IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JX通信社の特許一覧

特許7531231情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法
<>
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図2
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図3
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図4
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図5
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図6
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図7
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図8
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図9
  • 特許-情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240802BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240802BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/26
G08B25/00 510B
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022023597
(22)【出願日】2022-02-18
(65)【公開番号】P2023120640
(43)【公開日】2023-08-30
【審査請求日】2022-12-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514323246
【氏名又は名称】株式会社JX通信社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米重 克洋
(72)【発明者】
【氏名】柳 佳音
(72)【発明者】
【氏名】藤井 大輔
【合議体】
【審判長】伏本 正典
【審判官】梶尾 誠哉
【審判官】安井 雅史
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-179911(JP,A)
【文献】特開2010-272035(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0249336(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0278894(US,A1)
【文献】国際公開第2007/105307(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-99/00
G08B23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1のユーザによって予め登録された登録情報であって、予め指定された地理的な場所である複数の指定場所のそれぞれを示す複数の指定場所情報と、前記指定場所情報ごとに紐づけられた連絡先を示す連絡先情報とを含む、前記登録情報を取得する登録情報取得部と、
予め指定された種類の事象の発生に関する情報である事象情報を取得する事象情報取得部と、
前記事象情報と、前記ユーザによって前記指定場所ごとに予め設定された判定ルールとを用いて、前記指定場所情報が示す前記指定場所に、前記事象が影響を与えるか否かを判定する影響判定部と、
前記事象が前記指定場所に影響を与えると判定された場合に、前記指定場所を示す前記指定場所情報に紐づけられた前記連絡先情報が示す前記連絡先に、前記事象の発生を通知する通知処理部と、を備えた
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記指定場所情報は、地理的な位置を示す情報、地理的な範囲を示す情報、または、地理的な区間を示す情報である
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記事象情報取得部は、前記事象情報を、組織もしくは個人が作成した情報を提供するサーバ、または、公共情報を提供するサーバの少なくとも一つから取得する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記事象情報を用いて、前記事象の重要度を判定する重要度判定部を備え、
前記影響判定部は、前記指定場所ごとかつ前記重要度ごとに予め設定された前記判定ルールと前記事象情報と前記重要度と、を用いて、前記指定場所情報が示す前記指定場所に、前記事象が影響を与えるか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記重要度判定部は、前記事象情報が入力されると前記重要度を出力する機械学習モデルを用いて、前記重要度を判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記重要度判定部は、前記事象情報に含まれるテキスト、前記事象情報に含まれる画像、または、前記事象情報に含まれるテキストおよび画像の両方を、前記機械学習モデルへの入力とする
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記事象の発生場所周辺の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部を備え、
前記重要度判定部は、前記事象情報と前記環境情報とを用いて、前記重要度を判定する
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記事象情報取得部は、前記事象情報として、前記事象の発生場所を示す発生場所情報を取得する
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記事象情報取得部は、前記事象情報として、前記事象の種類を示す種類情報と前記事象の発生場所を示す発生場所情報とを取得する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記影響判定部は、前記指定場所ごとかつ前記事象の種類ごとに予め設定された前記判定ルールと前記事象情報とを用いて、前記事象が前記指定場所に影響を与えるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記事象情報取得部は、前記事象情報として、前記事象の種類を示す種類情報と前記事象の発生場所を示す発生場所情報とを取得し、
前記影響判定部は、前記指定場所ごとかつ前記事象の種類ごとかつ前記重要度ごとに予め設定された前記判定ルールと前記重要度と前記事象情報とを用いて、前記事象が前記指定場所に影響を与えるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記判定ルールは、前記重要度が高いほど前記事象の影響が及ぶ距離の範囲である影響範囲が広がることを示し、前記事象の発生場所から前記指定場所までの距離が前記影響範囲内である場合に、前記事象が前記指定場所に影響を与えると判定することを示すものである
ことを特徴とする請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記連絡先情報が示す前記連絡先には、第1連絡先と第2連絡先とが含まれており、
前記通知処理部は、前記事象が前記指定場所に影響を与えると判定された場合、まず、少なくとも前記第1連絡先に前記事象の発生を通知する
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記登録情報には、前記事象が前記指定場所に影響を与えると判定された場合に、まず前記事象の発生を通知する前記連絡先を、前記第1連絡先のみとするか、または、前記第1連絡先および前記第2連絡先とするかを示す通知ルール情報が含まれており、
前記通知処理部は、前記通知ルール情報を用いて前記事象の発生を通知する
ことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記通知処理部は、前記事象の発生の通知に加えて、前記事象が前記指定場所に与える影響度合いを問い合わせる問い合わせ情報を前記第1連絡先に送信し、前記問い合わせ情報に対する回答情報を前記第1連絡先から受信して、前記回答情報を前記第2連絡先に送信する
ことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記通知処理部は、複数の前記第1連絡先に問い合わせ情報を送信した場合、受信された前記回答情報に基づいて生成した一覧形式の前記回答情報を前記第2連絡先に送信する
ことを特徴とする請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記通知処理部は、複数の前記第1連絡先に問い合わせ情報を送信した場合、受信された前記回答情報に基づいて生成した統計情報を前記第2連絡先に送信する
ことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記事象情報取得部は、前記事象情報として、少なくとも前記事象の発生場所を示す発生場所情報を取得し、
前記通知処理部は、前記発生場所情報が示す前記事象の発生場所を特定できるように地図上に表示した地図情報を、前記連絡先に送信する
ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記事象情報取得部は、前記事象情報として、少なくとも前記事象の発生場所を示す発生場所情報を取得し、
前記通知処理部は、前記発生場所情報が示す前記事象の発生場所と前記指定場所と前記指定場所に対応する前記回答情報とを特定できるように地図上に表示した地図情報を、前記第2連絡先に送信する
ことを特徴とする請求項15から請求項17のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項20】
予め指定された地理的な場所である指定場所を示す指定場所情報と前記指定場所情報に紐づけられた連絡先を示す連絡先情報とを含む登録情報を取得する登録情報取得部と、
予め指定された種類の事象の発生に関する情報である事象情報を取得する事象情報取得部と、
前記事象情報を用いて、前記指定場所情報が示す前記指定場所に、前記事象が影響を与えるか否かを判定する影響判定部と、
前記事象が前記指定場所に影響を与えると判定された場合に、前記指定場所を示す前記指定場所情報に紐づけられた前記連絡先情報が示す前記連絡先に、前記事象の発生を通知する通知処理部と、
前記事象情報を用いて、前記事象の重要度を判定する重要度判定部と、を備え、
前記影響判定部は、デフォルトとして前記重要度ごとに予め設定された判定ルールと、前記重要度判定部で判定した前記重要度とを用いて、前記事象が前記指定場所に影響を与えるか否かを判定する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項21】
前記影響判定部は、前記指定場所ごとに予め設定された判定ルールを、前記デフォルトとして設定された前記判定ルールに優先して用いて、前記事象が前記指定場所に影響を与えるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項20に記載の情報処理装置。
【請求項22】
コンピュータを、請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【請求項23】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
登録情報取得部が、1のユーザによって予め登録された登録情報であって、予め指定された地理的な場所である複数の指定場所のそれぞれを示す複数の指定場所情報と、前記指定場所情報ごとに紐づけられた連絡先を示す連絡先情報とを含む、前記登録情報を取得するステップと、
事象情報取得部が、予め指定された種類の事象の発生に関する情報である事象情報を取得するステップと、
