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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-01
(45)【発行日】2024-08-09
(54)【発明の名称】日焼け止め組成物及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20240802BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240802BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240802BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240802BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/41
A61K8/49
A61Q17/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023507724
(86)(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 CN2022092698
(87)【国際公開番号】W WO2023273636
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】202110750363.7
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523038366
【氏名又は名称】曼秀雷敦(中国)薬業有限公司
【氏名又は名称原語表記】MENTHOLATUM (CHINA) PHARMACEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】The Second Industrial Estates, San Xiang Zhongshan city, Guangdong 528463 China
(74)【代理人】
【識別番号】110003650
【氏名又は名称】弁理士法人ブランシェ国際知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王 乃龍
(72)【発明者】
【氏名】陳 永録
(72)【発明者】
【氏名】李 耀▲ヂァォ▼
(72)【発明者】
【氏名】林 新文
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第00303020(US,A)
【文献】中国特許出願公開第109771306(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAPLUS/MEDLINE/KOSMET/BIOSIS(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日焼け止め成分を含む日焼け止め組成物であって、
日焼け止め組成物の総量に対して、前記日焼け止め成分は日焼け止め剤組成物0.05%~50質量%を含み、
前記日焼け止め剤組成物は、メトキシケイヒ酸イソアミル、シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸及びメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールからなることを特徴とする、日焼け止め組成物。
【請求項2】
前記日焼け止め剤組成物において、日焼け止め組成物の総量に対して、メトキシケイヒ酸イソアミルは0.01質量%~10質量%、シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは0.01質量%~10質量%、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは0.01質量%~10質量%、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸は0.01質量%~10質量%、及びメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは0.01質量%~10質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項3】
前記日焼け止め成分は、防御因子組成物をさらに含み、
前記防御因子組成物は、日焼け止め組成物の総量に対して、コーヒー種子抽出物0.0001質量%~5質量%、カルノシン0.0001質量%~5質量%で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の日焼け止め組成物。
【請求項4】
前記日焼け止め成分は、相乗剤をさらに含み、
前記相乗剤はポリアクリル酸アルキル(C10-30)であり、
前記相乗剤は、日焼け止め組成物の総量に対して、0.0001質量%~5質量%であることを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の日焼け止め組成物。
【請求項5】
前記日焼け止め成分は、生物活性組成物をさらに含み、
