(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】人事管理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1053 20230101AFI20240802BHJP
【FI】
G06Q10/1053
(21)【出願番号】P 2020069259
(22)【出願日】2020-04-07
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】521444527
【氏名又は名称】株式会社JIMリノア
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】池田 時浩
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-042546(JP,A)
【文献】特開2016-207165(JP,A)
【文献】特開2013-161364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人事管理のためのコンピュータとしての人事管理装置であって、
従業者が使用する従業者端末及び前記従業者を管理する管理者が使用する管理者端末に対して通信可能に接続され、
仕事及びプライベートのモチベーションを評価するための質問情報
であって、質問及び前記質問に回答するための選択肢と、前記選択肢に対応する値とを含む前記質問情報を記憶する質問情報記憶部と、
前記質問情報記憶部に記憶された前記質問情報を
前記従業者端末に提供する質問提供部と、
前記質問情報に対する回答情報を前記従業者端末から受け付ける回答受付部と、
仕事のモチベーションを評価するための前記質問情報及び前記回答情報に基づいて、仕事のモチベーションを評価する仕事モチベーション評価値
を算出し、プライベートのモチベーションを評価するための前記質問情報及び前記回答情報に基づいて、プライベートのモチベーションを評価するプライベートモチベーション評価値を算出する第1算出部と、
前記第1算出部が算出した前記従業者の前記仕事モチベーション評価値及び前記プライベートモチベーション評価値
と、予め設定された前記仕事モチベーション評価値及び前記プライベートモチベーション評価値に対応した範囲とに基づいて、前記従業者の仕事に対するモチベーションを示す仕事モチベーション態様及び前記従業者のプライベートに対するモチベーションを示すプライベートモチベーション態様を決定するモチベーション態様決定部と、
前記第1算出部が算出した前記従業者の前記仕事モチベーション評価値及び前記プライベートモチベーション評価値に基づいて、前記管理者を評価するための指標であるモチベーションスコアを前記従業者ごとに算出する第2算出部と、
前記仕事モチベーション評価値、前記プライベートモチベーション評価値及び前記モチベーションスコアを合計した合計値に基づいて、前記管理者が前記従業者のモチベーションの管理に関して評価を受けるための評価値であるモチベーション評価値を算出する評価算出部と、
前記モチベーション態様決定部が決定した前記仕事モチベーション態様及び前記プライベートモチベーション態様
と、前記第2算出部が算出した前記モチベーションスコアと、前記評価算出部が算出した前記モチベーション評価値とを、前
記管理者端末に送信する送信部と、
を備える人事管理装置。
【請求項2】
前記第2算出部は、前記管理者の組織に属する前記従業者の前記プライベートモチベーション評価値が相対的に低い場合、前記モチベーションスコアに考慮値を加える、請求項
1に記載の人事管理装置。
【請求項3】
前記仕事モチベーション態様は、色彩を含むアイコンによって前記従業者の仕事のモチベーションを表し、
前記プライベートモチベーション態様は、人の表情を模したアイコンによって前記従業者のプライベートのモチベーションを表す、請求項1
又は2に記載の人事管理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれかに記載の人事管理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人事管理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業において有形資産だけでなく、人的資本等の無形資産の重要性が高まっている。そのため、企業の管理者は、無形資産の価値を向上させることが求められている。人的資産の要素としては、例えば従業者の仕事に対するモチベーションが挙げられる。
【0003】
従業者の仕事に対するモチベーションを向上させるために、例えば特許文献1のような技術が提案されている。特許文献1に記載のモチベーション管理装置は、位置情報及び発言情報に基づき対象従業員のモチベーションの因子となるモチベータの度合いを算出し、モチベータの度合いとモチベーションの度合いとの関連度を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従業者のモチベーションに関する技術及び方法は、特許文献だけでなく、書籍や、公演、インターネット上の情報等のような様々な形態で提案されている。すなわち、従業者のモチベーションの管理は、企業組織の管理者にとって重要な要素である。例えば、モチベーションが下がっている従業者を補助することができる従業者が評価される企業組織であれば、企業組織の運営は向上し、企業組織の管理者は、個々の従業者のモチベーションの向上及び組織の問題解決力の向上を図ることができる。
【0006】