影響判定部が、前記事象情報と、前記ユーザによって前記指定場所ごとに予め設定された判定ルールとを用いて、前記指定場所情報が示す前記指定場所に、前記事象が影響を与えるか否かを判定するステップと、
通知処理部が、前記事象が前記指定場所に影響を与えると判定された場合に、前記指定場所を示す前記指定場所情報に紐づけられた前記連絡先情報が示す前記連絡先に、前記事象の発生を通知するステップと、を備えた
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
事業活動または社会活動等の各種活動を行う組織または個人にとって、世の中で発生する種々の事象のうち、自己の活動へ影響を与える事象の発生を知ることは有用である。
例えば、特許文献1では、評価対象企業と協力会社との間に形成されたサプライチェーンを管理するための技術が提案されている。この技術は、ポータルサイト、報道機関サイト、ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という。)などの様々なWebページからテキストデータを収集して企業別に分類し、その際、評価対象企業および評価対象会社と関連された協力会社に関連するテキストデータを分析して評価対象企業のリスクスコアを算出し、リスクスコアのバーグラフおよびトラッキンググラフを表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6884435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される従来の技術は、テキストデータを収集して企業別に分類して、その際、評価対象企業および評価対象会社と関連された協力会社に関連するテキストデータを分析してリスクスコアを算出するものである。このため、例えば、テキストデータが企業を示すテキストを含まない場合、発生した事象について評価対象企業または協力会社のリスクスコアの算出ができない。したがって、従来の技術では、ある事象の発生に関する情報が取得できた場合でも、当該事象が与える影響を判定できないおそれがあるという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、事象の発生に関する情報が取得された場合に、当該事象が与える影響を判定できる情報処理装置、プログラムおよび情報処理方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、1のユーザによって予め登録された登録情報であって、予め指定された地理的な場所である複数の指定場所のそれぞれを示す複数の指定場所情報と指定場所情報ごとに紐づけられた連絡先を示す連絡先情報とを含む登録情報を取得する登録情報取得部と、予め指定された種類の事象の発生に関する情報である事象情報を取得する事象情報取得部と、事象情報と、ユーザによって指定場所ごとに予め設定された判定ルールとを用いて、指定場所情報が示す指定場所に、事象が影響を与えるか否かを判定する影響判定部と、事象が指定場所に影響を与えると判定された場合に、事象が影響を与えると判定された指定場所を示す指定場所情報に紐づけられた連絡先情報が示す連絡先に、事象の発生を通知する通知処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、指定場所情報および連絡先情報を含む登録情報を取得し、事象の発生に関する情報である事象情報を取得する。事象情報を用いて指定場所に事象が影響を与えるか否かを判定し、事象が指定場所に影響を与えると判定された場合に、当該指定場所を示す指定場所情報に紐づけられた連絡先情報が示す連絡先に事象の発生を通知する。これにより、本発明に係る情報処理装置は、事象の発生に関する情報が取得された場合に、当該事象が与える影響を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る情報処理装置の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】登録情報の設定処理の例の概要を示す画面図である。
図4】事象が火災である場合の影響判定の例の概要を示す説明図である。
図5】通知情報の例を示す画面図である。
図6】実施の形態1に係る情報処理方法を示すフローチャートである。
図7】実施の形態2に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図8】実施の形態2に係る情報処理方法を示すフローチャートである。
図9】事象が火災である場合の影響判定の例の概要を示す説明図である。
図10】実施の形態2に係る情報処理システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る情報処理システム1の構成を示すブロック図である。情報処理システム1は、情報処理装置2、第1端末3A、第2端末3B、Webサーバ4、SNSサーバ5、および公共情報サーバ6が、ネットワーク7を介して接続されたシステムである。ネットワーク7は、インターネット等を含む電気通信回線である。情報処理システム1は、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定結果を通知する情報通知サービスに利用される。
【0010】
一般に、事業活動または社会活動等の各種活動を行う組織または個人にとって、世の中で発生する種々の事象のうち、自己の活動に影響を与える事象の発生を知ることは有用である。例えば、事業活動として製品の製造販売を行う企業にとっては、自然災害または事故等の種々の事象が発生した際に、それら事象のうち、自社の製品のサプライチェーンに影響を与える事象の発生をいち早く知りたいというニーズがある。
情報処理装置2では、予め指定された種類の事象の発生に関する情報(以下「事象情報」という。)を取得すると、登録された指定場所に、発生した当該事象が影響を与えるか否かを判定し、当該事象が指定場所に影響を与えると判定した場合に、指定場所に紐づけられた連絡先に当該事象の発生を通知する。
各種活動を行う組織または個人は、情報処理装置2を利用して、自己の活動に関連する場所を指定場所とし、指定場所に紐づけて連絡先を登録しておくことで、自己の活動に影響を与える事象の発生を知ることができる。例えば、ある企業が、当該企業が製造販売する製品のサプライチェーンに関わるサプライヤが活動する場所等を指定場所とし、指定場所に紐づけて連絡先を登録しておけば、サプライチェーンに影響を与える自然災害等の事象の発生を知ることができる。
【0011】
情報処理装置2は、情報通知サービスにおいて、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定および判定結果の通知を行うサーバであり、上記の判定および通知を行うために登録情報および事象情報を取得する。登録情報は、指定場所情報と当該指定場所情報に紐づけられた連絡先を示す連絡先情報とを含む情報である。登録情報は、例えば、情報通知サービスを利用するユーザによって、予め登録される。以下、登録情報を登録するユーザを単に「ユーザ」という。ユーザは、組織または個人であってよい。ユーザは、情報通知サービスの利用開始時またはその後の適宜の時期に、例えば、第2端末3Bを用いて登録情報を登録する。例えば、ユーザが第2端末3Bを操作して登録情報として登録すべき情報を入力すると、第2端末3Bは、ネットワーク7を介して情報処理装置2に当該情報を送信する。情報処理装置2は、第2端末3Bから送信された情報を、例えば記憶部23に登録情報として記憶させる。情報処理装置2は、必要な場合に記憶部23にアクセスし、当該記憶部23から登録情報を取得する。
【0012】
登録情報に含まれる指定場所情報は、予め指定された地理的な場所である指定場所を示す情報である。例えば、ユーザがある製品を製造販売する企業である場合、指定場所は、当該製品のサプライチェーンに関わる、原材料もしくは製品の工場、原材料もしくは製品の倉庫、製品の販売店舗、または、原材料もしくは製品の搬送ルート等である。ユーザは、登録情報を登録する際、1または複数の指定場所を指定することができ、少なくとも1つの指定場所を指定する。
【0013】
指定場所情報は、地理的な位置を示す情報、地理的な範囲を示す情報、または地理的な区間を示す情報であってもよい。指定場所が比較的小さい面積の建屋等である場合、指定場所情報は地理的な位置を示す情報として登録される。地理的な位置を示す情報としての指定場所情報は、例えば、緯度および経度で表される地点を示す情報である。また、地理的な位置を示す情報としての指定場所情報は、例えば、住所または居所を示す情報であってもよい。
指定場所が比較的広範囲の建屋または敷地等である場合、指定場所情報は地理的な範囲を示す情報として登録される。地理的な範囲を示す情報としての指定場所情報は、例えば、3点以上の地点の組を示す情報を含み、これらの地点を結ぶ線で囲まれた範囲として示される情報である。また、地理的な範囲を示す情報としての指定場所情報は、例えば、市町村名、県名、国名等の地域名を示す情報であってもよい。
指定場所が搬送手段の移動経路である場合、指定場所情報は、地理的な区間を示す情報として登録される。地理的な区間を示す情報として指定場所情報は、少なくとも区間の起点と終点を示す情報である。例えば、搬送手段がトラック等の車両であれば、地理的な区間を示す情報としての指定場所情報には、道路における起点と終点とその間の道路上の経路を情報として含む。また、例えば、搬送手段が航空機であれば、地理的な区間を示す情報としての指定場所情報には、起点となる空港と終点となる空港とその間の飛行経路を情報として含む。搬送手段は、その他、鉄道車両または船舶等であってもよく、それぞれの搬送手段に応じた起点と終点を示す情報が指定場所情報に含まれる。
情報処理装置2は、発生した事象が、指定場所情報によって指定された地理的な位置、地理的な範囲、または地理的な区間に影響を与えるか否かを判定することができる。
なお、登録情報には、指定場所情報と連絡先情報以外の情報を含んでいてもよい。例えば、登録情報には、指定場所の名称を示す名称情報、または、指定場所の種類(例えば、工場、店舗、倉庫、一般道路、高速道路、または、空路)を示す種類情報含んでもよい。また、例えば、登録情報には、指定場所に関連する活動の属性情報(例えば、食品関連、農業関連、化学関連、半導体関連、原子力関連、金融関連、屋外イベント関連、屋内イベント関連、輸出関連、輸入関連等)を含んでもよい。登録情報に、名称情報、種類情報、または、属性情報が含まれる場合、これらの情報は、指定場所情報と紐づけて、例えば記憶部23に記憶される。
【0014】
登録情報に含まれる連絡先情報が示す連絡先には、少なくとも、指定場所における活動を担当する者(以下「指定場所担当者」という。)への連絡先である第1連絡先が含まれる。第1連絡先は、指定場所担当者が使用する電子メールアドレス等である。例えば、ユーザがある製品を製造販売する企業である場合、指定場所担当者は、当該製品のサプライチェーンに関わる、原材料工場もしくは製品工場の責任者、原材料もしくは製品の倉庫の管理者、製品の販売店舗の店長、原材料もしくは製品を搬送する搬送業者等である。第1連絡先としては、これらの指定場所担当者の連絡先が登録される。なお、指定場所担当者は、個人または組織であってよい。
また、連絡先情報が示す連絡先には、第1連絡先に加えて、第2連絡先が設定される。第2連絡先は、少なくともユーザへの連絡先が含まれる。第2連絡先には、ユーザへの連絡先に加えて、指定場所担当者およびユーザのいずれとも異なる1または複数の者であって、指定場所での活動に関係する者(以下「その他関係者」という。)の連絡先が含まれていてもよい。第2連絡先は、ユーザが使用する電子メールアドレス等、または、第2連絡先にその他関係者の連絡先が含まれる場合は、その他関係者が使用する電子メールアドレス等である。
情報処理装置2は、発生した事象が指定場所に影響を与えると判定した場合、当該事象の発生を、少なくとも当該指定場所を示す指定場所情報に紐づけられた第1連絡先に通知する。また、情報処理装置2は、発生した事象が指定場所に影響を与えると判定した場合、当該事象の発生を、上記第1連絡先に加え、第2連絡先に通知してもよい。ユーザは、登録情報を登録する際、1または複数の指定場所を指定するとともに、それぞれの指定場所に紐づけた連絡先を登録する。ユーザは、それぞれの指定場所に対し、任意の連絡先を登録することができる。例えば、ユーザは、1つの指定場所に対して、複数の連絡先を登録してもよい。また、例えば、ユーザは、複数の指定場所に対して、それぞれ1対1に対応する連絡先を登録してもよい。また、例えば、ユーザは、複数の指定場所のうち任意の数の複数の指定場所に対して、共通する1または複数の連絡先を登録してもよい。
