(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】着脱装置
(51)【国際特許分類】
F16B 7/20 20060101AFI20240802BHJP
F16B 7/22 20060101ALI20240802BHJP
A47K 13/26 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
F16B7/20 A
F16B7/22
A47K13/26
(21)【出願番号】P 2021037854
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000110206
【氏名又は名称】株式会社TOK
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】室井 翔太
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112401726(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/00-7/22
F16B 21/00-21/20
A47K 13/12
A47K 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンとケースと操作ボタンとからなる着脱装置であって、
前記ピンは、
挿入端側から順に、前記挿入端側に向かって円錐状に形成されたガイド部と、
前記ピンの外周面に形成された環状のロック溝と、を有し、
前記ケースは、
前記ケースの一端側から他端側に向う前記ケースの軸心に沿って前記ケース内に形成された操作ボタン挿入空間と、
前記ケースの外周面から前記操作ボタン挿入空間内に通じるピン挿入孔と、
前記操作ボタンを所定の位置で解除可能に保持止めするアンロック用係止部と、を有し、
前記操作ボタンは、
前記ピンが挿入可能なロック孔を有して前記ピン挿入孔を横切って前記操作ボタン挿入空間内に配置され、前記ロック孔を貫通した前記ピンの前記ロック溝内に係合して前記ピンの抜け止めを行うロック位置と前記ピン挿入孔に前記ロック孔が対応して前記ロック溝内から外れるアンロック位置とに移動可能なロックバーと、
前記ロックバーの一端側に設けられて、少なくとも一部が前記操作ボタン挿入空間内で前記軸心に沿って前記ロックバーと共にスライドする外部から押し込み操作可能なボタン本体部と、
前記ロックバーが前記アンロック位置に移動した際に前記アンロック用係止部と係合可能に設けられ、前記ロックバーを前記アンロック位置で解除可能にロックするフック部と、を有し
、
前記ケースは、前記操作ボタンが前記ロックバーと共に前記ロック位置に移動した際に、前記フック部と係合して前記ロックバーを前記ロック位置で解除可能にロックするロック用係止部をさらに有している、
ことを特徴とする着脱装置。
【請求項2】
前記操作ボタンは、前記操作ボタンの移動を前記ロック位置側に付勢するバネ部を前記ロックバーの他端側に設けている、ことを特徴とする請求項
1に記載の着脱装置。
【請求項3】
前記操作ボタンと前記ケースとの間には、前記操作ボタンの押し込み量を規制するストッパー部が設けられている、ことを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の着脱装置。
【請求項4】
前記操作ボタンは、前記ロック孔を貫通した前記ピンの前記ガイド部と当接して、前記操作ボタンの移動を前記ロック位置側に付勢する制御バーを、前記ロック孔を挟んでそれぞれ設けられている、ことを特徴とする請求項1から請求項
3までのいずれか1項に記載の着脱装置。
【請求項5】
前記ロック用係止部と前記アンロック用係止部は、前記操作ボタン挿入空間を挟んで対向する位置に各々1対ずつ設けられているとともに、前記フック部は、1対の前記ロック用係止部と1対の前記アンロック用係止部に対応して1対設けられている、ことを特徴とする請求項1から請求項
4までのいずれか1項に記載の着脱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着脱装置に関するものであり、例えばトイレの便器に便座を着脱自在に取り付けるのに適した着脱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、トイレの便器に対して便座及び便蓋を着脱可能にとする着脱機構が記載されている。この着脱機構は、便器に取り付けられるべき固定部と、便座及び便蓋に取り付けられるヒンジ装置に設けられる着脱部からなる。また、固定部には、周方向に沿って溝が形成されたピンが設けられている。一方、着脱部は、ケースと、ケース内に配置されケースに対しスライド可能なシャフトと、シャフトを所定の方向に付勢するバネと、シャフトをバネの付勢力に逆らって押し込むボタンとを有する。また、ケースには、上記ピンが挿入される挿入孔が形成されている。
【0003】
