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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】網戸用板材及び網戸
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/52 20060101AFI20240802BHJP
【FI】
E06B9/52 F
E06B9/52 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020211424
(22)【出願日】2020-12-21
(65)【公開番号】P2022098083
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安永 圭佑
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-027556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/52-9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造をなすための立体加工が施されたコア材と、
前記コア材の第1表面側に積層された平板状の第1外装材と、
前記コア材の第2表面側に積層された平板状の第2外装材と、
を備えた合成樹脂製の中空板材で構成され、
前記中空板材に、当該中空板材を貫通する複数の貫通孔が形成され
前記中空板材は、三層気泡ボードで構成され、
前記コア材は、前記第1表面側から前記第2表面側に向かって中空状に膨出した複数の突起部が成形されたキャップシートであり、
前記第1外装材は、前記キャップシートの前記突起部内に空気を封入して気泡を形成するように、前記キャップシートに接合されたバックシートであり、
前記第2外装材は、前記キャップシートの前記突起部の頂面に積層されて、前記頂面に接着されたライナーシートであ
ことを特徴とする、網戸用板材。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記バックシートにおいて、前記キャップシートと接合した領域に開口し、前記ライナーシートにおいて、前記キャップシートの前記突起部の前記頂面と接合していない領域に開口している
ことを特徴とする、請求項記載の網戸用板材。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記第1外装材に開口した第1開口部と、前記第2外装材に開口した第2開口部とを有し、
前記第1開口部と前記第2開口部とは、前記中空板材の主表面に垂直な方向からみて、互いにずれた位置に配置されている
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の網戸用板材。
【請求項4】
前記網戸用板材は、透光性を有する
ことを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の網戸用板材。
【請求項5】
前記網戸用板材は、1mm~20mmの板厚を有する
ことを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の網戸用板材。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記網戸用板材に10mm四方につき1つ以上形成されている
ことを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の網戸用板材。
【請求項7】
前記貫通孔の各々は、0.1mm~2mmの径を有する
ことを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の網戸用板材。
【請求項8】
請求項1~のいずれかに記載の網戸用板材と、
前記網戸用板材の周囲を保持する枠体と
を備えたことを特徴とする、網戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、網戸用板材及び網戸に係り、より詳細には、中空板材で構成された網戸用板材及びこれを用いた網戸に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、網戸は、家屋の窓などの開口部に設置されて、室内外の通風を可能にしつつ、蚊や蝿などの昆虫の室内への侵入を防ぐ機能を有する。そのため、網戸には、通常、防虫ネットなどの目の細かい網状体が張設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-112202号公報
【文献】特開2019-138102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の網戸の網状体には保温性が無いため、開口部に網戸だけが設けられた状態では、室内を効率良く冷房又は暖房することが困難であった。また、従来の網戸の網状体には防音性もないため、開口部に網戸だけが設けられた状態では、室内の話し声などの生活音がそのまま室外へ漏れるとともに、室外の騒音が室内へ侵入してしまっていた。
【0005】
さらに、例えば、近時、伝染病の感染拡大防止の観点から、夏場などの高温多湿の季節に限らず、通年で室内の換気を確保することが推奨されている。その一方で、近年、気候の温暖化に伴い、蚊や蝿といった室内への侵入を阻止すべき昆虫の活動時期が長期化する傾向がある。かかる観点からも、通気性を有しつつ、断熱性及び防音性を有する網戸が望まれる。