【0015】
事象情報は、予め指定された種類の事象の発生に関する情報である。事象の種類としては、事業活動または社会活動等の社会における各種活動に影響を与える可能性のある事象であれば、あらゆる種類の事象を指定することができる。例えば、予め指定された種類の事象は、火災、地震、浸水、台風、豪雨、豪雪、竜巻、発雷、地滑り、交通事故、交通渋滞、道路寸断、道路工事、通行止め、公共交通機関の遅延もしくは停止等の運行障害、停電、断水、ガス供給停止、工場内での事故、特定の企業の営業停止、建造物の倒壊、集団感染、システム障害、ストライキ、犯罪、暴動、株価の下落、為替の変動、または、規制法案の成立等である。例えば、火災が発生した場合、事象情報には、火災の発生場所を示す発生場所情報が含まれる。また、同様に火災が発生した場合の事象情報には、発生場所情報に加えて、事象の種類が火災であることを示す種類情報、または、火災の発生日時を示す日時情報等が含まれてもよい。また、事象情報には、当該事象情報を取得する元となった情報(以下「元情報」という。)の一部または全部が含まれてもよい。
【0016】
情報処理装置2は、組織もしくは個人が作成した情報を含むサーバ、または、公共情報を提供するサーバの少なくとも一つから事象情報を取得する。組織または個人が作成した情報を含むサーバには、例えば、Webサーバ4またはSNSサーバ5が含まれる。公共情報を提供するサーバには、Webサーバ4、SNSサーバ5または公共情報サーバ6が含まれる。情報処理装置2は、Webサーバ4、SNSサーバ5、または公共情報サーバ6を含む各種のサーバ(以下「各種サーバ」という。)が提供する、HTML(HyperText Markup Language)、CSV(Comma Separated Value)、JSON(JavaScript Object Notation)、XML(Extensible Markup Language)等の様々な形式の情報から、事象情報を取得する。情報処理装置2は、事象情報を用いて指定場所に事象が影響を与えるか否かを判定し、事象が指定場所に影響を与えると判定した場合に、指定場所を示す指定場所情報に紐づけられた連絡先情報が示す連絡先に事象の発生を通知する。事象の発生を通知する通知情報には、発生した事象の撮影画像、動画像、事象を説明するコメント等が含まれてもよい。
【0017】
情報処理装置2は、連絡先情報が示す連絡先に対し、ネットワーク7を介して通知情報を自動的に送信する、プッシュ型情報配信を行う。プッシュ型情報配信の態様としては、例えば、電子メールによるメール送信、SMS(Short Message Service)によるメッセージの送信、IVR(Interactive Voice Response)によるオートコール、または、API(Application Programming Interface)連携を利用した、SNSへの投稿、チャットツールへの投稿、もしくは、外部システムへの通知が含まれる。登録情報に含まれる連絡先情報としては、それぞれの配信態様に応じた連絡先の情報が登録される。また、情報処理装置2は、ネットワーク7を介して接続された端末から通知情報の送信要求を受信した場合、送信要求を行った端末に対し通知情報を送信する、プル型情報配信を行ってもよい。プル型情報配信を行う場合、情報処理装置2は、例えば、登録された連絡先情報が示す連絡先から送信要求を受信したと判定された場合にのみ、通知情報の送信を行うものであってもよい。
【0018】
第1端末3Aは、指定場所担当者により使用される端末であって、指定場所担当者が第1連絡先に送信された通知情報を閲覧できる端末であれば、どのような形態の端末であってもよい。第1端末3Aは、ネットワーク7を介して、少なくとも情報処理装置2と通信可能な端末装置であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末またはPC(Personal Computer)である。
【0019】
第2端末3Bは、ユーザにより使用される端末であって、ユーザが第2連絡先に送信された通知情報等を閲覧できる端末であれば、どのような形態の端末であってもよい。第2端末3Bは、ユーザが当該第2端末3Bを使用して情報処理装置2に登録情報を送信して登録することができるものであってもよい。第2端末3Bは、ネットワーク7を介して、少なくとも情報処理装置2と通信可能な端末装置であり、例えば、スマートフォン、タブレット端末またはPCである。第2端末3Bには、情報通知サービスを利用するための専用アプリ(以下「サービス専用アプリ」という。)がインストールされている。
なお、第2連絡先にその他関係者の連絡先が含まれる場合、その他関係者は、当該その他関係者が第2連絡先に送信された通知情報等を閲覧できる図示しない端末を使用する。
【0020】
また、第2端末3Bには、SaaS(Software as a Service)の形態で情報通知サービスが提供されてもよい。情報通知サービスがSaaSの形態で提供される場合には、情報通知サービスを提供するサービス用アプリケーションは、情報処理装置2が実行するので、第2端末3Bは、サービス専用アプリをインストールすることなく、Webブラウザ上で情報通知サービスが提供される。
【0021】
Webサーバ4は、ネットワーク7を介して、Webサイトを提供するサーバである。Webサイトには、例えば、報道機関がニュースを掲載するニュースサイトがある。
SNSサーバ5は、SNSを提供するサーバである。SNSには、例えば、Twitter(登録商標)、Instagram(登録商標)、TikTok(登録商標)、YouTube(登録商標)またはFacebook(登録商標)がある。
【0022】
公共情報サーバ6は、ネットワーク7を介して、公共情報を提供するサーバである。公共情報は、公共性の高い情報であり、例えば、公的機関またはライフライン事業者等から提供される、気象情報、地震情報、不審者の発生等の防犯もしくは安全に関する情報、火災に関する情報、自治体からの避難指示もしくは避難所開設に関する情報、交通情報、またはインフラ設備に関する情報等である。
【0023】
Webサーバ4またはSNSサーバ5は、組織または個人が作成した情報を提供するサーバとして利用され得る。また、Webサーバ4、SNSサーバ5または公共情報サーバ6は、公共情報を提供するサーバとして利用され得る。なお、これらのサーバから得られる情報は、例えば、特定のアカウントを利用した場合にのみ得られる情報等の、一般には公開されていない情報であってもよい。また、組織または個人が作成した情報には、組織または個人が自発的に作成してWebサーバ4またはSNSサーバにアップした情報以外に、組織または個人に送信されたアンケートに対して当該組織または個人が回答した結果としての情報が含まれてもよい。この場合、アンケートに対する回答結果の情報を提供するサーバ(不図示)も、組織または個人が作成した情報を提供するサーバとして利用され得る。以下、事象情報を取得するために利用される各種情報を提供するこれらのサーバを総称して「各種サーバ」という。
【0024】
情報通知サービスを提供する情報処理装置2は、図1に示すように、通信部21、演算部22および記憶部23を備える。通信部21は、ネットワーク7を介して、第1端末3A、第2端末3Bまたは各種サーバと通信を行う。例えば、通信部21は、LTE、3G、4Gまたは5G等の通信方式によるモバイル通信が可能な第1端末3Aまたは第2端末3Bとの間で、ネットワーク7を介して通信可能である。
【0025】
演算部22は、情報処理装置2の全体動作を制御する。演算部22は、情報通知サービスにおいて、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定および判定結果の通知を行うための情報処理アプリケーションを実行することにより各種の機能を実現する。記憶部23は、情報処理アプリケーションと、演算部22の演算処理に用いられる情報を記憶する。例えば、記憶部23は、登録情報、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定ルールおよび事象の発生を示す通知情報を連絡先に通知するための通知ルールを記憶する。
【0026】
演算部22は、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223および通知処理部224を備える。演算部22が情報処理アプリケーションを実行することにより、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223および通知処理部224の各機能が実現される。図2は、情報処理装置2の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。例えば、情報処理装置2は、ハードウェア構成として、通信インタフェース100、入出力インタフェース101、プロセッサ102およびメモリ103を有する。情報処理装置2が備える、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223および通知処理部224の各機能は、これらのハードウェア構成により実現される。
【0027】
通信インタフェース100は、ネットワーク7を介して外部装置から受信されたデータをプロセッサ102へ出力し、プロセッサ102が生成したデータを、ネットワーク7を介して第1端末3Aまたは第2端末3Bへ送信する。プロセッサ102は、入出力インタフェース101を介して記憶部23にデータを読み書きする。記憶部23は、情報処理装置2として機能するコンピュータがアクセス可能な記憶装置により実現される。図1では、情報処理装置2が記憶部23を有する構成としているが、記憶部23は、情報処理装置2として機能するコンピュータがアクセス可能な記憶装置であればよく、情報処理装置2の外部に存在していてもよい。
【0028】
登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223および通知処理部224の各機能を実現するための情報処理アプリケーションプログラムは、記憶部23に記憶されている。プロセッサ102は、入出力インタフェース101を介して記憶部23に記憶された情報処理アプリケーションプログラムを読み出してメモリ103にロードし、メモリ103にロードされたプログラムを実行する。これにより、プロセッサ102は、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223および通知処理部224の各機能を実現する。メモリ103は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0029】
登録情報取得部221は、指定場所情報および連絡先情報を含む登録情報を取得する。登録情報は、ユーザによって情報処理装置2に事前に設定され登録される情報である。例えば、ユーザは、情報通知サービスの利用開始時またはその後の適宜の時期に、例えば、第2端末3Bを用いて登録情報を登録する。例えば、ユーザが第2端末3Bを操作して登録情報として登録すべき情報を入力すると、第2端末3Bは、ネットワーク7を介して情報処理装置2に当該情報を送信する。情報処理装置2の登録情報取得部221は、第2端末3Bから送信された情報を取得すると、当該情報を記憶部23に登録情報として記憶させる。情報処理装置2は、後述のように影響判定部223により判定処理が行われる際に、記憶部23にアクセスし、記憶部23から登録情報を取得し、取得した登録情報を影響判定部223に出力する。
【0030】
図3は、登録情報の設定処理の概要を示す画面図であり、第2端末3Bにおける登録情報の設定画面を示している。第2端末3Bがサービス専用アプリを実行することにより、第2端末3Bには、図3に示すように、地図が表示された設定画面を含むユーザインタフェース(以下「UI」という。)が表示される。ここでは、例えば、ユーザがある製品を製造販売する企業であり、指定場所として、当該製品の販売店舗である店舗12、および、当該製品の店舗12への搬送ルートである搬送ルート13を指定する場合を想定する。また、店舗12は、地理的な位置としての指定場所として指定され、搬送ルート13は、地理的な区間としての指定場所として指定されるものとする。
【0031】