そこで、本発明は、従業者のモチベーションを管理することができる人事管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、仕事及びプライベートのモチベーションを評価するための質問情報を従業者が使用する従業者端末に提供する質問提供部と、前記質問情報に対する回答情報を前記従業者端末から受け付ける回答受付部と、前記質問情報及び前記回答情報に基づいて、仕事のモチベーションを評価する仕事モチベーション評価値及びプライベートのモチベーションを評価するプライベートモチベーション評価値を算出する第1算出部と、前記仕事モチベーション評価値及び前記プライベートモチベーション評価値に基づいて、前記従業者の仕事に対するモチベーションを示す仕事モチベーション態様及び前記従業者のプライベートに対するモチベーションを示すプライベートモチベーション態様を決定するモチベーション態様決定部と、前記仕事モチベーション態様及び前記プライベートモチベーション態様を、前記従業者を管理する管理者が使用する管理者端末に送信する送信部と、を備える人事管理装置に関する。
【0008】
また、前記人事管理装置は、前記従業者の前記仕事モチベーション評価値及び前記プライベートモチベーション評価値に基づいて、前記管理者が前記従業者のモチベーションを適切に管理できているかを示す指標であるモチベーションスコアを算出する第2算出部を更に備え、前記送信部は、前記仕事モチベーション態様、前記プライベートモチベーション態様及び前記モチベーションスコアを前記管理者端末に送信してもよい。
【0009】
また、前記第2算出部は、前記管理者の組織に属する前記従業者の前記プライベートモチベーション評価値が相対的に低い場合、前記モチベーションスコアに考慮値を加えてもよい。
【0010】
また、前記人事管理装置は、前記仕事モチベーション評価値、前記プライベートモチベーション評価値及び前記モチベーションスコアに基づいて、前記管理者が前記従業者のモチベーションの管理に関して評価を受けるための評価値であるモチベーション評価値を算出する評価算出部を更に備え、前記送信部は、前記仕事モチベーション態様、前記プライベートモチベーション態様、前記モチベーションスコア及び前記モチベーション評価値を前記管理者端末に送信してもよい。
【0011】
また、前記仕事モチベーション態様は、色彩を含むアイコンによって前記従業者の仕事のモチベーションを表し、前記プライベートモチベーション態様は、人の表情を模したアイコンによって前記従業者のプライベートのモチベーションを表してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従業者のモチベーションを管理することができる人事管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る人事管理システムの全体構成図である。
【
図2】本実施形態に係る人事管理装置の機能ブロック図である。
【
図3】仕事モチベーション態様とプライベートモチベーション態様との具体例を示す図である。
【
図4】仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値とモチベーションスコアとの関係を示す図である。
【
図5】仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアの具体例を示す図である。
【
図6】モチベーション評価値を用いた人事評価例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る人材管理システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
〔人事管理システム100の全体構成〕
人事管理システム100は、人事管理装置1と、管理者端末2と、従業者端末3と、を備える。
人事管理装置1は、例えば、人事管理システム100を使用する企業等に設けられ、企業等の組織に属する従業者及び管理者の人事管理を行う。管理者は、企業内において、従業者の属する組織の管理職であり、従業者を管理する権限を有する。従業者は、管理者の管理する組織に属しており、管理者の管理下において業務を行う。
【0015】
管理者端末2は、例えば、人事管理システム100を使用する企業等に設けられ、企業等の組織に属する管理者によって使用される。
【0016】
従業者端末3は、例えば、人事管理システム100を使用する企業等に設けられ、企業等の組織に属する従業者によって使用される。
そして、人事管理装置1と、管理者端末2と、従業者端末3とは、データ通信網Nによってデータ通信が可能になっている。
【0017】
〔人事管理装置1〕
図2に示すように、人事管理装置1は、制御部11と、記憶部12と、データ通信IF(インタフェース)13とを備える。
【0018】
制御部11は、人材管理サーバ1の全体を制御するCPU(中央処理装置)である。制御部11は、記憶部12に記憶されているOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0019】
制御部11は、質問提供部111と、回答受付部112と、第1算出部113と、モチベーション態様決定部114と、第2算出部115と、評価算出部116と、送信部117と、を備える。
【0020】
質問提供部111は、仕事及びプライベートのモチベーションを評価するための質問情報を従業者に提供する。
具体的には、質問提供部111は、従業者の仕事及びプライベートのモチベーションを評価するための質問情報を記憶している質問情報記憶部122を参照し、質問及び質問に回答するための選択肢を含む質問情報を、従業者の使用する従業者端末3へ提供する。なお、質問提供部111は、質問情報を定期的(例えば、三ヶ月に1回)に従業者端末3へ提供する。
