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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】ブーム計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/20 20060101AFI20240802BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G01B21/20 D
G01B11/24 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020202960
(22)【出願日】2020-12-07
(65)【公開番号】P2022090520
(43)【公開日】2022-06-17
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(73)【特許権者】
【識別番号】599165979
【氏名又は名称】有限会社丸之内マシーナリ
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健治
(72)【発明者】
【氏名】竹田 周司
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智志
(72)【発明者】
【氏名】河野 大地
(72)【発明者】
【氏名】古川 雅祥
(72)【発明者】
【氏名】奥田 章夫
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-36947(JP,A)
【文献】特開平11-64230(JP,A)
【文献】実開平4-57746(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
G01N 21/84-21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車に搭載されるブームの内部を走行する走行ユニットと、
当該走行ユニットに搭載され、上記ブームの内面の計測をする計測ユニットと、
上記走行ユニットに搭載されたセンタリングユニットと、を備え、
当該センタリングユニットは、
上記走行ユニットの幅方向一方側及び他方側に配置され、それぞれ当該幅方向に進退する一対のアームと、
当該一対のアームを同期させて進退させるリンク機構と、を有し、
上記一対のアームは、上記幅方向と直交する前後方向に沿う一方側及び他方側にそれぞれ設けられているブーム計測装置。
【請求項2】
作業車に搭載されるブームの内部を走行する走行ユニットと、
当該走行ユニットに搭載され、上記ブームの内面の計測をする計測ユニットと、
上記走行ユニットに搭載されたセンタリングユニットと、を備え、
当該センタリングユニットは、
上記走行ユニットの幅方向一方側及び他方側に配置され、それぞれ当該幅方向に進退する一対のアームと、
当該一対のアームを同期させて進退させるリンク機構と、を有し、
上記アームは、上記幅方向に沿って延びる真直棒状を呈し且つ上記幅方向に沿って対向配置されており、
上記リンク機構は、
一端が上記一方のアームの基端に連結された第1リンクと、
一端が上記他方のアームの基端に連結された第2リンクと、
上記第1リンク及び第2リンクの他端同士を連結すると共に上記幅方向と直交する方向にスライドさせるアクチュエータと、を有するブーム計測装置。
【請求項3】
上記アームは、上記幅方向に沿って延びる真直棒状を呈し且つ上記幅方向に沿って対向配置されており、
上記リンク機構は、
一端が上記一方のアームの基端に連結された第1リンクと、
一端が上記他方のアームの基端に連結された第2リンクと、
上記第1リンク及び第2リンクの他端同士を連結すると共に上記幅方向と直交する方向にスライドさせるアクチュエータと、を有する請求項に記載のブーム計測装置。
【請求項4】
上記走行ユニットは、
上記ブームの内面との間に生じる摩擦力を低減する支持脚を有する請求項1から3のいずれかに記載のブーム計測装置。
【請求項5】
上記アームの先端に、上記ブームの内面に対して転動し得るローラが設けられている請求項1から4のいずれかに記載のブーム計測装置。
【請求項6】
作業車に搭載されるブームの内部を走行する走行ユニットと、
当該走行ユニットに搭載され、上記ブームの内面の計測をする計測ユニットと、
上記走行ユニットに搭載されたセンタリングユニットと、を備え、
当該センタリングユニットは、
上記走行ユニットの幅方向一方側及び他方側に配置され、それぞれ当該幅方向に進退する一対のアームと、
当該一対のアームを同期させて進退させるリンク機構と、を有し、
上記センタリングユニットは、
上記アーム及びリンク機構を支持するリンクフレームを有しており、当該リンクフレームは、上記走行ユニットに着脱自在に設けられているブーム計測装置。
【請求項7】
上記センタリングユニットは、
上記アーム及びリンク機構を支持するリンクフレームを有しており、当該リンクフレームは、上記走行ユニットに着脱自在に設けられている請求項1から5のいずれかに記載のブーム計測装置。
【請求項8】
上記リンクフレームは、上記アームを支持し且つ上記幅方向への進退を案内する保持筒を有する請求項6または7に記載のブーム計測装置。
【請求項9】
上記計測ユニットは、上記リンクフレームに着脱自在に保持されている請求項6から8のいずれかに記載のブーム計測装置。
【請求項10】
作業車に搭載されるブームの内部を走行する走行ユニットと、
当該走行ユニットに搭載され、上記ブームの内面の計測をする計測ユニットと、
上記走行ユニットに搭載されたセンタリングユニットと、を備え、
当該センタリングユニットは、
上記走行ユニットの幅方向一方側及び他方側に配置され、それぞれ当該幅方向に進退する一対のアームと、
当該一対のアームを同期させて進退させるリンク機構と、を有し、
上記走行ユニットは、上記ブームの内面に当接する当接位置と当該内面から離間する離間位置とに変位する固定部材を有する固定機構を備えているブーム計測装置。
【請求項11】
上記走行ユニットは、上記ブームの内面に当接する当接位置と当該内面から離間する離間位置とに変位する固定部材を有する固定機構を備えている請求項1からのいずれかに記載のブーム計測装置。
【請求項12】
上記アームは、上記幅方向に沿って延びる真直棒状を呈し且つ上記幅方向に沿って対向配置されており、
上記リンク機構は、
一端が上記一方のアームの基端に連結された第1リンクと、
一端が上記他方のアームの基端に連結された第2リンクと、
上記第1リンク及び第2リンクの他端同士を連結すると共に上記幅方向と直交する方向にスライドさせるアクチュエータと、を有し、
上記走行ユニット、計測ユニット、センタリングユニット及び固定機構の駆動を制御するコントローラを備え、
上記コントローラは、
上記アクチュエータを作動させて上記アームを張り出して上記ブームの内面に当接させるセンタリング処理と、
上記固定機構を作動させて上記固定部材を上記ブームの内面に固定する固定処理と、
上記アクチュエータの作動を停止させる停止処理と、
上記計測ユニットを駆動させて計測を行う計測処理と、
上記固定機構の作動を停止させる固定解除処理と、を実行する請求項10に記載のブーム計測装置。
【請求項13】
上記走行ユニット、計測ユニット及びセンタリングユニットの駆動を制御するコントローラを備え、
上記コントローラは、
上記幅方向と直交する方向に沿う一方側及び他方側にそれぞれ設けられている上記一対のアームのうち、上記計測ユニットに近い方のアームを張り出させた後、他方のアームを張り出させる処理を実行する請求項に記載のブーム計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン車などに搭載されるブームの寸法計測を行うブーム計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばクレーン車に搭載されるブームは、軽量且つ高剛性であることが要請され、その断面形状の設計が工夫されている。したがって、クレーン車の部品としてのブームが所期の性能を発揮するために、設計通りの寸法に仕上げられているかどうかを確認する作業は重要である。従来、製造されたブームの寸法を計測するブーム計測装置が提案されている。従来のブーム計測装置は、ブームの外形寸法を計測する。ブームのサイズは様々であるが、その外形寸法を計測する装置は、必然的に大きなサイズとなる。そのため、ブームの計測作業は、大がかりで煩雑なものとなる。
【0003】
他方、下水管等の円筒状の管内を移動しつつ内面の計測を行う計測装置も提案されている(たとえば特許文献1参照)。この計測装置は、主軸部と、この主軸部から放射状に配置された複数のアームを有する移動部とを備える。複数のアームは、主軸部を中心として回動可能に設けられており、且つカム機構によって連動して放射状に展開される。各アームの先端が管の内面に当接することにより、計測装置が菅の中心に位置決めされるようになっている。この計測装置は、上記移動部に接続されたケーブルが引っ張られることにより、管内を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-32367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の計測装置は、複数のアームが円筒状の管内で放射状に拡がることにより計測装置のセンタリングを行うものであり、計測の対象が円筒状の管体に限定され、しかも、大型の管体には適さない。一方、ブームの内面形状は、平面と湾曲面とが連続しているため、従来の計測装置をブームの内面の計測に使用することは困難である。
【0006】
本発明はかかる背景のもとになされたものであって、その目的は、複雑な内面形状を有するブームの中心に正確に位置決めして、寸法計測が可能なブーム計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係るブーム計測装置は、作業車に搭載されるブームの内部を走行する走行ユニットと、当該走行ユニットに搭載され、上記ブームの内面の計測をする計測ユニットと、上記走行ユニットに搭載されたセンタリングユニットと、を備える。当該センタリングユニットは、上記走行ユニットの幅方向一方側及び他方側に配置され、それぞれ当該幅方向に進退する一対のアームと、当該一対のアームを同期させて進退させるリンク機構と、を有する。
【0008】
本発明に係るブーム計測装置は、ブーム内に配置される。リンク機構を通じて一対のアームが同期して幅方向に張り出される。張り出された一方のアームが、ブームの一方の側面に当接して当該側面を押圧する。当該一方のアームがブームの当該一方の側面から受ける抗力により、ブーム計測装置は、当該幅方向に移動する。ブーム計測装置が幅方向に移動することにより、他方のアームが、ブームの他方の側面に当接する。すなわち、ブーム計測装置は、ブームの幅方向における中心に位置決めされる。したがって、ブーム計測装置は、幅方向の中心に位置決めされた状態で、ブームの内面の寸法計測が可能である。
【0009】
(2) 上記一対のアームは、上記幅方向と直交する方向に沿う一方側及び他方側にそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0010】
この構成では、一対のアームは、幅方向と直交する方向に沿う異なる二カ所においてブームの側面に当接する。したがって、ブーム計測装置は、ブームの幅方向の中心に、より正確に位置決めされる。
【0011】
(3) 上記アームは、上記幅方向に沿って延びる真直棒状を呈し且つ上記幅方向に沿って対向配置されていることが好ましい。上記リンク機構は、一端が上記一方のアームの基端に連結された第1リンクと、一端が上記他方のアームの基端に連結された第2リンクと、上記第1リンク及び第2リンクの他端同士を連結すると共に上記幅方向と直交する方向にスライドさせるアクチュエータと、を有する。
【0012】