例えば、当該UIでは、第2端末3Bが備える操作装置(タッチパネル等)の操作によって設定画面内の所望の位置に配置可能なピン画像11が、地図上の店舗12の位置に配置されると、ピン画像11が示す位置を指定場所とする指定場所情報が生成される。また、当該UIでは、上記操作装置の操作によって設定画面内の道路上の所望の位置に配置可能なルートの起点を表すマーク13Aおよび終点を表すマーク13Bを地図上に配置されると、起点を表すマーク13Aと終点を表すマーク13Bとを結ぶ経路である搬送ルート13を指定場所とする指定場所情報が生成される。起点を表すマーク13Aと終点を表すマーク13B以外にも、経由点を表す図示しないマークが使用可能であってもよい。また、起点と終点(または、さらに経由点)とを結ぶ経路は、一般のナビゲーション装置と同様な機能により検索されてよい。経路が複数検索された場合、すべての経路を搬送ルートである指定場所とする指定場所情報が生成されてもよいし、検索された複数の経路のうちユーザにより選択された1または複数の経路のみを搬送ルートである指定場所とする指定場所情報が生成されてもよい。
また、指定場所の指定後に、不図示のUIが表示され、当該不図示のUIでは、それぞれの指定場所に紐づけられた連絡先の入力を受け付けると、連絡先情報を生成する。このようにして生成された指定場所情報と連絡先情報は、ネットワーク7を介して通信部21により受信され、登録情報取得部221により取得され記憶部23に登録情報として登録される。
【0032】
事象情報取得部222は、予め指定された種類の事象の発生に関する情報である事象情報を取得する。例えば、事象情報取得部222は、各種サーバが提供するテキスト情報に対して、予め指定された種類の事象を示すキーワード(「火災」、「地震」、「交通事故」等)を用いて、当該キーワードに対応する事象の発生に関する情報を検索し、検索結果として得られた情報を用いて、事象情報を取得する。当該検索結果として得られた情報は、元情報として事象情報に含まれてもよい。
【0033】
事象情報取得部222は、事象情報を、各種サーバが提供するテキスト情報から取得するのみならず、各種サーバが提供する画像または動画を含む情報から取得してもよい。例えば、火災の発生に関する事象情報を取得する場合、事象情報取得部222は、各種サーバが提供する情報に含まれる画像または動画を画像解析し、画像または動画に火災が映っているか否かの解析結果を用いて火災の発生を示す情報を検索し、検索結果として得られた情報を用いて、事象情報を取得する。当該検索結果として得られた情報は、元情報として事象情報に含まれてもよい。
事象情報取得部222は、事象情報を取得すると、取得した事象情報を影響判定部223に出力する。また、事象情報取得部222は、取得した事象情報を影響判定部223に出力するとともに、記憶部23に記憶させてもよい。
【0034】
例えば、事象情報取得部222は、事象情報を、組織もしくは個人が作成した情報を提供するサーバ、または、公共情報を提供するサーバの少なくとも一つから取得する。上述のとおり、組織または個人が作成した情報を含むサーバには、例えば、Webサーバ4またはSNSサーバ5が含まれる。また、組織または個人が作成した情報には、組織または個人が自発的に作成してWebサーバ4またはSNSサーバにアップした情報以外に、組織または個人に送信されたアンケートに対して当該組織または個人が回答した結果としての情報が含まれてもよい。この場合、アンケートに対する回答結果の情報を提供するサーバ(不図示)も、組織または個人が作成した情報を提供するサーバとして利用され得る。公共情報を提供するサーバには、Webサーバ4、SNSサーバ5または公共情報サーバ6が含まれる。これにより、情報処理装置2は、指定場所に関する様々な情報から事象情報を取得することが可能である。
【0035】
事象情報取得部222は、事象情報として、少なくとも事象の発生場所を示す発生場所情報を取得する。例えば、事象情報取得部222が、各種サーバが提供するテキスト情報に基づいて事象情報を取得する場合、事象情報取得部222は、各種サーバが提供するテキスト情報または各種サーバが提供するテキスト情報のメタ情報から、事象の発生場所情報を可能な限り取得する。また、例えば、事象情報取得部222が、各種サーバが提供する画像または動画を含む情報に基づいて事象情報を取得する場合、事象情報取得部222は、画像または動画を画像解析することにより、または、画像もしくは動画とともに提供されるテキスト情報、または、それらのメタ情報も利用して、事象の発生場所情報を可能な限り取得する。
発生場所情報は、事象が発生した地理的な位置を示す情報であってもよいし、事象が発生した地理的な範囲を示す情報であってもよいし、事象が発生した地理的な区間を示す情報であってもよい。地理的な位置を示す発生場所情報は、例えば、緯度および経度で表される地点を示す情報である。また、地理的な位置を示す発生場所情報は、住所または居所を示す情報であってもよい。地理的な範囲を示す発生場所情報は、例えば、3点以上の地点の組を示す情報を含み、これらの地点を結ぶ線で囲まれた範囲として示される情報である。また、地理的な範囲を示す発生場所情報は、市町村名、県名、国名等の地域名を示す情報であってもよい。地理的な区間としての発生場所情報は、少なくとも区間の起点と終点を示す情報であり、その起点と終点間の経路を示す情報を含んでいてもよい。
例えば、発生した事象が1つの建物における火災である場合、事象情報取得部222は、火災が発生した地理的な位置、つまり当該建物の存在位置を示す情報を、地理的な位置を示す発生場所情報として取得する。また、例えば、1つの建物で発生した火災が他の複数の建物まで延焼した場合は、延焼範囲を示す情報を、地理的な範囲を示す発生場所情報として取得する。また、発生した事象が地震である場合は、事象情報取得部222は、例えば、所定以上の震度が生じた範囲等の特定の範囲を示す情報を、地理的な範囲を示す発生場所情報として取得する。また、発生した事象が交通事故による通行止めである場合、事象情報取得部222は、通行止めが発生している区間を示す情報を、地理的な区間を示す発生場所情報として取得する。
また、事象情報取得部222は、発生場所を推定する機能を有していてもよい。例えば、発生した事象が浸水である場合、事象情報取得部222は、発生場所情報が示す発生場所の標高(または海抜)と同程度またはそれ以下の標高(または海抜)の場所であって、当該発生場所から所定の範囲内にある他の場所について、同様に浸水が発生していると推定し、浸水が推定された当該他の場所についても、発生場所情報を含む事象情報を生成することにより、事象情報を取得する。
発生場所情報を取得することにより、情報処理装置2は、事象の発生場所を特定することができる。
事象情報取得部222は、事象情報として発生場所情報を取得すると、取得した発生場所情報を影響判定部223に出力する。また、事象情報取得部222は、取得した発生場所情報を影響判定部223に出力するとともに、記憶部23に記憶させてもよい。
【0036】
事象情報取得部222は、事象情報として、事象の種類を示す種類情報と事象の発生場所を示す発生場所情報とを取得してもよい。発生場所情報については、上述のとおりである。種類情報については、例えば、事象情報取得部222が、各種サーバが提供するテキスト情報と予め指定された種類の事象を示すキーワードとに基づいて事象情報を取得する場合、事象情報取得部222は、テキスト情報に含まれていたキーワードを種類情報として取得する。また、例えば、事象情報取得部222が、各種サーバが提供する画像または動画を含む情報に基づいて事象情報を取得する場合、事象情報取得部222は、画像または動画を画像解析することにより事象の種類を判定して種類情報を取得するか、または、画像もしくは動画とともに提供されるテキスト情報、または、それらのメタ情報も利用して、種類情報を取得する。これにより、情報処理装置2は、事象の種類と事象の発生場所を特定することができる。
事象情報取得部222は、事象情報として種類情報と発生場所情報とを取得すると、取得した種類情報と発生場所情報とを紐づけて影響判定部223に出力する。また、事象情報取得部222は、取得した種類情報と発生場所情報とを紐づけて影響判定部223に出力するとともに、取得した種類情報と発生場所情報とを紐づけて、記憶部23に記憶させてもよい。
【0037】
事象情報には、事象の発生日時を示す日時情報を含んでもよい。例えば、事象情報取得部222は、各種サーバが提供するテキスト情報またはメタ情報から日時情報を取得する。また、事象情報取得部222は、事象情報を取得した日時を日時情報としてもよい。
事象情報取得部222は、例えば、事象情報として発生場所情報と日時情報とを取得すると、取得した発生場所情報と日時情報とを紐づけて影響判定部223に出力する。また、事象情報取得部222は、取得した発生場所情報と日時情報とを紐づけて影響判定部223に出力するとともに、取得した発生場所情報と日時情報とを紐づけて、記憶部23に記憶させてもよい。
また、事象情報取得部222は、例えば、事象情報として種類情報と発生場所情報と日時情報とを取得すると、取得した種類情報と発生場所情報と日時情報とを紐づけて影響判定部223に出力する。また、事象情報取得部222は、取得した種類情報と発生場所情報と日時情報とを紐づけて影響判定部223に出力するとともに、取得した種類情報と発生場所情報と日時情報とを紐づけて、記憶部23に記憶させてもよい。
事象情報に日時情報が含まれる場合、例えば、事象情報取得部222は、予め定められた時間内に、重複する発生場所において、同じ種類の事象に関する複数の情報が得られた場合は、当該複数の情報を1つのグループに属するものとして、グルーピングを行って記憶部23に記憶させてもよい。事象情報取得部222は、既存のグループに属すると判定される事象情報が取得された場合、当該事象情報を、逐次、当該グループに属するものとして記憶部23に記憶させる。例えば、後述の通知処理部224は、記憶部23にグルーピングされて記憶された複数の事象情報に基づき、第一報から第n報(nは、2以上の自然数)までの通知情報を順次通知してもよい。例えば、通知情報に、発生した事象の発生場所情報が含まれる場合、指定場所担当者、ユーザ、または、その他関係者は、情報処理装置2から通知された同一の事象について、通知情報を順次参照することにより、発生場所の範囲の経時変化等を認識できる。
【0038】
影響判定部223は、事象情報を用いて、指定場所情報が示す指定場所に、事象が影響を与えるか否かを判定する。図4は、事象が火災である場合の影響判定の例の概要を示す説明図である。図4において、地図上の店舗12および搬送ルート13は、指定場所情報が示す指定場所である。また、発生場所情報が示す事象の発生場所として、地図上の位置14を中心とした円形の延焼範囲(火災発生範囲)15A、15Bまたは15Cのいずれかの範囲に火災が発生しているものとする。なお、現実の延焼範囲は、複雑な形状を有し得るが、ここでは、簡単のため延焼範囲が円形であるものとして説明する。
【0039】
影響判定部223は、事象情報を用いて、事象が火災であることを特定し、さらに火災の延焼範囲を特定して、事象の発生場所に指定場所の一部または全部が含まれるか否かに応じて、当該事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。例えば、影響判定部223は、発生場所情報に基づき、事象の発生場所として、地図上の位置14を中心とした円形の延焼範囲を特定する。続いて、影響判定部223は、登録情報取得部221が記憶部23から予め取得した登録情報に含まれる指定場所情報から位置14の周辺にある指定場所(店舗12および搬送ルート13)を示す指定場所情報を検索し、検索結果として取得した指定場所情報が示す店舗12および搬送ルート13の指定場所と、特定した延焼範囲15A、15Bまたは15Cとを比較した結果に基づき、発生した火災が、店舗12に影響を与えるか否か、および、搬送ルート13に影響を与えるか否かを判定する。
なお、影響判定部223は、事象情報取得部222から事象情報が出力された場合に登録情報取得部221に指示し、記憶部23に保存された登録情報に含まれる指定場所情報から位置14の周辺にある指定場所(店舗12および搬送ルート13)を示す指定場所情報を検索させ、登録情報取得部221が検索結果として取得した指定場所情報を、登録情報取得部221から取得してもよい。この場合、登録情報取得部221は、記憶部23から予め指定場所情報を取得しておく必要はない。
【0040】
例えば、延焼範囲15Aの火災が発生した場合、図4に示すように、店舗12および搬送ルート13のいずれも延焼範囲15Aに含まれないので、影響判定部223は、発生した火災が指定場所に影響を与えないと判定する。延焼範囲15Bの火災が発生した場合、影響判定部223は、搬送ルート13の一部が延焼範囲15Bに含まれるので、発生した火災が搬送ルート13に影響を与えると判定する。延焼範囲15Cの火災が発生した場合、店舗12および搬送ルート13の両方が延焼範囲15Cに含まれるので、影響判定部223は、発生した火災が店舗12および搬送ルート13の両方に影響を与えると判定する。