【0021】
質問情報は、例えば、以下の例に示すような質問及び質問に回答するための選択肢を含む。
[仕事について]
1 この会社で働くことを通して喜びを感じている
2 今の仕事に誇りを持っている
3 休日明けに出勤するのが楽しみだ
4 仕事を通じて、毎日が充実している
5 会社から大切にされている実感がある
6 職場において自由に発言できる
7 一生に働いている人たちに対して感謝している
8 私の仕事は、能力を発揮でき、チャレンジし甲斐がある
9 職場は、スキルや能力を伸ばす機会や風土がある
10 仕事を通じて、人として成長している
11 プライベートでの出来事が仕事に影響することがある
12 会社からのノルマにプレッシャーを感じる
13 悩みを相談でき信頼できる同僚・上司がいる
14 正当に評価されていると感じている
15 転職を考えたことがある
[プライベートについて]
1 家族との関係は良好である
2 家族と過ごす時間は取れている
3 両親との関係は良好である
4 義両親との関係は良好である
5 家族のちょっとした行動にイライラすることがある
6 プライベートであなたが「幸せだ」と感じるときがある
7 プライベートでストレスを感じることがある
8 ひとりの時間が欲しいと思うことがある
9 自分の趣味や何か熱中しているもの、熱中したいものがある
10 困ったときに家族に相談することができる
11 バランスの良い食事がとれている
12 体力維持のため、運動できている
13 質の良い睡眠が取れている
14 友人と過ごす時間が取れている
15 プライベートで寂しさを感じることがある
16 職場での出来事がプライベートに影響することがある
[回答]
A まったく当てはまらない
B ほとんど当てはまらない
C あまり当てはまらない
D どちらとも言えない
E 少し当てはまる
F だいたい当てはまる
G 非常に当てはまる
なお、上述した質問及び回答は、一例であり、他の質問及び回答であってもよい。
【0022】
回答受付部112は、質問情報に対する回答情報を従業者端末3から受け付ける。
具体的には、従業者は、従業者端末3を使用して、上述したような仕事及びプライベートのモチベーションを評価するための各質問に対してA~Gの選択肢のいずれかを選択した回答情報を作成し、人事管理装置1へ送信する。そして、回答受付部112は、質問情報に対する回答情報を従業者端末3から受け付ける。
【0023】
第1算出部113は、質問情報及び質問情報に対する回答情報に基づいて、仕事のモチベーションを評価する仕事モチベーション評価値及びプライベートのモチベーションを評価するプライベートモチベーション評価値を算出する。
【0024】
具体的には、第1算出部113は、上述したような仕事のモチベーションを評価するための質問に対する回答の選択肢A~Gに対してそれぞれ1~7の数値を予め割り当てる。第1算出部113は、各回答の選択肢に割り当てられた数値を合計し、合計値を算出することによって仕事モチベーション評価値を算出する。
【0025】
同様に、第1算出部113は、上述したようなプライベートのモチベーションを評価するための質問に対する回答の選択肢A~Gに対してそれぞれ1~7の数値を予め割り当てる。第1算出部113は、各回答の選択肢に割り当てられた数値を合計し、合計値を算出することによってプライベートモチベーション評価値を算出する。なお、上述した仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値の算出方法は、一例であり、他の算出方法を用いてもよい。
【0026】
モチベーション態様決定部114は、仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値に基づいて、従業者の仕事に対するモチベーションを示す仕事モチベーション態様及び従業者のプライベートに対するモチベーションを示すプライベートモチベーション態様を決定する。
【0027】
具体的には、モチベーション態様決定部114は、仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値に基づいて、それぞれ5段階の仕事モチベーション態様及びプライベートモチベーション態様を決定する。例えば、仕事モチベーション評価値に応じて5段階の範囲が予め設定され、5段階の範囲のそれぞれに対応する仕事モチベーション態様が予め設定される。
【0028】
そして、モチベーション態様決定部114は、算出された仕事モチベーション評価値が、予め設定された5段階の範囲のいずれに該当するかを判定し、該当する5段階の範囲のうちの1つに対応する仕事モチベーション態様を決定する。
【0029】
同様に、プライベートモチベーション評価値に応じて5段階の範囲が予め設定され、5段階の範囲のそれぞれに対応するプライベートモチベーション態様が予め設定される。そして、モチベーション態様決定部114は、算出されたプライベートモチベーション評価値が、予め設定された5段階の範囲のいずれに該当するかを判定し、該当する5段階の範囲のうちの1つに対応するプライベートモチベーション態様を決定する。
【0030】
なお、仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値に応じた5段階の範囲及び5段階の範囲のそれぞれに対応する仕事モチベーション態様及びプライベートモチベーション態様は、記憶部12に予め記憶される。
【0031】
図3は、仕事モチベーション態様とプライベートモチベーション態様との具体例を示す図である。
