(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240802BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20240802BHJP
F21V 3/06 20180101ALI20240802BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240802BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240802BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20240802BHJP
F21Y 113/17 20160101ALN20240802BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21S2/00 491
F21V3/00 530
F21V3/06 110
F21S2/00 250
F21Y115:10 500
F21Y115:10 300
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y113:17
(21)【出願番号】P 2021028827
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 泰久
(72)【発明者】
【氏名】関 勝志
(72)【発明者】
【氏名】山下 卓哉
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-149396(JP,A)
【文献】特開2019-110060(JP,A)
【文献】特開2018-170125(JP,A)
【文献】特開2020-004620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 3/06
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 113/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置される光源と、
ガラス繊維で織り込まれた織物、及びその織物の少なくとも第1面を被覆する透光性の樹脂部を有し、前記光源からの光が出射する出射面を含む透光性のシートと、
前記光源の光出射側に配置される拡散板と、を備え、
前記シートは、前記拡散板よりも光出射側に配置され、
前記シートは、撓むことが可能な状態になっており、
前記シートが撓んでも、前記シートが前記拡散板に対して間隔をおいて配置される、発光装置。
【請求項2】
前記樹脂部が、前記織物の第2面も被覆する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記シートと前記拡散板の最短距離が、1mm以上で10cm以下の長さになっている、請求項
1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記光源が、赤色の光の発光部、緑色の光の発光部、及び青色の光の発光部を含む複数の複合光源を含み、
前記複数の複合光源は、高さ方向に略垂直に広がる基板の実装面にマトリクス状に実装され、
前記高さ方向に関して、前記光源と前記拡散板との間に配置され、前記筐体の内側側面の全周又は略全周に亘って配置される反射面を備える、請求項
1から
3のいずれか1つに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光を発光する発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建築基準法は、地下や無窓の居室の壁や天井に所定以上の大きさを有する発光装置を設置する場合、光を出射する出射面を含むカバー等を不燃材料で構成することを必須の要件として規定している。係る背景において、従来、光を出射する出射面を含むカバー等を不燃材料で構成する場合、特許文献1に記載されているように、不燃材料として強化ガラスを採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
強化ガラスは、透光性に優れるので鮮明な光を出射し易い。しかし、大型の発光装置の場合、出射面を含む最も光出射側の透光部材を強化ガラスで構成すると、重量が10kg以上にもなり、運搬や施工が大変になる。また、強化ガラスは、他の部材又は部位との接触で割れる場合があり、慎重な取り扱いが必要になる。