前記生物活性組成物は、糖異性体、フラーレン分散液、ビタミンCエチルエーテル、Fucus vesiculosus抽出物及びテトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸からなることを特徴とする、請求項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項6】
前記生物活性組成物において、糖異性体、フラーレン分散液、ビタミンCエチルエーテル、Fucus vesiculosus抽出物及びテトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸は、日焼け止め組成物の総量に対して、0.0001質量%~5質量%、0.0001質量%~5質量%、0.0001質量%~5質量%、0.0001質量%~5質量%、0.0001質量%~5質量%であることを特徴とする、請求項に記載の日焼け止め組成物。
【請求項7】
以下のステップを含む、請求項に記載の日焼け止め組成物の調製方法:
(1)メトキシケイヒ酸イソアミル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びポリアクリル酸アルキル(C10-30)に、油相溶剤を加え、加熱して溶かして油相日焼け止め組成物を得る;
(2)アルカリ液でフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸を中和して塩を形成した後、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを加え、攪拌して溶解させ、水相日焼け止め組成物を得る;
(3)ステップ(1)油相とステップ(2)水相を混合し、加熱して均一に乳化し、冷却した後、シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、テトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸、コーヒー種子抽出物、カルノシン、糖異性体、汚染防止藻類抽出物、フラーレン分散液、ビタミンCエチルエーテルを加え、撹拌して均一に分散させ、日焼け止め組成物を得る。
【請求項8】
ステップ(1)における加熱温度は80~90℃であり、
ステップ(3)における加熱温度は75~85℃であり、冷却は50℃以下までであることを特徴とする、請求項に記載の日焼け止め組成物の調製方法。
【請求項9】
ステップ(2)におけるアルカリ液はアルギニン溶液であることを特徴とする、請求項に記載の日焼け止め組成物の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日用化粧品の技術分野に属し、特に、日焼け止め組成物および日焼け止め組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境は変化し続けており、地球温暖化や人為的環境汚染による温室効果によってオゾン層が破壊され巨大な穴ができ、地球に降り注ぐ紫外線の強さは日に日に強まることが最も興味深いトピックの1つとなっている。人間が紫外線に長時間、大量にさらされると、皮膚はもちろん体にも大きなダメージを与え、軽い皮膚表層の剥離や赤みを引き起こし、軽度の場合は皮膚表層部の剥離や赤みを引き起こし、紫外線を浴び続けることで真皮層の細胞組織やコラーゲンにダメージを与え、メラノサイトが大量に生成され、皮膚の老化加速と光老化が起こり、重度の場合は皮膚癌などの生命を脅かすさまざまな皮膚疾患が発生する可能性がある。
【0003】
人類の文明の進歩に伴い、人々はより健康的なライフスタイルを追求し、野外活動の活動が増加している。世界保健機関の統計によると、大都市の80%以上が大気汚染指数を超えており、今現在より多くの皮膚の問題は都市汚染への暴露によって引き起こされており、産業廃棄物ガス、自動車の排気ガス、生態環境に起因するすす粒子汚染は、皮膚細胞に損傷を与え、さまざまな皮膚の問題を引き起こしており。
【0004】
環境汚染によるオゾン層の破壊は地表に到達する太陽放射の増加につながり、太陽放射は簡単に可視光と不可視光に分けられ、不可視光にはよく知られている紫外線に加えて、見落とされがちな赤外線は、皮膚に到達する全太陽光の50%以上を占め、皮膚に到達する全太陽光の7%を占める紫外線よりもはるかに多く、赤外線IRAは真皮全体に直接浸透し、コラーゲンの損傷と流失につながり、肌の老化を引き起こす。同時に、人間が依存する環境は可視光の影響と切り離すことができず、その中でも400~500nmのブルーライト帯域のエネルギーが最も高く、太陽光だけでなく、デジタル製品の背景光源にも多く存在し、紫外線に次ぐ広いスペクトルを持ち、肌への浸透力が強いため、肌の老化を加速させる。
【0005】
スキンケアに対する需要の増加に伴い、日焼け止めは紫外線に抵抗することに限定されるべきではなく、消費者はより全面的な光保護、フリーラジカルの増加の減少、光老化の防止と緩和等の多機能日焼け止め製品を求めている。よって、日焼け止め製品の配合において、UVAおよびUVB域の保護能力を高める以外にも、光放射や都市汚染による他の皮膚の問題にも注意する必要があり、同時に、日焼け止め製品にフリーラジカル捕捉剤を追加すると、日焼け止めの保護機能が強化されるだけでなく、光老化を効果的に防ぐことができる。
【0006】