【0006】
なお、網戸ではないが、騒音を外部に漏らさず通気性の或る環境を提供する通気窓として、上記の特許文献1に、筐体の内部にグラスウールなどの吸音材を充填し、貫通穴を設けた遮音性を有する通気窓が記載されている。
しかし、かかる通気窓は、グラスウールを必要とし、また、グラスウールを充填しているため、厚さが100mm~300mmと厚くなりすぎて網戸として使用するには好適ではない。
【0007】
また、上記の特許文献2には、多数の微小な貫通孔が形成されたシート材を枠体で保持した網戸が記載されている。
しかし、かかる網戸は、貫通孔が形成されたシート材を通風部材としているにすぎないため、断熱性及び防音性の機能をもたせることが困難である。
【0008】
本発明は、上記の事情にかんがみてなされたものであり、通気性を有しつつ、断熱性及び防音性を有する網戸用板材及び網戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明の網戸用板材は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材と、前記コア材の第1表面側に積層された平板状の第1外装材と、前記コア材の第2表面側に積層された平板状の第2外装材と、を備えた合成樹脂製の中空板材で構成され、前記中空板材に、当該中空板材を貫通する複数の貫通孔が形成され、前記中空板材は、三層気泡ボードで構成され、前記コア材は、前記第1表面側から前記第2表面側に向かって中空状に膨出した複数の突起部が成形されたキャップシートであり、前記第1外装材は、前記キャップシートの前記突起部内に空気を封入して気泡を形成するように、前記キャップシートに接合されたバックシートであり、前記第2外装材は、前記キャップシートの前記突起部の頂面に積層されて、前記頂面に接着されたライナーシートであることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の網戸は、上記の網戸用板材と、前記網戸用板材の周囲を保持する枠体とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の網戸用板材及び網戸においては、複数の貫通孔を形成した合成樹脂製の中空板材で網戸用板材を構成しているため、網戸用板材の内部に空気層が存在する。これにより、本発明の網戸用板材及び網戸によれば、貫通孔により通気性を確保しつつ、中空板材の中空構造の空気層により断熱性及び防音性の機能を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る網戸の正面図である。
図2】(a)は、本発明の実施形態に係る網戸用板材の断面斜視図であり、(b)は、(a)に示した中空板材の分解要部斜視図である。
図3】(a)は、図2に示した網戸用板材の要部切り口であり、(b)及び(c)は、(a)に示した網戸用板材の変形例の要部切り口である。
図4図2に示した網戸用板材の昇温度時の断熱性能試験結果を示すグラフであり、(a)は、昇温度時の試験結果を示し、(b)は、降温度時の試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(網戸)
図1に、本実施形態の網戸1の正面図を示す。同図に示す網戸1は、網戸用板材10と、網戸用板材10の周囲を保持する枠体20とを備えている。
【0014】
網戸用板材10は、合成樹脂製の中空板材100で構成されている。在来のサッシを中空板材100の枠体として利用する観点から、中空板材100は1mm~20mmの板厚を有するのが好ましく、さらに、2mm~15mmの板厚を有するのがより好ましい。
【0015】
また、枠体20としては、例えば、アルミサッシ、樹脂製サッシ又は木製サッシのようなサッシの枠体を用いることができる。なお、枠体20は、サッシに限定されない。
【0016】
(中空板材)
図2(a)に、網戸用板材10を構成する中空板材100の要部斜視図を示し、図2(b)に、図2(a)に示した中空板材100の分解要部斜視図を示す。なお、図2(b)では、貫通孔110の図示を省略している。
【0017】
図2(a)及び図2(b)に示すように、網戸1を構成する網戸用板材10は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材120と、コア材120の第1表面120a側に積層された平板状の第1外装材130と、コア材120の第2表面120b側に積層された平板状の第2外装材140とを備えた合成樹脂製の中空板材100で構成されている。
このように、網戸用板材10を中空板材100で構成することにより、簡単な構造で、軽量で安価な網戸用板材10及びそれを用いた網戸1を提供することができる。
【0018】
本実施形態では、中空板材100は、三層気泡ボード100で構成されている。具体的には、コア材120は、第1表面120a側から第2表面120b側に向かって中空状に膨出した複数の突起部121が成形されたキャップシート120である。第1外装材130は、キャップシート120の突起部121内に空気を封入して気泡を形成するように、キャップシート120に接合されたバックシート130である。第2外装材140は、キャップシート120の突起部121の頂面121aに積層されて、頂面121aに接着されたライナーシート140である。