【0005】
そこで、本開示の目的は、鮮明な光を出射し易く、しかも、軽量で取り扱い性にも優れる発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示に係る発光装置は、筐体と、筐体内に配置される光源と、ガラス繊維で織り込まれた織物、及びその織物の少なくとも第1面を被覆する透光性の樹脂部を有し、光源からの光が出射する出射面を含む透光性のシートと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、鮮明な光を出射し易く、しかも、軽量で取り扱い性にも優れる発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る発光装置が設置されている状態を示す斜視図である。
【
図3】発光装置を上側から見たときの斜視図である。
【
図5】(a)は本体部に固定されている光源モジュールを下側から見たときの平面図であり、(b)は複合光源の構造を説明する模式図である。
【
図6】光学部品搭載部を、X方向の中心を通過すると共にY方向とZ方向とを含む平面で切断したときの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、本明細書で、「略」という文言を用いた場合、「大雑把に言って」という文言と同じ意味合いで用いており、「略~」という要件は、人がだいたい~のように見えれば満たされる。例を挙げれば、略円形という要件は、人がだいたい円形に見えれば満たされる。
【0010】
また、本開示の発光装置は、変形例で説明するように、建物の側壁部に設置されてもよいが、実施形態では、発光装置1が、略直方体状の形状を有して、建物の天井に設置される場合について説明する。実施形態の説明及び図面において、Z方向は、発光装置1の高さ方向である。また、X方向は、高さ方向から見たときに矩形の外縁を有する枠体70における一対の第1外枠70aの延在方向であり、Y方向は、枠体70における別の一対の第2外枠70bの延在方向である。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。また、実施形態では、高さ方向の光出射側を高さ方向の下側と言及し、高さ方向の光出射側とは反対側を高さ方向の上側と言及する。また、以下の説明では、ガラス繊維で織り込まれた織物、及びその織物の少なくとも第1面を被覆する透光性の樹脂部を有する透光性のシートのことを、ガラスクロスシートと言及する。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態に係る発光装置1が設置されている状態を示す斜視図であり、コンベンションセンター5において展示物の展示等を行うメインホール8に繋がる通路2の天井3に設置されている発光装置1を示す斜視図である。発光装置1は、例えば、地下室や商業施設の地下街等の自然の採光が取れない箇所や、開放感やリラックス感を演出したいスペースの天井等に設置される。より具体的には、発光装置1は、例えば、上記コンベンションセンター5の通路2、地下室、商業施設の他、銀行や官公庁のエントランス、病院の待合室、クリエイティブオフィス、水族館、美術館、又は企業エントランス等に設置される。
【0012】
後で詳細に説明するように、発光装置1は、光源モジュール35(
図5参照)からの光で任意の映像(情景)を創り出して演出することができる。例えば、発光装置1は、
図1に示す青空に白雲が浮かんでいる映像の他、青くて透き通った海中をイルカの親子が泳いでいる様子や、太陽の光を受けて輝いている桜の花や、春の光を受けて輝いている白樺の若葉等を、光源モジュール35からの光で演出できる。
図1に示す例では、発光装置1は、天窓を模しており、人が屋内の窓から、青空、白雲、曇り空、夕焼け空、おぼろ月等といった自然の空を見ているような感覚を受ける天空を模した光を疑似的に演出し、自然の空の動きを模した映像を光で演出する。発光装置1は、天井、壁等の造営材に設置され、本実施形態のように天窓を模している場合には、天井3に埋込設置される。
【0013】
図2は、発光装置1を下側から見たときの斜視図である。
図2に示すように、発光装置1は、略直方体状の形状を有し、平面視が略矩形(略正方形又は略長方形)の枠体70を有する。枠体70は、筐体75のZ方向の下側端部を構成する鍔部71を有する。鍔部71は、天井3(