【0041】
また、影響判定部223は、事象の種類ごとに予め設定された判定ルールと事象情報とを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定してもよい。判定ルールは、事象が指定場所に影響を与えるか否かの基準に関するルール、またはそのルールを示す情報である。
判定ルールは、例えば、事象の種類に応じて、その種類の事象の影響が及ぶ距離の範囲(以下「影響範囲」という。)を特定するための手法を示す。
例えば事象の種類が火災である場合、判定ルールは、火災の発生位置または火災の発生範囲から、所定の距離(例えば50m)だけ離れた範囲内までを、影響範囲として特定することを定める。この場合、影響判定部223は、当該判定ルールと、事象情報に含まれる発生場所情報とを用いて、火災による影響範囲を特定し、指定場所の一部または全体が特定された影響範囲に含まれるか否かに応じて、当該火災が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。なお、上述の図4の例は、上記の所定の距離が0mとして定められている場合、つまり、影響範囲が発生場所と同じ範囲として特定される場合の例である。
また、例えば事象の種類が火災である場合、判定ルールは、火災の発生した時期に応じて、火災の発生位置または火災の発生範囲から、どの距離だけ離れた範囲内までを、影響範囲として特定するかを定める。例えば、判定ルールは、火災の発生した時期が冬である場合、火災の延焼が広がる可能性が高いため、火災の発生した時期が春夏秋である場合に比べ、影響範囲を広く設定することを定める。
また、例えば事象の種類が通行止めである場合、判定ルールは、通行止めが行われている道路上の通行止め区間から、所定の距離(例えば500m)だけ離れた範囲内に含まれる道路であって通行止めが行われている道路とつながっている道路を、影響範囲として特定することを定める。この場合、影響判定部223は、当該判定ルールと、事象情報に含まれる発生場所情報とを用いて、通行止めによる影響範囲を特定し、指定場所(例えば搬送ルート)の一部または全体が影響範囲に含まれるか否かに応じて、当該通行止めが指定場所に影響を与えるか否かを判定する。
【0042】
また、判定ルールは、例えば、事象の種類と指定場所の種類に応じて、その種類の事象の発生場所または影響範囲に、指定場所の全体または一部が含まれていた場合に、影響を与えると判定するか否か等のルールを定めるものであってもよい。例えば、事象の種類が豪雪である場合、判定ルールは、指定場所の種類が道路である搬送ルートが、その一部でも当該豪雪の発生場所に含まれている場合は、影響を与えると判定し、他方、指定場所の種類が空路である搬送ルートの途中の一部の区間のみが含まれていても、影響を与えないと判定するように定める。なお、この場合、判定ルールは、指定場所の種類が空路であっても、搬送ルートの起点または終点となる地理的な位置、つまり、発着空港が豪雪の発生場所に含まれている場合は、影響を与えると判定するように定められていてもよい。
また、判定ルールは、例えば、事象の種類と指定場所に関連する活動の属性に応じて、その種類の事象の発生場所または影響範囲に、指定場所の全体または一部が含まれていた場合に、影響を与えると判定するか否か等のルールを定めるものであってもよい。例えば、事象の種類が発雷である場合、判定ルールは、指定場所に関連する活動の属性が屋外イベント関連である指定場所が発雷の発生場所に含まれている場合は、影響を与えると判定し、他方、指定場所に関連する活動の属性が屋内イベント関連である指定場所については、その指定場所が発雷の発生場所に含まれていても影響を与えないと判定するように定める。
事象の種類ごとに予め設定された判定ルールを用いることにより、情報処理装置2は、事象の種類ごとに定められた、事象が指定場所に影響を与えると判定するか否かの基準に基づき、当該判定を行うことができる。
【0043】
また、影響判定部223は、指定場所ごとに予め設定された判定ルールを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定してもよい。この場合の判定ルールは、例えば、ユーザが情報処理装置2に登録した登録情報に含まれる。ユーザが、例えば第2端末3Bを用いて、指定場所ごとの判定ルールを設定し、情報処理装置2に判定ルールを含む登録情報を登録するための操作を行うと、情報処理装置2は、当該判定ルールを含む登録情報を取得し、当該判定ルールを指定場所情報と紐づけて、登録情報として記憶部23に記憶させる。
例えば、化学工場が指定場所とされる場合、当該工場から比較的遠い距離で発生した火災であっても、当該工場に影響を与える可能性があるため、より注意が必要である。このような場合、ユーザは、化学工場を指定場所として登録する際、火災の発生位置または火災の発生範囲から、比較的遠い距離(例えば200m)だけ離れた範囲内までを、影響範囲として特定することを定める判定ルールを設定して登録する。
指定場所ごとに予め設定された判定ルールを用いることにより、情報処理装置2は、指定場所ごとに定められた、事象が指定場所に与える影響を与えると判定するか否かの基準に基づき、当該判定を行うことができる。
なお、判定ルールは、デフォルトとして何らかのルールを定めたものとして、記憶部23に記憶されていてもよい。この場合、ユーザが判定ルールを登録情報に含めて設定すると、影響判定部223は、デフォルトの判定ルールに優先して、ユーザが設定した判定ルールを適用して、事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定を行う。
【0044】
通知処理部224は、発生した事象が指定場所に影響を与えると判定された場合、指定場所を示す指定場所情報に紐づけられた連絡先情報が示す連絡先に、事象の発生を通知する。例えば、通知処理部224は、ネットワーク7を介して、通信部21により、第1端末3Aまたは第2端末3Bに、事象の発生を通知する。
【0045】
登録情報として、第1連絡先と第2連絡先とを含む連絡先情報が記憶部23に保存されている場合、通知処理部224は、事象が指定場所に影響を与えると判定された場合に、まず、少なくとも第1連絡先に事象の発生を通知する。通知処理部224が、まず、少なくとも第1連絡先に事象の発生を通知することにより、指定場所担当者は、自身が担当する指定場所に影響を与える事象の発生をいち早く知ることができる。
【0046】
通知処理部224は、通知ルール情報を用いて、事象の発生を通知してもよい。通知ルール情報は、例えば、事象が指定場所に影響を与えると判定された場合に、まず事象の発生を通知する連絡先を、第1連絡先のみとするか、または、第1連絡先および第2連絡先とするかを示す情報である。通知ルール情報は、ユーザにより登録情報に含めて設定されてもよい。登録情報取得部221は、通知ルール情報を含む登録情報を取得して記憶部23に保存し、通知処理部224は、記憶部23に保存された登録情報に含まれる通知ルール情報を用いて事象の発生を通知する。
【0047】
また、通知ルール情報は、デフォルトとしていずれかのルールを定めたものとして、登録情報に含まれていてもよい。この場合、ユーザが通知ルール情報を登録情報に含めて設定すると、記憶部23に記憶されたデフォルトの通知ルール情報は上書きされる。例えば、デフォルトの通知ルール情報は、指定場所に影響を与える事象の発生を、当該指定場所の指定場所情報に紐づけられた連絡先情報に含まれる第1連絡先のみにいち早く第一報として通知するように設定されたものであってもよい。これに対し、ユーザは、登録情報に含める通知ルール情報を、指定場所に影響を与える事象の発生を、まず、当該指定場所の指定場所情報に紐づけられた連絡先情報に含まれる第1連絡先および第2の連絡先の両方に通知するものとして、デフォルトの通知ルール情報が上書きされるようにしてもよい。
情報処理装置2は、通知ルール情報を用いることにより、指定場所に影響を与える事象の発生を、第1連絡先のみに通知するか、または、第1連絡先および第2連絡先に通知することが可能である。
【0048】
また、通知ルール情報は、事象の種類に応じて特定の時間帯に通知をしないことを示す情報であってもよい。例えば、ある搬送ルートが指定場所であり、当該搬送ルートの指定場所担当者である搬送業者が当該搬送ルートを利用しての搬送を夜間には利用しないことが分かっているとする。この場合、ユーザは当該搬送業者の連絡先を第2連絡先として登録する際、当該搬送ルートに影響を与える事象が発生したとしても、夜間には事象の発生を当該第2連絡先には通知しないような通知ルール情報を、登録情報に含めておく。通知処理部224は、当該通知ルール情報を用いて、例えば、指定ルートに影響を与える交通事故が発生しても、その交通事故の発生が夜間であれば、当該交通事故の発生を、上記配送業者の連絡先である第2連絡先には通知しない。
【0049】
また、通知処理部224は、事象の発生の通知に加えて、事象が指定場所に与える影響度合いを問い合わせる問い合わせ情報を第1連絡先に送信して、問い合わせ情報に対する回答情報を第1連絡先から受信して、回答情報を第2連絡先に送信してもよい。例えば、図3に示した店舗12が指定場所であり、店舗12の店長の電子メールアドレスが、店舗12を指定した指定場所情報に紐づけられた第1連絡先とされており、ユーザの電子メールアドレスが第2連絡先とされているとする。
【0050】
例えば、店舗12を含む地理的な範囲に地震が発生した場合、通知処理部224は、地震の発生の通知に加え、地震が店舗12に与える影響度合いを問い合わせる問い合わせ情報を第1連絡先に送信する。例えば、通知処理部224は、営業の継続が可能か否かを問い合わせるアンケート画面を表示させるための表示制御情報を、問い合わせ情報として第1端末3Aに送信する。第1端末3Aは、問い合わせた情報に基づきアンケート画面を表示し、店舗12の店員は、アンケート画面に基づき営業の継続が可能か否かの問に対する回答を第1端末3Aに入力する。
【0051】
次に、第1端末3Aは、店舗12の店員が入力した営業の継続が可能か否かの問に対する回答を示す回答情報を生成し、当該回答情報を、ネットワーク7を介して情報処理装置2に返信する。通知処理部224は、第1端末3Aから受信した回答情報を、第2連絡先に送信する。ユーザは、第2端末3Bに表示された回答情報を参照することにより、店舗12の営業が継続の可能か否かを認識することで、店舗12周辺に発生した地震の影響度合いを認識することができる。
また、ユーザの連絡先に加えて、その他関係者の連絡先が、第2連絡先に含まれている場合は、その他関係者も回答情報を参照することで、地震の影響度合いを認識することができる。例えば、その他関係者の連絡先として、店舗12に製品を搬送する搬送業者の連絡先が第2連絡先に含まれていた場合、上記のようにして得た店舗12への地震の影響度合いに応じて、予定していた製品の搬送を中止するか否かの判断を行うことができる。なお、通知処理部224は、上記アンケート画面に、営業の継続が可能か否かを問い合わせる内容に加えて、従業員の安否に関する質問項目、または、体感震度に関する質問項目等を含めて、問い合わせを行ってもよい。また、アンケートの形式は、各質問項目について、選択肢を選択させる形式であってもよいし、自由に回答を記載させる形式であってもよい。
【0052】
通知処理部224は、複数の第1連絡先に問い合わせ情報を送信した場合、受信された回答情報に基づいて生成した一覧形式の回答情報を第2連絡先に送信する。例えば、図3に示した店舗12および搬送ルート13が指定場所であるとする。そして、店舗12の店長の電子メールアドレスが、店舗12を指定した指定場所情報に紐づけられた第1連絡先(以下「店舗連絡先」という。)とされており、搬送ルート13を利用する搬送業者の電子メールアドレスが、搬送ルート13を指定した指定場所情報に紐づけられた第1連絡先(以下「配送業者連絡先」という。)とされており、ユーザの電子メールアドレスが第2連絡先とされているとする。
【0053】