図3に示すように、仕事モチベーション態様は、仕事モチベーション評価値に応じた色彩を含むハート型のアイコンによって表現される。
【0032】
より具体的には、仕事モチベーション態様は、予め設定された仕事モチベーション評価値の5段階の範囲に対応しており、仕事モチベーション評価値が大きい方から順に、赤色、橙色、黄色、緑色及び青色の色彩を含むアイコンによって表現される。なお、
図3において色彩の違いは、ハッチングによって表される。
【0033】
また、プライベートモチベーション態様は、プライベートモチベーション評価値に応じた人間の顔の表情を模したアイコンによって表現される。
より具体的には、プライベートモチベーション態様は、予め設定されたプライベートモチベーション評価値の5段階の範囲に対応しており、プライベートモチベーション評価値が大きい方から順に、満面の笑顔、笑顔、普通、悲しい顔、非常に悲しい顔を模したアイコンによって表現される。
【0034】
図2に戻り、第2算出部115は、従業者の仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値に基づいて、管理者が従業者のモチベーションを適切に管理できているかを示す指標であるモチベーションスコアを算出する。すなわち、モチベーションスコアは、従業者ごとに算出され、管理者を評価するための指標である。
【0035】
図4は、仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値とモチベーションスコアとの関係を示す図である。
モチベーションスコアは、仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値によって決定される。すなわち、モチベーションスコアは、
図4に示すように、仕事モチベーション態様及びプライベートモチベーション態様に応じて決定される値である。
【0036】
また、第2算出部115は、管理者の組織に属する従業者のプライベートモチベーション評価値が相対的に低い場合、当該従業員のモチベーションスコアに考慮値を加える。
【0037】
具体的には、
図4に示すプライベートモチベーション態様が、悲しい顔のアイコンである場合、つまり、従業者のプライベートモチベーション評価値が相対的に低い場合、第2算出部115は、当該従業員のモチベーションスコアに考慮値10を加えている。
【0038】
また、プライベートモチベーション態様が、非常に悲しい顔のアイコンである場合、第2算出部115は、当該従業員のモチベーションスコアに考慮値20を加えている。
【0039】
したがって、プライベートモチベーション態様が普通の顔のアイコンである場合、モチベーションスコアは、順に、100、70、50、30及び0であるが、プライベートモチベーション態様が、悲しい顔のアイコンである場合、モチベーションスコアは、順に、110、80、60、40及び10である。また、プライベートモチベーション態様が、非常に悲しい顔のアイコンである場合、モチベーションスコアは、順に、120、90、70、50及び20である。
【0040】
図5は、仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアの具体例を示す図である。
【0041】
図5に示すように、送信部117は、ある管理者の属する組織の従業員の各々についての仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアを管理者端末2に送信する。また、仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアは、定期的に決定されるため、過去の履歴も含む。
【0042】
図2に戻り、評価算出部116は、各従業員の仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアに基づいて、管理者が従業者のモチベーションの管理に関して評価を受けるための評価値であるモチベーション評価値を算出する。
【0043】
例えば、評価算出部116は、仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアを合計した合計値を算出する。そして、評価算出部116は、仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアが満点である場合の合計値を100とした場合の、仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアを合計した合計値の換算値をモチベーション評価値として算出する。
【0044】
例えば、評価算出部116は、仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアが満点である場合の合計値が、1600であり、ある管理者の仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアを合計した合計値が1200である場合、ある管理者のモチベーション評価値は、1200/1600×100=75となる。
【0045】
図6は、モチベーション評価値を用いた人事評価例を示す図である。
図6に示すように、管理者は、職務の評価値や、自己成長の評価値と共に、モチベーション評価値を用いて総合評価が判断される。また、
図6に示すモチベーション評価値は、数値だけでなく、
図3に示した仕事モチベーション態様と同様に、予め設定された仕事モチベーション評価値の5段階の範囲に対応しており、仕事モチベーション評価値が大きい方から順に、赤色、橙色、黄色、緑色及び青色の色彩を含むアイコンによって表現される。なお、