図1参照)の設置面と接触する。図示しないネジ等の固定部材を、鍔部71の外縁側の端部を通過させた後に天井3に締め込むことで筐体75を天井3に固定する。人が発光装置1をZ方向下側から見たとき鍔部71の下面における内縁側の部分84(
図1参照)を全周に亘って視認できるようになっている。このようにして、人が天井3に設けられた開口部と発光装置1との間の隙間を視認できないようにして、発光装置1を美観に優れたスタイリッシュなものにしている。
【0014】
枠体70は、光源モジュール35が出射した光を通過させる開口部72を画定する。光源モジュール35が出射した光は、出射面65aを含むガラスクロスシート65を通過した後に、照射領域に到達する。枠体70は、Z方向下側から見たときの平面視で略矩形の形状を有する。ガラスクロスシート65の構造については、後で詳細に説明する。なお、枠体をZ方向下側から見たときの枠体の平面視の形状は、略矩形状に限らず、略円形状、略多角形状、又は略半円状等の形状でもよい。
【0015】
図3は、発光装置1を上側から見たときの斜視図である。
図3に示すように、筐体75は、Z方向上側の天面76にX方向に2列に並んだ貫通孔77を有し、側壁78にも周方向に間隔をおいて配置される複数の貫通孔83を有する。貫通孔77は、Z方向上側から見たときの平面視において長方形の開口を有する。2つの貫通孔77をZ方向上側から見たときの平面視における面積は、発光装置1をZ方向上側から見たときの平面視における面積の大部分を占める。発光装置1は、1以上の電装部15を備え、人が外部から貫通孔77を介して電装部15を視認できるようになっている。複数の貫通孔77,83は、1以上の電装部15や光源モジュール35が発した熱を効率的に外部に放熱するために設けられる。
【0016】
図4は、発光装置1の主要部の分解斜視図である。
図4に示すように、発光装置1は、カバー部10、本体部30、光学部品搭載部50、及び枠体70を備える。これらの4つの部位は、例えば、次の方法で互いに固定されて一体に統合される。詳しくは、カバー部10は、X方向の両側のみに側壁78を有し、Y方向の両側に側壁を有さない構造になっている。なお、カバー部は、X方向の両側に加えてY方向の両側にも側壁を有してもよい。カバー部は、側方が全周に亘って側壁で覆われていてもよい。カバー部10は、Y方向の両側端部に天面76からZ方向下側に突出する係止部11を有する。係止部11は、その下側端部にY方向内側に屈曲する爪部11aを有する。
【0017】
係止部11の爪部11aを、Y方向両側から略直方体状の本体部30の下面31に係止することで本体部30をカバー部10に係合する。光学部品搭載部50は、Z方向から見たときの平面視が略矩形の略直方体状の凹部55を有する。また、光学部品搭載部50は、Z方向から見たときの平面視が略矩形の形状となっている4つの内面51を有する。光学部品搭載部50は、各内面51のZ方向の同じ高さに内側に突出する複数の突起53を有する。複数の突起53は、内面51の周方向に所定の間隔をおいて設けられ、各内面51から突出する突起53を含む。本体部30の下面31が、4つの内面51から突出する複数の突起53に接触するまでカバー部10に係止された本体部30を凹部55内に収容する。
【0018】
例えば、図示しないねじを光学部品搭載部50の各側面の外部から光学部品搭載部50と本体部30の順に締め込むことで光学部品搭載部50を本体部30に固定する。カバー部10、本体部30、及び光学部品搭載部50を統合した状態で、カバー部10がX方向外側に位置するようになっている。X方向外部からカバー部10の側壁78と光学部品搭載部50の順に図示しないねじを締め込むことでカバー部10を光学部品搭載部50に固定する。
【0019】
枠体70は、Z方向から見たときの平面視が略矩形の立設部73と、X方向両側に設けられる複数の付勢部材取付部74を有する。立設部73は、Z方向から見たときの平面視が略矩形の形状を有し、4つ板状部88を有する。各板状部88は鍔部71の内縁部からZ方向上側に延在する。X方向の各側に配置される2以上の付勢部材取付部74は、Y方向に間隔をおいて配置される。板状の付勢部材取付部74は、立設部73に対して間隔をおいた状態で立設部73の外側に配置され、立設部73と略平行に広がる。
【0020】
光学部品搭載部50は、Z方向下側から見た時の平面視で枠状の形状を有する下側端部を有する。光学部品搭載部50の下側端部は、鍔部71の上面における立設部73の外側に接触する。光学部品搭載部50の下側端部の一部は、立設部73と付勢部材取付部74の間に挿入される。付勢部材取付部74には、Z方向上側に行くにしたがって間隔が広がる複数のV字状の弾性部材79が取り付けられる。