この構成によれば、第1リンク及び第2リンクのそれぞれの他端同士が連結され、且つそれぞれの一端が各アームの基端間に掛け渡された状態となる。したがって、アクチュエータが上記連結された各他端をスライドさせると、各一端は、上記幅方向にスライドし、一対のアームは幅方向へ張り出す。このように、簡単な構造のリンク機構により、各アームが幅方向に変位する。また、ブームのサイズが異なる場合は、アームの長さが変更されるだけでよい。例えば、大きいサイズのブームの計測には、リンク機構の構成は同一でアームの長さが大きくされることで、アームの張出長さが拡大するので、確実にアームがブームの内面を押圧してブーム計測装置のセンタリングを行う。ひいては、長さが異なるアームを有する複数のセンタリングユニットを事前に用意すれば、ブームのサイズに応じたセンタリングユニットの交換作業をするだけで、当該ブームのサイズに合致したブーム計測装置が簡単に構成される。
【0013】
(4) 上記走行ユニットは、上記ブームの内面との間に生じる摩擦力を低減する支持脚を有することが好ましい。
【0014】
走行ユニットが上記支持脚を有するので、走行ユニットがセンタリングされる際にブームの側面に加わる負荷が低減する。すなわち、ブーム計測装置は、ブームの側面に大きな負荷をかけずにブームの幅方向の中央に位置決めされる。その結果、計測時のブームの変形が防止され、より正確な計測が可能となる。
【0015】
(5) 上記アームの先端に、上記ブームの内面に対して転動し得るローラが設けられていることが好ましい。
【0016】
ブームは、いわゆる製罐作業により製造されるから、完全に真直な形状ではなくわずかに湾曲した形状となる場合もある。かかる場合、ブーム計測装置がブーム内を移動する際に、アームの先端がブームの側面に接触することが想定される。しかし、ブームの内面に対して転動し得るローラがアームの先端に設けられているので、ブームが僅かに曲がっていたとしても、ブーム計測装置が移動の際にブームの側面に加える負荷を低減することができる。すなわち、ブーム計測装置は、ブームの側面に大きな負荷をかけずに移動することができる。
【0017】
(6) 上記センタリングユニットは、上記アーム及びリンク機構を支持するリンクフレームを有しており、当該リンクフレームは、上記走行ユニットに着脱自在であることが好ましい。
【0018】
リンクフレームは、上記アーム及びリンク機構を支持するから、リンクフレームの仕様により、上記アーム及びリンク機構の高さ位置が変更される。したがって、ブームの計測時に、ブームのサイズに合わせてセンタリングユニットが換装されることにより、走行ユニットに装着された状態の一対のアームの高さ位置を当該ブームの高さ方向における中央に配置することができる。すなわち、一対のアームは、ブームのサイズに拘わらず高さ方向におけるブームの側面の中央位置に当接することができ、ブーム計測装置は、ブームのサイズに拘わらずブームの幅方向の中央に正確に位置決めされる。
【0019】
(7) 上記リンクフレームは、上記アームを支持し且つ上記幅方向への進退を案内する保持筒を有しているのが好ましい。
【0020】
この構成では、上記アームの長さが大きくなった場合でも、アームが保持筒に保持されているからアームの自重による撓みが抑えられる。したがって、アームは、ブームの高さ方向における側面の中央位置に当接することができる。
【0021】
(8) 上記計測ユニットは、上記リンクフレームに着脱自在に保持されていることが好ましい。
【0022】
この構成では、上記リンクフレームが交換された場合、これに合わせて計測ユニットも換装される。したがって、ブームの計測時に、ブームのサイズに合わせて計測ユニットの高さ位置がブームの高さ方向における中央に配置される。すなわち、計測ユニットは、ブームのサイズに拘わらず高さ方向におけるブームの中央に位置する。
【0023】
(9) 上記走行ユニットは、上記支持脚が当接するブームの内面に当接する当接位置と当該内面から離間する離間位置とに変位する固定部材を有する固定機構を備えていることが好ましい。
【0024】
この構成では、固定部材がブームの内面に当接することによって、前述のように位置決めされたブーム計測装置がブームに固定される。ブーム計測装置は、ブームの中央に固定された後、計測ユニットによって、ブームの内面の計測を行う。したがって、ブーム計測装置は、ブームの中央から位置ずれすることなく、ブームの内面の計測を行うことができる。
【0025】
(10) 上記走行ユニット、計測ユニット、センタリングユニット及び固定機構の駆動を制御するコントローラをさらに備えていることが好ましい。上記コントローラは、上記アクチュエータを作動させて上記アームを張り出して上記ブームの内面に当接させるセンタリング処理と、上記固定機構を作動させて上記固定部材を上記ブームの内面に固定する固定処理と、上記アクチュエータの作動を停止させる停止処理と、上記計測ユニットを駆動させて計測を行う計測処理と、上記固定機構の作動を停止させる固定解除処理と、を実行する。
【0026】
この構成では、計測ユニットによる計測の前に、アクチュエータが停止し、一対のアームの張り出しが停止する。したがって、ブームの側面に負荷を加わらない状態でブームの内面の計測が行われる。その結果、計測時のブームの変形が抑えられ、計測の精度が高められる。
【0027】
(11) 上記走行ユニット、計測ユニット及びセンタリングユニットの駆動を制御するコントローラを備え、当該コントローラは、上記幅方向と直交する方向に沿う一方側及び他方側にそれぞれ設けられている上記一対のアームのうち、上記計測ユニットに近い方のアームを張り出させた後、他方のアームを張り出させるように構成されていることが好ましい。
【0028】
この場合、計測ユニットに近い方の一対のアームが、計測ユニットから遠い方の一対のアームよりも先に張り出される。したがって、計測ユニットは、ブームの中心により確実に位置決めされる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るブーム計測装置は、複雑な内面形状を有するブームの中心に正確に位置決めして、寸法計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、計測本体21の斜視図である。
図2図2は、制御本体22の斜視図である。
図3図3は、計測本体21がブーム10内に配置された状態を示す斜視図である。
図4図4は、計測本体21の分解斜視図である。
図5図5は、計測本体21の下方から見た斜視図である。
図6図6は、リフト機構50の模式的な断面図である。
図7図7は、一対のアーム121、122の動作を説明する説明図である。
図8図8は、保持筐体160、前リンク機構140、及び前アーム121、122の斜視図である。
図9図9は、保持筐体160、前リンク機構140、及び前アーム121、122の分解斜視図である。
図10図10(A)は、センタリングユニット100の斜視図であり、図10(B)はセンタリングユニット101の斜視図であり、図10(C)はセンタリングユニット102の斜視図である。
図11図11は、保持筐体190、前リンク機構140、及び前アーム191、192の分解斜視図である。
図12図12(A)は、アーム121、122が張り出された状態のセンタリングユニット100の斜視図であり、図12(B)は、アーム191、192が張り出された状態のセンタリングユニット101の斜視図であり、図12(C)は、アーム185、186が張り出された状態のセンタリングユニット102の斜視図である。
図13図13は、計測ユニット200の模式的な断面図である。
図14図14は、エアの配管図である。
図15図15は、ブーム計測装置20の機能ブロック図である。
図16図16は、制御プログラム311が実行する計測処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、適宜図面が参照されつつ本発明の実施形態が説明される。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態が適宜変更されることは言うまでもない。
【0032】
[ブーム計測装置20の構成について]
【0033】
本実施形態に係るブーム計測装置20(図1図2参照)は、クレーン車などの作業車に搭載されるブーム10(図3参照)の製造において、製造されたブーム10の検査に用いられる。詳しく説明すると、ブーム10の製造は、例えば、鋼板がプレスや溶接などによって筒状に形成(製罐)され、これに他の金属部材が溶接されるなどして完成する。他の金属部材が溶接されることなどにより、ブーム10に歪が生じたり、ブーム10に凹や凸が生じたりすることがある。ブーム計測装置20は、ブーム10の内面の形状を計測する。すなわち、ブーム計測装置20は、ブーム10の内面形状に応じた計測データを収集する。検査者は、ブーム計測装置20が収集した計測データに基づいて、ブーム10が製作図面上の指示寸法通りに製造されているかどうかを判断する。
【0034】
図3が示すように、ブーム10は、一般に筒状を呈しており、本実施形態では、平面である内面11、12、13及び湾曲面である内面14等の内面を有する。ブーム10は、内面13を下にして工場の床などに載置されて検査される。
【0035】
ブーム10のサイズ(外形形状)は、吊荷の重量に応じて設計変更される。具体的には、ブーム10の幅は約180mmから約450mm程度、高さは約300mmから約600mm程度、長さは約6500mmから約7500mm程度であり、例えば小型、中型、大型等に分類される。
【0036】
ブーム計測装置20は、図1が示す計測本体21及び図2が示す制御本体22を備える。計測本体21は、図3が示すようにブーム10内に配置され、ブーム10内を移動しつつブーム10の内面の計測を行う。制御本体22は、計測本体21の駆動を制御し、かつ計測本体21が出力する情報に基づいて計測データを生成してメモリ302(図15参照)に記憶させる。
【0037】
図2が示すように、制御本体22は、台車23に載置されている。制御本体22は、図15が示す電源ケーブル35及び通信ケーブル36によって計測本体21と接続されている。制御本体22は、電源ケーブル35を通じて計測本体21へ24Vなどの直流電圧及び交流電圧を供給する。制御本体22は、通信ケーブル36を通じて計測本体21に駆動信号を送る。計測本体21は、通信ケーブル36を通じて制御本体22に検出圧力や検出距離などを送る。
【0038】
図2が示すように、制御本体22と共にエア管理装置24が台車23に載置されている。エア管理装置24は、第1接続端25及び第2接続端26を有する。第1エア配管28(図15参照)が第1接続端25に接続され、第2エア配管29(図15参照)が第2接続端26に接続されている。第2エア配管29は、工場に付設されたエアの配管とエア管理装置24とを接続する。第1エア配管28は、エア管理装置24と計測本体21とを接続する。そして、工場に付設されたコンプレッサなどのエア供給装置27(図15参照)から上記エアの配管にエアが供給される。すなわち、エア管理装置24を介してエア供給装置27から計測本体21にエアが供給される。エア管理装置24は、計測本体21に供給されるエアの供給のオン/オフやエアの圧力などの管理を行う。計測本体21(図1参照)は、供給されたエアを用いて、図15が示すエアシリンダ51、150、155、シリンジ71、72、及びエアシリンダ73、74を駆動させる。
【0039】
なお、エア管理装置24は、ブーム計測装置20に含まれていてもよい。また、ブーム計測装置20は、専用のエア供給装置27を有していてもよい。すなわち、ブーム計測装置20は、工場に付設された圧縮空気設備を利用して使用されてもよいし、専用のエア供給装置を有していてもよい。
【0040】
図15が示す第1エア配管28、電源ケーブル35、及び通信ケーブル36の長さは、少なくともブーム10(図3参照)の長さよりも長い。制御本体22は、ブーム10の一方の端の近くに配置される。計測本体21は、ブーム10の一方の端の開口からブーム10内に進入し、ブーム10内を一方の端から他方の端まで走行しつつ、ブーム10の計測を行う。
【0041】
以下、計測本体21及び制御本体22の構成について詳しく説明される。
【0042】
図1及び図4が示すように、計測本体21は、走行ユニット30、センタリングユニット100、及び計測ユニット200を備える。