例えば、店舗12および搬送ルート13を含む地理的な範囲に地震が発生した場合、通知処理部224は、地震の発生の通知に加え、地震が店舗12に与える影響度合いを問い合わせる問い合わせ情報を店舗連絡先に送信し、地震が搬送ルート13に与える影響度合いを問い合わせる問い合わせ情報を搬送業者連絡先に送信する。例えば、通知処理部224は、地震の影響度合いを問い合わせるアンケート画面を表示させるための表示制御情報を、問い合わせ情報として、店舗12の店長が使用する第1端末3A、および、搬送ルート13を利用する搬送業者の使用する第1端末3Aに送信する。各第1端末3Aは、問い合わせた情報に基づきアンケート画面を表示し、当該店長または当該搬送業者は、アンケート画面に基づき体感の震度を各第1端末3Aに入力する。
【0054】
各第1端末3Aは、それぞれ地震の影響度合いを示した回答情報を生成して、これらの回答情報を、ネットワーク7を介して情報処理装置2に返信する。通知処理部224は、複数の第1端末3Aからそれぞれ受信された複数の回答情報を一覧形式とした回答情報を生成し、生成した回答情報を第2連絡先に送信する。ユーザは、第2端末3Bに表示された一覧形式の回答情報を参照することにより、店舗12および搬送ルート13に対する地震の影響度合いを一覧で認識することができる。
【0055】
また、通知処理部224は、複数の第1連絡先に問い合わせ情報を送信した場合、受信された回答情報に基づいて生成した統計情報を、第2連絡先に送信してもよい。例えば、複数の店舗がそれぞれ指定場所として登録されており、複数の店舗のそれぞれの店長の電子メールアドレスが第1連絡先とされ、ユーザの連絡先が第2連絡先とされているとする。
【0056】
例えば、複数の店舗が含まれる地理的な範囲に地震が発生した場合、通知処理部224は、地震の発生の通知に加えて、地震が各店舗に与える影響度合いを問い合わせる問い合わせ情報を、複数の第1連絡先にそれぞれ送信する。例えば、通知処理部224は、体感の震度を問い合わせるアンケート画面を表示させるための表示制御情報を、問い合わせ情報として複数の第1端末3Aにそれぞれ送信する。各第1端末3Aは、問い合わせた情報に基づきアンケート画面を表示し、各店舗の店長は、アンケート画面に体感の震度を入力する。
【0057】
複数の第1端末3Aのそれぞれは、各店舗の店長が入力した体感の震度を示す回答情報を生成し、当該回答情報を、ネットワーク7を介して情報処理装置2に返信する。通知処理部224は、複数の第1端末3Aからそれぞれ受信された体感震度を統計処理した統計情報を、回答情報として第2連絡先に送信する。店舗12等を統括する企業の担当者は、第2端末3Bに表示された回答情報を参照することにより、複数の店舗が含まれる範囲に発生した地震についての体感震度を統計的に認識することができる。統計情報としては、例えば、各店舗の店長が回答した体感震度の平均、集計値、最大値、最小値、標準偏差等がある。また、複数の第1端末3Aからの回答情報の回答率を統計情報としてもよい。
【0058】
事象情報取得部222が、事象情報として、少なくとも事象の発生場所を示す発生場所情報を取得し、通知処理部224が、発生場所情報が示す事象の発生場所を特定できるように地図上に表示した地図情報を連絡先に送信してもよい。図5は、通知情報の例を示す画面図であり、第1端末3Aに通知された火災の発生を示す画面である。図5における店舗12は、指定場所である。事象情報取得部222は、発生した火災について、地理的な位置(図5の位置14)を示す発生場所情報を取得し、影響判定部223に出力する。
【0059】
影響判定部223は、火災が指定場所(店舗12)に影響を与えるか否かを判定し、判定結果を通知処理部224に出力する。通知処理部224は、影響判定部223から、発生した火災が指定場所である店舗12に影響を与えるという判定結果を受けると、図5に示す画面を表示させるための表示制御情報を生成する。通知処理部224は、ネットワーク7を介して、通信部21により、上記表示制御情報を通知情報として第1連絡先に送信する。
【0060】
第1端末3Aは、情報処理装置2から受信した上記表示制御情報に基づき、図5に示す画面を表示する。図5に示す画面には、発生した事象が火災であることを示す画像が地図上の位置14に表示されており、当該画面を参照することにより火災の発生場所を特定できるようになっている。さらに、地図上の位置14の周辺には、火災が指定場所である店舗12に影響を与えることを示す「影響あり」というテキスト16が表示されている。
【0061】
例えば、第1端末3Aを使用する店舗12の店長は、図5に示す画面を参照することにより、火災が位置14に発生していること、および、火災が店舗12に影響を与えることを認識することができる。このように、情報処理装置2は、事象の発生場所を特定可能な地図情報を連絡先に送信することが可能である。
【0062】
また、事象情報取得部222が、事象情報として少なくとも事象の発生場所を示す発生場所情報を取得し、通知処理部224が、発生場所情報が示す事象の発生場所と指定場所と指定場所に対応する回答情報とを特定できるように地図上に表示した地図情報を、第2連絡先に送信してもよい。例えば、店舗12周辺に火災が発生した場合、通知処理部224は、火災の影響度合いを問い合わせるアンケート画面を表示させるための表示制御情報を、問い合わせ情報として第1連絡先に送信する。第1端末3Aは、問い合わせた情報に基づきアンケート画面を表示し、店舗12の店長は、アンケート画面に火災の影響度合いを入力する。
【0063】
次に、第1端末3Aは、店舗12の店長が入力した火災の影響度合いを示す回答情報を生成して、当該回答情報を、ネットワーク7を介して情報処理装置2に返信する。通知処理部224は、影響判定部223の判定結果と、第1端末3Aから受信した回答情報とを用いて、発生場所情報が示す火災の発生場所と、指定場所である店舗12等と、指定場所に対する火災の影響度合いを示す回答情報とを表示した地図情報を表示させるための表示制御情報を生成し、第2連絡先に送信する。
【0064】
第2端末3Bは、表示制御情報に基づき、店舗12である指定場所を含む地図上に、火災の発生場所と、火災の影響度合いを示す回答情報とを表示した画面を表示する。なお、指定場所に対応する回答情報は、地図上の事象の発生場所の周辺にテキスト情報として表示してもよいし、第2端末3Bの画面の任意の位置にポップアップ表示してもよい。ユーザは、第2端末3Bの当該画面を参照することにより、店舗12の店長により回答された火災の影響度合いを認識することができる。
【0065】
図6は、実施の形態1に係る情報処理方法を示すフローチャートである。
登録情報取得部221が、指定場所情報と指定場所情報に紐づけられた連絡先情報とを含む登録情報を取得する(ステップST1)。事象情報取得部222が、事象情報を取得する(ステップST2)。影響判定部223が、事象情報を用いて、指定場所情報が示す指定場所に、事象が影響を与えるか否かを判定する(ステップST3)。事象が指定場所に影響を与えると判定された場合(ステップST3;YES)、通知処理部224は、指定場所情報に紐づけられた連絡先情報が示す連絡先に事象の発生を通知する(ステップST4)。事象が指定場所に影響を与えないと判定された場合(ステップST3;NO)は、図6に示すフローが終了し、ステップST1からの一連の処理が繰り返される。なお、ステップST1とステップST2は、順番が逆であってもよい。
これにより、情報処理装置2は、事象の発生に関する情報が取得された場合に、指定場所への影響の有無を判定できる。
【0066】
以上のように、実施の形態1に係る情報処理装置2は、指定場所情報および連絡先情報を含む登録情報を取得し、事象の発生に関する情報である事象情報を取得し、事象情報を用いて指定場所に事象が影響を与えるか否かを判定して、事象が指定場所に影響を与えると判定された場合に、当該指定場所を示す指定場所情報に紐づけられた連絡先情報が示す連絡先に事象の発生を通知する。これにより、情報処理装置2は、事象の発生に関する情報が取得された場合に、当該事象が指定場所に与える影響を判定することで、当該事象が与える影響を判定できる。例えば、特許文献1に記載される従来の技術は、テキストデータを収集して企業別に分類して、その際、評価対象企業および評価対象会社と関連された協力会社に関連するテキストデータを分析してリスクスコアを算出するものである。このため、例えば、テキストデータが企業を示すテキストを含まない場合、発生した事象について評価対象企業または協力会社のリスクスコアの算出ができない。これに対し、実施の形態1に係る情報処理装置2は、組織または個人の活動に関する場所に影響が発生していることを直接に示す内容が含まれるテキストデータが提供される前に、当該活動への影響を判定することができる。
【0067】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、指定場所情報は、地理的な位置を示す情報、地理的な範囲を示す情報、または、地理的な区間を示す情報である。情報処理装置2は、発生した事象が、指定場所情報によって指定された地理的な位置、地理的な範囲、または地理的な区間に影響を与えるか否かを判定することができる。また、ユーザは、実際の指定場所の態様に応じた適切な指定場所情報を登録することができる。
【0068】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、事象情報取得部222は、事象情報を、組織もしくは個人が作成した情報を提供するサーバ、または、公共情報を提供するサーバの少なくとも一つから取得する。これにより、情報処理装置2は、指定場所に関する様々な情報から、事象情報を取得することが可能である。
【0069】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、事象情報取得部222は、事象情報として、事象の発生場所を示す発生場所情報を取得する。情報処理装置2は、発生場所情報を取得することにより、事象の発生場所を特定することができる。
【0070】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、事象情報取得部222は、事象情報として、事象の種類を示す種類情報と事象の発生場所を示す発生場所情報とを取得する。これにより、情報処理装置2は、事象の種類ごとに事象情報を取得することができる。
【0071】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、影響判定部223は、事象の種類ごとに予め設定された判定ルールと事象情報とを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。事象の種類ごとに予め設定された判定ルールを用いることにより、情報処理装置2は、事象の種類ごとに定められた、事象が指定場所に影響を与えると判定するか否かの基準に基づき、当該判定を行うことができる。
【0072】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、影響判定部223は、指定場所ごとに予め設定された判定ルールを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。指定場所ごとに予め設定された判定ルールを用いることにより、情報処理装置2は、指定場所ごとに定められた、事象が指定場所に与える影響を与えると判定するか否かの基準に基づき、当該判定を行うことができる。
【0073】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、連絡先情報が示す連絡先には、第1連絡先と第2連絡先とが含まれている。通知処理部224は、事象が指定場所に影響を与えると判定された場合、まず、少なくとも第1連絡先に事象の発生を通知する。これにより、指定場所担当者は、自身が担当する指定場所に影響を与える事象の発生を迅速に知ることができる。
【0074】
登録情報には、事象が指定場所に影響を与えると判定された場合に、まず事象の発生を通知する連絡先を、第1連絡先のみとするか、または、第1連絡先および第2連絡先とするかを示す通知ルール情報が含まれている。通知処理部224は、通知ルール情報を用いて事象の発生を通知する。情報処理装置2は、通知ルール情報を用いることにより、指定場所に影響を与える事象の発生を、第1連絡先のみに通知するか、または、第1連絡先および第2連絡先に通知することが可能である。ユーザは、いずれかの通知ルールを利用することで、自身のニーズに応じた通知を受け取ることができる。
【0075】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、通知処理部224は、事象の発生の通知に加えて、事象が指定場所に与える影響度合いを問い合わせる問い合わせ情報を第1連絡先に送信し、問い合わせ情報に対する回答情報を第1連絡先から受信して、回答情報を第2連絡先に送信する。ユーザは、回答情報を参照することにより、指定場所担当者が判断した、事象が指定場所に与える影響度合いを認識することができる。