【0021】
図2に示すように、カバー部10の側壁部には、Z方向に直交するXY平面に略平行に広がる底板部に貫通孔を有するL字状の金具19が取り付けられる。V字状の弾性部材79を一時的に開口幅が狭くなるように圧縮した状態で、弾性部材79の上側端部を金具19の貫通孔に通過させる。弾性部材79が圧縮前の形状へ戻ろうとする復元力で弾性部材79を金具19に係止する。これにより、枠体70をカバー部10に統合でき、カバー部10、本体部30、光学部品搭載部50、及び枠体70が一体に統合される。
【0022】
筐体75は、カバー部10、本体部30、光学部品搭載部50、及び枠体70の統合体の外面を構成する各部材で構成される。当該各部材は、例えば、金属材料又は高い熱伝導性を有する非金属材料によって構成される。高い熱伝導性を有する非金属材料には、熱伝導率が高い樹脂等が含まれる。当該各部材として熱伝導性の高い材料を用いることで、光源モジュールが発する熱を、筐体75を介して効率的に外部に放熱できる。
【0023】
なお、4つの部の統合方法は、上記方法に限定されない。4つの部の統合は、如何なる固定手段を用いて行ってもよい。例えば、下側や上側に開口する溝をいずれかの部に設けて、その溝に別の部を圧入することでいずれか2つの部を統合してもよい。又は、いずれかの部の側壁に設けた孔に別の部に設けた側壁から外部に突出する突起を係止させることで、いずれか2つの部を統合してもよい。又は、溶接や接着剤を用いて、いずれか2つの部を統合してもよい。又は、4つの部の統合は、ねじ止めだけで行ってもよい。また、筐体75は、Z方向下側から見た時の平面視で略矩形の形状を有するが、筐体の当該平面視における形状は、如何なる形状でもよく、例えば、略円形状、略多角形状、又は略半円状等の形状でもよい。
【0024】
次に、本体部30と光学部品搭載部50の構成について詳細に説明する。
図4に示すように、本体部30は、1以上の電装部15と、光源モジュール35を備える。電装部15は、電源装置と、信号変換部を有する。電源装置は、商用電源から供給された交流電力を直流電力に変換すると共に変圧して光源モジュール35に供給する。また、信号変換部は、基板と、基板上に実装された複数の電子部品を含む。基板は、プリント配線基板である。基板としては、例えば、樹脂をベースとする樹脂基板、金属をベースとするメタルベース基板、セラミックからなるセラミック基板等を用いることができる。
【0025】
1以上の信号変換部は、制御装置を含む。制御装置は、コンピュータ、例えば、マイクロコンピュータによって好適に構成され、制御部と、記憶部を含む。制御部、すなわち、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。また、記憶部は、ハードディスクドライブ(HDD)や、半導体メモリ等で構成され、半導体メモリは、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリや、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリで構成される。記憶部は、一つのみの記憶媒体で構成されてもよく、複数の異なる記憶媒体で構成されてもよい。CPUは、記憶部に予め記憶されたプログラム等を読み出して実行する。また、不揮発性メモリは、制御プロラムや所定の閾値等を予め記憶する。また、揮発性メモリは、読み出したプログラムや処理データを一時的に記憶する。1以上の信号変換部は、外部から送られてくる映像信号を受信し、光源モジュール35を構成する各複合光源に供給する電流を制御する。発光装置1は、1以上の信号変換部によって制御された光源モジュール35が出射した光で所望の映像を表示して演出する。
【0026】
光源モジュール35は、サイネージ用のLED(Light Emitting Diode)ビジョンで構成される。LEDビジョン(電光掲示板)は、デジタルサイネージ(映像表示装置)と呼ばれる電子看板である。LEDビジョンは、液晶をバックライトで照らす液晶画面と比較して、LED素子が出射した光をそのまま利用するため、輝度が高くて明るい光を出射できる。光源モジュール35は、板状の形状を有する。光源モジュール35は、本体部30の本体枠33の下側に固定手段、例えば、接着剤やねじ等で固定され、XY平面に略平行に広がる。光源モジュール35は、Z方向下側に光を出射する。
【0027】
図5(a)は、本体部30に固定されている光源モジュール35をZ方向下側から見たときの平面図である。