そして、便座及び便蓋を便器に取り付ける際には、固定部のピンをケースの挿入孔から挿入する。このとき、ピンを押し込む力により、シャフトがバネの付勢力に逆らってスライドする。そして、ピンとシャフトとが所定の位置関係になると、バネの付勢力によりシャフトが元の方向に押し戻され、ピンに形成された溝にシャフトの一部分が入り込む。こうして、挿入孔に挿入されたピンがロックされ、固定部と着脱部とが互いにロックされる。
【0004】
一方、便座及び便蓋を便器から取り外すために、固定部と着脱部とを外す際には、上記ボタンをバネの付勢力に逆らって押し込む。すると、ピンの溝に入り込んでいるシャフトの一部が溝から外れる。このため、ピンのロック状態が解除され、ピンを挿入孔から抜き取ることが可能になる。こうして、固定部から着脱部を取り外すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明は、例えば便座及び便蓋を便器から取り外すには、固定部からピンを取り外す必要があるが、その際には、ロックを解除するボタンをバネの付勢力に逆らって手で押し続け、更に便座及び便蓋を持ち上げて固定部からピンを抜いて取り外す必要があった。このため、作業性が悪いという問題点があった。
【0007】
そこで、固定部等のピンからケースを取り外す必要があるとき、ロックを解除するボタンを手で押し続けていなくても、取り外し作業が行えるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、ピンとケースと操作ボタンとからなる着脱装置であって、前記ピンは、挿入端側から順に、前記挿入端側に向かって円錐状に形成されたガイド部と、前記ピンの外周面に形成された環状のロック溝と、を有し、前記ケースは、前記ケースの一端側から他端側に向う前記ケースの軸心に沿って前記ケース内に形成された操作ボタン挿入空間と、前記ケースの外周面から前記操作ボタン挿入空間内に通じるピン挿入孔と、前記操作ボタンを所定の位置で解除可能に保持止めするアンロック用係止部と、を有し、前記操作ボタンは、前記ピンが挿入可能なロック孔を有して前記ピン挿入孔を横切って前記操作ボタン挿入空間内に配置され、前記ロック孔を貫通した前記ピンの前記ロック溝内に係合して前記ピンの抜け止めを行うロック位置と前記ピン挿入孔に前記ロック孔が対応して前記ロック溝内から外れるアンロック位置とに移動可能なロックバーと、前記ロックバーの一端側に設けられて、少なくとも一部が前記操作ボタン挿入空間内で前記軸心に沿って前記ロックバーと共にスライドする外部から押し込み操作可能なボタン本体部と、前記ロックバーが前記アンロック位置に移動した際に前記アンロック用係止部と係合可能に設けられ、前記ロックバーを前記アンロック位置で解除可能にロックするフック部と、を有し、前記ケースは、前記操作ボタンが前記ロックバーと共に前記ロック位置に移動した際に、前記フック部と係合して前記ロックバーを前記ロック位置で解除可能にロックするロック用係止部をさらに有している、着脱装置を提供する。
【0009】
この構成によれば、操作ボタンがロック位置に配置されて、ロックバーがロック溝に係合されているロック状態から、ピンとケースとの係合を解除してアンロック状態にするときは、ボタン本体部を外部から押し込んで操作ボタンをアンロック位置に移動させると、ロックバーがボタン本体部と共にアンロック位置に移動される。ロックバーがアンロック位置に移動されると、ロックバーがピンのロック溝から外れてロックバーによるピンの拘束がなくなる。同時に、操作ボタンのフック部がケースのアンロック用係止部に係合係止され、ロックバーをアンロック位置に保持することができる。これにより、ケースとピンとの間の係合を解除する必要があるときには、ロックを解除するボタン本体部を手で押し続けなくても取り外し作業が行える。
【0011】
また、操作ボタンがロック位置に移動されて、ピンとケースとの間が係合されると、同時に、フック部がロック用係止部に係合されてロックバーを操作ボタンと共にロック位置に保持することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記操作ボタンは、前記操作ボタンの移動をロック位置側に付勢するバネ部を前記ロックバーの他端側に設けている、着脱装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、操作ボタンの押し込み力を解除してアンロック位置からロック位置に復帰させるときに、バネ部の付勢力を操作ボタンの復帰力として使用し、オートロック機能を持たせることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記操作ボタンと前記ケースとの間には、前記操作ボタンの押し込み量を規制するストッパー部が設けられている、着脱装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、操作ボタンとケースとの間に設けたストッパー部により、操作ボタンの押し込み量を規制して、操作ボタンが必要以上に押し込まれるのを防ぐと共に、バネ部のバネチャージ量を一定に保持することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の構成において、前記操作ボタンは、前記ロック孔を貫通した前記ピンの前記ガイド部と当接して、前記操作ボタンの移動を前記ロック位置側に付勢する制御バーを、前記ロック孔を挟んでそれぞれ設けられている、着脱装置を提供する。