なお、キャップシート120の突起部121の形状は、図2(b)に示すような円柱状に限定されず、例えば、角柱状、角錐台状、円錐台状とすることもできる。また、キャップシート120の突起部121は、一定間隔で周期的に配置してもよいし、ランダムに配置してもよい。
また、キャップシート120における突起部121の占有率は、60~90%であることが好ましい。
【0019】
このような三層気泡ボード100は、例えば、図示しない多数のキャビティ孔が設けられた成形ロールの外周面に、シート状に連続して繰り出される溶融樹脂を接触させて中空状に膨出する多数の突起部121を真空成形することによってキャップシート120を形成しつつ、このキャップシート120を、突起部121の開口側に供給されたバックシート130と、突起部121の頂面121a側に供給されたライナーシート140とで挟み込み、これらを熱融着により積層一体化し、しかる後に所定の形状に切り出すことによって製造することができる。
【0020】
なお、上記のようにして三層気泡ボード100を製造するにあたり、バックシート130、キャップシート120、ライナーシート140のそれぞれの厚みは、三層気泡ボード100に要求される強度、剛性などを考慮して適宜調整することができ、通常は、例えば0.1mm~1.5mm程度とすることができる。
また、キャップシート120と、バックシート130及びライナーシート140とは、接着剤で接着してもよいし、熱融着によって接合することもできる。熱融着は、ヒートシールバーからの伝熱によって熱融着するものに限らず、例えば、超音波融着、高周波融着を利用することもできる。
【0021】
三層気泡ボード100などの合成樹脂製の中空板材100の材料としては、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂などを挙げることができる。
ただし、中空板材100の材料はこれらに限定はされるものではなく、種々の熱可塑性の合成樹脂を用いることが可能である。
【0022】
また、本実施形態の網戸用板材10を構成する中空板材100は、透光性を有する。中空板材100が半透明である場合には、中空板材100に入射した外光が、特にコア材120で乱反射され、室内で散乱光となって、室内が明るく感じられる。また、中空板材100に透明度の高い材料を使用すれば、通風を確保しつつ、ガラス窓の代わりにすることができる。このように、中空板材100に透光性を有する材料を使用すれば、採光性の向上を図ることができる。
【0023】
(貫通孔)
中空板材100には、当該中空板材100を貫通する複数の貫通孔110が形成されている。多数の微小な貫通孔110により、網戸1の両面間の通風が確保する上で、貫通孔110は、中空板材100に、10mm四方に1つ以上形成されている。好ましくは、貫通孔は、10mm四方に1~5個形成されるのがよい。
なお、貫通孔110は、規則正しく配置してもよいし、ランダムに配置してもよい。
【0024】
貫通孔110の各々は、通風を確保しつつ、昆虫や雨水の侵入を防止する観点から、0.1mm~2mmの直径を有することが好ましい。このサイズの開口であれば、ほとんどの虫や雨水は通り抜けることが困難である。
なお、貫通孔110の開口の輪郭は、円形に限定されず、多角形でもよいし、不定形でもよい。貫通孔110の開口の輪郭が非円形である場合には、開口の対角線など最大径となる方向での直径が0.1mm~2mmであればよい。
【0025】
(貫通孔の配置)
図3(a)に、図2に示した中空板材100の要部切り口を示す。図3(a)に示すように、貫通孔110は、第1外装材としてのバックシート130に開口した第1開口部111と、第2外装材としてのライナーシート140に開口した第2開口部112とを有する。同図に示す例では、貫通孔110は、突起部121が形成されている領域と、突起部121が形成されていない領域の両方に形成されている。
【0026】
図3(b)に、図3(a)に示した中空板材100の変形例の要部切り口を示す。図3(b)に示す例では、貫通孔110は、突起部121が形成されていない領域にのみ形成されている。具体的には、貫通孔110の第1開口部111は、バックシート130において、キャップシート120と接合した領域に開口し、第2開口部112は、ライナーシート140において、キャップシート120の突起部121の頂面121aと接合していない領域に開口している。
貫通孔110をこのように配置することにより、突起部121内に封入された空気が外部と連通することが回避される。その結果、独立した多数の突起部121内の気泡による断熱性能を維持することができる。これにより、通気性を確保しつつ、図3(a)に示した構成よりも断熱性の向上を図ることができる。
【0027】
図3(c)に図3(a)に示した中空板材100の別の変形例の要部切り口を示す。図3(c)に示す例では、貫通孔110の、バックシート130に開口した第1開口部111と、ライナーシート140に開口した第2開口部112とが、中空板材100の主表面100aに垂直な方向からみて、互いにずれた位置に配置されている。
貫通孔110の第1開口部111と第2開口部112とをこのように互いにずれた位置に配置することにより、通気性を確保しつつ、図3(a)に示した構成よりも防音性の向上を図ることができる。
なお、図3(c)に示す例では、貫通孔110を突起部121が形成されていない領域にのみ形成したが、突起部121に貫通孔110を、第1開口部111と第2開口部112とを互いにずれた位置となるように配置してもよい。
【0028】