図5(a)に示すように、光源モジュール35は、基板36と、基板36に実装された複数の複合光源37を有する。複数の複合光源37は、光源39を構成する。複数の複合光源37は、基板36の実装面(下面)に等間隔(ピッチ)でマトリクス状に実装される。実装面の法線は、Z方向に略平行になっている。ピッチとしては、例えば、3.9mm、8.33mm、又は10mm等を採用できる。基板36は、プリント配線基板である。基板36としては、例えば、樹脂をベースとする樹脂基板、金属をベースとするメタルベース基板、セラミックからなるセラミック基板等を用いることができる。基板36は、筐体75が画定するZ方向から見たときの平面形状に対応する平面形状を有し、本実施形態では、略矩形の平面形状を有する。
【0028】
図5(b)に示すように、各複合光源37は、SMD(Surface Mount Device)型の素子で構成され、一つの球体内に、赤色の光を出射する赤色LED素子37a、緑色の光を出射する緑色LED素子37b、及び青色の光を出射する青色LED素子37cが配置される。上記1以上の電源装置は、各複合光源37のLED素子37a,37b,37cの夫々のオンオフ制御を行うための複数のスイッチング素子を有し、各スイッチング素子は、トランジスタ等で構成される。1以上の信号変換部は、外部からの映像信号を受信すると、その映像信号に含まれる映像情報に対応する制御情報を記憶部から読み出す。そして、読み出した制御情報に基づいて複数のスイッチング素子の夫々をオンオフ制御することで、各LED素子37a,37b,37cが出射する光の輝度を制御する。発光装置1は、1以上の信号変換部の当該制御により、所望の映像を表す光、例えば、青空、白雲、曇り空、夕焼け空等の映像を示す光を出射するようになっている。なお、光源は、SMD型のLED素子の他、COB(Chip On Board)型の発光素子を含んでもよい。また、光源が、赤緑青の3色の光を出射する3つの発光素子を含む場合について説明した。しかし、光源は、赤緑青白の4色の光を出射する4つの発光素子を含んでもよく、青白の2色の光を出射する2つの発光素子を含んでもよい。また、光源は、映像を表す光を出射しなくて、単に照明用の光を出射してもよい。光源は、半導体レーザ素子を含んでもよく、有機EL(Electro Luminescence)素子又は無機EL素子等の固体発光素子を含んでもよい。又は、光源は、白熱灯や蛍光灯を含んでもよい。
【0029】
再度、
図4を参照して、光学部品搭載部50は、反射部材56、拡散板60、ガラスクロスシート65(
図2参照)を有する。反射部材56は、無底筒状のケースである。反射部材56は、光源モジュール35を収容し、各複合光源37が発する光が通過する開口部を有する。反射部材56は、光源モジュール35の周囲を囲む側壁部58を有する。側壁部58は、基板36の形状に対応する形状を有して光源モジュール35の周囲を囲む4つの板部を含む。4つの板部は、基板36側からZ方向下側に延びる。側壁部58は、複数の複合光源37が出射する光の像を映し出す反射面57を内側面に有する。
【0030】
反射部材56の反射面57は、光源モジュール35が出射した光を拡散板60側に反射する。反射部材56は、例えばアルミニウムなどの金属材料で形成され、反射面57には、鏡面処理又は光拡散処理が施される。鏡面処理には、ポリッシング処理やラッピング処理が含まれる。また、光拡散処理とは、アルマイト処理などの艶消し処理である。なお、反射面57に鏡面処理又は光拡散処理を施さなくてもよく、反射面57は鏡面処理又は光拡散処理を施す前の無地素材であってもよい。反射面57の光の反射率は、例えば、95%以上である。なお、反射面57の光の反射率は、95%未満でもよく、例えば、94%等でもよい。
【0031】
図6は、光学部品搭載部50を、そのX方向の中心を通過すると共にY方向とZ方向とを含む平面で切断したときの断面図である。
図6に示すように、光学部品搭載部50は、反射部材56、拡散板60、及びガラスクロスシート65の他に、スペーサ63と、ねじ孔を有する枠状部材67、及び押圧用ねじ68を有する。スペーサ63及び枠状部材67の夫々は、断面が矩形の枠状の板部材で構成される。枠状部材67は、スペーサ63よりも下側に配置される。枠状部材67は、例えば、図示しない連結部材を介して反射部材56に対して静止している部位に固定され、反射部材56に対して相対移動不可能になっている。
【0032】