市場に出回っている従来の日焼け止め製品のほとんどは、単純な紫外線保護に限定されており、皮膚の光老化メカニズムを引き起こす光保護に関連するさまざまなスキンケア機能への工夫は足りない。スキンケアに対する社会的需要の高まりに伴い、日焼け止め製品はもはや単純な日焼け止め剤の組み合わせではなく、消費者は自分のニーズに適した多機能ケア製品を求めている。
【0007】
日焼け止め製品を使用した後、日常的の光放射は必然的に肌への灼熱感を産生し、刺激と脱水を引き起こすため、皮膚に全面的な光保護を提供しながら、保湿、修復、抗酸化成分を追加する必要がある。光放射に抵抗し、フリーラジカルの生成を減らし、光老化を遅らせることにより、補助的な相乗効果を発揮できる。同時に、都市汚染の小さな汚染粒子が皮膚に浸透し、皮膚細胞に損傷を与えることを防ぐために、汚染防止活性物質を追加して表皮に目に見えない保護膜を形成し、汚染物質が皮膚に浸透することを防ぐことが望ましい。
【0008】
日やけ止め製品の保護能力は、それ自身の日やけ止めの性能や塗布量だけでなく、汗、水、衣類の摩擦などによる日やけ止め成分の損失にも関わるため、耐水性ポリマーを添加することで製品の日焼け止め能力を大幅に改善することができ、日焼け止めと油脂のべたつき感も減らし、快適な肌体験をもたらす。
【0009】
より全面的な日焼け止め配合では、次の方面を考慮に入れる必要がある: 1. フルスペクトルの光からの保護 (UVA、UVB、HEV、IRA); 2. 日焼け止め製品の防水効果と防汗効果による日焼け止め効果の向上; 3. 皮膚が外部汚染に抵抗することに作用し、皮膚バリアを損傷から保護; 4. 生理活性原料の添加、皮膚防御力の強化、光照射による皮膚損傷の軽減、抗酸化の強化、光老化の防止。
【0010】
これに基づいて、本発明は、フルスペクトルの光から保護する同時に外部刺激から皮膚を保護する能力を有する日焼け止め組成物を提供する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の第1の目的は、従来の日焼け止め製品が全面的な日焼け止め効果を果たせない課題を解決できる日焼け止め組成物を提供することである。
【0012】
本発明の第2の目的は、日焼け止め組成物の調製方法を提供することである。
【0013】
本発明の目的は、以下の技術的特徴によって実現される。日焼け止め成分を含む日焼け止め組成物であって、日焼け止め組成物の総量に対して、前記日焼け止め成分は日焼け止め剤組成物0.05%-50質量%を含み、前記日焼け止め剤組成物は、メトキシケイヒ酸イソアミル、シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸及びメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールからなる。
【0014】
さらに、前記日焼け止め剤組成物において、メトキシケイヒ酸イソアミル、シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸及びメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは、日焼け止め組成物の総量に対して、0.01質量%-10質量%、0.01質量%~10質量%、0.01質量%~10質量%、0.01質量%~10質量%、0.01質量%~10質量%である。
【0015】
本発明の日焼け止め剤組成物において、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸の保護スペクトルは280~340nmであり、メトキシケイヒ酸イソアミルの保護スペクトルは280~340nmであり、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの保護スペクトルは280~400nmであり、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルの保護スペクトルは280~430nmであり、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールの保護スペクトルは280~900nmであり、紫外線及びブルーライト、赤外線のフルスペクトル保護を含む。その中、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは水溶性UVA、UVB、HEV、IRAフルスペクトルの日焼け止めであり、従来の日焼け止め技術の中で保護スペクトルが最長の日焼け止め剤である同時に、赤外線を瞬時に遮断する性能により、優れた日光熱抵抗効果を有する。日光熱抵抗とは、皮膚や物体の表面が光にさらされると表面温度が徐々に上昇するが、特定の物質を添加することにより、温度の上昇が緩和するまたは低いレベルに留まることを指す。
【0016】
本発明の日焼け止め剤組成物において、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸及びメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールは水溶性日焼け止め剤であり、メトキシケイヒ酸イソアミル,ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは油溶性日焼け止め剤であり、シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは、水と油の二相に均一に分散できる。水と油の二相日焼け止め剤の組み合わせにより、緻密な保護膜を形成することが容易になり、紫外線と可視光線の損傷からより全面的に保護する。当該日焼け止め組成物は、高効率で安定、マイルドで低感度であり、紫外線の下で強力な日焼け止め性能を長時間維持できると同時に、肌にほとんど浸透せず、高いマイルド性を有する。