図3と同様に、色彩の違いは、ハッチングによって表される。
【0046】
図2に戻り、送信部117は、仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様、モチベーションスコア及びモチベーション評価値を管理者端末2に送信する。
具体的には、送信部117は、評価情報記憶部123を参照して、各従業員の仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様、モチベーションスコア及びモチベーション評価値を、各従業員の属する組織の管理者が使用する管理者端末2に送信する。
【0047】
図2に戻り、記憶部12は、制御部11が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部12は、プログラム121と、質問情報記憶部122と、評価情報記憶部123と、を備える。
【0048】
プログラム121は、上述した制御部11が行う各種機能を実行するためのアプリケーションプログラムである。
質問情報記憶部122は、従業者の仕事及びプライベートのモチベーションを評価するための質問情報を記憶する。
【0049】
評価情報記憶部123は、各従業員の仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値、仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアを関連付けて記憶する。また、評価情報記憶部123は、モチベーション評価値も記憶する。
【0050】
上記の各記憶部は、一例である。また、記憶部12に記憶されるデータ項目は、上記のものに限定されない。
図2に示すデータ通信IF13は、データ通信網Nとの間のインタフェースである。
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、人事管理装置1は、制御部11、記憶部12等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
【0051】
〔処理の説明〕
次に、本実施形態に係る人事管理装置1の処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る人事管理装置1の処理を示すフローチャートである。
図7のステップS(以下、単に「S」という。)1において、質問提供部111は、仕事及びプライベートのモチベーションを評価するための質問情報を従業者の使用する従業者端末3に提供する。
S2において、回答受付部112は、質問情報に対する回答情報を従業者の使用する従業者端末3から受け付ける。
【0052】
S3において、第1算出部113は、質問情報及び質問情報に対する回答情報に基づいて、仕事のモチベーションを評価する仕事モチベーション評価値及びプライベートのモチベーションを評価するプライベートモチベーション評価値を算出する。
【0053】
S4において、モチベーション態様決定部114は、仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値に基づいて、従業者の仕事に対するモチベーションを示す仕事モチベーション態様及び従業者のプライベートに対するモチベーションを示すプライベートモチベーション態様を決定する。
【0054】
S5において、第2算出部115は、従業者の仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値に基づいて、管理者が従業者のモチベーションを適切に管理できているかを示す指標であるモチベーションスコアを算出する。
【0055】
S6において、評価算出部116は、各従業員の仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアに基づいて、管理者が従業者のモチベーションの管理に関して評価を受けるための評価値であるモチベーション評価値を算出する。
【0056】
S7において、送信部117は、ある管理者の属する組織の従業員の各々についての仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様、モチベーションスコア及びモチベーション評価値を管理者が使用する管理者端末2に送信する。
【0057】
このように、本実施形態の人事管理装置1によれば、以下のような効果がある。
(1)人事管理装置1は、仕事及びプライベートのモチベーションを評価するための質問情報を従業者が使用する従業者端末3に提供する質問提供部111と、質問情報に対する回答情報を従業者端末3から受け付ける回答受付部112と、質問情報及び回答情報に基づいて、仕事のモチベーションを評価する仕事モチベーション評価値及びプライベートのモチベーションを評価するプライベートモチベーション評価値を算出する第1算出部113と、仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値に基づいて、従業者の仕事に対するモチベーションを示す仕事モチベーション態様及び従業者のプライベートに対するモチベーションを示すプライベートモチベーション態様を決定するモチベーション態様決定部114と、仕事モチベーション態様及びプライベートモチベーション態様を、従業者を管理する管理者が使用する管理者端末2に送信する送信部117と、を備える。
【0058】