【0017】
この構成によれば、ケースへのピンの挿入時に、ピンのガイド部が1対の制御バーに当接して、操作ボタンの移動を押し込み方向と逆の方向、すなわちロック位置方向に向かわせ、ロック位置でフック部をアンロック用係止部からロック用係止部に係合させて保持することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の構成において、前記ロック用係止部と前記アンロック用係止部は、前記操作ボタン挿入空間を挟んで対向する位置に各々1対ずつ設けられているとともに、前記フック部は、1対の前記ロック用係止部と1対の前記アンロック用係止部に対応して1対設けられている、着脱装置を提供する。
【0019】
この構成によれば、ロック用位置とアンロック用位置では、それぞれ1対のフック部が1対のロック用係止部、又は、1対のアンロック用係止部に係合されるので、安定的に係合することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ピンとケースとの係合を解除するときには、ボタン本体部をアンロック位置に移動させると、ロックバーがボタン本体部と共にアンロック位置に移動され、ロックバーがピンのロック溝から外れると同時に操作ボタンのフック部がケースのアンロック用係止部に係合係止されてロックバーをアンロック位置に保持することができるので、ロックを解除するボタン本体部を手で押し続けていなくても、取り外し作業が簡単に行える。これにより、作業の簡略化が可能になる。
また、構成部品も少なく、ピンとケースと操作ボタンの3部品で構成することができるので、コストの低減が図れ、安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態に係る着脱装置の一実施例を、トイレの便器に対して固定される固定部に便座を着脱する場合の一例を示すもので、(a)は結合前の状態を示す図、(b)は結合後の状態を示す図、(c)は(a)の部分拡大図である。
【
図2】同上着脱装置を単体で示し、(a)は着脱装置の上面図、(b)はピンと着脱部を互いに結合した状態で示す着脱装置の外観斜視図、(c)はピンと着脱部との結合を解除した状態で示す着脱装置の外観斜視図である。
【
図4】同上着脱装置のケースを示し、(a)はケースの外観斜視図、(b)はA-A線に沿って断面して見た斜視図、(c)はA-A線に沿って断面して見た断面図である。
【
図5】同上着脱装置の操作ボタンを示し、(a)は操作ボタンの外観斜視図、(b)は操作ボタンの差し込み方向すら見た図、(c)は操作ボタンの側面図である。
【
図6】同上着脱装置の結合動作を説明する図で、操作ボタンをアンロック位置に押し込んだ状態を示しており、(a)は着脱装置の上面図、(b)はピン装着方向からを見た第1のガイド空間の断面図、(c)は操作ボタンがアンロック位置に配置されたときのピン挿入孔とロック孔の位置関係を説明する図、(d)は操作ボタンがアンロック位置に配置されたときのピンと操作ボタンの位置関係を説明する図、(e)はピンがケースから取り外された状態を示す図、(f)は操作ボタンがアンロック位置に配置されたときのピンにおける当接部と操作ボタンの制御バーとの位置関係を説明する図、(g)は操作ボタンがアンロック位置に配置されたときの操作ボタンのバネ部の状態を説明する図である。
【
図7】同上着脱装置の結合動作を説明する図で、操作ボタンがロック位置に配置された状態を示しており、(a)はピンをケースに装着している状態を示す斜視図、(b)は(a)の上面図、(c)は装着を終えたロック状態でロックバーがピンのロック溝に係合係止されている状態を示す図、(d)は装着を終えたロック状態で制御バーがピンの外周面に当接されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、固定部等のピンからケースを取り外す必要があるとき、ロックを解除するボタンを手で押していなくても、取り外し作業が行えるようにする着脱装置を提供するという目的を達成するために、ピンとケースと操作ボタンとからなる着脱装置であって、前記ピンは、挿入端側から順に、前記挿入端側に向かって円錐状に形成されたガイド部と、前記ピンの外周面に形成された環状のロック溝と、を有し、前記ケースは、前記ケースの一端側から他端側に向う前記ケースの軸心に沿って前記ケース内に形成された操作ボタン挿入空間と、前記ケースの外周面から前記操作ボタン挿入空間内に通じるピン挿入孔と、前記操作ボタンを所定の位置で解除可能に保持止めするアンロック用係止部と、を有し、前記操作ボタンは、前記ピンが挿入可能なロック孔を有して前記ピン挿入孔を横切って前記ケースの前記操作ボタン挿入空間内に配置され、前記ロック孔を貫通した前記ピンの前記ロック溝内に係合して前記ピンの抜け止めを行うロック位置と前記ピン挿入孔に前記ロック孔が対応して前記ピンの前記ロック溝内から外れるアンロック位置とに移動可能なロックバーと、前記ロックバーの一端側に設けられて、少なくとも一部が前記操作ボタン挿入空間内で前記ケースの前記軸心に沿って前記ロックバーと共にスライドする外部から押し込み操作可能なボタン本体部と、前記ロックバーが前記アンロック位置に移動した際に前記アンロック用係止部と係合可能に設けられ、前記ロックバーを前記アンロック位置で解除可能にロックするフック部と、を有している、構成にしたことにより実現した。