ましい。具体的には、解析装置61は、避雷器22の点検及び交換を提案するためのメッセージを含むデータを、対象の地域(避雷器22の動作頻度が高い地域)に存在する分電盤システム1に対して通信装置60から送信させる。
【0047】
また、解析装置61は、複数の地域ごとに集約した動作情報(避雷器22の動作情報)に基づき、避雷器22の交換時期を推定することが好ましい。例えば、解析装置61は、避雷器22の動作情報から避雷器22が動作した回数(動作回数)をカウントし、動作回数が上限値(例えば、3回)に達する時期(例えば、1~3年後)を予測し、予測した時期を避雷器22の交換時期と推定すればよい。解析装置61は、推定した交換時期を通知するためのメッセージを含むデータを、対象の地域に存在する分電盤システム1に対して通信装置60から送信させる。
【0048】
そして、当該対象の地域に存在する分電盤システム1では、サーバーシステム6の通信装置60から送信されたデータを、出力部31を介して制御部33が受け取る。制御部33は、受け取ったデータを、例えば、通信部32から通信端末5へ送信させ、通信端末5が有する表示デバイスに避雷器22の点検及び交換を提案するためのメッセージ又は交換時期を表示させる。あるいは、HEMSコントローラが表示デバイスを備えている場合、制御部33は、HEMSコントローラの表示デバイスに避雷器22の点検及び交換を提案するためのメッセージ又は交換時期を表示させてもかまわない。
【0049】
さらに、解析装置61は、複数の地域ごとに集約した停電情報に基づき、地域ごとの停電の発生状況を解析することができる。したがって、電力会社は、解析装置61の解析結果に基づいて、停電が発生している地域を簡単かつ迅速に把握できるので、停電が発生している地域の復旧(復電)までの期間を短縮することができる。
【0050】
上述のように統合システム7では、サーバーシステム6が各分電盤システム1A~1Eの動作情報、及び動作情報にひも付けられた位置情報に基づいた解析を行うので、分電盤10の内部機器2の動作状態を外部で把握しやすくできるという利点がある。
【0051】
(4)分電盤システムの制御方法、プログラム
以下の分電盤システムの制御方法を採用すれば、専用の取得部30及び出力部31を用いなくても、実施形態に係る分電盤システム1と同等の機能を実現することができる。
【0052】
すなわち、実施形態に係る制御方法は、複数の内部機器の動作に関する情報である動作情報を取得するステップと、動作情報を、分電盤が設置されている場所の位置情報とひも付け可能な態様で出力するステップとを有する。
【0053】
この制御方法によれば、専用の取得部30及び出力部31を用いなくても、実施形態に係る分電盤システム1と同等の機能を実現することができ、分電盤の内部機器の動作状態を外部で把握しやすくできるという利点がある。
【0054】
また、分電盤システムがコンピュータ(マイクロコンピュータを含む)を備えている場合を想定する。この場合、コンピュータのメモリに記録されるプログラムは、コンピュータを構成する1以上のプロセッサに、以下の2つのステップを実行させる。すなわち、プログラムは、複数の内部機器の動作に関する情報である動作情報を取得するステップと、動作情報を、分電盤が設置されている場所の位置情報とひも付け可能な態様で出力するステップとを1以上のプロセッサに実行させる。
【0055】
このプログラムによれば、専用の取得部30及び出力部31を用いなくても、実施形態に係る分電盤システム1と同等の機能を実現することができ、分電盤の内部機器の動作状態を外部で把握しやすくできるという利点がある。
【0056】
(5)分電盤システムの変形例
次に、実施形態に係る分電盤システム1の幾つかの変形例について説明する。
【0057】
(5-1)変形例1
変形例1の分電盤システム1は、主幹ブレーカ20が位置情報を取得する位置情報取得部を備えている点に特徴があり、その他の構成は実施形態に係る分電盤システム1と共通である。
【0058】
位置情報取得部は、例えば、GPSを利用して測位する(位置情報を取得する)ことが好ましい。この種の位置情報取得部は、GPSアンテナを内蔵した集積回路(GPSモジュール)で構成される。
【0059】
変形例1の分電盤システム1は、主幹ブレーカ20が位置情報取得部を備えることにより、分電盤10の位置情報を取得するために通信端末5を使用する必要が無くなるので、使い勝手の向上を図ることができる。
【0060】
(5-2)変形例2
変形例2の分電盤システム1は、出力部31が分電盤10の外部の情報を更に出力する点に特徴があり、その他の構成は実施形態に係る分電盤システム1と共通である。
【0061】
ここで、「分電盤10の外部の情報」とは、例えば、分電盤システム1が設置されている住宅内において、分電盤10の外の音、温度、湿度、振動などを計測した計測値、又は人の在・不在を検知した結果(検知結果)などである。
【0062】