枠状部材67は、X方向に延在する2つの板部67aとY方向に延在する2つの板部67aの夫々に1以上のねじ孔を有する。拡散板60の外縁部は、反射部材56の環状の下面とスペーサ63の環状の上面とで挟持されており、ガラスクロスシート65の外縁部は、スペーサ63の環状の下面と枠状部材67の環状の上面とで挟持される。ガラスクロスシート65の外縁部の上面は、スペーサ63の下面に両面テープ(接着テープ)で固定されている。枠状部材67の下側から複数の押圧用ねじ68を枠状部材67のねじ孔に締め込んで、スペーサ63の下面を上側に押圧する。このようにして、拡散板60を反射部材56とスペーサ63で隙間なく挟持することで拡散板60を反射部材56に固定する。拡散板60は、反射部材56に固定された状態でXY平面に略平行な状態になる。なお、スペーサ63は、図示しないガイド部に支持されてもよく、XY平面上の位置が位置決めされている状態でZ方向に相対移動可能になっていてもよい。
【0033】
拡散板60は、透光性及び光拡散性を有する板部材である。拡散板60は、光源モジュール35とZ方向に対向するように配置され、反射部材56の開口部を覆う。拡散板60は、光源モジュール35と略平行となる姿勢で反射部材56の内部に配置される。拡散板60は、Z方向上側の光入射面(上面)から入射した光を透過及び拡散して光出射面(下面)から出射する。拡散板60は反射部材56の開口部に対応した形状を有し、Z方向から見たときの平面視で略矩形の形状を有する。なお、光拡散板の当該平面視における形状は、如何なる形状でもよく、矩形に限らず、円形状、多角形、又は半円形状等でもよい。
【0034】
拡散板60は、例えば、アクリル、シリコン、又はPET(polyethylene terephthalate)等の透明の樹脂材料、又はガラスで構成された透明板に、拡散加工を施すことで作製される。拡散板60は、透明な材料で構成されることで高い透過率を有する。拡散加工は、拡散板60の光入射面及び光出射面の少なくとも一方に施される。拡散加工として、例えば、微細なドット状の凹部又は凸部からなるプリズムを形成するプリズム処理、シボ加工、又は印刷等を採用してもよい。拡散加工が施された拡散板60のヘイズ値は、例えば数十%程度である。ヘイズ値を高めることで、複合光源37が粒状に見えることを効果的に抑制できる。ヘイズ値を高めすぎると映像の輪郭を見難くなるため、ヘイズ値は、例えば、所定%以下、例えば、90%以下に設定される。
【0035】
ガラスクロスシート65は、透光性を有するガラス繊維で織り込まれた織物(ガラスクロス)、及びその織物の少なくとも第1面を被覆する透光性の樹脂部を有する透光性のシートである。樹脂部は、透光性を有する如何なる樹脂で構成されてもよい。ガラスクロスシート65は、難燃性又は不燃性を有する。なお、上記樹脂部は、織物の第2面を被覆する部分を含んでもよい。
【0036】
ガラスクロスシート65は、ガラスクロスを塩化ビニール樹脂でラミネートして作製された不燃性素材のシートでもよい。ガラスクロスシート65は、可視光の透過率が80%以上であると好ましく、全光線の透過率が90%以上の高い透明性を有していると更に好ましい。ガラスクロスシート65としては、従来、内装制限を受ける特殊建築物内の間仕切り、不燃材料を必要とする工場内の間仕切り、又は防火垂れ壁等に用いられている、透光性と不燃性に優れるガラスクロスシートを用いることができる。
【0037】
図6を参照して、ガラスクロスシート65は、XY平面に略平行になるように広がっていると好ましい。また、ガラスクロスシート65は、拡散板60に対してZ方向に間隔をおいて配置されていると好ましく、拡散板60とガラスクロスシート65のZ方向の最短距離tは、例えば、1mm以上であると好ましい。また、その最短距離tは、10cm以下であると好ましく、10mm以下であると更に好ましい。拡散板60とガラスクロスシート65のZ方向の最短距離tは、例えば、4mm程度に設定されてもよい。なお、
図6に示すように、本実施形態では、反射面57はZ方向上側に行くにしたがって発光装置1の中心側に変位するようにXZ平面又はYZ平面に対して傾斜している。しかし、反射面はYZ平面又はXZ平面に略平行に広がっていてもよい。
【0038】
ガラスクロスシートは、自重で撓み易くて垂れ易くて、精密な位置決めが難しい。よって、従来、ガラスクロスシートを、発光装置(照明装置)において光を外部に出射させる発光面を含む透光部材として使用するのは、不向きであると考えられていた。すなわち、従来、照明業界において、ガラスクロスシートを、発光装置(照明装置)の最も光出射側の透光部材として使用するという思想は存在せず、実際、ガラスクロスシートを、発光装置(照明装置)の最も光出射側の透光部材として使用した製品は存在しかなった。