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0024】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0025】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0026】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明の着脱装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。なお、
図6、
図7中に示す符号Lの位置は、以下に説明する操作ボタン13が「ロック位置」に配置されたときにおけるタッチ操作部13bbの位置を示し、符号Uの位置は、同じくに説明する操作ボタン13が「アンロック位置」に配置されたときにおけるタッチ操作部13bbの位置を示している。
【0027】
図1は本発明に係る着脱装置10の一実施例として、トイレの便器に対して固定される固定部に便座を着脱する場合を一例として示すもので、(a)は結合前の状態を示す図、(b)は結合後の状態を示す図、(c)は(a)の部分拡大図である。
【0028】
図1において、着脱装置10は、便器(図示せず)に取り付けるべき固定部101に固定されて、その固定部101から突出しているピン11と、便座102に図示しないヒンジ機構を回して取り付けられた着脱部12とからなる。便座102に取り付けた着脱部12は、
図1の(a)及び(c)に示すように、操作ボタン13を後述するアンロック位置に配置させた状態で、ピン11をピン挿入孔14から着脱部12内に差し込むことにより、ピン11と着脱部12とが互いに係合係止され、(b)に示すように便座102を固定部101(便器側)に取り付けることができる。反対に、固定部101から便座102を取り外すときには、着脱部12に設けられている操作ボタン13を後述するアンロック位置に押し込んで配置させた状態で、例えば便座102側を持ち上げ、ピン11を着脱部12から抜くと固定部101から便座を取り外すことができる。
【0029】
次に、着脱装置10の構造を詳細に説明する。
図2は着脱装置10を単体で示しており、(a)は着脱装置の上面図、(b)はピン11と着脱部12を互いに結合した状態で示す着脱装置10の外観斜視図、(c)はピン11と着脱部12の結合
を解除した状態で示す着脱装置10の外観斜視図で、
図3は着脱装置10の分解斜視図である。
【0030】
図2及び
図3において、着脱装置10は、ピン11と、着脱部12とよりなる。また、着脱部12はケース15と操作ボタン13を備えている。
【0031】
ピン11は、水平断面が円形をした円柱状の部材であり、金属又は樹脂材等で形成されている。ピン11は、着脱部12のケース15に挿入される挿入端側から順に、挿入端側に向うに従って外形寸法が徐々に小さくなる、いわゆる円錐状に形成されたガイド部11aと、円柱形の当接部11bと、ピン11の外周面に周回形成された環状のロック溝11cと、を有している。なお、円柱形の当接部11bの直径は、ピン11の基端側の外径と等しいか、それよりも若干小さく形成されている。
【0032】
操作ボタン13は、樹脂材で形成されており、また
図5にも単品で示している。
図5を加えて操作ボタン13の構造を更に詳細に説明する。操作ボタン13は、ロックバー13aと、ボタン本体部13bと、バネ部13cと、ストッパー用突起片13dと、制御バー13eと、フック片13fと、を一体に有している。
【0033】
ボタン本体部13bは、ロックバー13aの一端(後端)側に、ロックバー13aに対して略直角に配設されており、ロックバー13aを中心として略円板状に形成されている。ボタン本体部13bは、ロックバー13aの後端と直に接続されている摺動部13baと、ロックバー13aと反対側で摺動部13baと一体に形成されているタッチ操作部13bbとを有している。摺動部13baの外径は、ケース15の後述する操作ボタン挿入空間15aの内径に略等しく、操作ボタン挿入空間15a内にスライド可能に配置される。一方、タッチ操作部13bbの外径は、操作ボタン挿入空間15aの内径よりも大きく、かつ、ケース15の外径と略等しく形成されている。
【0034】
ロックバー13aは、ボタン本体部13bの内径の幅よりも小さな幅を有して概略板状に形成されており、ボタン本体部13bの内面から略直角で、かつ、水平に操作ボタン挿入空間15a側に突出した状態で形成されている。また、ロックバー13aの中央には、ピン11が貫通可能な小判形のロック孔16が上下に貫通して形成されている。ロックバー13aの先端側、すなわちボタン本体部13bと反対側の先端部には、バネ部13cとストッパー用突起片13dが、互いに並んで設けられている。
【0035】
更に詳述すると、
図3及び