しかして、変形例2の分電盤システム1は、分電盤10の外部の情報を取得する1つ以上の外部情報取得装置13を更に備えることが好ましい(図3参照)。外部情報取得装置13は、例えば、マイクロホン131、温度センサ132、湿度センサ133、加速度センサ134及び人感センサ135のうちの少なくとも1つと、通信回路136とを有することが好ましい。なお、外部情報取得装置13は、配線器具11に内蔵されてもよい。外部情報取得装置13は、配線器具11に内蔵されることにより、分電盤10の分岐回路から直接電力供給を受けることができる。
【0063】
マイクロホン131は、分電盤10の外の音(音圧)を計測し、音圧の計測値を通信回路136に出力する。温度センサ132及び湿度センサ133はそれぞれ、分電盤10の外の雰囲気温度及び相対湿度を計測し、雰囲気温度の計測値及び相対湿度の計測値を通信回路136に出力する。加速度センサ134は、分電盤10の外の振動(加速度)を計測し、振動の計測値を通信回路136に出力する。人感センサ135は、分電盤10の外の検知範囲における人の在・不在を検知し、人の在・不在の検知結果を通信回路136に出力する。
【0064】
通信回路136は、マイクロホン131、温度センサ132、湿度センサ133、加速度センサ134のそれぞれの計測値、及び人感センサ135の検知結果(外部情報)を計測ユニット3の取得部30に送信する。例えば、通信回路136は、920MHz帯の特定小電力無線局に準拠した特定小電力無線モジュールを有することが好ましい。あるいは、外部情報取得装置13が配線器具11に内蔵される場合、通信回路136は電力線搬送通信によって計測ユニット3の取得部30に外部情報を送信してもかまわない。
【0065】
取得部30が外部情報取得装置13から取得する外部情報は、出力部31からサーバーシステム6に出力される。サーバーシステム6では、解析装置61が外部情報を解析し、需要家に対して電力供給に関する有益な情報をフィードバックすることが可能となる。
【0066】
(まとめ)
本開示の第1の態様に係る分電盤システム(1)は、少なくとも主幹ブレーカ(20)及び1つ以上の分岐ブレーカ(21)を含む複数の内部機器(2)を有する分電盤(10)を備える。第1の態様に係る分電盤システム(1)は、複数の内部機器(2)の動作に関する情報である動作情報を取得する取得部(30)と、取得部(30)が取得する動作情報を出力する出力部(31)とを更に備える。出力部(31)は、分電盤(10)が設置されている場所の位置情報とひも付け可能な態様で動作情報を出力する。
【0067】
第1の態様に係る分電盤システム(1)は、取得部(30)が取得する動作情報を、分電盤(10)の設置場所の位置情報とひも付け可能な態様で出力部(31)から出力させるので、内部機器(2)の動作状態を(分電盤システム1の)外部で把握しやすくできる。
【0068】
本開示の第2の態様に係る分電盤システム(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る分電盤システム(1)において、出力部(31)は、所定の周期又は内部機器(2)が動作したときの少なくとも一方のタイミングで動作情報を出力することが好ましい。
【0069】
第2の態様に係る分電盤システム(1)は、内部機器(2)の動作情報を出力部(31)から確実に出力させることができる。
【0070】
本開示の第3の態様に係る分電盤システム(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る分電盤システム(1)において、位置情報は、分電盤(10)が設置されている場所で取得可能な位置の情報であることが好ましい。
【0071】
第3の態様に係る分電盤システム(1)は、位置情報を精度の向上を図ることができる。
【0072】
本開示の第4の態様に係る分電盤システム(1)は、第1-第3のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る分電盤システム(1)において、主幹ブレーカ(20)は、位置情報を取得する位置情報取得部を有することが好ましい。
【0073】
第4の態様に係る分電盤システム(1)は、位置情報を取得する機器を別途用意する必要が無くなるので、使い勝手の向上を図ることかできる。
【0074】
本開示の第5の態様に係る分電盤システム(1)は、第1-第4のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る分電盤システム(1)において、出力部(31)は、分電盤(10)の外部の情報を更に出力することが好ましい。
【0075】
第5の態様に係る分電盤システム(1)は、分電盤(10)の外部の情報に基づいて、需要家に対して電力供給に関する有益な情報をフィードバックすることが可能となる。
【0076】
本開示の第6の態様に係る分電盤システム(1)は、第1-第5のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る分電盤システム(1)において、動作情報は、電力系統から主幹ブレーカ(20)への電力供給の有無を示す停電情報を含むことが好ましい。