【0043】
走行ユニット30は、センタリングユニット100及び計測ユニット200を搭載し、ブーム10内を走行する。本明細書において、計測本体21がブーム10内に載置された状態において(図3参照)、上下方向15、前後方向16及び左右方向17が定義される。すなわち、上下方向15は鉛直方向、前後方向16は走行ユニット30が走行する方向、左右方向17は上下方向15及び前後方向16に直交する方向である。走行ユニット30が進む向きが「前向き」と定義される。左右方向17は、特許請求の範囲に記載された「幅方向」に相当する。
【0044】
図4及び図5が示すように、走行ユニット30は、本体フレーム31を備える。本体フレーム31は、4つの支持脚32を有している。具体的には、走行ユニット30は、本体フレーム31の前部及び後部にそれぞれ左右一対の支持脚32を有している。
【0045】
各支持脚32は、上下方向15に沿って延びる円柱状を呈する。各支持脚32の下端にボール33(図5参照)が設けられている。このボール33は、所定のベアリングを介して支持脚32に保持されている。ボール33は、ブーム10の内面13(図3参照)に当接し円滑に回転する。
【0046】
走行ユニット30は、本体フレーム31に保持されたスライド機構40と、スライド機構40によってスライドされるリフト機構50と、リフト機構50によって上下動される4つの吸盤60とを備える。
【0047】
スライド機構40は、スライドベース41及びスライダ42と、第1モータ43(図15参照)とを備える。この第1モータ43は、本体フレーム31に設けられたケース48内に配置されており、同図では図示されていない。
【0048】
スライドベース41は、ねじ軸44及び案内軸45を有する。ねじ軸44は、前後方向16に沿って延びており、前後方向16における両端部において、本体フレーム31に回転可能に支持されている。
【0049】
2つの案内軸45が左右方向17に所定の間隔で配置され、各案内軸45は互いに平行で且つ前後方向16に沿って延びている。案内軸45の両端は、本体フレーム31に固定されている。
【0050】
スライダ42は、一対の挿通孔46を有する。図4が示すように、上記案内軸45が挿通孔46に挿通されている。スライダ42は、案内軸45に支持され、前後方向16に沿ってスライドする。
【0051】
スライダ42は、不図示の転動体を介してねじ軸44と噛合している。すなわち、ねじ軸44及びスライダ42は、いわゆるボールねじを構成している。スライダ42は、ねじ軸44が回転することにより、前後方向16に沿ってスライドする。ねじ軸44の回転によりスライダ42に回転モーメントが作用するが、前述のように、スライダ42は一対の案内軸45に支持されているので、上記回転モーメントによるねじ軸44周りの回動が防止される。
【0052】
本明細書では、本体フレーム31に対してスライダ42を後ろ向きに移動させるねじ軸44の回転が順回転と定義され、ねじ軸44に対してスライダ42を前向きに移動させるねじ軸44の回転が逆回転と定義される。
【0053】
ねじ軸44及びスライダ42がボールねじを構成するから、スライダ42は、ねじ軸44の回転数に応じた距離だけ、本体フレーム31に対して前後方向16に移動する。スライダ42の移動距離は、後述のように計測本体21の移動距離に相当する。したがって、ねじ軸44の回転数が把握されることにより、計測本体21の移動距離が制御される。
【0054】
案内軸45に一対のストッパ47が固定されている。スライダ42は、一対のストッパ47の間に配置されている。このストッパ47は、同図が示すように鍔状に形成され、スライダ42の移動を規制する。すなわち、ねじ軸44が回転することによって前方或いは後方に移動するスライダ42は、ストッパ47に当接することにより、移動を規制される。
【0055】
第1モータ43(図15参照)の駆動軸は、直接に、或いは不図示のギアを介してねじ軸44と連結されている。すなわち、第1モータ43の回転数に応じた回転数だけ、ねじ軸44が回転する。第1モータ43の回転の向き及び回転数が制御されることにより、スライダ42の移動の向き及び移動距離が制御される。
【0056】
第1モータ43は、回転の向き及び回転数を制御可能なサーボモータである。具体的には、第1モータ43は、制御回路を組み込まれたステッピングモータである。制御回路は、入力された駆動信号に応じて、入力された交流電圧から3相交流を生成して駆動軸を回転させる。後述の制御本体22は、第1モータ43に駆動信号を入力して、所定の回転向き及び所定の回転数で第1モータ43を回転させる。
【0057】
なお、第1モータ43は、ステッピングモータに限られず、要するに、制御本体22が回転数を制御可能なものであればよい。例えば、第1モータ43は、駆動軸の回転数を検出するロータリエンコーダやレゾルバなどの検出器が設けられた直流モータであってもよい。
【0058】
本明細書では、ねじ軸44を順回転させる第1モータ43の回転が順回転と定義され、ねじ軸44を逆回転させる第1モータ43の回転が逆回転と定義される。すなわち、第1モータ43が順回転すると、スライダ42が本体フレーム31に対して後方へ移動し、第1モータ43が逆回転すると、スライダ42が本体フレーム31に対して前方へ移動する。
【0059】
リフト機構50は、エアシリンダ51及びリフト板55を備える。エアシリンダ51は、スライダ42に、ねじなどの固着具を用いて取り付けられている。図6が示すように、エアシリンダ51は、上下方向15に伸縮するシリンダロッド52を有する。図4が示す一対のエアホース53がエアシリンダ51に接続されている。エアホース53は、上記第1エア配管28に接続されている。また、図14が示す電磁弁54が、エアシリンダ51と第1エア配管28との間に設けられている。電磁弁54は、後述の制御本体22から入力される駆動信号によって開閉する。エアシリンダ51は、エアホース53を通じてエアを供給されて伸縮する。なお、電磁弁54は、常閉であり、駆動信号が入力されることによって開く。
【0060】
図6が示すエアシリンダ51は、伸縮することによって、吸盤60を当接位置及び離間位置に変位させる。当接位置は、吸盤60がブーム10の内面13に押圧される位置である。離間位置(図6参照)は、吸盤60が上記内面13から離間する位置である。吸盤60は、特許請求の範囲に記載された「固定部材」に相当する。リフトアップ機構50は、特許請求の範囲に記載された「固定機構」に相当する。
【0061】
また、図14が示すように、正圧センサ34が第1エア配管28に設けられている。正圧センサ34は、上記電源ケーブル35(図15参照)を通じて制御本体22から直流電圧を供給されて駆動し、検出圧力を出力する。出力された検出圧力は、通信ケーブル36を通じて制御本体22に入力される。
【0062】
図6が示すように、リフト板55は、エアシリンダ51のシリンダロッド52に取り付けられている。リフト板55は、上下方向15を厚みとし、水平方向に広がる板状部56と、板状部56から下方に向かって突出する4つの下突出部57とを有する。吸盤60が、下突出部57に固着されている。
【0063】
吸盤60は、下面が開口する半球殻状であって、内側の領域である減圧チャンバ61を有している。吸盤60は、エアシリンダ51の伸縮によって、上記当接位置及び離間位置に変位する。減圧チャンバ61は、上記当接位置において閉空間となる。
【0064】
リフト板55は、板状部56から上方に向かって突出する4つの上突出部58をさらに有している。各上突出部58は、各下突出部57の上方にそれぞれ位置しており、上突出部58と下突出部57とは、上下に並んでいる。上下に並ぶ上突出部58及び下突出部57と、その間の板状部56とを貫通する貫通孔59がリフト板55に設けられている。貫通孔59を通じて減圧チャンバ61にエアが給排される。
【0065】
詳しく説明すると、各上突出部58は、エアホース62をそれぞれ接続されている。2本のエアホース62は、シリンジ71(図14参照)に接続されている。他の2本のエアホース62は、シリンジ72(図14参照)に接続されている。4つの吸盤60の各減圧チャンバ61は、シリンジ71、72によってエアをそれぞれ給排される。減圧チャンバ61からエアが吸引されることにより、吸盤60がブーム10の内面13に吸着する。
【0066】
走行ユニット30は、吸盤60がブーム10の内面13に吸着した状態で第1モータ43が順回転することにより、前進する。詳しく説明すると、第1モータ43が順回転すると、スライダ42が本体フレーム31に対して後ろ向きに移動する。すなわち、本体フレーム31は、スライダ42に対して前向きに移動する。スライダ42は、吸盤60によってブーム10に固定されている。したがって、吸盤60がブーム10の内面13に吸着した状態で第1モータ43が順回転すると、走行ユニット30が前進する。
【0067】
走行ユニット30は、図4が示す減圧機構70をさらに有している。減圧機構70は、本体フレーム31に支持されている。減圧機構70は、吸盤60の減圧チャンバ61内を減圧する機能を有する。
【0068】
詳しく説明すると、減圧機構70は、図14が示す2つのシリンジ71、72、2つのエアシリンダ73、74、及び2つの電磁弁83、84を備える。
【0069】
シリンジ71は、第1エア配管28と接続されている。シリンジ71は、シリンジチューブ75と、シリンジチューブ75内に配置されたプランジャ76とを有する。シリンジチューブ75は、上記エアホース62を接続されている。
【0070】
エアシリンダ73は、シリンジチューブ77と、シリンジチューブ77内に配置されたプランジャ78とを有する。プランジャ78は、シリンジ71のプランジャ76と、連結部材79を用いて連結されている。すなわち、エアシリンダ73のプランジャ78は、シリンジ71のプランジャ76と一体に移動する。
【0071】
シリンジ72は、第1エア配管28と接続されている。シリンジ72は、シリンジ71と同構成であり、シリンジチューブ75と、シリンジチューブ75内に配置されたプランジャ76とを有する。シリンジチューブ75は、上記エアホース62を接続されている。
【0072】
エアシリンダ74は、エアシリンダ73と同構成であり、シリンジチューブ77と、シリンジチューブ77内に配置されたプランジャ78とを有する。プランジャ78は、シリンジ72のプランジャ76と、連結部材79を用いて連結されている。すなわち、エアシリンダ74のプランジャ78は、シリンジ72のプランジャ76と一体に移動する。
【0073】
シリンジ71及びエアシリンダ73と、シリンジ72及びエアシリンダ74とは、それぞれシリンジポンプを構成する。シリンジ71及びエアシリンダ73からなるシリンジポンプと、シリンジ72及びエアシリンダ74からなるシリンジポンプとは、各々独立して作動する。
【0074】
電磁弁81が、シリンジ71及びエアシリンダ73に供給されるエアの流路に設けられている。電磁弁82が、シリンジ72及びエアシリンダ74に供給されるエアの流路に設けられている。電磁弁81、82は、後述の制御本体22から入力された駆動信号によって流路を切り替える。
【0075】
電磁弁81、82を通じてシリンジ71、72及びエアシリンダ73、74にエアが供給されると、プランジャ76が順向きに移動する。その結果、エアホース62を通じて吸盤60の減圧チャンバ61からエアが吸引される。シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74は、例えば、約-20kpaまで減圧チャンバ61を減圧する。すなわち、シリンジ71及びエアシリンダ73と、シリンジ72及びエアシリンダ74とを用いることにより、約-20kpaまで減圧チャンバ61を減圧して、計測本体21をブーム10に強固に固定することができる。なお、電磁弁81、82により、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74に供給されるエアの向きが切り替えられることにより、プランジャ76が逆向きに移動する。すなわち、プランジャ76は、減圧チャンバ61からエアを吸引可能な初期位置に戻される。