図5に示すように、ストッパー用突起片13dは、ロックバー13aの右端部から、真っ直ぐ前方に突出した状態で形成されている。一方、バネ部13cは、ロックバー13aの左端部から、前方に進むに従ってストッパー用突起片13dに近づくように弧を描いて前方に突出した状態で形成されている。
【0036】
バネ部13cの先端はストッパー用突起片13dよりも前方に突出しているが、その先端部はストッパー用突起片13dの延長線と交差することのない、延長線の手前の位置で止められている。また、バネ部13cには、弾性が持たされており、バネ部13cの先端部が、ケース15の後述する圧接部15bに当接して強く押し付けられると、バネ部13cの全体の部分が弾性変形によって湾曲して撓み、ボタン本体部13bを操作ボタン挿入空間15aの外側、すなわちケース15の後方へ押し出す力を蓄積(バネチャージ)する。
【0037】
一方、ストッパー用突起片13dは、バネ部13cが圧接部15bに当接して、そのバネ部13cが所定量撓む位置までボタン本体部13bがケース15内に押し込まれると、ストッパー用突起片13dの先端部分がバネ部13cを介して圧接部15bに当接して、ボタン本体部13bがそれ以上ケース15内に押し込まれるのを規制するようになっている。
【0038】
制御バー13eは、
図3及び
図5に示すように、ピン11が挿入されて来る方向と反対側(
図3及び
図5ではロックバー13aの上側)において、操作ボタン13の摺動部13baの内面から前方に向かって、ロックバー13aの上面と略平行で、かつ、ロック孔16を挟んだ左右の位置に分かれて1対、各々の先端部分13eaがロック孔16の一部と上下方向で重なるようにして設けられている。制御バー13eも、左右方向に弾性変形可能に形成されている。また、制御バー13eの先端部分13eaの間隔は、ピン11の当接部11bの外径よりも小さく形成されている。そして、制御バー13eの先端部分13eaの形状は、最先端部の肉厚が薄く、操作ボタン13の摺動部13ba側の肉厚が厚い先細り形状の傾斜面としている。並びに、1対の制御バー13eの上下方向の位置は、ピン11がロックバー13aのロック孔16を貫通し、ロック溝11cがロックバー13aと対応したときに、ガイド部11aの形状により1対の制御バー13eが外側(左右両側)に各々押し広げられ、ピン11の当接部11bの周面が1対の制御バー13eの先端部分13eaとの間に配置されて、ピン11の当接部11bの周面を左右両側から挟持できる状態の位置に設定する。
【0039】
フック片13fは、
図3及び
図5に示すように、1対の制御バー13eの略中間で、且つロックバー13aを挟んで上下の位置にそれぞれ、操作ボタン13の摺動部13baの外周縁前面から差し込み方向に向かって1対設けられている。フック片13fも上下方向に弾性変形可能に形成されている。フック片13fの先端には、それぞれ外側方向に向かって係止爪17が設けられている。各係止爪17は、操作ボタン13の摺動部13baの外周よりも若干外側に突出されており、また爪形状は蒲鉾形で、操作ボタン13の移動方向に断面すると緩やかな丸味が設けられている。これは、ケース15の後述するロック用係止部19aとアンロック用係止部19bに係合された係止爪17の係合解除をし易くするためである。
【0040】
ケース15は、樹脂材で形成されており、また
図4にも単品で示している。
図4を加えてケース15の構造を更に詳細に説明する。ケース15は、ケース15の内部に、ケース15の一端側(操作ボタン13が挿入される側)から他端側に向かう長手方向(ケース15の軸心に沿う方向)に沿って形成され、一端側が開口されている操作ボタン挿入空間15aが設けられている。また、ケース15には、外周面から操作ボタン挿入空間15a内に通じるピン挿入孔14と、操作ボタン13を後述するロック位置で解除可能にロックするロック用係止部19aとアンロック位置で解除可能にロックするアンロック用係止部19bが設けられている。
【0041】
更に詳述すると、操作ボタン挿入空間15aは、操作ボタン13の摺動部13baをケース15の長手方向、すなわち前後方向に摺動可能に収納する円形空間でなる摺動部収納空間18と、操作ボタン13の摺動時に、ロックバー13aとバネ部13c及びストッパー用突起片13dをケース15の前後方向に移動案内するための第1のガイド空間20と、同じく操作ボタン13の摺動時に、制御バー13eをケース15の前後方向に移動案内するための第2のガイド空間21が設けられている。なお、第1のガイド空間20と第2のガイド空間21は、摺動部収納空間18内から連続して設けられている。
【0042】
ロック用係止部19aとアンロック用係止部19bは、操作ボタン13における摺動部13baのフック片13fに設けられている係止爪17に対応して、摺動部13baと共にフック片13fの係止爪17が操作ボタン挿入空間15a内を移動する長手方向に沿って、ケース15の開口端側(後端側)から順に所定の間隔を空けて形成されている。ロック用係止部19aとアンロック用係止部19bは、本実施例ではケース15の外周面から操作ボタン挿入空間15a内まで通じる貫通孔で形成されているが、貫通孔でなく、凹溝等であってもよい。
【0043】