【0039】
しかし、本発明者は、ガラスクロスシートを最も光出射側の透光部材として使用すると、ガラスクロスシートがたとえ僅かに撓んだとしても、クリアで美しい光を出射できることを試験で確認して発見した。よって、ガラスクロスシートを最も光出射側の透光部材として使用することで、発光装置1からクリアで美しい光を出射でき、しかも、発光装置1を、強化ガラスを最も光出射側の透光部材として使用した場合との比較で、格段に軽量でコンパクトなものにできる。また、ガラスクロスシートを最も光出射側の透光部材として使用すれば、発光装置1が地震等で破損した場合でも、ガラス片が飛散することがない。よって、強化ガラスを最も光出射側の透光部材として使用した場合との比較で、発光装置1を格段に安全なものにできる。
【0040】
以上、発光装置1は、筐体75と、筐体75内に配置される光源39と、ガラス繊維で織り込まれた織物、及びその織物の少なくとも第1面を被覆する透光性の樹脂部を有するガラスクロスシート(透光性のシート)65を備える。ガラスクロスシート65は、光源39からの光が出射する出射面65aを含む。上記樹脂部は、上記織物の第1面のみを被覆してもよく、又は第1面を被覆する部分に加えて上記織物の第2面を被覆する部分を有してもよい。
【0041】
本開示の発光装置1によれば、鮮明な光を出射し易く、しかも、軽量で取り扱い性にも優れ、安全性にも優れる発光装置を実現できる。
【0042】
また、発光装置1は、光源39の光出射側に配置される拡散板60を備えてもよい。また、ガラスクロスシート65は、拡散板60よりも光出射側に配置されてもよい。
【0043】
本構成によれば、複合光源37が粒状に見えることを効果的に抑制でき、美しい映像を演出し易い。
【0044】
また、ガラスクロスシート65は、拡散板60に対して間隔をおいて配置されてもよい。
【0045】
本願発明者は、ガラスクロスシート65が拡散板60に接触すると、ガラスクロスシート65が映像に映り込むことがあることを見出した。一方、ガラスクロスシート65が拡散板60に間隔をおいて配置されていると、人がガラスクロスシート65を略視認できないことを確認した。
【0046】
本構成によれば、ガラスクロスシート65は、拡散板60に対して間隔をおいて配置されているの、ガラスクロスシート65が映像に映り込むことを略防止できる。したがって、クリアで美しい映像を演出できる。
【0047】
また、ガラスクロスシート65と拡散板60の最短距離は、1mm以上で10cm以下の長さになっていてもよい。
【0048】
本構成によれば、ガラスクロスシート65と拡散板60の最短距離が、1mm以上になっているので、ガラスクロスシート65が撓んだとしても拡散板60に接触することを略防止できる。したがって、ガラスクロスシート65が映像に映り込むことを略防止でき、クリアで美しい映像を演出できる。また、ガラスクロスシート65と拡散板60の最短距離が10cm以下になっているので、コンパクトな発光装置1を実現し易い。
【0049】
また、光源39が、赤色の光の発光部である赤色LED素子37a、緑色の光の発光部である緑色LED素子37b、及び青色の光の発光部である青色LED素子37cを含む複数の複合光源37を含んでもよい。また、複数の複合光源37は、Z方向に略垂直に広がる基板36の実装面にマトリクス状に実装されてもよい。また、発光装置1は、Z方向に関して、光源39と拡散板60との間に配置されて筐体75の内側側面の全周又は略全周に亘って配置される反射面57を備えてもよい。
【0050】
本構成によれば、発光装置1がマトリクス状に配置された複数の複合光源37を有し、各複合光源37が、赤色LED素子37a、緑色LED素子37b、及び青色LED素子37cを含む。したがって、所望の如何なる映像も生成でき、多様性に富んだ演出を行うことができる。また、発光装置1が光源39と拡散板60との間に配置されて筐体75の内側側面の全周又は略全周に亘って配置される反射面57を有するので、4方にある反射面57を光らせることができる。よって、人が奥行き感を認識し易くて空間的な映像を生成できる。
【0051】
なお、本開示は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0052】