【0076】
電磁弁83、84は、減圧状態にある減圧チャンバ61の真空破壊用である。電磁弁83、84は、エアホース86、87に設けられている。エアホース86は、シリンジ71と第1エア配管28とを繋ぐ。エアホース87は、シリンジ72と第1エア配管28とを繋ぐ。後述の制御本体22が出力する駆動信号によって電磁弁83、84が開かれると、エアホース86、87を通じてエアホース62にエアが送出されて真空破壊が行われ、大気圧未満に減圧された減圧チャンバ61内の圧力を大気開放し、吸盤60におけるブーム10の内面への吸着が素早く解除される。なお、電磁弁83、84は、エアホース62内のフラッシングも兼ねており、真空破壊に用いられたエアは、吸盤60から噴き出し、吸盤60やブーム10の内面13に付着したごみを吹き飛ばす。
【0077】
単独にフラッシングを実行するか否かの判断のために、減圧チャンバ61の圧力を計測する一対の負圧センサ85が設けられている。負圧センサ85は、制御本体22から電力を供給されて駆動し、検出した負圧である検出圧力を出力する。検出圧力は、上記通信ケーブル36(図15参照)を通じて制御本体22に入力される。
【0078】
図4が示すセンタリングユニット100は、計測本体21をブーム10(図3参照)の幅方向の中央に位置決めする機能を有する。以下、センタリングユニット100について詳しく説明がされる。
【0079】
センタリングユニット100は、リンクフレーム110と、図8が示す一対の前アーム121、122、前リンク機構140、前エアシリンダ150、及び保持筐体160を備える。図8は、前リンク機構140等を示すが、後側の後アーム131、132、後リンク機構147、後エアシリンダ155の構成も同様である。前アーム121、122は、特許請求の範囲に記載された「一方のアーム」に相当する。後アーム131、132は、特許請求の範囲に記載された「他方のアーム」に相当する。
【0080】
図4が示すリンクフレーム110は、走行ユニット30に着脱自在である。すなわち、センタリングユニット100は、走行ユニット30に着脱自在である。センタリングユニット100は、計測するブーム10のサイズに応じて、センタリングユニット101やセンタリングユニット102(図10参照)に換装される。センタリングユニットの換装については後述される。
【0081】
リンクフレーム110は、リンクフレーム本体111及び取付板112を有する。リンクフレーム本体111は、前後方向16に沿って延びる中空の矩形箱状である。リンクフレーム本体111は、下面に開口を有しており、当該開口を通じて走行ユニット30に装着される。そして、リンクフレーム本体111は、ボルト及びナットなどの固着具を用いて、走行ユニット30に固定される。
【0082】
また、リンクフレーム本体111は、左右の側面に開口を有する。当該左右の開口から、一対の前アーム121、122及び一対の後アーム131、132が突出している。
【0083】
取付板112は、計測ユニット200をリンクフレーム本体111に取り付けるための部材である。取付板112は、複数のねじ108を用いてリンクフレーム本体111の前面に取り付けられている。
【0084】
取付板112は、ねじ105がねじ込まれる複数の取付孔113を有している。ねじ105によって、計測ユニット200が取付板112に着脱自在に取り付けられる。
【0085】
リンクフレーム110は、センタリングユニット100の換装のための前後一対の環状部114をさらに有している。リンクフレーム110は、各環状部114にそれぞれ掛けられた不図示のフックによって吊り下げられる。
【0086】
図8が示す保持筐体160が、リンクフレーム本体111の内側前方及び内側後方にそれぞれ配置され、ボルト及びナットなどを用いてリンクフレーム本体111に取り付けられている。
【0087】
リンクフレーム本体111の内側前方に配置された保持筐体160は、一対の前アーム121、122及び前リンク機構140を保持する。リンクフレーム本体111の内側後方に配置された保持筐体160は、一対の後アーム131、132及び後リンク機構147を保持する。2つの保持筐体160は同一の構成である。以下では、リンクフレーム本体111の内側前方に配置された保持筐体160について主に説明がされる。
【0088】
図8及び図9が示すように、保持筐体160は、天板161、左右一対の側板162、163、2つの保持筒166、167、及び架設部材170を有している。
【0089】
天板161は、上下方向15を厚みとし、前後方向16及び左右方向17に沿って広がる矩形板状である。天板161は、挿通孔169を有している。前エアシリンダ150が、天板161に載置されている。そして、前エアシリンダ150のシリンダロッド151が挿通孔169に挿通されている。
【0090】
左右一対の側板162、163は、左右方向17を厚みとし、上下方向15及び前後方向16に沿って広がる矩形板状である。側板162、163は、天板161の左右方向17における両端部からそれぞれ下向きに突出しており、左右方向17において互いに対向している。
【0091】
左右一対の側板162、163は、貫通孔165をそれぞれ有している。前アーム121が側板162の貫通孔165に挿通されている。前アーム122が、側板163の貫通孔165に挿通されている。
【0092】
保持筒166は、不図示のねじによって側板162に取り付けられており、保持筒167は、ねじ109によって側板163に取り付けられている。保持筒166は、側板162の外側面から外向き(右向き)に突出している。保持筒167は、側板163の外側面から、外向き(左向き)に突出している。
【0093】
保持筒166、167は、同形状である。具体的には、保持筒166、167は、それぞれ丸筒状であって、軸孔168を中心部にそれぞれ有している。保持筒166は、軸孔168が側板162の貫通孔165と重なる位置に配置されている。保持筒167は、軸孔168が側板163の貫通孔165と重なる位置に配置されている。前アーム121は、保持筒166の軸孔168に挿通されており、前アーム122は、保持筒167の軸孔168に挿通されている。すなわち、一対の前アーム121、122は、左右方向17に並んでいる。
【0094】
架設部材170は、一対の側板162、163に架設されている。架設部材170は、保持筐体160の剛性を高める。図8に示す例では、2つの架設部材170が一対の側板162、163に架設されている。
【0095】
前アーム121、122は、同形状である。具体的には、前アーム121、122は、ともに真直丸棒状である。前アーム121は、保持筒166の軸孔168及び側板162の貫通孔165に挿通されており、保持筒166によって、左右方向17に沿ってスライド自在に保持されている。同様に、前アーム122は、保持筒167の軸孔168及び側板163の貫通孔165に挿通されており、保持筒167によって、左右方向17に沿ってスライド自在に保持されている。
【0096】
前アーム121の基端部は、保持筐体160内に位置している。前アーム121の先端部は、保持筒166の外部に位置している。前ヒンジ部123及び後ヒンジ部124が、前アーム121の基端部に設けられている。前ヒンジ部123は、前アーム121の基端部から前方に向かって突出している。後ヒンジ部124は、前アーム121の基端部から後方に向かって突出している。ヒンジ部123、124は、後述の第1リンク141、142と連結されている。
【0097】
前アーム121の先端部は、ローラ125及び回転軸126を保持している。詳しく説明すると、前アーム121は、上下方向15に沿って延びる回転軸126を保持している。回転軸126は、ローラ125の軸孔に挿通されている。すなわち、ローラ125は、回転軸126に回転自在に支持されている。ローラ125は、ブーム10の内面11に当接して回転する。ローラ125は、アーム121、122が内面11に加える負荷を低減する。
【0098】
前アーム122は、前アーム121と同形状であり、前アーム121と同様に、前ヒンジ部123、後ヒンジ部124、ローラ125、及び回転軸126を有する。
【0099】
前アーム121、122は、前エアシリンダ150及び前リンク機構140によって、同期して左右方向17に張り出される。以下、前エアシリンダ150及び前リンク機構140について詳しく説明がされる。
【0100】
前エアシリンダ150は、上記天板161に固定されており、計測本体21の左右方向17における中央に位置している。前エアシリンダ150のシリンダロッド151は、保持筐体160の天板161の挿通孔169に挿通されおり、保持筐体160内に位置している。
【0101】
シリンダロッド151は、前ヒンジ部152及び後ヒンジ部153を有している。前ヒンジ部152は、シリンダロッド151から前方に向かって突出している。後ヒンジ部153は、シリンダロッド151から後方に向かって突出している。ヒンジ部152、153は、後述の第1リンク141、142と連結されている。
【0102】
前エアシリンダ150は、図14が示す一対のエアホース156、157を通じて第1エア配管28と接続されている。エアホース156、157を通じて前エアシリンダ150にエアが供給されることにより、シリンダロッド151が伸縮する。
【0103】
電磁弁154が、前エアシリンダ150及び後エアシリンダ155と第1エア配管28との間のエアの流路に設けられている。電磁弁154は、後述の制御本体22から入力された駆動信号によって開く。
【0104】
前エアシリンダ150は、速度制御弁158を装着されている。同様に、後述の後エアシリンダ155も、速度制御弁158を装着されている。速度制御弁158は、電磁弁154が開かれた場合に、前エアシリンダ150を先に伸長さた後、後エアシリンダ155を伸長させる。すなわち、速度制御弁158がエアシリンダ150、155に装着されたことにより、前アーム121、122が張り出された後、後アーム131、132が張り出される。
【0105】
図8及び図9が示すように、リンク機構140は、前後一対の第1リンク141、142と、前後一対の第2リンク143、144と、を有する。
【0106】
第1リンク141、142及び第2リンク143、144は、同形状である。具体的には、第1リンク141、142及び第2リンク143、144は、細長の板状である。第1リンク141、142及び第2リンク143、144は、貫通孔145、146を両端部にそれぞれ有している。
【0107】
前アーム121の前ヒンジ部123が、第1リンク141の貫通孔146に挿通されている。前アーム121の後ヒンジ部124が、第1リンク142の貫通孔146に挿通されている。前アーム122の前ヒンジ部123が、第2リンク143の貫通孔146に挿通されている。前アーム122の後ヒンジ部124が、第2リンク144の貫通孔146に挿通されている。
【0108】
また、上記前ヒンジ部152が、第1リンク141及び第2リンク143の貫通孔145に挿通されている。上記後ヒンジ部153が、第1リンク142及び第2リンク144の貫通孔145に挿通されている。
【0109】
上記シリンダロッド151が下方に移動すると、リンク141、142、143、144が同期し(図8参照)、一対の前アーム121、122が同期して、図7(A)に示される状態から左右に張り出され、図7(B)に示される状態になる。上記シリンダロッド151が上方に移動すると、一対の前アーム121、122が図7(B)に示される状態から図7(A)に示される状態に同期して格納される。上述のように、前アーム121と前アーム122とは同形状であるので、前アーム121の張出量と前アーム122の張出量とは、常に同一である。同様に、後アーム131の張出量と後アーム132の張出量とは、常に同一である。
【0110】
なお、前エアシリンダ150及び後エアシリンダ155の動作圧力は、約0.2Mpa程度とされる。動作圧力が約0.2Mpaとされることにより、センタリングユニット100は、ブーム10の内面11、12に過大な負荷を加えることなく、センタリングを行うことができる。
【0111】