そして、ロック用係止部19aとアンロック用係止部19bは、操作ボタン13の摺動部13baが後述する「ロック位置」に配置されると、フック片13fの係止爪17がロック用係止部19a内にフック片13fの弾性力で落ち込んで係合係止され、操作ボタン13の摺動部13baが後述する「アンロック位置」に配置されると、フック片13fの係止爪17がアンロック用係止部19b内にフック片13fの弾性力で落ち込んで係合係止されるようになっている。また、操作ボタン13の係止爪17は、操作ボタン13を速く移動させると、すなわち言い方を変えると、操作ボタン13の加速度を変えて移動させると、フック片13fを操作ボタン挿入空間15a側に弾性変形させて、係合係止されているロック用係止部19a又はアンロック用係止部19bから抜け出し、ロック用係止部19aからアンロック用係止部19bへの係合係止の状態、あるいはアンロック用係止部19bからロック用係止部19aへの係合係止の状態に切り換えできる。
【0044】
第1のガイド空間20は、ケース15内における、操作ボタン13のロックバー13aとバネ部13cとストッパー用突起片13dの移動を案内するものであり、左右の幅はロックバー13aの左右の幅と略等しく形成されている。なお、開口から第1のガイド空間20の奥壁となる圧接部15bまでの距離は、操作ボタン13の係止爪17がアンロック用係止部19bに係合係止される位置をほんの僅か越えると、ストッパー用突起片13dが当接してそれ以上押し込むことができない距離である。そして、バネ部13cは操作ボタン13の係止爪17がロック用係止部19aに係合係止される位置に配置されているときに、バネ部13cの先端が圧接部15bに僅かに当接している。また、操作ボタン13の係止爪17がロック用係止部19aからアンロック用係止部19bに移動される動作が起こされると、その移動に伴ってバネ部13cが弾性による湾曲が起こされてバネチャージを徐々に開始し、係止爪17がアンロック用係止部19bに係合係止される位置に配置されると略最大にバネチャージされるようになっている。
【0045】
第2のガイド空間21は、1対の制御バー13eの移動を案内するものであり、左右の幅は1対の制御バー13eの左右の外幅よりも若干大きく、制御バー13eがそれぞれ左右方向に弾性変形して1対の制御バー13eの間にピン11の当接部11bが配置できる空間が確保される。
【0046】
ピン挿入孔14は、ピン11が挿入可能な内径を有する孔であり、操作ボタン13におけるロックバー13aが「アンロック位置」に配置されたとき、すなわち、操作ボタン13の係止爪17がアンロック用係止部19bに係合係止される位置にロックバー13aが配置されているときに、ロックバー13aのロック孔16と上下で対応する位置に設けられている。なお、操作ボタン13の係止爪17がロック用係止部19aに係合係止される位置にロックバー13aが配置されているときには、ロック孔16はピン挿入孔14に対して「ロック位置」側にずれた状態になる。
【0047】
このように構成された着脱装置10において、着脱部12は、ケース15の開口側から操作ボタン13が挿入される。その際、第1のガイド空間20内にバネ部13cとストッパー用突起片13dとロックバー13aが配置されるとともに、第2のガイド空間21内に1対の制御バー13eが配置され、摺動部収納空間18内に摺動部13baが配置される。
【0048】
そして、摺動部収納空間18内で操作ボタン13の係止爪17がロック用係止部19aに係合係止されているときの状態、すなわち
図7に示すように操作ボタン13の摺動部13baの一部がケース15の一端から外側にタッチ操作部13bbと共に大きく飛び出しているときの状態は、操作ボタン13が「ロック位置」に配置されている状態である。これに対して、摺動部収納空間18内で操作ボタン13の係止爪17がアンロック用係止部19bに係合係止されているときの状態、すなわち
図6に示す操作ボタン13の摺動部13baがケース15内に押し込まれてボタン本体部13bがケース15の一端に略密着し、かつ、ピン挿入孔14とロック孔16とが上下で対応しているときの状態は、操作ボタン13が「アンロック位置」に配置されている状態である。
【0049】
次に、このように構成された着脱装置10の動作を、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0050】
ピン11と着脱部12とを結合させる場合:
ピン11と着脱部12とを結合させる場合は、ケース15内に操作ボタン13を押し込み、摺動部収納空間18内で、操作ボタン13の係止爪17がアンロック用係止部19bに係合係止された状態となる位置、すなわち「アンロック位置」に操作ボタン13を配置する。
図6は、操作ボタン13がこの「アンロック位置」に配置された状態、すなわち、タッチ操作部13bbが
図6の(a)中に示す符号Uと対応した位置に配置されている状態を示している。
【0051】
操作ボタン13が「アンロック位置」に配置された状態では、バネ部13cが弾性変形して湾曲し、操作ボタン13を「ロック位置」方向に押し戻そうとするバネ力が蓄積されている。しかし、このバネ付勢力は、フック片13fの係止爪17とケース15のアンロック用係止部19bとの係合係止により、操作ボタン13を押し戻すことなく蓄積された状態で保持される。また、操作ボタン13が「アンロック位置」に配置された状態では、