【0076】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、通知処理部224は、複数の第1連絡先に問い合わせ情報を送信した場合、受信された回答情報に基づいて生成した一覧形式の回答情報を第2連絡先に送信する。ユーザは、回答情報を参照することにより、複数の指定場所担当者がそれぞれ判断した、事象の影響度合いを一覧で認識することができる。
【0077】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、通知処理部224は、複数の第1連絡先に問い合わせ情報を送信した場合、受信された回答情報に基づいて生成した統計情報を第2連絡先に送信する。ユーザは、回答情報を参照することで、指定場所担当者が判断した、発生した事象が与える影響度合いを、統計的に認識することができる。
【0078】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、事象情報取得部222は、事象情報として、少なくとも事象の発生場所を示す発生場所情報を取得する。通知処理部224は、発生場所情報が示す事象の発生場所を特定できるように地図上に表示した地図情報を、連絡先に送信する。これにより、情報処理装置2は、事象の発生場所を特定可能な地図情報を連絡先に送信することが可能である。
【0079】
実施の形態1に係る情報処理装置2において、事象情報取得部222は、事象情報として、少なくとも事象の発生場所を示す発生場所情報を取得する。通知処理部224は、発生場所情報が示す事象の発生場所と指定場所と指定場所に対応する回答情報とを特定できるように地図上に表示した地図情報を、第2連絡先に送信する。これにより、情報処理装置2は、事象の発生場所および指定場所を特定でき、かつ指定場所における事象の影響度合いを、連絡先に送信することが可能である。
【0080】
実施の形態1に係るプログラムはコンピュータに実行されることにより、コンピュータを情報処理装置2として機能させる。このプログラムにより、事象の発生に関する情報が取得された場合に当該事象が指定場所に与える影響の有無を判定することで当該事象が与える影響を判定できる情報処理装置2を提供可能である。
【0081】
実施の形態1に係る情報処理方法は、登録情報取得部221が、予め指定された地理的な場所である指定場所を示す指定場所情報と指定場所情報に紐づけられた連絡先を示す連絡先情報とを含む登録情報を取得するステップと、事象情報取得部222が、予め指定された種類の事象の発生に関する情報である事象情報を取得するステップと、影響判定部223が、事象情報を用いて、指定場所情報が示す指定場所に、事象が影響を与えるか否かを判定するステップと、通知処理部224が、事象が指定場所に影響を与えると判定された場合に、指定場所を示す指定場所情報に紐づけられた連絡先情報が示す連絡先に、事象の発生を通知するステップと、を備える。この方法を実行することにより、事象の発生に関する情報が取得された場合に、当該事象が指定場所に与える影響の有無を判定することで、当該事象が与える影響を判定できる。
【0082】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係る情報処理システム1Aの構成を示すブロック図である。情報処理システム1Aは、情報処理装置2A、第1端末3A、第2端末3B、Webサーバ4、SNSサーバ5および公共情報サーバ6が、ネットワーク7を介して接続されたシステムである。ネットワーク7は、インターネット等を含む電気通信回線である。情報処理システム1Aは、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定結果を通知する情報通知サービスに利用される。
【0083】
情報通知サービスを提供する情報処理装置2Aは、図7に示すように、通信部21、演算部22Aおよび記憶部23を備える。演算部22Aは、情報処理装置2Aの全体動作を制御する。演算部22Aは、情報通知サービスにおける事象が影響を与えるか否かの判定および判定結果の通知を行うための情報処理アプリケーションを実行することにより各種の機能を実現する。
【0084】
演算部22Aは、図7に示すように、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223A、通知処理部224および重要度判定部225を備える。演算部22Aが情報処理アプリケーションを実行することで、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223A、通知処理部224および重要度判定部225の各機能が実現される。例えば、情報処理装置2Aは、ハードウェア構成として、図2に示した通信インタフェース100、入出力インタフェース101、プロセッサ102およびメモリ103を有する。情報処理装置2Aが備える、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223A、通知処理部224および重要度判定部225の各機能は、これらのハードウェア構成により実現される。
【0085】
重要度判定部225は、事象情報を用いて事象の重要度を判定する。事象の重要度は、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定の参考になるような当該事象の重要度合いを示したものである。例えば、重要度が大、中、小の三段階であり、発生した事象が火災である場合、総合商業施設等に生じた大規模な火災または延焼範囲が広範囲にわたる火災であれば重要度を大とし、小規模の建屋の火災または延焼範囲が狭い範囲の火災であればその重要度を中とし、ぼや程度の火災であればその重要度を小とすることができる。また、例えば、重要度が大、小の二段階であり、発生した事象が交通事故である場合、高速道路で発生した交通事故であれば重要度を大とし、一般道で発生した交通事故であればその重要度を小とすることができる。なお、重要度は、離散的な値等として設定されるものに限らず、連続的な値として設定されるものであってもよい。
【0086】
また、重要度判定部225は、事象情報が入力されると重要度を出力する機械学習モデルを用いて、重要度を判定してもよい。機械学習モデルは、例えば、事象情報とその事象情報が示す事象の重要度とが組となったデータを複数有する学習用データを用いて学習したものである。学習済みの機械学習モデルのパラメータ情報は、例えば、記憶部23に記憶される。この場合の学習済みの機械学習モデルに事象情報が入力されると、事象の重要度が出力される。または、機械学習モデルは、例えば、事象情報とその事象情報が示す事象の種類とその事象情報が示す事象の重要度とが組となったデータを複数有する学習用データを用いて学習したものである。この場合の学習済みの機械学習モデルに事象情報が入力されると、事象の重要度とともに事象の種類が出力される。機械学習モデルを用いることにより、重要度判定部225は、発生した事象の重要度を正確に判定することができる。なお、機械学習モデルは、事象の重要度に加え、上記のように事象の種類を出力するものであってもよいし、事象の種類に加えてまたは事象の種類に代えて事象の発生場所等を出力するものであってもよい。
【0087】
重要度判定部225は、事象情報に含まれるテキスト、事象情報に含まれる画像、または、事象情報に含まれるテキストおよび画像の両方を、機械学習モデルへの入力としてもよい。事象情報に元情報の全部または一部が含まれる場合は、当該元情報の全部または一部であるテキストまたは画像を機械学習モデルへの入力としてもよい。機械学習モデルは、テキスト、画像、または、テキストおよび画像の両方を学習用データとして用いて、事象の重要度を学習したものである。当該機械学習モデルを用いることにより、重要度判定部225は、事象情報に含まれるテキスト、事象情報に含まれる画像、または、事象情報に含まれるテキストおよび画像の両方から、発生した事象の重要度を正確に判定することができる。
【0088】
また、機械学習モデルは、事象情報の元情報がSNSに投稿された数、発生した事象の状況(例えば、事象が指定場所の浸水である場合、その浸水深度)を示す情報が、事象情報として入力されると、当該事象情報が示す事象の重要度を出力するものであってもよい。このような機械学習モデルを用いても、重要度判定部225は、発生した事象の重要度を正確に判定することができる。
【0089】
影響判定部223Aは、事象情報と事象の重要度とを用いて、指定場所情報が示す指定場所に、事象が影響を与えるか否かを判定する。これにより、情報処理装置2Aは、事象の発生に関する情報が取得された場合に、指定場所への影響の有無を事象の重要度も加味した上で判定できる。
【0090】
事象の重要度も加味した上で指定場所への影響の有無を判定するために、例えば、影響判定部223Aは、重要度ごとに予め設定された判定ルールと重要度と事象情報とを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。事象の重要度に対応する影響の有無の判定ルールは、例えば、記憶部23に記憶しておくことができる。影響判定部223Aは、事象情報が示す事象の種類と当該事象の状態とを特定し、特定した重要度に対応する判定ルールに従い、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。なお、判定ルールは、事象の重要度が高いほど、指定場所に対して当該事象が高い度合いで影響を与えると判定されるように設定されたものである。例えば、判定ルールは、後述のように、事象の重要度が高いほど当該事象の影響範囲が広がるように定められる。当該判定ルールを用いることにより、情報処理装置2Aは、指定場所に影響を与える事象の発生を、事象の重要度に応じて判定することができる。
【0091】
また、事象の重要度も加味した上で指定場所への影響の有無を判定するために、例えば、事象情報取得部222は、事象情報として、事象の種類を示す種類情報と事象の発生場所を示す発生場所情報とを取得し、影響判定部223Aは、事象の種類ごとかつ重要度ごとに予め設定された判定ルールと重要度と事象情報とを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。事象の種類ごとかつ重要度ごとの判定ルールは、例えば、記憶部23に記憶しておくことができる。影響判定部223Aは、種類情報が示す事象の種類と発生場所情報が示す当該事象の発生場所とに基づき記憶部23から特定した判定ルールに従い、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。例えば、判定ルールは、事象の種類に応じて影響範囲が定められ、かつ、その影響範囲が事象の重要度が高いほど広がるように定められる。当該判定ルールを用いることにより、情報処理装置2Aは、指定場所に影響を与える事象の発生を事象の種類ごとかつ重要度ごとに判定することができる。
なお、実施の形態2の影響判定部223Aも、実施の形態1の影響判定部223と同様に、指定場所ごとに予め設定された判定ルールを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定してもよい。この場合の判定ルールは、例えば、ユーザが情報処理装置2に登録した登録情報に含まれる。ユーザが、例えば第2端末3Bを用いて、指定場所ごとの判定ルールを設定し、情報処理装置2に判定ルールを含む登録情報を登録するための操作を行うと、情報処理装置2は、当該判定ルールを含む登録情報を取得し、当該判定ルールを指定場所情報と紐づけて、登録情報として記憶部23に記憶させる。
例えば、化学工場が指定場所とされる場合、当該工場周辺で発生した火災には、より注意が必要である。このような場合、ユーザは、化学工場を指定場所として登録する際、発生した火災の重要度に応じて、火災の発生位置または火災の発生範囲から、どの程度の距離だけ離れた範囲内までを、影響範囲として特定するかを定めた判定ルールを設定して登録する。
指定場所ごとに予め設定された判定ルールを用いることにより、情報処理装置2は、指定場所ごとに定められた、事象が指定場所に与える影響を与えると判定するか否かの基準に基づき、当該判定を行うことができる。