例えば、本開示の発光装置では、ガラスクロスシートと拡散板との最小距離は、0より大きくて0.1mm未満の距離でもよく、10cmよりも長い距離でもよい。また、本開示の発光装置では、ガラスクロスシートの少なくとも一部が拡散板に接触してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、発光装置1が天井に設置される場合について説明した。しかし、発光装置は側壁部に設置されてもよい。詳しくは、
図7は、変形例の発光装置101の斜視図であり、
図8は、
図7のA‐A線断面図である。
図2において、α方向は、奥行き方向である。α方向は、発光装置101を側壁部に設置したとき、側壁部の壁面の法線方向に一致する。また、β方向は、幅方向である。また、γ方向は、高さ方向である。γ方向は、発光装置101を側壁部にしたとき、鉛直方向に一致する。α方向、β方向、及びγ方向は、互いに直交する。
【0054】
図7及び
図8に示すように、発光装置101は、光源139、光を反射する反射板156、及び反射板156と対面するように設けられて透光性を有する拡散板160を備える。また、拡散板160と反射板156との間隔は、下方から上方に向かうにつれて次第に狭まる。また、光源139は、下方に設けられ、拡散板160及び反射板156に向かって照射する姿勢で配置される。光源139は、αβ平面に略平行な状態になっている平板状の基板136の実装面(上面)に実装される。光源139は、例えば、β方向に間隔をおいて一列に交互に配置される白色光源139aと青色光源139bを含む。白色光源139a及び青色光源139bは、長尺状の基板136の上面に実装される。
【0055】
図8に示すように、発光装置101は、α方向の前側のみが開口する樹脂又は金属製の筐体175、筐体175のα方向の前側に取り付けられる樹脂又は金属製の窓枠177、樹脂又は金属製の枠状部材178、樹脂又は金属製のスペーサ180、及びガラスクロスシート165を備える。ガラスクロスシート165は、例えば、窓枠177の裏面に全周に亘って両面テープで固定される。
【0056】
枠状部材178は、窓枠177の開口と略同一の開口面積を有する開口を有し、α方向から見たとき開口の略全てが窓枠177の開口に重なるように配置される。ガラスクロスシート165は、窓枠177の後面と枠状部材178の前面とで挟持される。スペーサ180は、筐体175内の上側に配置される直方体状の部材である。スペーサ180の前面は、枠状部材178の後面に当接し、スペーサ180の後面は、拡散板160の上端部をα方向の後側に押圧している。
【0057】
本構成によれば、拡散板160から、光源139に近いほど輝度の高い光が出射され、光源139から離れるに従って輝度の低い光が出射される。つまり、拡散板160から輝度の勾配のついた光が出射される。このため、人が、発光装置101を見た場合、ガラスクロスシート165からの光で実際の空のような輝度の勾配を感じることができる。また、光源139、反射板156、及び拡散板160を、上述のように配置することで、光が拡散と反射とを繰り返し、拡散板160から遠近感(奥行き)のある光を出射することができる。よって、この発光装置1によれば、白色光源139aと青色光源139bを用いて簡易な構成で擬似的な空(青空に白雲が浮かんでいる空)を再現することができる。また、本構成によれば、最も光出射側に位置する光学部材としてガラスクロスシート165を採用しているので、発光装置101からクリアで美しい光を出射でき、しかも、発光装置101を、格段に軽量で取り扱い性に優れ、安全性も高いものにできる。
【0058】
なお、本開示の発光装置は、映像を演出できない照明装置(照明器具)でもよく、反射部材(反射板)及び拡散板の一方又は両方を有さなくてもよい。反射部材(反射板)及び拡散板の一方又は両方を有さない照明装置であっても、最も光出射側に位置する光学部材としてガラスクロスシートを採用すれば、クリアで美しい光を出射できて、軽量コンパクトで取り扱い性に優れ、安全性も高い照明装置を実現できる。
【符号の説明】
【0059】
1,101 発光装置、 2 通路、 3 天井、 10 カバー部、 15 電装部、 30 本体部、 35 光源モジュール、 36 基板、 37 複合光源、 37a 赤色LED素子、 37b 緑色LED素子、 37c 青色LED素子、 39,139 光源、 50 光学部品搭載部、 56 反射部材、 57 反射面、 60,160 拡散板、 65,165 ガラスクロスシート、 65a ガラスクロスシートの出射面、 70 枠体、 71 鍔部、 75 筐体、 76 天面、 139a 白色光源、 139b 、 156 反射板、 175 筐体、 177 窓枠、 178 枠状部材、 180 スペーサ、 t 拡散板とガラスクロスシートの最短距離。