次に、センタリングユニット100の換装について説明がされる。センタリングユニット100は、計測するブーム10のサイズや種別に応じて、図10が示すセンタリングユニット101やセンタリングユニット102に換装される。
【0112】
センタリングユニット100は、小型のブーム10の計測に用いられる。センタリングユニット101は、中型のブーム10の計測に用いられる。センタリングユニット102は、大型のブーム10の計測に用いられる。なお、センタリングユニットの種類は、4種類以上であってもよい。
【0113】
以下、センタリングユニット101、102の構成について説明がされる。なお、上記センタリングユニット100と同一の構成については、同一の符号を付して説明が省略される。
【0114】
図10が示すように、センタリングユニット101は、リンクフレーム本体111に代えてリンクフレーム本体181を有する。リンクフレーム本体181の高さは、計測するブーム10のサイズに応じて、リンクフレーム本体111よりも高くされている。上記取付板112が、リンクフレーム本体181に取り付けられている。取付板112に取り付けられる計測ユニット200は、ブーム10の上下方向15における中央に位置する。すなわち、センタリングユニット100がセンタリングユニット101に換装されることにより、計測ユニット200は、常にブーム10の中央に位置する。
【0115】
センタリングユニット101は、上記保持筐体160(図9参照)に代えて、図11が示す保持筐体190を備え、上記前アーム121、122及び後アーム131、132(図9参照)に代えて、前アーム191、192、及び後アーム193、194を備える。
【0116】
保持筐体190は、上記保持筒166、167(図9参照)に代えて保持筒195、196を有する。保持筒195、196は、保持筒166、167と同様に、軸孔168を有する丸筒状であって、側板162、163にそれぞれ取り付けられている。
【0117】
保持筒195、196は、前アーム191、192の長さに合わせて、上記保持筒166、167(図9参照)よりも長くされている。保持筒195、196は、前アーム191、192が撓むことを抑制する。
【0118】
前アーム191、192は、長さ以外は、前アーム121、122(図9参照)と同じ構成である。前アーム191、192は、ブーム10のサイズに合わせて、前アーム121、122よりも長くされている。
【0119】
リンクフレーム本体181の前部に配置される保持筐体190は、上記前リンク機構140及び前エアシリンダ150を保持している。すなわち、前アーム191、192のスライド距離D1(図12(A)参照)と、前アーム191、192のスライド距離D2(図12(B)参照)とは、同じである。センタリングユニット101の前アーム191、192は、センタリングユニット100の前アーム121、122と同じ距離だけ左右に張り出してブーム10の内面11、12に当接する。すなわち、前アーム191、192の長さを前アーム121、122よりも長くすることにより、センタリングユニット100及びセンタリングユニット101において、前リンク機構140及び前エアシリンダ150は、共通の部品となる。
【0120】
リンクフレーム本体181の後部に配置される保持筐体190は、上記後リンク機構147及び後エアシリンダ155と、後アーム193、194とを保持する。後アーム193、194の構成は、前アーム191、192の構成と同じである。
【0121】
センタリングユニット102は、リンクフレーム本体182を備える。リンクフレーム本体182の高さは、リンクフレーム本体181よりも高い。リンクフレーム本体182は、上記取付板112を取り付けられている。取付板112に取り付けられた計測ユニット200は、大型のブーム10の上下方向15における中央に位置する。すなわち、センタリングユニット100がセンタリングユニット102に換装されることにより、計測ユニット200は、常にブーム10の中央に位置する。
【0122】
リンクフレーム本体182は、保持筐体160(図9参照)に代えて、不図示の保持筐体を備えている。この保持筐体は、上記天板161、一対の側板162、163、及び架設部材170と、一対の保持筒183、184を有している。保持筒183、184は、前アーム185、186の長さに合わせて、上記保持筒195、196よりも長くされている。
【0123】
リンクフレーム182が備える一方の保持筐体は、上記保持筐体160と同様にして、上記前エアシリンダ150及び一対の前アーム185、186を保持している。前アーム185、186は、大型のブーム10に合わせた長さとされている。リンクフレーム182が備える他方の保持筐体は、上記保持筐体160と同様にして、上記後エアシリンダ155及び一対の後アーム187、188を保持している。後アーム187、188は、前アーム185、186と同構成である。アーム185、186、187、188のスライド長さD3(図12(C)参照)と、前アーム121、122のスライド長さD1(図12(A)参照)とは、同じである。すなわち、アーム185、186、187、188の長さがブーム10のサイズに応じて変更されることにより、センタリングユニット100及びセンタリングユニット102において、同一構成のリンク機構140、147及びエアシリンダ150、155は、共通の部品となる。
【0124】
図4が示すように、計測ユニット200は、接続部材201、回転部材202、取付部材203、レーザ測距センサ204、第2モータ205、及び角度センサ206(図15参照)を備える。
【0125】
接続部材201は、ねじ105によって、リンクフレーム110に着脱自在に取り付けられている。図13が示すように、接続部材201は、回転軸210を回転可能に保持している。同図では、回転軸210を回転可能に保持するベアリングが接続部材201に設けられている。
【0126】
回転軸210は、前後方向16に沿って延びている。また、回転軸210は、左右方向17における計測本体21の中央に位置している。
【0127】
回転軸210は、第2モータ205(図4参照)の駆動軸と直接、或いはギアを介して間接的に連結されている。或いは、回転軸210は、第2モータ205の駆動軸であってもよい。回転軸210は、第2モータ205によって回転される。
【0128】
回転部材202は、円板状である。回転部材202は、嵌入孔217を有している。回転軸210が、嵌入孔217に嵌入されている。回転部材202は、回転軸210と一体に回転する。
【0129】
図4が示すように、回転部材202は、複数の取付孔216を有している。ねじ106が、取付孔216にねじ込まれる。取付部材203が、ねじ106によって、回転部材202に着脱自在に取り付けられている。
【0130】
取付部材203は、走行ユニット30に搭載されるセンタリングユニットの種別、すなわち、計測を行うブーム10の種別やサイズに応じて取付部材211や取付部材212(図10参照)に交換される。詳しくは後述される。
【0131】
レーザ測距センサ204は、レーザ光を照射する照射部と、ブーム10の内面で反射されたレーザ光である反射光を受光する受光部と、制御回路と、を備える。照射部と、受光部と、制御回路を構成する基板とは、ケース214に収容されている。図13では、照射部、受光部、及び制御回路の図示が省略されている。
【0132】
制御回路は、供給された直流電圧を用いて照射部を駆動するドライブ回路と、照射部がレーザ光を照射したタイミングと受光部が反射光を受光したタイミングとの差に応じた検出値を出力する出力回路と、を含む。検出値は、レーザ測距センサ204とブーム10の内面との間の距離を示す。以下では、レーザ測距センサ204が出力する検出値を、検出距離と記載して説明がされる。
【0133】
図13が示すように、ケース214は、取付孔213を有している。ねじ107が、取付孔213にねじ込まれる。レーザ測距センサ204は、ねじ107により、取付部材203、211、212に着脱自在に取り付けられている。
【0134】
ケース214は、レーザ光及び反射光が通過する窓215を有している。窓215は、回転軸210の径方向を向いている。すなわち、レーザ光は、回転軸210の径方向に照射される。レーザ測距センサ204が回転軸210と一体に1回転することにより、ブーム10の内面の全周に亘ってレーザ光が照射される。すなわち、レーザ測距センサ204は、回転軸210から内面の各位置までの距離を計測することができる。
【0135】
第2モータ205は、直流モータ或いはサーボモータである。以下では、第2モータ205が直流モータである例が説明される。第2モータ205は、不図示のドライブ回路によって駆動される。詳しく説明すると、ドライブ回路は、上記電源ケーブル35を通じて計測本体21に供給された直流電圧と第2モータ205とを接続する供給ラインに接続されたスイッチを有する。当該スイッチは、第2モータ205への直流電圧の供給のオンオフ、及び供給する直流電圧の正負の切り替えを行う。このスイッチは、制御本体22から入力された駆動信号によって動作する。すなわち、制御本体22は、第2モータ205の駆動及び回転の向きを制御することができる。
【0136】
図15が示す角度センサ206は、レーザ測距センサ204の角度を検出する。角度センサ206は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバなどである。角度センサ206は、例えば、レーザ測距センサ204の初期位置をゼロとし、回転軸210の順回転における角度を検出角度として出力する。レーザ測距センサ204の初期位置は、回転軸210の真下となる位置である。レーザ測距センサ204は、第2モータ205によって回転されていない場合、自重により初期位置にある。
【0137】
角度センサ206は、上記電源ケーブル35を通じて制御本体22から電力を供給されて駆動し、上記通信ケーブル36を通じて検出角度を制御本体22に送る。
【0138】
次に、中型のブーム10の計測に用いられる取付部材211(図10(B)参照)、及び大型のブーム10の計測に用いられる取付部材212(図10(C)参照)について説明がされる。
【0139】
図10が示すように、取付部材211及び取付部材212は、取付部材203と同様に矩形板状である。取付部材203と、取付部材211と、取付部材212とでは、長さが相違する。小型のブーム10の計測に用いられる取付部材211の長さが一番短く、中型のブーム10の計測に用いられる取付部材211の長さが次に長く、大型のブーム10の計測に用いられる取付部材212の長さが一番長くされている。
【0140】
レーザ測距センサ204と回転軸210との距離は、取付部材203と取付部材211とのいずれが採用されるかによって相違する。すなわち、ブーム10の種類やサイズに応じた取付部材が用いられることにより、レーザ測距センサ204とブーム10の内面との間の距離が一定の範囲内となる。当該一定の範囲は、レーザ測距センサ204の計測規格距離範囲に概ね一致する。すなわち、ブーム10の種類やサイズに応じた取付部材が用いられることにより、レーザ測距センサ204の計測規格距離範囲内でブーム10の計測が行われる。
【0141】
次に、センタリングユニットの換装作業及び取付部材の交換作業について、図4が参照されて説明される。なお、以下では、走行ユニット30に搭載されたセンタリングユニット100がセンタリングユニット101に換装される場合について説明がされる。すなわち、小型のブーム10の計測を行う仕様から、中型のブーム10の計測を行う仕様に計測本体21の仕様が変更される場合について説明がされる。
【0142】
作業者は、ねじ105を外して、計測ユニット200をセンタリングユニット100から取り外す。次に、作業者は、センタリングユニット100を走行ユニット30に固定するねじなどを外した後、センタリングユニット100を吊り上げ、センタリングユニット100を走行ユニット30から取り外す。そして、作業者は、センタリングユニット101を吊り下げ、センタリングユニット101を走行ユニット30に載せ、ねじ等を用いて走行ユニット30に固定する。
【0143】