【0017】
本発明において、前記シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは、二酸化ケイ素で被覆されたビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンである。
【0018】
さらに、前記二酸化ケイ素で被覆されたビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは、以下の方法により得られる。ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを二酸化ケイ素で被覆し、表面を修飾して得られる。
【0019】
シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは、上述の方法により、日焼け止め剤であるビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンをシリカで被覆し、日焼け止め剤の安定性を補助しながら、日焼け止め剤の肌への吸収を抑え、マイルド性を向上させることができ、光学保護の面では、光散乱効果と光吸収効果の両方を備え、さわやかな肌感覚を提供する未来型の日焼け止め剤である。技術的には、このようなシリカの外殻への被覆には、消光効果も有する。
【0020】
本発明は以下の改良を行うこともできる。前記日焼け止め成分は、防御因子組成物をさらに含み、前記防御因子組成物は、日焼け止め組成物の総量に対して、コーヒー種子抽出物0.0001質量%~5質量%、カルノシン0.0001質量%~5質量%で構成される。
【0021】
本発明の日焼け止め成分において、コーヒー種子抽出物はコーヒーの種から抽出し、コーヒー種子には有効成分グリコペプチドが豊富に含まれており、ブルーライト領域に強力な吸収効果があり、紫外線防御性能も向上させることができる。日焼け止め剤組成物と組み合わせた効果的なブルーライト保護により、配合剤の全体的な保護性能が向上し、刺激を和らげ、フリーラジカルを除去し、アンチエイジングの効果を果たす。
【0022】
さらに、コーヒー種子抽出物は、亜臨界水抽出法により得られる。亜臨界水の物理的および化学的特性は、常温常圧の水とは大きく異なる。常温常圧の水の極性は比較的に強く、亜臨界状態では温度が上昇する伴い、亜臨界水の水素結合が開いたり弱まったりするため、温度と圧力を制御することで水の極性を制御することができ、水の極性を比較的に広範囲に変化させ、これにより、水溶性成分から脂溶性成分までの天然物中の有効成分の連続抽出が実現でき、選択的抽出が実現できる。
【0023】
本発明の日焼け止め成分において、カルノシンはアミノ酸ポリペプチドであり、人間の筋肉に存在し、強い老化防止能力を有し、人体の抗老化に作用する。赤外線IRAのエネルギーの半分以上が人間の皮膚に到達し、ほとんどのIRAが真皮に到達し、IRAはコラーゲンを分解および破壊し、皮膚の老化を加速する。カルノシンは、メタロプロテイナーゼMMP-1の産生を著しく阻害し、コラーゲンの分解を阻害する。
【0024】
本発明は以下の改良を行うこともできる。前記日焼け止め成分は、相乗剤をさらに含み、前記相乗剤は、日焼け止め組成物の総量に対して、0.0001質量%~5質量%である。
【0025】
さらに、前記相乗剤はポリアクリル酸アルキル(C10-30)である。ポリアクリル酸アルキル(C10-30)はフィルム形成相乗剤であり、そのEWGスコアは1であり、これは環境に優しい性能を示し、環境保護の現在の傾向に適している。また、日焼け止め剤と組み合わせて、日焼け止めフィルムの均一性と靭性を効果的に改善し、日焼け止め成分の耐水性を向上させることができる。ポリアクリル酸アルキル(C10-30)は、本発明の日焼け止め成分を日用化学製品に適用した後、W/OおよびO/W体系製品の耐水性、耐摩擦性を高め、光防御の耐久性を改善することができる。
【0026】
本発明は以下の改良を行うこともできる。前記日焼け止め成分は、生物活性組成物をさらに含み、前記生物活性組成物は、糖異性体、フラーレン分散液、ビタミンCエチルエーテル、汚染防止藻類抽出物及びテトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸からなる。本発明における生物活性組成物は、水を深く閉じ込め、肌の防御力を高め、超抗酸化力を発揮し、光から保護する同時に都市汚染物質を遮断する。
【0027】
さらに、前記生物活性組成物において、糖異性体、フラーレン分散液、ビタミンCエチルエーテル、汚染防止藻類抽出物及びテトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸は、日焼け止め組成物の総量に対して、0.0001質量%~5質量%、0.0001質量%~5質量%、0.0001質量%~5質量%、0.0001質量%~5質量%、0.0001質量%~5質量%である。
【0028】