【0077】
第6の態様に係る分電盤システム(1)は、停電情報と位置情報をひも付けることによって、隠れ停電を発見しやすくなる。
【0078】
本開示の第7の態様に係る分電盤システム(1)は、第1-第6のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る分電盤システム(1)において、内部機器(2)は、避雷器(22)を含むことが好ましい。動作情報は、避雷器(22)の動作の有無及び避雷器(22)の動作回数の少なくともいずれかの情報を含むことが好ましい。
【0079】
第7の態様に係る分電盤システム(1)は、落雷による停電の発生及び避雷器(22)の交換の要否などを判断するための判断材料を提供することができる。
【0080】
本開示の第8の態様に係る統合システム(7)は、第1-第7のいずれか1つの態様に係る分電盤システム(1)と、分電盤システム(1)の出力部(31)から出力される動作情報を受け取るサーバーシステム(6)とを有する。サーバーシステム(6)は、動作情報、及び動作情報にひも付けられた位置情報に基づいた解析を行う。
【0081】
第8の態様に係る統合システム(7)は、サーバーシステム(6)が分電盤システム(1)の動作情報、及び動作情報にひも付けられた位置情報に基づいた解析を行うので、分電盤(10)の内部機器(2)の動作状態を外部で把握しやすくできる。
【0082】
本開示の第9の態様に係る統合システム(7)は、第8の態様との組合せにより実現され得る。第9の態様に係る統合システム(7)において、サーバーシステム(6)は、分電盤システム(1)から受け取る動作情報を、動作情報を出力した分電盤システム(1)の位置情報とひも付けることが好ましい。
【0083】
第9の態様に係る統合システム(7)は、サーバーシステム6が内部機器(2)の動作情報と位置情報をひも付けることにより、分電盤システム(1)の出力部(31)から位置情報を出力する頻度を低下させて処理の負担軽減を図ることができる。
【0084】
本開示の第10の態様に係る統合システム(7)は、第8又は第9の態様との組合せにより実現され得る。第10の態様に係る統合システム(7)は、分電盤システム(1)を複数有することが好ましい。サーバーシステム(6)は、複数の分電盤システム(1)のそれぞれの位置情報に基づき、複数の地域ごとに、当該地域に設置される複数の分電盤システム(1)のそれぞれの動作情報を集約することが好ましい。
【0085】
第10の態様に係る統合システム(7)は、複数の分電盤システム(1)のそれぞれの動作情報を地域ごとに集約することにより、自然災害による停電の発生状況などを地域ごとに把握することができる。
【0086】
本開示の第11の態様に係る統合システム(7)は、第10の態様との組合せにより実現され得る。第11の態様に係る統合システム(7)において、複数の分電盤システム(1)はそれぞれ、内部機器(2)の一つとして避雷器(22)を有することが好ましい。サーバーシステム(6)は、複数の地域ごとに集約した動作情報に基づき、避雷器(22)の交換時期を推定することが好ましい。
【0087】
第11の態様に係る統合システム(7)は、避雷器(22)の交換時期を提示して落雷による被害の減少を図ることができる。
【0088】
本開示の第12の態様に係る統合システム(7)は、第8-第11のいずれか1つの態様との組合せにより実現され得る。第12の態様に係る統合システム(7)において、サーバーシステム(6)は、動作情報及び位置情報に基づいた解析の結果を、分電盤システム(1)が設置されている需要家に提示することが好ましい。
【0089】
第12の態様に係る統合システム(7)は、解析結果を需要家に提示することにより、復電時の不具合の発生等を回避することができる。
【0090】
本開示の第13の態様に係る分電盤システムの制御方法は、少なくとも主幹ブレーカ及び1つ以上の分岐ブレーカを含む複数の内部機器を有する分電盤を備えた分電盤システムの制御方法である。第13の態様に係る分電盤システムの制御方法は、複数の内部機器の動作に関する情報である動作情報を取得するステップと、動作情報を、分電盤が設置されている場所の位置情報とひも付け可能な態様で出力するステップとを有する。
【0091】
第13の態様に係る分電盤システムの制御方法は、内部機器(2)の動作状態を(分電盤システム1の)外部で把握しやすくできる。
【0092】
本開示の第14の態様に係るプログラムは、第13の態様に係る分電盤システムの制御方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【0093】
第14の態様に係るプログラムは、内部機器(2)の動作状態を(分電盤システム1の)外部で把握しやすくできる。
【符号の説明】
【0094】
1 分電盤システム
2 内部機器
6 サーバーシステム
7 統合システム
10 分電盤
20 主幹ブレーカ
21 分岐ブレーカ
22 避雷器
図1
図2
図3