また、作業者は、ねじ106、107を外し、レーザ測距センサ204を取付部材203から取り外すとともに、取付部材203を回転部材202から取り外す。次に、作業者は、ねじ106を用いて取付部材211を回転部材202に取り付けるとともに、ねじ107を用いてレーザ測距センサ204を取付部材211に取り付ける。そして、作業者は、ねじ105を用いて、レーザ測距センサ204及び取付部材211が取り付けられた回転部材202をセンタリングユニット101の取付板112に取り付ける。
【0144】
[ブーム計測装置20の制御について]
【0145】
次に、制御本体22について説明がされる。制御本体22は、図15が示すように、中央演算処理装置であるCPU301と、メモリ302と、電源ユニット303と、ディスプレイ304と、入力装置305とを備える。例えば、パーソナルコンピュータが、CPU301、メモリ302、及びディスプレイ304として用いられる。以下では、CPU301、メモリ302、及びディスプレイ304として、パーソナルコンピュータが用いられた例が説明される。CPU301及びメモリ302は、特許請求の範囲に記載された「コントローラ」に相当する。なお、図2では、制御本体22は、パーソナルコンピュータのディスプレイ304に加えディスプレイ307をさらに備えている。
【0146】
入力装置305は、マウスやキーボードやマイクロフォン(音声入力)などである。入力装置305は、計測者が入力した指示に応じた操作信号をCPU301に入力する。
【0147】
メモリ302は、不図示のOSや、制御プログラム311や、表計算プログラム312や、計測データフォーマットや、第1閾値圧力及び第2閾値圧力や、閾値距離や、画面データなどを予め記憶する。OS、制御プログラム311、及び表計算プログラム312は、CPU301によって実行される。
【0148】
表計算プログラム312は、例えば、エクセル(登録商標)などの市販のプログラムである。
【0149】
第1閾値圧力は、計測本体21に正常な圧力のエアが供給されているか否かを判断する閾値である。第2閾値圧力は、制御プログラム311がフラッシングを行うか否かの判断に用いられる閾値である。閾値距離は、不適切な長さの取付部材203、211、212が回転部材202に取り付けられているか否かの判断に用いられる閾値である。詳しくは後述される。
【0150】
計測データフォーマットは、計測本体21から上記通信ケーブル36を通じて入力した検出距離を計測角度及び移動距離と対応付けてメモリ302に記憶させるフォーマットである。計測データフォーマットは、例えば、表計算プログラム312が規定するデータであって、複数の行及び列を有する表である。各行は、1度や2度や3度などの計測角度を項目としている。各列は、距離を項目としている。そして、各フィールドに、検出距離がそれぞれ入力される。
【0151】
検出距離をフィールドに入力された計測データフォーマットである計測データ表は、例えば、計測IDや計測日時や計測者名と対応付けられてメモリ302に記憶される。計測IDは、例えば、計測したブーム10の種別や計測順などを示す情報であって、ブーム10の計測を個別に識別する識別情報である。
【0152】
画面データは、ホーム画面データや、ブーム10の計測を行う前にブーム10の種別や計測を行う計測者の氏名などの入力を受け付ける入力画面や、計測結果を表示する結果表示画面や、エラー画面などを示すデータである。
【0153】
電源ユニット303は、入力された交流電圧を24Vなどの所定の電圧値の直流電圧に変換する、いわゆるAC/DCコンバータである。電源ユニット303は、上記電源ケーブル35と接続されており、電源ケーブル35を通じて計測本体21に直流電圧を供給する。
【0154】
以下、CPU301によって実行される制御プログラム311が行う計測処理について、図16が参照されて説明される。なお、制御プログラム311が実行する処理は、コントローラとしてのCPU301が実行する処理でもある。
【0155】
ブーム10の計測を行う計測者は、パーソナルコンピュータに電源を投入し、制御プログラム311を起動させる。起動された制御プログラム311は、ホーム画面データをディスプレイ304に入力する。すなわち、ホーム画面データが示すホーム画面がディスプレイ304に表示される。計測者は、例えば、入力装置305を操作して、ホーム画面から入力画面に切り替え、計測を行うブーム10の種類や自己の氏名などを入力する。
【0156】
制御プログラム311は、入力画面において入力されたブーム10の種類や計測者の氏名をメモリ302に記憶させる。そして、入力装置305を通じて計測指示が入力されるまで待機する(S11:No)。
【0157】
同図には示されていないが、制御プログラム311は、計測指示が入力されたと判断すると(S11:Yes)、或いは図16の処理を実行中に定期的に、正圧センサ34を駆動させて、正圧センサ34が出力する検出圧力を取得する。制御プログラム311は、取得した検出圧力が、メモリ302に記憶された第1閾値圧力以上であるか否かを判断する。制御プログラム311は、検出圧力が第1閾値圧力未満である場合は、異常と判断し、メモリ302に記憶された第1エラー画面データをディスプレイ304に入力する。すなわち、第1エラー画面がディスプレイ304に表示される。第1エラー画面は、例えば、「エア圧力に異常があります」などの文字を有する。第1エラー画面を視認した検査者は、上記第1エア配管28の接続等の確認を行う。
【0158】
制御プログラム311は、計測指示が入力されたと判断すると(S11:Yes)、移動距離と対応付けて、メモリ302に記憶された計測データフォーマットに基づいて計測データ表を生成し、生成した計測データ表をメモリ302に記憶させる。例えば、制御プログラム311は、入力されたブーム10の種類等や日時に基づいて計測IDを生成し、生成した計測IDを名称とするフォルダを生成し、生成したフォルダに、移動距離等を名称とするサブフォルダを生成し、生成したサブフォルダに計測データ表を格納することにより、移動距離と対応付けて計測データ表をメモリ302に記憶させる。なお、上記計測データ表の記憶は一例であり、他の手法によって計測データ表がメモリ302に記憶されてもよい。なお、移動距離は、例えば、初期値をゼロとし、計測本体21が移動することによってカウントアップされる距離である。詳しくは後述される。
【0159】
次に、制御プログラム311は、計測本体21のセンタリングを行うセンタリング処理を実行する(S13)。詳しく説明すると、まず、制御プログラム311は、駆動信号を電磁弁154に入力し、前エアシリンダ150を伸長させる。前エアシリンダ150が伸長することにより、一対の前アーム121、122が張り出される。そして、上記速度制御弁158により、前エアシリンダ150が駆動してから第1所定時間が経過すると、後エアシリンダ155が伸長する。後エアシリンダ155が伸長することにより、一対の後アーム131、132が張り出される。第1所定時間は、上記速度制御弁158によって調整されるエアの流量によって決まる。第1所定時間は、計測本体21の前部がブーム10の幅方向に移動して位置決めされるのに要する十分な時間とされる。
【0160】
一対の前アーム121、122及び一対の後アーム131、132による計測本体21のセンタリングについて詳しく説明する。一対の前アーム121、122が張り出されると、前アーム121或いは前アーム122が、ブーム10の内面11或いは内面12に当接する。以下では、前アーム121が内面11に当接する例が説明される。
【0161】
前アーム121がブーム10の内面11に当接することにより、前アーム121は、ブーム10の内面11から抗力を受ける。すなわち、計測本体21の前部は、ブーム10の内面11によってブーム10の幅方向に押される。ブーム10の内面11に押された計測本体21の前部は、ブーム10の幅方向の中央に向かって移動する。その際、計測本体21の支持脚32のボール33が回転する。回転するボール33は、計測本体21がブーム10の幅方向に移動する際に計測本体21とブーム10の内面13との間に生じる摩擦力を低減する。すなわち、ボール33は、前アーム121がブーム10の内面11に加える力(負荷)を低減する。
【0162】
計測本体21がブーム10の幅方向へ移動することにより、前アーム122がブーム10の内面12に当接する。すなわち、計測本体21の前部が、ブーム10の幅方向における中央に位置決めされる。
【0163】
計測本体21の前部がブーム10の幅方向における中央に位置決めされた後、一対の後アーム131、132が張り出される。
【0164】
張り出された後アーム131、132によって、上述と同様にして、計測本体21の後部がブーム10の幅方向における中央に位置決めされる。すなわち、計測本体21は、その中心線がブーム10の中心線に一致するセンター位置に位置決めされる。
【0165】
制御プログラム311は、センタリング処理を実行した後(S13)、吸盤60を降下させるリフトダウン処理を実行する(S14)。具体的には、制御プログラム311は、エアシリンダ51を伸長させる駆動信号を電磁弁54に入力する。伸長したエアシリンダ51は、吸盤60を降下させ、吸盤60をブーム10の内面13に押圧する。吸盤60がブーム10の内面13に押圧されることにより、吸盤60の減圧チャンバ61が閉空間となる。
【0166】
次に、制御プログラム311は、吸盤60の減圧チャンバ61からエアを吸引する吸引処理を実行する(S15)。具体的には、制御プログラム311は、電磁弁81、82に駆動信号を入力してシリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させ、減圧チャンバ61からエアを吸引する。すなわち、吸盤60がブーム10の内面13に吸着し、計測本体21がブーム10に固定される。ステップS15の処理は、特許請求の範囲に記載された「固定処理」に相当する。
【0167】
制御プログラム311は、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させたことに基づいて、負圧センサ85が出力する検出圧力(負圧)を取得する(S16)。制御プログラム311は、取得した検出圧力が、メモリ302に記憶された第2閾値圧力未満になったか否かを判断する(S17)。制御プログラム311は、検出圧力が第2閾値未満になったと判断すると(S17:Yes)、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74の駆動を停止させ、減圧チャンバ61を減圧状態で維持する(S18)。
【0168】
制御プログラム311は、検出圧力が第2閾値未満になっていないと判断すると(S17:No)、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させてからの経過時間が第2所定時間に達したか否かを判断する(S19)。例えば、制御プログラム311は、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させたことに基づいて、第2所定時間を初期値とするカウントダウンタイマを動作させる。制御プログラム311は、カウントダウンタイマがタイムアップしたか否かに基づいて、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させてからの経過時間が第2所定時間に達したか否かを判断する。
【0169】
制御プログラム311は、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させてからの経過時間が第2所定時間に達していないと判断すると(S19:No)、ステップS16以降の処理を再度実行する。なお、ステップS16の検出圧力の取得は、所定の時間間隔で定期的に実行される。すなわち、ステップS16、S17、S19の処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0170】