図6の(c)に示すように、ピン挿入孔14の上方において、1対の制御バー13eの先端部分13eaがピン挿入孔14を通って挿入されて来るピン11の挿入通路内の左右の位置に各々突出している。また、ストッパー用突起片13dは、
図6の(b)に示すようにバネ部13cの先端部を介してストッパー部となる圧接部15bとぶつかっている。
【0052】
このように、操作ボタン13が「アンロック位置」に配置されている状態において、ピン11がガイド部11a側からピン挿入孔14を通ってケース15内に挿入され、そしてガイド部11aがロックバー13aのロック孔16を通過し終えると、ガイド部11aが1対の制御バー13eの先端部分13eaの下縁にぶつかる。ガイド部11aが1対の制御バー13eの先端部分13eaの下縁にぶつかると、ガイド部11aが1対の制御バー13eの先端部分13eaを各々上方(ガイド部11aの移動方向)に押し上げると同時に、1対の制御バー13eを左右方向外側に各々押し広げ、当接部11bが1対の制御バー13eの間に割り込みながら進入する。また、ガイド部11aが1対の制御バー13eの間を通過すると、1対の制御バー13eの間にピン11の当接部11bが進入するとともに、ロック溝11cがロックバー13aと対応する。そして、この状態でピン11の先端がケース15内の壁にぶつかり、それ以上の挿入が阻止される。
【0053】
一方、操作ボタン13側では、ピン11のガイド部11aが1対の制御バー13eを押し上げることにより、フック片13fがロックバー13a側に撓む。このとき、バネ部13cにチャージされていたバネ力が、操作ボタン13を「ロック位置」側へ移動させようとする力と、ピン11のガイド部11aが、1対の制御バー13eを左右に押し開くときに、制御バー13eに操作ボタン13を「ロック位置」側へ移動させようとする力が発生し、制御バー13eからの力がバネ部13cの力に加わり、バネ部13cからの力と制御バー13eからの力が、操作ボタン13を「アンロック位置」から「ロック位置」側にスライドさせる力として働く。これにより、フック片13fの係止爪17がアンロック用係止部19bから抜け出し、操作ボタン13が「アンロック位置」から「ロック位置」側にスライド変位する。そして、
図7の(c)に示すようにロックバー13aがロック溝11c内にロック孔16の孔縁が入り込み、ロック溝11c内でピン11とロック孔16の孔縁とがぶつかり合って係合係止される。このロックバー13aとピン11の係合係止により、ピン11がケース15内から抜け出でるのをロックバー13aにより拘束、すなわち係合ロックする。また、操作ボタン13の全体がケース15内から抜け出す方向に移動し、フック片13fの係止爪17がケース15のロック用係止部19aに落ち込んで係合係止状態、すなわちオートロックされる。このロック状態は、
図7に示すように、操作ボタン13の摺動部13baがタッチ操作部13bbと共にケース15から突出した状態、すなわち、タッチ操作部13bbが
図7の(b)に示す符号Lと対応した位置に配置される。
【0054】
ピン11と着脱部12を離脱させる場合:
ピン11と着脱部12を離脱させる場合は、
図7に示すロック状態において、ケース15から突出しているタッチ操作部13bbを、ケース15側に強く押し込む。すると、1対の制御バー13eの先端部分13eaがピン11の当接部11bに当接する。そして、1対の制御バー13eの間にピン11の当接部11bが進入することにより、1対の制御バー13eは、
図6の(f)に示すように、互いに外側に押し広げられ、「ロック位置」にあった操作ボタン13の全体が
図6に示すように「アンロック位置」側に移動する。また、この移動途中に、それまでロック用係止部19a内に落ち込んで係合係止されていたフック片13fの係止爪17が、フック片13fを内側に撓ませながらロック用係止部19a内から抜け出し、「ロック位置」における係合係止が強制的に解除される。なお、このときにおける制御バー13eの押し広がり量は、
図6の(f)に示すようにケース15の挟持面21aとピン11の当接部11bとで挟持されることにより規制される。こうして、操作ボタン13は、バネ部13cを撓ませてバネチャージしながら
図7に示す「ロック位置」から
図6に示す「アンロック位置」側に進み、ストッパー用突起片13dが圧接部15bにバネ部13cの先端を介して当接して、それ以上の移動が阻止される位置、すなわち
図6に示す「アンロック位置」まで移動されると、フック片13fの係止爪17がアンロック用係止部19b内に落ち込み、「アンロック位置」に保持される。
【0055】
操作ボタン13が「アンロック位置」に配置された状態では、
図6の(b)に示すように、操作ボタン13におけるロックバー13aのロック孔16の位置とケース15におけるピン挿入孔14との位置が、互いに上下で対応した関係になり、ロックバー13aにおけるロック孔16の孔縁がピン11のロック溝11cから抜け出て、ピン11に対するロックバー13aのロックが解除される。これにより、操作ボタン13が「アンロック位置」に保持されているとき、ピン11若しくは着脱部12を、ピン11の軸方向、かつ、引き離す方向に移動させると、ピン11をピン挿入孔14から簡単に引き抜き、ピン11と着脱部12を離脱させることができる。