さらに、前記フラーレン分散液は、質量分率0.02%のフラーレン水分散液である。
【0029】
本発明の生物活性組成物において、テトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸は、細胞を保護し、紫外線や乾燥に抵抗する肌の能力を高める効果があり、日焼け止めやアンチエイジングに理想的な原料の1つである。肌に汚染防止藻類抽出物を配合することで、目に見えない保護膜を形成して肌を保護すると同時に、重金属をキレートして細胞を保護する効果があり、肌に優しい有効成分として本発明の防汚効果の実現が可能になる。フラーレンは、表面吸着によってフリーラジカルを除去できる。フラーレンはフリーラジカルを除去する過程で電子伝達の役割を果たしているため、その過程で消費ロスがなく、製品や皮膚の表面に安定して存在し、抗酸化力を長期間発揮することができる。このようなユニークな性能により、アンチエイジング、抗酸化、毛包の修復、抗ニキビ、毛穴の引き締め、美白、鎮静などの効果を得ることができる。日光が皮膚に照射されると、皮膚紅斑を引き起こす主な要因の1つであるフリーラジカルを大量に生成する。本発明は、フラーレンを添加して、日光によって生成された多数のフリーラジカルを除去し、細胞学的方面から効果的な保護を実現することができる。ビタミンCエチルエーテルは、新たな安定化ビタミンC誘導体であり、親水性および親油性特性を有する。ビタミンCは抗酸化剤としてよく使用され、還元性を有し、メラニン中間体ドーパキノンのメラニンへの酸化を阻害できるが、非常に酸化しやすい。誘導体にすると、安定性が向上するだけでなく、バイオアベイラビリティも向上する。糖異性体は水と密接に結合することができ、短期および長期の保湿効果を発揮し、特に日光にさらされることで頻繁に発生する乾燥と水分流失に対して、皮膚バリアを長時間強化することができる。
【0030】
以下のステップを含む日焼け止め組成物の調製方法:
(1)メトキシケイヒ酸イソアミル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びポリアクリル酸アルキル(C10-30)に、油相溶剤を加え、加熱して溶かして油相日焼け止め組成物を得る;
(2)アルカリ液でフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸を中和して塩を形成した後、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを加え、攪拌して溶解させ、水相日焼け止め組成物を得る;
(3)将ステップ(1)油相とステップ(2)水相を混合し、加熱して均一に乳化し、冷却した後、シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、テトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸、コーヒー種子抽出物、カルノシン、糖異性体、汚染防止藻類抽出物、フラーレン分散液、ビタミンCエチルエーテルを加え、拡販して均一に分散させ、日焼け止め組成物を得る。
【0031】
本発明に含まれる油相部分と水相部分は化粧品の配合において、配合の特性に従って異なる工程段階で添加されるため、日焼け止め組成物はより良好な均一性および分散性能を有する。
【0032】
さらに、ステップ(1)における加熱温度は80~90℃である。
【0033】
ステップ(2)におけるアルカリ液はアルギニンである。
【0034】
ステップ(3)における均一温度は75~85℃であり、冷却は50℃以下までである。
【0035】
好ましくは、均一温度は80℃である。
【0036】
従来技術と比べて、本発明は以下のような効果を有する:
(1)本発明の日焼け止め成分における日焼け止め剤組成物は、紫外線、ブルーライト、赤外線のフルスペクトル保護を含み、皮膚表面に広域スペクトルの日焼け止め網を形成して、光放射の損傷を効果的に遮断することができる。
(2)本発明の日焼け止め剤組成物は、油溶性日焼け止め剤と水溶性日焼け止め剤を使用し、日焼け止めの抜け穴がなく、日焼け止め膜を肌に均一に広げることができ、あらゆる種類の日焼け止め製品に適している。化粧品に使用されて配合をマイルドで低刺激にし、高い光安定性を有し、W/OおよびO/W体系製品に広く使用されており、O/W配合体系に一定の疎水性を付与し、W/O体系の耐水性と耐汗性を高めることができる。
(3)本発明の日焼け止め成分に添加する生物活性組成物は、皮膚が外部汚染に抵抗し、皮膚防御能力を高め、強力な抗酸化、全面的な光保護、および皮膚の光老化を防ぐことができる。
(4)本発明の日焼け止め成分は、防水性、耐熱性、耐摩擦性の特性を有し、高いSPF値、マイルドな配合、保湿および水の閉じ込めを達成することができ、優れた耐水性および耐汗性日焼け止め製品を提供することができ、アジア人により適し、幅広い市場の見通しを持っている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明における日焼け止め成分(Solarex-X)中の日焼け止め剤組成物の各成分の広域スペクトル防護ネットの模式図である。
図2】本発明における防御因子コーヒー種子抽出物の吸収スペクトルである。
図3】本発明の実施例1の日焼け止め組成物の異なるスペクトルの光のSPF値の図である。
図4】本発明の実施例2の日焼け止め組成物の異なるスペクトルの光の透過率の図である。