エアとともにごみなどが吸引されるなどした場合、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させてからの経過時間が第2所定時間に達したとしても、減圧チャンバ61の圧力は、閾値圧力未満まで低下しない場合がある。制御プログラム311は、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させてからの経過時間が第2所定時間に達したと判断すると(S19:Yes)、フラッシング処理を実行する(S20)。
【0171】
フラッシング処理について詳しく説明がされる。まず、制御プログラム311は、電磁弁81、82を通じてシリンジ71、72及びエアシリンダ73、74に供給するエアの流路を切り替えて、プランジャ76を初期位置に戻す。次に、制御プログラム311は、上記電磁弁83、84に駆動信号を入力して、電磁弁83、84を開く。電磁弁83、84が開かれることにより、減圧チャンバ61とシリンジ71、72との間の流路にエアが送出される。送出されたエアは、当該流路に吸引されたごみなどを、吸盤60から外に排出する。すなわち、減圧チャンバ61とシリンジ71、72との間の流路のフラッシングが行われる。
【0172】
制御プログラム311は、例えば、電磁弁83、84に駆動信号を入力してからの経過時間が第3所定時間に達したことに基づいて、電磁弁83、84への駆動信号の入力を停止し、フラッシング処理を終了する。すなわち、第3所定時間だけフラッシングが行われる。
【0173】
制御プログラム311は、フラッシング処理の終了後(S20)、ステップS15以降の処理を再度実行する。すなわち、シリンジ71、72及びエアシリンダ73、74を駆動させて、吸盤60の減圧チャンバ61からエアを吸引する。
【0174】
制御プログラム311は、減圧チャンバ61からのエアの吸引後(S18)、一対の前アーム121、122及び一対の後アーム131、132の張り出しを停止させ、アーム121、122、131、132を弛める(S21)。具体的には、前エアシリンダ150及び後エアシリンダ155へのエアの流路に設けられた電磁弁154への駆動信号の入力を停止させ、電磁弁154を閉じる。アーム121、122、131、132が弛められることにより、ブーム10の内面の計測が行われる際に、アーム121、122、131、132が、ブーム10の内面11、12に負荷を加えることが防止される。ステップS21の処理は、特許請求の範囲の「停止処理」に相当する。
【0175】
なお、センタリングの精度を高めるため、吸盤60によって計測本体21をブーム10に固定してから前アーム121、122及び一対の後アーム131、132が弛められてもよいが、一対の前アーム121、122及び一対の後アーム131、132がブーム10の内面11、12を押す時間を短くするため、一対の前アーム121、122及び一対の後アーム131、132が緩められた後、吸盤60によって計測本体21をブーム10に固定してもよい。すなわち、ステップS13の処理の実行後、ステップS21の処理が実行され、次いで、ステップS14以降の処理が実行されてもよい。その場合、ステップS21の処理は、例えば、前エアシリンダ150或いは後エアシリンダ155を駆動させた後、一対の前アーム121、122及び一対の後アーム131、132が張り出すのに十分な時間である所定時間が経過したことに基づいて、ステップS21の処理が実行される。或いは、ステップS21の処理は、前エアシリンダ150や後エアシリンダ155に供給するエアの圧力が所定の圧力以上になったことに基づいて実行される。
【0176】
次に、制御プログラム311は、第2モータ205を逆回転させる駆動信号を、第2モータ205に入力する逆回転処理を実行する(S22)。すなわち、制御プログラム311は、回転部材202及びレーザ測距センサ204を逆回転させる。そして、制御プログラム311は、角度センサ206が出力する検出角度を取得する(S23)。制御プログラム311は、取得した検出角度が、メモリ302に予め記憶された所定角度に達したか否かを判断する(S24)。所定角度は、例えば330度や315度などである。すなわち、回転部材202及びレーザ測距センサ204は、半回転しない角度範囲で逆向きに回転される。
【0177】
制御プログラム311は、検出角度が所定角度に達していないと判断すると(S24:No)、ステップS23以降の処理を再度実行する。なお、ステップS23の検出角度の取得は、所定の時間間隔で定期的に実行される。すなわち、ステップS23、S24の処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0178】
制御プログラム311は、検出角度が所定角度に達したと判断すると(S24:Yes)、駆動信号を第2モータ205に入力して、第2モータ205を順回転させる(S25)。そして、制御プログラム311は、角度センサ206が出力する検出角度を取得する(S26)。
【0179】
制御プログラム311は、レーザ測距センサ204が回転軸210の真下となる初期位置まで回転したか否かを判断する(S27)。具体的には、制御プログラム311は、ステップS26で取得した検出角度が0度に達したか否かを判断する。制御プログラム311は、レーザ測距センサ204が初期位置に達していないと判断すると(S27:No)、ステップS26、S27の処理を再度実行する。なお、ステップS26の検出角度の取得は、所定の時間間隔で定期的に実行される。すなわち、ステップS26、S27の処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0180】
制御プログラム311は、レーザ測距センサ204が初期位置に到達したと判断すると(S27:Yes)、ブーム10の計測を開始する。すなわち、制御プログラム311は、第2モータ205を逆回転させた後、順回転させ、回転部材202及びレーザ測距センサ204が所定の角速度まで加速されて初期位置を通過した後、ブーム10の計測を開始する。
【0181】
詳しく説明すると、まず、制御プログラム311は、レーザ測距センサ204に駆動信号を入力し、レーザ測距センサ204を駆動する(S28)。駆動されたレーザ測距センサ204は、レーザ光を断続的に照射し、一定の時間間隔で検出距離を出力する。また、制御プログラム311は、角度センサ206が出力する検出角度を取得する(S29)。制御プログラム311は、取得した検出角度が、メモリ302に予め記憶された計測角度になったか否かを判断する(S30)。計測角度は、例えば初期値を0度としてカウントアップされる角度である。
【0182】
制御プログラム311は、取得した検出角度が計測角度に到達していないと判断すると(S30:No)、検出角度を再度取得する(S29)。なお、ステップS29の検出角度の取得は、所定の時間間隔で定期的に実行される。すなわち、ステップS29、S30の処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0183】
制御プログラム311は、取得した検出角度が、メモリ302に記憶された計測角度に達したと判断すると(S30:Yes)、レーザ測距センサ204が出力した検出距離を取得する(S31)。そして、制御プログラム311は、取得した検出距離が、メモリ302に記憶された閾値距離を超えているか否かを判断する(S32)。詳しく説明すると、例えば、大型のブーム10の計測を行う場合において、計測者が、適正な長さの取付部材212ではなく、適正な長さよりも短い取付部材203や取付部材211をセンタリングユニット102に誤って取り付けてしまった場合、ブーム10の内面とレーザ測距センサ204との間の距離が長くなり、検出距離が閾値距離を超える。すなわち、ステップS32では、計測者が間違って長さの短い取付部材を取り付けてしまったか否かが判断される。
【0184】
制御プログラム311は、検出距離が閾値距離を超えていると判断すると(S32:Yes)、メモリ302に記憶された第2エラー画面データをディスプレイ304に入力して、第2エラー画面データが示す第2エラー画面をディスプレイ304に表示させるエラー報知を行う(S33)。第2エラー画面は、例えば、「適正な取付部材が取り付けられていません」などの文字を有する。第2エラー画面を視認した計測者は、適正な種類の取付部材を計測本体21に取り付ける。
【0185】
制御プログラム311は、検出距離が閾値距離以下であると判断すると(S32:No)、ステップS12で生成してメモリ302に記憶させた計測データ表において、メモリ302に記憶された計測角度と一致する計測角度と対応するフィールドに、ステップS29で取得した検出距離を入力する(S34)。
【0186】
次に、制御プログラム311は、レーザ測距センサ204が初期位置から1回転したか否かを判断する(S35)。例えば、制御プログラム311は、ステップS29で取得した検出角度が359度に達したか否かを判断し、検出角度が359度に達したと判断したことに基づいて、レーザ測距センサ204が1回転したと判断する。
【0187】
制御プログラム311は、レーザ測距センサ204が1回転していないと判断すると(S35:No)、1度や2度などの所定の角度だけ計測角度をカウントアップする(S36)。すなわち、制御プログラム311は、次の計測角度を決定する。例えば、2度ごとに距離を計測する場合、制御プログラム311は、2度だけ計測角度をカウントアップする。
【0188】
制御プログラム311は、ステップS36の処理の実行後、ステップS29以降の処理を再度実行する。すなわち、レーザ測距センサ204が1回転するまで、一定の角度ごとに距離が検出され、検出された距離(検出距離)が計測データ表に入力されていく。ステップS28からステップS34までの処理は、特許請求の範囲の「計測処理」に相当する。なお、1度や2度などの所定の角度間隔で検出距離を取得可能であれば、ステップS29からS35の処理以外の処理が実行されてもよい。
【0189】
制御プログラム311は、ステップS35において、レーザ測距センサ204が1回転したと判断すると(S35:Yes)、ブーム10の端まで計測本体21が移動したか否かを判断する(S37)。具体的には、制御プログラム311は、移動距離が、ブーム10の長さに対応した閾値長さに達したか否かを判断する。なお、メモリ302は、ブーム10の種類に対応した閾値長さを予め記憶する。制御プログラム311は、計測の前に計測者が入力したブーム10の種類に対応付けられた閾値長さをメモリ302から読み出して使用する。
【0190】
制御プログラム311は、ブーム10の端まで移動していないと判断すると(S37:No)、移動を行う(S38)。具体的には、制御プログラム311は、メモリ302に予め記憶された所定回転数だけ第1モータ43を順回転させる。第1モータ43の回転数に応じた回転数だけねじ軸44が順回転し、ねじ軸44の回転数に応じた移動距離だけ計測本体21が前進する。
【0191】
制御プログラム311は、ねじ軸44の回転数に応じた移動距離だけ、メモリ302に記憶された移動距離をカウントアップする(S39)。例えば、500mmごとにブーム10の内面の計測を行う場合、500mmに対応する回転数だけ第1モータ43を順回転させ、移動距離を500mmだけカウントアップする。
【0192】
次に、制御プログラム311は、吸盤60の吸引を解除する(S40)。具体的には、制御プログラム311は、電磁弁83、84に駆動信号を入力して、吸盤60の減圧チャンバ61にエアを供給して真空破壊を行う。すなわち、制御プログラム311は、計測本体21の固定を解除する。ステップS40の処理は、特許請求の範囲に記載された「固定解除処理」に相当する。
【0193】
制御プログラム311は、吸盤60の吸引を解除した後(S40)、吸盤60を上昇させるリフトアップ処理を実行する(S41)。具体的には、制御プログラム311は、電磁弁54に駆動信号を入力して、エアシリンダ51を収縮させ、吸盤60を支持するリフト板55を上昇させる。
【0194】
制御プログラム311は、吸盤60を上昇させた後(S41)、スライダ42を初期位置に戻す(S42)。具体的には、制御プログラム311は、第1モータ43を、上記所定回転数だけ逆回転させる。第1モータ43が逆回転すると、ねじ軸44が逆回転して、スライダ42が本体フレーム31に対して前向きに移動し、スライダ42が初期位置に戻る。なお、このとき、計測本体21は、支持脚32によって支持されている。