【0056】
したがって、本実施例の構成による着脱装置10によれば、ピン11と着脱部12であるケース15とを結合させる場合は、ボタン本体部である操作ボタン13が「アンロック位置」に配置されている状態で、ピン11をケース15のピン挿入孔14に所定の位置まで挿入させると、ロックバー13aが、操作ボタン13と共に「ロック位置」に自動的に移動されてロック溝11c内に係合され、ピン11の抜け止めをする。これにより、結合させるときには、操作ボタン13を手で操作していなくても、ピン11をケース15のピン挿入孔14に差し込むだけで、取り付けてロックをすることができるので、作業の簡略化が図れる。
【0057】
反対に、ピン11と着脱部12であるケース15との係合を解除するときには、ボタン本体部13bである操作ボタン13をケース15の内側に押し込んで「アンロック位置」に移動させると、ロックバー13aが操作ボタン13と共にアンロック位置に移動される。そして、ロックバー13aが「アンロック位置」に移動されると、ロックバー13aがピン11のロック溝11cから外れる。同時に、操作ボタン13のフック部であるフック片13fの係止爪17がケース15のアンロック用係止部19bに係合係止され、ロックバー13aを「アンロック位置」に保持することができるので、ケース15とピン11との間を取り外す必要があるときには、ロックを解除する操作ボタン13を手で押し続けていなくても取り外し作業を行うことができ、作業の簡略化が図れる。
【0058】
また、操作ボタン13が「アンロック位置」に配置されているとき、操作ボタン13の移動を押し込み方向と逆の方向、すなわち「ロック位置」方向に付勢しているバネ部13cを設けているので、操作ボタン13を「アンロック位置」から「ロック位置」に復帰させるときに、そのバネ部13cでチャージした力を操作ボタン13の復帰力として使用することができる。これにより、操作ボタン13の「アンロック位置」から「ロック位置」への復帰を確実、かつ、容易に行わせることができる。
【0059】
また、操作ボタン13とケース15との間には、操作ボタン13の押し込み量を規制するストッパー部としての圧接部15bを設けているので、操作ボタン13の押し込み量を規制して、操作ボタン13が必要以上に押し込まれるのを防ぐと共に、バネ部13cのバネチャージ量を一定に保持することができる。
【0060】
また、操作ボタン13には、ロックバー13aのロック孔16を貫通したピン11のガイド部11aと当接して、操作ボタン13の移動を押し込み方向と逆の方向、すなわち「ロック位置」方向に向かわせる制御バー13eを、ロック孔16を挟んで1対設けている。これにより、ケース15へのピン11の挿入時に、ピン11のガイド部11aが1対の制御バー13eに当接して、操作ボタン13の移動を押し込み方向と逆の方向、すなわち「アンロック位置」から「ロック位置」方向に確実に向かわせ、フック片13fの係止爪17の係合を、アンロック用係止部19bとの係合からロック用係止部19aとの係合に切り換えて、「ロック位置」に確実に保持することができる。
【0061】
また、操作ボタン13には、ケース15のロック用係止部19aとアンロック用係止部19bを、操作ボタン挿入空間15aを挟んで対向する位置、すなわち180度変位した位置に各々1対ずつ設けているとともに、係止爪17を有したフック部であるフック片13fを、1対のロック用係止部19aと1対のアンロック用係止部19bに各々対応させて1対設けているので、ケース15のロック用係止部19aとアンロック用係止部19bに対してフック片13fの係止爪17を安定的に係合係止させることができる。
【0062】
なお、本実施例では、便器に取り付けるべき固定部101から突出しているピン11と、便座102にヒンジ機構を介して取り付けられる着脱部12との結合を一例として説明したが、便器と便座との着脱に限定されることなく、各種の着脱装置として適用できるものである。
【0063】
また、本実施例では、バネ部13cを、ロックバー13aと一体に設けた構造を開示したが、ロックバー13aと別体にして設ける、あるいはケース15とロックバー13aとの間にコイルスプリング等を配設した構造にしてもよい。
【0064】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0065】
10 :着脱装置
11 :ピン
11a :ガイド部
11b :当接部
11c :ロック溝
12 :着脱部
13 :操作ボタン
13a :ロックバー
13b :ボタン本体部
13ba :摺動部
13bb :タッチ操作部
13c :バネ部
13d :ストッパー用突起片
13e :制御バー
13ea :先端部分
13f :フック片
14 :ピン挿入孔
15 :ケース
15a :操作ボタン挿入空間
15b :圧接部
16 :ロック孔
17 :係止爪
18 :摺動部収納空間
19a :ロック用係止部
19b :アンロック用係止部
20 :第1のガイド空間
21 :第2のガイド空間
101 :固定部
102 :便座