なお、判定ルールは、デフォルトとして何らかのルールを定めたものとして、記憶部23に記憶されていてもよい。この場合、ユーザが判定ルールを登録情報に含めて設定すると、影響判定部223は、デフォルトの判定ルールに優先して、ユーザが設定した判定ルールを適用して、事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定を行う。判定ルールは、指定場所ごとに、ユーザが設定可能であってもよい。
【0092】
図8は、実施の形態2に係る情報処理方法を示すフローチャートである。
登録情報取得部221が、指定場所情報と指定場所情報に紐づけられた連絡先情報とを含む登録情報を取得する(ステップST1A)。事象情報取得部222が、事象情報を取得する(ステップST2A)。続いて、重要度判定部225が、事象情報を用いて事象の重要度を判定する(ステップST3A)。影響判定部223Aが、事象情報および事象の重要度を用いて、指定場所情報が示す指定場所に、事象が影響を与えるか否かを判定する(ステップST4A)。事象が指定場所に影響を与えると判定された場合(ステップST4A;YES)、通知処理部224は、指定場所情報に紐づけられた連絡先情報が示す連絡先に事象の発生を通知する(ステップST5A)。事象が指定場所に影響を与えないと判定された場合(ステップST4A;NO)、図8に示すフローが終了しステップST2Aからの一連の処理が繰り返される。これにより、情報処理装置2Aは、指定場所に影響を与える事象の発生を、事象の重要度に応じて判定することができる。なお、ステップST1AとステップST2Aは、順番が逆であってもよい。
【0093】
影響判定部223Aは、重要度が高いほど事象の影響が及ぶ距離の範囲である影響範囲が広がることを示し、事象の発生場所から指定場所までの距離が影響範囲内である場合に、事象が指定場所に影響を与えると判定することを示す判定ルールを用いてもよい。
図9は事象が火災である場合の影響判定の概要を示す説明図である。図9の左側図は、指定場所である店舗12および搬送ルート13を含む地図であり、当該地図上の位置14Aに、火災が発生していることを示している。例えば、発生した火災は、ぼや程度のものであり、位置14Aに発生した火災の重要度は低いものとする。影響判定部223Aは、位置14Aを含む狭い影響範囲16Aが設定された判定ルールを用いて、位置14Aに発生した火災が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。図9の左側図において、位置14Aに発生した火災の影響範囲16A内に、指定場所である店舗12および搬送ルート13が含まれないので、影響判定部223Aは、当該火災が指定場所に影響を与えないと判定する。
【0094】
図9の右側図は、左側図と同様に、指定場所である店舗12および搬送ルート13を含む地図であり、当該地図上の位置14Bに火災が発生していることを示している。例えば、発生した火災は、総合商業施設の火災であり、位置14Bに発生した火災の重要度は高いものとする。影響判定部223Aは、位置14Bを含む広い影響範囲16Bが設定された判定ルールを用いて、位置14Bに発生した火災が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。図9の右側図において、位置14Bに発生した火災の影響範囲16B内に、指定場所である店舗12および搬送ルート13が含まれるので、影響判定部223Aは、当該火災が指定場所に影響を与えると判定する。事象の重要度が高くなるほど指定場所に与える影響範囲が広がる判定ルールを用いることにより、重要度が高い事象の発生を通知しやすくすることができる。
【0095】
図10は、実施の形態2に係る情報処理システム1Aの変形例である情報処理システム1Bの構成を示すブロック図である。情報処理システム1Bは、情報処理装置2B、第1端末3A、第2端末3B、Webサーバ4、SNSサーバ5および公共情報サーバ6が、ネットワーク7を介して接続されたシステムである。ネットワーク7は、インターネット等を含む電気通信回線である。情報処理システム1Bは、発生した事象が指定場所に影響を与えるか否かの判定結果を通知する情報通知サービスに利用される。
【0096】
情報通知サービスを提供する情報処理装置2Bは、図10に示すように、通信部21、演算部22Bおよび記憶部23を備える。演算部22Bは、情報処理装置2Bの全体動作を制御する。演算部22Bは、情報通知サービスにおける事象が影響を与えるか否かの判定および判定結果の通知を行うための情報処理アプリケーションを実行することにより、各種の機能を実現する。
【0097】
演算部22Bは、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223A、通知処理部224、重要度判定部225Aおよび環境情報取得部226を備える。演算部22Bが情報処理アプリケーションを実行することにより、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223A、通知処理部224、重要度判定部225Aおよび環境情報取得部226の各機能が実現される。例えば、情報処理装置2Bは、ハードウェア構成として、図2に示した通信インタフェース100、入出力インタフェース101、プロセッサ102およびメモリ103を有する。情報処理装置2Bが備える、登録情報取得部221、事象情報取得部222、影響判定部223A、通知処理部224、重要度判定部225Aおよび環境情報取得部226の各機能は、これらのハードウェア構成により実現される。
【0098】
環境情報取得部226は、事象の発生場所周辺の環境を示す環境情報を取得する。例えば、環境情報取得部226は、ネットワーク7を介して、通信部21により、事象情報が示す事象の発生場所周辺の気象情報を、環境情報として公共情報サーバ6から取得する。重要度判定部225Aは、事象情報と環境情報とを用いて、重要度を判定する。例えば、発生した事象が火災であり、環境情報が、事象の発生場所周辺が乾燥して風が強いことを示す場合、重要度判定部225Aは、火災の延焼が広がる可能性が高いため、当該火災が高い重要度であるものと判定する。影響判定部223Aは、重要度が高いほど事象の影響範囲を広く設定した判定ルールに従い、当該火災が指定場所に影響を与えると判定する。例えば、発生した事象が浸水であり、環境情報が、事象の発生場所周辺で豪雨が発生することが予想されていることを示す場合、重要度判定部225Aは、浸水が広がる可能性が高いため、当該浸水が高い重要度であるものと判定する。影響判定部223Aは、重要度が高いほど事象の影響範囲を広く設定した判定ルールに従い、当該浸水が指定場所に影響を与えると判定する。これにより、情報処理装置2Bは、事象の発生場所周辺の環境に応じて、事象の重要度を判定することができる。
【0099】
また、重要度判定部225Aは、事象情報および環境情報が入力されると重要度を出力する機械学習モデルを用いて重要度を判定してもよい。例えば、機械学習モデルは、事象情報に加え、環境情報に含まれる、テキスト、画像、または、テキストおよび画像の両方を学習用データとして用いて、事象の重要度を学習したものであってもよい。学習済みの当該機械学習モデルを用いることにより、重要度判定部225は、事象情報に加え、環境情報を考慮して、発生した事象の重要度を正確に判定することができる。
【0100】
以上のように、実施の形態2に係る情報処理装置2Aまたは2Bは、事象情報を用いて事象の重要度を判定する重要度判定部225を備える。影響判定部223Aは、事象情報と重要度とを用いて、指定場所情報が示す指定場所に、事象が影響を与えるか否かを判定する。重要度判定部225を備えることにより、情報処理装置2Aまたは2Bは、事象の発生に関する情報が取得された場合に、当該事象が指定場所に与える影響の有無を、事象の重要度も加味した上で判定できる。
【0101】
実施の形態2に係る情報処理装置2Aにおいて、重要度判定部225は、事象情報が入力されると重要度を出力する機械学習モデルを用いて、重要度を判定する。当該機械学習モデルを用いることにより、重要度判定部225は、発生した事象の重要度を正確に判定することができる。
【0102】
実施の形態2に係る情報処理装置2Aにおいて、重要度判定部225は、事象情報に含まれるテキスト、事象情報に含まれる画像、または、事象情報に含まれるテキストおよび画像の両方を、機械学習モデルへの入力とする。当該機械学習モデルを用いることにより、重要度判定部225は、事象情報に含まれるテキスト、事象情報に含まれる画像、または、事象情報に含まれるテキストおよび画像の両方から、発生した事象の重要度を正確に判定することができる。
【0103】
実施の形態2に係る情報処理装置2Bは、事象の発生場所周辺の環境を示す環境情報を取得する環境情報取得部226を備える。重要度判定部225Aは、事象情報と環境情報とを用いて、重要度を判定する。これにより、情報処理装置2Bは、事象の発生場所周辺の環境に応じて、事象の重要度を判定することができる。
【0104】
実施の形態2に係る情報処理装置2Aにおいて、影響判定部223Aは、重要度ごとに予め設定された判定ルールと重要度と事象情報とを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。当該判定ルールと事象の重要度と事象情報とを用いることにより、情報処理装置2Aは、指定場所に影響を与える事象の発生を、事象の重要度に応じて判定することができる。
【0105】
実施の形態2に係る情報処理装置2Aにおいて、事象情報取得部222は、事象情報として、事象の種類を示す種類情報と事象の発生場所を示す発生場所情報とを取得する。影響判定部223は、事象の種類ごとかつ重要度ごとに予め設定された判定ルールと重要度と事象情報とを用いて、事象が指定場所に影響を与えるか否かを判定する。当該判定ルールと事象の重要度と事象情報とを用いることにより、情報処理装置2Aは、指定場所に影響を与える事象の発生を、事象の種類ごとかつ重要度ごとに判定することができる。
【0106】
実施の形態2に係る情報処理装置2Aにおいて、判定ルールは、重要度が高いほど事象の影響が及ぶ距離の範囲である影響範囲が広がることを示し、事象の発生場所から指定場所までの距離が影響範囲内である場合に、事象が指定場所に影響を与えると判定することを示すものである。事象の重要度が高くなるほど指定場所に与える影響範囲が広がる判定ルールを用いることにより、重要度が高い事象の発生を通知しやすくすることができる。
【0107】
なお、実施の形態1および2において、一例として、ユーザがある製品を製造販売する企業であり、当該製品のサプライチェーンの管理のために、指定場所として、原材料もしくは製品の工場、原材料もしくは製品の倉庫、製品の販売店舗、または、原材料もしくは製品の搬送ルート等を指定する場合を示したが、情報処理装置2、2Aまたは2Bの利用形態は、サプライチェーン管理に限定されるものではない。例えば、情報処理装置2、2Aまたは2Bのユーザは、第1連絡先として、自身の重要顧客の連絡先を登録しておき、重要顧客に関連する指定場所に影響を与える事象の発生とともに、当該事象の発生を気遣う情報を、当該第1連絡先に通知してもよい。または、指定場所に発生した事象が災害である場合、情報処理装置2、2Aまたは2Bのユーザは、第1連絡先として、指定場所の災害復旧を担当する作業員等の連絡先を登録しておき、指定場所に影響を与える事象の発生とともに、当該指定場所への緊急参集を指令する情報を、当該第1連絡先に通知するものであってもよい。
また、情報処理装置2、2Aまたは2Bは、事象情報として、事象が発生したことを示す情報以外に、事象が終了したことを示す情報を取得してもよい。その場合、情報処理装置2、2Aまたは2Bは、発生した事象が影響を与えると判定され通知がなされた指定場所に紐づいた第1連絡先および第2連絡先に、事象が終了したことを示す通知を行ってもよい。
【符号の説明】
【0108】
1,1A,1B 情報処理システム、2,2A,2B 情報処理装置、3A 第1端末、3B 第2端末、4 Webサーバ、5 SNSサーバ、6 公共情報サーバ、7 ネットワーク、11 ピン画像、12 店舗、13 搬送ルート、13A~13B マーク、15A~15C 延焼範囲、16 テキスト、16A,16B 影響範囲、21 通信部、22,22A,22B 演算部、23 記憶部、100 通信インタフェース、101 入出力インタフェース、102 プロセッサ、103 メモリ、221 登録情報取得部、222 事象情報取得部、223,223A 影響判定部、224 通知処理部、225,225A 重要度判定部、226 環境情報取得部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10