図5】本発明の実施例2の日焼け止め組成物の異なるスペクトルの光のSPF値の図である。
図6】本発明の比較例の日焼け止め組成物の異なるスペクトルの光のSPF値の図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
当業者が本発明の技術的解決策をよりよく理解し、実施できるようにするために、以下具体的な実施例を用いて本発明をさらに説明する。
【0039】
実施例1
日焼け止め組成物(広域スペクトラムの日焼け止めSPF30+,PA+++)であって、日焼け止め成分(Solarex-X)を含み、日焼け止め成分は、日焼け止め組成物の総量に対して、以下の成分により構成される:
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.00質量%
シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
1.00質量%
メトキシケイヒ酸イソアミル 1.00質量%
メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール 2.00質量%
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸 1.00質量%
ポリアクリル酸アルキル(C10-30) 1.00質量%
コーヒー種子抽出物 0.005質量%
カルノシン 0.005質量%
テトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸 0.005質量%
汚染防止藻類抽出物 0.05質量%
フラーレン水分散液(質量分率2%) 1.00質量%
糖異性体 1.00質量%
ビタミンCエチルエーテル 1.00質量%
日焼け止め組成物の総量に対して、以下の成分を更に含む:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 8.00質量%
サリチル酸オクチル 2.00質量%
エチルヘキシルトリアゾン 2.00質量%
TWEEN 60 2.00質量%
ラウリン酸エチルヘキシル 3.00質量%
カルボマー 0.30質量%
EDTA二ナトリウム 0.05質量%
1,3-プロパンジオール 3.00質量%
アルギニン 0.30質量%
アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP共重合体 0.35質量%
防腐剤 0.50質量%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01質量%
残りは水。
【0040】
前記日焼け止め組成物の調製方法は、以下のステップを含む:
(1)配合量に従ってメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、メトキシケイヒ酸イソアミル、サリチル酸オクチル、ラウリン酸エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、ポリアクリル酸アルキル(C10-30)、TWEEN 60を適切な容器に入れ、85℃まで加熱し、完全に溶解するように攪拌して油相を得た。
(2)適切な容器に総量5%の水を入れ、配合量に従ってフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸を加え、アルギニンを加えて中和(pH調整)した後、さらにメチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールを加え、均一になるように攪拌する。別の容器に残りの水、カルボマー、アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP共重合体を入れ、均一になるように攪拌混合し、EDTA二ナトリウム、1,3-プロパンジオール、ヒアルロン酸ナトリウムを加え、均一になるように攪拌し、70℃まで加熱する。2つの容器の内容物を均一になるように攪拌混合し、水相を得た。
(3)適切なせん断条件下で、油相を水相に加え、80°Cで均一に攪拌して完全に乳化させ、攪拌して50°C以下までに冷却し、シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、防腐剤及び残りの有効成分を加え、均一に攪拌し、40℃以下になるまで冷却し、調製を終了させた。
【0041】
実施例2
日焼け止め組成物(広域スペクトラムの日焼け止めSPF50+,PA+++)であって、日焼け止め成分(Solarex-X)を含み、日焼け止め成分は、日焼け止め組成物の総量に対して、以下の成分により構成される:
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1.00質量%
シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
1.00質量%
メトキシケイヒ酸イソアミル 2.00質量%
メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール 8.00質量%
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸 2.00質量%