【0195】
制御プログラム311は、ステップS42の処理の実行後、ステップS12以降の処理を再度実行する。すなわち、ステップS39でカウントアップした移動距離と対応付けて計測データ表を生成し、生成した計測データ表に検出距離を入力して、計測データ表を完成させる。すなわち、制御プログラム311は、500mmなどの一定の距離ごとにブーム10の内面の計測を行って、移動距離と対応付けられた複数の計測データ表を生成してメモリ302に記憶させる。
【0196】
制御プログラム311は、ステップS37において、ブーム10の端まで計測を終えたと判断すると(S37:Yes)、終了処理を実行する(S43)。具体的には、制御プログラム311は、ステップS40からS42までの処理と同一の処理を実行する。
【0197】
次に、制御プログラム311は、生成した計測データ表において互いに対応付けられた計測角度と検出距離とを、2次元座標系における座標群に変換する座標変換処理を実行する(S44)。具体的に説明すると、まず、制御プログラム311は、計測データ表に入力された検出距離に所定値を加え、検出対応距離を算出する。所定値は、回転軸210とレーザ測距センサ204との間の距離に相当する値であって、ブーム10の種類やサイズと対応付けてメモリ302に予め記憶されている。計測角度と検出対応距離とは、回転軸210を原点とした極座標系(いわゆる円座標系)における座標を示す。制御プログラム311は、円座標系の各座標を、xy平面における2次元座標系の座標にそれぞれ変換する。例えば、制御プログラム311は、表計算プログラム312の機能を利用して、座標変換処理を実行する。なお、制御プログラム311は、ステップS34において、検出距離に代えて上記検出対応距離を計測データ表に入力してもよい。
【0198】
制御プログラム311は、座標変換処理によって生成した2次元座標系の各座標が示すブーム10の形状を示す図形を、ディスプレイ304に表示させる表示処理を実行する(S45)。制御プログラム311は、例えば、表計算プログラム312の機能を利用して、上記図形をディスプレイ304に表示させる。
【0199】
検査者は、ディスプレイ304に表示されたブーム10の形状及び計測データ表と、高さ:設計値±Amm以下、幅:設計値±Bmm以下、平坦度:1000mm内で±Cmm以内の検査規格とに基づいて、ブーム10の良否を判断する。
【0200】
一方、計測者は、計測本体21から電源ケーブル35や通信ケーブル36や第1エア配管28を外し、ブーム10内の端にある計測本体21をブーム10から取り出す。
【0201】
[実施形態の作用効果]
【0202】
本実施形態では、一対の前アーム121、122が左右に張り出されることにより、計測本体21がブーム10の幅方向における中央に位置決めされる。すなわち、ブーム計測装置20は、ブーム10の幅方向の中心に計測本体21が位置決めされた状態で、ブームの内面の計測を行うことができる。
【0203】
また、一対の前アーム121、122と、一対の後アーム131、132とが前後方向17に並んで設けられている。したがって、計測本体21は、前後方向17において離間する2か所において、ブーム10の幅方向における中央に位置決めすることができる。よって、1か所で位置決めするよりも、計測本体21をブーム10の幅方向の中央に正確に位置決めすることができる。その結果、ブーム10の計測の精度を向上させることができる。
【0204】
また、第1リンク141、142及び第2リンク143、144によって、一対の前アーム121、122を同期して左右に張り出させる。すなわち、簡単な構成の前リンク機構140で、一対の前アーム121、122を同期して左右に張り出させることができる。
【0205】
また、支持脚32に設けられたボール33が回転することにより、センタリングにおいてブーム10の幅方向に計測本体21が移動する際のブーム10の内面13と計測本体21との間に生じる摩擦力が低減される。したがって、センタリングにおいて前アーム121或いは前アーム122がブーム10の内面11或いは内面12に加える力(負荷)が低減する。すなわち、計測本体21は、計測対象であるブーム10の内面に加える負荷を低減することができる。
【0206】
また、一対の前アーム121、122の先端にコマ125がそれぞれ設けられている。コマ125は、ブーム10の内面11或いは内面12に当接することによって回転する。回転するコマ125は、前アーム121、122がブーム10の内面11、12に加える負荷を低減する。すなわち、計測本体21は、ブーム10が曲がっていた場合に、計測本体21がブーム10の内面11、12に加える負荷を低減することができる。
【0207】
また、センタリングユニット100、101、102は、走行ユニット30に着脱自在であり、ブーム10の種類やサイズに応じたセンタリングユニットが走行ユニット30に搭載される。適切なセンタリングユニットが走行ユニット30に搭載されることにより、一対の前アーム121、122及び一対の後アーム131、132を、ブーム10の内面11、12の高さ方向における中央に当接させることができる。その結果、ブーム10の種類やサイズに拘わりなく、計測本体21を、ブーム10の幅方向における中央に、より正確に位置決めすることができる。
【0208】
また、一対の前アーム121、122は、保持筒166、167にそれぞれ保持されて左右方向17に移動する。保持筒166、167は、前アーム121、122の撓みを抑制する。また、保持筒166、167は、前アーム121、122の上下方向15や前後方向16への位置ずれを抑制する。したがって、計測本体21は、ブーム10の幅方向における中央に、より正確に位置決めすることができる。
【0209】
また、計測ユニット200を保持するセンタリングユニット100、101、102は、走行ユニット30に着脱自在であって、ブーム10の種類やサイズに応じたセンタリングユニットが走行ユニット30に搭載される。そして、適切なセンタリングユニットが走行ユニット30に搭載されることにより、ブーム10の種類やサイズに拘わりなく、計測ユニット200が、ブーム10の高さ方向における中央に位置することになる。したがって、レーザ測距センサ204を仕様規格範囲内で使用することができる。その結果、ブーム10の計測の精度がさらに向上する。
【0210】
また、吸盤60がブーム10の内面13に吸引することにより、計測本体21がブーム10に固定される。したがって、ブーム計測装置20は、計測本体21をブーム10に固定して計測を行うことができる。すなわち、上述の第1エアホースから計測本体21にエアが送出されることによる計測本体21の位置ずれを生じさせることなく、ブーム10の計測を行うことができる。
【0211】
また、制御プログラム311は、一対の前アーム121、122及び一対の後アーム131、132の左右への張り出しを停止した後(S21)、ブーム10の計測を行う。すなわち、計測対象であるブーム10の内面11、12に負荷を加えずに、ブーム10の計測を行う。したがって、ブーム計測装置20は、ブーム10の計測を、より正確に行うことができる。
【0212】
また、制御プログラム311は、計測ユニット200に近い方のアームである一対の前アーム121、122を張り出させた後、一対の後アーム131、132を張り出せる。すなわち、計測本体21は、計測ユニット200が配置された前部が位置決めされた後、後部が位置決めされる。したがって、ブーム計測装置20は、計測ユニット200を、ブーム10の幅方向の中央に、より正確に位置決めすることができる。
【0213】
[変形例]
【0214】
上述の実施形態では、制御プログラム311が、ステップS44の座標変換処理において、回転軸210を原点とした円座標を、回転軸210を原点としたx,yの2次元座標に変換してディスプレイ304に表示する例が説明された。もっとも、制御プログラム311は、回転軸210を原点とした円座標を、回転軸210を原点としたx,y,zの3次元座標に変換してディスプレイ304に表示してもよい。z軸は、ブーム10が延びる方向に沿っており、ブーム10の一端をゼロとする。制御プログラム311は、計測本体21の移動距離をz座標とする。本変形例では、ブーム10の内検の形状が立体的に表示される。したがって、検査者におけるブーム10の良否の判断がさらに容易になる。
【0215】
上述の実施形態では、計測本体21が1回の移動を行うごとにスライダ42が初期位置に戻される例が説明された。もっとも、ねじ軸44が、例えば3回の移動を行った後、スライダ42が初期位置に戻されてもよい。例えば、計測本体21が15cmずつ3回の移動を行った後、スライダ42が初期位置に戻されてもよい。
【0216】
上述の実施形態では、検出角度が計測角度に到達するごとに(S30:Yes)、検出距離が計測データ表に入力される(S34)例が説明された。すなわち、制御プログラム311が、一定の角度間隔で検出距離を取得する例が説明された。もっとも、制御プログラム311は、一定の時間間隔で検出距離を取得してもよい。
【0217】
上述の実施形態では、レーザ光を用いて検出距離を取得する例が説明された。もっとも、ブーム計測装置20は、音波や電波を用いて検出距離を取得してもよい。例えば、計測ユニット200は、レーザ測距センサ204に代えて、音波や電波を出力し、ブーム10の内面で反射された音波や電波を受信する音波センサやレーダを備えていてもよい。
【0218】
メモリ302に記憶された上記第1閾値圧力や、第2閾値圧力や、閾値距離や、計測本体21の1回の移動距離(例えば500mm)は、固定値であってもよいし、検査者が変更可能な値であってもよい。
【0219】
上述の実施形態では、制御プログラム311が、所定角度だけ第2モータ205を逆回転させてから順回転させる例が説明された。もっとも、制御プログラム311は、所定時間だけ第2モータ205を逆回転させてから順回転させてもよい。
【0220】
上述の実施形態では、ブームの種類やサイズに応じてセンタリングユニットが換装される例が説明された。もっとも、ブーム10の種類やサイズごとに計測本体21が製造されてもよい。
【0221】
上述の実施形態では、コントローラであるCPU301及びメモリ302が計測本体21の外部に設けられた例が説明された。もっとも、CPU301及びメモリ302は、計測本体21のみ、或いは計測本体21及び制御本体22に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0222】
10・・・ブーム
11、12、13、14・・・内面
15・・・上下方向
16・・・前後方向
17・・・左右方向
20・・・ブーム計測装置
21・・・計測本体
22・・・制御本体
30・・・走行ユニット
31・・・本体フレーム
32・・・支持脚
33・・・ボール
40・・・スライド機構
41・・・スライドベース
42・・・スライダ
43・・・第1モータ
50・・・リフト機構
51・・・エアシリンダ
55・・・リフト板
60・・・吸盤
61・・・減圧チャンバ
62・・・エアホース
70・・・減圧機構
71、72・・・シリンジ
73、74・・・エアシリンダ
75・・・シリンジチューブ
76・・・プランジャ
85・・・負圧センサ
100、101、102・・・センタリングユニット
110、180・・・リンクフレーム
121、122・・・前アーム
125・・・ローラ
131、132・・・後アーム
140・・・前リンク機構
141、142・・・第1リンク
143、144・・・第2リンク
147・・・後リンク機構
150・・・前エアシリンダ
155・・・後エアシリンダ
166、167、195、196・・・保持筒
200・・・計測ユニット
202・・・回転部材
203、211、212・・・取付部材
204・・・レーザ測距センサ
205・・・第2モータ
206・・・角度センサ
301・・・CPU
302・・・メモリ
303・・・電源ユニット
304、307・・・ディスプレイ
305・・・入力装置
311・・・制御プログラム

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16