なお、図3(a)~図3(c)に示したいずれの場合も、第1開口部111の数と、第2開口部112の数とは、互いに同数でもよいし、互いに異なってもよい。
【0029】
以下、図2に示した本実施形態の網戸用板材10の通気性、断熱性、防音性、採光性についての性能試験結果を説明する。
【0030】
(通気性)
筒口から風を吹き出す送風機(図示せず)を使用し、その筒口に従来の網戸を設置した状態で、測定したところ、表1に示すように、風速2.6m/s、体積流量2.34m/sであった。
【0031】
次に、従来の網戸の測定時と同一送風機で測定条件を揃えて、図2(a)に示した網戸用板材10を設置して測定した。表1に示すように、網戸用板材10の通気性が確認された。
【0032】
【表1】
【0033】
なお、バックシート130側から送風した場合とライナーシート140側から送風した場合とで、風速及び体積流量に違いが生じた原因は、中空板材100に貫通孔110を穿孔して形成した際に、バックシート130側の貫通孔110の第1開口部111の周囲が僅かに外方へ突出し、一方、ライナーシート140側の貫通孔110の第2開口部112の周囲が僅かに内方へ陥入しているためと考えられる。
【0034】
(断熱性)
上面が開口した、外寸が258mm×188mm×高さ116mm、有効内寸が198mm×128mm×高さ86mmの発砲スチロール製の箱(図示せず)を2つ用意し、一方の箱の開口に、その開口を塞ぐように従来の網戸を設置し、他方の箱の開口に、その開口を塞ぐように図2(a)に示した網戸用板材10を設置した。両方の箱に1.5Lの水をそれぞれ入れ、両方の箱で同一条件でヒーターで水をそれぞれ加温し、その後、加温を止めてそれぞれ自然冷却した。
【0035】
図4(a)に、加温による昇温時の水温の変化を示す。図4(a)のグラフ中の折れ線Iは、従来の網戸を設置した箱における昇温時の30秒毎の測定値を示す黒三角プロットを結んだものであり、折れ線IIは、網戸用板材10を設置した箱における昇温時の30秒毎の測定値を示す黒四角プロットを結んだものである。
従来の網戸を設置した場合には、折れ線Iに示すように、加温開始時に24℃だった水温は、加温開始から13分30秒後に35℃に達した。これに対して、網戸用板材10を設置したところ、折れ線IIに示すように、加温開始時に24℃だった水温は、加熱開始からわずか4分後に36℃に達した。これより、網戸用板材10の断熱性が確認された。
【0036】
次に、図4(b)に、自然冷却による降温時の水温の変化を示す。図4(b)のグラフ中の折れ線IIIは、従来の網戸を設置した箱における30秒毎の降温時の測定値を示す黒三角プロットを結んだものであり、折れ線IVは、網戸用板材10を設置した箱における降温時の30秒毎の測定値を示す黒四角プロットを結んだものである。
従来の網戸を設置した場合には、折れ線IIIに示すように、自然冷却開始時に35℃だった水温は、自然冷却開始から12分30秒後に26℃まで下がった。これに対して、網戸用板材10を設置したところ、折れ線IVに示すように、自然冷却開始時に35℃だった水温は、自然冷却開始から16分30秒かかって26℃まで下がった。これより、網戸用板材10の断熱性が確認された。
【0037】
(防音性)
厚さ10mmの中質繊維板(Medium density fiberboard:MDF)製の、内寸の一辺が300mで一側面が開口した立方体の防音箱(図示せず)を用意し、この防音箱内に設置したスピーカーからホワイトノイズを発音させ、開口の正面、開口から1mの距離にて、音の強さを測定した。開口に従来の網戸を設置した状態で、30秒平均で70デジベルであった音の強さが、開口に図2(a)に示した網戸用板材10を設置したところ、30秒平均で63デジベルに減衰した。これにより、網戸用板材10の防音性が確認された。
【0038】
(採光性)
好天時の太陽光の照度が50000ルクスのときに、太陽光が図1に示した網戸1の網戸用板材10ごしに入射した室内での照度は、22500ルクスであった。照度計の数値は、網戸1を設置することによって半減したが、網戸用板材10に入射した太陽光が、網戸用板材10を構成する透光性を有する中空板材100で乱反射して散乱したため、室内は明るく感じられた。
【0039】
(変形例)
以上、本発明の網戸用板材及び網戸の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る網戸用板材及び網戸は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。上述した実施形態では、網戸用板材を構成する合成樹脂製の中空板材を、三層気泡ボードで構成した例を説明したが、中空板材はこれに限定されるものではない。例えば、中空板材を、第1外装材と第2外装材との間に、六角柱などの多数の中空部を画成するように配置した仕切り壁材をコア材としたハニカム構造板で構成してもよい。また、中空板材を、第1外装材と第2外装材との間に、断面矩形状の中空部を形成するように多数列設した壁材をコア材としたプラスチック段ボールで構成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 網戸
10 網戸用板材
20 枠体
100 中空板材、三層気泡ボード
100a 主表面
110 貫通孔
111 第1開口部
112 第2開口部
120 コア材、キャップシート
120a 第1表面
120b 第2表面
121 突起部
121a 頂面
130 第1外装材、バックシート
140 第2外装材、ライナーシート
図1
図2
図3
図4