これにより、管理者は、従業者の仕事に対するモチベーション及びプライベートに対するモチベーションの両方を管理及び把握することができるため、個々の従業者のモチベーションの向上及び組織の問題解決力の向上を図ることができる。
【0059】
(2)また、人事管理装置1は、従業者の仕事モチベーション評価値及びプライベートモチベーション評価値に基づいて、管理者が従業者のモチベーションを適切に管理できているかを示す指標であるモチベーションスコアを算出する第2算出部115を更に備え、送信部117は、仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアを管理者端末2に送信する。これにより、管理者は、従業員の仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアを把握することができる。
【0060】
(3)また、第2算出部115は、管理者の組織に属する従業者のプライベートモチベーション評価値が相対的に低い場合、モチベーションスコアに考慮値を加える。これにより、人事管理装置1は、プライベートのモチベーションの低い従業員の仕事のモチベーションを上げることができる管理者を適切に評価することができる。よって、人事管理装置1を用いることにより、例えば、管理者(例えば、課長職)を管理する権限を有する上位管理者(例えば、部長職)は、プライベートのモチベーションの低い従業者の仕事のモチベーションを上げることができる管理者を適切に評価することができる。
【0061】
(4)また、人事管理装置1は、仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアに基づいて、管理者が従業者のモチベーションの管理に関して評価を受けるための評価値であるモチベーション評価値を算出する評価算出部を更に備え、送信部117は、仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様、モチベーションスコア及びモチベーション評価値を管理者端末2に送信する。これにより、管理者は、従業員の仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアと共に、自身の評価であるモチベーション評価値を把握することができる。
【0062】
なお、送信部117は、更に、仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様、モチベーションスコア及びモチベーション評価値を、管理者を管理する権限を有する上位管理者が使用する管理者端末2に送信してもよい。これにより、上位管理者は、従業員の仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアと共に、管理者のモチベーション評価値を把握することができる。
【0063】
(5)また、仕事モチベーション態様は、色彩を含むアイコンによって従業者の仕事のモチベーションを表し、プライベートモチベーション態様は、人の表情を模したアイコンによって従業者のプライベートのモチベーションを表す。これにより、管理者は、仕事モチベーション態様とプライベートモチベーション態様とを明確に区別できると共に、従業員の仕事に対するモチベーション及びプライベートに対するモチベーションを可視化して、直感的に把握することができる。
【0064】
(6)また、送信部117は、ある管理者の属する組織の従業員の各々についての仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアを、過去の履歴も含めて管理者端末2に送信している。これにより、管理者は、従業員の仕事のモチベーション及びプライベートにモチベーションの変化を視覚的に容易に把握できるので、従業員のモチベーションの管理をより適切に行える。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。
【0066】
例えば、本実施形態では、評価算出部116に、仕事モチベーション評価値、プライベートモチベーション評価値及びモチベーションスコアに基づいてモチベーション評価値を算出させたが、これに限らない。すなわち、評価算出部116に、
図5に示すような、従業員のモチベーションスコアの変化も含めてモチベーション評価値を算出させてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、
図5において、管理者端末2に送信される情報である、仕事モチベーション態様、プライベートモチベーション態様及びモチベーションスコアの具体例を示したが、送信される情報はこれに限らない。例えば、
図5に示す情報に加えて、仕事モチベーション態様及びプライベートモチベーション態様が共に低下した場合に、仕事モチベーション態様を示すアイコンに、例えばエクスクラメーションマーク(「!」マーク)を更に付して表示させてもよい。これにより、管理者は、仕事のモチベーションが低下している要因としてプライベートのモチベーションの定価が影響している可能性があることを、より容易に把握できる。
【0068】
また、本発明の人事管理装置を、従業者としての管理者(例えば課長職)の仕事のモチベーション及びプライベートのモチベーションの両方を管理及び把握に用いてもよい。これにより、より上位の管理者(例えば、部長職)による下位の管理者のモチベーション管理能力を評価できる。
【符号の説明】
【0069】
1 人事管理装置
11 制御部
12 記憶部
13 データ通信IF
100 人事管理システム
111 質問提供部
112 回答受付部
113 第1算出部
114 モチベーション態様決定部
115 第2算出部
116 評価算出部
117 送信部