ポリアクリル酸アルキル(C10-30) 1.00質量%
コーヒー種子抽出物 0.005質量%
カルノシン 0.005質量%
テトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸 0.005質量%
汚染防止藻類抽出物 0.05質量%
フラーレン水分散液(質量分率2%) 1.00質量%
糖異性体 1.00質量%
ビタミンCエチルエーテル 1.00質量%
日焼け止め組成物の総量に対して、以下の成分を更に含む:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル 8.00質量%
サリチル酸オクチル 2.00質量%
エチルヘキシルトリアゾン 2.00質量%
TWEEN 60 2.00質量%
ラウリン酸エチルヘキシル 3.00質量%
カルボマー 0.30質量%
EDTA二ナトリウム 0.05質量%
1,3-プロパンジオール 3.00質量%
アルギニン 0.30質量%
アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/VP共重合体 0.35質量%
防腐剤 0.50質量%
ヒアルロン酸ナトリウム 0.01質量%
残りは水。
【0042】
実施例3
日焼け止め組成物(広域スペクトラムの日焼け止めSPF30+,PA+++)であって、日焼け止め成分(Solarex-X)を含み、実施例1との相違点は、日焼け止め成分は、日焼け止め組成物の総量に対して、以下の成分により構成される:
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2質量%
シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
0.1質量%
メトキシケイヒ酸イソアミル 0.5質量%
メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール 4質量%
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸 0.5質量%
ポリアクリル酸アルキル(C10-30) 0.5質量%
コーヒー種子抽出物 0.1質量%
カルノシン 0.1質量%
テトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸 0.1質量%
汚染防止藻類抽出物 0.1質量%
フラーレン水分散液(質量分率2%) 0.1質量%
糖異性体 0.1質量%
ビタミンCエチルエーテル 0.1質量%。
【0043】
実施例4
日焼け止め組成物(広域スペクトラムの日焼け止めSPF50+,PA+++)であって、日焼け止め成分(Solarex-X)を含み、実施例2との相違点は、日焼け止め成分は、日焼け止め組成物の総量に対して、以下の成分により構成される:
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 3質量%
シリカ被覆ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
3質量%
メトキシケイヒ酸イソアミル 1質量%
メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール 4質量%
フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸 5質量%
ポリアクリル酸アルキル(C10-30) 2質量%
コーヒー種子抽出物 4質量%
カルノシン 4質量%
テトラヒドロメチルピリミジンカルボン酸 1質量%
汚染防止藻類抽出物 4質量%
フラーレン水分散液(質量分率2%) 4質量%
糖異性体 4質量%
ビタミンCエチルエーテル 4質量%。
【0044】
比較例
日焼け止めローションであって、実施例1との相違点は、日焼け止め成分を含まないことであり、残りの成分は実施例1と同様である。
【0045】
性能試験
本発明の日焼け止め成分(Solarex-X)における日焼け止め剤組成物の各成分の広域スペクトル防護ネットの模式図は、図1に示す。本発明の配合における防御因子コーヒー種子抽出物吸収スペクトルは、図2に示す。実施例1、実施例2及び比較例により調製された日焼け止め組成物の異なるスペクトルの光のSPF値を測定し、実施例2により調製された日焼け止め組成物の異なるスペクトルの光の透過率を測定し、その結果を図3図5図6図4に示す。(試験装置:UV2000S サンスクリーンアナライザー)
【0046】
図3~6に示すように、日焼け止め成分(Solarex-X)は、通常のSPF30+日焼け止めやSPF50+の高日焼け止め製品など、さまざまな日焼け止め製品の開発に適している。比較例のSolarex-X日焼け止め成分を添加しない配合に比べて、実施例1はより高いSPF値を示し、ブルーライトバンドで効果的に保護される。実施例2のブルーライトの透過率は0.51であり、ブルーライトの約半分をカットしていることを証明した。
【0047】
上記の実施例は、本発明の異なる実施過程を詳細に説明したが、本発明の実施形態はこれらに限定されず、当業者は、本願明細書に開示された内容に従って本発明の目的を達成することができる。本発明の概念に基づいてなされた改良および変形はすべて本発明の保護範囲内にあり、具体的な保護範囲は特許請求の範囲の記載に従う。
図1
図2
図3
図4
図5
図6